JP2007161870A - ゴムロール組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の工業用ゴムロール組成物は、結合アクリロニトリル量が30〜48重量%である、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを更に水素添加させてなり、かつ残存二重結合が4重量%以下である、水素添加カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを40重量%以上含有するゴム成分100重量部に対し、アクリル−エステル複合体を3〜17重量部含有する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、結合アクリロニトリル量が30〜48重量%である、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを更に水素添加させてなり、かつ残存二重結合が4重量%以下である水素添加カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを40重量%以上含有するゴム成分100重量部に対し、アクリル−エステル複合体を3〜17重量部含有する、過酸化物加硫系の工業用ゴムロール組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記工業用ゴムロール組成物を軸芯材に外装し、加硫してなる工業用ゴムロールを提供する。
本発明の工業用ゴムロール組成物は、過酸化物加硫系の工業用ゴムロール組成物であり、結合アクリロニトリル量が30〜48重量%である、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを更に水素添加させてなり、かつ残存二重結合が4重量%以下である水素添加カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを40重量%以上含有するゴム成分100重量部に対し、アクリル−エステル複合体を3〜17重量部含有する、過酸化物加硫系の工業用ゴムロール組成物である。
本発明の工業用ゴムロール組成物は、過酸化物加硫して工業用ゴムロールを製造するための組成物であることを意味する。すなわち、本発明の工業用ゴムロール組成物は、過酸化物系加硫剤を用いて過酸化物加硫して工業用ゴムロールを製造するための組成物である。
本発明の工業用ゴムロール組成物は、結合アクリロニトリル量が30〜48重量%であるカルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを更に水素添加させてなり、かつ残存二重結合が4重量%以下である、水素添加カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを40重量%以上含有するゴム成分、及びアクリル−エステル複合体を3〜17重量部含有する。
上記ゴム成分は、上記水素添加カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴムを40重量%以上含んでなるが、それ以外の成分は、好ましくはアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(汎用NBR)及び/又は水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(H−NBR)である。汎用NBR及びH−NBRは、いずれかを用いてもよく、又は両者を用いてもよい。両者を用いる場合、その混合割合に特に制限はなく、適宜決定することができる。
吸油量、平均粒子径及び比表面積が上記範囲の無機フィラーを用いることにより、工業用ゴムロール組成物に未加硫生地の収縮性や混練時の密着防止が改善され、更に生地の肌の改善も可能となり、安定した製造品質を確保することが可能となる。
無機フィラーの含有量が、上記ゴム成分100重量部に対し、5重量部未満であると、上述の効果が得られない場合があり、一方18重量部をを超えると、耐摩耗性が低下する場合がある。
なお、JIS硬度Aとは、JIS K6253に従い、測定した値を意味する。
M=(Hd−50)/100%Mod
上記式において、HdはJIS硬度Aの値を表し、100%Modは100%伸長時の弾性率(MPa)を表わす。
上記特性値Mを上記範囲とすることにより、耐圧縮永久歪みが向上し、また耐熱性の良好な架橋構造及び高弾性率を有する架橋構造のゴムロール材料となる。
なお、上記特性値Mが5.5を超えると、高温時における耐圧縮永久歪が低下する場合があり、一方、Mが3.3未満であると、耐引裂性やゴムの破壊特性が低下する場合がある。
本発明の工業用ゴムロール組成物は、工業用ゴムロール、すなわち、印刷用及びOA用に用いられるものを除くフィルム用、製鉄用、製紙用等の工業用材料及び製品用に用いられるゴムロールや、又はフリクションロールを製造するための材料として用いることができる。
本発明の工業用ゴムロールは、上述した本発明の工業用ゴムロール組成物を軸芯材に外装し、加硫してなる。
本発明のゴムロールは、上述した本発明の工業用ゴムロール組成物を材料とし、通常のバンバリーミキサーやニーダー等によって混練し、未加硫のゴムシート又は押出し機でリボン状ゴムを押出し、これを金属製の芯材に渦巻き状に巻き付けて成形し、引き続き、加硫装置で加硫を行うことによって製造することができる。用いられる金属製の芯材としては、例えば、一般には鉄、アルミニウム、ステンレス等からなるものが挙げられる。
本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、本発明の範囲は、かかる実施例に限定されないことはいうまでもない。
(1)硬度
硬度とは、配合組成物の加硫品の硬さを意味し、硬度は、JIS K6253に従い、JIS A型硬度計を用いて測定した。
強度とは、配合組成物の加硫品の引張り時の破断強度を意味し、測定はJIS K6251に準じて行った。
伸びとは、配合組成物の加硫品の引張り時の破断伸びを意味し、測定は、JIS K6251に準じて行った。
100%伸長時の弾性率とは、配合組成物の加硫品の100%伸張時の応力(MPa)を意味し、測定は、JIS K6251に準じて行った。
2mm厚のゴムロールシートの生地を台の上に固定し、そのシートに金属ローラ(30Φ×巾2mm)に、2mmの厚みのシート生地を巻き付けた後、ローラを一定荷(160g/cm2)で5秒間圧着した後、ローラを引き離す時の力を測定した。測定は、明和ゴム工業社製、粘着力測定機を用いて行った。この測定値が大きいほどタック性(粘着性)が良好であると判断される。また、タック性(粘着性)が良好であるものは、成形時のゴム/ゴム間の密着が良好であり、エアー入り等も少なくなり、品質が安定し、加工性が良好であると判断される。
ロールにてゴムロールシート生地を2mm圧にシーティングした後、生地幅15cm、長さ25cmの長方形に切断し、次いで、台上に自然放置して、5分後の長さ方向の収縮量を測定した。5分後の長さ方向の収縮率(%)を用いて評価を行った。この測定値が小さい方が、成形時のシートの収縮が少なく、安定な成形ができるため、加工性が良好であると判断される。
ゴムロール組成物を加硫した後、施盤上で砥石研磨する場合の研磨状態を観察した。ゴムの粘り発生等が発生せずに表面がきれいに仕上がるか否かを肉眼で外観評価した。評価は以下の評価基準に従って行った。
○:ゴムがねばつかず、研磨面が均一できれいに仕上がる。
△:ゴムのねばりがややあり、研磨面がやや不良である。
×:ゴムがねばりつき、研磨面にバラツキが発生し、研磨面が不良である。
研磨性が良好であると判定される場合、表面がきれいに仕上がる。研磨性が劣ると、ゴムがねばついて、研磨時間がかかり、かつ研磨面の品質も劣る。
アクロン型摩耗試験機(上島製作所(株)製)にて回転砥石に回転ゴムサンプルを、回転砥石の回転方向に対して15度の角度になるように取り付け、ゴムサンプルが1000回転した後のゴムの摩耗減量(体積換算)を測定した。この数値が小さい方が、耐摩耗性が良好であると評価できる。
長さ30cm、外径38mmΦの鉄芯に接着剤(タイプライBN又はケムロック205/220)を塗布した後、シート状ゴムを渦巻き状に形成し(ゴム厚15mm)加硫してゴムロールとした。加硫した後、ゴムロールの1断面を長さ方向に鉄芯に沿って鉄芯の界面まで部分研磨した。研磨後、ゴムと鉄芯との界面の接着剥がれ量を肉眼にて外観評価(ゴム付き状態の観察)した。界面の剥がれがない場合は接着が良好であると評価した。
接着性は以下の3段階で評価を行った。
A:長さ方向の剥がれがない(ゴム付き状態が100%である)。
B:長さ方向の剥がれが部分的である(ゴム付き状態が50%以上100%未満である)。
C:名朝方向の剥がれが全面的である(ゴム付き状態が50%未満である)。
2mm厚みの加硫サンプルを短冊状(幅1.5cm×長さ12cm)に切断し、サンプルを長さ方向の中心で重なるように折り曲げ(角度0)、折り曲げた中心部を一定荷重(0.6kg/cm2)で圧着した。圧着した状態で、サンプルを120℃のオーブンに12時間入れて加熱した。12時間経過した後、サンプルを取り出し、同時に圧着力を開放して自然冷却させた。冷却した後、短冊状サンプルの中心部におけるセット量(圧着永久歪)角度を測定した。荷重を取り除いた後のセット角度が大きいほど、圧縮永久歪が良好であるといえ、180度の場合は圧着永久歪は0となる。従って、耐圧縮永久歪み性=(180−セット角度)/180で計算して評価を行った。この値(指数)が小さいほど、良好であると判断する。
HIOK社製「3453 DIGITAL MΩ HITESTER」を用いて、250V時の表面電気抵抗度(Ωm)を測定した。この電気抵抗度抵抗度が小さいほど、導電性が良好であると評価できる。
3mm厚みの加硫サンプルをオーブンに入れて、110℃で72時間加熱を行い、空気酸化劣化させた。空気酸化劣化させた後のゴムの破壊伸びを、東洋精器(株)製、STROGRAPH−R2を用いて測定し、加熱前後の破壊伸びを対比し、その変化率を求めた。この変化率が小さいほど、耐熱老化性は良好であると評価できる。なお、表中において、∞は、上記測定器では電気抵抗が大きすぎて測定できない(非導電性)ことを意味する。
(13)ブリード性
配合組成物を加硫した後(厚さ2mmのシート状に)、台上に室温(約25℃)で7日間放置した後、ゴム表面を観察し、表面に配合組成物中の可塑剤(オイル分)が移行してべたつきがあるか否かを観察した。べつぎがある場合、ブリード性ありと判断した。
表1に示す配合の工業用ゴムローム組成物を、バンバリーミキサーにて混練りして製造した。なお、以下の実施例において、表中の数字は、全て重量部を表す。得られたゴムロール組成物について、上述した評価を行った。結果を表2に示す。
表3に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、工業用ゴムロール組成物を得た。なお、表3に示す成分は、実施例1と同様のものを用いた。得られた工業用ゴムロール組成物について、上述した評価を行った。結果を表4に示す。
表5(実施例9〜13)、表6(比較例5〜6)に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、工業用ゴムロール組成物を得た。なお、表5、表6に示す成分は、実施例1と同様のものを用いた。得られた工業用ゴムロール組成物について、上述した評価を行った。結果を表7(実施例9〜13)、表8(比較例5〜6)に示す。
表9に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、工業用ゴムロール組成物を得た。なお、表9に示す成分は、実施例1と同様のものを用いた。得られた工業用ゴムロール組成物について、上述した評価を行った。結果を表10に示す。
表11(実施例17〜19)及び表12(比較例9〜11)に示す配合を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行い、工業用ゴムロール組成物を得た。なお、表13、表14に示す成分は、実施例1と同様のものを用いた。得られた工業用ゴムロール組成物について、上述した評価を行った。結果を表13(実施例17〜19)及び表14(比較例9〜11)に示す。
Claims (8)
- 結合アクリロニトリル量が30〜48重量%である、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを更に水素添加させてなり、かつ残存二重結合が4重量%以下である水素添加カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエンゴムを40重量%以上含有するゴム成分100重量部に対し、アクリル−エステル複合体を3〜17重量部含有する、過酸化物加硫系の工業用ゴムロール組成物。
- 上記ゴム成分が、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム及び/又は水素添加アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムを含有する、請求項1に記載の工業用ゴムロール組成物。
- 上記ゴム成分100重量部に対し、溶解度係数(SP値)が9〜10のテルペン系フェノール樹脂を3〜12重量部含有する、請求項1又は2に記載の工業用ゴムロール組成物。
- 上記ゴム成分100重量部に対し、
吸油量が40〜60ml/gであり、平均粒子径が2〜5μmであり、比表面積が10〜14m2/gである、シランカップリング剤で表面処理された無機フィラーを、5〜18重量部含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の工業用ゴムロール組成物。 - 上記ゴム成分100重量部に対し、カチオン・ノニオン複合体を8〜15重量部含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の工業用ゴムロール組成物。
- 過酸化物加硫させたときの表面電気抵抗値が108Ωcm以下である、請求項5に記載の工業用ゴムロール組成物。
- 過酸化物加硫させたときのJIS硬度Aが55〜95度であり、下記式で表される特性値Mが3.3〜5.4である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の工業用ゴムロール組成物。
M=(Hd−50)/100%Mod
(上記式において、HdはJIS硬度Aの値を表し、100%Modは100%伸長時の弾性率(MPa)を表わす。) - 請求項1〜7のいずれか1項に記載の工業用ゴムロール組成物を軸芯材に外装し、加硫してなる工業用ゴムロール。
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