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JP2007161982A - インクジェット記録用インク組成物、これを用いたインクカートリッジ、記録方法、記録システム及び記録物 - Google Patents

インクジェット記録用インク組成物、これを用いたインクカートリッジ、記録方法、記録システム及び記録物 Download PDF

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JP2007161982A
JP2007161982A JP2006081030A JP2006081030A JP2007161982A JP 2007161982 A JP2007161982 A JP 2007161982A JP 2006081030 A JP2006081030 A JP 2006081030A JP 2006081030 A JP2006081030 A JP 2006081030A JP 2007161982 A JP2007161982 A JP 2007161982A
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recording
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JP2006081030A
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Masaaki Itano
雅明 板野
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】本発明は、高固形分含有インクでありながら低粘度を実現し、印刷特性として高OD値・定着性を確保し、更に目詰まり回復性、高温時での吐出安定性等の信頼性をも確保することのできるインクジェット記録用インク組成物の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、自己分散型顔料と、ガラス転移点(Tg)が0℃未満の2種の樹脂粒子とを含むインクジェット記録用インク組成物であって、前記自己分散型顔料及び前記2種の樹脂粒子を固形分として合計10重量%以上含み、前記2種の樹脂粒子が共に分子内にOH基を有し且つ同一の骨格からなるインクジェット記録用インク組成物を提供する。また、本発明は、更に無機アルカリ及び有機アルカリを両種共に含む、前記インクジェット記録用インク組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高固形分含有インクでありながら低粘度、高OD値・定着性、更に目詰まり回復性、高温時での吐出安定性等の信頼性をも確保することのできるインクジェット記録用インク組成物、これを用いたインクカートリッジ、記録方法、記録システム及び記録物に関するものである。
従来から、顔料分散液と樹脂エマルジョンとを含むインク組成物を用いたインクジェット記録方法が多々利用されている(特許文献1、2及び3等)。
しかし、従来のインクジェット記録方法におけるインク組成物の配合では、低粘度インクでの高OD値、定着性等の特性確保、及び目詰まり回復、高温時での吐出安定性等の信頼性確保が困難である。
特開平1−217088号公報 特開平3−60068号公報 特開平4−18462号公報 特表2003−535949号公報
そこで、本発明は、高固形分含有インクでありながら低粘度を実現し、印刷特性として高OD値・定着性を確保し、更に目詰まり回復性、高温時での吐出安定性等の信頼性をも確保することのできるインクジェット記録用インク組成物を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、前記の優れたインクジェット記録用インク組成物を用いたインクカートリッジ、記録方法、記録システム及び記録物を提供することである。
本発明は、下記1.の発明を提供することにより、前記目的を達成したものである。
1.自己分散型顔料と、ガラス転移点(Tg)が0℃未満の2種の樹脂粒子とを含むインクジェット記録用インク組成物であって、
前記自己分散型顔料及び前記2種の樹脂粒子を固形分として合計10重量%以上含み、前記2種の樹脂粒子が共に分子内にOH基を有し且つ同一の骨格からなることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
また、本発明は、下記2.〜15.発明をそれぞれ提供するものである。
2.前記2種の樹脂粒子の少なくとも一方が、不飽和単量体の乳化重合によって得られたエマルジョンの形態で配合されてなる、前記1記載のインクジェット記録用インク組成物。
3.前記自己分散型顔料の含有量が、インク組成物中、6重量%以上である、前記1又は2記載のインクジェット記録用インク組成物。
4.前記2種の樹脂粒子は、粒径が40〜70nmの範囲内の第1の樹脂粒子と、粒径が110〜190nmの範囲内で且つガラス転移点が10℃以下である第2の樹脂粒子とからなる、前記1〜3の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
5.前記第1の樹脂粒子が、共にスチレン−アクリル系骨格の分子又はアクリル系骨格の分子からなる、前記4記載のインクジェット記録用インク組成物。
6.前記第1の樹脂粒子の含有量が、インク組成物中、0.5〜2重量%である、前記4又は5記載のインクジェット記録用インク組成物。
7.前記第2の樹脂粒子の含有量が、インク組成物中、2〜5重量%である、前記4〜6の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
8.前記第1の樹脂粒子と前記第2の樹脂粒子との重量比(前者:後者)が、1:10〜10:1である、前記4〜7の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
9.更に、アルカリ添加剤として、無機アルカリ及び有機アルカリを両種共に含有する、請求項1〜8の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
10.更に、アセチレングリコール系界面活性剤を含有する、前記1〜9の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
11.更に、水溶性グリコール類を含有する、前記1〜10の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
12.前記1〜11の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物を含むインクカートリッジ。
13.前記1〜11の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて画像を形成する記録方法。
14.前記1〜11の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて画像を形成する記録システム。
15.前記1〜11の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて画像が形成されてなる記録物。
本発明によれば、高固形分含有インクでありながら低粘度を実現し、印刷特性として高OD値・定着性を確保し、更に目詰まり回復性、高温時での吐出安定性等の信頼性をも確保することのできるインクジェット記録用インク組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記の優れたインクジェット記録用インク組成物を用いたインクカートリッジ、記録方法、記録システム及び記録物が提供される。
以下に本発明に係るインクジェット記録用インク組成物について、その好ましい実施態様に基づき説明する。
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、いわゆるインクジェット記録方式によって、紙等の記録媒体に文字や図形等の画像を記録形成するためにインクジェットプリンタのプリンタヘッドから液滴として吐出するための記録液として用いられるものである(以下、本発明のインクジェット記録用インク組成物を、単に「本発明のインク組成物」ということもある)。
本発明のインク組成物は、既述の通り、自己分散型顔料と、ガラス転移点(Tg)が0℃未満の2種の樹脂粒子とを含むインクジェット記録用インク組成物であって、前記自己分散型顔料及び前記2種の樹脂粒子を固形分として合計10重量%以上含み、前記2種の樹脂粒子が共に分子内にOH基を有し且つ同一の骨格からなることを特徴とする
本発明のインク組成物は、かかる構成からなるため、高固形分含有インクでありながら低粘度を実現し、印刷特性として高OD値(Optical Density;光学濃度)・定着性を確保し、更に目詰まり回復性、高温時での吐出安定性等の信頼性をも確保することができる。
本発明に使用される自己分散型顔料(以下、A成分:自己分散型顔料(A)と表示する。)は、顔料の表面に−COOH、−CHO、−OH、−SO3H及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上等の官能基(分散性付与基)を有するように処理された顔料であって、分散剤を別途配合せずとも、水系インク組成物中で均一に分散し得るものである。尚、ここでいう「分散」とは、自己分散型顔料(A)が分散剤なしに水中に安定に存在している状態をいい、分散している状態のもののみならず、溶解している状態のものも含むものとする。自己分散型顔料(A)が配合されたインク組成物は、自己分散型顔料(A)以外の自己分散型ではない顔料及び分散剤の配合された通常のインク組成物と比べて、分散安定性が高く、また、インク組成物の粘度が適度なものとなるので、顔料をより多く含有させることが可能となり、特に普通紙に対して発色性に優れた文字や図形等の画像を形成することができる。更に、自己分散型顔料(A)が配合されたインク組成物は、印字品質の向上に有効な浸透剤(後述する)を配合しても流動性の低下を生じることがないので、該浸透剤を併用することにより印字品質も高められる。
自己分散型顔料(A)を形成し得る顔料としては、通常のインクジェット記録用インク組成物におけるものと同様のものが用いられ、例えば、カーボンブラック、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の有機顔料、チタン白、亜鉛華、鉛白、カーボンブラック系、ベンガラ、朱、カドミウム赤、黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンクロメート等の無機顔料が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能なら、何れも使用できる。これらのうち、特にアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ジオキサジン顔料、及びアントラキノン顔料系を用いることが好ましい。尚、「顔料」とは、水や溶剤、油等に通常不溶の粒子状の固体をいう。
自己分散型顔料(A)を調製するには、真空プラズマ等の物理的処理や化学的処理により、官能基又は官能基を含んだ分子を顔料の表面に配位、グラフト等の化学的結合をさせること等によって得ることができる。例えば、特開平8−3498号公報に記載の方法によって得ることができる。また、自己分散型顔料(A)は、市販品を利用することも可能であり、好ましい例としては、オリエント化学工業(株)製の「マイクロジェットCW1」、キャボット社製の「CAB−O−JET 200」、「CAB−O−JET 300」等が挙げられる。
自己分散型顔料(A)は、例えば、次のようにして調製される。
〔自己分散型顔料(A)の一調製方法例(顔料の表面酸化処理−スルホン化処理)〕
溶剤に顔料を添加し、これをハイスピードミキサー等で高速剪断分散するか、又はビーズミルやジェットミル等で衝撃分散してスラリー状の顔料分散液を得る。該顔料分散液をゆっくり攪拌しながら、硫黄を含む処理剤(スルファミン酸、発煙硫酸、硫酸、クロロ硫酸、フルオロ硫酸、アミド硫酸等)を添加し、該顔料分散液を60〜200℃に加熱処理して、前記顔料表面に前記分散性付与基を導入する。該顔料分散液から溶剤を除去した後、水洗、限外濾過、逆浸透、遠心分離、濾過等を繰り返して前記硫黄を含む処理剤を取り除いて、自己分散型顔料(A)を得る。
また、自己分散型顔料(A)は、インクの保存安定性の向上や、ノズルの目詰まり防止の観点から、その平均粒径が10〜300nmであることが好ましく、40〜150nmであることが更に好ましい。
自己分散型顔料(A)の含有量は、十分なOD値が得られる点で、本発明のインク組成物中、好ましくは6重量%以上であり、更に好ましくは7〜10重量%である。尚、自己分散型顔料(A)は、後述するガラス転移点(Tg)が0℃未満の2種の樹脂粒子(好ましくはエマルジョンの形態で含有)とともに、固形分として合計10重量%以上でインク組成物中に含まれる。
自己分散型顔料(A)のその他の例としては、次亜塩素酸化処理法や、オゾン酸化処理法(特表2003−535949号公報:特許文献4等参照)等によって表面酸化処理した顔料が挙げられる。
本発明においては、ガラス転移点(Tg)が0℃未満の2種の樹脂粒子が使用される。ここで、この2種の樹脂粒子のうち、一方を第1の樹脂粒子(以下、B成分:第1の樹脂粒子(B)と表示する。)、もう一方を第2の樹脂粒子(以下、C成分:第2の樹脂粒子(C)と表示する。)と称することとする。そして、第1の樹脂粒子(B)及び第2の樹脂粒子(C)は、共に分子内にOH基を有し且つ同一の骨格からなるものが使用される。
第1の樹脂粒子(B)は、粒径が40〜70nmの範囲内にあるものが好ましく用いられる。粒径が40nm未満であると、インク組成物の粘度が高くなり、更に吐出安定性、目詰まり回復性が不十分となるおそれがある。前記の第1の樹脂粒子(B)を用いることにより、少量で定着性を確保し、インク組成物の粘度を下げたまま吐出安定性、目詰まり回復性を確保するとともに、OD値を下げないようにすることができる。
第1の樹脂粒子(B)の含有量は、インク組成物中、0.5〜2重量%であることが好ましい。含有量が2重量%を超えると、インク組成物の粘度が高くなり、更に吐出安定性、目詰まり回復性が不十分となり、またOD値が低下することもある。
一方、第2の樹脂粒子(C)は、粒径が110〜190nmの範囲内で且つガラス転移点(Tg)が10℃以下であるものが好ましく用いられる。かかる粒径の範囲内とすることで適切なOD値及び定着性を向上でき、またTgを10℃以下とすることで定着性を十分に確保できる。特に、定着性向上の点から、Tgが−10℃以下のものがより好ましい。
第2の樹脂粒子(C)の含有量は、インク組成物中、2〜5重量%であることが好ましい。含有量が5重量%を超えると、インク組成物の粘度が高くなり、更に吐出安定性、目詰まり回復性が不十分となる。
尚、本発明において、ガラス転移点(Tg)は、通常の方法、例えば、示差走査熱量計(DSC)等の熱分析装置を用いて測定できる。熱分析装置としては、例えば、セイコー電子社製SSC5000が挙げられる。また、ガラス転移点(Tg)は、樹脂が共重合体の場合、ガラス転移点計算値として評価することができる。共重合体のガラス転移点(Tg)及びその評価の方法論は以下の通りである。特定の単量体組成を有する共重合体のガラス転移点(Tg)は、フォックス(Fox)の式により計算より求めることができる。ここで、フォックスの式とは、共重合体を形成する個々の単量体について、その単量体の単独重合体のTgに基づいて、共重合体のTgを算出するためのものであり、その詳細は、ブルテン・オブ・ザ・アメリカン・フィジカル・ソサエティー,シリーズ2(Bulletin of the American Physical Society, Series 2)1巻・3号・123頁(1956年)に記載されている。本発明の明細書において用いる「ガラス転移点計算値」なる語の概念には、フォックス(Fox)の式により計算したガラス転移点をも包含する。フォックス(Fox)の式による共重合体のTgを計算するための基礎となる各種モノマーについての単独重合体のTgは、例えば、高分子データ・ハンドブック基礎編(高分子学会編)525〜546頁に記載されている数値又は通常の方法で測定した実測値を採用することができる。
本発明において、第1の樹脂粒子(B)及び第2の樹脂粒子(C)に適用できる樹脂としては、両樹脂粒子が共に分子内にOH基を有し且つ同一の骨格からなるものである限り特に制限されないが、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。特にインク化の際、目詰まり回復性、印刷物の定着性の観点からは、第1の樹脂粒子(B)及び第2の樹脂粒子(C)が共にスチレン−アクリル系骨格の分子からなることが好ましく、一方インク組成物の記録媒体への定着性を向上させる点からは、第1の樹脂粒子(B)及び第2の樹脂粒子(C)が共にアクリル系骨格の分子からなることが好ましい。
これらの樹脂は、使用に際して、第1の樹脂粒子(B)と第2の樹脂粒子(C)が同一の骨格として1種又は2種以上で用いられ、前述の骨格を有するものが好ましく、第1の樹脂粒子(B)と第2の樹脂粒子(C)の少なくとも何れかが、不飽和単量体の乳化重合によって得られた樹脂粒子のエマルジョン(例えば、いわゆる「アクリルエマルジョン」)の形態でインク組成物中に配合されることが好ましい。その理由は、樹脂粒子のままインク組成物中に添加しても該樹脂粒子の分散が不十分となる場合があるため、インク組成物の製造上エマルジョンの形態が好ましいからである。また、エマルジョンとしては、インク組成物の保存安定性の観点から、アクリルエマルジョンが好ましい。
樹脂粒子のエマルジョン(アクリルエマルジョン等)は、公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、不飽和単量体(不飽和ビニルモノマー等)を重合開始剤、及び界面活性剤を存在させた水中において乳化重合することによって得ることができる。
不飽和単量体としては、一般に乳化重合で使用されるアクリル酸エステル単量体類、メタクリル酸エステル単量体類、芳香族ビニル単量体類、ビニルエステル単量体類、ビニルシアン化合物単量体類、ハロゲン化単量体類、オレフィン単量体類、ジエン単量体類等が挙げられる。さらに、具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−へキシルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、及び酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン化単量体類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;ブタジエン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の水酸基含有単量体類等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体も使用することができる。重合可能な二重結合を二つ以上有する架橋性単量体の例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロピロキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジアクリレート化合物、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物、ジトリメチロールテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のテトラアクリレート化合物、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のヘキサアクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリブチレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等のジメタクリレート化合物、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを単独または二種以上混合して使用することができる。
また、乳化重合の際に使用される重合開始剤及び界面活性剤の他に、連鎖移動剤、さらには中和剤等も常法に準じて使用してよい。特に中和剤としては、アンモニア、無機アルカリの水酸化物、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好ましい。
本発明において、第1の樹脂粒子(B)及び第2の樹脂粒子(C)は、微粒子粉末としてインク組成物の他の成分と混合されてもよいが、好ましくは樹脂粒子を水媒体に分散させ、エマルジョン(ポリマーエマルジョン)の形態とした後、インク組成物の他の成分と混合されるのが好ましい。
また、第1の樹脂粒子(B)と第2の樹脂粒子(C)との重量比(B/C)は、目詰まり回復性、定着性及び発色性(O.D.値)の点で、10/1〜1/10であることが好ましい。
また、第1の樹脂粒子(B)及び第2の樹脂粒子(C)としては、単相構造及び複相構造(コアシェル型)の何れのものも使用できる。
第1の樹脂粒子(B)及び第2の樹脂粒子(C)は、本発明のインク組成物中に、均一なインクを調整するというインク調整の点とインクの安定性の点で、エマルジョンとして配合されることが好ましい。
本発明において、「樹脂粒子」とは、水に不溶性の樹脂が主として水からなる分散媒中に粒子状に分散しているもの、あるいは水に不溶性の樹脂を主として水からなる分散媒中に粒子状に分散させたもの、更にはその乾燥物をも包含したものを意味する。
また、本発明において、「エマルジョン」というときは、ディスパージョン、ラテックス、サスペンジョンと呼ばれる固/液の分散体をも包含したものを意味するものとする。
また、エマルジョンは、前述した自己分散型顔料(A)の分散安定性向上の観点から、アニオン性であることが好ましい。尚、同様の観点から、表面がカチオン性の顔料(例えば、表面処理によりカチオン基で分散させたもの)を用いる場合は、エマルジョンはカチオン性であることが好ましい。
エマルジョンは、例えば、次のようにして製造される。
〔エマルジョンの一製造方法例〕
滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー及び攪拌機を備えた反応容器に、イオン交換水100部を入れ、窒素雰囲気下、温度70℃で攪拌しながら、重合開始剤0.2部を添加する。これに、別途調製したモノマー溶液を滴下し重合反応させて、1次物質を調製する。その後、温度70℃で、該1次物質に、重合開始剤の10%水溶液2部を添加して攪拌し、更に別途調製した反応液を添加し攪拌して重合反応させ、重合反応物を得る。該重合反応物を、中和剤で中和してpHが8〜8.5になるように調整した後、0.3μmのフィルターでろ過し粗大粒子を除去して、樹脂粒子を分散質とするエマルジョンを得る。
重合開始剤としては、通常のラジカル重合に用いられるものと同様のものが用いられ、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酢酸、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロキシパーオキシド、パラメンタンヒドロキシパーオキシド等が挙げられる。特に、前述の如く、重合反応を水中で行う場合には、水溶性の重合開始剤が好ましい。
また、重合反応で用いられる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムの他、一般にアニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤又は両性界面活性剤として用いられているもの等が挙げられる。
また、重合反応で用いられる連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、キサントゲン類であるジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソブチルキサントゲンジスルフィド、ジペンテン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン、ジヒドロフラン、キサンテン等が挙げられる。
本発明のインク組成物は、通常、溶剤として水、好ましくはイオン交換水を含有する水系のインク組成物である。
また、本発明のインク組成物は、溶剤として、水以外に、有機溶剤を併用することもできる。このような有機溶剤としては、水と相溶性を有し、記録媒体へのインク組成物の浸透性及びノズルの目詰まり防止性を向上させると共に、後述する浸透剤等のインク組成物中の成分の溶解性を向上させるものが好ましく、例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテルなどのグリコールエーテル類、2−ピロリドン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を、本発明のインク組成物中に好ましくは0〜10重量%で用いることができる。
本発明のインク組成物には、印字品質を向上させる点から、アセチレングリコール系界面活性剤を含有させることが好ましい。このようなアセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、又はこれらの物質それぞれにおける複数の水酸基それぞれにエチレンオキシ基若しくはプロピレンオキシ基を平均1〜30個付加してなる物質等が挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤としては、市販品を用いることもでき、例えば、「サーフィノール104PG50,465」(何れも、商品名、Air Products and Chemicals.Inc.社製)等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、本発明のインク組成物中、好ましくは0.1〜3重量%であり、更に好ましくは0.5〜1.5重量%である。
本発明のインク組成物には、ノズルの目詰まりを防止して信頼性をより高めるために、水溶性グリコール類を含有させることが好ましい。このような水溶性グリコール類としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、トリメチレングリコール、イソブチレングリコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。特に目詰まり回復性向上の点から、グリセリンが好ましい。
水溶性グリコール類の含有量は、本発明のインク組成物中に好ましくは1〜30重量%である。
本発明のインク組成物には、記録媒体への定着性を更に向上させて記録する文字や図形等の画像の耐擦性を高めるために、浸透剤を含有させることが好ましい。このような浸透剤としては、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−アルカンジオール(1,2−ヘキサンジオール等)、1,6−ヘキサンジオール等の二価のアルコール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(DEGmBE)、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル(DEGmtBE)、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(TEGmBE)、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(PGmBE)、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル(DPGmBE)及び下記一般式(I)で表される化合物からなる群から選ばれる1種又は2以上が好ましく、特に、DEGmBE、TEGmBE、DPGmBEが好ましい。尚、下記一般式(I)において、mとnは系中の存在を示し、PO及びEOは、ブロック付加でもよく、ランダム付加でもよい。
RO−(PO)m−(EO)n−H …(I)
(式中、Rは炭素数4〜10のアルキル基を示し、POはプロピレンオキシ基を示し、EOはエチレンオキシ基を示す。m≧1、n≧0、m+n≦20。)
浸透剤の含有量は、インク組成物の浸透性及び速乾性を向上させてインクの滲み発生を有効に防止できる点で、本発明のインク組成物中、好ましくは1〜20重量%である。
また、本発明のインク組成物には、前記浸透剤と同様に、文字や図形等の画像の耐擦性を高めるために、前記アセチレングリコール系界面活性剤以外の界面活性剤を含有させることもできる。そのような界面活性剤としては、例えば、両性界面活性剤として、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体等、非イオン界面活性剤として、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
また、本発明のインク組成物には、前記水溶性グリコール類と同様に、ノズルの目詰まり防止のために、糖類や、防黴剤・防腐剤を含有させることもできる。
糖類としては、例えば、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、アルギン酸及びその塩、シクロデキストリン類、セルロース類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を、本発明のインク組成物中に好ましくは0〜15重量%で用いることができる。
また、防黴剤・防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社のプロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN)等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を、本発明のインク組成物中に好ましくは0.01〜0.5重量%で用いることができる。
本発明のインク組成物には、目詰まり防止や吐出安定性といった信頼性確保の点で、EDTA等のキレート剤を含有させることが好ましく、本発明のインク組成物中に好ましくは0.01〜0.5重量%で用いることができる。
本発明のインク組成物は、自己分散型顔料(A)の表面がアニオン性である場合、印字濃度の向上及び液安定性の観点から、そのpHを6〜11とすることが好ましく、7〜10とすることが更に好ましい。
本発明のインク組成物のpHを前記範囲内とするためには、添加剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機アルカリ類や、アンモニア、トリエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリプロパノールアミン等の炭素数6〜10の3級アミン類等の有機アルカリ類、等のアルカリ添加剤を含有させることが好ましい。
ここで、本発明のインク組成物に使用することのできるアルカリ添加剤は、無機アルカリ類から少なくとも1種及び有機アルカリ類から少なくとも1種の両アルカリ類の併用が、目詰まり回復性及び廃液系での再分散性等の信頼性向上の点で好ましい。特に、無機アルカリとして水酸化カリウム、有機アルカリとしてトリプロパノールアミンの両種を含有させることが好ましい。これらのアルカリ添加剤は、本発明のインク組成物中に好ましくは共に0.01〜2重量%で用いることができる。
本発明のインク組成物には、更に必要に応じて、表面張力調整剤、粘度調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、酸素吸収剤等の各種添加剤を含有させることができ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
本発明のインク組成物は、吐出安定性を向上させて信頼性をより高める観点から、その表面張力を20〜40mN/mとすることが好ましく、25〜34mN/mとすることが更に好ましい。表面張力を前記範囲内とするために、前記表面張力調整剤を含有させることもできる。インク組成物の表面張力は、JIS K 3211に従い、測定される。
本発明のインク組成物は、吐出安定性を向上させて信頼性をより高める観点から、その20℃における粘度を2〜10mPa・s、特に3〜6mPa・sとすることが好ましい。インク組成物の粘度を前記範囲内とするために、前記粘度調整剤を含有させることもできる。前記粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチ等が挙げられる。
本発明のインク組成物を調製する方法は、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等を使用して調製することができる。本発明のインク組成物の調製に際しては、粗大粒子を除去することが好ましい。例えば、前述の各成分を配合して得られた混合物(インク)を、金属フィルターやメンブランフィルター等のフィルターにてろ過することにより、300nm以上の粒子を除去する。このような処理を行うことによって、ノズルに目詰まりしない信頼性のより高いインク組成物が得られる。
本発明のインク組成物は、その色の種類等に制限されるものではなく、種々のカラーインク組成物(シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロー、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレット等)、ブラックインク組成物、ライトブラックインク組成物等として使用できる。使用に際しては、本発明のインク組成物を単独で、若しくはその複数種からなるインクセットとして、又は、本発明のインク組成物の一種若しくは複数種とその他のインク組成物の一種若しくは複数種とからなるインクセットとして用いることができる。
本発明のインク組成物は、その画像を形成するための記録媒体として、特に制限されることなく、普通紙、インクジェット用専用紙、プラスチック、フィルム、金属等の種々の記録媒体に適用することができる。
また、本発明によれば、前述したインク組成物を備えたインクカートリッジが提供される。本発明のインクカートリッジにより、前記インク組成物の使用性、取扱い性を担保できる。
また、本発明によれば、前述したインク組成物を使用して記録媒体に画像を形成する記録方法が提供される。本発明の記録方法の一実施形態は、インクジェット記録方式によって、前述のインク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行うものである。本発明の記録方法を実施することによって、印刷特性として高OD値・定着性を確保し、更に目詰まり回復性、高温時での吐出安定性等の信頼性をも実現することができる。
また、本発明によれば、前述したインク組成物を使用して記録媒体に画像が形成されてなる記録物が提供される。本発明の記録物は、高OD値で定着性のあるものである。
また、本発明によれば、前述したインク組成物を用いて画像を形成する記録システムを提供でき、特に、前述した実施形態に係るインク組成物を用いるインクジェットプリンタ等の記録装置その他の記録システムを好適に提供できる。
本発明は、前述した各実施形態を好適に提供するものであるが、これらの実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
以下に、本発明の実施例および試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等制限されるものではない。
<インク組成物の調製>
以下に示す配合組成で各成分を加えて全量を100gとした。その後、室温にて2時間攪拌し、孔径5μmのメンブランフィルタ(商品名、日本ミリポア・リミテッド製)にて濾過して、実施例1のインク組成物(水性インク)を調製した。
・顔料分散液 :7重量%(顔料固形分)
(オリエント化学工業(株)製の「マイクロジェットCW1」(商品名);前述の自己分散型顔料(A)の一調製方法例に従って調製,顔料の平均粒径は110nm)
・エマルジョン(1) :1重量%
(樹脂粒子のTg:−5℃、粒径:50nm、分子骨格:スチレン−アクリル系でOH基を含有、前述のエマルジョンの一製造方法例に従って調製)
・エマルジョン(2) :2.5重量%
(樹脂粒子のTg:−15℃、粒径:130nm、分子骨格:スチレン−アクリル系でOH基を含有、前述のエマルジョンの一製造方法例に従って調製)
・サーフィノール104PG50 :0.5重量%
(商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)
・サーフィノール465 :1重量%
(商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)
・グリセリン :7重量%
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル:2重量%
・1,2−ヘキサンジオール :4重量%
・超純水 :残量
前記のエマルジョン(1)及び(2)は、分散媒が水で分散質が樹脂粒子である、樹脂粒子の水系分散液である。尚、エマルジョンの重量%は、樹脂粒子としての濃度(樹脂固形分)を表す。また、Tgは、熱分析装置SSC5000(セイコー電子(株)製)を用いた示差熱分析により測定した値である。なお、エマルジョン(2)の分子骨格をアクリル系のもの(OH基含有なし)とした以外は実施例1と同様にして調製したインク組成物を、比較例1として評価に供した。
調製した各インク組成物を用いて、インクジェットプリンターPX−V700(セイコーエプソン(株)製)で、360dpiの解像度で各種印字を行った。記録媒体としては、Copyplus(Hammermill社製)、Xerox 4024(Xerox社製)、Xerox P、(富士ゼロックス社製)、専用普通紙(セイコーエプソン(株)製)の4種の紙を使用して印字を行い、得られたサンプル(記録物)を用いて、下記に示す評価・試験項目について評価した。
評価・試験:吐出安定性
40℃環境にてベタ及び罫線パターンの連続印字を行った。連続印字前にノズルチェックを行い、充填性を確認した後に評価を開始した。その後印字中にドット抜け又はインクの飛び散りや曲がり等による乱れが生じた際、回復動作としてクリーニングを都度行った。A4サイズで連続印刷100ページ内に要した前記クリーニング回数を結果とし、以下の基準に基づいて判定した。
評価A:クリーニング回数ゼロ。
評価B:クリーニング回数1又は2回。
評価C:クリーニング回数3回以上。
評価・試験:目詰まり回復性
放置前にノズルチェックを行い、充填性を確認し正常な印字が行えることを確認した後、印字を停止した。その後6ヶ月間、プリンタを常温(25℃)下放置した。放置後、印字を再開し、吐出不良がなく、放置前と同等な印字が得られるまでクリーニング操作を行った。そのクリーニング操作の回数を以下の基準で評価した。
評価AA:0〜2回のクリーニング操作で放置前と同等の印字が得られた。
評価A:3〜5回のクリーニング操作で放置前と同等の印字が得られた。
評価B:6〜10回のクリーニング操作で放置前と同等の印字が得られた。
評価C:11回のクリーニング操作では放置前と同等の印字が得られなかった
評価・試験:耐擦性(耐ラインマーカー性)
印字後、サンプル(記録物)を24時間自然乾燥させた後、ゼブラ社製のイエロー水性蛍光ペンZEBRA PEN2(登録商標)を用いて、印刷文字を筆圧300g/15mmで擦り、汚れの有無を目視で観察した。その結果を下記基準に基づき判定した。
評価A:同一部分を2回擦っても全く汚れが生じない。
評価B:1回の擦りまでは汚れが生じないが、2回の擦りでは汚れが発生する。
評価C:1回の擦りで汚れが発生する。
評価・試験:光学濃度(OD値)
印刷後、サンプル(記録物)を一般環境下で1時間放置した。放置後、ベタ部分についてグレタグ濃度計(グレタグ社製)を用いて光学濃度を測定し、下記基準に基づき判定した。値は各紙の平均値である。
評価A:光学濃度が1.3以上。
評価B:光学濃度が1.3未満。
〔比較例2、3〕
下記に示す各点以外は実施例1のインク組成物と同様の組成の構成としてインク組成物を調製した。そして、各インク組成物について、実施例1と同様の評価を行った。
・比較例2:エマルジョン(2)を用いずに、エマルジョン(1)を2重量%用いた。
・比較例3:エマルジョン(1)を用いずに、エマルジョン(2)を3.5重量%用いた。
実施例1における顔料分散液に使用したエマルジョン(1)及び(2)の樹脂粒子である分子骨格がスチレンーアクリル系(共にOH基を含有)のものを、アクリル系(共にOH基を含有)のものに替えた以外は実施例1と同様にしてインク組成物を調製し、同様の評価を行なった。
実施例1のインク組成物と同様の組成の構成に、アルカリ添加剤として水酸化カリウム(無機アルカリ)0.1重量%とトリプロパノールアミン(有機アルカリ)0.2重量%
を加えたものを、実施例1と同様にしてインク組成物を調製し、同様の評価を行なった。
評価結果
実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 実施例2
吐出安定性 :
目詰まり回復性:
耐擦性
(耐ラインマーカー性):
光学濃度(OD値):
評価結果
実施例3
吐出安定性 :
目詰まり回復性: AA
耐擦性
(耐ラインマーカー性):
光学濃度(OD値):
本発明は、高固形分含有インクでありながら低粘度を実現し、印刷特性として高OD値・定着性を確保し、更に目詰まり回復性、高温時での吐出安定性等の信頼性をも確保することのできるインクジェット記録用インク組成物、並びにかかるインクジェット記録用インク組成物を用いたインクカートリッジ、記録方法、記録システム及び記録物として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (15)

  1. 自己分散型顔料と、ガラス転移点(Tg)が0℃未満の2種の樹脂粒子とを含むインクジェット記録用インク組成物であって、
    前記自己分散型顔料及び前記2種の樹脂粒子を固形分として合計10重量%以上含み、前記2種の樹脂粒子が共に分子内にOH基を有し且つ同一の骨格からなることを特徴とするインクジェット記録用インク組成物。
  2. 前記2種の樹脂粒子の少なくとも一方が、不飽和単量体の乳化重合によって得られたエマルジョンの形態で配合されてなる、請求項1記載のインクジェット記録用インク組成物。
  3. 前記自己分散型顔料の含有量が、インク組成物中、6重量%以上である、請求項1又は2記載のインクジェット記録用インク組成物。
  4. 前記2種の樹脂粒子は、粒径が40〜70nmの範囲内の第1の樹脂粒子と、粒径が110〜190nmの範囲内で且つガラス転移点が10℃以下である第2の樹脂粒子とからなる、請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  5. 前記第1の樹脂粒子が、共にスチレン−アクリル系骨格の分子又はアクリル系骨格の分子からなる、請求項4記載のインクジェット記録用インク組成物。
  6. 前記第1の樹脂粒子の含有量が、インク組成物中、0.5〜2重量%である、請求項4又は5記載のインクジェット記録用インク組成物。
  7. 前記第2の樹脂粒子の含有量が、インク組成物中、2〜5重量%である、請求項4〜6の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  8. 前記第1の樹脂粒子と前記第2の樹脂粒子との重量比(前者:後者)が、1:10〜10:1である、請求項4〜7の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  9. 更に、アルカリ添加剤として、無機アルカリ及び有機アルカリを両種共に含有する、請求項1〜8の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  10. 更に、アセチレングリコール系界面活性剤を含有する、請求項1〜9の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  11. 更に、水溶性グリコール類を含有する、請求項1〜10の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物を含むインクカートリッジ。
  13. 請求項1〜11の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて画像を形成する記録方法。
  14. 請求項1〜11の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて画像を形成する記録システム。
  15. 請求項1〜11の何れかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて画像が形成されてなる記録物。

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