JP2007197902A - 改良土、改良土の製造方法及びペーパースラッジ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この改良土は、ペーパースラッジと古紙破砕物とセメント系固化材を高含水比泥土に添加・混合してなる。一軸圧縮強さは古紙添加量の増加とともに増加し、破壊ひずみは古紙添加量が20〜50kg/m3の範囲において目標値を達成し、変形係数は同範囲を下限として目標値をほぼ満足し、PS繊維質固化処理土は乾湿繰り返しに対する耐久性が高く、かつ強度的にも優れ、盛土材としての使用に十分耐え得る。
【選択図】図10
Description
本発明者は、建設汚泥のような一軸圧縮強度を有さない高含水比泥土を改良するための材料(改良材)として、古紙のリサイクル製造工程から発生するペーパースラッジ(以下、PSと記す)に着目した。
紙は多量に生産・消費・廃棄される消費材であり、依然として一般廃棄物処理の約25%を占める最大の素材の一つである。このため、古紙のリサイクルは、資源有効利用、ごみ減量化、森林資源保全の観点からますます重要となってきている。現在、製紙業界では資源有効利用促進法に基づき「平成17年度までに古紙利用率を60%にする」という目標に取り組んでいる。
3.1 使用材料
供試体の作成には模擬泥水を使用した。模擬泥水を使用した理由は以下の通りである。すなわち、実際の建設汚泥やヘドロのような泥土は、固化材による固化の阻害物質である有機物(フミン酸等)を含むことがあり、この有機物の影響により試験結果にバラツキが生じる可能性がある。そこで、この有機物によるデータのバラツキを抑えるため模擬泥水を用いた。本実験では無機の土粒子を使用し、一定の比率で粘土とシルトを混合して作泥したものを使用した。作泥方法は、粘土とシルトを40:60(乾燥質量比)で混合し、それに加水調整して含水比105 %および150 %の汚泥を作成した。土粒子の密度は2,623 [g /cm3 ]である。
供試体作成手順を説明する前に、各処理土の定義を示す。
1) 固化処理土:汚泥にセメント系固化材のみを添加・混合した処理土(比較品)
2) 繊維質固化処理土:汚泥に古紙破砕物および高分子系改良剤・助剤を加え、さらにセメント系固化材を添加・混合した処理土(比較品)
3) PS固化処理土:汚泥にPSおよび高分子系改良剤・助剤を加え、さらにセメント系固化材を添加・混合した処理土(本発明品)
4) PS繊維質固化処理土:汚泥にPSおよび古紙破砕物ならびに高分子系改良剤・助剤を加え、さらにセメント系固化材を添加・混合した処理土(本発明品)
5) 繊維質固化処理士(薬剤無):汚泥に古紙破砕物を加え、さらにセメント系固化材を添加・混合した処理土(本発明品)
6) PS固化処理土(薬剤無):汚泥にPSを加え、さらにセメント系固化材を添加・混合した処理土(本発明品)
7) PS繊維質固化処理土(薬剤無):汚泥にPSおよび古紙破砕物を加え、さらにセメント系固化材を添加・混合した処理土(本発明品)
1. まず初めに、上述したように粘土とシルトを40:60(乾燥質量比)で混合し、加水調整して含水比を調整する。
1. 粘土とシルトを40:60(乾燥質量比)で混合し、加水調整して含水比を調整する。
2. 含水比を調整した汚泥に、PSおよび古紙被砕物を加え、撹拝・混合する。
3. 次にセメント系固化材を加え、混合する。なお、PS、古紙破砕物、セメント系固化材の添加量は、含水比に応じて表1に示す配合条件とし11通りに変化させた。
4.1 試験方法
初めに乾湿繰り返しに対する耐久性について検討した。試験方法は、表2に示すように、旧建設省土木研究所(現独立行政法人土木研究所)と(財)先端建設技術センターおよび民間22社が共同開発した「建設汚泥の高度処理・利用技術の開発」建設汚泥改良土の耐久性)に準拠した。すなわち、40℃炉乾燥2日、20℃水浸1日の合計3日間を1サイクルとし、各サイクルの乾燥後、水浸後に供試体の状況観察・写真撮影を行うとともに、所定サイクル終了後に一軸圧縮試験を行い、サイクル数の増加に伴う一軸圧縮強度の変化を調べた。状況観察としては、表3に示す健全度ランクにより供試体の健全度を評価した。
2. 薬剤は、処理土の強度特性および乾湿繰り返しに対する耐久性に寄与しているのかどうか(本発明の「PS固化処理土」及び「PS固化処理土(薬剤無)」の比較および比較対象としての「繊維質固化処理土」と本発明の「繊維質固化処理土(薬剤無)」の結果を比較することにより検証可能)。
図4及び図5にサイクル数と一軸圧縮強度との関係を示す。図4は初期含水比105 %の時の結果を、また図5は初期含水比150 %の時の結果を示している。図中の▲および●印は比較品である固化処理土および繊維質固化処理土の結果を、また○、△、□印は本発明品であるPS固化処理土、PS固化処理土(薬剤無)、繊維質固化処理土(薬剤無)の結果を示している。
前項の結果より、乾湿繰り返しに対する耐久性という観点からは、PSは古紙破砕物の代用品になり得ることが確認された。そこで、次に処理土の強度特性の観点から、最適PS添加量について考察を行う。
5.1 目標強度qu
目標強度を設定する条件として以下の点が挙げられる。
1) 建設機械の走行に必要なトラフイカビリティーを満足する強度であること。
2) 有害物質を原位置に封じ込めて、流出防止を目的とするときの必要強度であること。
3) 路床、路体盛土、構造物の裏込等に再利用するために必要な強度であること。
1) qu=50〜100kN /m2
2) qu=200kN /m2以上
3) qu=100 〜300kN /m2
変形係数E50 は一軸圧縮強度試験における応力−ひずみ曲線においてピーク応力quの半分の点qu/2 と原点を結ぶ直線の傾きで定義され、この値が大きいほど固くもろい材質である事を示す。処理土を盛土や埋戻し土として再利用する場合、原地盤と極端な不連続性を示すことなく周囲地盤となじみを良くする必要がある。固化処理土はコンクリートや岩石のような強度特性を示すため、周辺地盤や既存盛土と固化処理土による新設の盛土の間に剛性の相違が生じ、互いのなじみが悪く、地震時のように盛土や基礎地盤が大きな変形を受ける時には、剛性の高い部分に局部的な変形集中によるクラックの発生が懸念される。そのため本発明の工法で再資源化されるPS固化処理土の変形係数は通常土の変形係数に近づける必要がある。
別途実験に基づく本発明者の知見によれば、三軸圧縮試験後の固化処理土には明瞭なせん断面か現れ局部的な応力集中を起こしているのに対し、繊維質固化処理土は樽型変形を生じ、応力の集中が繊維を通して分散されている。このことは、繊維質固化処理土は、繊維質物質が土粒子間に複雑に入り込み、その結果、土粒子間結合力が非常に高くなっており、き裂の発生を抑制し、破壊に至るまでに大きな変形に耐え得ることを示している。同様に繊維質固化処理土が乾湿繰り返しに対して高い耐久性を示す理由として、繊維質が土粒子間の結合を強め、クラックの発生を抑制していると推定され この土粒子間結合力を破壊ひずみの値から定量的に評価した。図9に一軸圧縮強さと破壊ひずみとの関係を示すが、繊維質固化処理土と固化処理土の土粒子間結合力を破壊ひずみで評価する場合の境界ラインは約5%であることが分かる。そこで、ここでは目標被壊ひずみεf を5%とする。
ここで、本発明者は、破壊ひずみおよび変形係数に対する不足分を古紙破砕物で補うという新規な発想を得、PS繊維質固化処理土(薬剤無)を作成し、−軸圧縮試験を行った。
実験結果については次項で述べる。
ここでは、初期含水比105 %の泥土に対してはPS添加量を70kg/m3に固定し、また初期含水比150 %の泥土に対してはPS添加量を85kg/m3に固定し、それぞれの泥土に対して古紙破砕物の添加量を種々に変化させてPS繊維質固化処理土(薬剤無)を作成し、一軸圧縮試験を実施した。図12及び図13に古紙破砕物の添加量と一軸圧縮強さ、破壊ひずみおよび変形係数との関係を示す。図12及び図13は初期含水比がそれぞれ105 %および150 %の時の結果である。参考のため固化処理土、繊維質固化処理土および繊維質固化処理土(薬剤無)の値も併せ示した。
本発明では、再生紙工場から発生する廃棄物であるペーパースラッジ(PS)のリサイクル率の向上及び本発明者が既に提案した繊維質固化処理土工法の施工コストの安定化およびコスト縮減を目指し、繊維質固化処理土工法にPSを用いて十分な効果が得られることが確認された。
1)古紙破砕物の替わりにPSを高含水比出泥土に混合して処理土を作成し、乾湿繰返し実験を行った結果、処理土は乾湿繰返しに対して高い耐久性を示した。つまり、乾湿繰返しに対する耐久性という観点から、PSは古紙破砕物の代用品となり得、十分な効果が得られることが確かめられた。
Claims (9)
- ペーパースラッジとセメント系固化材を高含水比泥土に添加・混合してなる改良土。
- ペーパースラッジと古紙破砕物とセメント系固化材を高含水比泥土に添加・混合してなる改良土。
- 前記ペーパースラッジの添加量が前記高含水比泥土に対する比率で50〜105kg/m3 である請求項1又は2記載の改良土。
- 前記古紙破砕物の添加量が前記高含水比泥土に対する比率で10〜65kg/m3 である請求項2記載の改良土。
- 前記ペーパースラッジは、古紙のリサイクル工程で排出される水分と固形スラッジの混合物から水分を除去した後、これを粉砕して得た粉末物であることを特徴とする請求項1又は2又は3又は4記載の改良土。
- 高含水比泥土にペーパースラッジを加えて高分子系改良材及び助剤を添加することなく混合し、次にセメント系固化材を添加して混合し、その後に所望の強度が発現するまで養生を行うことを特徴とする改良土の製造方法。
- 高含水比泥土にペーパースラッジ及び前記高含水比泥土に対する比率で10〜65kg/m3 の古紙破砕物を加えて高分子系改良材及び助剤を添加することなく混合し、次にセメント系固化材を添加して混合し、その後に所望の強度が発現するまで養生を行うことを特徴とする改良土の製造方法。
- 高含水比泥土に添加されて当該泥土の強度特性・劣化耐久性を改良するための改良物質であって、古紙のリサイクル工程で排出される水分と固形スラッジの混合物から水分を除去して粉砕した粉末物であることを特徴とするペーパースラッジ。
- 古紙破砕物及びペーパースラッジからなる群から選択された少なくとも一の繊維質物質とセメント系固化材を高含水比泥土に添加し、高分子系改良材及び助剤を添加することなく混合してなる改良土。
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