以下に本発明の実施の形態を説明するが、本欄の記載は請求項の技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。
一般的にある製品(ICカード)は製造システム(以下、製造装置群と記す)により例えば材料から順次加工処理されて製品となっていく。
このため、例えば材料バラツキ、製造装置群を構成する製造装置の故障、製造装置群を操作するオペレータの操作、等に起因するトラブルにより良品が製造されない場合がある。しかし、顧客に対しては不良品を出荷することはできず、このため材料から製品に至るまでのICカードの品質管理を行い不良品の出荷を防止することが必要となっている。
ここで、製造装置群内を流れるICカード(材料〜製品)と、品質管理システムを流れる前記ICカードに係る品質情報が一致することが不可欠であるが、個別に管理すると想定外の出来事により製造装置群内を流れるICカードと品質情報の一致が破れ不良品を出荷してしまう可能性が有るという問題があった。この対策として、
(1)個々のICカードにそのICカードを識別する識別情報を付し、(2)該識別情報を複数の製造装置で読込み、(3)品質管理システムが保有し、逐次更新しているICカードの品質情報から、読み込んだ識別情報に一致する、ICカードの品質情報に基づいて複数の製造装置で異常品処理(例えば装置外への排除)を行うことで、不良品の良品への混入が防止できると考え本発明に至った。
本発明の品質管理システム及び品質管理システムを接続した製造装置はこのような技術思想に基づき全ての製品(ICカード)に適応可能であるが、以下、製品として複数の基材を有する複合カード、特にチップ例えばICチップが複数の基材間にサンドイッチされたICカードを例に取り、ICカードを製造する製造装置群、該製造装置群に接続する品質管理システムについて説明を行う。
ICカードの製造装置群は多数のそれぞれ異なる機能の製造装置で構成されている。
製造装置群は各製造装置が同一の製造能力を有するとも限らず、また必ずしも1箇所に連続した製造工程としてラインかできるとは限らず、その一部は複数の製造装置で1台分の生産能力をカバーしたり、中心となる製造装置群の設置場所と離れた遠隔地に設置される様な場合もある。
このような場合、ものの流れが複雑となるため上述したものと品質情報の一致が取りにくく、時には不良品が製品に混入する可能性ともなっていた。
本発明者は上記状況に鑑み、(1)最上流の製造装置は個々の未完成のICカードを含む基材シートにそれぞれ固有の識別情報を物理的に付し、(2)下流の製造装置は付された識別情報を読み取り、読み取った識別情報を品質管理装置に送り、(3)品質管理装置は記憶手段に記憶・順次更新されている所定のフォーマットに従った品質情報のうち、送られた識別情報に基づき当該識別情報に係る前記基材シートに係る品質情報を読み出し、識別情報が送られた製造装置に当該識別情報に係る前記基材シートの品質情報を送り、(4)識別情報を送った製造装置は送られた当該識別情報に係る前記基材シートに関するICカードの品質情報に基づいて不良品処理(例えば装置外への当該不良部分の排除)を行うようにした。
以下、ICカード、及び、ICカードを製造する製造装置群、及び、品質管理システムについて詳細に説明する。
[ICカード]
図1はICカードの一例の従業員証である。
図1(a)はICカードの正面図、図1(b)はICカードの分解斜視図を示している。
図2はICカードの一例の層構成図である。
図2(a)はICカードの分解断面図、図2(b)はICカードの断面図、図2(c)はICカードのシート状ICインレットの正面図である。
図1及び2において、ICカードAは、第1基材(表面シートとも称す)1と、第2基材(裏面シートとも称す)2との間にシート状ICインレット(以下、インレットとも記す)3を介在させて接着剤により貼り合わせて製造される。
ICカードAの表面となる第1基材1のおもて側表面には、本発明の製造装置群の更に下流で印刷する、例えばカード所持者の個人識別番号、氏名、住所、生年月日、等の個人情報B1、カード所持者の顔写真情報B2、カードの発行年月日、有効期限等の文字情報B3、及び電子透かし印刷、ホログラム等の個人識別情報B4を印刷するための枠や標題欄等の定形印刷が予め施されている。
ICカードAの裏面となる第2基材2の図示うら側表面には、筆記層、又は印刷層が形成されている。
第1基材1の支持体、及び第2基材2の支持体は、厚さが50〜250μmのポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材で形成されている。
インレット3は、ICチップ3C及び巻線コイル3Dを有している。
なお、ICチップ3Cを保護する不織布等よりなるクッション材3A、3BをICチップ3Cの両面に挿入しても良い。
カードAは、第1基材1の裏面側に塗布した接着剤層(ホットメルト接着剤層)4Aと、第2基材2の裏面側に塗布した接着剤層(ホットメルト層)4Bとの間にインレット3を介在させてホットメルト装置により貼り合わせて製造される。
なお、第1基材1及び第2基材2に塗布された接着剤(ホットメルト)は、加熱・接着時に溶融しインレット3を第1基材1と第2基材2の間にサンドイッチ状態にして接着固定する。
図3は、第1基材集合シートの概念図である。
図3(a)において、1Aは第1基材集合シートで、打ち抜き後にカードとなる複数のカード部分1A3を有し、シートの表面に個々の第1基材集合シート1Aを識別する基材集合シート識別コード1A1と、複数のカード部分1A3の位置決めマーク1A4を含んでいる。
基材集合シート識別コード1A1は第1基材集合シート1Aのカード打ち抜き予定領域1A6以外の部分(例えば第1基材集合シート1Aの縁)に最上流装置で印刷される。
なお、図3(b)に示すように複数のカード部分1A3の間に印刷しても良い。
複数のカード部分1A3には図1で説明したように、例えばカードとして打ち抜かれた後カードの外枠となる枠1A5及びカード所持者の個人識別番号等を印刷するための標題欄等の定形印刷が予め所定の位置に印刷されている。
以下、第1基材集合シート1Aの搬送方向(矢示方向)に直角方向を行、搬送方向(矢示方向)に平行方向を列とも呼ぶ。
図3(c)は、基材集合シート識別コードの別の形態で、濃色例えば黒色のベタ印刷された予備印刷部1A2に、白抜きした基材集合シート識別コード1A1’を形成する。
[ICカードの製造システム(製造装置群)]
図4は、ICカードの製造装置群の模式図である。
以下にICカードの製造装置群の1例を図4のICカードの製造装置群の模式図を参照して説明する。
なお、図では説明を分かりやすくするため製造装置の製造能力は略同一で、同一場所に製造装置群が連なって構成されている場合について示したが、前述した様に特定の製造装置が複数台あっても、特定の製造装置が物理的に離れた場所に設置されていても良い。
〈第1基材集合シートの印刷・供給装置〉
第1基材集合シートの印刷・供給装置100は、図3(a)に示した複数の第1基材を集合した枚葉シート状の第1基材集合シート1Aを100〜2000枚堆積する収容手段と、第1基材集合シート1Aを1枚ずつ分離して取り出す図示しない給送手段と、第1基材集合シート1Aのカード打ち抜き予定領域以外の部分(例えば第1基材集合シート1Aの縁)に少なくとも基材集合シート識別コード1A1を印刷する印刷手段1A11(例えばインクジェット方式)と、印刷した基材集合シート識別コード1A1を読み取る読み取り手段1A12と、を有している。
そして、基材集合シート識別コード1A1を印刷済みの、印刷済み第1基材集合シート1Bを下流の接着剤塗工装置に供給する。
なお、個々の第1基材集合シート1Aを識別する基材集合シート識別コード1A1はアルファベット及び数字或いはそのいずれかで構成され、印刷手段1A11によりバーコードの形態で印刷される。また、文字及び数字、または文字/数字のいずれかの形態で印刷されても良い。
詳しくは、印刷手段1A11は、第1基材集合シート毎に品質管理手段である後述する品質管理装置から送信される固有の基材集合シート識別コード情報に基づき基材集合シート識別コード1A1を印刷する。
そして、印刷・供給装置100は後述するように、印刷基材集合シート識別コード1A1を読み出し、読み出し不能の場合NGと判断し、第1基材集合シートの印刷・供給装置を表す固有の識別コードと共に、読み出し結果(G/NG)情報を含む印刷・供給装置の検査結果情報を品質管理装置(不図示)に送信し、読み出し不能となった印刷済み第1基材集合シート1Bを排出手段(不図示)により排出する。
なお、送信された基材集合シート識別コード情報と読み取り手段1A12により読み込まれた基材集合シート識別コード情報とを比較して不一致の場合NGと判断しても良い。
また、基材集合シート識別コード1A1を文字・数字の形態で印刷する場合には、基材集合シート識別コード1A1の印刷、読み取りを確実にするため、図3(b)のように白抜き文字としても良い。
この場合は、第1基材集合シート1Aのカード打ち抜き予定領域以外の部分(例えば第1基材集合シート1Aの縁)に予備印刷(例えば黒ベタ印刷)を行い、レーザー印字装置等の高出力の印字装置で黒ベタ印刷を昇華させて基材集合シート識別コードを白抜き印刷すると良い。この場合、予備印刷を行う予備印刷手段(不図示)は印刷手段1A11の上流に設け、印刷手段1A11は上記高出力の印字装置に交換する。
以上により、基材集合シート識別コードを印刷した印刷済み第1基材集合シート1Bを得る。
〈第1基材集合シートへの接着剤塗工装置〉
第1基材集合シート1Aへの接着剤塗工装置200は、印刷済み第1基材集合シート1Bの印刷面の反対面にホットメルト接着剤を所定の厚さで塗工するダイ21を有する塗工手段(不図示)と、ダイ21の設置位置上流には基材集合シート識別コード1A1を読み取る読み取り手段1A12と、ダイ21の設置位置下流には塗工されたホットメルト接着剤の厚さを測定するホットメルト接着剤厚さ測定手段23と、を有している。
塗工手段は接着剤を溶融する加熱タンク(不図示)と溶解された接着剤を加圧するポンプ(不図示)と接着剤を給送するホース(不図示)とダイ21とを有し、接着剤はダイ21のスリット出口21aから吐出され、印刷済み第1基材集合シート1B上にホットメルト接着剤を塗工し、ホットメルト接着剤を塗工した塗布済み第1基材集合シート1Cを得る。
塗工方式としてはダイ方式、グラビア方式、ロール方式などの通常の方法を採用できるが、ダイ方式は、接着剤が印刷済み第1基材集合シート1Bに塗工されるまで密閉されているためホットメルト接着剤のような高温処理でも温度管理が容易で、特に反応性ホットメルト接着剤では、湿度を有する外気と触れないので有利であり、また異物の混入がなく、気泡も発生しにくいため、好ましい。
なお、印刷済み第1基材集合シート1Bの印刷面の反対面にホットメルト接着剤が塗工できるように必要に応じ塗工前に不図示の反転手段により印刷済み第1基材集合シート1Bの表裏を反転させる。
接着剤塗工装置200のホットメルト接着剤厚さ測定手段23は後述するように、予め決められたホットメルト接着剤の厚さ範囲と、ホットメルト接着剤厚さ測定手段23で測定された接着剤の厚さと、を比較して、測定値が厚さ範囲に入らない場合NGと判断し、接着剤塗工装置を表す固有の識別コードと共に、接着剤厚さ検出結果情報とNG部の位置情報とを含む接着剤塗工装置品質情報を品質管理装置(不図示)に送信する。
以上により、異常部分の下流への情報連絡が可能となる。
図5はホットメルト接着剤厚さ測定手段の1例を示す概念図である。
図5(a)はホットメルト接着剤厚さ測定手段の側面図、図5(b)はホットメルト接着剤厚さ測定手段の正面図を示している。
基材集合シート1Aは塗布ロール24に吸引され密着した状態で搬送方向(矢印Y方向)に搬送される。
ホットメルト接着剤厚さ測定手段23はホットメルト接着剤厚さを測定するセンサ部23Aと、センサ部23Aを搬送方向と直角方向(矢印x方向)に移動させる駆動手段23B(例えばパルスモータ)と、駆動手段23Bの駆動軸に設けられた雌ネジ部23Cとセンサ部23Aをガイドするガイド軸23Dと、を有し、基材の搬送方向先頭部を検知する反射型のセンサ25により基材先端を検知すると駆動手段23Bは正転逆転を繰り返しセンサ部23Aをガイド軸23Dにガイドさせながら矢印X方向に往復移動させる。
これによりセンサ部23Aは搬送される基材集合シート1Aに対して一点鎖線の軌跡に移動し、基材集合シート1Aの略全面、少なくとも全てのカード部分1A3が全て含まれるように移動してホットメルト接着剤の厚さを測定する。
NG部分の位置情報は、基材端部から検査NGと判断した部分Z1までのX/Y方向の距離で示される。
ここで、X/Yの距離は基材を搬送する搬送手段(例えば塗布ロール24)を駆動するパルスモータの駆動パルス数を、搬送方向に基材先端から検査NGと判断した部分Z1までカウントしY方向の距離y1とし、センサ(例えばセンサ部23A)を駆動する駆動手段(例えばパルスモータ)の駆動パルス数を、搬送直角方向に基材側端から検査NGと判断した部分Z1までカウントしX方向の距離x1とし、またX/Y方向の距離(x1/y1)をカードの縦横寸法に基づいて、不良位置情報コードKC62(図11参照)に対応するカード部分1A3のY/X方向それぞれ何番目というデータに換算して出力する。
なお、塗布ロール24及び駆動手段23Bに直結されたロータリエンコーダを設け、このエンコーダ出力パルス数をカウントしX/Y方向の距離(x1/y1)としても良い。
以上説明したNG部分の位置情報の検知方法は製造装置群の他の製造装置でも用いられる。
〈インレットの供給装置〉
図4に戻り、インレット供給装置300は、インレットのロール状の元巻き5と、元巻き5からインレット3を分離して塗布済み第1基材集合シート1C上に載置する位置にインレット3を展開配置するインレットの移載手段(不図示)と、インレット3を展開配置する中間ステーション30と、展開配置したインレット3aを一括吸着保持して接着剤を塗工した塗布済み第1基材集合シート1C上に移動・載置する移載手段(不図示)と、インレット3を塗布済み第1基材集合シート1C上に載置するインレット載置ステーション31と、インレット載置ステーション31の設置位置上流には基材集合シート識別コードを読み取る読み取り手段1A12と載置前にホットメルト接着剤を加熱保温して流動性やタック性を維持するヒーター等の加熱保温手段32と、インレット載置ステーション31の設置位置下流には、個々のインレット3を識別する、インレット3に予め記憶されたインレット固有識別情報を読取るインレット固有識別情報読取り装置46を有している。
なお、インレット固有識別情報読取り装置46は通常用いられているICカードリーダを用い、読み取り不能な場合は例えば載置時にインレットを破損或いは劣化させたNGと判断し、インレットの供給装置を表す固有の識別コードと共に、インレット固有識別情報とIC読み取り検査結果とNG部の位置情報とを含むインレット供給装置品質情報とを品質管理装置(不図示)に送信する。
図6はインレット固有識別情報を読取るインレット固有識別情報読取り装置の配置例を示す図である。
ここで、インレット3が無線方式の場合はインレット固有識別情報読取り装置による隣接インレット情報の誤読を防止するため、インレット3の配置位置に対してインレット固有識別情報読取り装置46の設置位置は千鳥配列(行方向・列方向とも1個おき)となっている。
例えば、インレット3の配置位置に対して、奇数行の偶数列に対応する位置、及び、奇数行の奇数列に対応する位置、具体的には、1列2行目、1列4行目、・・・と、3行1列目、3行3列目、・・・と、に設置されている。
これにより、各インレット固有識別情報読取り装置46が同時に当該位置のインレット3のインレット固有識別情報を読み込んでも隣接インレット情報の誤読を防止可能となっている。
図4に戻り、インレットの移載手段は、部品をピックアップして所定位置の所定向きに載置する部品インサータ等を用い、インレット3をロール状の元巻5から1個ずつ取りだして中間ステーション30に順次展開配置する。この時、品質管理装置(不図示)から送信されたインレットに係る品質情報に基づき、不良部分に相当する位置には置かないようにする(例えば図示中間ステーション30のインレット空き部分)。
なお、不良インレットも塗布済み第1基材集合シート1Cに載置して、上述のインレット供給装置品質情報にインレットの不良情報を付与して、当該カードを後で除去するようにしても良い。
インレット3を塗布済み第1基材集合シート1Cに載置する際は、第1基材集合シートを一旦停止させておく方法もあるが、定速搬送する第1基材集合シートに同期しながら載置することが好ましい。また、空気が入らないように一方からしごきながら載置したり、ICチップ3Cをホットメルト接着剤に押し込むように載置する。
以上のようにして、展開配置したインレット3aを載置したインレット載置第1基材集合シート1Dを得る。
以上により、異常部分への無駄なインレット3の供給防止が可能となり、不良品の混入、コスト削減が可能となる。
〈第2基材の供給工程〉
第2基材2の供給装置400は、不図示のウエブ搬送手段を有し、ウエブ搬送手段により第2基材2の材料であるロール状に巻いた長尺の第2基材集合シート2Aを、第1基材集合シート1Aと位置を合わせながら同速且つ張力を一定で繰り出し、接着剤塗工装置500まで搬送する。
〈第2基材への接着剤塗工装置〉
第2基材集合シート2Aへの接着剤塗工装置500は、第1基材集合シート1Aと同様なダイを有し、ダイ40で第2基材集合シート2Aに接着剤を間欠塗工する。
すなわち、枚葉シートである第1基材集合シート1Aと同速でニップルロール42に密着搬送される第2基材集合シート2Aに、ダイ40により第1基材集合シート1Aに対応する位置のみに接着剤を間欠塗工する。
接着剤を間欠塗工することで、後工程で第1基材集合シート1Aに合わせて第2基材集合シート2Aを毎葉に切断する際に切断位置を接着剤が塗工されていない部分を選択可能となり、選択された部分に接着剤を塗工しないことにより刃物への接着剤の付着を防止できる。反応性ホットメルトの場合は、すぐに硬化しないため特に有効である。
なお、接着剤塗工装置200で行ったように、予め決められたホットメルト接着剤の厚さを測定し、第2基材の接着剤塗工装置の検査結果情報を品質管理装置(不図示)に送信するようにしても良い。
〈貼り合わせ装置〉
貼り合わせ装置600は、展開配置したインレット3aを載置したインレット載置第1基材集合シート1Dと接着剤を塗工した第2基材集合シートとを貼り合わせる貼り合わせ手段41と、貼り合わせ手段41の上流に、ホットメルト接着剤が軟化するようにインレット載置第1基材集合シート1Dを加熱保温(例えば60℃程度)する加熱保温手段61と、貼り合わせ手段41の下流に、第1基材集合シート1Aと第2基材集合シート2Aとが張り合わされた貼り合わせシート1EのICチップ3Cの位置や異物等を検出する後述のICチップ位置検出手段44と、貼り合わせシート1Eの厚さを測定する後述の貼り合わせシート厚さ測定手段45と、を有している。
貼り合わせ手段41はニップロール42と43を有し、ニップロール42と43とは表面温度をホットメルト接着剤が軟化する温度(例えば60℃程度)に保つための温度調節手段(不図示)を有している。
加熱保温手段61により加熱保温されて搬送されるインレット載置第1基材集合シート1Dと第2基材集合シート2Aとを、ニップロール42と43との間で加熱・加圧することにより貼り合わせ、第1基材1と第2基材2との間にインレット3を貼り合わせた貼り合わせシート1Eを得る。
ニップロール42は図示のように第2基材集合シート2Aへの接着剤の塗工用のロールを兼用しても良いし、また別個に設けても良い。
ニップロール42,43は、金属対金属とする場合と一方をゴム被覆とする場合があり、いずれの場合でもニップロール42,43のギャップ設定、加圧力設定、またはその組合わせにより、貼り合わされた第1、第2基材とインレットを含む総厚を整えたり、インレット3を接着剤に埋込んで平滑性を整える。そして、少なくともニップロール42好ましくは42及び43の表面には接着剤の付着を防止するための接着剤に対して離型作用があるフッ素加工等の表面処理が行われている。
貼り合わせシート1Eにおける第1基材集合シート1Aと第2基材集合シート2Aの残留応力によるカール等が生じないよう考慮して、第2基材集合シート2Aの張力と、第1基材集合シート1Aのシート張力を設定する。
そして、貼り合わせ装置600は貼り合わせに係る検査を行い、貼り合わせ装置を表す固有の識別コードと共に、後述するICチップ位置異常情報、又は貼り合わせシート厚さ異常情報である検査結果情報とNG部分の位置情報とを、貼り合わせ装置品質情報として品質管理装置(不図示)に送信する。
なお、NG部分の位置情報は、第1基材集合シートへの接着剤塗工装置で説明したと同様な考え方に基づいてX/Y方向の距離(x1/y1)を、不良位置情報コードKC62に対応するカード部分1A3のY/X方向それぞれ何番目というデータに換算して出力する。
図7は、ICチップ検出手段装置で検出されるICチップの位置異常等の例を示す図である。
各図において、1A5は第1基材集合シート1Aに印刷されたカードの外枠となる枠で第1基材集合シート1Aの所定の位置に複数整列して印刷されている。また、鎖線は枠1A5に対する打ち抜き装置での打ち抜き予定位置で枠1A5の外側に離間して設定されている。また、斜線部は枠1A5に対する予め決められたICチップ3Cの正規の装着位置範囲1A7である。また、3C’は実際に装着されたICチップの例を示している。
図7(a)は正常な場合で、打ち抜き予定位置(鎖線)近傍及び内部、或いは内部に異物がなく、正規の装着位置範囲1A7の内部且つ正規の装着位置範囲1A7の縁と略平行にICチップ3C’が装着されている。
図7(b)は異物がある場合の例で、打ち抜き予定位置(鎖線)内部に異物(例えば前後の基材を接合する接合テープ)62が付着している。
図7(c)はICチップが位置ずれ且つ傾いている場合の例で、正規の装着位置範囲1A7に対してICチップ3C’が一部はみ出し、枠1A5から巻き線コイル3Dの一部が外にはみ出している。
図8はICチップの位置等の異常を検出するICチップ検出手段の概略図である。
ICチップ位置検出手段44はライン状の光源441と、CCDラインカメラ442とを有し、光源441の光443は貼り合わせシート1Eを透過してCCDラインカメラ442の受光面に結像され、インレット3を含む貼り合わせシート1Eの画像が読み込まれる。
読み込まれた画像はA/D変換されインレット3を含む貼り合わせシート1Eのデジタル画像情報となり、画像認識手法等の手法により予め決められた正しいICチップ位置範囲情報と比較され、図7を参照して説明した異常及び、ICチップの表裏逆向き、前後逆向きを検出した場合はICチップ位置異常情報として出力する。
具体的には、ICチップ位置検出手段44は、例えば打ち抜き予定位置(鎖線)内部にはみ出した異物の検出と、装着位置範囲1A7に対するICチップ3C’の所定角度以上の傾きの検出とはみ出しの検出、及び枠1A5からのICアンテナ3Fのはみ出しの検出と、を検出し、これらを検出した場合は異物有り或いはICチップ位置異常と判断し、異常情報と異常位置情報とを含むICチップ位置異常情報を出力する。
図9は貼り合わせシートの厚さを測定する貼り合わせシート厚さ測定手段の説明図である。
図9(a)は側面から見た概念図を示し、貼り合わせシート厚さ測定手段45は貼り合わせシート1Eの各面に対向する2つの変位センサ451と452を有し、変位センサ451は変位センサ451と貼り合わせシート1Eの一方の面との距離d1を測定し、変位センサ452は変位センサ452と貼り合わせシート1Eの他方の面との距離d2を測定し、それぞれの測定値がセンサアンプ453に入力される。
センサアンプ453は、予め記憶されている両センサ間の距離d3から距離d1及び距離d2を差し引き、貼り合わせシート1Eの厚さdを演算する(d=d3−d1−d2)。
図9(b)は上から見た概念図を示し、基材集合シート1Eは矢印Y方向に搬送される。
貼り合わせシート厚さ測定手段45の変位センサ451と452は同様な構成を有しているため変位センサ451について説明する。
貼り合わせシート厚さ測定手段45は変位センサ451と変位センサ451を搬送方向と直角方向(矢印x方向)に移動させる駆動手段451a(例えばパルスモータ)と駆動手段451aの駆動軸に設けられた雌ネジ部451bと変位センサ451をガイドするガイド軸451cとを有し、基材の搬送方向先頭部を検知する反射型のセンサ451dにより基材先端を検知すると駆動手段451aは正転逆転を繰り返し変位センサ451をガイド軸451cにガイドさせながら矢印X方向に往復移動させる。
これにより変位センサ451は搬送される基材集合シート1Eに対して図9(c)に図示した破線の軌跡を移動し、基材集合シート1Eの略全面、少なくとも全てのカード部分1A3が含まれるように移動して距離d1を測定する。
なお、変位センサ451と変位センサ452はセンサアンプ453により常にX/Y方向同一位置に位置するように制御され、基材集合シート1Eの同一位置の距離d1と距離d2を測定している。
そして、センサアンプ453で、予め決められた正しい貼り合わせシート厚さ範囲と比較され、貼り合わせシート1Eの厚さdが正しい貼り合わせシート厚さ範囲内に入っていなければ貼り合わせ厚さ異常と判断し、貼り合わせシート厚さ異常情報を出力する。
ここで、正しい貼り合わせシート厚さ範囲とは、IC製品規格等に基づき予め設定された値で後述の(図10)RAM M1に記憶されている。
以上により、貼り合わせ装置で発生した異常部分の下流への情報連絡が可能となる。
〈エージング装置〉
図4に戻り、エージング装置700は、貼り合わせシート1Eを加熱するコンベア50とその下流に冷却するコンベア60とを有しており、コンベア50はエージングに適する温度にコンベア表面を保つ温度調節手段(不図示)を有し、コンベア60はエージング温度になった貼り合わせシート1Eを常温に戻す温度調節手段(不図示)を有している。
作用としては、貼り合わせシート1Eを一定時間1対のコンベア50で加熱及び加圧することにより、貼り合わせシート1Eの総厚と平滑性をより整え、特にICチップ3Cの凸部の他部との平滑性を整える。
そして、残留応力により時間経過に伴い変形や平滑性が劣化する可能性があるため、1対のコンベア60で加圧しながら常温まで冷却する。
なお、加熱・冷却は搬送中に行う。
また、コンベア50の上流に貼り合わせシート1Eの連続/間欠搬送を吸収するバッファーを設け加熱・冷却に必要な時間停止させて行っても良い。
〈シート切断装置〉
シート切断装置800では、貼り合わせシート1Eの、前後の第1基材集合シート1Aの間隙をカッターユニット70で切断して、第1基材集合シート1A毎に毎葉となった基材集合シート1Fを得る。
〈集積保管装置〉
集積保管装置900では、毎葉となった基材集合シート1Fを一時的に集積する。
〈印刷装置〉
印刷装置1000は、定形印刷を行う印刷手段80を有し、基材集合シート1Fのエッジまたは位置決めマーク1A4を印刷位置の基準にして、印刷手段80で第2基材集合シート2A側(カード裏面)に定形印刷を施し、裏面印刷済み基材集合シート1Gを得る。
なお、第2基材集合シート2A側の定形印刷はカード状に打ち抜いた後に印刷しても良く、また、定形印刷を行う必要のない場合は印刷装置1000は不要になる。
〈打ち抜き装置〉
打ち抜き装置1100は、基材集合シート1FからICカードを打ち抜く打ち抜き手段と不良ICカードを装置外に排除する排除手段とを有しており、位置決めマーク1A4或いはシート1G端部等を基準にして打ち抜き装置90のパンチ・ダイに対する裏面印刷済み基材集合シート1Gの位置決めを行い、打ち抜き装置90で複数のカード部分1A3をカード形状に打ち抜きICカードAを得る。
そして、打ち抜き手段は、第1基材集合シートの1行分のカード部分1A3を打ち抜くパンチとダイにより印刷済み基材集合シート1Gから複数枚例えば1行分毎に順次ICカードAを打ち抜く。また、1枚分のカードを打ち抜くパンチとダイにより印刷済み基材集合シート1Gから順次ICカードAを打ち抜いても良い。
また、打ち抜き装置1100は、打ち抜き装置90上流近傍に基材集合シート識別コード1A1を読み取る読み取り手段1A12を設け、基材集合シート識別コード1A1を読み取り、読み取った基材集合シート識別コード1A1を品質管理装置(不図示)に送信し、送信した基材集合シート識別コード1A1に係る、品質管理装置(不図示)から送信された最新の品質情報に基づき印刷済み基材集合シート1Gの不良部分に相当する位置のICカードを排除する。
排除手段は打ち抜かれた複数のICカードAを搬送する搬送コンベア1101と、その途中に設けられた行方向に複数配列された不良ICカードを排除する切り替えゲート1102とを有し、品質管理装置(不図示)から送信された最新の品質情報に基づき、不良ICカードが切り替えゲート1102に到達したタイミングで不良ICカードが属する行の切り替えゲートを不良ICカードを排除する側(点線)に切り替え、搬送コンベアを搬送される複数のICカードAから当該不良ICカードのみを排除することが可能となっている。
また、排出された不良ICカードはセンサで検知され、所定枚数が排出されたか確認し、排出すべき枚数と検知された枚数が異なる場合は異常警報を出力し装置を停止する。
そして、読み取った基材集合シート識別コード情報及び打ち抜き装置1100を表す固有の識別コードと共に、排除したICカード情報と排除位置情報とを打ち抜き装置品質情報として品質管理装置(不図示)に送信する。
また、カード打ち抜き後の廃材1Hはそのまま廃棄される。
以上により、異常部分の打ち抜きを中止することが可能となり異物等による刃の損傷等の防止等が可能となる。
図10は、品質管理システムの概念説明図である。
本発明の、品質管理装置、及び該品質管理装置を有する品質管理システムは、複数の製造装置を有する製造ラインに適応可能であるが、以下にICカードの製造ラインに適応させた場合について説明する。
以下、図4及び図10を参照して品質管理装置、及び該品質管理装置を有する品質管理システムについて説明する。
品質管理システムは複数の製造装置群と該複数の製造装置群と通信を行いながら該複数の製造装置群で加工処理される半製品の品質管理と、ICカードの履歴管理を可能とする品質管理装置を有している。
品質管理システムの品質管理装置1200は、製造装置群を構成する各製造装置(例えば印刷・供給装置100〜打ち抜き装置1100)に配設された通信手段(101〜1101)と各種情報を授受する通信手段1201と、個人情報を印刷する印刷部門1300から送信されるカードの個人情報を受信する外部通信手段1202と、製造ラインの各製造装置からの情報を一時的に記憶するバッテリーバックアップされたRAM(ランダムアクセスメモリ)M1及びハードディスクドライブHDDまたはそのいずれかと、品質管理に係る制御プログラムや各種固定データが記憶されているROM(リードオンリーメモリ)M2と、製造装置群の各製造装置の品質に関する後述する品質管理システムとしての制御を行う制御手段CPUと、を有している。
図11は品質管理装置に記憶されている各製造装置に関する品質情報の説明図である。
品質に係る情報が記憶されている品質管理情報ファイル1A8が品質管理装置1200のRAM・M1に記憶されている。
品質管理情報ファイル1A8はハードディスクドライブHDDに記憶させても良い。
品質管理情報ファイル1A8には、最上流の第1基材集合シートへの接着剤塗工装置100から最下流の打ち抜き装置1100までの各製造装置毎に、各製造装置が加工処理した(基材集合シート識別コード1A1を読み込んだ)第1基材集合シート1Aに係る品質情報が時系列的に累積されて記憶されている。
品質管理情報ファイル1A8の左端欄から右端欄まで各製造装置毎に、下から順に品質に係る検査を行った古いものから新しいものまで時系列順に、読み取った基材集合シート識別コード1A1毎に品質情報が累積記憶されている。
なお、一点鎖線で囲まれた情報が基材シート1枚の品質情報を表す。
例えば、最上流の製造装置例えば第1基材集合シートの印刷・供給装置では、左端の第1基材集合シートの印刷・供給装置欄に、1番下から順次上に行くに従い、1番初め(1a)、2番目(2a)、3番目、・・・、n番目(na)に基材集合シート識別コード1A1を読み取られた基材集合シート識別コード1A1毎に、読み取り手段1A12による基材集合シート識別コード1A1の読み取り可否検査結果内容に基づいた品質情報が累積されて記憶され、以下の製造装置、例えば第1基材集合シートへの接着剤塗工装置では、第1基材集合シートへの接着剤塗工装置欄に、1番下から順次上に行くに従い、1番初め(1b)、2番目(2b)、3番目、・・・、n番目(nb)に基材集合シート識別コード1A1を読み取られた基材集合シート識別コード1A1毎に、ホットメルト接着剤厚さ測定手段23の検査結果内容に基づいた品質情報が累積されて記憶される。
例えば、2点鎖線で囲んだ第1基材集合シートへの接着剤塗工装置の品質情報について説明すると、通信手段1201が、第1基材集合シートへの接着剤塗工装置を表す情報(KC5nb)及び基材集合シート識別コード1A1nbを含む品質情報を受信すると、当該品質情報が接着剤塗工装置で加工処理された基材集合シート識別コード1A1nbの第1基材集合シート1Aのものであると判断し、第1基材集合シートへの接着剤塗工装置欄の、基材集合シート識別コード領域KC1に基材集合シート識別コード1A1nbと、製造装置の識別情報領域KC5に製造装置コード情報KC51nbと、検査結果(良/不良)情報領域KC6に不良対応情報KC62nbと、を記憶させる。
ここで、不良対応情報KC62nbは検査前は全てのカードに対応するビットに0(不良)情報が記憶され、品質検査の結果良品のみを1(良)とするようになっている。
このようにして良/不良を1/0情報で表すため、1(良品)情報には品質検査を行なった事実、及び当該ICカードが良品であることが記憶されている。
何らかの理由で検査を行わなかった場合や検査を行った結果不良判定をした場合は0情報となり、良品のみが良品ICカードとして回収可能となる。
なお、インレットの供給装置のインレット固有識別情報読取り装置46で読み取られたインレット固有識別情報を個々のカードと対応付けて品質管理情報ファイル1A8に記憶させても良い。これによりカード使用者からクレームがきた時、当該ICチップのインレット固有識別情報を読み取り、品質管理情報ファイル1A8に記憶されている製造過程をさかのぼることによりICカードの履歴管理が可能となる。
また、インレットの供給装置のインレット固有識別情報読取り装置46近傍にICチップにデータを読み書き可能なリーダ/ライタ(不図示)を設け、インレット固有識別情報読取り装置46で読み取られたインレット固有識別情報と、読み取られたインレット固有識別情報を有するインレットが封止されたICカードの位置情報と、品質管理情報ファイル1A8に記憶されている当該ICカードの品質情報を読み出し読み出した当該ICカードの品質情報とを結びつけてリーダ/ライタ(不図示)で当該ICチップに記憶させても良い。これによりICチップ内に品質情報が追加記憶され、より情報量の多いICカードの履歴管理が可能となる。
第1基材集合シート1枚の品質情報(例えば鎖線で括った部分)は、個々の基材集合シートを特定する基材集合シート識別領域KC1と、品質検査を行った検査装置を備える製造装置を表す識別コードが記憶される識別情報領域KC5と、製造装置での品質検査結果と品質検査結果に対する各製造装置の対応とが記憶される検査結果情報領域KC6とを含んでいる。
基材集合シート識別コード1A1を記憶した基材集合シート識別コード領域KC1は、カードの種類情報(例えばICカード、通常カード)が記憶されたカードの種類情報領域KC2と、検査を行った期日を記憶する検査実施年月日情報領域KC3と、基材集合シートの1日内の製造順番を記憶した生産番号領域KC4とを有し、基材集合シート識別コード1A1は、カードの種類情報KC21が1桁、上述した検査実施年月日情報KC31が5桁(例えば年・月・日)、1日の生産番号KC41が4桁の、合計10桁で構成され、各桁は例えばアスキーコードの16ビットで構成されている。
カードの種類情報領域KC2には、オペレータにより予め入力された製造しているカードのコード化したカードの種類情報KC21が記憶される。製造カードの切り替え時以外は各製造工程とも同一のカードの種類情報(例えば各製造装置毎に1桁で表されるカード種類コード)が記憶される。
また、本発明の製造装置群の下流装置でカードの使用者に係る例えば優良作業者といった情報を決定するような場合、決定した使用者情報KC21’(不図示)を後述の通信手段により送信させ、受信した使用者情報をカードの種類情報領域KC2に記憶させても良い。
検査実施年月日情報領域KC3には、製造装置の検査装置で検査を行った期日情報KC31(例えば各製造装置毎に年・月・日情報)が記憶されている。
生産番号領域KC4には、1日内の生産順を表す順番情報が記憶されている。
検査装置の識別情報領域KC5には、品質検査を行なう製造装置を表す情報KC51が例えば各製造装置当たり16ビット・1桁で予め記憶されている。そして、検査装置情報KC51は各製造装置を表す固有の識別コードに対応している。
図12は検査結果(不良)情報領域KC6の詳細な説明図である。
検査結果(不良)情報領域KC6は、最上流の第1基材集合シートへの接着剤塗工装置100から最下流の打ち抜き装置1100までの、指定された製造装置で行う処理内容を表す不良対応情報KC61と、各基材集合シートにおける不良カード部分の位置を表す基材集合シート内の不良位置情報KC62と、が記憶されている。
不良位置情報KC62は、例えば1枚の基材集合シートに含まれるカード数と同数のビット数〔例えば(n×m)ビット数〕で表され、各ビットが図3の左上のカード部分1A311から右下のカード部分1A35mnの、n列m行、合計(m×n)枚のカード部分にそれぞれ対応している。
第1列のカード部分1A311〜1A3m1の、m枚の良/不良が、図12の不良位置情報KC62の1〜m行の(10ビット1桁の)各ビットの1/0にそれぞれ対応している。
例えば、図12は不良位置情報コードKC62の1列目の第3ビットと5列目の第2ビット、即ち第1基材集合シート1Aの1列目の3行目のカード部分と5列目の2番目のカード部分が、不良カードであることを示している。
不良対応情報KC61は、不良情報に基づいて作動/非作動を決める、最上流から最下流までの製造装置と同数以上のビット数〔例えば6ビット〕で表わされ、各ビットの1/0情報が、不良情報に基づいて作動/非作動を決める各製造装置の作動/作動禁止指示情報に対応している。
例えば図12は第1ビットが第1基材集合シートの印刷・供給装置、第2ビットが第1基材集合シートへの接着剤塗工装置、第3ビットがインレットの供給装置、第4ビットが貼り合わせ装置、第5ビットが印刷装置、第6ビットが打ち抜き装置に対応し、その1/0が対応する製造装置の作動/作動禁止指示情報を示している。
例えば、第1桁(F1)の第6ビットが0となっているため打ち抜き装置に対応し、不良位置情報KC62が0となった3行/1列目のカード部分を打ち抜き禁止とすることを指示している。
なお、上述した各領域の内容、及び情報量は本発明の基本的な考え方が守られていれば、生産工程の状況に合わせて内容を変えても差し支えない。
以下に、各製造装置と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
先ず、印刷・供給装置100と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
図10、4、11において、最上流の製造装置である印刷・供給装置100では第1基材集合シート1Aを取り出すと、カレンダー(不図示)から、取りだした期日に基づき検査実施年月日情報KC31を取得し、当該期日における取りだした順番情報である生産番号情報KC41を取得する。
そして、カードの種類情報KC21を付加して基材集合シート識別コード情報を生成し、印刷手段1A11により基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)を印刷する。
印刷により生産番号情報KC41をインクリメントして更新し、次の基材集合シート識別コード情報を生成時には更新された生産番号情報KC41(例えば1059101235)を使用する。
次いで、読み取り手段1A12により印刷した基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)を読み取り、読み取れた場合は以降の製造装置群で基材集合シート識別コード1A1の読み取りが可能(不良排除の必要性なし)と判断して、不良対応情報KC61の30ビットに全て1(不良排除なし)をたて、基材集合シート内の不良位置情報コードKC62の50ビットに全て1(不良排除なし)をたてる。
読み取れない場合は以降の製造装置群で基材集合シート識別コード1A1の読み取りが不可能(不良排除の必要性あり)と判断して不良対応情報KC61の30ビットに全て0(不良排除あり)をたて、基材集合シート内の不良位置情報コードKC62の50ビットに全て0(全カード不良相当)をたて、当該印刷済みの第1基材集合シート1Bは不図示の排出手段で装置外に排出する。
なお、下流のシート状ICインレットの供給装置では当該印刷済みの第1基材集合シート1Bにインレットを供給しない。
そして、読みとった基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)に印刷・供給装置100を表す製造装置コード情報KC51及び検査結果に応じた不良対応情報KC61と不良位置情報コードKC62とを付加して、基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)に対する品質情報として、通信手段101、通信手段1201を介して品質管理装置1200の制御手段CPUに送信する。
制御手段CPUは該品質情報を受信してRAM・M1の品質管理情報ファイル1A8の第1基材集合シートの印刷・供給装置欄に記憶させる。
なお、読み取り手段1A12で印刷した基材集合シート識別コード(例えば1059101234)を読み取り、読み取った基材集合シート識別コードと生成した基材集合シート識別コード情報を比較(一致/不一致)して不一致の場合上述した読み取れない場合と同様、不良対応情報KC61と不良位置情報コードKC62とに0を立てても良い。
そして、2枚目の第1基材集合シート1Aを同様にして処理して、品質管理情報ファイル1A8に、新しい基材集合シート識別コード(例えば1059101235)に係る品質情報として追加、累積する。
次に、接着剤塗工装置200と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
接着剤塗工装置200は、印刷済み第1基材集合シート1Bが搬送されてくると読み取り手段1A12により基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)を読み取り、読み取った基材集合シート識別コードと接着剤塗工装置200を表す装置の固有識別コードとを通信手段201で送信する。
品質管理装置1200の制御手段CPUは通信手段1201を介して基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)を受信し、品質管理情報ファイル1A8を読み出し、受信した基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)に対応する第1基材集合シート1Aのの品質情報、すなわち第1基材集合シートの印刷・供給装置欄の、カードの種類情報KC21na〜不良位置情報コードKC62naを読み出す。
そして、読み出した第1基材集合シートの印刷・供給装置欄のカードの種類情報KC21na〜不良位置情報コードKC62naを通信手段1201を介して接着剤塗工装置200に送信する。
接着剤塗工装置200では、ホットメルト接着剤厚さ測定手段23により第1基材集合シート1Aの略全面にわたりホットメルト接着剤の厚さを測定し、測定されたホットメルト接着剤の厚さと予め決められたホットメルト接着剤の厚さ範囲とを比較し、ホットメルト接着剤の厚さ範囲より測定値が薄い場合及び厚い場合に不良と判断し、検査結果(良/不良)と検査結果に対応する不良部分の位置情報とを接着剤検査結果情報とし、読み取った基材集合シート識別コード情報と、接着剤塗工装置固有の識別コードと、接着剤検査結果情報と、を、接着剤塗工装置品質情報として通信手段1201を介して送信する。
具体的には、不良部分の位置情報に基づいて不良位置情報コードKC62の対応するビットに0をたてる。
ここで、ホットメルト接着剤厚さ測定手段23は第1基材集合シート1Aに配置された全てのカード部分を含む厚さを測定するようにしても良い。
品質管理装置1200の制御手段CPUは通信手段1201を介して接着剤塗工装置品質情報を受信し、RAM・M1に記憶されている品質管理情報ファイル1A8の接着剤塗工装置欄に、受信した品質情報を接着剤塗工装置品質情報として追加記憶させる。
そして、次の基材集合シート識別コード(例えば1059101235)を有する印刷済み第1基材集合シート1Bを処理すると、同様にしてRAM・M1に記憶されている品質管理情報ファイル1A8の接着剤塗工装置欄の品質情報を更に追加記憶させる。
次に、インレット供給装置300と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
インレット供給装置300では塗布済み第1基材集合シート1Cが搬送されてくると読み取り手段1A12により基材集合シート識別コード(例えば例えば1059101234)を読み取り、読み取った基材集合シート識別コードとインレット供給装置300を表す装置の固有識別コードとを通信手段301で送信する。
品質管理装置1200の制御手段CPUは通信手段1201を介して基材集合シート識別コード(例えば1059101234)を受信し、品質管理情報ファイル1A8を読み出し、受信した基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)に対応する第1基材集合シート1Aの品質情報、すなわち接着剤塗工装置欄の、カードの種類情報KC21nb〜不良位置情報コードKC62nbを読み出す。
そして、読み出した接着剤塗工装置欄のカードの種類情報KC21nb〜不良位置情報コードKC62nbを、通信手段1201を介してインレット供給装置300に送信する。
インレット供給装置300では、通信手段301で受信したカードの種類情報KC21nb〜不良位置情報コードKC62nbのうち不良位置情報コードKC62nb情報に基づき、不良情報0に対応するカード部分1A3にインレット3の展開配置を中止する。
インレット供給装置300では、中間ステーション30でインレット3の展開配置を中止した情報と中止した位置情報とをインレット非配置情報とし、読み取った基材集合シート識別コード情報とインレット供給工程固有の識別コードとインレット非配置情報とをインレット供給装置品質情報として通信手段301で送信するようにしても良い。
この場合は品質管理装置1200の制御手段CPUは通信手段1201を介してインレット供給装置品質情報を受信し、RAM・M1に記憶されている品質管理情報ファイル1A8のインレット供給装置欄に、受信した品質情報をインレット供給装置品質情報として追加記憶させる。
そして、次の基材集合シート識別コード(例えば1059101235)を有する印刷済み第1基材集合シートを処理すると、同様にしてRAM・M1に記憶されている品質管理情報ファイル1A8の接着剤塗工装置欄の品質情報を更に追加記憶させる。
次に、第2基材2の供給装置400と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
第2基材2の供給装置400では、不良品の検出及び不良品情報に基づく排除を行わない。このため、品質管理情報ファイル1A8には、第2基材2の供給装置欄が設けられておらず、品質管理装置1200との品質に係る情報の授受は行われない。
次に、第2基材集合シート2Aへの接着剤塗工装置500と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
第2基材集合シート2Aへの接着剤塗工装置500では、不良品の検出及び不良品情報に基づく排除を行わない。このため、品質管理情報ファイル1A8には、第2基材集合シート2Aへの接着剤塗工装置欄が設けられておらず、品質管理装置1200との品質に係る情報の授受は行われない。
なお、接着剤塗工装置200と同様にホットメルト接着剤厚さの測定を行う場合は、接着剤塗工装置200と同様にして処理を行い、品質管理情報ファイル1A8の接着剤塗工装置500欄の品質情報を追加記憶させる。
次に、貼り合わせ装置600と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
貼り合わせ装置600は、インレット供給済みの第1基材集合シート1Dが搬送されてくると読み取り手段1A12により基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)を読み取り、読み取った基材集合シート識別コードと貼り合わせ装置600を表す装置の固有識別コードとを通信手段601で送信する。
品質管理装置1200の制御手段CPUは通信手段1201を介して基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)を受信し、品質管理情報ファイル1A8を読み出し、受信した基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)に対応する第1基材集合シート1Aのの品質情報、すなわち第1基材集合シートのインレット供給装置欄の、カードの種類情報KC21nc〜不良位置情報コードKC62ncを読み出す。
そして、読み出した第1基材集合シートのインレット供給装置欄のカードの種類情報KC21nc〜不良位置情報コードKC62ncを通信手段1201を介して貼り合わせ装置600に送信する。
貼り合わせ装置600では通信手段601で受信したインレット供給装置300のカードの種類情報KC21nc〜不良位置情報コードKC62ncを受信する。
なお、第2基材2の供給装置400或いは第2基材集合シート2Aへの接着剤塗工装置500に、当該装置の工程品質情報が有る場合は当該装置から当該品質情報が送信され、貼り合わせ装置600ではこれを受信する。
貼り合わせ装置600では、図7を参照して説明したように、ICチップ位置検出手段44により打ち抜き予定位置(鎖線)近傍及び内部の異物と、ICチップ3C’の異常取り付け位置と、異常取り付け傾きと、を検出し、これらの異常情報と各異常部分の位置情報とをICチップ位置異常情報とし、貼り合わせシート厚さ測定手段45により所定厚さ範囲以外の貼り合わせシートの異常厚さを検出し、この異常情報と各異常部分の位置情報とを貼り合わせシート厚さ異常情報とし、ICチップ位置異常情報と貼り合わせシート厚さ異常情報と、読み取った基材集合シート識別コード情報と、読み取った基材集合シート識別コード情報と、貼り合わせ装置固有の識別コードとを、貼り合わせ装置品質情報として通信手段601で送信する。
なお、上流装置の品質情報に基づいて部品の供給中止及びシートの排出を行わない場合でも、貼り合わせ装置600のように部材の供給停止、或いは基材集合シートまたは貼り合わせシート等の排出を行わない装置では、自装置の品質情報(例えば貼り合わせ装置品質情報)に上流装置の品質情報(例えば最新のインレット供給装置品質情報)を付加して当該装置の品質情報として通信手段で送信するようにすると、上流装置の品質情報が下流装置に伝達されないということもなくなり製品中の不良品混入が防止できる。
品質管理装置1200の制御手段CPUは通信手段1201を介して貼り合わせ装置品質情報を受信し、RAM・M1に記憶されている品質管理情報ファイル1A8の貼り合わせ装置欄に、受信した品質情報を貼り合わせ装置品質情報として追加記憶させる。
そして、次の基材集合シート識別コード(例えば1059101235)を有するインレット供給済みの第1基材集合シート1Dを処理すると、同様にしてRAM・M1に記憶されている品質管理情報ファイル1A8の貼り合わせ装置の品質情報を更に追加記憶させる。
ここで、上述した各異常部分の位置情報は基材端部からの検査NGと判断した部分までの例えば距離に相当するX/Y座標で示される。
X/Y座標はICチップ位置検出手段44及び貼り合わせシート厚さ測定手段45の上流に配設した第1基材集合シート1Dの第1基材集合シート1Aを検出する第1基材集合シート検出手段(不図示)を設け、第1基材集合シート1Dを搬送する搬送手段の例えばロータリエンコーダのパルス数を、搬送方向に基材先端から検査NGと判断した部分までカウントしY座標とし、シート厚さ測定手段45を駆動する駆動手段の駆動パルス数或いはICチップ位置検出手段44の画像上の距離を、搬送直角方向に基材側端から検査NGと判断した部分までカウントしX座標とする。
またX/Y座標を換算し、不良位置情報コードKC62に対応する基材集合シート内の印刷されたカードのY/X方向何番目というデータにしても良い。
次に、エージング装置700と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
エージング装置700では特に品質に関する検査及び不良カードの排除は行わない。
このため、品質管理情報ファイル1A8には、エージング装置欄が設けられておらず、品質管理装置1200との品質に係る情報の授受は行われない。
次に、シート切断装置800と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
シート切断装置800では特に品質に関する検査及び不良カードの排除は行わない。
このため、品質管理情報ファイル1A8には、シート切断装置欄が設けられておらず、品質管理装置1200との品質に係る情報の授受は行われない。
次に、集積保管装置900と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
集積保管装置900では特に品質に関する検査及び不良カードの排除は行わない。
このため、品質管理情報ファイル1A8には、集積保管装置欄が設けられておらず、品質管理装置1200との品質に係る情報の授受は行われない。
次に、印刷装置1000と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
印刷装置1000では特に品質に関する検査及び不良カードの排除は行わない。
このため、品質管理情報ファイル1A8には、印刷装置欄が設けられておらず、品質管理装置1200との品質に係る情報の授受は行われない。
次に、打ち抜き装置1100と品質管理装置1200に係る品質管理について説明する。
打ち抜き装置1100では、裏面印刷済み基材集合シート1Gが搬送されてくると読み取り手段1A12により基材集合シート識別コード1A1(例えば1059101234)を読み取り、読み取った基材集合シート識別コードと打ち抜き装置1100を表す装置の固有識別コードとを通信手段201で送信する。
品質管理装置1200の制御手段CPUは通信手段1201を介して基材集合シート識別コード(例えば1059101234)と打ち抜き装置1100を表す装置の固有識別コードとを受信し、RAM・M1に記憶されている品質管理情報ファイル1A8を読み出し、受信した打ち抜き装置1100を表す装置の固有識別コードと基材集合シート識別コードに基づいて、上流装置、例えば貼り合わせ装置600の、当該基材集合シート識別コードに係るカードの種類情報KC21nd〜不良位置情報コードKC62ndを読み出す。
そして、読み出した第1基材集合シートの貼り合わせ装置欄の種類情報KC21nd〜不良位置情報コードKC62ndを通信手段1201を介して打ち抜き装置1100に送信する。
打ち抜き装置1100では通信手段1101で受信した貼り合わせ装置600の種類情報KC21nd〜不良位置情報コードKC62ndを受信する。
そして、打ち抜き装置1100では、不良対応情報KC61ndと基材集合シート内の不良位置情報コードKC62ndとに基づいて、不良位置情報コードKC62ndで指定された不良カードを不良対応情報KC61ndに基づいて装置外に排除する。
なお、打ち抜かずシート単位で排出するものとして、塗布なし、または異常(全面)、インレットなし(インレット0)、基材集合シート識別コード読めず等が挙げられる。
そして、読み取った基材集合シート識別コード情報と、打ち抜き装置1100を表す固有の識別コードと、排除を行ったカードの位置情報とを打ち抜き装置の打ち抜き装置品質情報として品質管理装置1200に送信する。
そして、次の基材集合シート識別コード(例えば1059101235)を有する印刷済み第1基材集合シート1Bを検出すると、同様にして不良カードの排除を行い、RAM・M1に記憶されている品質管理情報ファイル1A8の打ち抜き装置欄の品質情報を更に追加記憶させる。
以上、異常の説明において、例えば、不良部分の位置情報に基づいて不良位置情報コードKC62に不良情報を記憶させる場合、不良カードに対応するビットに0をたてる場合について説明したが、良部分に1をたてるようにすると、ミスがあっても、当初全てのビットに0がたっているのでフェールセイフに働き不良品の混入を防止できる。
また、累積して不良情報を蓄積する方法について説明したが、不良情報をシフトレジスタを用い最上流から最下流まで基材シートの移動に同期させてシフトさせ、各製造装置はシフトレジスタの所定のビット(製造装置位置に応じたシフト回数のビット)の品質情報を読み書きすることで基材シートと品質情報の一致が取れ、シフトレジスタを用いた品質管理装置としても良い。これにより記憶容量が削減できコストダウンも可能となる。