JP2007147173A - 熱交換器およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性が向上した熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器は、1対のヘッダタンク2,3と、複数の熱交換管4とを備えている。各ヘッダタンク2,3は、外側プレート7と、内側プレート8と、中間プレート9とからなる。外側プレート7に外方膨出部11A,11B,24を形成する。内側プレート8に複数の管挿入穴18を形成する。中間プレート9に内側プレート8の各管挿入穴18を外側プレート7の外方膨出部11A,11B,24内に通じさせる連通穴22を形成する。外側プレート7に凸部28を形成し、中間プレート9に凸部28が嵌る凹部29を形成する。内側プレート8の管挿入穴18の穴長さ方向に伸びる両側縁部を中間プレート9側に曲げることにより、中間プレート9の連通穴22内に嵌る突出部26を形成する。
【選択図】図7
【解決手段】熱交換器は、1対のヘッダタンク2,3と、複数の熱交換管4とを備えている。各ヘッダタンク2,3は、外側プレート7と、内側プレート8と、中間プレート9とからなる。外側プレート7に外方膨出部11A,11B,24を形成する。内側プレート8に複数の管挿入穴18を形成する。中間プレート9に内側プレート8の各管挿入穴18を外側プレート7の外方膨出部11A,11B,24内に通じさせる連通穴22を形成する。外側プレート7に凸部28を形成し、中間プレート9に凸部28が嵌る凹部29を形成する。内側プレート8の管挿入穴18の穴長さ方向に伸びる両側縁部を中間プレート9側に曲げることにより、中間プレート9の連通穴22内に嵌る突出部26を形成する。
【選択図】図7
Description
この発明は熱交換器およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、たとえばCO2(二酸化炭素)などの超臨界冷媒が用いられる超臨界冷凍サイクルのガスクーラやエバポレータに好適に使用される熱交換器およびその製造方法に関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。さらに、この明細書および特許請求の範囲において、「超臨界冷凍サイクル」とは、高圧側において、冷媒が臨界圧力を超えた超臨界状態となる冷凍サイクルを意味するものとし、「超臨界冷媒」とは、超臨界冷凍サイクルに用いられる冷媒を意味するものとする。
超臨界冷凍サイクルに用いられる熱交換器として、本出願人は先に、互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部が両ヘッダタンクに接続された扁平状熱交換管と、隣接する熱交換管間の通風間隙に配置されかつ熱交換管にろう付されたフィンとを備えており、各ヘッダタンクが、外側プレートと、内側プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、外側プレートに、外側プレートの長さ方向にのびかつ中間プレートにより開口が閉鎖された外方膨出部が形成され、内側プレートにおける外方膨出部と対応する部分に、複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、内側プレートの両側縁部に、外側プレートと中間プレートとの境界部分を全長にわたって覆う被覆壁が一体に設けられて両プレートいるとともに、被覆壁の先端部に、外側プレートの外面に係合する係合部が一体に設けられ、被覆壁が外側プレートおよび中間プレートの両側面にろう付されるとともに、係合部が外側プレートにろう付され、中間プレートに、内側プレートの挿入穴よりも一回り大きくかつ各管挿入穴を外側プレートの外方膨出部内に通じさせる連通穴が貫通状に形成され、熱交換管の両端部が、両ヘッダタンクの内側プレートの管挿入穴および中間プレートの連通穴に挿入されるとともに、内側プレートにろう付されている熱交換器を提案した(特許文献1参照)。
この熱交換器は、特許文献1に記載されているように、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、外方膨出部を有する外側プレートをつくること、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、長さ方向に間隔をおいて形成された複数の管挿入穴と、幅方向の両側縁部に形成された被覆壁と、被覆壁の先端に連なって形成された係合部形成用突片を有する内側プレートをつくること、アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより、長さ方向に間隔をおいて形成された複数の連通穴を有する中間プレートをつくること、3つのプレートを積層し、内側プレートの係合部形成用突片を内方に曲げて係合部を形成するとともに係合部を外側プレートに係合させて3つのプレートを仮止めすることによって、2つの仮止め体をつくること、複数の熱交換管およびフィンを用意すること、2つの仮止め体を、内側プレートどうしが対向するように間隔をおいて配置すること、複数の熱交換管とフィンとを交互に配置すること、熱交換管の両端部を両仮止め体の内側プレートの管挿入穴に挿入すること、ならびに仮止め体の3つのプレートを相互にろう付してヘッダタンクを形成するとともに、被覆壁を外側プレートおよび中間プレートン両側面に、係合部を外側プレートにそれぞれろう付し、これと同時に、熱交換管をヘッダタンクに、フィンを熱交換管にそれぞれろう付することによって製造されている。
しかしながら、上記方法では、3つのプレートを積層した後、内側プレートの係合部形成用突片を内方に曲げて係合部を形成するとともに係合部を外側プレートに係合させて3つのプレートを仮止めする際に、3つのプレートが長さ方向に位置ずれするおそれがある。そして、このような位置ずれを防止するには、位置決め専用の部材を用いて位置決めを行う必要があり、生産性が低下する。
特開2005−300135号公報
この発明の目的は、上記問題を解決し、生産性が向上した熱交換器を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の扁平状熱交換管と、隣り合う熱交換管どうしの間に配されて熱交換管にろう付されたフィンとを備えており、各ヘッダタンクが、外側プレートと、内側プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、外側プレートに、外側プレートの長さ方向にのびかつ中間プレートにより開口が閉鎖された外方膨出部が形成され、内側プレートにおける外方膨出部と対応する部分に、複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、内側プレートの各管挿入穴を外側プレートの外方膨出部内に通じさせる連通穴が貫通状に形成された熱交換器において、
外側プレートの内側を向いた面および中間プレートの外側を向いた面のうちいずれか一方に凸部が形成されるとともに、同他方に凸部が嵌る凹部が形成され、内側プレートにおける管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部に、中間プレート側に突出しかつ連通穴内に嵌る突出部が形成されている熱交換器。
外側プレートの内側を向いた面および中間プレートの外側を向いた面のうちいずれか一方に凸部が形成されるとともに、同他方に凸部が嵌る凹部が形成され、内側プレートにおける管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部に、中間プレート側に突出しかつ連通穴内に嵌る突出部が形成されている熱交換器。
2)凸部が凹部内に圧入されている上記1)記載の熱交換器。
3)外側プレートに凸部が形成されるとともに、中間プレートに凹部が形成されている上記1)または2)記載の熱交換器。
4)外側プレートが金属板にプレス加工を施すことにより形成されており、凸部が半抜き加工により形成されている上記3)記載の熱交換器。
5)中間プレートの連通穴における穴長さ方向に伸びる両側面の内側プレート側の縁部に、内側プレートに向かって外側方に傾斜した傾斜部が設けられており、内側プレートの突出部が、傾斜部に密接した状態でろう付されている上記1)〜4)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
6)中間プレートが金属板にプレス加工を施すことにより形成されており、凹部が貫通穴からなる上記3)〜5)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
7)外側プレートに形成された凸部および凹部のうちのいずれか一方が、外側プレートの中心点に関して非点対称である上記1)〜6)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
8)内側プレートの両側縁部に、外側プレートと中間プレートとの境界部分を全長にわたって覆う被覆壁が一体に設けられているとともに、被覆壁の先端部に、外側プレートの外面に係合する係合部が一体に設けられ、被覆壁が外側プレートおよび中間プレートの両側面にろう付され、係合部が外側プレートにろう付されている上記1)〜7)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
9)内側プレートの突出部が、内側プレートにおける管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部−を、中間プレート側に曲げることによって形成されている上記1)〜8)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
10)内側プレートが金属板にプレス加工を施すことにより形成されている上記1)〜9)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
11)内側プレートおよび外側プレートが、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートで形成され、中間プレートがアルミニウムベア材で形成されている上記1)〜10)のうちのいずれかに記載の熱交換器。
12)上記1)記載の熱交換器を製造する方法であって、
両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、外方膨出部と、半抜き加工されかつ外方膨出部の膨出方向とは反対側に突出した凸部とを有する外側プレートをつくること、
両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、長さ方向に間隔をおいて形成された複数の管挿入穴と、管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部に形成された突出部と、幅方向の両側縁部に突出部と同方向に突出するように形成された被覆壁と、被覆壁の先端に連なった係合部形成用突片を有する内側プレートをつくること、
アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより、長さ方向に間隔をおいて形成された複数の連通穴と、連通穴における穴長さ方向に伸びる両側面の内側プレート側の縁部に設けられかつ内側プレートに向かって外側方に傾斜した傾斜部と、外側プレートの凸部が嵌る貫通穴状凹部を有する中間プレートをつくること、
3つのプレートを、中間プレートが中央部に位置し、かつ外側プレートの凸部が中間プレートの凹部に嵌るとともに内側プレートの突出部が中間プレートの連通穴内に嵌って傾斜部に密接するように積層し、内側プレートの係合部形成用突片を内方に曲げて係合部を形成するとともに係合部を外側プレートに係合させて3つのプレートを仮止めすることによって、2つの仮止め体をつくること、
複数の熱交換管およびフィンを用意すること、
2つの仮止め体を、内側プレートどうしが対向するように間隔をおいて配置すること、
複数の熱交換管とフィンとを交互に配置すること、
熱交換管の両端部を両仮止め体の内側プレートの管挿入穴に挿入すること、
ならびに仮止め体の3つのプレートを相互にろう付するとともに、被覆壁と外側プレートおよび中間プレートの両側面、係合部と外側プレート、突出部と傾斜部、ならびに凸部外周面と凹部内周面とをそれぞれろう付してヘッダタンクを形成し、これと同時に、熱交換管をヘッダタンクに、フィンを熱交換管にそれぞれろう付することを特徴とする熱交換器の製造方法。
両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、外方膨出部と、半抜き加工されかつ外方膨出部の膨出方向とは反対側に突出した凸部とを有する外側プレートをつくること、
両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、長さ方向に間隔をおいて形成された複数の管挿入穴と、管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部に形成された突出部と、幅方向の両側縁部に突出部と同方向に突出するように形成された被覆壁と、被覆壁の先端に連なった係合部形成用突片を有する内側プレートをつくること、
アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより、長さ方向に間隔をおいて形成された複数の連通穴と、連通穴における穴長さ方向に伸びる両側面の内側プレート側の縁部に設けられかつ内側プレートに向かって外側方に傾斜した傾斜部と、外側プレートの凸部が嵌る貫通穴状凹部を有する中間プレートをつくること、
3つのプレートを、中間プレートが中央部に位置し、かつ外側プレートの凸部が中間プレートの凹部に嵌るとともに内側プレートの突出部が中間プレートの連通穴内に嵌って傾斜部に密接するように積層し、内側プレートの係合部形成用突片を内方に曲げて係合部を形成するとともに係合部を外側プレートに係合させて3つのプレートを仮止めすることによって、2つの仮止め体をつくること、
複数の熱交換管およびフィンを用意すること、
2つの仮止め体を、内側プレートどうしが対向するように間隔をおいて配置すること、
複数の熱交換管とフィンとを交互に配置すること、
熱交換管の両端部を両仮止め体の内側プレートの管挿入穴に挿入すること、
ならびに仮止め体の3つのプレートを相互にろう付するとともに、被覆壁と外側プレートおよび中間プレートの両側面、係合部と外側プレート、突出部と傾斜部、ならびに凸部外周面と凹部内周面とをそれぞれろう付してヘッダタンクを形成し、これと同時に、熱交換管をヘッダタンクに、フィンを熱交換管にそれぞれろう付することを特徴とする熱交換器の製造方法。
13)外側プレートの凸部が、中間プレートの凹部内に圧入されるようになっており、外側プレートの凸部を中間プレートの凹部内に圧入することによって両プレートを仮止めした状態で内側プレートを重ね、これにより3つのプレートを積層する上記12)記載の熱交換器の製造方法。
14)圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、ガスクーラが上記1)〜11)のうちのいずれかに記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル。
15)圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、エバポレータが上記1)〜11)のうちのいずれかに記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル。
16)超臨界冷媒が二酸化炭素である上記14)または15)記載の超臨界冷凍サイクル。
17)上記14)〜16)のうちのいずれかに記載の超臨界冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
上記1)の熱交換器によれば、外側プレートの内側を向いた面および中間プレートの外側を向いた面のうちいずれか一方に凸部が形成されるとともに、同他方に凸部が嵌る凹部が形成され、内側プレートにおける管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部に、中間プレート側に突出しかつ連通穴内に嵌る突出部が形成されているので、この熱交換器の製造にあたって3つのプレートを積層する際に、凸部を凹部に嵌合することにより外側プレートと中間プレートの位置ずれが防止され、さらに内側プレートの突出部を中間プレートの連通穴内に嵌めることにより内側プレートと中間プレートの位置ずれが防止される。したがって、位置ずれ防止用の専用部材を用いなくても3つのプレートを正確に位置決めすることが可能になり、生産性が向上する。
上記2)の熱交換器によれば、凸部が凹部内に圧入されているので、この熱交換器の製造にあたって3つのプレートを積層する際に、凸部を凹部に圧入することにより外側プレートと中間プレートとを仮止めすることができ、両プレートを一体に取り扱うことが可能になる。したがって、生産性が一層向上する。
上記3)の熱交換器によれば、凹部が上記6)のように貫通穴からなる場合に、凸部と凹部との嵌合部のろう付が不完全であったとしても冷媒の外部への洩れを防止することができる。
上記4)の熱交換器によれば、外方膨出部および凸部を有する外側プレートを比較的簡単につくることができる。
上記5)の熱交換器によれば、内側プレートの中間プレートへのろう付面積が、特許文献1記載の熱交換器よりも大きくなり、内側プレートにおける管挿入穴の周囲の部分の耐圧強度を増大させることが可能になる。したがって、ヘッダタンクの耐圧性および内側プレートと熱交換管とのろう付部の耐圧性が向上する。しかも、熱交換管の両端部が、中間プレートにろう付された突出部を介して中間プレートにより管高さ方向の両側から拘束されるので、熱交換管の管高さ方向の耐圧性も向上する。その結果、熱交換器全体の耐圧性が向上する。
上記6)の熱交換器によれば、連通穴および凹部を有する中間プレートを比較的簡単につくることができる。
上記7)の熱交換器によれば、外側プレートに形成された凸部および凹部のうちのいずれか一方が、外側プレートの中心点に関して非点対称であるから、当然のことながら、中間プレートに形成された凸部および凹部のうちのいずれか他方も、中間プレートの中心点に関して非点対称となり、外側プレートと中間プレートとの誤組を防止することができ、所望の熱交換性能を得ることが可能になる。たとえば、外側プレートに長さ方向に間隔をおいて複数の外方膨出部が形成されており、各外方膨出部に通じる中間プレートの連通穴および内側プレートの管挿入穴の数が異なっている場合、両プレートを予め決められた向きに組み合わせないと、外方膨出部とこれに通じる連通穴、すなわち外方膨出部とこれに通じる熱交換管とが正確に組み合わせられないことになり、所望の熱交換性能が得られなくなる。この場合であっても、凸部と凹部が両プレートの中心点に関して非点対称となっているので、一方のプレートを逆向きに組み合わせると凸部と凹部の嵌合が不可能になり、両プレートの誤組が防止される。
上記8)の熱交換器によれば、被覆壁によって、ヘッダ部形成用プレートと中間プレートとの境界部分からの冷媒の洩れを防止することができる。また、係合部により3つのプレートを仮止めすることが可能になるので、別個に仮止め用の治具を必要としない。
上記9)の熱交換器によれば、内側プレートの突出部を比較的簡単に形成することができる。しかも、内側プレートの中間プレート側とは反対側の面における管挿入穴の管幅方向両側部分が、管挿入穴に向かって中間プレート側に傾斜することになるので、熱交換器の製造にあたって熱交換管の端部を管挿入穴に挿入する際に、上記傾斜面がガイドの働きをし、熱交換管の挿入を容易に行うことができる。
上記10)の熱交換器によれば、管挿入穴および突出部を有する内側プレートを比較的簡単につくることができる。
上記12)の熱交換器の製造方法によれば、3つのプレートを積層する際に、凸部を凹部に嵌合することにより外側プレートと中間プレートの位置ずれが防止され、さらに内側プレートの突出部を中間プレートの連通穴内に嵌めることにより内側プレートと中間プレートの位置ずれが防止される。したがって、位置ずれ防止用の専用部材を用いなくても3つのプレートを正確に位置決めすることが可能になり、生産性が向上する。また、係合部により3つのプレートを仮止めすることが可能になるので、別個に仮止め用の治具を必要としない。
上記13)の熱交換器の製造方法によれば、凸部を凹部に圧入することにより外側プレートと中間プレートとを仮止めすることができ、両プレートを一体に取り扱うことが可能になる。したがって、3つのプレートを積層して係合部により仮止めする際の作業性が向上し、生産性が一層向上する。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。この実施形態は、この発明による熱交換器を超臨界冷凍サイクルのガスクーラに適用したものである。
なお、以下の説明において、図1および図2の上下、左右をそれぞれ上下、左右という。また、隣接する熱交換管どうしの間の通風間隙を流れる空気の下流側(図1に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。
図1および図2はこの発明による熱交換器を適用した第1の実施形態のガスクーラの全体構成を示し、図3〜図6はその要部の構成を示し、図7および図8はヘッダタンクの製造方法を示す。また、図9および図10は熱交換管を示し、図11は熱交換管の製造方法を示す。
図1において、超臨界冷媒、たとえばCO2を使用する超臨界冷凍サイクルのガスクーラ(1)は、左右方向に間隔をおいて配置されかつ上下方向にのびる2つのヘッダタンク(2)(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に、上下方向に間隔をおいて並列状に配置された複数の扁平状熱交換管(4)と、隣接する熱交換管(4)どうしの間の通風間隙、および上下両端の熱交換管(4)の外側に配置されて熱交換管(4)にろう付されたコルゲートフィン(5)と、上下両端のコルゲートフィン(5)の外側にそれぞれ配置されてコルゲートフィン(5)にろう付されたアルミニウム製サイドプレート(6)とを備えている。なお、この実施形態において、右側のヘッダタンク(2)を第1ヘッダタンク、左側のヘッダタンク(3)を第2ヘッダタンクというものとする。
図2〜図6に示すように、第1ヘッダタンク(2)は、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成された外側プレート(7)と、両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートから形成された内側プレート(8)と、金属ベア材、ここではアルミニウムベア材からなりかつ外側プレート(7)と内側プレート(8)との間に介在させられた中間プレート(9)とが、積層されて互いにろう付されることにより構成されている。
外側プレート(7)に、上下方向にのび、かつ膨出高さ、長さおよび幅の等しい複数、ここでは2つのドーム状外方膨出部(11A)(11B)が上下方向に間隔をおいて形成されている。外側プレート(7)における各外方膨出部(11A)(11B)の左側を向いた開口の周縁部は中間プレート(9)にろう付され、各外方膨出部(11A)(11B)の左側を向いた開口は中間プレート(9)により塞がれている。その結果、各外方膨出部(11A)(11B)内は上下両端が閉鎖された冷媒流通部となっており、第1ヘッダタンク(2)の各外方膨出部(11A)(11B)と対応する部分が、ヘッダ部となっている。また、外側プレート(7)には、左右方向内方に突出した2つの凸部(28)が半抜き加工により形成されている。外側プレート(7)は、これを左右方向外方または内方から見た際の中心点(O)に関して点対称な形状である。すなわち、外側プレート(7)の外形、外方膨出部(11A)(11B)および凸部(28)は中心点(O)に関して点対称となっており、中心点(O)の周りに180度回転させて上下逆向きにしても全く同一の形状となる。
外側プレート(7)の上側外方膨出部(11A)の頂部に冷媒入口(12)が形成されており、外方膨出部(11A)外面に、冷媒入口(12)に通じる冷媒流入路(14)を有する金属製、ここではアルミニウムベア材製入口部材(13)が、外側プレート(7)の外面のろう材を利用してろう付されている。また、下側外方膨出部(11B)の頂部に冷媒出口(15)が形成されており、外方膨出部(11B)外面に、冷媒出口(15)に通じる冷媒流出路(17)を有する金属製、ここではアルミニウムベア材製出口部材(16)が、外側プレート(7)の外面のろう材を利用してろう付されている。外側プレート(7)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施して、外方膨出部(11A)(11B)、冷媒入口(12)、冷媒出口(15)および凸部(28)を同時に形成することによりつくられている。
内側プレート(8)に、前後方向に長い複数の貫通状管挿入穴(18)が、上下方向に間隔をおいて形成されている。上半部の複数の管挿入穴(18)は、外側プレート(7)の上側外方膨出部(11A)の上下方向の範囲内に形成され、同じく下半部の複数の管挿入穴(18)は、下側外方膨出部(11B)の上下方向の範囲内に形成されている。また、管挿入穴(18)の前後方向の長さは、各外方膨出部(11A)(11B)の前後方向の幅よりも若干長く、管挿入穴(18)の前後両端部は外方膨出部(11A)(11B)の前後両側縁よりも外方に突出している。また、内側プレート(8)の前後両側縁部に、それぞれ右方に突出して先端が外側プレート(7)の外面まで至り、かつ外側プレート(7)と中間プレート(9)との境界部分を全長にわたって覆う被覆壁(19)が一体に形成され、外側プレート(7)および中間プレート(9)の前後両側面にろう付されている。各被覆壁(19)の突出端に、外側プレート(7)の外面に係合する複数の係合部(21)が、上下方向に間隔をおいて一体に形成され、外側プレート(7)にろう付されている。
内側プレート(8)における管挿入穴(18)の管幅方向(上下方向)の両側部分、すなわち内側プレート(8)における管挿入穴(18)の穴長さ方向に伸びる両側縁部には、内側プレート(8)が左右方向外方に曲げられることによって、管挿入穴(18)側に向かって中間プレート(7)側(左右方向外側)に若干傾斜した傾斜部を介して、左右方向外側、すなわち中間プレート(7)側に突出した突出部(26)が一体に形成されている。突出部(26)の上下方向外側面は、左右方向外側に向かって管挿入穴(18)側に傾斜した傾斜面となっている。内側プレート(8)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施して、管挿入穴(18)、被覆壁(19)、後述する被覆壁(19)に真っ直ぐに連なった係合部形成用突片(21A)および突出部(26)を同時に形成することによりつくられている。
中間プレート(9)に、内側プレート(8)の管挿入穴(18)を外側プレート(7)の外方膨出部(11A)(11B)内に通じさせる貫通状連通穴(22)が、管挿入穴(18)と同じ数だけ形成されている。各連通穴(22)は、内側プレート(8)の各管挿入穴(18)と対応する位置に形成されており、連通穴(22)の穴幅は管挿入穴(18)と同じになっている。中間プレート(9)の連通穴(22)の穴長さ方向に伸びる上下両側面(22a)における内側プレート(8)側の縁部(左右方向内側縁部)には、内側プレート(8)側(左側)に向かって上下方向外方に傾斜した傾斜部(27)が設けられている。中間プレート(9)の傾斜部(27)に、内側プレート(8)の突出部(26)の傾斜面が密接させられた状態でろう付されている。中間プレート(9)の連通穴(22)の穴長さ方向両端部(前後両端部)において、その内周面における中間プレート(9)の板厚方向の中間部に、連通穴(22)の内方に突出しかつ熱交換管(4)の端面が当接する段部(25)が形成されている。中間プレート(9)の段部(25)における連通穴(22)内周面からの突出高さは、熱交換管(4)の後述する冷媒通路(4a)を塞がないような高さとされている。
内側プレート(8)の上半部の複数の管挿入穴(18)は、中間プレート(9)の上半部の複数の連通穴(22)を介して上側外方膨出部(11A)内に通じさせられ、同じく下半部の複数の管挿入穴(18)は、中間プレート(9)の下半部の複数の連通穴(22)を介して下側外方膨出部(11B)内に通じさせられている。上側外方膨出部(11A)内に通じるすべての連通穴(22)および管挿入穴(18)と、下側外方膨出部(11B)内に通じるすべての連通穴(22)および管挿入穴(18)とは同数である。また、上側外方膨出部(11A)内に通じるすべての連通穴(22)、および下側外方膨出部(11B)内に通じるすべての連通穴(22)は、それぞれ中間プレート(9)における隣り合う連通穴(22)間の部分を切除することにより形成された連通部(23)により連通させられており、これにより中間プレート(9)に、外方膨出部(11A)(11B)内に通じる冷媒流通部が形成されている。
また、中間プレート(9)には、外側プレート(7)の凸部(28)を圧入しうる貫通穴状の凹部(29)が形成されている。中間プレート(9)は、外側プレート(7)と同様に、これを左右方向外方または内方から見た際の中心点に関して点対称な形状である。すなわち、中間プレート(9)の外形、連通穴(22)、連通部(23)および凹部(29)は中心点に関して点対称となっており、中心点の周りに180度回転させて上下逆向きにしても全く同一の形状となる。中間プレート(9)は、アルミニウムベア材にプレス加工を施して、連通穴(22)、連通部(23)、段部(25)、傾斜部(27)および凹部(29)を同時に形成することによりつくられている。
第2ヘッダタンク(3)は、第1ヘッダタンク(2)とほぼ同様な構成であり、同一物および同一部分に同一符号を付す(図2参照)。両ヘッダタンク(2)(3)は、内側プレート(8)どうしが対向するように配置されている。第2ヘッダタンク(3)における第1ヘッダタンク(2)との主な相違点は、外側プレート(7)に、第1ヘッダタンク(2)の外方膨出部(11A)(11B)の数よりも1つ少ない数、ここでは1つのドーム状外方膨出部(24)が、第1ヘッダタンク(2)の両外方膨出部(11A)(11B)にまたがるように外側プレート(7)の上端部から下端部にかけて形成されている点、外方膨出部(24)に冷媒入口および冷媒出口が形成されていない点、内側プレート(8)のすべての管挿入穴(18)が中間プレート(9)のすべての連通穴(22)を介して外方膨出部(24)内に通じている点、ならびに中間プレート(9)のすべての連通穴(22)が、隣り合う連通穴(22)間の部分を切除することにより形成された連通部(23)により連通させられている点である。外方膨出部(24)の膨出高さおよび幅は、第1ヘッダタンク(2)の外方膨出部(11A)(11B)の膨出高さおよび幅と等しくなっている。また、外側プレート(7)の2つの凸部(28)および中間プレート(9)の凹部(29)は、第1ヘッダタンク(2)の場合と同様に、両プレート(7)(9)を左右方向外方または内方から見た際の中心点に関して点対称である。外側プレート(7)における外方膨出部(24)の右側を向いた開口の周縁部は中間プレート(9)にろう付され、外方膨出部(24)の右側を向いた開口は中間プレート(9)により塞がれている。その結果、外方膨出部(24)内は上下両端が閉鎖された冷媒流通部となっており、第2ヘッダタンク(3)の外方膨出部(24)と対応する部分が、ヘッダ部となっている。また、中間プレート(9)のすべての連通穴(22)および連通部(23)により、外方膨出部(24)内に通じる冷媒流通部が形成されている。
両ヘッダタンク(2)(3)は、図7および図8に示すようにして製造されている。
まず、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、外方膨出部(11A)(11B)(24)および凸部(28)を有する外側プレート(7)を形成する。なお、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)には冷媒入口(12)および冷媒出口(15)を形成しておく。また、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、管挿入穴(18)、突出部(26)、被覆壁(19)および被覆壁(19)に真っ直ぐに連なった係合部形成用突片(21A)を有する内側プレート(8)を形成する。さらに、アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより、連通穴(22)、連通部(23)、段部(25)、傾斜部(27)および凹部(29)を有する中間プレート(9)を形成する。
ついで、外側プレート(7)の凸部(28)を中間プレート(9)の凹部(29)内に圧入することによって両プレート(7)(9)を積層状態で仮止めし、さらに内側プレート(8)の突出部(26)の傾斜面が中間プレート(9)の傾斜部(27)に密接するように、内側プレート(8)を重ねることにより、3つのプレート(7)(8)(9)を積層状に組み合わせる。ついで、突片(21A)を曲げて係合部(21)を形成し、係合部(21)を外側プレート(7)に係合させて仮止め体をつくる。その後、仮止め体を所定温度に加熱し、外側プレート(7)のろう材層および内側プレート(8)のろう材層を利用して3つのプレート(7)(8)(9)を相互にろう付するとともに、被覆壁(19)と中間プレート(9)および外側プレート(7)の前後両側面、突出部(26)と傾斜部(27)、係合部(21)と外側プレート(7)、ならびに凸部(28)の外周面と凹部(29)の内周面とをそれぞれろう付する。こうして、両ヘッダタンク(2)(3)が製造されている。
熱交換管(4)は、図9および図10に示すように、互いに対向する平らな上下壁(31)(32)(1対の平坦壁)と、上下壁(31)(32)の前後両側縁どうしにまたがる前後両側壁(33)(34)と、前後両側壁間(33)(34)において上下壁(31)(32)にまたがるとともに長さ方向に伸びかつ相互に所定間隔をおいて設けられた複数の補強壁(35)とよりなり、内部に幅方向に並んだ複数の冷媒通路(4a)を有するものである。
前側壁(33)は2重構造であり、上壁(31)の前側縁より下方隆起状に一体成形されかつ熱交換管(4)の全高にわたる外側側壁用凸条(36)と、外側側壁用凸条(36)の内側において上壁(31)より下方隆起状に一体成形された内側側壁用凸条(37)と、下壁(32)の前側縁より上方隆起状に一体成形された内側側壁用凸条(38)とよりなる。外側側壁用凸条(36)は、下端部が下壁(32)の下面前側縁部に係合された状態で両内側側壁用凸条(37)(38)および下壁(32)にろう付されている。両内側側壁用凸条(37)(38)は、相互に突き合わされてろう付されている。後側壁(34)は、上下壁(31)(32)と一体に形成されている。下壁(32)の内側側壁用凸条(38)の先端面に、その長手方向に伸びる凸起(38a)が全長にわたって一体に形成され、上壁(31)の内側側壁用凸条(37)の先端面に、その長手方向に伸びかつ凸起(38a)が圧入される凹溝(37a)が全長にわたって形成されている。
補強壁(35)は、上壁(31)より下方隆起状に一体成形された補強壁用凸条(40)(41)と、下壁(32)より上方隆起状に一体成形された補強壁用凸条(42)(43)とが、相互に突き合わされてろう付されることにより形成されている。上壁(31)および下壁(32)には、それぞれ突出高さの異なる高低2種の補強壁用凸条(40)(41)(42)(43)が前後方向に交互に形成されており、上壁(31)における突出高さの高い補強壁用凸条(40)と下壁(32)における突出高さの低い補強壁用凸条(43)とがろう付され、上壁(31)における突出高さの低い補強壁用凸条(41)と下壁(32)における突出高さの高い補強壁用凸条(42)とがろう付されている。以下、上下両壁(31)(32)の突出高さの高い補強壁用凸条(40)(42)をそれぞれ第1補強壁用凸条といい、同じく低い補強壁用凸条(41)(43)をそれぞれ第2補強壁用凸条というものとする。上下両壁(31)(32)の第2補強壁用凸条(41)(43)の先端面に、その長手方向に伸びかつ他方の壁(32)(31)の第1補強壁用凸条(42)(40)の先端部が嵌る凹溝(44)(45)が全長にわたって形成されており、上下両壁(31)(32)の第1補強壁用凸条(40)(42)の先端部が凹溝(45)(44)内に嵌め入れられた状態で両補強壁用凸条(40)(43)および(41)(42)がろう付されている。
熱交換管(4)は、図11(a)に示すような管製造用金属板(50)を用いて製造される。管製造用金属板(50)は両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施すことにより形成されており、平らな上壁形成部(51)(平坦壁形成部)および下壁形成部(52)(平坦壁形成部)と、上壁形成部(51)および下壁形成部(52)を連結しかつ後側壁(34)を形成する連結部(53)と、上壁形成部(51)および下壁形成部(52)における連結部(53)とは反対側の側縁より上方隆起状に一体成形されかつ前側壁(33)の内側部分を形成する内側側壁用凸条(37)(38)と、上壁形成部(51)における連結部(53)とは反対側の側縁を外側方に延長することにより形成された外側側壁用凸条形成部(54)と、管製造用金属板(50)の幅方向に所定間隔をおいて上壁形成部(51)および下壁形成部(52)よりそれぞれ上方隆起状に一体成形された複数の補強壁用凸条(40)(41)(42)(43)とを備えており、上壁形成部(51)の第1補強壁用凸条(40)と下壁形成部(52)の第2補強壁用凸条(43)、および上壁形成部(51)の第2補強壁用凸条(41)と下壁形成部(52)の第1補強壁用凸条(42)とが、それぞれ連結部(53)の幅方向の中心線に対して対称となる位置にある。下壁形成部(52)の内側側壁用凸条(38)の先端面に凸起(38a)が、上壁形成部(51)の内側側壁用凸条(37)の先端面に凹溝(37a)がそれぞれ形成されている。また、上壁形成部(51)および下壁形成部(52)の第2補強壁用凸条(41)(43)の先端面には、他方の壁形成部(52)(51)の第1補強壁用凸条(42)(40)の先端部が嵌る凹溝(44)(45)が形成されている。
なお、両面にろう材がクラッドされたアルミニウムブレージングシートに圧延加工を施してその片面に側壁用凸条(37)(38)および補強壁用凸条(40)(41)(42)(43)が一体成形されていることにより、側壁用凸条(37)(38)および補強壁用凸条(40)(41)(42)(43)の両側面および先端面と、第2補強壁用凸条(41)(43)の凹溝(44)(45)の内周面と、上下壁形成部(50)(51)および外側側壁用凸条形成部(54)の上下両面とにろう材層(図示略)が形成される。
そして、管製造用金属板(50)を、ロールフォーミング法により、連結部(53)の両側縁で順次折り曲げていき(図11(b)参照)、最後にヘアピン状に折り曲げて内側側壁用凸条(37)(38)どうしを突き合わせるとともに、第1補強壁用凸条(40)(42)の先端部を第2補強壁用凸条(43)(41)の凹溝(45)(44)内に嵌め入れ、さらに凸起(38a)を凹溝(37a)内に圧入する。
ついで、外側側壁用凸条形成部(54)を折り曲げていき、両内側側壁用凸条(37)(38)の外面に沿わせるとともに、その先端部を変形させて下壁形成部(52)に係合させて折り曲げ体(55)を得る(図11(c)参照)。
その後、折り曲げ体(55)を所定温度に加熱し、内側側壁用凸条(37)(38)の先端部どうし、ならびに第1補強壁用凸条(40)(42)および第2補強壁用凸条(43)(41)の先端部どうしをそれぞれろう付するとともに、外側側壁用凸条形成部(54)と両内側側壁用凸条(37)(38)および下壁形成部(52)とをろう付することにより、熱交換管(4)が製造される。
熱交換管(4)の両端部は、それぞれ両ヘッダタンク(2)(3)の内側プレート(8)の管挿入穴(18)および中間プレート(9)の連通穴(22)内に挿入されるとともに、その端面が中間プレート(9)の段部(25)に当接した状態で、内側プレート(8)のろう材層および上述した管製造用金属板(50)のろう材層を利用して、内側プレート(8)の管挿入穴(18)および中間プレート(9)の連通穴(22)の内周面にろう付されている。すなわち、熱交換管(4)の両端部外周面全体と、両ヘッダタンク(2)(3)における内側プレート(8)の管挿入穴(18)の内周面全体とがろう付され、熱交換管(4)の両端部外周面全体のうち少なくとも管幅方向(前後方向)に伸びる両側面と、両ヘッダタンク(2)(3)における中間プレート(9)の連通穴(22)の内周面全体のうち少なくとも穴長さ方向(前後方向)に伸びる両側面(22a)とがろう付されている。
したがって、上半分の複数の熱交換管(4)の右端部は上側外方膨出部(11A)内に通じるように第1ヘッダタンク(2)に接続され、左端部は外方膨出部(24)内に通じるように第2ヘッダタンク(3)に接続されている。また、下半分の複数の熱交換管(4)の右端部は下側外方膨出部(11B)内に通じるように第1ヘッダタンク(2)に接続され、左端部は外方膨出部(24)内に通じるように第2ヘッダタンク(3)に接続されている。
コルゲートフィン(5)は両面にろう材層を有するブレージングシート、ここではアルミニウムブレージングシートを用いて波状に形成されたものである。
ガスクーラ(1)は、ヘッダタンク(2)(3)を製造する際の上述した2つの仮止め体と、複数の上述した折り曲げ体(55)と、複数のコルゲートフィン(5)とを用意すること、2つの仮止め体を、内側プレート(8)どうしが対向するように間隔をおいて配置すること、複数の折り曲げ体(55)とコルゲートフィン(5)とを交互に配置すること、折り曲げ体(55)の両端部をそれぞれ両仮止め体の内側プレート(8)の管挿入穴(18)および中間プレート(9)の連通穴(22)に挿入するとともに、その端面を中間プレート(9)の段部(25)に当接させること、両端のコルゲートフィン(5)の外側にサイドプレート(6)を配置すること、第1ヘッダタンク(2)を形成する外側プレート(7)の外方膨出部(11A)(11B)に入口部材(13)および出口部材(16)を配置すること、ならびに上述したように、仮止め体の必要部分をろう付してヘッダタンク(2)(3)を形成すると同時に、折り曲げ体(55)の必要部分をろう付して熱交換管(4)を形成し、さらに熱交換管(4)をヘッダタンク(2)(3)に、フィン(5)を熱交換管(4)に、サイドプレート(6)をフィン(5)に、入口部材(13)および出口部材(16)を外方膨出部(11A)(11B)にそれぞれろう付することによって製造される。
ガスクーラ(1)は、圧縮機、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器とともに超臨界冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
上述したガスクーラ(1)において、圧縮機を通過したCO2 が、入口部材(13)の冷媒流入路(14)を通って冷媒入口(12)から第1ヘッダタンク(2)の上側外方膨出部(11A)内に入り、分流して上側外方膨出部(11A)内に通じているすべての熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内に流入する。冷媒通路(4a)内に流入したCO2は、冷媒通路(4a)内を左方に流れて第2ヘッダタンク(3)の外方膨出部(24)内に流入する。外方膨出部(24)内に流入したCO2はその内部および中間プレート(9)の連通部(33)を通って下方に流れ、分流して下側外方膨出部(11B)に通じているすべての熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内に流入し、流れ方向を変えて冷媒通路(4a)内を右方に流れて第1ヘッダタンク(2)の下側外方膨出部(11B)内に入る。その後、CO2は冷媒出口(15)および出口部材(16)の冷媒流出路(17)を通って流出する。そして、CO2が熱交換管(4)の冷媒通路(4a)内を流れる間に、通風間隙を図1に矢印Xで示す方向に流れる空気と熱交換し、冷却される。
図12および図13はこの発明を適用したガスクーラの第2の実施形態を示す。
この実施形態の場合、図12および図13に示すように、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)の両外方膨出部(11A)(11B)の上下方向の長さは異なっており、その結果上側外方膨出部(11A)内に通じるすべての連通穴(22)および管挿入穴(18)の数と、下側外方膨出部(11B)内に通じるすべての連通穴(22)および管挿入穴(18)の数とが異なり、当然のことながら両外方膨出部(11A)(11B)内に通じる熱交換管(4)の数が異なっている。
第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)には、左右方向内方に突出した2つの凸部(60)が半抜き加工により形成されている。2つの凸部(60)は、外側プレート(7)を左右方向外方または内方から見た際の中心点(O)に関して非点対称にであり、両外方膨出部(11A)(11B)の上下方向の長さが異なっていることと相俟って、外側プレート(7)は、これを左右方向外方または内方から見た際の中心点(O)に関して点対称な形状となっている。すなわち、外側プレート(7)の外方膨出部(11A)(11B)および凸部(60)は中心点(O)に関して非点対称となっており、中心点(O)の周りに180度回転させて上下逆向きにした場合、元の形状に重ならない。
第1ヘッダタンク(2)の中間プレート(9)には、外側プレート(7)の2つの凸部(60)を圧入しうる貫通穴状の2つの凹部(61)が、中間プレート(9)を右方向外方または内方から見た際の中心点(O)に関して非点対称になるように形成されている。
その他の構成は第1の実施形態のガスクーラを同じであり、第1の実施形態のガスクーラと同様にして製造される。
第2の実施形態のガスクーラのように、第1ヘッダタンク(2)の外側プレート(7)に形成された2つの外方膨出部(11A)(11B)に通じる中間プレート(9)の連通穴(22)、内側プレート(8)の管挿入穴(18)および熱交換管(4)の数が異なっている場合、外側プレート(7)または中間プレート(9)を上下逆向きに組み合わせると、外方膨出部(11A)(11B)とこれに通じる連通穴(22)、管挿入穴(18)および熱交換管(4)とが正確に組み合わせられないことになり、所望の熱交換性能が得られなくなる。この場合であっても、凸部(60)と凹部(61)が両プレートの中心点(O)に関して非点対称となっているので、いずれか一方のプレート(7)または(9)を逆向きに組み合わせると凸部(60)と凹部(61)の嵌合が不可能になり、両プレートの誤組が防止される。
上記2つの実施形態においては、この発明による熱交換器が超臨界冷凍サイクルのガスクーラに適用されているが、この発明による熱交換器は上述した超臨界冷凍サイクルのエバポレータに適用されることもある。このエバポレータは、圧縮機、ガスクーラ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器とともにCO2などの超臨界冷媒を使用する超臨界冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして車両、たとえば自動車に搭載される。
また、上記実施形態においては、超臨界冷凍サイクルの超臨界冷媒として、CO2が使用されているが、これに限定されるものではなく、エチレン、エタン、酸化窒素などが使用可能である。
さらに、上記実施形態においては、熱交換管(4)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなる管製造用金属板を曲げた折り曲げ体(55)からなるが、これに限定されるものではなく、たとえば外周面にろう材層を有するアルミニウム押出形材からなるものであってもよい。
(1):ガスクーラ(熱交換器)
(2)(3):ヘッダタンク
(4):熱交換管
(7):外側プレート
(8):内側プレート
(9):中間プレート
(11A)(11B):外方膨出部
(18):管挿入穴
(22):連通穴
(22a):両側面
(24):外方膨出部
(25):段部
(26):突出部
(27):傾斜部
(28)(60):凸部
(29)(61):凹部
(31):上壁(平坦壁)
(32):下壁(平坦壁)
(33)(34):側壁
(2)(3):ヘッダタンク
(4):熱交換管
(7):外側プレート
(8):内側プレート
(9):中間プレート
(11A)(11B):外方膨出部
(18):管挿入穴
(22):連通穴
(22a):両側面
(24):外方膨出部
(25):段部
(26):突出部
(27):傾斜部
(28)(60):凸部
(29)(61):凹部
(31):上壁(平坦壁)
(32):下壁(平坦壁)
(33)(34):側壁
Claims (17)
- 互いに間隔をおいて配置された1対のヘッダタンクと、両ヘッダタンク間に間隔をおいて並列状に配置されかつ両端部がそれぞれ両ヘッダタンクに接続された複数の扁平状熱交換管と、隣り合う熱交換管どうしの間に配されて熱交換管にろう付されたフィンとを備えており、各ヘッダタンクが、外側プレートと、内側プレートと、これら両プレート間に介在させられた中間プレートとが互いに積層されてろう付されることにより構成され、外側プレートに、外側プレートの長さ方向にのびかつ中間プレートにより開口が閉鎖された外方膨出部が形成され、内側プレートにおける外方膨出部と対応する部分に、複数の管挿入穴が内側プレートの長さ方向に間隔をおいて貫通状に形成され、中間プレートに、内側プレートの各管挿入穴を外側プレートの外方膨出部内に通じさせる連通穴が貫通状に形成された熱交換器において、
外側プレートの内側を向いた面および中間プレートの外側を向いた面のうちいずれか一方に凸部が形成されるとともに、同他方に凸部が嵌る凹部が形成され、内側プレートにおける管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部に、中間プレート側に突出しかつ連通穴内に嵌る突出部が形成されている熱交換器。 - 凸部が凹部内に圧入されている請求項1記載の熱交換器。
- 外側プレートに凸部が形成されるとともに、中間プレートに凹部が形成されている請求項1または2記載の熱交換器。
- 外側プレートが金属板にプレス加工を施すことにより形成されており、凸部が半抜き加工により形成されている請求項3記載の熱交換器。
- 中間プレートの連通穴における穴長さ方向に伸びる両側面の内側プレート側の縁部に、内側プレートに向かって外側方に傾斜した傾斜部が設けられており、内側プレートの突出部が、傾斜部に密接した状態でろう付されている請求項1〜4のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 中間プレートが金属板にプレス加工を施すことにより形成されており、凹部が貫通穴からなる請求項3〜5のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 外側プレートに形成された凸部および凹部のうちのいずれか一方が、外側プレートの中心点に関して非点対称である請求項1〜6のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 内側プレートの両側縁部に、外側プレートと中間プレートとの境界部分を全長にわたって覆う被覆壁が一体に設けられているとともに、被覆壁の先端部に、外側プレートの外面に係合する係合部が一体に設けられ、被覆壁が外側プレートおよび中間プレートの両側面にろう付され、係合部が外側プレートにろう付されている請求項1〜7のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 内側プレートの突出部が、内側プレートにおける管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部を、中間プレート側に曲げることによって形成されている請求項1〜8のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 内側プレートが金属板にプレス加工を施すことにより形成されている請求項1〜9のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 内側プレートおよび外側プレートが、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートで形成され、中間プレートがアルミニウムベア材で形成されている請求項1〜10のうちのいずれかに記載の熱交換器。
- 請求項1記載の熱交換器を製造する方法であって、
両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、外方膨出部と、半抜き加工されかつ外方膨出部の膨出方向とは反対側に突出した凸部とを有する外側プレートをつくること、
両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工を施すことにより、長さ方向に間隔をおいて形成された複数の管挿入穴と、管挿入穴の穴長さ方向に伸びる両側縁部に形成された突出部と、幅方向の両側縁部に突出部と同方向に突出するように形成された被覆壁と、被覆壁の先端に連なった係合部形成用突片を有する内側プレートをつくること、
アルミニウムベア材にプレス加工を施すことにより、長さ方向に間隔をおいて形成された複数の連通穴と、連通穴における穴長さ方向に伸びる両側面の内側プレート側の縁部に設けられかつ内側プレートに向かって外側方に傾斜した傾斜部と、外側プレートの凸部が嵌る貫通穴状凹部を有する中間プレートをつくること、
3つのプレートを、中間プレートが中央部に位置し、かつ外側プレートの凸部が中間プレートの凹部に嵌るとともに内側プレートの突出部が中間プレートの連通穴内に嵌って傾斜部に密接するように積層し、内側プレートの係合部形成用突片を内方に曲げて係合部を形成するとともに係合部を外側プレートに係合させて3つのプレートを仮止めすることによって、2つの仮止め体をつくること、
複数の熱交換管およびフィンを用意すること、
2つの仮止め体を、内側プレートどうしが対向するように間隔をおいて配置すること、
複数の熱交換管とフィンとを交互に配置すること、
熱交換管の両端部を両仮止め体の内側プレートの管挿入穴に挿入すること、
ならびに仮止め体の3つのプレートを相互にろう付するとともに、被覆壁と外側プレートおよび中間プレートの両側面、係合部と外側プレート、突出部と傾斜部、ならびに凸部外周面と凹部内周面とをそれぞれろう付してヘッダタンクを形成し、これと同時に、熱交換管をヘッダタンクに、フィンを熱交換管にそれぞれろう付することを特徴とする熱交換器の製造方法。 - 外側プレートの凸部が、中間プレートの凹部内に圧入されるようになっており、外側プレートの凸部を中間プレートの凹部内に圧入することによって両プレートを仮止めした状態で内側プレートを重ね、これにより3つのプレートを積層する請求項12記載の熱交換器の製造方法。
- 圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、ガスクーラが請求項1〜11のうちのいずれかに記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル。
- 圧縮機、ガスクーラ、エバポレータ、減圧器およびガスクーラから出てきた冷媒とエバポレータから出てきた冷媒とを熱交換させる中間熱交換器を備えており、かつ超臨界冷媒を用いる超臨界冷凍サイクルであって、エバポレータが請求項1〜11のうちのいずれかに記載の熱交換器からなる超臨界冷凍サイクル。
- 超臨界冷媒が二酸化炭素である請求項14または15記載の超臨界冷凍サイクル。
- 請求項14〜16のうちのいずれかに記載の超臨界冷凍サイクルがカーエアコンとして搭載されている車両。
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- 2005-11-29 JP JP2005343056A patent/JP2007147173A/ja not_active Abandoned
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