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JP2007146154A - 波長変換器、照明装置および照明装置集合体 - Google Patents

波長変換器、照明装置および照明装置集合体 Download PDF

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JP2007146154A JP2006296848A JP2006296848A JP2007146154A JP 2007146154 A JP2007146154 A JP 2007146154A JP 2006296848 A JP2006296848 A JP 2006296848A JP 2006296848 A JP2006296848 A JP 2006296848A JP 2007146154 A JP2007146154 A JP 2007146154A
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Masato Fukutome
正人 福留
Fujito Nakakawaji
藤人 中川路
Masanobu Ishida
政信 石田
Tsutae Iryo
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Abstract

【課題】セレン化カドミウム(CdSe)等に代えて、安全性に優れた組成からなる半導体材料を用いて、CdSeを備えた変換器と同等以上の変換効率を有する波長変換器を提供する。
【解決手段】透明マトリクス中に蛍光体が分散しており、光源から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する波長変換器であって、前記蛍光体は、Ag元素と、インジウムまたはガリウムからなるIII族元素と、硫黄とを含有し、実質的にCd,Seを含有しない半導体微粒子を備えている波長変換器とした。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体微粒子を備えた蛍光体がマトリクス中に分散されてなる波長変換器と、発光素子から発せられる光を波長変換器内で波長変換して外部に取り出す照明装置と、その照明装置を複数具備してなる照明装置集合体とに関する。特に、電子ディスプレイ用のバックライト電源、または蛍光ランプ等に好適に用いられる照明用波長変換器および照明装置に関する。
半導体材料からなる発光素子(以下「LEDチップ」と言うことがある)は、小型で電力効率が良く鮮やかに発色する。LEDチップは、製品寿命が長い、オン・オフ点灯の繰り返しに強い、消費電力が低い、という優れた特徴を有するため、液晶等のバックライト光源や蛍光ランプ等の照明用光源への応用が期待されている。
LEDチップの発光装置への応用は、LEDチップの光の一部を蛍光体で波長変換し、当該波長変換された光と波長変換されないLEDの光とを混合して放出することにより、LEDの光とは異なる色を発光する発光装置として既に製造されている。
具体的には、白色光を発するために、LEDチップ表面に蛍光体を含む波長変換器を設けた発光装置が提案されている。例えば、nGaN系材料を使った青色LEDチップ上に(Y,Gd)3(Al,Ga)512の組成式で表されるYAG系蛍光体を含む波長変換器を形成した発光装置では、LEDチップから青色光が放出され、波長変換器で青色光の一部が黄色光に変化するため、青色と黄色の光が混色して白色を呈する発光装置が提案されている(特許文献1および2参照)。
このような構成の発光装置の一例を図4に示す。図4によれば、発光装置は、電極101が形成された基板102上に、中心波長が470nmの光を発する半導体材料を具備する発光素子103と、発光素子103を覆うように設けられた波長変換器104とを具備し、波長変換器104に蛍光体105を含有してなるものである。なお、所望により、発光素子103と波長変換器104との側面には、光を反射する反射体106を設け、側面に逃げる光を前方に焦光し、出力光の強度を高めることもできる。
この発光装置では、発光素子103から発する光が蛍光体105に照射されると、蛍光体105は励起されて可視光を発し、この可視光が出力として利用される。ところが、発光素子103の明るさを変えると、青色と黄色との光量比が変化するため、白色の色調が変化し、演色性に劣るといった問題がある。
そこで、このような課題を解決するために、図5における発光素子103として400nm以下のピークを有する紫色LEDチップを用いるとともに、波長変換器104には3種類の蛍光体115、116および117を高分子樹脂中に混ぜ込んだ構造を採用し、紫色光を赤色、緑色、青色の各波長に変換して白色を発光することが提案されている(特許文献3参照)。これにより、演色性を向上することができる。
しかしながら、特許文献3に記載の発光装置では、励起光400nm付近の紫外域領域に対する赤色成分の蛍光体(例えば、Y23S:Eu等)の発光効率が、他の蛍光体よりも著しく低いために、赤、緑、青の発光バランスの良い白色光を得ることができないといった問題がある。
そのため、発光効率の低い赤色蛍光体の混合量を増やすと、緑色および青色蛍光体から発せられた蛍光が赤色蛍光体に再吸収されるため、緑色および青系蛍光体の発光量が低く抑えられ、その結果白色発光装置の発光効率が向上しないという問題がある。また、発光効率の高い緑色、青色蛍光体の混合量を増やすことによって効率向上は図れるが、赤、緑、青の発光バランスの良い白色光を得ることができなくなるという問題がある。
従って、青色から赤色の幅広い波長領域において、蛍光量子効率の高いフォトルミネッセンス蛍光体が求められている。その要求にこたえる手段として、例えば下記特許文献4および5では、フォトルミネッセンス蛍光体をナノ粒子化することで対応することが提案されている。また、1994年にBhargavaらによって、粒子の半径がボーア半径以下になると、ドープ型蛍光体の発光量子効率が増大するという報告がなされた(非特許文献1参照)。
この発表以降、ナノ粒子の発光特性に関して様々な検討がなされ、特許文献4および5に代表されるようにフォトルミネッセンス蛍光体をナノ粒子化することにより発現する量子サイズ効果を利用して、発光効率をあげるというものである。具体的には、フォトルミネッセンス蛍光体の粒子径を従来の数μmから0.1nm〜100nmにすることにより、組成変更することなしに、発光効率を高めることができるというものである。
しかしながら、特許文献5の実施例では、フォトルミネッセンス蛍光体組成として、セレン化カドミウム(CdSe)をコアに用いたものしか開示されていない。
CdSeは2eV程度のバンドギャップであり、粒径を変化させて蛍光波長を変化させることが可能であるが、毒性が強く、工業上および環境上の問題がある。また、特許文献4および5の明細書中には、CdやSeを必須としない蛍光体組成としてZnSなどが例示されているが、それら組成からなる蛍光体はCdSeほどの発光効率を発現できないという問題点がある。
特許第2927279号公報 特開平11−261114号公報 特開2002−314142号公報 特開2004−71908号公報 特表2002−510866号公報 R.N.Bhargava et al,"Optical Properties of Manganese-Doped Nanocrystals of ZnS" Phys. Rev. Lett. 72 , 416 (1994)
本発明の課題は、毒性のあるCdSe等に代えて、安全性に優れた組成からなる半導体材料を用いて、CdSeを備えた変換器と同等以上の変換効率を有する波長変換器と、この波長変換器を用いた照明装置と、その照明装置を複数備えた照明装置集合体とを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、Ag元素、インジウムおよび硫黄などからなる半導体微粒子を用いれば、有害性が低くかつ効率良く光を変換することが可能な波長変換器が得られることを見出して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明における波長変換器、照明装置および照明装置集合体は、以下の特徴を有する。
(1)透明マトリクス中に蛍光体が分散しており、光源から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する波長変換器であって、前記蛍光体は、Ag元素と、周期表第III族元素と、硫黄とを含有し、実質的にCd,Seを含有しない半導体微粒子を備えていることを特徴とする波長変換器。
(2)前記半導体微粒子はさらに亜鉛を含有していることを特徴とする(1)に記載の波長変換器。
(3)前記半導体微粒子は、ZnαAgβInSγ(α=0.1〜1、β=0.1〜1、γ=2〜4)化合物からなることを特徴とする請求項1または2記載の波長変換器。
(4)前記半導体微粒子の表面は、前記半導体微粒子よりも大きなバンドギャップを有する半導体材料で被覆されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の波長変換器。
(5)前記半導体微粒子の表面は、有機化合物からなる表面修飾分子で被覆されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の波長変換器。
(6)前記半導体微粒子の表面に、前記半導体微粒子よりも大きなバンドギャップを有する半導体材料と、有機化合物からなる表面修飾分子とが順に積層されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の波長変換器。
(7)前記表面修飾分子は珪素−酸素の結合を2つ以上繰り返し有する分子であることを特徴とする(5)または(6)に記載の波長変換器。
(8)前記半導体微粒子の平均粒子径が0.5〜10nmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の波長変換器。
(9)平均粒子径の異なる前記半導体微粒子を備えた2種以上の蛍光体が分散していることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の波長変換器。
(10)前記出力光のピーク波長が400〜750nmであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の波長変換器。
(11)前記波長変換器の厚みが0.1〜5mmであることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の波長変換器。
(12)励起光を発する化合物半導体からなる発光素子と、前記励起光の波長を変換する波長変換器とを基板上に備え、前記波長変換器が(1)〜(11)のいずれかに記載の波長変換器であることを特徴とする照明装置。
(13)前記波長変換器の蛍光体が備える半導体微粒子の少なくとも一部のバンドギャップエネルギーが、発光素子が発するエネルギーよりも小さいことを特徴とする(12)に記載の照明装置。
(14)(12)または(13)に記載の照明装置を複数具備してなることを特徴とする照明装置集合体。
上記(1)〜(3)によれば、Ag元素と、周期表第III族元素と、硫黄と、必要に応じて亜鉛とが半導体微粒子に用いられている。そのため、有害性の高い原材料を用いる必要がなく、安全性の高い半導体材料によって、安全性に優れた波長変換器を実現することができる。また、Ag元素は安定性が高いため、バンド間の不純物準位を低減することができ、非常に優れた量子効率を実現できる。その結果、CdSeを用いなくとも、CdSeを備えた変換器と同等以上の変換効率を備えた波長変換器を提供することができる。このような波長変換器は、照明用波長変換器として好ましく用いられる。
上記(4)によれば、半導体微粒子の表面をその半導体微粒子よりも大きなバンドギャップからなる半導体材料で被覆することにより、半導体微粒子表面に存在する欠陥を低減できるとともに、半導体微粒子の量子閉じ込め効果が増大するため、蛍光体の量子効率を向上させることができる。この結果、変換効率の優れた波長変換器を実現することができる。
上記(5)および(6)によれば、半導体微粒子の表面を所定の表面修飾分子で被覆することによって、蛍光体をより均一に分散することができる。その結果、優れた変換効率を有する波長変換器が得られる。
上記(7)によれば、高分子樹脂、例えばシリコーン系の高分子樹脂に対する蛍光体の分散性が向上するため、出力する光にムラの少ない波長変換器が得られる。また、珪素−酸素の結合を2つ以上繰り返し有する分子は、この部分の結合が炭素−炭素の結合であるものと比べて、珪素−酸素の結合力が強いため、光や熱による分解を受けにくい。その結果、耐光性、耐熱性および透明性にも優れた波長変換器が得られる。さらに、珪素−酸素の結合を2つ以上繰り返し有する分子は、撥水性を備えているため、蛍光体を水分による劣化から守る効果も得られる。
上記(8)によれば、平均粒子径を0.5〜10nmとすることによって、蛍光効率の高い蛍光体(半導体超微粒子)を実現でき、波長変換器内に該蛍光体を分散させることによって、非常に変換効率の高い波長変換器が得られる。
上記(9)によれば、波長変換器内に、平均粒子径の異なる半導体微粒子を備えた蛍光体を2種以上分散させることにより、波長変換器内で複数の波長の光に変換されるため、幅広い波長範囲をカバーすることができる。その結果、この波長変換器を備えれば、演色性に優れた発光装置が得られる。
上記(10)によれば、波長変換器から出射される出力光のピーク波長が400〜750nmであることにより、幅広い波長範囲をカバーすることができるため、演色性を向上することができる。
上記(11)によれば、波長変換器の厚みを0.1〜5mmとすることによって、蛍光体による波長変換効率を向上でき、かつ変換された光が他の蛍光体により吸収されることを抑制することができる。その結果、この波長変換器を備えれば、高効率な照明装置が得られる。
上記(12)によれば、上記波長変換器を備えているため、安全性、演色性および発光効率に優れた照明装置を提供することができる。
上記(13)によれば、前記半導体微粒子の少なくとも一部のバンドギャップエネルギーを発光素子が発するエネルギーよりも小さくすることによって、発光素子が発するエネルギーを効率よく半導体微粒子に吸収させることができるため、発光装置の発光効率をさらに向上させることができる。
上記(14)によれば、上記照明装置を複数具備しているため、安全性、演色性および発光効率に優れた照明装置集合体が得られ、従来の蛍光灯に代わる非常に明るい省電力な照明装置集合体を実現できる。
(発光装置)
本発明の波長変換器および発光装置について、図を用いて以下説明する。図1は、本発明の発光装置の一実施形態示す概略断面図である。本発明の発光装置は、励起光を発する化合物半導体からなる発光素子3と、前記発光素子と電気的に接続し、かつ外部と接続させるための導体1と、前記励起光の波長を変換する波長変換器4とを基板2上に備えている。波長変換器4は、透明マトリクス中に分散している蛍光体5を備え、光源である発光素子3から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する。また、図1の発光装置は反射部材6を備えている。
図2に、本発明における発光装置の他の実施形態を示す。図2に示すように、発光素子3を被覆する内部層10を設けてもよい。内部層10は、例えば下記に示す透明マトリクスで形成することができ、シリコーン樹脂で形成することが好ましい。
(導体)
導体1は、発光素子3を電気的に接続するための導電路としての機能を有し、導電性接合材で発光素子3と接続されている。導体1としては、例えば、W,Mo,Cu,Ag等の金属粉末を含むメタライズ層を用いることができる。導体1は、基板2がセラミックスから成る場合、その上面に配線導体がタングステン(W),モリブデン(Mo)−マンガン(Mn)等から成る金属ペーストを高温で焼成して形成され、基板2が樹脂から成る場合、銅(Cu)や鉄(Fe)−ニッケル(Ni)合金等から成るリード端子がモールド成型されて基板2の内部に設置固定される。
(基板)
基板2は、熱伝導性に優れ、かつ全反射率の大きいことが求められるため、例えばアルミナ、窒素アルミニウム等のセラミック材料の他に、金属酸化物微粒子を分散させた高分子樹脂が好適に用いられる。
(発光素子)
発光素子3は、蛍光体の励起を効率的に行なうことができるため、中心波長が450nm以下の光を発する半導体材料を備えた発光素子を用いている。
特に380〜420nmの光を発することが好ましい。これにより、出力光の強度を高め、より発光強度の高い照明装置を得ることが可能となる。
発光素子3は、上記中心波長を発するものが好ましいが、発光素子基板表面に、半導体材料からなる発光層を備える構造(不図示)を有していることが、高い外部量子効率を有する点で好ましい。このような半導体材料として、ZnSeや窒化物半導体(GaN等)等種々の半導体を挙げることができるが、発光波長が上記波長範囲であれば、特に半導体材料の種類は限定されない。これらの半導体材料を有機金属気相成長法(MOCVD法)や分子線エピタシャル成長法等の結晶成長法により、発光素子基板上に半導体材料からなる発光層を有する積層構造を形成すれば良い。発光素子基板は、結晶性の良い窒化物半導体を量産性よく形成させるために、例えば窒化物半導体からなる発光層を表面に形成する場合、サファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、ZrB2、GaNおよび石英等の材料が好適に用いられる。
なお、波長変換器4が備える蛍光体5の少なくとも一部のバンドギャップエネルギーは、発光素子3が発するエネルギーよりも小さいことが好ましい。このような構成とすれば、発光素子3が発するエネルギーを効率よく蛍光体5に吸収させることができるため、発光効率を向上させることができる。
(反射部材)
発光素子3と波長変換器4の側面には、必要に応じて、光を反射する反射部材6を設け、側面に逃げる光を前方に反射し、出力光の強度を高めることができる。反射部材6の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)、金(Au)、鉄(Fe)およびこれらの積層構造物や合金、さらにアルミナセラミックス等のセラミックス、またはエポキシ樹脂等の樹脂を用いることができる。
(波長変換器)
波長変換器4は、透明マトリクス中に、半導体微粒子を有する蛍光体5を含有している。蛍光体5は、発光素子3から発せられる光でそれぞれ直接励起され、変換光として可視光を発生する。波長変換器4内で蛍光体5により変換された変換光は、合成されて出力光として取り出される。
波長変換器4の厚みは、変換効率の観点から、0.1〜5.0mm、好ましくは0.2〜1mmとするのがよい。平均粒子径が0.5〜10μmの蛍光体5を用いる場合は、波長変換器4の厚みを0.3〜1.0mmとすることが好ましい。また、粒子径20nm以下の蛍光体5(半導体超微粒子を備えた蛍光体5)の場合は、波長変換器4の厚みを0.1〜1mm、特に0.1〜0.5mmとするのが好ましい。厚みをこの範囲内とすれば、蛍光体5による波長変換効率を向上でき、変換された光が他の蛍光体により吸収されることを抑制することができる。その結果、発光素子3から発せられる光を可視光に高効率で変換することができ、さらに変換された可視光を外部に高効率で透過させることができる。
波長変換器4内で変換された出力光のピーク波長は、400〜750nm、特に450〜650nmであることが好ましい。これにより、幅広い範囲で発光波長をカバーし、演色性を向上することができる。
波長変換器4は、複数の蛍光体5を含有し、発光素子3から発せられる光で直接励起され、これらの光の波長が合成され、幅広い範囲で発光波長をカバーし、演色性を大幅に向上させることができる。このようにして得られる可視光のピーク波長は400〜750nm、特に450〜700nm、とりわけ500〜650nmであることが好ましい。
波長変換器4は、幅広い範囲で発光波長をカバーし、演色性をより向上することができるため、可視光の波長範囲で、2つ以上の強度ピークを持つ蛍光を発することが望ましい。また、例えば、変換波長の異なる複数の蛍光体5を含有し、その変換波長が青色、緑色、黄色、赤色に対応する波長からなることが好ましい。
(透明マトリクス)
波長変換器4は、蛍光体5を均一に分散および担持し、かつ蛍光体5の光劣化を抑制することができるため、高分子樹脂やガラス材料などの透明マトリクス中に分散して形成することが好ましい。高分子樹脂膜、ゾルゲルガラス薄膜などのガラス材料としては、透明性が高く、かつ加熱や光によって容易に変色しない耐久性を有するものが望ましい。
高分子樹脂膜は、材料は特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、酢酸セルロース、ポリアリレート、さらにこれら材料の誘導体が用いられる。特に、350nm以上の波長域において優れた光透過性を有していることが好ましい。このような透明性に加え、耐熱性の観点から、シリコーン樹脂がより好適に用いられる。
ガラス材料は、シリカ、チタニア、ジルコニア、さらにそれらのコンポジット系を例示できる。ガラス材料中に蛍光体5をそれぞれ単独で分散させて形成する。高分子樹脂膜と比較して、光、特に紫外光に対する耐久性が高く、さらに熱に対する耐久性が高いことから、製品の長寿命化を実現できる。また、ガラス材料は、安定性を向上させることができることから、信頼性に優れた発光装置を実現できる。
(蛍光体)
本発明で用いられる蛍光体5は、Ag元素と、インジウム、ガリウムなどの周期表第III族元素と、硫黄とを含有する半導体微粒子、または、亜鉛をさらに含有する半導体微粒子を備えている。そのため、CdやSeなどの有害性の高い原材料を用いる必要がなく、安全性に優れた組成からなる半導体材料を用いて、安全性に優れた波長変換器4を実現することができる。さらに、Ag元素は安定性が高いため、得られる半導体微粒子において、他の金属材料を用いた場合に比べてバンド間の不純物準位を低減することができるため、非常に優れた量子効率を実現できる。従って、発光素子からの励起光を効率良く変換することができ、CdSeを備えた変換器と同等以上の変換効率を有する波長変換器4が得られる。
本発明において、蛍光体5として、平均粒子径の異なる半導体微粒子を備えた蛍光体5が、2種以上用いられていることが好ましい。この構成により、平均粒子径の異なる2種以上の半導体微粒子が波長変換器4内に分散・混合されれば、波長変換器4内で複数の波長の光に変換されるため、幅広い波長範囲をカバーすることができ、演色性に優れた発光装置が得られる。
半導体微粒子の平均粒子径は、0.5〜10nmの半導体超微粒子とすることが好ましい。平均粒子径を0.5nm以上とすれば、半導体超微粒子を表面欠陥の影響による効率低下を抑制できるため、蛍光効率の高い半導体超微粒子および蛍光体5が得られる。平均粒子径を10nm以下とすれば、光の吸収および発光を素早く繰り返すことが可能となる。その結果、蛍光効率の優れた半導体超微粒子および蛍光体5を得ることができる。また、上記半導体超微粒子は、粒子のサイズを変えることによって、赤(長波長)から青(短波長)まで様々な発光を示すこと、バンドギャップより高エネルギーであれば、励起波長に制限がないこと、発光寿命が希土類より10万倍短く、吸収、発光のサイクルを素早く繰り返すので、非常に高い輝度を実現でき、有機色素よりも劣化が少ない(劣化するまでに蛍光として出てくる光子の数は、色素の10万倍程度とされている)という特徴を有している。そのため、半導体超微粒子を用いれば、優れた発光効率を備え、長寿命な波長変換器4および発光装置を実現できる。つまり、波長変換器4において、蛍光体5は、変換波長の異なる半導体微粒子を備えた蛍光体の組合せとしてもよい。
半導体微粒子は、その表面が半導体微粒子よりも大きなバンドギャップを有する半導体材料で被覆されていてもよい。この構成によれば、半導体微粒子表面に存在する欠陥を低減でき、半導体微粒子の量子閉じ込め効果が増大する。その結果、半導体微粒子の量子効率が向上し、変換効率の優れた波長変換器4が得られる。本発明において、被覆に用いられる半導体材料としては、例えばZnS、ZnO、MgS、GaN、GaPなどが挙げられる。
半導体微粒子表面を半導体微粒子よりも大きなバンドギャップを有する半導体材料で被覆する例としては、内核(コア)と外殻(シェル)からなる、いわゆるコアシェル構造とすることが挙げられる。このような構造を有するコアシェル型半導体超微粒子は、エキシトン吸発光帯を利用する用途に好適な場合がある。この場合、シェルの半導体粒子の組成として、バンドギャップ(禁制帯幅)がコアよりも大きなものを起用することによりエネルギー的な障壁を形成させることが一般に有効である。これは、外界の影響や結晶表面での結晶格子欠陥等の理由による望ましくない表面準位等の影響を抑制する機構によるものと推測される。シェルに好適に用いられる半導体材料の組成としては、コア半導体結晶のバンドギャップにもよるが、バルク状態のバンドギャップが温度300Kにおいて2.0eV以上であるもの、例えばZnS、ZnO、MgS、GaN、GaPなどが好適に用いられる。
半導体微粒子は、有機化合物(例えば有機配位子)からなる表面修飾分子で被覆されていてもよい。このように表面修飾分子で被覆すれば、粒子の凝集による特性劣化を抑制することができる。具体的には、表面修飾分子の立体障害により、粒子同士を接近させることなく一定の距離を保って、蛍光体5を分散することができる。このように分散させれば、蛍光体5の凝集による特性の劣化を抑制して、半導体微粒子および蛍光体5の機能を最大限に発現することができ、優れた変換効率を有する波長変換器4が得られる。
表面修飾分子としては、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の炭素数3〜20程度のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ナフチルメチル基等の芳香族炭化水素基を含有する炭化水素基等を有する分子が挙げられ、中でもn−ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基等の炭素数6〜16程度の直鎖状アルキル基を有する分子が更に好ましい。また、メルカプト基、ジスルフィド基、チオフェン環等の硫黄原子含有官能基、アミノ基、ピリジン環、アミド結合、ニトリル基等の窒素原子含有官能基、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基等の酸性官能基、ホスフィン基やホスフィンオキシド基等のリン原子含有官能基、あるいはヒドロキシ基、カルボニル基、エステル結合、エーテル結合、ポリエチレングリコール鎖等の酸素原子含有官能基等を有する分子を、表面修飾分子として用いてもよい。これら表面修飾分子は、表面修飾分子の立体障害により、蛍光体5同士を接近させることなく一定の距離を保って分散させることができる点で好ましく用いられる。
また、上記表面修飾分子としては、珪素−酸素の結合を2つ以上繰り返し有する分子、例えば珪素−酸素の結合を主体としアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基およびヒドロキシ基から選ばれる官能基を有するシリコーン系化合物を用いてもよい。このような表面修飾分子を用いた場合は、前記透明マトリクスを、珪素−酸素の結合を主体とするシリコーン樹脂とし、蛍光体5をシリコーン樹脂に分散させることが好ましい。これら構成により、高分子樹脂、例えばシリコーン系の高分子樹脂に対する蛍光体5の分散性が向上し、優れた変換効率、耐光性、耐熱性および透明性にも優れた波長変換器4が得られる。
図3に蛍光体5および半導体微粒子の構成例を示す。図3に示すように、蛍光体5は半導体微粒子20を備えており、半導体微粒子20の表面には半導体材料21と表面修飾分子25とが順に積層されている。なお、半導体微粒子20の表面は、半導体材料21のみが被覆していてもよく、表面修飾分子25のみが被覆していてもよい。しかし、半導体微粒子20の表面は、半導体材料21および表面修飾分子25の両方で被覆されていることが好ましく、図3に示すように半導体材料21と表面修飾分子25とが順に積層されているのがより好ましい。
(半導体微粒子の作製)
上記半導体微粒子および半導体超微粒子は、例えば以下に示す製造方法によって製造することができる。例えば、火炎プロセス・プラズマプロセス・電気加熱プロセス・レーザープロセス等の気相化学反応法、物理冷却法、ゾルゲル法・アルコキシド法・共沈法・ホットソープ法・水熱合成法・噴霧熱分解法等の液相法、さらにメカノケミカルボンディング法等によって、製造することができる。また、本発明で用いられる半導体微粒子を作製する場合は、ホットソープ方法で作製することが好ましい。
また、平均粒子径の測定は、後述の実施例において半導体超微粒子(黄色蛍光体5a、赤色蛍光体5b)の平均粒子径を測定した方法を用いて測定することができる。
(波長変換器の作製)
波長変換器4は、ゾルゲルガラス膜などのガラス材料または高分子樹脂膜を用いて、塗布法により形成することができる。一般的な塗布法であれば限定されないが、ディスペンサーによる塗布が好ましい。例えば、液状で未硬化の樹脂、ガラス材料、または溶剤で可塑性を持たせた樹脂およびガラス材料に、蛍光体5を混合することにより製造することができる。未硬化の樹脂としては、例えばシリコーン樹脂が使用できる。これらの樹脂は2液を混合して硬化させるタイプのものであっても1液で硬化するタイプのものであっても良く、2液を混合して硬化させるタイプの場合、両液にそれぞれ蛍光体5を混練してもよく、あるいはどちらか一方の液に蛍光体5を混練しても構わない。また、溶剤で可塑性を持たせた樹脂としては例えばアクリル樹脂を使用することができる。
硬化した波長変換器4は、未硬化状態でディスペンサー等の塗布法を使用するなどして、フィルム状に成形したり、所定の型に流し込んで固めることで得られる。樹脂およびガラス材料を硬化させる方法としては、熱エネルギーや光エネルギーを使う方法がある他、溶剤を揮発させる方法がある。
(発光装置の作製)
本発明の発光装置は、図1および図2に示すように、波長変換器4を発光素子3上に設置することにより得られる。波長変換器4を発光素子3上に設置する方法としては硬化したシート状の波長変換器4を発光素子3上に設置することが可能であるほか、液状の未硬化の材料を発光素子3上に設置した後、硬化させて設置することも可能である。
(照明装置集合体)
本発明の照明装置集合体は、上記照明装置を複数具備してなる。従って、安全性、演色性および発光効率に優れた照明装置集合体が得られ、非常に明るくかつ省電力な照明装置集合体が得られる。例えば、同一平面状に複数並べる構成を有する照明装置集合体が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
(半導体超微粒子の作製)
表1に示す半導体超微粒子を、ホットソープ法により、以下に示す方法にて作製した。まず、所定量の塩化銀(関東化学社製)と、所定量の塩化インジウム(関東化学社製)とを、それぞれオレイルアミンに溶解させた。次に、それぞれの溶液を混合して溶液1を調製した。次に、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛7.6g(0.1M)(関東化学社製)をオレイルアミンおよびトリオクチルホスフィンの混合液に溶解させて、溶液2を調製した。溶液1および溶液2の調整は、窒素中で行った。なお、塩化銀および塩化インジウムの量は、表1に記載の仕込み比(モル比)となるように添加した。
上記方法にて作製した溶液1と溶液2とを混合し、攪拌して、表1に示す反応温度(℃)および反応時間(時間)にて、半導体超微粒子(ZnαAgβInSγ(α=0.1〜1、β=0.1〜1、γ=2〜4)を合成した。なお、銀とインジウムと硫黄との仕込み比(モル比)、反応温度、および反応時間を変えることにより(表1参照)、半導体超微粒子の平均粒子径を制御した。反応終了後、この溶液を室温に冷却した。冷却した溶液に、さらに、トルエンを加えて均一に混合した後、さらにエタノールを加えて遠心分離機で10分間1500Gの加速度をかけて、半導体超微粒子を沈殿させた。
半導体超微粒子(黄色蛍光体5a、赤色蛍光体5b)の平均粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)を使用して測定した。その結果を表1に示す。
使用した透過型電子顕微鏡はJEOL製JEM2010Fであり、以下の手順で加速電圧200kVの観察を行った。上記のようにして沈殿させた半導体超微粒子をサンプル瓶にとり、粒子濃度が0.002〜0.02モル/リットルの範囲となる量のIPAやトルエンを加えて分散させた。これをTEM観察用マイクログリッドですくい取り、乾燥後、透過型電子顕微鏡にセットした。平均粒子径の測定は格子像より粒子を確認して行った。まず、粒子がメッシュに付着している部分を低倍率で探した。この時、半導体超微粒子が多く付着している部分は粒子が電子線の方向に重なっているため平均粒子径の測定には適さない。また、マイクログリッドのCuメッシュの部分に付着している半導体超微粒子も格子像が観察できないため平均粒子径の観察には適さない。従って、平均粒子径を測定する半導体超微粒子はマイクログリッドの樹脂の部分にある極力重なりの少ない部分を選んで行なった。次に、この部分を1,000,000倍程度に拡大して格子像の確認を行なう。
このとき、半導体超微粒子の周囲に合成時に使用した有機成分が多く残っている場合には格子像がぼやけてしまうため、平均粒子径を正しく測定することができない。このような場合には場所を変えて観察を行なうか、場合によっては合成時の有機成分の除去を繰り返し行なったサンプルを準備しなおして観察を行なった。
合成時の有機成分の除去は、沈殿させた半導体超微粒子にクロロホルム、トルエンもしくはヘキサンを加えて超音波で分散させた後、ここにアルコール(例えばエタノール)を加えて、遠心分離機にかけることで行なうことができる。合成時の有機成分は上澄みのエタノールに溶解し、半導体超微粒子は沈殿する。必要に応じてこの操作を繰り返した。このようにして合成時に使用した有機成分の付着の少ない半導体超微粒子を探し出した後、この部分を倍率4,000,000倍として格子像の写真撮影を行なった。このとき電子線を長く当て続けると半導体超微粒子は移動してしまうため、速やかに撮影を行なった。
半導体超微粒子の平均粒子径は撮影した格子像200個の直径を元に以下の方法で処理することにより求めた。
測定した格子像の直径を、ヒストグラムを用いて統計的に処理することで、長さ平均直径を算出した。長さ平均直径の算出方法は、直径区に属する個数をカウントし、直径区の中心値と個数のそれぞれの積の和を、測定した格子像の個数の総数で割るという方法を用いた(平均粒子径の形状とその計算式、「セラミックの製造プロセス」p.11〜12、窯業協会編集委員会講座小委員会編、参照)。このようにして計算した長さ平均直径を半導体超微粒子の平均粒子径とみなした。
[比較例1]
実施例1と同様にホットソープ法にて、平均粒子径(2nm、2.9nm、4.7nm、120nm)のセレン化カドミウム(CdSe)の半導体超微粒子を作製した。
関東化学社製の7.9g(0.1M)のSe粉末をトリオクチルフォスフィン(TOP)250gに溶解させ、これを溶液1とした。次に、関東化学社製の7.6g(0.1M)の硫化ナトリウムをトリオクチルフォスフィン(TOP)250gに溶解させ、これを溶液2とした。
次に、関東化学製の酢酸カドミウム5.3g(0.02M)及びステアリン酸100gを混合し、130℃にて溶解した。この溶液にトリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)を400g加え300℃に加熱し、溶解した。
この溶液に、前記の溶液1を添加して300℃の条件で反応させた。反応終了後、室温に冷却し、冷却した溶液に、さらにトルエンを200g加えて均一に混合した後、さらにエタノールを加えて遠心分離機で10分間1500Gの加速度をかけて、セレン化カドミウム粒子を沈殿させた。次に、このセレン化カドミウム粒子に酢酸亜鉛3.7g(0.02M)及びステアリン酸100gを混合し、130℃にて溶解した。この溶液にトリオクチルフォスフィンオキサド(TOPO)を400g加え、300℃に加熱し、溶液2を添加した後、室温に冷却した。これに、トルエンを200g加えて均一に混合した後、さらにエタノールを加えて遠心分離機で10分間1500Gの加速度をかけて硫化亜鉛で表面を被覆したコアシェル構造のセレン化カドミウム粒子を沈殿させて作製した。
[実施例2〜11]
(コアシェル構造の形成)
実施例1の上記半導体超微粒子に、下記の方法にて半導体材料(硫化亜鉛(ZnS))で表面を被覆し、コアシェル構造を形成した。まず、上記方法で得られた半導体超微粒子を、酢酸亜鉛1.1g及びオレイン酸9.9mL、オクタデセン300mL混合溶液に添加し、アルゴンフロー条件下170℃にて2時間加熱攪拌した。この溶液に硫黄12g/トリオクチルフォスフィン(TOP)を1.5g加え、300℃で攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、これにトルエンを200g加えて均一に混合した後、さらにエタノールを加えて遠心分離機で10分間1500Gの加速度をかけて、硫化亜鉛で表面を被覆したコアシェル構造を有する半導体超微粒子を沈殿させた。
(表面修飾分子の形成)
実施例1の半導体超微粒子と、コアシェル構造の半導体超微粒子(実施例2〜12)と、比較例1の半導体超微粒子とのそれぞれ(1g)に、アミノ基を官能基に有し、かつ側鎖置換基がメチル基である変性シリコーン2gを加え、窒素雰囲気下40℃、8時間加熱攪拌した。続いて、上記手法で得られた液体にトルエンを2g加えて攪拌した後、これにメタノールを10g加えた。白濁したのを確認してから遠心分離機で30分間1500Gの加速度をかけて半導体超微粒子を沈殿させた。その後、上澄み液のトルエン及びメタノール溶液をスポイドで除去した。この操作を3回繰り返して過剰の変性シリコーンを除去して、アミノ基置換変性シリコーンで被覆された半導体超微粒子(蛍光体)を得た。なお、変性シリコーンでの被覆の状態については、フーリエ変換赤外分光分析、さらにX線光電子分光分析にて確認した。上記方法で合成した半導体超微粒子の蛍光波長(発光特性)を表1に示す。
(量子効率の測定)
得られた蛍光体の量子効率を、下記の通り、量子効率が既知の参照物質(ローダミンB)を準備し、その参照物質との相対比較により求める方法で測定した。
(量子効率測定法)
(1)蛍光体と参照物質をトルエンに溶解する。このとき、それぞれの溶液濃度を、発光素子の発光波長(波長395nm)で吸光度が0.2になるように、調整した。
(2)調整したそれぞれの溶液をトルエンにて10倍に薄め、島津製作所製蛍光光度計で、発光特性を測定した。励起波長は395nmを用いた。
(3)それぞれの蛍光スペクトル面積を求めた。それぞれの面積を用いて、下記式の通り、蛍光体の量子効率を求めた。
Figure 2007146154

結果を表1に示す。
Figure 2007146154
表1によれば、上記方法で得られた蛍光体(実施例1〜12)はすべて70%以上の量子効率を示したことが分かる。
(発光素子の実装)
発光素子は、発光素子基板上に、(1)アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層、(2)Siドープのn型電極が形成されn型コンタクト層となるGaN層、(3)アンドープの窒化物半導体であるn型GaN層を積層し、次に、(4)発光層を構成するバリア層となるGaN層、(5)井戸層を構成するInGaN層、(6)バリア層となるGaN層の(4)〜(6)を1セットとし、GaN層に挟まれたInGaN層を5層積層させ多重量子井戸構造となっているものを用いた。この発光素子を配置するための配線パターンが形成された基板と、近紫外LEDを取り囲む枠状の反射部材とを形成するパッケージ内に実装した。該パッケージ内の配線パターンに、Agペーストを介して、発光素子を実装した。
(内部層の作製)
続いて、パッケージ内にシリコーン樹脂を充填して、発光素子を被覆し、さらに加熱することによって該樹脂を硬化させ、内部層を形成した。シリコーン樹脂の充填は、ディスペンサーを用いて塗布法にて形成した。
(波長変換器の作製)
ジメチルシリコーン骨格からなるシリコーン樹脂100重量部に、上記実施例1〜11および比較例1の蛍光体30重量部を分散混合し、蛍光体含有樹脂ペーストを作製した。得られた蛍光体含有樹脂ペーストを、平滑な基板上にディスペンサーにて塗布形成し、これをホットプレート上で150℃5分間加熱して、仮硬化膜を作製した。さらに、これを150℃の乾燥機内で5時間加熱させて、蛍光体含有フィルム(波長変換器)を作製した。なお、得られた蛍光体含有フィルム(波長変換器)の厚みは0.5mmであった。
(発光装置の作製)
上記蛍光体含有フィルムを内部層の上面に取り付けて、図2に示す発光装置を得た。なお、得られた波長変換器は、内部層と同一のシリコーン樹脂と同じ材料樹脂を接着剤として介在させて形成した。
(発光効率試験)
それぞれの波長変換器からなる発光装置の発光効率は、大塚電子社製の発光特性評価装置を使用して測定した。測定の結果、実施例1〜11では、すべて60lm/W以上の高い発光効率を示す照明装置が得られた。
本発明の波長変換器および発光装置の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の波長変換器および発光装置の他の実施形態を示す概略断面図である。 本発明の波長変換器で用いられる蛍光体の例を示す概略断面図である。 従来の発光装置を示す概略断面図である。 従来の発光装置を示す概略断面図である。
符号の説明
1 導体
2 基板
3 発光素子
4 波長変換器
5 蛍光体
6 反射部材
20 半導体微粒子
21 半導体材料
25 表面修飾分子

Claims (14)

  1. 透明マトリクス中に蛍光体が分散しており、光源から発せられる光の波長を変換して、波長が変換された光を含む出力光を出力する波長変換器であって、
    前記蛍光体は、Ag元素と、周期表第III族元素と、硫黄とを含有し、実質的にCd,Seを含有しない半導体微粒子を備えていることを特徴とする波長変換器。
  2. 前記半導体微粒子はさらに亜鉛を含有していることを特徴とする請求項1に記載の波長変換器。
  3. 前記半導体微粒子は、ZnαAgβInSγ(α=0.1〜1、β=0.1〜1、γ=2〜4)化合物からなることを特徴とする請求項1または2記載の波長変換器。
  4. 前記半導体微粒子の表面は、前記半導体微粒子よりも大きなバンドギャップを有する半導体材料で被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のずれかに記載の波長変換器。
  5. 前記半導体微粒子の表面は、有機化合物からなる表面修飾分子で被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長変換器。
  6. 前記半導体微粒子の表面に、前記半導体微粒子よりも大きなバンドギャップを有する半導体材料と、有機化合物からなる表面修飾分子とが順に積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の波長変換器。
  7. 前記表面修飾分子は珪素−酸素の結合を2つ以上繰り返し有する分子であることを特徴とする請求項5または6に記載の波長変換器。
  8. 前記半導体微粒子の平均粒子径が0.5〜10nmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の波長変換器。
  9. 平均粒子径の異なる前記半導体微粒子を備えた2種以上の蛍光体が分散していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の波長変換器。
  10. 前記出力光のピーク波長が400〜750nmであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の波長変換器。
  11. 前記波長変換器の厚みが0.1〜5mmであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の波長変換器。
  12. 励起光を発する化合物半導体からなる発光素子と、前記励起光の波長を変換する波長変換器とを基板上に備え、前記波長変換器が請求項1〜11のいずれかに記載の波長変換器であることを特徴とする照明装置。
  13. 前記波長変換器の蛍光体が備える半導体微粒子の少なくとも一部のバンドギャップエネルギーが、発光素子が発するエネルギーよりも小さいことを特徴とする請求項12に記載の照明装置。
  14. 請求項12または13に記載の照明装置を複数具備してなることを特徴とする照明装置集合体。
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