JP2007037242A - 圧電アクチュエータ、および電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電アクチュエータにおいて、ロータ32の被当接面322が厚み方向Cにおいて平坦に形成され、この被当接面322に振動体31の突起312Aの当接面(側面)312A1が傾いて配置されたことにより、振動体31とロータ32との間に作用する反力F1の方向が略一定となるとともに、角部312A2が常にその1箇所のみで当接し、これによって振動体31と被当接面322との厚み方向Cへの変位が防止される。これにより、駆動特性のばらつきを防止でき、振動体31がロータ32に確実に当接してロータ32を所定の回転方向に押し出すから、駆動効率が低下しない。また、ロータ32の駆動に寄与しない振動体31の動作に投入電力が消費されることがなく、省電力を図ることができる。
【選択図】 図5
Description
この圧電アクチュエータの振動体は、圧電素子に重ねられる補強板などを備え、この補強板に形成された当接部が所定の固有振動数で繰り返し被駆動体に当接することにより、被駆動体が駆動される。
一方、被駆動体としては、従来、振動体が当接される被当接面に当接方向に窪んだ凹状の曲率を付けたロータなどが使用されており、振動体の当接部をこのロータの被当接面に応じて凸曲面状とした構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。このように被駆動体の被当接面および振動体の当接部が曲面状であることにより、振動体とロータとの接触角度がばらついた場合でも、当接状態を維持できると考えられていた。
図16に示すように、振動体10の当接部である突起11の当接面11Aが厚み方向Cに沿って平坦に形成されていても、ロータ15の被当接面151が厚み方向Cに対して交差する方向(径方向)に窪んだ凹曲面状である場合、振動体10の突起11の厚みによっては、突起11の2つの角部111,112のいずれか一方、あるいは両方が不規則に被当接面151に当接するため、振動体10はこれらの角部111,112から方向の異なるいずれかの反力F1,F2を受ける。このため、振動体10が厚み方向Cに振れてしまい、安定姿勢を取り難い。
すなわち、ロータ15への当節により振動体10が受ける反力F1,F2の方向が一に定まらないため、振動体10の突起11がロータ15の被当接面151上を跳ね回り、あるいは、ロータ15およびロータ15の支持体16が揺らぎ、駆動状態が不安定となる。
これは、突起11が厚み方向Cに変位するため被当接面151に十分当接せず、突起11が被当接面151に繰り返し当接する振動サイクルにおいて振動体10の振動がロータ15に伝達されない区間が増大することに伴い、振動体の振動サイクル中の無拘束時間が増えるため、被駆動体の駆動に寄与しない振動だけが大きくなり、消費電力が増大したためと推察される。
このような安定駆動により、所定の振動サイクルにおいて振動体が被駆動体に確実に当接し、被駆動体が所定の駆動方向に押し出されるから、駆動効率が低下せず、省電力を図ることができる。
なお、被駆動体の反力の方向を、被駆動体の所定の駆動方向と交差する方向において略一定とすることで、振動体および被駆動体の駆動方向と交差する方向への変位が封じられ、このような被駆動体の駆動に寄与しない振動体の動作に投入電力が消費されることがないから、一層の省電力を図ることができる。
なお、被駆動体は、回転駆動されるロータや、直線的に駆動されるスライダなどを採用でき、これらの被駆動体の移動軌跡に応じて、所定の駆動方向が変わる。
なお、振動体の構造として、圧電素子に補強板が積層された構造とすることができ、この場合は、補強板の側面が被駆動体の被当接面に当接する構成とすることができる。
この発明によれば、振動体の側面と被当接面とが互いに傾いて配置されることにより、被当接面に対して振動体の側面のエッジ部分のみが当接し、所定の振動サイクルにおいて、振動体のエッジ部分が常にその1箇所のみで被駆動体に当接することとなるため、振動体の当接による被駆動体の反力の方向が略一定である構成を実現できる。これにより、別途、振動体の当接位置および被駆動体の反力方向を略一定とするためのガイド部材などを振動体ないし被駆動体に設けることを不要にでき、構成を簡略化できる。
また、このように被駆動体の反力の方向が略一定であって、振動体が被駆動体に確実に当接することにより、被駆動体の被当接面を厚み方向に曲面状として振動体と被駆動体との当接状態を維持することを不要にできる。つまり、被駆動体の被当接面を平坦として、この被当接面に対して振動体の側面を傾けて配置する簡略な構成を採用できる。また、被当接面が平坦であることにより、被駆動体のプレス打ち抜き等が可能となり、量産に対応できる。
これにより、前述と同様に振動体の当接位置を駆動方向と交差する方向において略一定とし、かつ被駆動体の反力方向を略一定とする構成を実現できる。
このように、振動体または被駆動体に設けられる付勢手段を利用できるため、振動体と被駆動体とを互いに傾いて配置するためだけに被駆動体および振動体、これらの支持構造の形状、寸法、配置などを規定することを不要にでき、設計および組み立てを容易化できる。
この発明によれば、軸支部の位置をロータの軸方向両側で互いにずらすことにより、ロータの被当接面が振動体の側面に対して傾いて配置されるので、振動体の当接位置が駆動方向と交差する方向において略一定とされ、そしてロータの反力方向が略一定とされるため、前述と同様の効果を得ることができる。
なお、軸支部が設けられる位置はロータ側でも支持体側でもよく、軸支部がロータに突出形成される場合は、その突出寸法の大小などで弾性変形の度合を調整できる。例えば、ロータの軸支部の突出寸法を大とすれば、弾性変形の度合を大きくできる。
この発明によれば、被駆動体の被当接面をテーパすることで、略板状とされた振動体の側面に対して被駆動体の被当接面が傾いて配置されるので、被駆動体の軸方向に対して振動体が略垂直に配置される通常の配置を変更する必要がない。つまり、設計および組み立てを容易化できる。
この発明によれば、被当接面を凸状とすることにより、被当接面と振動体とが最も近接する位置でのみ当接するから、前述のように、振動体の当接位置が駆動方向と交差する方向において略一定であって、被駆動体の反力の方向が略一定である構成とすることができ、前述と同様の効果を得ることができる。
この発明によれば、押さえ部材によってロータが押さえ込まれることで、駆動時に振動体およびロータの姿勢が安定し、駆動方向と交差する方向において振動体ないしロータがあがくことを防止できる。つまり、振動体の当接位置が駆動方向と交差する方向において略一定とされて、振動体がロータから受ける反力の方向が略一定となることから、前述と同様の効果を得ることができる。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータを備えたことにより、前述と同様の作用および効果を享受できる。
ここで、圧電アクチュエータは、例えば、カメラのズーム機構およびオートフォーカス機構、プリンタのインクジェットヘッドや紙送り機構、圧電ブザー、可動玩具を駆動する超音波モータなどに使用できる。
この発明によれば、前述の圧電アクチュエータで計時手段や計時情報表示部を構成する歯車などを駆動することが可能となる。本発明の前述した圧電アクチュエータでこの歯車等を介して時、分、秒などの時刻、あるいは年、月、日、曜などの暦などを表示すれば、安定した駆動を実現できる。また、省電力であることから、電池などの電源部を小さくでき、薄型化や小型化が図られる。
加えて、圧電アクチュエータにおける利点、すなわち、磁気の影響を受けない、応答性が高く微小送りが可能、小型薄型化に有利、高トルクなどを実現できる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基いて説明する。
なお、第2実施形態以降の説明において、以下に説明する第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して、説明を省略もしくは簡略化する。
図1は、本実施形態における電子機器としての時計1の平面図である。
時計1は、計時手段としてのムーブメント2と、計時情報表示部としての文字板3、秒針4、分針5、時針6とを備え、これらがケース7に収容されたアナログ表示式の腕時計(ウォッチ)である。
文字板3の3時位置には、略矩形状の窓部3Aが設けられ、この窓部3Aからは、文字板3の裏側に設けられた日車24の回転により、日車24に印字された日が順次表示される。
図2は、ムーブメント2を文字板3の表側から見た平面図であり、図3は、図2の部分拡大図である。
ムーブメント2には、窓部3A(図1)からの日表示に関する日表示装置20が組み込まれている。
日表示装置20は、振動体31および被駆動体としてのロータ32を有する圧電アクチュエータ30を駆動源として、その駆動力を減速しつつ伝達する日回し中間車21および日回し車23と、日回し車23により回転する日車24とを有して構成されている。
これらの圧電アクチュエータ30、日回し中間車21,22、および日回し車23、日車24は、地板25の表側(文字板3側)にそれぞれ設けられる。
一方、地板25の裏側には、秒針4などに駆動力を伝達するステッピングモータや、圧電アクチュエータ30などに設けられる電圧印加装置などに電力を供給する電池が設けられる他、ステッピングモータの駆動力を伝達して秒針4、分針5、時針6などを駆動する駆動輪列が設けられている。
日回し中間車22は、大径部221と小径部222とから構成されている。大径部221には、日回し中間車21が噛合している。また、小径部222は、大径部221よりも若干小径の円板状であり、大径部221に対し、同心をなすように固着されている。この小径部222の外周面には1つの切欠部222Aが形成されている。
なお、日回し車23は日車24の内歯241に噛合しており、板ばね232の付勢作用によって日車24の揺動も防止される。
このような日表示装置20では、日の変わり目(24時)に圧電アクチュエータ30が動作し、ロータ32、日回し中間車21,22が順次回転し、日回し車23が切欠部222Aと係合して回転することにより、日車24が1日分回転する。なお、時針6が取り付けられる筒車に各種の回転エンコーダなどを設けることによって、24時を検出可能である。
(ロータの構成)
圧電アクチュエータ30は、図3に示すように、平面略矩形の板状の振動体31および振動体31の振動が伝達されるロータ32を備える。
ロータ32は、プレス打ち抜きなどで製作された円板状の回転体であって、ロータ支持体35に回転自在に保持されている。ロータ32の振動体31が当接される被当接面322(図5)は、厚み方向において凹凸がなくフラットな形状となっている。
ロータ支持体35は、ロータ32の表裏を挟む断面コ字状(図5)に形成されるとともに、ピン35Aを中心に地板25に軸支されている。また、ロータ支持体35は、別のピン35Bを備えており、このピン35Bに地板25の軸25Bに巻回された付勢手段としての押圧ばね35Cが当接することによって、図3中、反時計回りに(振動体31側に)付勢されている。これにより、ロータ支持体35に軸支されたロータ32は、図3中、平面付勢方向Pに沿って振動体31に所定の接触圧で当接され、圧電アクチュエータ30による駆動力の伝達効率が良好となっている。
図4は、振動体31の斜視図である。
振動体31は、2つの矩形板状の圧電素子311と、略平面矩形の補強板312とが積層されて全体として略板状に形成されている。
補強板312の両短辺には、平面略円弧凸状の突起312A,312Bがそれぞれ形成され、一方の突起312Aがロータ32の被当接面322に当接される。本実施形態では、突起312A,312Bは、補強板312の対角部分にそれぞれ形成されており、振動体31の幅方向における重量バランスをアンバランスとして屈曲振動が生じやすいように構成している。
また、補強板312の長辺側の一側面には、補強板312の長手方向に対して略直角に延びる腕部312Cが形成されている。腕部312Cには、孔312Dが形成され、孔312Dには、固定用のねじ253(図3)が螺合されるねじピンが挿通される。
次に、振動体31とロータ32との当接態様を図5に示す。図5は、振動体31およびロータ32の側面図である。
ロータ支持体35の断面コ字状において向き合う上面部351および下面部352は互いに略平行に延びている。ここで、ロータ32に形成された一対の軸部321がそれぞれ挿入される軸支部としての軸孔351A,352Aは、これらの上面部351および下面部352に対して斜めに形成されており、ロータ32は上面部351および下面部352に対して傾いた状態で軸支される。なお、軸孔351A,352Aと軸部321との間には、ロータ32が回転可能な程度のガタ(隙間)を有する。
このため、ロータ32の被当接面322と振動体31の突起312Aの当接面(側面)312A1とは互いに傾いて配置され、ロータ32厚み方向(軸方向)における被当接面322の図5中下側には、突起312Aの下側の角部312A2が当接する。
ここで、本実施形態では、被当接面322と突起312Aの対向面312A1とが互いに傾いて配置されて、突起312Aの角部312A2が被当接面322に当接することにより、当接状態維持手段が構成されている。
なお、被当接面322と突起312Aとの間の当接状態が安定することにより、腕部312Cで片持ち支持される振動体31の支持状態も安定的となる。
このグラフによれば、駆動周波数が高くなるほど、振動体31の厚み方向Cにおける変位は次第に小さくなる傾向にあるものの、図16ではロータ15の被当接面151が厚み方向Cにおいて凹曲面状であることから、振動体10の突起11が被当接面151上を転動し、厚み方向Cにおける変位が本実施形態における振動体31の変位と比べて大きいことがわかる。
つまり、本実施形態では、突起312Aの側面、すなわちロータ32との対向面312A1が被当接面322に対して傾いて配置され、突起312Aの角部312A2のみが被当接面322に当接するため、突起312Aの被当接面322への当接位置、および突起312Aが受ける反力F1の方向が略一定となり、図16の圧電アクチュエータと比べて振動体31の厚み方向Cへの変位が抑制されたものと推察される。
なお、図7、図17におけるグラフの縦軸に付した「0」〜「12」は、消費電力[mW]および回転数[rps]の両方を示す。
(1)圧電アクチュエータ30において、ロータ32の被当接面322が厚み方向Cにおいて平坦に形成され、この被当接面322に振動体31の突起312Aの当接面(側面)312A1が傾いて配置されたことにより、振動体31とロータ32との間に作用する反力F1の方向が略一定となるとともに、角部312A2が常にその1箇所のみで当接する。これにより、振動体31と被当接面322との当接状態が安定し、振動体31および厚み方向Cへの変位および圧電アクチュエータ30の駆動特性のばらつきを防止できる。
このような安定駆動により、突起312Aが被当接面322に確実に当接し、ロータ32が回転方向Bに押し出されるから、駆動効率が低下しない。また、振動体31およびロータ32の厚み方向Cへの変位が封じられたことで、このようなロータ32の駆動に寄与しない振動体31の動作に投入電力が消費されることがなく、省電力を図ることができる。
また、ロータ32の被当接面322が厚み方向Cにおいて平坦であっても、振動体31とロータ32とが確実に当接するので、ロータ32の被当接面322を曲面状として振動体31とロータ32との当接状態を維持することを不要にできる。このため、ロータ32のプレス打ち抜き等が可能となり、量産に対応できる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、ロータ支持体35において、ロータ32の軸部321が挿通される軸孔351A,352Aが斜めに形成されることでロータ32が振動体31に対して傾いて配置されていたが、本実施形態では、ロータ32を振動体31に付勢する押しばね35Cを利用して、ロータ32を振動体31に対して斜めに配置する。
図8は、本実施形態における圧電アクチュエータ40の側面図である。ここでは、作図上、ロータ32のプロポーションを実際とは変えて、図5などの図示と比べて径を小さく示している。なお、振動体とロータとの当接を示す以降の図においても同様に図示する。
ここで、ロータ支持体45には、ピン35B(図3)が一体に形成され、このピン35Bは押圧ばね35C(図3)によって付勢されており、ピン35における押圧ばね35Cの押圧位置は、図8中、厚み方向Cの下側位置であり、ロータ支持体45の下面部352に近い位置である。このため、ロータ支持体45に軸支されるロータ32は、図8における付勢方向Eに沿って振動体31側に付勢される。
一方、ロータ32の被当接面322には突起312Aの角部312A2が当接し、図中、当接方向Aに沿って、ロータ32は突起312Aの当接力を受ける。これらの押圧ばね35Cの付勢位置および突起312Aの被当接面322への当接位置が厚み方向Cにおいて互いに異なっていることから、ロータ32の軸部321に対して傾きのモーメントが生じ、このモーメントによりロータ支持体35は図8に二点鎖線で図示した状態からわずかに傾き、ロータ32も傾いた状態で軸支される。
これにより、ロータ32の被当接面322と突起312Aの対向面312A1とが傾いて配置され、被当接面322には突起312Aの角部312A2のみが当接するため、ロータ32の振動体31への当接位置が略一定となる。そして、振動体31が受けるロータ32による反力F1の方向も略一定に定まる。
つまり、本実施形態では、押圧ばね35Cの付勢位置および振動体31の当接位置が厚み方向Cにおいて互いに異なっていることにより、当接状態維持手段が構成されている。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態は、前記各実施形態と同様に、ロータ32が傾いた状態で軸支されるが、その手段が前記各実施形態とは異なる。
図9は、本実施形態における圧電アクチュエータ48の側面図である。
ロータ支持体49の上面部351および下面部352に形成された軸孔491A,492Aの各軸方向L1,L2は同軸ではなく、上面部351あるいは下面部352において平面的にずれた位置にあり、これらの軸孔491A,492Aに対して、ロータ32は傾斜して配置されている。
すなわち、本実施形態では、軸孔491A,492Aの各軸方向L1,L2が、上面部351あるいは下面部352において平面的にずれた位置にあることにより、当接状態維持手段が構成されている。
本実施形態の圧電アクチュエータ48によれば、ロータ支持体49の軸孔491A,492Aが平面的にずれた通り違いに形成されることで、ロータ32と振動体31とを互いに傾いて配置することを容易に実現できる。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態では、前記各実施形態と異なる手段により、ロータ32が傾いた状態で軸支される。
図10は、本実施形態における圧電アクチュエータ50の側面図である。
ロータ52の一方の軸部521Aは、他方の軸部521Bよりも長く形成されているため、押圧ばね35C(図3)の付勢力により、軸部521Aが弾性変形する。図10では、軸部521Aの弾性変形の度合を誇張して示している。
なお、軸部521Aを可撓性材料で形成することにより、当該軸部521Aを弾性変形可能に構成することもできる。また、上端側の軸部521Aの代わりに下端側の軸部521Bを弾性変形させる構成としても良い。
軸部521Aの弾性変形によって軸部521Aの軸方向がロータ52の本来の軸方向Yから外れ、ロータ52は傾いた状態で軸支される。
なお、突起312Aは、被当接面322の厚み方向Cにおける略中央に当接している。
すなわち、押圧ばね35Cの付勢力によるロータ52の軸部521Aの弾性変形により、ロータ52の被当接面322が振動体31に対して傾斜配置されるので、前記各実施形態と略同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
前記各実施形態におけるロータ、例えば図5におけるロータ32は、軸部321を中心とする円柱形状とされていたが、本実施形態におけるロータは、厚み方向Cにおいてテーパされている。
ロータ62は、上端側の軸部321側から下端側の軸部321側に向かって次第に縮径しており、被当接面622は厚み方向Cに傾斜するテーパ面となっている。このロータ62は、金属板のプレス打ち抜きやワイヤカットされたものの側面外周を切削、研摩などすることで製作される。
なお、本実施形態における振動体31は、ロータ62の軸部321の方向に対して略垂直に配置されている。
すなわち、本実施形態の圧電アクチュエータ60によれば、ロータ62の被当接面622をテーパすることで、被当接面622と突起312Aの対向面312A1とが互いに傾いて配置されるので、ロータ62の軸部321の方向に対して振動体31が略垂直に配置される通常の配置を変更する必要がない。つまり、設計および組み立てを容易化できる。
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態におけるロータの被当接面は、厚み方向において湾曲している。
図12は、本実施形態における圧電アクチュエータ65の側面図である。
ロータ67の被当接面672は、厚み方向Cにおいて突起312A側に突出するように湾曲しており、このことは、本実施形態における当接状態維持手段を構成している。
このような凸曲面状の被当接面672には、被当接面672に最も近接する突起312Aの角部312A2がその一点のみで当接するため、振動体66のロータ67への当接位置が厚み方向Cにおいて略一定となり、反力F1の方向も略一定に定まる。
なお、本実施形態における振動体66は、ロータ67の軸部321の方向に対して略垂直に配置されている。
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
本実施形態では、第1実施形態などとは異なり、振動体の方を、ロータに対して傾けて配置している。
図13に示すように、本実施形態における圧電アクチュエータ70では、ロータ72が地板25に略垂直に軸支される一方、振動体71は、地板25に対して傾いて配置されている。なお、振動体71がこのように傾いているのは、本実施形態では、地板25に設けられた腕部312C(図4)の取付面が傾斜していることによる。この他、例えば、腕部312Cの裏側などにスペーサを挟み込むなどの方法によって、振動体71を地板25に対して傾けることも考えられる。
本実施形態の圧電アクチュエータ70によれば、第1実施形態と略同様の効果を得ることができる。
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
図14は、本実施形態の圧電アクチュエータ80の側面図である。
ロータ82は、第7実施形態のロータ72と同様、地板25(図13)に略垂直に軸支されているが、その被当接面822は、図16で示した背景技術におけるロータ15と同様に、厚み方向Cにおいて凹状に湾曲しており、被当接面822には、突起312Aの角部312A2,312A3がそれぞれ当接される。なお、振動体66はロータ82の軸方向Yと直交する方向Aに押圧ばね35Cによって付勢されている。
なお、被当接面822が厚み方向Cにおいて凹曲面状であるので、衝撃時に振動体66の突起312Aが被当接面822から外れないという効果も得られる。
この場合、図15に示すように、振動体66の突起312Aの対向面312A1がロータ72の被当接面322に対し、厚み方向Cに沿って線接触する。
このような構成としても、押さえ部材86が設けられていることから、振動体66のロータ72への当接位置が厚み方向Cにおいて略一定となり、反力F1の方向も略一定に定まる。このため、厚み方向Cにおける突起312Aの変位を防止して、安定駆動を実現できる。
以上、本発明を実施するための最良の構成について具体的に説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形および改良を加えることができるものである。
上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
なお、前記各実施形態の振動体において、突起312A,312Bは補強板312に一体形成されていたが、これに限らず、これらの突起は補強板とは別体とされていてもよい。
すなわち、駆動電極911Aと駆動電極911Bとを電圧印加の対象として圧電素子に電圧を印加すると、振動体91は縦振動および屈曲振動を励振し、振動体91の突起912Aが振動体91の長手方向に沿った中心線に対して傾斜した楕円軌跡を描く。そして、突起912Aの押圧により、ロータ32は順方向に回転する。一方、駆動電極911Bの代わりに駆動電極911Cを電圧印加の対象とした場合には、駆動電極911Bと駆動電極911Cとは、振動体91の長手方向に沿った中心線を軸として線対称の位置関係にあるから、駆動電極911Cに電圧を印加することにより、縦振動に対する交差方向が駆動電極911Bに電圧印加した場合とは線対称となる屈曲振動が誘発される。したがって、振動体91の突起912Aの軌跡は、駆動電極911Bに電圧印加した場合とは線対称に傾斜する楕円軌跡となり、ロータ32は反対方向に回転駆動される。なお、電圧印可の対象となっていない電極911B,911Cを検出電極として用いることができる。
さらに、時計以外に、カメラのズームやオートフォーカス機構、フィルムの巻き上げ機構、プリンタの紙送り機構や、乗り物並びに人形などの玩具類を駆動する機構などにも、本発明の圧電アクチュエータを適宜使用できる。本発明の圧電アクチュエータは、カメラやプリンタ、玩具などをはじめとして、携帯情報端末、電話機などの各種電子機器に広く利用できる。
Claims (10)
- 電極が設けられた圧電素子を有して前記電極への電圧印加により振動する振動体と、この振動体が当接されて所定の駆動方向に駆動される被駆動体とを備えた圧電アクチュエータであって、
前記被駆動体の駆動中に、当該被駆動体から受ける前記振動体での反力の方向が略一定となるよう、これら被駆動体および振動体の互いの当接状態を維持させる当接状態維持手段が設けられている
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記被駆動体は、前記駆動方向と交差する方向において略平坦に形成された被当接面を有し、
前記振動体は、略板状に形成されてその側面が前記被当接面に当接し、
前記振動体の側面と前記被当接面とは、互いに傾いて配置されている
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項2に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記振動体および前記被駆動体の一方には、当該一方を他方に向かって付勢する付勢手段が設けられ、
前記付勢手段が前記一方を付勢する位置は、前記駆動方向と交差する方向において、前記振動体が前記被当接面に当接する位置とは異なる
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項2に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記被駆動体は、支持体に軸支されるロータであり、
前記支持体は、前記被駆動体の軸方向両側に設けられるとともに、当該被駆動体の軸方向両側に前記被駆動体を軸支する軸支部をそれぞれ有し、
前記各軸支部は、前記被駆動体の軸と交差する面における位置が互いにずれている
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項2に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記被駆動体は、支持体に軸支されるロータであり、
前記振動体および前記被駆動体の一方には、当該一方を他方に向かって付勢する付勢手段が設けられ、
前記被駆動体を前記支持体に軸支する軸支部は、前記付勢手段による付勢力によって弾性変形する
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記被駆動体は、前記振動体が当接される被当接面を有し、
前記被当接面は、前記駆動方向と交差する方向における一方の側から他方の側へとテーパされ、
前記振動体は、略板状に形成されてその側面が前記被当接面に当接する
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記被駆動体は、前記振動体が当接される被当接面を有し、
前記被当接面は、前記振動体側に突出するように湾曲している
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1に記載の圧電アクチュエータにおいて、
前記被駆動体は、支持体に軸支されるロータであり、
前記ロータの軸部には、前記ロータを前記支持体に対して押さえる押さえ部材が設けられている
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 請求項1から8のいずれかに記載の圧電アクチュエータを備えた
ことを特徴とする電子機器。 - 請求項9に記載の電子機器は、計時手段と、この計時手段で計時された情報を表示する計時情報表示部とを備えた時計である
ことを特徴とする電子機器。
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