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JP2007106923A - 樹脂組成物の製造方法、これにより得られた樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

樹脂組成物の製造方法、これにより得られた樹脂組成物およびその成形体 Download PDF

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JP2007106923A JP2005300010A JP2005300010A JP2007106923A JP 2007106923 A JP2007106923 A JP 2007106923A JP 2005300010 A JP2005300010 A JP 2005300010A JP 2005300010 A JP2005300010 A JP 2005300010A JP 2007106923 A JP2007106923 A JP 2007106923A
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Inventor
Hiroyuki Fudemoto
啓之 筆本
Isao Hagiwara
萩原  勲
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Bridgestone Corp
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Abstract

【課題】簡単な操作により、従来技術によるよりも優れたガスバリア性を有し、かつ機械的特性及び柔軟性の良好な樹脂組成物、その製造方法、及び樹脂組成物成形体を提供する。
【解決手段】層状フィラーをポリアミド中に分散し、次いでオレフィン系ポリマーを添加することを特徴とする樹脂組成物の製造方法が得られた。この製造方法により得られた樹脂組成物は、ガスバリア性、柔軟性及び機械的特性に優れるため、高い気密性が必要なホース、フィルム又は容器に適用される。

Description

本発明は、ポリアミド樹脂に、層状フィラー及びオレフィン系ポリマーを配合することによる樹脂組成物の製造方法、これにより得られた樹脂組成物、及び樹脂組成物の成形体に関する。
種々のポリマー材料に、クレイ等の層状フィラーを所定配向にて微分散することによりナノコンポジット材料が得られる。ナノコンポジット材料は、母剤となる樹脂材料に層状フィラーがナノレベルで分散された材料であり、優れた気体遮蔽性を有する。このため、高気密性を有する用途、例えば高圧又は低温条件下での使用、及び有害物質の輸送等に特に重要な役割を果たしている。
ナノコンポジット材料の具体例は、特開平11−092594号公報、特開平11−092677号公報、及び特開平11−181190公報等に開示されている。
上記各公報に記載された方法では、有機化クレイと、所定の官能基を有するポリマーとが用いられている。そして、ポリマーの官能基を適宜選択することにより、有機変性されたクレイとポリマーとを良好に作用させ、ポリマー中でのクレイの分散性を向上させるという試みがなされている。
このような方法により、所定のガスバリア性と機械的特性を有するナノコンポジット材料が得られている。
更に、フィルム、ホース等の用途では、材料の柔軟性が要求される。ポリアミド樹脂を柔軟化する方法としては、オレフィン系ポリマー及びその酸変性物を添加することが公知である。この技術によるとオレフィン系ポリマー及びその酸変性物の添加量及び分散状態を制御することで柔軟性が調節可能である。
ナノコンポジット材料をアロイ化した例としては、Macromolecules 2004, 37, 2454-2459(Jin Kon Kim著書)、Polymer, 2004, 45, 5317 (Tang, Y.著書)、Polymer, 2004, 45, 7381 (Li, Y. 著書)、特許第2885490号公報などがある。
Macromolecules 2004, 37, 2454-2459(Jin Kon Kim著書)には、ポリアミド樹脂に、層状フィラーとオレフィン系ポリマーとを添加した材料が記載されている。同文献では、ナイロン/オレフィン系ポリマーを所定割合で使用し、かつ分散粒径に勾配を与え、柔軟性を有する樹脂組成物を得る技術が紹介されている。
特開平11−092594号公報 特開平11−092677号公報 特開平11−181190公報 特許第2885490号公報 Macromolecules 2004, 37, 2454-2459 Polymer, 2004, 45, 5317 Polymer, 2004, 45, 7381
しかしながら、特開平11−092594号公報、特開平11−092677号公報、及び特開平11−181190公報の方法によると、樹脂材料中で層状フィラーを所定方向に並列させ、及び/又はインターカレーションさせるため、ガスバリア性及び機械的特性の向上と共に、材料の強度及び剛性も増大する。このため、柔軟性の必要なホース及びフィルム等への適用には限界があり、更に改良を加える必要がある。
また、ポリアミド樹脂を柔軟化するために、オレフィン系ポリマー及びその酸変性物添加した樹脂組成物を用いたホース、フィルム等はあるが、ガスバリア性が十分ではなく、その向上が求められている。
更に、Macromolecules 2004, 37, 2454-2459(Jin Kon Kim著書)に記載された方法によると、ナイロン樹脂、オレフィン系ポリマー及び層状フィラーを使用し、ナイロン/オレフィン系ポリマーの比率を変え、クレイの添加量によるドメインの分散粒子径を確認することにより、更に耐熱性に優れたモルフォルジーを得る技術が紹介されている。しかしながら、この技術では添加方法の検討はなされていない。
特許第2885490号公報に記載された方法は、オレフィン系ポリマー中にクレイを分散したポリアミド樹脂を分散させるもので、オレフィン系ポリマーをマトリックスとした海・島構造をなすものである。従って、ポリアミド樹脂をマトリックスとする技術とは異なる。
所定用途においては、従来技術により得られた樹脂組成物を上回る高いガスバリア性が必要である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な操作により、従来技術によるよりも優れたガスバリア性を有し、かつ機械的特性及び柔軟性の良好な樹脂組成物、その製造方法、及び樹脂組成物成形体を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明者等は、層状フィラーをポリアミド中に分散し、次いでオレフィン系ポリマーを添加することを特徴とする樹脂組成物の製造方法を見出した。
本発明の上記製造方法によると、i)ポリマー材料、層状フィラー、及びオレフィン系添加剤の全てを一度に混合する方法、及びii)ポリマー材料とオレフィン系添加剤とを混合した後に、層状フィラーを添加する方法等の、本発明とは異なる製造方法によるよりも、ガスバリア性に優れ、かつ適度な柔軟性を有する樹脂組成物が得られる。
本発明の製造方法において、ポリアミド:オレフィン系ポリマーの混合比は、質量割合で95:5〜50:50の範囲にあると好ましい。
また、ポリアミドとオレフィン系ポリマーの総質量に対して、層状フィラーを1〜20質量%の割合で添加すると好ましい。
ポリアミドとオレフィン系ポリマーの混合比、及びポリアミドとオレフィン系ポリマーの総質量に対する層状フィラーの添加率を上記割合とすることにより、ガスアリア性、機械的特性及び柔軟性において特に優れた樹脂組成物が得られる。このように得られた樹脂組成物は気密性を必要とされる部材の成形に好適に用いられる。
本発明の製造方法では、ポリアミドとしてナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、アラミド樹脂もしくはこれらの共重合体、又はこれらの混合物を用いることができ、ナイロン6の混合物を用いると好ましい。
ガスバリア性の観点から、ナイロン6が好ましく、分子量が異なる2種以上の混合物を使用することで、粘度を調整し、良好な成形体が得られる。
更に、本発明の製造方法において、層状フィラーが粘土鉱物であると好ましい。
粘土鉱物は、良好な劈開性を有し、劈開後の各層がポリアミド中に良好に分散するため、実用に適しており、少ない添加量で樹脂組成物のガスバリア性綱を向上させることができる。そして、層状フィラーをポリアミド中に均一に分散することにより得られた樹脂組成物は、均一なガスバリア性を発現することになる。
本発明の製造方法において、層状フィラーが有機化マイカ又は有機化クレイであると更に好ましい。
本発明の製造方法では、オレフィン系ポリマーとして、C2−C18オレフィンの単独重合体、C2−C18オレフィンの少なくとも2種類の共重合体、これらの単独重合体又は共重合体の酸変性体、又はこれらの単独重合体、共重合体及び/又は酸変性体の混合物が使用可能である。
オレフィン系ポリマーのうち、特にα−オレフィン系重合体、すなわち1種類以上のα−オレフィンをモノマーとして構成される共重合体、その変性体、及びαーオレフィン共重合体及び/又はα−オレフィン共重合体の変性体の2種類以上の混合物が好ましく用いられる。或いは、オレフィン系ポリマーを構成するモノマーとして、エチレンと、α−オレフィンとを用いることも好ましい。
α−オレフィン系共重合体はポリアミドへの添加に適しており、これを用いることにより得られる樹脂組成物の柔軟性が向上する。
特に、2種類以上のオレフィン系ポリマーを用いる場合には、樹脂組成物の所望の特性を考慮して、オレフィン系ポリマーの組み合わせを適宜選択して使用することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、ホース、フィルム及び容器等の成形体として加工、利用することが可能である。ホース、フィルム及び容器のように壁面(平面)を有する所定形状に成形する場合には、得られた成形体中に分散された層状フィラー各層の平坦面が成形体壁面に対して略平行に配向させると好ましい。
これにより、成形体の壁面からの気体の通過が遮断され、ガスバリア性が確保される。
本発明の樹脂組組成物の製造方法によると、層状フィラーをポリアミド中に分散し、次いでオレフィン系ポリマーを添加することにより、ガスバリア性、柔軟性及び機械的特性において優れた樹脂組成物を得ることができる。樹脂組成物は高いガスバリア性と柔軟性の双方が必要なフィルム、ホース、梱包容器等に加工できる。
本発明の樹脂組成物の製造方法では、無機鉱物等の層状フィラーをポリアミド中に分散して混合物を得、次いでこの混合物にオレフィン系ポリマーを添加することを特徴とする。
最初に、ポリアミドに対して層状フィラーを配合し、均一に分散し(層状フィラー分散工程)、この後にオレフィン系ポリマーを添加することにより(オレフィン系ポリマー添加工程)、ガスバリア性に優れると共に、柔軟性の点でも満足な樹脂組成物が得られる。
本発明の製造方法はそれぞれの工程をバッチ式に行っても、連続的に行ってもよい。
本発明の材料の添加順序は、従来の樹脂組成物の製造方法における材料の添加順序とは異なり、添加順序を変更したことにより、樹脂組成物のガスアリア性が顕著に向上した。
上記層状フィラーの添加量は、ポリアミドに対して、1〜50質量%、特に1〜40質量%、更に1〜30質量%が好ましい。層状フィラーの量が1質量%より少ないと、ガスバリア性の効果が十分に得られず、50質量%より多いと、分散が困難であり、十分な柔軟性が得られず好ましくない。
上記割合のポリアミドと層状フィラーとは、公知方法、例えばヘンシュルミキサー、V-ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラブレンダー等でドライブレンドし、1軸押出機、2軸押出機、ニーダー等の混練装置、好ましくは2軸押出機にて溶融混練する。
一般に、200℃〜300℃で0.1〜1時間の混合時間にわたり混練することが好ましい。
二軸押出機を使用する場合には、一般にはバレル温度200℃〜300℃、好ましくは215℃〜260℃で溶融混練する。
本発明の製造方法では、溶融混練中に、層状フィラーの層間にポリアミドが挿入(インタカレーション)さていても、いなくてもよい。層状フィラーに、ポリアミドがインターカレーションする場合、フィラーの層間隔が3nm以上になり、ポリアミド中に均一に分散することが好ましい。また、層状フィラーが劈開することにより、樹脂組成物のガスバリア性が大きく向上し、かつ機械的強度が増大する。
特にガスバリア性を大きく向上させるには、上記層状フィラーを劈開する必要がある。層状フィラーは事前に劈開させ、これをポリアミド中に添加してもよいが、複数層から成る劈開前の粒子の状態でポリアミドに分散させ、混練することにより、劈開と分散とを一工程で行ってもよい。
次いで、混練されたポリアミドと層状フィラーとの混合物に、オレフィン系ポリマーを添加して上記と同様の混合装置、好ましくは二軸押出機にて更に混練する。
一般に、200℃〜300℃で0.1〜1時間の混合時間にわたり混練することが好ましい。
二軸押出機を使用する場合には、一般にはバレル温度200℃〜300℃、好ましくは215℃〜260℃で溶融混練する。
上述のポリアミドと層状フィラーとの混練後の混合・混練機に対して、直接オレフィン系ポリマーを添加して更に混練することが可能であるが、ポリアミドと層状フィラーとの同混合物をいったんペレット化し、得られたペレットとオレフィン系ポリマーとを更に混練するという方法を用いることも可能である。
本発明の樹脂組成物は200℃〜300℃、好ましくは215℃〜260℃で溶融し、一軸押出機及びTダイ等を用いるキャスティング法及びリング状のダイにより筒状に押出したものを空冷、水冷するチューブラー法により、成形可能である。
また、樹脂組成物を50℃〜180℃の延伸温度で一軸延伸又は二軸延伸して成形し、必要に応じて120℃以上、かつ樹脂組成物の融点よりも低い温度で成形体を熱固定する方法を適用することもできる。
層状フィラーが劈開した状態で基剤であるポリアミド中に分散され、加圧等により、その扁平状の各層の面(平坦面)が、成形体の壁面に対して略平行に配置されると、成形体がガスバリア性(気体遮蔽性)を有するようになる。すなわち、成形体等の樹脂中を透過しようとする気体が、層状フィラーの平坦面に遮られ、その透過性が著しく低下する。
本発明により使用可能なポリアミドとしては、脂肪族、脂環式、芳香族等のジアミンと、脂肪族、脂環式のジカルボン酸との重縮合により得られるポリアミド、ラクタムから得られるポリアミド、アミノカルボン酸の縮合により得られるポリアミド、又はこれらの成分から成る共重合体が挙げられる。
具体的には、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、アラミド樹脂及びこれらの共重合体、例えばナイロン612、並びにこれらの混合物が使用可能であり、このうちナイロン6、ナイロン12、ナイロン6とナイロン12との共重合体等が好ましく、ナイロン6が特に好ましく使用される。溶融粘度を調整するために、分子量の異なる複数種類のポリアミド樹脂を混合使用してもよい。
樹脂組成物よりホース等を成形する場合には、ナイロン6、又はその混合物を用いることが好ましい。ガスバリア性に優れた成形体を得ることができる。
ポリアミド中に分散される層状フィラーの例としては、クレイ、マイカ、カオリンクレイ、タルク、スメクタイト(例えばモンモリロナイト)等の粘土鉱物、又はグラファイトが挙げられ、天然のものであっても、合成されたものであってもよい。複数種類の層状フィラーを併用してもよい。
クレイとは、一般に、1種あるいは2種以上の粘土鉱物からなる平均粒径20μm以下、さらに0.1〜15μmの範囲、特に1〜8μmの微細な粒子である。粘土鉱物とは、微細な層状ケイ酸塩であり、Si4+イオンが酸化物イオン(O2-)に対して4配位をとる4面体が構成する層と、Al3+、Fe2+、Fe3+、Mg2+などのイオンがO2-および水酸化物イオン(OH-)に対して6配位をとる8面体層とが1:1あるいは2:1で結合し、さらにそれらが積み重なって層状構造を構成するものが、一般的である。粘土鉱物としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト、ゼオライト、バーミキュライトなどを挙げることができる。
マイカ(雲母)は、完全な基底劈開により特徴付けられる斜晶系層状珪酸塩であり、複雑なアルミノケイ酸カリウムであり、その一般化学組成式はXY2~3Zn410(OH、F)2[但し、XがBa、Ca、(H3O)、K、Na、(NH4)を表し、YがAl、Cr3+、Fe2+、Fe3+、Li、Mg、Mn2+、V3+を表し、ZがAl、Be、Fe、Siを表す]で表される。
タルクは、ケイ酸マグネシウムで、一般にMg2Si410(OH)2で表される。
層状フィラーの平均粒径は100μm以下、さらに50μm以下、特に20μm以下が好ましい。
マトリックス樹脂であるポリアミドとの相溶性を向上させるためには、層状フィラーを有機変性する必要がある。有機変性に用いる化合物(有機変性化合物)としてはオニウム塩が用いられ、具体的には4級アンモニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩がある。アンモニウム塩の例としては、テトラメチルアンモニウム塩(臭化物、塩化物)、ココビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム塩、ステアリルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ココベンジルジメチルアンモニウム塩、ステアリルベンジルジメチルアンモニウム塩、1−メチル−3−ドデシルイミダゾリウム塩、1−ベンジル−3−ドデシルイミダゾリウム塩、1−メチル−2−メチル−3−ドデシルイミダゾリウム塩等がある。
層状フィラーを有機変性することにより、層状フィラーのポリアミドに対する親和性が増大し、劈開しやすくなり、短時間で均一な分散を行うことが可能となる。
層状フィラーに対する有機変性化合物の添加量は、一般に0.1〜50質量%であり、更に0.5〜30質量%、特に1〜20質量%が好ましい。
有機変性された層状フィラーの特に好ましい例には、有機化マイカ及び有機化クレイがある。有機化マイカが極めて好ましく用いられる。
層状フィラーの中でも、特にマイカはアスペクト比が大きいため、劈開してポリアミド中に均一に分散した際に高いガスバリア性が期待できる。更に、有機化マイカを使用することによりポリアミドとの相溶性が良好とされる。
クレイはマイカと同様の層構造を持つが、マイカに比べて層電荷が小さく、容易に層間陽イオンの交換を行うことができ、劈開しやすい。
本発明では層状フィラーをポリアミドに添加し、均一な混合物を得た後に、この混合物にオレフィン系ポリマーを添加する。
本発明の樹脂組成物の製造方法において用いられるオレフィン系ポリマーの例には、C2−C18オレフィンの単独重合体/共重合体、例えばエチレン及び/又はプロピレンを基礎とする単独重合体/共重合体、及び1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等の単独重合体/共重合体が挙げられる。
更にオレフィン系ポリマーがエチレン/α−C2−C18オレフィン共重合体等のα−オレフィン共重合体であることが好ましい。また、オレフィン系ポリマーのグラフト変性体を用いることもできる。
グラフト変性剤としては不飽和カルボン酸及びその誘導体が用いられる。不飽和カルボン酸及びその誘導体としては、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、ポリエチレングリコールジメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸を用いることができる。好ましくは、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の無水物が用いられる。
オレフィン系ポリマーを複数種類の混合物として用いてもよい。特にオレフィン系ポリマーと、オレフィン系ポリマーのグラフト変性体を混合することが好ましい。樹脂組成物の柔軟性の調節の自由度が増し、機械的特性を調節することができる。
上述の各種オレフィン系ポリマー及びオレフィン系ポリマーのグラフト変性体を使用することが可能であるが、使用するポリアミドの種類に応じて、十分な相溶性が得られるように組み合わせる必要がある。
ポリアミドと層状フィラーとの混合物に対する、オレフィン系ポリマーの添加割合は、通常、5質量%〜50質量%が好ましい。樹脂組成物の使用目的に応じて、上記添加割合の範囲内において混合物とオレフィン系ポリマーとを混合する。
オレフィン系ポリマーの添加割合が50質量%を超過するとオレフィン系ポリマーを海とする海−島構造を呈し、相反転を起こすために、得られた樹脂組成物のガスバリア性が大幅に低下する。また、オレフィン系化合物の添加割合が5質量%未満であると柔軟性が不十分となる。
オレフィン系ポリマーの数平均分子量は、1,000〜10,000,000とすると好ましい。分子量が1,000未満の場合には,樹脂組成物の強度等の機械的特性が低下する恐れがある。また,10,000,000を超える場合には,樹脂組成物の加工性に問題が生ずる恐れがある。
また、オレフィン系ポリマーの更に好ましい数平均分子量は5,000〜10,000,000である。分子量がこの範囲にあるすると、機械的特性及び加工性の双方において良好な樹脂組成物が得られる。特に成形加工性を考えると、メルトフローインデックスが0.01〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分となるように設定することが好ましい。
ポリアミド:オレフィン系ポリマーの質量比は95:5〜50:50の範囲にあると好ましく、樹脂成分(ポリアミドとオレフィンの総量)に対する層状フィラーの割合を、1質量%〜15質量%とすると好ましい。
この他、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、老化防止剤、難燃剤、造核剤等の一般的な添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
上記製造方法により、ガスバリア性、柔軟性、及び機械的特性の優れた樹脂組成物を得ることができる。得られた樹脂組成物は、ホース、フィルム、包装用フィルム、梱包容器等、及びその他の各種形態及び寸法の成形体とすることができる。これらの成形体は、高度な気密性ないし液密性を必要とする用途、例えば過酷な温度、圧力条件下での液体含有・搬送用ホース、保護フィルム、被覆・包装用フィルム等としての利用に適している。また、これらの樹脂組成物を別の樹脂と共押出し成形し多層化してもよい。樹脂組成物の成形体にコーティング等により被覆を施し、更にガスバリア性を向上させることも可能である。
以下実施例により本発明を詳細に説明する。本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
ポリアミド樹脂:
ナイロン6(宇部興産(株)製、1022B)及びナイロン6(宇部興産(株)製、1011FB)の混合比1:1のドライブレンド品
層状フィラー(1):
膨潤性マイカ:MEE(コープケミカル社製)...ME100(コープケミカル社製)を塩化C6−C18アルキルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム(ライオンアクゾ社製、エソカードC/12)で処理した製品
層状フィラー(2):
膨潤性マイカ:TMA(コープケミカル社製)...ME100(コープケミカル社製)をテトラメチルアンモニウムで処理した製品
オレフィン系ポリマー(1):
α−オレフィン系共重合体(三井化学(株)製、タフマーMA8510とタフマーMH7020の混合比1:1のドライブレンド品)
オレフィン系ポリマー(2):
α−オレフィン系共重合体(三井化学(株)製、タフマーA1050とタフマーMH7010の混合比1:1のドライブレンド品)
[実施例1]
下表1に記載した各材料を、記載の配合比率にて用いた。
最初に、材料1として記載したポリアミドと層状フィラーとを、2軸押出機、ラボプラストミル2D25W(東洋精機社製)に装填し、シリンダー温度245℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融混練し、ペレットを得た。
次いで、上述の混合物のペレットと、材料2として記載したオレフィン系ポリマーとを上記2軸押出機に装填し、シリンダー温度245℃、スクリュー回転数100rpmにて溶融混練し、ペレットを得た。
このように得られた樹脂組成物を1軸押出機、ラボプラストミルD2025(東洋精機社製)に装填し、シリンダー温度250℃、スクリュー回転数20rpmで、Tダイより押出し、キャスティング法にて厚さ100μmのフィルム(サンプル1)を得た。
[比較例1及び比較例2]...材料の添加順序の変更
材料1及び材料2を表1に記載された組み合わせに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用の樹脂組成物による厚さ100μmのフィルム(比較用サンプル1及び比較用サンプル2)を得た。
Figure 2007106923
[実施例2]
下表2に記載した各材料を、記載の配合比率にて用いた。材料と配合比を変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、厚さ100μmのフィルム(サンプル2)を得た。
[比較例3及び比較例4]...材料の添加順序の変更
材料1及び材料2を表2に記載された組み合わせに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い、比較用の樹脂組成物による厚さ100μmのフィルム(比較用サンプル3及び比較用サンプル4)を得た。
Figure 2007106923
[ガスバリア性の評価]
ヤナコ製ガス透過試験機GTR−30ABSを用いた100℃、ガス供給側圧力200kPaの差圧法により、上記サンプル1及び2、並びに比較用サンプル1〜4について、フロンF134aの透過係数を測定した。得られた結果を、下表3に示す。
Figure 2007106923
上記ガス透過性試験の結果、本願発明の製造方法により得られた樹脂組成物より構成されたフィルム(サンプル1及び2)のガス透過性が最も低く、すなわちガスバリア性に優れていることがわかる。

Claims (11)

  1. 層状フィラーをポリアミド中に分散し、次いでオレフィン系ポリマーを添加することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  2. ポリアミド:オレフィン系ポリマーの混合比が質量割合で95:5〜50:50の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. ポリアミドとオレフィン系ポリマーの総質量に対して、層状フィラーを1〜20質量%の割合で添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. ポリアミドがナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、アラミド樹脂もしくはこれらの共重合体、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 層状フィラーが粘土鉱物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 層状フィラーが有機化マイカ又は有機化クレイであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. オレフィン系ポリマーがC2−C18オレフィンの単独重合体、C2−C18オレフィンの少なくとも2種類の共重合体、前記単独重合体又は前記共重合体の酸変性体、又は前記単独重合体、前記共重合体及び/又は前記酸変性体の混合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. オレフィン系ポリマーが1種類以上のα−オレフィンからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. オレフィン系ポリマーが、エチレンと、1種類以上のα−オレフィンと、からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法により得られた樹脂組成物。
  11. 請求項10に記載の樹脂組成物により得られたホース、フィルム又は容器。
JP2005300010A 2005-10-14 2005-10-14 樹脂組成物の製造方法、これにより得られた樹脂組成物およびその成形体 Pending JP2007106923A (ja)

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