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JP2007175694A - ハニカム構造体 - Google Patents

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JP2007175694A JP2006124036A JP2006124036A JP2007175694A JP 2007175694 A JP2007175694 A JP 2007175694A JP 2006124036 A JP2006124036 A JP 2006124036A JP 2006124036 A JP2006124036 A JP 2006124036A JP 2007175694 A JP2007175694 A JP 2007175694A
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Abstract

【課題】 ハニカム構造体に局部的な温度変化が生じることで発生した熱応力を緩和させることができ、クラックが発生することがなく、強度及び耐久性に優れ、熱衝撃や振動に強く、加えて、触媒成分を高分散させることができるハニカム構造体を提供すること。
【解決手段】 多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカムユニットがシール材層を介して複数個結束されたハニカム構造体であって、上記ハニカムユニットは、無機粒子と、無機繊維及び/又はウィスカとを含んでなり、上記ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面における断面積は、5〜50cmであり、上記シール材層の熱膨張率αと、上記ハニカムユニットの熱膨張率αとが、0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を有することを特徴とするハニカム構造体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハニカム構造体に関する。
従来、一般に自動車排ガス浄化に用いられるハニカム触媒は一体構造で低熱膨張性のコージェライト質ハニカム構造体の表面に活性アルミナ等の高比表面積材料と白金等の触媒金属を担持することにより製造されている。また、リーンバーンエンジンおよびディーゼルエンジンのような酸素過剰雰囲気下におけるNOx処理のためにNOx吸蔵剤としてBa等のアルカリ土類金属を担持している。
ところで、浄化性能をより向上させるためには、排ガスと触媒貴金属およびNOx吸蔵剤との接触確率を高くする必要がある。そのためには、担体をより高比表面積にして、貴金属の粒子サイズを小さく、かつ、高分散させる必要がある。しかし、単純に活性アルミナ等の高比表面積材料の担持量が増やすことのみではアルミナ層の厚みの増加を招くのみであり、接触確率を高くすることにつながらなかったり、圧力損失が高くなりすぎてしまったりするといった不具合も生じてしまうため、セル形状、セル密度、及び、セル壁の厚さ等が工夫されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、高比表面積材料からなるハニカム構造体として、無機繊維及び無機バインダとともに押出成形したハニカム構造体が知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、このようなハニカム構造体を大型化するのを目的として、接着層を介して、ハニカムユニットを接合したものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
しかしながら、アルミナ等の高比表面積材料は、熱エージングによって、焼結が進行し、比表面積が低下し、さらに、担持されている白金等の触媒金属はそれに伴い、凝集し、粒径が大きく、比表面積が小さくなる。つまり、熱エージング後に、より高比表面積であるためには、初期の段階においてその比表面積を高くする必要がある。また、上述したように、浄化性能をより向上させるためには、排ガスと触媒貴金属およびNOx吸蔵剤との接触確率を高くすることが必要である。つまり、担体をより高比表面積にして、触媒金属の粒子を小さく、かつより高分散させることが重要であるが、特許文献1に記載されているようなコージェライト質ハニカム構造体の表面に活性アルミナ等の高比表面積材料と白金等の触媒金属を担持したものでは、排ガスとの接触確率を高くすべく、セル形状、セル密度、および壁厚等を工夫し、触媒担体を高比表面積化したが、それでも十分大きくはなく、そのため、触媒金属が十分高分散されず、熱エージング後の排ガスの浄化性能が不足した。
なお、上記熱エージングとは、触媒担体として使用する際の熱に起因する熱エージング及び熱による加速試験等を行った際の熱エージングの両方を意味する。
そこで、この不足を補うために、触媒金属を多量に担持することや、触媒担体自身を大型化することで解決しようとしてきた。しかし、白金等の貴金属は非常に高価であり、限られた貴重な資源である。また、自動車に設置する場合、その設置スペースは非常に限られたものであるためどちらも適当な手段であるとはいえなかった。
さらに、高比表面積材料を無機繊維及び無機バインダとともに押し出し成形する特許文献2に記載のハニカム構造体は、基材自体が高比表面積材料からなるため、担体としても高比表面積であり、十分に触媒金属を高分散させることが可能であるが、基材のアルミナ等は比表面積を保つためには、十分に焼結させることができず、基材の強度は非常に弱いものであった。
さらに、上述したように自動車用に用いる場合、設置するためのスペースは非常に限られたものである。そのため、単位体積当たりの担体の比表面積を上げるためにセル壁を薄くする等の手段を用いるが、そうすることにより、基材の強度はいっそう弱いものとなった。また、アルミナ等は、熱膨張率が大きいこともあり、焼成(仮焼)時、および使用時に熱応力によって容易にクラックが生じてしまう。これらを考えると、自動車用として利用した場合、使用時に急激な温度変化による熱応力や大きな振動等の外力が加わるため、容易に破損し、ハニカム構造体としての形状を留めることができず、触媒担体としての機能を果たすことができないといった問題があった。
さらに、特許文献3に記載されている自動車用触媒担体では、ハニカム構造体を大型化することを目的としているため、ハニカムユニットの断面積が、200cm以上のものが示されているが、急激な温度変化による熱応力さらに大きな振動等が加わるような状況で使用した場合には、上述したように容易に破損し、形状を留めることができず、触媒担体としての機能を果たすことができないといった問題があった。
また、ハニカムユニットが接着剤層を介して複数個結束されたハニカム構造体は、例えば、特許文献4や、特許文献5等にも開示されている。
そして、このような構造からなるハニカム構造体では、ハニカムユニットの熱膨張率と、接着剤層の熱膨張率とが同等であることが好ましいと考えられていた。
なぜなら、上記ハニカム構造体は、現実的には、例えば、10〜800℃といった広い温度範囲において使用されるものであり、ハニカムユニットの熱膨張率と、接着剤層の熱膨張率とが異なるものであると、これらの熱膨張率の相違に起因してハニカムユニットや接着剤層にクラックが発生してしまうと考えられていたからである。
しかしながら、このようにハニカムユニットの熱膨張率と、接着剤層の熱膨張率とを全く同等なものにすると、単一なセラミック部材からなるものと変わらなくなるため、ハニカム構造体に触媒を担持させた場合の触媒量の不均一、排ガス等による加熱の不均一等に起因して、ハニカム構造体に局部的な温度変化が生じた場合、この局部的な温度変化が生じた部分と、それ以外の部分との間に大きな熱応力が発生し、ハニカムユニットや接着剤層にクラックが発生することがあった。
特開平10−263416号公報 特開平5−213681号公報 DE4341159号公報 特開平8−28246号公報 特開2001−190916号公報
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、ハニカム構造体に局部的な温度変化が生じることで発生した熱応力を緩和させることができ、クラックが発生することがなく、熱衝撃や振動に強く、耐久性に優れ、加えて、触媒成分を高分散させることができるハニカム構造体を提供することを目的とする。
本発明のハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカムユニットがシール材層を介して複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
上記ハニカムユニットは、無機粒子と、無機繊維及び/又はウィスカとを含んでなり、
上記ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面における断面積は、5〜50cmであり、
上記シール材層の熱膨張率αと、上記ハニカムユニットの熱膨張率αとが、
0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を有することを特徴とする。
上記ハニカム構造体おいて、上記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面における断面積に対して、上記ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面における断面積の総和が占める割合は、85%以上であることが望ましく、90%以上であることがより望ましい。
上記ハニカム構造体は、その最外周に塗布材層が形成されており、
上記塗布材層の熱膨張率αと、上記ハニカムユニットの熱膨張率αとが、
0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を有することが望ましい。
上記ハニカム構造体において、上記無機粒子は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、ムライト及びゼオライトからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが望ましい。
また、上記ハニカム構造体において、上記無機繊維及び/又はウィスカは、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカーアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム及びホウ酸アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種であることが望ましい。
上記ハニカム構造体において、上記ハニカムユニットは、上記無機粒子と上記無機繊維及び/又はウィスカと無機バインダとを含む混合物を用いて製造されており、
上記無機バインダは、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト及びアタパルジャイトからなる群から選択された少なくとも一種であることが望ましい。
上記ハニカム構造体は、触媒が担持されていることが望ましく、上記触媒は、貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び、酸化物からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが望ましい。
また、上記ハニカム構造体は、車両の排ガス浄化に用いるものであることが望ましい。
本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造体に局部的な温度変化が生じることで発生した熱応力を緩和させることができ、熱衝撃や振動に強く、耐久性に優れ、加えて、触媒成分を高分散させることができる。
また、本発明のハニカム構造体は、触媒コンバータとして特に好適に用いることができる。
以下、本発明のハニカム構造体について図面を参照しながら説明する。
本発明のハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカムユニットがシール材層を介して複数個結束されたハニカム構造体であって、
上記ハニカムユニットは、無機粒子と、無機繊維及び/又はウィスカとを含んでなり、
上記ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面における断面積は、5〜50cmであり、
上記シール材層の熱膨張率αと、上記ハニカムユニットの熱膨張率αとが、
0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を有することを特徴とする。
本発明のハニカム構造体では、複数のハニカムユニットがシール材層を介して結束されているため、熱衝撃や振動に強い。この理由としては、急激な温度変化等によってハニカム構造体に温度分布がついた場合にもそれぞれのハニカムユニットあたりにつく温度差を小さく抑えることができるためであると推察される。あるいは、熱衝撃や振動をシール材層によって緩和可能となるためであると推察される。また、このシール材層は、熱応力等によってハニカムユニットにクラックが生じた場合においても、クラックがハニカム構造体全体に伸展することを防ぎ、さらにハニカム構造体のフレームとしての役割をも担い、ハニカム構造体としての形状を保ち、触媒担体としての機能を失わないことになると考えられる。
また、上記ハニカムユニットのハニカム構造体の長手方向に垂直な断面における断面積(単に断面積とする。以下同じ。)は、下限が5cmで、上限が50cmである。
断面積が5cm未満では、ハニカムユニット同士を結束するシール材層の断面積が大きくなるため触媒を担持する比表面積が相対的に小さくなるとともに、圧力損失が相対的に大きくなってしまい、一方、断面積が50cmを超えると、ユニットの大きさが大きすぎ、それぞれのハニカムユニットに発生する熱応力を十分に抑えることができない。
これに対し、ハニカムユニットの断面積が、5〜50cmの範囲にあれば、ハニカム構造体において、シール材層が占める割合を調整することができ、これにより比表面積を大きく保つことができ、その結果、触媒成分を高分散させることが可能となる。
また、熱衝撃や振動などの外力が加わってもハニカム構造体としての形状を保持することができる。さらには、圧力損失を小さく抑えることができる。
従って、このハニカム構造体によれば、触媒成分を高分散させると共に熱衝撃や振動に対する強度を高めることができる。
なお、単位体積あたりの比表面積は、後述の式(1)によって求めることができる。
また、ここで、ハニカムユニットの断面積とは、ハニカム構造体が断面積の異なる複数のハニカムユニットを含むときには、ハニカム構造体を構成する基本ユニットとなっているハニカムユニットの断面積をいい、通常、ハニカムユニットの断面積が最大のものをいう。
上記断面積の望ましい下限は6cmであり、より望ましい下限は8cmである。一方、上記断面積の望ましい上限は40cmであり、より望ましい上限は30cmである。
また、上記ハニカム構造体では、シール材層の熱膨張率αと、ハニカムユニットの熱膨張率αとの関係式|α−α|/αの下限が0.01以上で、上限が1.0以下である。但し、上記関係式の各熱膨張率の値は、800℃で測定した値である。
なお、800℃で測定した理由は、800℃がハニカム構造体が晒されるほぼ上限の温度と考えられるからである。
即ち、本発明のハニカム構造体を構成するシール材層の熱膨張率と、ハニカムユニットの熱膨張率とは同一ではなく、僅かに異なったものである。そのため、上記ハニカム構造体では、触媒を担持させた場合の触媒量の不均一、排ガス等による加熱の不均一等に起因して、局部的な燃焼、即ち、局部的な温度変化が生じた場合であっても、上記局部的な温度変化が生じた部分と、それ以外の部分との間で生じた熱応力を好適に緩和させることができ、ハニカムユニットや接着剤層にクラックが発生することがなく、耐久性に優れたものとなる。
上記関係式|α−α|/αが0.01未満であると、シール材層の熱膨張率とハニカムユニットの熱膨張率とが殆ど同じとなり、触媒を担持させた場合の触媒量の不均一、排ガス等による加熱の不均一等に起因して、ハニカム構造体に局部的な燃焼が起こった場合に生じる局部的な熱応力を十分に緩和させることができず、ハニカムユニットやシール材層にクラックが発生し、ハニカム構造体の破壊に至る場合がある。
一方、上記関係式|α−α|/αが1.0を超えると、ハニカム構造体の通常の使用において、排ガスの温度差に伴うシール材層の熱膨張と、ハニカムユニットの熱膨張との差が大きくなりすぎ、やはりハニカムユニットやシール材層にクラックが発生し、ハニカム構造体の破壊に至る場合がある。
なお、上記関係式において、シール材層の熱膨張率αと、ハニカムユニットの熱膨張率αとの差α−αを示す分子部分が絶対値となっているのは、ハニカムユニットの熱膨張率αを、シール材層の熱膨張率αより大きくしてもよいからである。
上記ハニカム構造体では、上記ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面における断面積に対して、上記ハニカムユニットの断面積の総和が占める割合が、85%以上であることが望ましく、90%以上であることがより望ましい。
上記ハニカムユニットの断面積の総和が占める割合が85%未満では、シール材層の断面積が大きくなり、ハニカムユニットの総断面積が小さいため、触媒を担持する比表面積が相対的に小さくなるとともに、圧力損失が相対的に大きくなってしまうからである。
また、上記割合が90%以上では、より圧力損失を小さくすることができる。
上記ハニカム構造体では、その最外周に塗布材層が形成されていることが望ましい。
これにより、外周面を保護して強度を高めることができるからである。
また、塗布材層が形成されている場合、塗布材層の熱膨張率αと、ハニカムユニットの熱膨張率αとの関係式|α−α|/αの下限は、0.01以上であることが望ましく、上限が1.0以下であることが望ましい。
但し、上記関係式の各熱膨張率の値は、800℃で測定した値である。
なお、800℃で測定した理由は、800℃がハニカム構造体が晒されるほぼ上限の温度と考えられるからである。
上記関係式|α−α|/αが0.01未満であると、塗布材層の熱膨張率とハニカムユニットの熱膨張率とが殆ど同じとなり、触媒を担持させた場合の触媒量の不均一、排ガス等による加熱の不均一等に起因して、ハニカム構造体に局部的な燃焼が起こった場合に生じる局部的な熱応力を緩和させることができず、ハニカムユニットや塗布材層にクラックが発生し、ハニカム構造体が破壊に至る場合がある。
一方、上記関係式|α−α|/αが1.0を超えると、ハニカム構造体の通常の使用において、排気ガスの温度差に伴う塗布材層の熱膨張と、ハニカムユニットの熱膨張との差が大きくなりすぎ、やはりハニカムユニットや塗布材層にクラックが発生し、ハニカム構造体が破壊に至る場合がある。
なお、上記関係式において、塗布材層の熱膨張率αと、ハニカムユニットの熱膨張率αとの差α−αを示す分子部分が絶対値となっているのは、ハニカムユニットの熱膨張率αを、塗布材層の熱膨張率αよりも大きくしてもよいからである。
また、本発明のハニカム構造体には、後述するように触媒を担持させてもよく、その場合は、触媒担持後のシール材層の熱膨張率をα、触媒担持後のハニカムユニットの熱膨張率をα、触媒担持後の塗布材層の熱膨張率をαとした。
ハニカムユニットを複数個結束させたハニカム構造体の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円柱状、角柱状又は楕円柱状等が挙げられる。また、その大きさも特に限定されるものではない。
本発明のハニカム構造体を構成するハニカムユニットは、無機粒子と、無機繊維及び/又はウィスカとを含んでなるものである。
そのため、無機粒子によって比表面積が向上し、無機繊維及び/又はウィスカによって多孔質セラミックの強度が向上することとなる。
上記無機粒子としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、ムライト、ゼオライト等からなる粒子が望ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。これらのなかでは、アルミナ粒子が特に望ましい。
上記無機繊維やウィスカとしては、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカ−アルミナ、ガラス、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム等からなる無機繊維やウィスカが望ましい。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
上記無機繊維や上記ウィスカの望ましいアスペクト比(長さ/径)は、望ましい下限が2であり、より望ましい下限が5であり、さらに望ましい下限が10である。一方、望ましい上限は、1000であり、より望ましい上限は800であり、さらに望ましい上限は500である。
なお、上記無機繊維やウィスカのアスペクト比は、アスペクト比に分布があるときには、その平均値である。
上記ハニカムユニットに含まれる上記無機粒子の量について、望ましい下限は30重量%であり、より望ましい下限は40重量%であり、さらに望ましい下限は50重量%である。
一方、望ましい上限は97重量%であり、より望ましい上限は90重量%であり、さらに望ましい上限は80重量%であり、特に望ましい上限は75重量%である。
無機粒子の含有量が30重量%未満では、比表面積の向上に寄与する無機粒子の量が相対的に少なくなるため、ハニカム構造体としての比表面積が小さく、触媒成分を担持する際に触媒成分を高分散させることができなくなる場合がある。一方、97重量%を超えると強度向上に寄与する無機繊維及び/又はウィスカの量が相対的に少なくなるため、ハニカム構造体の強度が低下することとなる。
上記ハニカムユニットに含まれる上記無機繊維及び/又はウィスカの合計量について、望ましい下限は3重量%であり、より望ましい下限は5重量%であり、さらに望ましい下限は8重量%である。一方、望ましい上限は70重量%であり、より望ましい上限は50重量%であり、さらに望ましい上限は40重量%であり、特に望ましい上限は30重量%である。
無機繊維及び/又はウィスカの合計量が3重量%未満ではハニカム構造体の強度が低下することとなり、50重量%を超えると比表面積向上に寄与する無機粒子の量が相対的に少なくなるため、ハニカム構造体としての比表面積が小さく触媒成分を担持する際に触媒成分を高分散させることができなくなる場合がある。
また、上記ハニカムユニットは、上記無機粒子と上記無機繊維及び/又はウィスカと無機バインダとを含む混合物を用いて製造されていることが望ましい。
このように無機バインダを含む混合物を用いることにより、生成形体を焼成する温度を低くしても十分な強度のハニカムユニットを得ることができる。
上記無機バインダとしては、無機ゾルや粘土系バインダ等を用いることができ、上記無機ゾルの具体例としては、例えば、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス等が挙げられる。また、粘土系バインダとしては、例えば、白土、カオリン、モンモリロナイト、セピオライト、アタパルジャイト等の複鎖構造型粘土等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
これらのなかでは、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト及びアタパルジャイトからなる群から選択された少なくとも1種が望ましい。
上記無機バインダの量は、後述する製造工程で調製する原料ペーストの固形分として、その望ましい下限は、5重量%であり、より望ましい下限は、10重量%であり、さらに望ましい下限は15重量%である。一方、望ましい上限は、50重量%であり、より望ましい上限は、40重量%であり、さらに望ましい上限は、35重量%である。
上記無機バインダの含有量が50重量%を超えると成型性が悪くなる。
上記ハニカムユニットの形状は、特に限定されるものではないが、ハニカムユニット同士が結束しやすい形状であることが好ましく、その長手方向に垂直な断面(以下、単に断面ともいう)の形状としては、正方形、長方形、六角形、扇状等が挙げられる。
上記ハニカムユニットの一例として、断面正方形の直方体のハニカムユニットを図面に示す。
図1は、(a)が、本発明のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示す斜視図であり、(b)が、本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
ハニカムユニット11は、手前側から奥側に向かってセル12を多数有し、セル12を有さない外面13を有する。
セル12同士の間の厚さ(セル壁の厚さ)は、特に限定されるものではないが、望ましい下限は0.05mmであり、より望ましい下限は0.10mmであり、特に望ましい下限は0.15mmである。一方、望ましい上限は0.35mmであり、より望ましい上限は0.30mmであり、特に望ましい上限は0.25mmである。
セル壁の厚さが0.05mm未満ではハニカムユニットの強度が低下する場合があり、一方、セル壁の厚さが0.35mmを超えると、排ガスとの接触面積が小さくなることと、ガスが十分深くまで浸透しないため、セル壁内部に担持された触媒とガスが接触しにくくなることとにより、触媒性能が低下してしまうことがある。
また、上記ハニカムユニットのセル密度は、望ましい下限が15.5個/cm(100cpsi)であり、より望ましい下限が46.5個/cm(300cpsi)であり、さらに望ましい下限が62.0個/cm(400cpsi)である。一方、セル密度の望ましい上限は186個/cm(1200cpsi)であり、より望ましい上限は170.5個/cm(1100cpsi)であり、さらに望ましい上限は155個/cm(1000cpsi)である。
セル密度が、15.5個/cm未満では、ハニカムユニット内部の排ガスと接触する壁の面積が小さくなり、186個/cmを超えると、圧力損失が高くなるとともに、ハニカムユニットの作製が困難になるためである。
上記ハニカムユニットに形成されるセルの断面形状は、特に限定されず、図1(a)に示したような四角形以外に、略三角形や略六角形としてもよい。
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法について、工程順に説明する。
まず、上記無機粒子と、上記無機繊維及び/又はウィスカを主成分とする原料ペーストを用いて押出成形等を行い、成形体を作製する。
上記原料ペースとには、これらのほかに、必要に応じて、上記無機バインダ、有機バインダ、分散媒及び成形助剤を成形性にあわせて適宜加えてもよい。
上記有機バインダとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
こられは、単独で用いてよいし、2種以上併用してもよい。
上記有機バインダの配合量は、上記無機粒子、上記無機繊維、上記ウィスカ、上記無機バインダの合計100重量部に対して、1〜10重量部が好ましい。
上記分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(ベンゼンなど)、アルコール(メタノールなど)等が挙げられる。
上記成形助剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
上記原料ペーストの調製は、特に限定されるものではないが、混合・混練することが好ましく、例えば、ミキサーやアトライタなどを用いて混合してもよく、ニーダーなどで十分に混練してもよい。
上記原料ペーストを成型する方法は、特に限定されるものではないが、上述したように押出成形などによってセルを有する形状に成形することが好ましい。
次に、得られた成形体を、必要に応じて、乾燥機を用いて乾燥することにより乾燥体を得る。
上記乾燥機としては、例えば、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機及び凍結乾燥機等が挙げられる。
次に、得られた乾燥体を、必要に応じて、脱脂する。
脱脂条件は、特に限定されず、成形体に含まれる有機物の種類や量によって適宜選択するが、おおよそ400℃、2hr程度が望ましい。
次に、必要に応じて乾燥、脱脂処理を施した成形体を焼成する。
焼成条件は、特に限定されるものではないが、600〜1200℃が望ましく、600〜1000℃がより望ましい。
この理由は、焼成温度が600℃未満ではセラミック粒子などの焼結が進行せずハニカム構造体としての強度が低くなることがあり、1200℃を超えるとセラミック粒子などの焼結が進行しすぎて単位体積あたりの比表面積が小さくなり、担持させる触媒成分を十分に高分散させることができなくなることがある。
このような工程を経ることにより、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカムユニットを製造することができる。
なお、上記ハニカムユニットの熱膨張率αは、混合組成物に配合した材料や焼成条件により決定されることとなる。
次に、得られたハニカムユニットにシール材層となるシール材ペーストを塗布してハニカムユニットを順次結束させ、その後乾燥し、固定化させて、シール材層を介して結束された所定の大きさのハニカムユニット結束体を作製する。
上記シール材ペーストとしては、特に限定されるものではないが、例えば、無機バインダとセラミック粒子を混ぜたものや、無機バインダと無機繊維を混ぜたものや、無機バインダとセラミック粒子と無機繊維を混ぜたもの等を用いることができる。
また、これらのシール材ペーストには、有機バインダを加えてもよい。
上記有機バインダとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記シール材層の厚さは、0.5〜2mmが望ましい。
シール材層の厚さが0.5mm未満では十分な接合強度が得られないおそれがあり、また、シール材層は触媒担体として機能しない部分であるため、2mmを超えると、ハニカム構造体の単位体積あたりの比表面積が低下するため、触媒成分を担持した際に十分に高分散させることができなくなることがある。
また、シール材層の厚さが2mmを超えると、圧力損失が大きくなることがある。
また、ここでは、後述する熱処理後に、シール材層の熱膨張率αと、上記ハニカムユニットの熱膨張率αとが、0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を満足するように、シール材層の熱膨張率αを調製する。
また、結束させるハニカムユニットの数は、ハニカム構造体の大きさに合わせて適宜決定すればよい。また、ハニカムユニットをシール材層を介して結束したハニカムユニット結束体は、必要に応じて、適宜切断、研磨等を施し、セラミックブロックとする。
次に、必要に応じて、セラミックブロックの外周面に塗布材ペーストを塗布して乾燥し、固定化させることにより、塗布材層を形成する。
上記塗布材層を形成することにより、セラミックブロックの外周面を保護することができ、その結果、ハニカム構造体の強度を高めることができる。
また、ここでは、後述する熱処理後に、塗布材層の熱膨張率αと、上記ハニカムユニットの熱膨張率αとが、0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を満足するように、塗布材層の熱膨張率αを調製することが望ましい。
上記塗布材ペーストは、特に限定されず、上記シール材ペーストと同じ材料からなるものであってもよいし、異なる材料からなるものであってもよい。
また、上記塗布材ペーストが、上記シール材ペーストと同じ材料からなるものである場合、両者の構成成分の配合比は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記塗布材層の厚さは、特に限定されるものではないが、0.1〜2mmであることが望ましい。0.1mm未満では、外周面を保護しきれず強度を高めることができないおそれがあり、2mmを超えると、ハニカム構造体としての単位体積あたりの比表面積が低下してしまい触媒成分を担持した際に十分に高分散させることができなくなることがある。
また、本製造方法では、複数のハニカムユニットをシール材層を介して結束させた後(但し、塗布材層を設けた場合は、塗布材層を形成させた後)に、仮焼することが望ましい。
これにより、シール材層、塗布材層に有機バインダが含まれている場合などには、脱脂除去することができるからである。
仮焼する条件は、含まれる有機物の種類や量によって適宜決定されることとなるが、おおよそ700℃で2hr程度が望ましい。
ここで、ハニカム構造体の一例として断面正方形の直方体のハニカムユニットを複数個結束させ、外形を円柱状としたハニカム構造体を図1(b)を参照しながら説明する。
ハニカム構造体10は、シール材層14によりハニカムユニット11を結束させ、円柱状に切断した後、塗布材層16によって、セラミックブロックのセル12が形成されていない外周面を覆ったものである。
また、上記製造方法では、断面が扇形の形状のハニカムユニットや、断面が正方形の形状のハニカムユニットを成形しておき、これらをシール材層を介して結束させて所定の形状のハニカム構造体(例えば、図1(b)では円柱状)を製造してもよい。
この場合、切断、研磨工程を省略することができる。
このような本発明のハニカム構造体の用途は特に限定されないが、車両の排ガス浄化用の触媒担体として好適に用いることができる。
また、ディーゼルエンジンの排ガス浄化用の触媒担体として用いる場合、炭化珪素等のセラミックハニカム構造を有し、排ガス中の粒状物質(PM)をろ過し燃焼浄化する機能を持つディーゼル・パティキュレート・フィルタ(DPF)と併用することがあるが、このとき本発明のハニカム構造体とDPFとの位置関係は、本発明のハニカム構造体が前側でも後側でもよい。
前側に設置された場合は、本発明のハニカム構造体が、発熱を伴う反応を示した場合において、後側のDPFに伝わり、DPFの再生時の昇温を促進させることができる。
また、後側に設置された場合は、排ガス中のPMがDPFによりろ過され、本発明のハニカム構造体のセルを通過するため、目詰まりを起こしにくく、更に、DPFにてPMを燃焼する際に不完全燃焼により発生したガス成分についても本発明のハニカム構造体を用いて処理することができるためである。
なお、このハニカム構造体は、上述の技術背景に記載した用途などについて利用することができるのは勿論、触媒成分を担持することなく使用する用途(例えば、気体成分や液体成分を吸着させる吸着材など)にも特に限定されずに利用することができる。
また、上記ハニカム構造体に触媒を担持しハニカム触媒としてもよい。
上記触媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、酸化物等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記貴金属としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等が挙げられ、上記アルカリ金属としては、例えば、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、上記アルカリ土類金属としては、例えば、バリウム等が挙げられ、上記酸化物としては、ペロブスカイト(La0.750.25MnO等)、CeO等が挙げられる。
上述したような触媒が担持されたハニカム構造体(ハニカム触媒)は、特に限定されるものではないが、例えば自動車の排ガス浄化用のいわゆる三元触媒やNOx吸蔵触媒として用いることができる。
なお、触媒を担持させる時期は、特に限定されるものではなく、ハニカム構造体を作製した後に担持させてもよいし、原料のセラミック粒子の段階で担持させてもよい。
また、触媒の担持方法は、特に限定されるものではなく、例えば、含浸法等によって行うことができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(ペーストDの調製)
γ−アルミナ粒子(平均粒径2μm)29重量%、シリカ−アルミナ繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長100μm)7重量%、シリカゾル(固体濃度30重量%)34重量%、カルボキシメチルセルロース(CMC)5重量%及び水25重量%を混合し、ペーストDとした。
なお、ペーストDの硬化後の熱膨張率(800℃)は、6.00×10−6(1/K)である。
(ペーストA、B、C、E、Fの調製)
配合物及び配合量をそれぞれ表1に示すように変更した以外は、ペーストDと同様にして、各ペーストを調製した。
なお、表1には、各ペーストの熱膨張率(800℃)も示す。
(実施例1)
(1)γアルミナ粒子(平均粒径2μm)40重量%、シリカ−アルミナ繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長100μm、アスペクト比10)10重量%、シリカゾル(固体濃度30重量%)50重量%を混合し、得られた混合物100重量部に対して有機バインダとしてメチルセルロース6重量部、可塑剤及び潤滑剤を少量加えて更に混合・混練して混合組成物を得た。次に、この混合組成物を押出成形機により押出成形を行い、生の成形体を得た。
(2)次に、マイクロ波乾燥機及び熱風乾燥機を用いて、上記生の成形体を十分乾燥させ、さらに、400℃で2hr保持して脱脂した。
その後、800℃で2hr保持して焼成を行い、角柱状(34.3mm×34.3mm×150mm)、セル密度が93個/cm(600cpsi)、セル壁の厚さが0.2mm、セルの断面形状が四角形(正方形)のハニカムユニット11を得た。
このハニカムユニット11の壁面の電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。
この写真より、ハニカムユニット11は、原料ペーストの押出方向に沿ってシリカ−アルミナ繊維が配向していることがわかる。
また、本工程を経て製造したハニカムユニットの熱膨張率α(800℃)は、3.8×10−6(1/K)である。
(3)次に、上記ペーストDをシール材ペーストとして用いて、複数のハニカムユニット11を結束させ、セラミックブロックとした。
セルを有する面(正面とする。以下同じ。)から見たハニカムユニット11を複数結束させたセラミックブロックを図3(a)に示す。
このセラミックブロックは、上述したハニカムユニット11の外面13にシール材層14の厚さが1mmとなるようにシール材ペースト(ペーストD)を塗布し、ハニカムユニット11を複数結束固定したものである。
(4)そして、このようなセラミックブロックを作製した後、セラミックブロックの正面が略点対称になるように円柱状にダイヤモンドカッターを用いて、このセラミックブロックを切断し、その後、セルを有しない円形の外表面(セラミックブロックの外周面)に、塗布材ペーストとして上記ペーストDを、0.5mm厚となるように塗布し、上記外表面をコーティングした。
(5)次に、120℃で乾燥を行い、700℃で2hr保持してシール材ペースト及び塗布材ペーストの脱脂を行い、円柱状(直径143.8mm×高さ150mm)のハニカム構造体10を得た。
本実施例で製造したハニカム構造体について、ハニカムユニットの断面形状、ハニカムユニットの断面積、ハニカムユニットの断面占有割合(ハニカム構造体の断面積に対して、ハニカムユニットの断面積の総和が占める割合)等の各数値をまとめたものを下記の表2に示す。
また、本実施例で製造したハニカム構造体についても、|α−α|/αの値、及び、|α−α|/αの値は、表2に示した。
なお、表2には、他の実施例及び比較例に各数値も示す。
(実施例2、3)
表2に示すハニカムユニットの形状とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
なお、実施例2、3に係るセラミックブロックについて、正面から見た模式図をそれぞれ図3(b)、(c)に示す。
(実施例4)
シール材ペースト及び塗布材ペーストとして、それぞれ上記ペーストBを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
(実施例5)
シール材ペースト及び塗布材ペーストとして、それぞれ上記ペーストCを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
(実施例6)
シール材ペースト及び塗布材ペーストとして、それぞれ上記ペーストEを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
(実施例7)
シール材ペーストとして上記ペーストDを使用し、塗布材ペーストとして上記ペーストAを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
(実施例8)
シール材ペーストとして上記ペーストDを使用し、塗布材ペーストとして上記ペーストFを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
(比較例1、2)
表2に示すハニカムユニットの形状とした以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
なお、比較例1、2に係るセラミックブロックについて、正面から見た模式図をそれぞれ図4(a)、(b)に示す。
(比較例3)
シール材ペースト及び塗布材ペーストとして、それぞれ上記ペーストAを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
(比較例4)
シール材ペースト及び塗布材ペーストとして、それぞれ上記ペーストFを使用した以外は、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
(評価)
下記の方法により、製造したハニカム構造体を特性を測定した。
[比表面積測定]
まず、ハニカムユニット及びシール材層の体積を実測し、ハニカム構造体の体積に対しハニカムユニットが占める割合A(体積%)を計算した。次に、ハニカムユニットの単位重量あたりのBET比表面積B(m/g)を測定した。BET比表面積は、BET測定装置(島津製作所社製、MicromeriticsフローソーブII−2300)を用いて、日本工業規格で定められるJIS−R−1626(1996)に準じて1点法により測定した。測定には、円柱形状の小片(直径15mm×高さ15mm)に切り出したサンプルを用いた。
そして、ハニカムユニットの見かけ密度C(g/L)をハニカムユニットの重量と外形の体積から計算し、ハニカム構造体の比表面積S(m/L)を、次式(1)から求めた。なお、ここでのハニカム構造体の比表面積は、ハニカム構造体の見かけ体積あたりの比表面積のことをいう。
S(m/L)=(A/100)×B×C・・・(1)
[熱衝撃・振動繰返し試験]
熱衝撃試験は、アルミナ繊維からなる断熱材のアルミナマット(三菱化学製マフテック、46.5cm×15cm、厚さ6mm)をハニカム構造体の外周面に巻き金属ケーシング21に入れた状態で600℃に設定された焼成炉に投入し、10分間加熱し、焼成炉から取り出し室温まで急冷した。次に、ハニカム構造体をこの金属ケーシングに入れたまま振動試験を行った。図5(a)に振動試験に用いた振動装置20の正面図を、図5(b)に振動装置20の側面図を示す。ハニカム構造体を入れた金属ケーシング21を台座22の上に置き、略U字状の固定具23をネジ24によって締めて金属ケーシング21を固定した。すると、金属ケーシング21は、台座22と固定具23と一体となった状態で振動可能となる。振動試験は、周波数160Hz、加速度30G、振幅0.58mm、保持時間10hr、室温、振動方向Z軸方向(上下)の条件で行った。この熱衝撃試験と振動試験とを交互にそれぞれ10回繰り返し、試験前のハニカム構造体の重量T0と試験後の重量Tiを測定し、次式(2)を用いて重量減少率Gを求めた。
G(重量%)=100×(T0−Ti)/T0・・・(2)
[圧力損失測定]
圧力損失測定装置40を図6に示す。測定方法は、2Lのコモンレール式ディーゼルエンジンの排気管にアルミナマットを巻いたハニカム構造体を金属ケーシングにいれて配置し、ハニカム構造体の前後に圧力計を取り付けた。なお、測定条件は、エンジン回転数を1500rpm、トルク50Nmに設定し、運転開始から5分後の差圧を測定した。
以上の結果から明らかなように、実施例1〜6係るハニカム構造体では、熱衝撃・振動試験における重量減少率Gは0〜4重量%であり、熱衝撃や振動に強く、耐久性に優れていることが明らかとなった。
これに対し、比較例1に係るハニカム構造体では、熱衝撃・振動試験における重量減少率Gは小さかったものの、圧力損失が実施例に係るハニカム構造体と比較して劣っていた。これは、ハニカムユニットの断面積が小さいためにハニカムユニットの断面占有割合が小さくならざるをえず、その結果、圧力損失が高くなったものと考えられる。また、比較例2〜4に係るハニカム構造体では、熱衝撃・振動試験における重量減少率Gが大きく、強度や耐久性が劣っていた。このことは、ハニカムユニットの断面積が5.0〜50.0cmの範囲内にないこと(比較例1、2)や、0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を満たしていないこと(比較例3、4)に起因すると考えられる。
なお、実施例7及び8に係るハニカム構造体では、熱衝撃・振動試験における重量減少率Gは、実施例1〜6に係るハニカム構造体と比較して、許容範囲内であるものの、若干劣っていた。これは、実施例7及び8に係るハニカム構造体では、シール材層の熱膨張率αは、ハニカムユニットの熱膨張率αとの間で、0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係は満たしているものの、コート層の熱膨張率αは、ハニカムユニットの熱膨張率αとの間で、0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を満たしていないためであると考えられる。この結果より、コート層の熱膨張率αもまた、ハニカムユニットの熱膨張率αとの間で0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を満たすことが望ましいことが明らかとなった。
また、実施例に係るハニカム構造体は、高い比表面積を有していた。
(a)は、本発明のハニカム構造体を構成するハニカムユニットの一例を模式的に示す斜視図であり、(b)は、本発明のハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。 実施例1に係るハニカムユニットのセル壁の電子顕微鏡(SEM)写真である。 ハニカムユニットを複数個結束させた実験例の説明図である。 ハニカムユニットを複数個結束させた比較例の説明図である。 (a)は、振動試験に用いた振動装置の正面図であり、(b)は振動装置の側面図である。 圧力損失測定装置の概略図である。
符号の説明
10 ハニカム構造体
11 ハニカムユニット
12 セル
14 シール材層
16 塗布材層

Claims (10)

  1. 多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカムユニットがシール材層を介して複数個結束されたハニカム構造体であって、
    前記ハニカムユニットは、無機粒子と、無機繊維及び/又はウィスカとを含んでなり、
    前記ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面における断面積は、5〜50cmであり、
    前記シール材層の熱膨張率αと、前記ハニカムユニットの熱膨張率αとが、
    0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を有することを特徴とするハニカム構造体。
  2. 長手方向に垂直な断面における断面積に対して、前記ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面における断面積の総和が占める割合は、85%以上である請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 長手方向に垂直な断面における断面積に対して、前記ハニカムユニットの長手方向に垂直な断面における断面積の総和が占める割合は、90%以上である請求項1に記載のハニカム構造体。
  4. 最外周に塗布材層が形成されており、
    前記塗布材層の熱膨張率αと、前記ハニカムユニットの熱膨張率αとが、
    0.01≦|α−α|/α≦1.0の関係を有する請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
  5. 前記無機粒子は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、ムライト及びゼオライトからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか記載のハニカム構造体。
  6. 前記無機繊維及び/又はウィスカは、アルミナ、シリカ、炭化珪素、シリカーアルミナ、ガラス、チタン酸カリウム及びホウ酸アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
  7. 上記ハニカムユニットは、前記無機粒子と前記無機繊維及び/又はウィスカと無機バインダとを含む混合物を用いて製造されており、
    前記無機バインダは、アルミナゾル、シリカゾル、チタニアゾル、水ガラス、セピオライト及びアタパルジャイトからなる群から選択された少なくとも一種である請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体。
  8. 触媒が担持されている請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体。
  9. 前記触媒は、貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及び、酸化物からなる群から選択された少なくとも1種を含む請求項8に記載のハニカム構造体。
  10. 車両の排ガス浄化に用いる請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体。
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