JP2007026819A - 電極−膜接合体 - Google Patents
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Abstract
高温条件下においても適切な湿潤状態に維持することができる高分子電解質膜を有し、発電特性に優れた電極−膜接合体を提供すること。
【解決手段】
本発明に係る電極−膜接合体は、イオン交換樹脂膜と、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むアノード側電極触媒層と、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むカソード側電極触媒層とを有し、アノード側電極触媒層を構成するバインダー成分のイオン交換容量が、カソード側電極触媒層を構成するバインダー成分のイオン交換容量より大きいこと、および/または、アノード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂からなる膜の含水率が、カソード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂からなる膜の含水率より高いことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明の電極−膜接合体は、イオン交換樹脂膜と、該樹脂膜の両面に形成された、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むアノード側電極触媒層およびカソード側電極触媒層とからなる。
容量の差が上記範囲未満であると、上記効果を十分に発揮できないことがある。
ΔW=(W1/W2−1)×100(重量%)
により算出される。
本発明の電極−膜接合体を構成する電極触媒層は、下記電極ペースト組成物を用いて形成される。
上記電極触媒層(アノード側およびカソード側)を形成する際に用いられる電極ペースト組成物は、触媒を担持したカーボン、イオン交換樹脂および有機溶媒を含有し、必要に応じて、分散剤、炭素繊維、水、イオン交換基を有しない樹脂などを含有する。
上記電極ペースト組成物に用いられる触媒としては、白金または白金合金が用いられる。白金合金を使用すると、電極触媒としての安定性や活性をさらに付与させることもできる。このような白金合金としては、白金以外の白金族の金属(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム)、鉄、コバルト、チタン、金、銀、クロム、マンガン、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、レニウム、亜鉛およびスズから選ばれる1種以上と白金との合金が好ましく、該白金合金には白金と合金化される金属と
の金属間化合物が含有されていてもよい。
上記電極ペースト組成物に用いられるイオン交換樹脂は、特に限定されず、パーフルオロ系電解質や炭化水素系電解質などを用いることもできるが、耐熱性および機械的強度の向上の観点から、イオン伝導成分含有芳香族系ポリマーを好適に用いることができる。
、−(CF2)i−(iは1〜10の整数を示す。)または−C(CF3)2−を示す。これらの中では、−CO−および−SO2−が好ましい。
。
12の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示す。芳香族基としては、たとえば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基などが挙げられる。これらの中では、フェニル基およびナフチル基が好ましい。また、Arは、−SO3H、
−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3Hで表される置換基を少なくとも1個有していることが必要であり、ナフチル基である場合には2個以上有することが好ましい。
上記構成単位(A)の好ましい構造としては、上記式(A)において、
(1)m=0、n=0であり、Yが−CO−であり、Arが置換基として−SO3Hを有
するフェニル基である構造、
(2)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(3)m=1、n=1、k=1であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−SO3Hを有するフェニル基である構造、
(4)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Arが置換基として2個の−SO3
Hを有するナフチル基である構造、
(5)m=1、n=0であり、Yが−CO−であり、Zが−O−であり、Arが置換基として−O(CH2)4SO3Hを有するフェニル基である構造
などを挙げることができる。
SO−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数を示す。)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−、シクロヘキシリデン基
、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示す。これらの中では、直接結合、−CO−、−SO2−、−CR’2−、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基および−O−が好ましい。なお、R’は脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示し、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、プロピル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリフルオロメチル基などが挙げられる。
R1〜R16は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくは全部
がハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニト
リル基を示す。
ル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。アリル基としては、プロペニル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
上記構成単位(B)の好ましい構造としては、上記式(B)において、
(1)s=1、t=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレ
ニリデン基であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であり、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(2)s=1、t=0であり、Bが酸素原子であり、Dが−CO−または−SO2−であ
り、R1〜R16が水素原子またはフッ素原子である構造、
(3)s=0、t=1であり、Aが−CR’2−、シクロヘキシリデン基またはフルオレ
ニリデン基であり、Bが酸素原子であり、R1〜R16が水素原子、フッ素原子またはニト
リル基である構造
などが挙げられる。
0モル%とした場合のモル比を示す。
上記スルホン化ポリアリーレンの製造方法としては、たとえば、下記に示すA法、B法およびC法が挙げられる。
上記式(B)においてr=0の場合、たとえば、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンズアニリド、2,2−ビス(4−クロロフェニル)ジフルオロメタン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4−クロロ安息香酸−4−クロロフェニルエステル、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、2,6−ジクロロベンゾニトリルなどが挙げられる。これらの化合物において、塩素原子が臭素原子またはヨウ素原子に置き換わった化合物なども用いることができる。
上記式(B)においてr≧2の場合、たとえば、特開2004−137444号公報、特開2004−244517号公報、特開2004−346164号公報、特願2003−348523号、特願2003−348524号、特願2004−211739号、特願2004−211740号に記載の化合物を挙げることができる。
(b法)上記B法で得られた前駆体のポリアリーレンを、特開2001−342241号公報に記載の方法でスルホン化する方法。
上記のような方法により製造される、上記式(C)で表されるスルホン化ポリアリーレンのイオン交換容量は、通常、0.3〜5meq/g、好ましくは0.5〜3meq/g、さらに好ましくは0.8〜2.8meq/gである。イオン交換容量が上記範囲よりも低いと、プロトン伝導度が低くなり発電性能が低下する傾向にある。一方、イオン交換容量が上記範囲を超えると、耐水性が大幅に低下してしまうことがあるため好ましくない。
上記電極ペースト組成物に用いられる有機溶媒としては、エタノール、n−プロピルアルコール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−ブタノール、n−ブチルアルコール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパ
ノール、シクロヘキサノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノー
ル、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ジオキサン、ブチルエーテル、フェニルエーテル、イソペンチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、シネオール、ベンジルエチルエーテル、アニソール、フェネトール、アセタール、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2−オクタ
ノン、γーブチロラクトン、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酪酸メチル、酪酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、テトラメチル尿素、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素系有機溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの多価アルコール系有機溶媒などを挙げることができる。
本発明で用いられる電極ペースト組成物には、必要に応じてさらに分散剤を添加してもよい。このような分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル}アンモニウムクロ
ライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物などが挙げられる。
チルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベ
タインなどが挙げられる。
上記電極ペースト組成物は、必要に応じて、さらに炭素繊維を含有してもよい。このような炭素繊維しては、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維、リグニンポバー系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維などを用いることができ、これらの中では気相成長炭素繊維が好ましい。
上記電極ペースト組成物には、必要に応じてさらに水を添加してもよい。水を添加することにより、触媒ペースト組成物を調製する際の発熱を低減する効果がある。
上記電極ペースト組成物は、必要に応じて、さらにイオン交換基を有しない樹脂を含有してもよい。このような樹脂としては、上記有機溶媒に溶解もしくは分散するものであれば特に限定されないが、撥水性の高い樹脂であることが好ましい。たとえば、含フッ素共重合体、シランカップリング剤、シリコーン樹脂、ワックス、ポリホスファゼンなどを挙げることができ、これらの中では、含フッ素共重合体が好ましい。
本発明の電極−膜接合体を構成する電極触媒層は、上記触媒担持カーボンを20〜90重量%、好ましくは40〜85重量%の範囲で含有し、上記イオン交換樹脂を5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲で含有し、必要に応じて用いられる分散剤を0〜10重量%、好ましくは0〜3重量%の範囲で含有し、また、必要に応じて用いられる炭素繊維を0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲で含有し、必要に応じて用いられるイオン交換基を有しない樹脂は0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%で含有することが好ましい(なお、これらの合計を100重量%とする)。
できる。
上記電極ペースト組成物は、たとえば、上記各成分を所定の割合で混合し、従来公知の方法で混練することにより調製することができる。各成分の混合順序は特に限定されないが、たとえば、全ての成分を混合して一定時間攪拌を行うか、分散剤以外の成分を混合して一定時間攪拌を行った後、必要に応じて分散剤を添加して一定時間攪拌を行うことが好ましい。また、必要に応じて、有機溶媒の量を調整して、組成物の粘度を調整してもよい。
本発明の電極−膜接合体を構成する電極触媒層は、上記電極ペースト組成物を、電極基材、転写基材または後述するイオン交換樹脂膜上に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
上記のようにして塗布された塗膜の厚さ(すなわち電極触媒層の厚さ)は特に制限されないが、触媒として担持された金属が、コーティングの単位面積当り、0.05〜4.0mg/cm2、好ましくは0.1〜2.0mg/cm2の範囲で電極触媒層中に存在することが望ましい。この範囲にあれば充分に高い触媒活性が発揮されるとともに、効率的にプロトンを取り出すことができる。
本発明の電極−膜接合体を構成するイオン交換樹脂膜としては、特に限定されず、公知のイオン交換樹脂膜(プロトン伝導膜)を用いることができるが、該イオン交換樹脂膜を構成する成分として、上記電極ペースト組成物中に含まれるイオン交換樹脂を用いることが好ましい。このイオン交換樹脂のイオン交換容量は、0.3〜5.0meq/g、好ま
しくは0.5〜4.0meq/gであることが望ましい。
000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sであ
る。溶液粘度が上記範囲よりも低いと、加工中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまうことがあり、一方、上記範囲を超えると、高粘度過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となることがある。
水抽出により脱溶媒することもできる。なお、上記イオン交換樹脂膜には、イオン交換樹脂以外に、硫酸やリン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などが含まれてもよい。
本発明に係る電極−膜接合体は、上記イオン交換樹脂膜の両面に、上記電極触媒層を形成することにより製造することができる。
上記電極ペースト組成物をイオン交換樹脂膜上に直接塗布し、乾燥することにより形成する方法、
上記電極ペースト組成物を電極基材上に塗布し、乾燥することにより電極触媒層を有する電極を作製し、得られた電極とイオン交換樹脂膜とを、電極触媒層側がイオン交換樹脂膜に接するようにしてホットプレス等により接合する方法、
上記電極ペースト組成物を他の基材(転写基材)上に塗布して電極触媒層をいったん形成した後、イオン交換樹脂膜または電極基材上に転写する方法
などが挙げられる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、イオン交換容量、分子量および含水率の測定は以下のようにして行った。
イオン交換樹脂膜および各電極触媒層を構成するバインダー成分からなる膜を作製し、所定量を秤量してTHF/水の混合溶剤に溶解したフェノールフタレインを指示薬とし、NaOHの標準液を用いて滴定を行い、中和点からイオン交換容量を求めた。
スルホン酸基を有しないポリアリーレンの分子量は、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。スルホン酸基を有するポリアリーレンの分子量は、臭化リチウムと燐酸を添加したN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶離液として用い、GPCによってポリスチレン換算の分子量を求めた。
イオン交換樹脂からなる膜から切り取りとった2×3cmの小片膜を、95℃×24時間の条件で純水に浸漬した後、小片膜を取り出し重量W1を測定した。次に、120℃×
2時間の条件にて真空乾燥させた後の小片膜の重量W2を測定した。このW1およびW2か
ら、次式により含水率ΔWを求めた。
ΔW=(W1/W2−1)×100(重量%)
<合成例A1>
(1)疎水性ユニットの合成
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管および冷却管を取りつけた1Lの三口フラスコに、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン29.8g(104mmol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン37.4g(111mmol)および炭酸カリウム20.0g(145mmol)をはかりとった。フラスコ内を窒素置換した後、スルホラン168mLおよびトルエン84mLを加えて攪拌し、オイルバスを用いて反応液を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、5時間攪拌を続けた後、4,4’−ジクロロベンゾフェノン7.5g(30mmol)を加え、さらに8時間反応させた。反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過して乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過して乾燥することにより、目的の化合物56gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は10,500であった。得られた化合物は、下記式(I)で表されるオリゴマーであることを確認した。
攪拌機、温度計および窒素導入管を取りつけた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル135.5g(338mmol)、(1)で得られたオリゴマー(Mn10,500)44.5g(4.2mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド6.71g(10.3mmol)、ヨウ化ナトリウム1.54g(10.3mmol)、トリフェニルホスフィン35.9g(136mmol)および亜鉛53.7g(820mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)430mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc730mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
<アノード電極ペーストの調製>
50mLのポリボトルに直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(田中貴金属工業株式会社製、Pt:48重量%担持)1.53g、蒸留水0.88g、NMP12.47gおよび合成例1のポリマー(II)と同様の構造を有し、イオン交換容量が2.4meq/cm2のポリマーの15wt%NMP溶液4.59gを加え、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、アノード電極ペーストAを得た。
50mLのポリボトルに直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(田中貴金属工業株式会社製、Pt:48重量%担持)1.53g、蒸留水0.88g、NMP12.47g、合成例1のポリマー(II)と同様の構造を有し、イオン交換容量が2.2meq/cm2のポリマーの15wt%NMP溶液4.59gおよび気相法炭素繊維(昭和電工社製「VGCF」)0.1gを加え、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、カソード電極ペーストBを得た。
上記のようにして得られたアノード電極ペーストAを、撥水処理されたカーボンペーパー(東レ製)にドクターブレードにより塗布し、120℃で60分間乾燥することにより、Pt量が0.2mg/cm2となるアノード電極Aを形成した。また、上記のようにして得られたカソード電極ペーストBを撥水処理されたカーボンペーパー(東レ製)にドクターブレードにより塗布し、120℃で60分間乾燥することにより、Pt量が0.5mg/cm2となるカソード電極Bを形成した。
合成例1のポリマー(II)からなる膜厚50μmのイオン交換樹脂膜を、電極触媒層が膜に接するようにして、上記のようにして得られたアノード電極Aおよびカソード電極Bで挟み、圧力100kg/cm2下、160℃×15分の条件でホットプレス成形して
電極−膜接合体を作製した。得られた電極−膜接合体を2枚のチタン製の集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の評価用燃料電池を作製した。
<アノード電極ペーストの調製>
合成例1のポリマー(II)と同様の構造を有し、イオン交換容量が2.2meq/c
m2のポリマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアノード電極ペーストCを得
た。
合成例1のポリマー(II)と同様の構造を有し、イオン交換容量が2.1meq/c
m2のポリマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカソード電極ペーストDを得
た。
上記のようにして得られたアノード電極ペーストCおよびカソード電極ペーストDを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、アノード電極Cおよびカソード電極Dを得た。
上記のようにして得られたアノード電極Cおよびカソード電極Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用燃料電池を作製した。
<カソード電極ペーストの調製>
合成例1のポリマー(II)と同様の構造を有し、イオン交換容量が2.4meq/c
m2のポリマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカソード電極ペーストEを得
た。
得られたカソード電極ペーストEを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてカソード電極Eを得た。
上記のようにして得られたカソード電極Eと、実施例2で得られたアノード電極Cとを用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用燃料電池を作製した。
<アノード電極ペーストの調製>
合成例1のポリマー(II)と同様の構造を有し、イオン交換容量が2.1meq/c
m2のポリマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアノード電極ペーストFを得
た。
上記のようにして得られた得ノード電極ペーストEを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてアノード電極Fを得た。
上記のようにして得られたアノード電極Fと、実施例1で得られたカソード電極Bとを用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用燃料電池を作製した。
実施例1および2、比較例1および2で得られた評価用燃料電池のの温度を80℃に保ち、湿度100%RHにおいて、水素および空気を背圧0.2MPa一定の条件で供給し
、電流密度0.1A/cm2および1.0A/cm2のときの端子間電圧を測定した。結果を表1に示す。
撹拌羽根、温度計および窒素導入管を取り付けた1000mLの3口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル90.3g(225mmol)、2,5−ジクロロベンゾフェノン69.1g(275mmol)、4−クロロベンゾフェノン1.08g(5mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド9.81g(15mmol)、よう化ナトリウム2.25g(15mmol)、トリフェニルホスフィン52.5g(200mmol)および亜鉛78.4g(1200mmol)を加えた。フラスコ内を2時間真空乾燥した後、乾燥窒素置換し、脱水したジメチルアセトアミド(DMAc)373mLを加え、反応温度が90℃を超えないように制御しながら、3時間重合を行った。次いで、DMAc1400mLを加えて重合溶液を希釈した。不溶物をろ過し、ろ液を10Lのメタノールに注いで重合体を沈殿させた。沈殿した重合体を真空乾燥することにより、ポリアリーレン120gを得た。GPCで求めた生成物の数平均分子量(Mn)は39,000、重量平均分子量(Mw)は153,000であった。
(1)疎水性ユニットの合成
攪拌機、温度計、Dean-stark管、窒素導入管および冷却管を取り付けた1Lの三口フラスコに、2,6−ジクロロベンゾニトリル44.5g(259mmol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン102.0g(291mmol)および炭酸カリウム52.3g(379mmol)をはかりとった。フラスコ内を窒素置換した後、スルホラン366mLおよびトルエン183mLを加えて攪拌し、オイルバスを用いて反応液
を150℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はDean-stark管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをDean-stark管から系外に除去した。徐々に反応温度を200℃に上げ、3時間攪拌を続けた後、2,6−ジクロロベンゾニトリル16.7g(97mmol)を加え、さらに5時間反応させた。反応液を放冷後、トルエン100mLを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩を濾過し、濾液をメタノール2Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物を濾過、乾燥後、テトラヒドロフラン250mLに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。沈殿した白色粉末を濾過して乾燥することにより、目的物118gを得た。GPCで測定した数平均分子量(Mn)は7,300であった。得られた化合物は下記式(III)で表
されるオリゴマーであることを確認した。
攪拌機、温度計および窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル207.5g(517mmol)、(1)で得られたオリゴマー(Mn7,300)57.5g(7.88mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド10.3g(15.8mmol)、ヨウ化ナトリウム2.36g(15.8mmol)、トリフェニルホスフィン55.1g(210mmol)および亜鉛82.4g(1260mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)720mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc1360mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
攪拌機、温度計および窒素導入管を取り付けた1Lの三口フラスコに、3−(2,5−ジクロロベンゾイル)ベンゼンスルホン酸ネオペンチル152.4g(380mmol)、(1)で得られたオリゴマー(Mn7,300)147.2g(20.17mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロリド10.5g(16.1mmol)、ヨウ化ナトリウム1.80g(12.1mmol)、トリフェニルホスフィン42.0g(160mmol)および亜鉛62.8g(960mmol)をはかりとり、乾燥窒素置換した。ここにN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)850mLを加え、反応温度を80℃に保持しながら3時間攪拌を続けた後、DMAc1870mLを加えて希釈し、不溶物を濾過した。
<アノード電極ペーストの調製>
50mLのポリボトルに直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(田中貴金属工業株式会社製、Pt:48重量%担持)1.53g、蒸留水0.88g、NMP12.47gおよび合成例3の(2)のポリマーの15wt%NMP溶液4.59gを加え、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、アノード電極ペーストGを得た。
50mLのポリボトルに直径10mmのジルコニアボール(株式会社ニッカトー製「YTZボール」)25gを入れ、白金担持カーボン粒子(田中貴金属工業株式会社製、Pt:48重量%担持)1.53g、蒸留水0.88g、NMP12.47g、合成例2の(3)のポリマーの15wt%NMP溶液4.59gおよび気相法炭素繊維(昭和電工社製「VGCF」)0.1gを加え、ペイントシェーカーで60分間攪拌することにより、カソード電極ペーストHを得た。
上記のようにして得られたアノード電極ペーストGを撥水処理されたカーボンペーパー
(東レ製)にドクターブレードにより塗布し、120℃で60分間乾燥することにより、Pt量が0.2mg/cm2となるアノード電極Gを形成した。また、上記のようにして得られたカソード電極ペーストHを撥水処理されたカーボンペーパー(東レ製)にドクターブレードにより塗布し、120℃で60分間乾燥することにより、Pt量が0.5mg/
cm2となるカソード電極Hを形成した。
合成例2のポリマーからなる膜厚50μmのイオン交換樹脂膜を、電極触媒層が膜に接するようにして、上記のようにして得られたアノード電極Gおよびカソード電極Hで挟み、圧力100kg/cm2下、160℃×15分の条件でポットプレス成形して電極−膜
接合体を作製した。得られた電極−膜接合体を2枚のチタン製の集電体で挟み、さらにその外側にヒーターを配置し、有効面積25cm2の評価用燃料電池を作製した。
<アノード電極ペーストの調製>
合成例2の(3)のポリマーを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてアノード電極ペーストIを得た。
上記のようにして得られたアノード電極ペーストIを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてアノード電極Iを得た。
上記のようにして得られたアノード電極Iと、実施例3で得られたカソード電極Hとを用いたこと以外は、実施例3と同様にして評価用燃料電池を作製した。
<カソード電極ペーストの調製>
合成3の(2)のポリマーを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてカソード電極ペーストJを得た。
上記のようにして得られたカソード電極ペーストJを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてカソード電極Jを得た。
上記のようにして得られたカソード電極Jと、比較例3で得られたアノード電極Iとを用いたこと以外は、実施例3と同様にして評価用燃料電池を作製した。
実施例3、比較例3および4で作製した評価用燃料電池の温度を80℃に保ち、背圧0.2MPa一定の条件で、アノードに水素を、カソードに空気を供給し、アノード湿度5
0%RH/カソード湿度50%RHと、アノード湿度100%RH/カソード湿度100%RHの2条件について、電流密度0.1A/cm2および1.0A/cm2のときの端子間電圧を測定した。結果を表2に示す。
Claims (10)
- イオン交換樹脂膜と、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むアノード側電極触媒層と、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むカソード側電極触媒層とを有する電極−膜接合体であって、
アノード側電極触媒層を構成するバインダー成分のイオン交換容量が、カソード側電極触媒層を構成するバインダー成分のイオン交換容量より大きいこと、および/または、
アノード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂からなる膜の含水率が、カソード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂からなる膜の含水率より高いこと
を特徴とする電極−膜接合体。 - イオン交換樹脂膜と、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むアノード側電極触媒層と、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むカソード側電極触媒層とを有する電極−膜接合体であって、
アノード側電極触媒層を構成するバインダー成分のイオン交換容量が、カソード側電極触媒層を構成するバインダー成分のイオン交換容量より、0.05meq/g以上大きいことを特徴とする電極−膜接合体。 - 前記イオン交換樹脂膜のイオン交換容量が、前記カソード側電極触媒層を構成するバインダー成分のイオン交換容量より大きいことを特徴とする請求項2に記載の電極−膜接合体。
- 前記イオン交換樹脂膜のイオン交換容量が、前記アノード側電極触媒層を構成するバインダー成分のイオン交換容量より小さいことを特徴とする請求項2または3に記載の電極−膜接合体。
- イオン交換樹脂膜と、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むアノード側電極触媒層と、触媒担持カーボンおよびイオン交換樹脂を含むカソード側電極触媒層とを有する電極−膜接合体であって、
アノード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂からなる膜の含水率(重量%)が、カソード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂からなる膜の含水率(重量%)より、5〜100重量%高いことを特徴とする電極−膜接合体。 - 前記イオン交換樹脂膜を構成するイオン交換樹脂、前記アノード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂および前記カソード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂のうち少なくとも1つが、スルホン酸基もしくはリン酸基からなるイオン伝導成分を有するポリマーセグメント(A)と、イオン伝導成分を有しないポリマーセグメント(B)とが共有結合しているブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極−膜接合体。
- 前記イオン交換樹脂膜を構成するイオン交換樹脂、前記アノード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂および前記カソード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂のうち少なくとも1つが、芳香環を結合基で共有結合させた構造を主鎖骨格に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極−膜接合体。
- 前記イオン交換樹脂膜を構成するイオン交換樹脂、前記アノード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂および前記カソード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂のうち少なくとも1つが、下記一般式(A)で表される構成単位と、下記一般式(B)で表される構成単位とを含むスルホン化ポリアリーレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極−膜接合体。
(CF2)i−(iは1〜10の整数を示す。)または−C(CF3)2−を示し、
Zは、独立に直接結合、−(CH2)j−(jは1〜10の整数を示す。)、−C(CH3
)2−、−O−または−S−を示し、
Arは、−SO3H、−O(CH2)pSO3Hまたは−O(CF2)pSO3H(pは1〜1
2の整数を示す。)で表される置換基を有する芳香族基を示し、
mは0〜10の整数を示し、nは0〜10の整数を示し、kは1〜4の整数を示す。]
−、−CONH−、−COO−、−(CF2)i−(iは1〜10の整数を示す。)、−(CH2)j−(jは1〜10の整数を示す。)、−CR’2−(R’は脂肪族炭化水素基、
芳香族炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基を示す。)、シクロヘキシリデン基、フルオレニリデン基、−O−または−S−を示し、
Bは独立に酸素原子または硫黄原子を示し、
R1〜R16は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、アルキル基、一部もしくは全部が
ハロゲン化されたハロゲン化アルキル基、アリル基、アリール基、ニトロ基またはニトリル基を示し、
sおよびtは、それぞれ0〜4の整数を示し、rは0または1以上の整数を示す。] - 前記アノード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂および前記カソード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂が、上記一般式(A)で表される構成単位と、上記一般式(B)で表される構成単位とを含むスルホン化ポリアリーレンであることを特徴とする請求項8に記載の電極−膜接合体。
- 前記イオン交換樹脂膜を構成するイオン交換樹脂、前記アノード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂および前記カソード側電極触媒層を構成するイオン交換樹脂が、上記一般式(A)で表される構成単位と、上記一般式(B)で表される構成単位とを含むスルホン化ポリアリーレンであることを特徴とする請求項8に記載の電極−膜接合体。
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