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JP2007071569A - 微細パターンを有するプローブ固定担体の製造方法 - Google Patents

微細パターンを有するプローブ固定担体の製造方法 Download PDF

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JP2007071569A JP2005256184A JP2005256184A JP2007071569A JP 2007071569 A JP2007071569 A JP 2007071569A JP 2005256184 A JP2005256184 A JP 2005256184A JP 2005256184 A JP2005256184 A JP 2005256184A JP 2007071569 A JP2007071569 A JP 2007071569A
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Abstract

【課題】 固定化剤塗布処理した基材(基板)表面に対して、プローブを含有する溶液の液滴をスポットする際、その液滴量に対するスポット径の微小化を可能とする手法の提供。
【解決手段】 基材上へのプローブの固定を、プローブが具える反応性基と、基材上に導入されている反応性基との間の反応による結合形成を介して行う際、
(1)基材上に反応性基を導入する工程;(2)プローブの反応性基、基材上に導入する反応性基のいずれに対しても反応性を示さない反応不活性物質からなる被覆膜を基材上に設ける工程;(3)プローブを含有する溶液の液滴を前記被覆膜で覆われる基材上に点着させ、液滴を、該被覆膜を透過させ、反応性基が導入されている基材と接触させる工程;(4)液滴中に含まれるプローブの反応性基と、基材上に導入されている反応性基とを反応させる工程を含む製造プロセスを用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プローブ固定担体の製造方法に関し、特に、プローブを基材上に微細なパターンでスポットし、固定化したプローブ固定担体を製造する方法に関する。
標的物質を、該標的物質と特異的に結合可能なプローブ分子を利用して検出する手法は、広範な応用が進められている。例えば、プローブ・ハイブリダイゼーション法では、標的核酸分子の有する塩基配列に対して、相補的な塩基配列を有する核酸プローブをプローブとして利用し、ハイブリダイゼーション反応により、標的核酸分子の検出を行う。この手法は、核酸分子の塩基配列の決定、検体試料中の含まれている、特定の塩基配列を有する標的核酸分子の検出、各種細菌の遺伝子情報に基づく、細菌の種の同定などで広く利用されている。このプローブ・ハイブリダイゼーション法に基づく、標的核酸分子の検出を行う際、固相支持体上に核酸プローブ多数種をアレイ・パターンに並べて固定化したプローブ固定担体(プローブ・アレイ)の使用が提案されている。特に、個々の核酸プローブを固定化するスポット点を高い密度アレイ状に配置し、核酸プローブ多数種を高密度で固相支持体上に固定化した、所謂、高密度プローブ・アレイの利用が近年急速に注目を集めている。膨大な種類の核酸プローブに対するハイブリダイゼーション反応を行う際に、かかる高密度プローブ・アレイを用いることで、一度の操作により、調査試料に含まれている標的核酸分子と核酸プローブ多数種との反応を行うことが可能となる。すなわち、一回の実験において、一つのプローブ・アレイ上に固定されている核酸プローブ多数種間における反応性の違いを評価することが可能となる。さらには、高密度プローブ・アレイを高い再現性で作製し、同一の品質を有するプローブ・アレイを大量に準備することで、サンプル集合中の調査試料相互の間における反応性の相違を検出することにも利用できる。
核酸プローブ複数種を固相支持体上に固定し、プローブ・アレイを作製する方法としては、様々な方法が知られている。先ず、第1のAffimetrix社により開発された方法を挙げることができる。この方法は、光照射で選択的に除去される保護基と、半導体製造で利用されるフォトリソグラフィー技術とを用い、基板上に高密度に配置されている、数十μmの矩形領域毎に、オリゴヌクレオチドの合成を独立して行うものである。この方法により得られるプローブ・アレイは、現在のところ世界で唯一規格標準されたものである。しかし、基板上でDNAプローブを直接合成するため、個々のプローブ・アレイの作製に多数段のフォトリソグラフ工程が必要であり、そのため、価格が非常に高くなっている。この高いコストのプローブ・アレイを多量に用いることができるのは、潤沢な研究費用を有する一部の研究者に限られている。一方、他のプローブ・アレイの製造方法としては、Stanford大学のP.Brownらにより開発された手法を挙げることができる。この方法は、上述したAffimetrix社の方法と比較すると、製造工程は非常にシンプルである。予め調製された多数種のDNAプローブの溶液を、表面に化学処理が施された96または384穴のマイクロプレートに分注しておく。次いで、高密度スポットが可能なロボットを利用し、スライドグラス(基板)上にDNAプローブを高密度でスポットし、固定化する方法である。この方法は、Affimetrix社の手法のように、基板毎にDNAプローブを合成する代わりに、予め調製した多数種のDNAプローブを利用する。そのため、限られた数量のプローブ・アレイを多数種類作製する際、DNAプローブを高密度でスポットし、固定化する方法を利用すると、一プローブ・アレイ当たりの製造コストは低くなる。特に、多数段のフォトリソグラフ工程が不要であり、また、個々の研究者の要望に合わせた、多様なDNAプローブの組み合わせを有するカスタム・アレイの作製が可能であるため、多くの研究機関でこの方法が利用されている。
また、プローブのスポッティング手段として、微小液滴を吐出できるインクジェット・ヘッドにより、プローブ含有溶液を基材(基板)表面にスポッティングして、微小スポットを形成することが可能なプローブ・アレイの製造方法が提案されている(特許文献1)。
この予め調製されたプローブ多数種を基板上に固定化するプローブ・アレイは、通常、ガラス基材上にDNAを固定するための固定化剤を塗布し、固定化剤塗布処理された表面上に、高密度アレイ状に目的とするDNA多数種をスポットすることにより製造される。しかしながら、固定化剤塗布処理した表面が親水性である場合、この表面にスポットされたプローブを含有する溶液の液滴は表面上で濡れ拡がり、隣接するスポット点の液滴相互が接触してしまい、両者間で液の混合が起こるという不具合が生じることがある。この隣接するスポット点間での液滴の混合を防止するためには、液滴の濡れ拡がりを考慮して、スポット点間に一定の間隔を設ける必要があり、スポット点の高密度化に対する大きな制約となる。また、固定化剤塗布処理した基材(基板)表面上において、スポットされたプローブ溶液の濡れ拡がりが少ない場合でも、個々のスポット点のスポット径をさらに小さくすることが要望されることもある。例えば、元々、サンプル量が少ない貴重な調査試料では、プローブ・アレイ上の多数のプローブとの反応を行わせるサンプル液の使用量をさらに少なくすることが望まれている。つまり、個々のスポット点のスポット径をさらに小さくし、プローブ・アレイ全体の面積を一層狭くすることが望まれる。すなわち、スポット径を小さくすればするほど、さらにスポット点の高密度化を行うことが可能となる。例えば、スポット点の更なる高密度化により、プローブ・アレイを構成するプローブ種類数が同じでも、これらプローブをスポットする面積をさらに狭くできるので、この狭い領域に接するサンプル液の液量を削減することが可能となる。あるいは、スポット点を更に高密度化することにより、同じ面積に対して、スポット可能なプローブ種類の総数を増すことが可能となる。その利点を利用すると、サンプル液の使用量が同じであっても、このサンプル液と反応させることができるプローブ種類総数の増加、すなわち、得られる情報量を増やすことが可能となる。
スポットされた液滴の表面上で濡れ拡がりを抑制する方法として、基板上にスポットと成り得るエリアを親水性に、その周囲のバックグラウンドと成り得るエリアは疎水性とする手法がある。その手段として、予め疎水性である基板上のスポット位置に対応させて、微細な親水性パターンを形成した後、プローブを含む溶液をこの親水性エリアにスポッティングする方法が提案されている(特許文献2、特許文献3、特許文献4)。しかしながら、これらの方法は、基板上に、親/疎水パターンを予め形成するため、親水性固定化剤塗布領域のパターニング用フォトマスクを必要とし、このパターニング工程は、プローブ・アレイ製造上のコストアップ要因となりえる。
また、これらの方法の他にも、基材へスポッティングするプローブ溶液の液滴量を少なくして、微小なスポット径を形成するために、スポッティング・ロボットのピンの先端をさらに細くすることが試みられている、あるいは、インクジェット・ヘッドの吐出口をさらに小さくすることが試みられている。スポットされる液滴量のみでなく、親水性の固定化剤塗布処理した基材(基板)表面に対するプローブ溶液の濡れ性、すなわち、プローブ溶液の接触角に依存して、スポット径が決定される。そのため、スポットされる液滴量を少なくしても、最終的に得られるスポット径はその液滴量に比例して減少するものでもない。また、インクジェット・ヘッドのノズル径を細くすると、微小なパーティクルがノズル内に詰まりやすくなる。そのため、ノズル径が細くなるに従って、インクジェット・ヘッド製造時の歩留まりが反比例的に悪くなるという、別の問題点がある。この微小なパーティクルが細いノズル径内に詰まることによる不良発生を極力無くすため、微小なパーティクルの混入を極力抑制する必要があり、クリーンルーム環境の更なる厳密管理が必要となる。例えば、より高いクリーン度を保持するクリーンルーム設備の導入に伴って、製造コストアップの要因ともなりうる。
理論的には、基材表面に対するスポッティングされる溶液の濡れ性を下げ、接触角を大きくすれば、同じ液滴量におけるスポット径の微小化が可能である。固定化剤塗布処理した基材(基板)表面に対するプローブ溶液の濡れ性を下げる、すなわち、プローブ溶液の接触角を大きくするためには、基材表面に塗布する固定化剤の化学的構造を変えたり、スポッティング溶液の組成を変えたりする必要がある。例えば、基材表面に塗布する固定化剤の化学的構造を変更する場合、プローブと固定化剤との反応機構も変化することも多い。その場合、所望のプローブ溶液の接触角と、プローブの固定化効率とを両立させるために、トライアンドエラーを繰り返すことも少なくなく、開発コストアップ要因ともなりえる。
特開2003―254969号公報 特開2003−028864号公報 特開2003−33177号公報 特開2002−267667号公報
本発明は上記の課題を解決するものであり、本発明の目的は、固定化剤塗布処理した基材(基板)表面に対して、プローブを含有する溶液の液滴をスポットする際、前記液滴量に対するスポット径の微小化を可能とする新規な手法を提供することにある。すなわち、標的物質(ターゲット)の検出に利用するプローブ固定担体を製造する際、基材表面にスポットされるプローブを含有する溶液の液滴が基材表面上で濡れ拡がることを抑制するため、予め基材表面上にスポット領域を制限する機能を有する親/疎水パターンニングを施す手法を用いなくとも、前記液滴量に対するスポット径の微小化を可能とする新規な手法を提供することにある。特には、プローブの固定に利用する、基材表面に塗布する固定化剤を変更せず、スポットされる液滴のスポット径の微小化を可能とする、表面に対する実効的な接触角を大きくすることを可能とする、新規なスポット手段を利用するプローブ固定担体を製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を進め、下記の知見を得た。すなわち、固定化剤塗布処理した基材(基板)表面は、プローブを含有する溶液の溶媒、例えば、水性溶媒に対して、親和性を有する。そのため、プローブを含有する溶液の液滴をスポットすると、該水性溶媒の濡れ拡がりに伴い、最終的なスポット径の拡大が引き起こされている。一方、固定化剤塗布処理した基材(基板)表面に、予め他の物質からなる被覆膜を形成しておくと、下記の現象が起こる。すなわち、プローブを含有する溶液の液滴をスポットする際、この被覆膜の透過して、基材(基板)表面へ液滴が接触する形態とすると、この液滴のドット径の周囲は、被覆膜で囲まれる状態となる。その際、プローブを含有する溶液の水性溶媒が、基材(基板)表面上において、さらに濡れ拡がりを引き起こすためには、その周囲を取り囲む被覆膜を押し広げることが必要となる。
周囲を取り囲む被覆膜を構成する物質が、プローブを含有する溶液の溶媒、例えば、水性溶媒に対する親和性が乏しく、相互に混和しない非親水性物質である場合、スポットされた液滴と、その周囲を取り囲む被覆膜との間に明確な界面が形成される。この界面において、スポットされた液滴側から被覆膜側へは、液滴自体の荷重に起因する内圧が加わっている。一方、被覆膜側から液滴側へは、スポットに伴って、外側へ押し退けられた領域に元々存在していた非親水性物質の荷重に由来する外圧が加わっている。さらには、被覆膜と基材(基板)表面との接触面での付着力、ならびに、被覆膜の塑性変形に要する応力も、液滴の濡れ拡がりを抑制する斥力として作用する。これらが平衡する状態に達すると、液滴の濡れ拡がりはそれ以上進行しないことが判明した。従って、被覆膜を形成していない場合と比較すると、固定化剤塗布処理した基材(基板)表面に、予め他の物質からなる被覆膜を形成しておくことで、程度の差があるものの、スポットされた液滴の濡れ拡がりは抑制を受けることを見出した。
その際、この被覆膜を構成する物質が、プローブの固定に利用される、基材(基板)表面に導入されている反応性基、あるいは、プローブに設けられている反応性基のいずれに対して、反応性を示すと、以下の不具合の要因となる。まず、基材(基板)表面上に被覆膜を形成した段階で、基材(基板)表面に導入されている反応性基と反応して、基材(基板)表面に固定化された被膜層を形成するという不具合の要因となる。あるいは、スポットされた液滴中に含有されるプローブに設けられている反応性基と反応し、結果として、基材(基板)表面へ固定化されるプローブ量を低減させるという不具合の要因となる。換言するならば、被覆膜を構成する物質として、プローブが具える反応性基、ならびに基材上に導入する反応性基のいずれに対しても反応性を示さない反応不活性物質を利用することで、前記の不具合を回避するができることを見出した。
本発明者は、以上の知見に基づき、本発明を完成させた。
すなわち、本発明にかかるプローブ固定担体の製造方法は、
標的物質に対して特異的に結合可能なプローブを、基材上に固定してなるプローブ固定担体の製造方法において、
該基材上へのプローブの固定は、プローブが具える反応性基と、基材上に導入されている反応性基との間の反応による結合形成を介してなされ、
下記(i)〜(iv)の工程:
工程(i):該プローブが具える反応性基と反応可能な反応性基を基材上に導入する工程;
工程(ii):該プローブが具える反応性基、ならびに該基材上に導入する反応性基のいずれに対しても反応性を示さない反応不活性物質からなる被覆膜を、該基材上に設ける工程;
工程(iii):点着手段により、該プローブを含有する溶液の液滴を前記反応不活性物質からなる被覆膜で覆われる基材上に点着させ、その点着される液滴を、反応不活性物質からなる被覆膜を透過させ、前記反応性基が導入されている基材と接触させる工程;
工程(iv):点着される液滴中に含まれるプローブが具える反応性基と、該液滴と接触している基材上に導入されている反応性基とを反応させる工程
を含む
ことを特徴とするプローブ固定担体の製造方法である。
基材(基板)表面にスポットされる液滴の全体形状は、その液滴の液量と基材(基板)表面と接する液滴の接触角に支配されている。その点を考慮し、従来、スポットされた液滴と基材(基板)表面とが接するドット径を微小化する手法として、液滴の液量と基材(基板)表面と接する液滴の接触角を大きくする手段が利用されてきた。例えば、水性溶媒を利用する溶液の液滴をスポットする場合、スポット点の中心に、微小な親水性パターンを形成し、その周囲を疎水性表面で取り囲む形状とされていた。その状態では、この親水性パターンをはみ出す液量の液滴においては、その接触面の外周は疎水性表面上に位置し、液滴の接触角は大きくなり、ドット径を微小化する効果が達成されていた。また、この微小な親水性パターン部分のみに、プローブの固定化に利用する固定化剤塗布処理を行うことで、基材(基板)表面上にプローブが固定化されているドットの径を微小化することを可能としていた。
この基材(基板)表面上に、固定化剤塗布処理を施した親水性パターンを形成する工程では、所定のパターン形状にパターンニングを行うため、例えば、フォトリソグラフに利用するフォトマスク、ならびに、パターンニング装置などを使用している。これらの使用に伴うコストは、場合によっては、不要な製造コストアップの要因ともなりうる。あるいは、固定化剤塗布処理を施した基材(基板)表面に対する、溶液に利用される溶媒の接触角を大きくするため、利用される固定化剤、あるいは、溶液に利用される溶媒自体を変更する試みも行われている。利用される固定化剤を変更するためには、変更された固定化剤に適合する反応性基を具えるプローブの作製も必要となり、双方を最適化する上では、場合によっては、トライアンドエラーを繰り返す開発過程において、多くの開発時間が必要となる。従って、場合によっては、不要な開発コストアップの要因ともなりうる。
本発明にかかるプローブ固定担体の製造方法では、プローブの固定化に利用される、プローブに設ける反応性基と、基材(基板)表面に導入する反応性基は、従前の組み合わせをそのまま利用できる。その上で、反応性基を導入した基材(基板)表面に反応不活性である物質からなる被覆膜を形成した上で、該プローブを含有する溶液の液滴を点着し、点着される液滴を、反応不活性物質からなる被覆膜を透過させ、前記反応性基が導入されている基材と接触させる。この手法を採用することで、液滴と基材(基板)表面との接触するドット径の微小化を図ることが可能となる。この手法は、反応不活性物質からなる被覆膜を利用するのみで、大きな製造コストアップの要因となる装置を必要とする工程の付加はない。また、適する反応不活性物質からなる被覆膜の選択には、不必要に長い開発期間を要することもない。前記の二つの利点を有するので、大きな開発コストアップの要因もないという利点をも有している。
本発明にかかるプローブ固定担体の製造方法は、
標的物質に対して特異的に結合可能なプローブを、基材上に固定してなるプローブ固定担体の製造方法において、
該基材上へのプローブの固定は、プローブが具える反応性基と、基材上に導入されている反応性基との間の反応による結合形成を介してなされ、
下記(i)〜(iv)の工程:
工程(i):該プローブが具える反応性基と反応可能な反応性基を基材上に導入する工程;
工程(ii):該プローブが具える反応性基、ならびに該基材上に導入する反応性基のいずれに対しても反応性を示さない反応不活性物質からなる被覆膜を、該基材上に設ける工程;
工程(iii):点着手段により、該プローブを含有する溶液の液滴を前記反応不活性物質からなる被覆膜で覆われる基材上に点着させ、その点着される液滴を、反応不活性物質からなる被覆膜を透過させ、前記反応性基が導入されている基材と接触させる工程;
工程(iv):点着される液滴中に含まれるプローブが具える反応性基と、該液滴と接触している基材上に導入されている反応性基との反応させる工程
を含む
ことを特徴とするプローブ固定担体の製造方法であるが、この方法においては、下記する形態を選択すると好ましい。
まず、本発明にかかるプローブ固定担体の製造方法では、
前記工程(iv)の後に、
工程(v):点着される液滴を除去する工程
をさらに設けることが好ましく、さらには、
前記工程(iv)の後に、
工程(v’):点着される液滴および反応不活性物質からなる被覆膜を除去する工程
をさらに設けることがより好ましい。
一方、前記反応不活性物質からなる被覆膜を構成する該反応不活性物質は、
該被覆膜により覆われていない状態で、前記反応性基が導入されている基材上に、該プローブを含有する溶液の液滴を点着させた際、前記反応性基が導入されている基材に点着される液滴が接触する部位のドット径と比較し、
該被覆膜により覆われている状態で、前記反応性基が導入されている基材上に、該プローブを含有する溶液の液滴を点着させた際、前記反応性基が導入されている基材に点着される液滴が接触する部位のドット径をより小さくする性質を有する物質である
ことが望ましい。
また、前記反応不活性物質からなる被覆膜を構成する該反応不活性物質は、
該被覆膜により覆われている状態で、前記反応性基が導入されている基材上に、該プローブを含有する溶液の液滴を点着させる際、
該点着を実施する温度において、点着される液滴を、該反応不活性物質からなる被覆膜を透過させ、前記反応性基が導入されている基材と接触させることを可能とする流動性を示す物質であることが好ましい。
例えば、前記反応不活性物質からなる被覆膜を構成する該反応不活性物質として、
ナフテン、パラフィン、芳香族炭化水素化合物、または、これら炭化水素化合物から得られる誘導体からなる群より選択される物質を利用することができる。
なお、該反応不活性物質は、該プローブを含有する溶液を構成する溶媒に対する親和性が乏しいものを利用することが望ましい。
本発明にかかるプローブ固定担体の製造方法では、
前記点着手段は、
インクジェット方式による液滴の点着手段であることが好ましい。
例えば、該インクジェット方式による液滴の点着手段には、
該プローブを含有する溶液中に、熱エネルギーによって気泡を生成させて、該気泡生成に起因する圧力上昇により、該溶液を液滴として吐出させ、液滴の点着を行う方式を利用することができる。あるいは、該インクジェット方式による液滴の点着手段には、
該プローブを含有する溶液中に、圧電素子によって圧力上昇を引き起こし、該溶液を液滴として吐出させ、液滴の点着を行う方式を利用することもできる。
また、前記点着手段として、
突起体の先端に、該プローブを含有する溶液を付着させ、
該突起体先端を、反応不活性物質からなる被覆膜を透過させて、前記反応性基が導入されている基材と接触させ、該先端に付着している、該プローブを含有する溶液液滴の点着を行う方式を採用してもよい。
一方、該プローブに設けられる反応性基として、スルファニル基を利用することができる。さらには、該プローブに設けられる反応性基として、アミノ基を採用することもできる。
それに対して、該基材上に導入されている反応性基として、マレイミド基を利用することができる。さらに、該基材上への反応性基の導入は、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルを用いて行うことができる。このN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルは、カルボン酸の活性化エステルであり、結果的に、カルボキシル基の導入に相当する。
上記の本発明にかかるプローブ固定担体の製造方法は、該プローブは核酸プローブである際、特に有用な手法となる。
以下に、本発明について、より詳しく説明する。
本発明にかかるプローブ固定担体の製造方法では、
標的物質に対して特異的に結合可能なプローブを、基材の表面上に固定して、プローブ固定担体を製造する際、基材表面上へのプローブの固定は、プローブが具える反応性基と、基材上に導入されている反応性基との間の反応による結合形成を介してなされている。その際、反応性基を具えているプローブを所定濃度、溶媒中に溶解して、プローブを含有する溶液を予め調製する。一方、基材表面上には、該プローブが具える反応性基と反応可能な反応性基を導入している。この反応性基を導入した基材表面上に、前記プローブを含有する溶液の液滴を点着させ、この液滴と基材表面とが接触する部位において、プローブが具える反応性基と、基材上に導入されている反応性基との間の反応を起こさせる。従って、基材表面上へのプローブの固定は、この液滴と基材表面とが接触する部位に限定されたものとなる。
本発明では、この液滴と基材表面とが接触する部位のドット径の拡がりを抑制する手段として、
反応性基を導入した基材表面上に、該プローブが具える反応性基、ならびに該基材上に導入する反応性基のいずれに対しても反応性を示さない反応不活性物質からなる被覆膜を設けた状態で、その表面から、プローブを含有する溶液の液滴を点着させている。この点着される液滴は、反応不活性物質からなる被覆膜を透過し、反応性基が導入されている基材表面にその先端部が接する状態となる。
図1に、本発明の方法において、点着される液滴が、反応不活性物質からなる被覆膜を透過し、反応性基が導入されている基材表面にその先端部が接する状態を模式的に示す断面図を示す。基材4の表面には、プローブ1の固定に利用される反応性基5が導入されている。この基材4の表面に導入されている反応性基5は、プローブ1に具わっている反応性基2と反応可能であり、プローブ1を含有する溶液の液滴3が、基材4の表面に接触している状態で、両者の反応を行わせる。プローブ1を含有する溶液の液滴3の点着工程に先立ち、反応性基5を導入した基材4の表面は、プローブの反応性基2と基材の反応性基5のいずれに対しも、反応不活性である物質6で構成される被覆膜で覆われた状態とする。
液滴3の点着させると、液滴3は、先ず、スポット点下に存在していた、反応不活性である物質6で構成さる被覆膜を押し退ける形態で、この被覆膜を透過し、液滴3の先端部分が基材4の表面に達して、接触する状態となる。すなわち、元々基材4の表面を被覆している物質6は、液滴3を点着させる過程で、そのスポット点の周囲に押し退けられる必要があり、この塑性変形が可能な程度に流動性を有することが必要である。この点着がなされた時点では、基材4の表面近くにおいては、液滴3の周囲は、反応不活性である物質6で取り囲まれ、両者が接する界面が形成される。一方、反応不活性である物質6で構成さる被覆膜の上面よりも高い位置にある液滴3の部分は、その表面は、大気と接触しており、その表面形状は、液滴3自体の荷重と表面張力で支配されている。
反応不活性である物質6で構成さる被覆膜を透過する部分の形状は、液滴3側から被覆膜側へと向かう力と、被覆膜側から液滴3側へと向かう力とが平衡する状態となる。液滴3側から被覆膜側へと向かう力は、液滴3自体の荷重に起因する内圧に相当している。他方、被覆膜側から液滴3側へと向かう力は、液滴3の点着に伴って、その周囲に押し退けられた物質6の部分荷重に由来する外圧が相当する。この内圧が外圧より大きいと、両者の界面をさらに押し拡げ、液滴3と基材4の表面との接触するドット径を拡大しようとする。その際、被覆膜と基材(基板)表面との接触面での付着力、ならびに、被覆膜の塑性変形に要する応力は、そのドット径の拡大を抑える斥力として作用する。すなわち、前記内圧と外圧の差が、斥力に打ち勝つことができないと、それ以上ドット径の拡大は進行しない。
その際、斥力として機能する、被覆膜と基材(基板)表面との接触面での付着力、ならびに、被覆膜の塑性変形に要する応力は、液滴3と基材4の表面との接触するドットの外周に比例しており、すなわち、ドット径(直径)に比例している。一方、前記内圧と外圧の差は、ドット径(直径)が拡大するに従って、徐々に減少する。前記斥力を構成する二つの成分のうち、被覆膜と基材(基板)表面との接触面での付着力は、反応性基5が導入されている基材(基板)表面に対する、反応不活性である物質6の親和性(濡れ性)に起因している。また、被覆膜の塑性変形に要する応力は、反応不活性である物質6の流動性(粘性)に由来している。
本発明においては、上述するように、プローブ1を含有する溶液の液滴3に対して、反応不活性である物質6で構成される被覆膜がその周囲を取り囲み、液滴3と基材4の表面との接触するドット径の拡大を抑制する作用を利用している。従って、プローブ1を含有する溶液で利用されている溶媒と、被覆膜を構成している反応不活性である物質6とが相互に混和することのないように、反応不活性である物質6として、前記溶媒に対して、親和性に乏しい物質を利用する。例えば、プローブ1を含有する溶液で利用されている溶媒が水性溶媒である場合には、反応不活性である物質6として、疎水性物質を用いる。例えば、プローブ1が、核酸分子である場合、プローブ1を含有する溶液の調製に利用される溶媒は、水性溶媒であり、反応不活性である物質6として、疎水性物質を用いる。
なお、プローブ1を含有する溶液で利用されている溶媒が水性溶媒である場合、反応性基5が導入されている基材(基板)表面自体が、該水性溶媒に対する親和性に乏しいと、元々、反応性基5が導入されている基材(基板)表面上において、プローブ1を含有する溶液が示す接触角は大きくなっている。その場合、本発明に伴うスポット径の微小化の効果は限定されたものとなる。具体的には、プローブのスポット点間の間隔を制限する要因は、液滴3と基材4の表面との接触するドット径ではなく、点着されている液滴3自体の最大径となっている。元々、接触角は大きい場合、液滴3と基材4の表面との接触するドット径が狭まると、点着されている液滴3自体の最大径は、実質的に変化しないか、あるいは、僅かに拡大することになる。その場合、隣接する液滴3相互の接触を回避するために設定すべき、プローブのスポット点間の間隔を狭めることは困難である。
一方、プローブ1を含有する溶液で利用されている溶媒が水性溶媒である場合、反応性基5が導入されている基材(基板)表面自体が、該水性溶媒に対する親和性に富むと、次の状態となる。すなわち、元々、反応性基5が導入されている基材(基板)表面上において、プローブ1を含有する溶液が示す接触角は小さくなっており、本発明に伴うスポット径の微小化の効果はより顕著となる。具体的には、プローブのスポット点間の間隔を制限する要因は、点着されている液滴3自体の最大径であるが、その最大径は、実質的に、液滴3と基材4の表面との接触するドット径となっている。元々、接触角が小さい場合、液滴3と基材4の表面との接触するドット径が狭まると、このドット径である、点着されている液滴3の最大径も減少することになる。その場合、このドット径の減少に比例させて、隣接する液滴3相互の接触を回避するために設定すべき、プローブのスポット点間の間隔を狭めることが可能となる。
例えば、プローブ1を含有する溶液で利用されている溶媒が水性溶媒である場合、反応性基5が導入されている基材(基板)表面を親水性とすると、反応不活性である物質6として疎水性物質を用いる際、次の状態となる。すなわち、被覆膜と基材(基板)表面との接触面での付着力は、小さなものとなる。従って、被覆膜の塑性変形に要する応力が、そのドット径の拡大を抑える斥力として主に利用される形態となる。反応不活性である物質6の流動性が低いほど(粘性が高いほど)、この被覆膜の塑性変形に要する応力が大きくなる。液滴3と基材4の表面との接触するドット径の拡大を抑制する作用を高めるためには、反応不活性である物質6の流動性が低い(粘性が高い)ことがより好ましい。
仮に、被覆膜を構成している物質が、基材表面上に導入されている反応性基5に対して、反応性を有すると、基材表面を被覆している段階で、両者の反応が進行する可能性がある。例えば、基材4の表面上に導入されている反応性基との反応に伴い、被覆膜を構成している物質が基材表面に固定化されると、この固定化された物質の被膜層は、プローブ1を含有する溶液の液滴3と基材4の表面との接触を阻害する可能性がある。さらには、基材4の表面上に導入されている反応性基が、この物質との反応により消費されると、プローブ1を含有する溶液の液滴3と基材4の表面とを接触した際、プローブの反応性基との反応に利用可能な基材の反応性基5の面密度は低下する。この不具合を回避するため、被覆膜を構成している物質は、基材の反応性基5に対して反応性を示さない物質を利用している。
加えて、プローブ1を含有する溶液の液滴3と、被覆膜を構成している物質とは、その界面で接触した状態となる。仮に、被覆膜を構成している物質が、プローブの反応性基2に対して、反応性を有すると、前記界面において、両者の反応が進行する可能性がある。この反応に伴って、液滴3中、基材4の表面近傍に存在しているプローブ1が消費されると、基材4の表面上に導入されている反応性基5と反応可能なプローブ1の濃度が低下する。この不具合を回避するため、被覆膜を構成している物質は、プローブの反応性基2に対して反応性を示さない物質を利用している。従って、本発明においては、被覆膜を構成している物質6として、プローブの反応性基2と基材の反応性基5のいずれに対しも反応性を示さない、反応不活性である物質を利用している。
プローブ1を含有する溶液の液滴3に対して、反応不活性である物質6で構成される被覆膜がその周囲を取り囲み、液滴3と基材4の表面との接触するドット径の拡大を抑制している状態とする。その状態で、基材4の表面に導入されている反応性基5に対して、液滴3中に含有されるプローブの反応性基2を反応させる。この表面での反応により、基材4の表面へのプローブ1の固定は、液滴3と基材4の表面との接触するドット径内のみで起こる。すなわち、点着される液滴3に対して、反応不活性である物質6で構成される被覆膜がその周囲を取り囲み、液滴3と基材4の表面との接触するドット径の拡大を抑制しているため、基材4の表面へのプローブ1の固定領域(スポット径)の微小化がなされる。
以上に説明するように、本発明において、基材4の表面を覆う被覆膜を構成する反応不活性である物質6は、適正な流動性(粘性)を示すとともに、プローブ1を含有する溶液で利用される溶媒に対して、親和性に乏しい物質を選択することが必要である。同時に、予め反応性基を導入されている基材4の表面に対しても、親和性が乏しい物質であることがより好ましい。
例えば、基材4の表面を覆う被覆膜を構成する反応不活性である物質6として利用可能な疎水性物質の一例として、反応性の官能基、あるいは、反応性に富む部分構造を有していない炭化水素を挙げることができる。また、反応性の官能基、あるいは、反応性に富む部分構造を有していない炭化水素中、CH3−、−CH2−、>CH−の形態で存在する水素原子を、フッ素原子で置換したフッ素置換炭化水素も、反応不活性である物質6として利用可能な疎水性物質となる。CH3−、−CH2−、>CH−の形態に代えて、対応するCF3−、−CF2−、>CF−の形態を含むフッ素置換炭化水素は、基となる炭化水素と比較して、より高い疎水性を示す。同時に、流動性はより低い(粘性はより高い)ため、反応不活性な疎水性物質として、一般により好適である。反応性の官能基、あるいは、反応性に富む部分構造を有していない炭化水素としては、ナフテン、パラフィン、芳香族炭化水素化合物などが挙げられる。また、これら炭化水素化合物の誘導体であり、反応性を有さないものも、同様に利用できる。
なお、基材4の表面を覆う被覆膜を構成する反応不活性である物質6は、液滴3を点着させる際、反応不活性である物質6で構成さる被覆膜を押し退ける形態で、この被覆膜を透過する必要があり、流動性を示すことが必要である。しかし、単体では液状でない物質であっても、複数種の物質との混合物を形成することで、所望の流動性を達成できるものも利用可能である。すなわち、単体では液状でない物質に対して、液状の物質を適量加えた混合物として、目的とする流動性(粘度)に調整して、基材4の表面を覆う被覆膜を形成することもできる。
上で説明したように、基材4の表面を覆う被覆膜を構成する反応不活性である物質6は、一般に、流動性が低い(粘性が高い)ことがより好ましい。その際、必要以上に高い粘度を示すものは、液滴3を点着させる際、反応不活性である物質6で構成さる被覆膜を押し退ける形態で、この被覆膜を透過することが困難となり、本発明の利用目的に適さないものとなる。
例えば、液滴3を点着させる手段として、インクジェット法を利用する場合には、インクジェット・ヘッドの吐出口から吐出された液滴は、一定の速度で飛翔し、物質6で構成される被覆膜で覆われた基材に達する。その後、その運動量に比例する力積で、被覆膜に衝突し、被覆膜を構成する反応不活性である物質6を塑性変形させ、押し退けて、基材表面にその先端を接触させる。その際、反応不活性である物質6を塑性変形させ、押し退ける過程で消費される運動エネルギーは、反応不活性である物質6の粘度と、被覆膜の膜厚とに比例したものとなる。すなわち、反応不活性である物質6の粘度が過度に高いと、飛翔してきた液滴が有している運動エネルギーを全て消費しても、被覆膜を構成する反応不活性である物質6を塑性変形させ、押し退けて、基材表面にその先端を到達させることが不可能となる。また、被覆膜の膜厚が過度に厚い場合も、飛翔してきた液滴が有している運動エネルギーを全て消費しても、被覆膜を構成する反応不活性である物質6を塑性変形させ、押し退けて、基材表面にその先端を到達させることが不可能となる。
一方、インクジェット・ヘッドの吐出口から吐出される液滴の飛翔速度、すなわち、吐出速度は、液滴の液量、プローブ1を含有する溶液の液粘度を考慮して、所定の範囲内に選定される。そのため、飛翔してきた液滴が有している運動エネルギーには、自ずから上限が存在する。すなわち、インクジェット・ヘッドの吐出口から吐出される液滴の吐出速度を無闇に速くすることは困難である。その点を考慮し、利用するインクジェット・ヘッドの吐出口から吐出される液滴の吐出速度に応じて、反応不活性である物質6の粘度と、被覆膜の膜厚とを適正な範囲に選択する。具体的な物質6の粘度を挙げるならば、針入度が30゜以下の範囲にその粘度を選択することが望ましい。一方、物質6の粘度が過度に小さいと、本発明の作用が発揮できないため、少なくとも、針入度が10゜を下回らない範囲にその粘度を選択することが望ましい。その際、単体の物質では、その粘度を変化させることはできないが、被覆膜を構成する反応不活性である物質6として、複数種の物質を適正な比率で混合して、その混合物が示す粘度を調製する手法を用いてもよい。
反応不活性である物質6で構成される被覆膜の膜厚は、液滴3の大きさ(液量)と飛翔速度、物質6の粘度に依存して、また、目標とする点着時のドット径に応じて、適宜選択するものであるが、通常、液滴3を球形形状とした際の直径を超えない範囲に選択する。すなわち、被覆膜の膜厚が、液滴3を球形形状とした際の直径を超えると、点着された液滴3の上面をよりも、被覆膜の上面が高い位置となると、流動性を示す物質6により、点着された液滴3の上面が完全に覆われた状態となる。この被覆膜内部に液滴3が沈む状態となると、液滴3は浮力を受けるため、液滴3を基材4の表面に接触させている付加荷重が極端に小さくなり、結果的に、点着時のドット径が不必要に小さくなる場合もある。また、点着された液滴3の上面を含め、その最表面は、反応不活性である物質6で覆われた状態となっており、そのままでは、標的物質と、基材表面に固定化されているプローブとの接触が困難な状態となる。そのような状態を回避するためには、少なくも、点着された液滴3の上面をよりも、被覆膜の上面が低い位置となるように、被覆膜の膜厚を選択する必要がある。反応不活性である物質6で構成される被覆膜の膜厚は、具体的には、10〜300,000nmの範囲(0.01〜300μmの範囲)であることが望ましい。
反応不活性である物質6で構成される被覆膜の膜厚は、一般に、基材4の表面上において、均一にすることが好ましい。その際、反応不活性である物質6で構成される被覆膜は、基材4の表面全体を覆うように形成する形態とすると、通常、被覆膜の形成工程が簡単となり、好ましい。基材4の表面全体を覆うように反応不活性である物質6で構成される被覆膜を形成する手段として、例えば、下記の方法が利用できる。すなわち、低沸点溶媒中に物質6を溶解した溶液を利用し、スピンコート、スリットコート、ディップコートなどの既知のコーティング方法により、均一な厚さに塗布を行い、その後、低沸点溶媒を蒸散除去して、所望の膜厚の被覆膜を形成する方法が利用できる。具体的には、物質6の沸点が高く、また、融解した状態の粘度も高いため、所望の薄膜にコーティングできない場合でも、低沸点溶媒を希釈溶媒とする溶液とすることで、薄膜コーティングに適した液粘度とできる。その後、希釈溶媒に利用する低沸点溶媒を蒸散させると、高沸点である物質6が濃縮され、基材4上に所定の膜厚の被覆膜が形成される。また、希釈溶媒を利用せず、物質6の薄膜被覆を行う方法として、下記の方法が利用できる。すなわち、真空もしくは、常圧のチャンバー内に、反応性基5を導入した基材4と、物質6を封入して、物質6自体の気体を、反応性基5を導入した基材4の表面上に凝集させて、被覆膜を形成する方法を挙げることできる。その際、物質6自体の気体の発生は、物質6自体の飽和蒸気圧、あるいは、加熱、スパッタなどの蒸発手段により、物質6を蒸発させる手段によって行うことが可能である。
なお、反応不活性である物質6で構成される被覆膜を、基材4の表面全面に形成する代わりに、プローブが固定される領域のみに、物質6を被覆させても構わない。この部位特定して、物質6を被覆する手段として、下記の方法が利用できる。すなわち、インクジェット法、ピン法などの点着手段によって、所定の溶媒中に物質6を溶解した溶液を、プローブが固定される領域のみに点着して、前記溶媒を蒸散除去し、物質6を濃縮して、被覆膜を形成する方法を挙げることできる。
また、本発明においては、基材の表面上には、プローブの固定化に利用する、反応性基が導入されている。基材自体の材質は、得られたプローブ固定基材を用いて検知物質(標的物質)を検出する際、支障のないものであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、例えば、無機材料または高分子材料などのうち、反応不活性である物質6で構成される被覆膜の形成に利用される希釈溶媒に対しても、安定な材料を用いることが好ましい。基材自体を構成する材料が、プローブの固定化に利用する反応性基を有する場合、新たに反応性基を導入する工程を省くことができる。反応性基を有していない材料で形成されている基材の表面上に、公知の手法を用いて、所望の反応性基を導入する。プローブの固定化に利用可能な反応性基として、アミノ基、マレイミド基、アクリルアミド基、N−ヒドロスクシンイミジルエステル(カルボキシル基の活性エステル体)、ホルミル基、カルボキシル基、エポキシ基などを挙げることができる。但し、これら例示する反応性基に限定されるものではない。
また、本発明によって、基材の表面に固定化されるプローブには、タンパク質(複合タンパク質を含む)、核酸、糖鎖(複合糖質を含む)、脂質(複合脂質を含む)等の生体高分子などが含まれる。具体的には、基材の表面に固定化されるプローブの例として、酵素、ホルモン、フェロモン、抗体、抗原、ハプテン、ペプチド、合成ペプチド、DNA、合成DNA、RNA、合成RNA、PNA、合成PNA、ガングリオシド、レクチンなどが挙げられる。
プローブの基材の表面への固定化は、プローブが具える反応性基と、基材上に導入されている反応性基との間の反応による結合形成を介してなされる。すなわち、プローブが具える反応性基に対して、反応可能な反応性基を選択して、基材上に導入することが好ましい。
一方、プローブが具える反応性基の例としては、スルファニル基(−SH)やアミノ基を挙げることができる。プローブとして利用する一本鎖DNAに、スルファニル基(−SH)を導入する場合には、例えば、一本鎖DNAを自動合成する際、DNA自動合成機での合成時に、導入を行う。すなわち、チオール・モディファイア(Thiol−Modifier)(グレンリサーチ(GlenResearch)社製)を用いて、DNA鎖の末端にスルファニル基(−SH)を導入することができる。なお、効率良く、所望する部位に選択的にスルファニル基(−SH)を導入することができれば、特に、その導入手段は限定されるものではない。あるいは、プローブとして利用する一本鎖DNAに、アミノ基を導入する場合には、例えば、一本鎖DNAを自動合成する際、DNA自動合成機での合成時に、導入を行う。すなわち、アミノ・モディファイア(amino−Modifier)(グレンリサーチ(GlenResearch)社製)を用いて、DNA鎖の末端にアミノ基を導入することができる。なお、効率良く、所望する部位に選択的にアミノ基の導入することができれば、特に、その導入手段は限定されるものではない。
また、本発明では、プローブを含む溶液の液滴を、反応不活性物質からなる被覆膜で覆われる基材上に点着させる。この点着手段としては、インクジェット法、ピン法あるいはピン&リング法などを利用して、所定の液量の液滴を、目的とするスポット位置に点着(スポット)する。本発明においては、各スポット位置に点着させる液滴のドット径の微小化を目標とする場合、各スポット位置に点着させる液滴の液量もそれに比例して少なくする。また、各スポット点の間隔を狭くし、単位面積当たりのスポット点密度を増すことを目標とする場合、その高密度の点着に対応可能なスポット位置の精度を達成可能な点着手段を選択することが好ましい。
ピン法あるいはピン&リング法を応用する点着手段では、例えば、利用するピンの先端径、その先端に付着可能な液量によって、各スポット位置に点着させる液滴の液量、スポット位置の精度、スポット径を調整している。本発明においても、このピン法あるいはピン&リング法を応用する点着手段を利用することができる。
一方、インクジェット法を応用する点着手段は、各スポット位置に点着させる液滴の液量、スポット位置の精度、スポット位置の間隔制御が優れており、本発明において、好適に利用できる。インクジェット法では、ごく細いノズルの中にプローブを含む溶液を入れ、ノズルの先端近くを瞬間的に加圧ないし加熱し、ノズルの先端から正確に極微量のプローブを含む溶液の液滴を吐出させ、空間を飛翔させて、基材面上に点着させる。
インクジェット法を応用するスポッティング方法において、プローブを含有する溶液の調製に利用する溶媒には、下記の要件を満たすものを用いる。まず、インクジェット・ヘッドから吐出させた時に、含有されているプローブに対して実質的に影響を与えないものである。同時に、インクジェット・ヘッドを用いて、所望の微小な液量、吐出速度で液滴を高い再現性で吐出可能である溶媒である。この二つの要件を満たす限り、その溶媒の組成は、特に限定されるものではない。例えば、基材の表面に固定化されるプローブが、水溶性物質である場合、プローブを含有する溶液の調製に利用する溶媒は、水性溶媒を利用する。この例は、プローブとして、酵素、ホルモン、フェロモン、抗体、抗原、ハプテン、ペプチド、合成ペプチド、DNA、合成DNA、RNA、合成RNA、PNA、合成PNA、ガングリオシド、レクチンなどの水溶性物質を利用する場合に相当する。
例えば、インクジェット・ヘッドが、溶媒に熱エネルギーを付与して吐出させる機構を備えるバブルジェット・ヘッドである場合、次の溶媒が好適に利用される。すなわち、グリセリン、チオジグリコール、イソプロピルアルコール、アセチレンアルコールを含む水性溶媒は、前記水溶性物質を含む溶液の溶媒として好ましいものである。更に、前記水溶性物質を含む溶液の溶媒として好適に用いられる水性溶媒として、下記の水性溶媒を具体的に示すことができる。すなわち、グリセリン5〜10wt%、チオジグリコール(HO−CH2−CH2−S−CH2−CH2−H)5〜10wt%、アセチレンアルコール(HC≡C−CH2−OH)0.5〜1wt%を含む水性溶媒は、好適に用いられる。また、インクジェット・ヘッドが圧電素子を用いて溶液を吐出させるピエゾジェット・ヘッドである場合、エチレングリコール、イソプロピルアルコールを含む水性溶媒は、前記水溶性物質を含む溶液の溶媒として好ましいものである。更に、具体的には、エチレングリコール(HO−CH2−CH2−OH)5〜10wt%、イソプロピルアルコール(CH3−CH(CH3)−OH)0.5〜2wt%を含む水性溶媒が、前記水溶性物質を含む溶液の溶媒として好適に用いられる。なお、インクジェット法を応用する点着手段では、吐出される液滴一つの液量は、1pl〜100plの範囲に選択できる。その際、プローブを含有する溶液の調製に水性溶媒を利用する場合、その液滴を球形形状と仮定すると、その直径(スポット径)は、12μm〜1200μmの範囲に相当する。
点着される液滴中に含まれるプローブが具える反応性基と、該液滴と接触している基材上に導入されている反応性基とを反応させることで、基材の表面上にプローブの固定化がなされる。このプローブが具える反応性基と、基材上に導入されている反応性基との反応は、従来の反応と同様であり、その反応条件も同等である。例えば、プローブを含有する溶液の調製に水性溶媒を利用する場合、反応は、該液滴中に含まれる水の急速な蒸散を防止するため、温度15〜25℃、相対湿度70〜99RH%の恒温恒湿チャンバー内に静置する条件などが利用される。
未反応のプローブを含む液滴を残しておくと、作製したプローブ固定担体を使用して、標的物質の検出を行う際、検出サンプル中に含まれている標的物質は、固定化されているプローブのみでなく、未固定のプローブとも、特異的な結合を起こす。そのため、検出の定量性を低下させる要因となる。従って、通常、基材の表面上にプローブを固定化する反応を終えた後、未反応のプローブを含む液滴を除去する。未反応のプローブを含む液滴の除去は、そのプローブを溶解可能な溶媒を利用して、液滴を希釈することで、洗浄除去することができる。例えば、プローブが、酵素、ホルモン、フェロモン、抗体、抗原、ハプテン、ペプチド、合成ペプチド、DNA、合成DNA、RNA、合成RNA、PNA、合成PNA、ガングリオシド、レクチンなどである場合、下記の手法が利用可能である。すなわち、これらを溶解可能な緩衝液中に洗浄作用を示す界面活性剤を溶解した洗浄溶液を利用して、洗浄することができる。例えば、プローブがDNAプローブである場合、次の緩衝液が利用可能である。すなわち、リン酸バッファー、トリス塩酸バッファー、トリス酢酸バッファー、HEPESバッファー、MOPSバッファー、酢酸ナトリウムバッファー、クエン酸ナトリウムバッファーが利用可能である。または、これらのバッファーに適宜、必要に応じて塩化ナトリウム等の塩、EDTA等のキレート剤、あるいは、下記の界面活性剤を溶解した洗浄溶液を利用して、洗浄することができる。すなわち、SDS等のアニオン性界面活性剤、BriJ58、Nonidet P−40、Triton X−100、Tween 20、Tween 80等の非イオン性界面活性剤を溶解したバッファー溶液にて洗浄してもよい。
一方、反応不活性である物質6で構成される被覆膜は、作製したプローブ固定担体を使用して、標的物質の検出を行う際に、阻害要因とならなければ除去する必要はない。反応不活性である物質6で構成される被覆膜は、流動性を有しているため、しばしば、未反応のプローブを含む液滴を除去した後、プローブの固定化がなされたスポット部位の表面を再び覆う状態となる。従って、通常、未反応のプローブを含む液滴の除去に加えて、反応不活性である物質6で構成される被覆膜も除去することが好ましい。
なお、被覆膜が、反応不活性である物質複数種の混合物で構成されており、含有される低沸点の成分の蒸散に伴い、流動性を失っている場合、プローブの固定化がなされたスポット部位の表面を再び覆う状態とはならない。そのような状態では、必ずしも、被覆膜を除去しなくともよい。特に、標的物質を検出する際、この固体状となっている被覆膜は、プローブ非固定領域を覆っている。その状態において、このバックグラウンド・エリアに存在する被覆膜を構成する反応不活性である物質が、標的物質を吸着する作用を示さないものであれば、この被覆膜は、ブロッキング効果を示す。すなわち、バックグラウンド・エリアにおける標的物質の非特異吸着を防止するため、プローブ固定領域とバックグラウンド・エリアとの間における、S/N比を上げる効果を示す場合もある。
被覆膜を除去する際には、反応不活性である物質6を除去できればどんな手段を用いても良いが、基材表面に固定化されているプローブに影響を及ぼさない洗浄手段を利用することが好ましい。例えば、プローブが、酵素、ホルモン、フェロモン、抗体、抗原、ハプテン、ペプチド、合成ペプチド、DNA、合成DNA、RNA、合成RNA、PNA、合成PNA、ガングリオシド、レクチンなどである場合、下記の手段が利用可能である。すなわち、これらプローブを溶解可能な緩衝液中に、反応不活性である物質に対する洗浄作用を示す界面活性剤を溶解した洗浄溶液を利用して、洗浄することで、未反応のプローブを含む液滴の除去と同時に被覆膜の除去を行うことができる。例えば、プローブがDNAプローブである場合、疎水性である、反応不活性である物質ならびに未反応のプローブを含む液滴に対して、リン酸バッファー、トリス塩酸バッファー、トリス酢酸バッファー、HEPESバッファー、MOPSバッファー、酢酸ナトリウムバッファー、クエン酸ナトリウムバッファー、または、これらのバッファーに適宜、必要に応じて塩化ナトリウム等の塩、EDTA等のキレート剤、SDS等のアニオン性界面活性剤、BriJ58、Nonidet P−40、Triton X−100、Tween 20、Tween 80等の非イオン性界面活性剤を溶解したバッファー溶液にとって洗浄を行うことができる。
以下、本発明について、実施例を示して、さらに詳述する。
(実施例1)
(i)プローブ合成、および蛍光標識を付した標的物質(ターゲット)の合成
標的物質の一本鎖核酸分子に対して、特異的に結合可能なプローブとして、一本鎖DNAプローブを用いている。DNA自動合成機を用いて、配列番号:1の一本鎖核酸分子を合成する。なお、配列番号:1の一本鎖核酸分子は、一本鎖DNAの5’末端に、DNA自動合成機を用いる合成時に、チオール・モディファイア(Thiol−Modifier)(グレンリサーチ(GlenResearch)社製)を利用して、反応性基として、スルファニル(−SH)基を導入している。合成終了後、通常の脱保護を行ない、DNAを回収し、高速液体クロマトグラフィーにて精製し、目的とするDNA鎖を有するものを採取する。以下の実験では、この5’末端に反応性基を導入した一本鎖DNA分子を、基材上に固定化するプローブとして用いている。
配列番号:1
5’ HS-(CH26-O-PO2-O-ACTGGCCGTCGTTTTACA 3’
また、この配列番号:1の一本鎖DNAプローブのDNA鎖部分と、相補的な塩基配列を有する一本鎖DNA分子をDNA自動合成機で合成し、その5’末端にCy3を結合させて、蛍光標識を付した標的物質(ターゲット)として用いている。
(ii)プローブ固定担体の作製
・基板の洗浄
プローブ固定担体の基材として、1インチ×3インチ角の合成石英ガラス基板を用いる。該石英ガラス基板の洗浄は、以下の手順により実施する。すなわち、純水ブラシ洗浄、純水リンス、アルカリ性洗剤超音波洗浄、純水リンス、純水超音波洗浄、純水リンス、窒素ブロー乾燥の工程に従って、表面に付着する微細なゴミ、有機物を除去し、清浄面を有する石英ガラス基板を用意する。なお、アルカリ性洗剤超音波洗浄の工程では、アルカリ性洗剤として、濃度1%のセミクリーンKG(横浜油脂社製)水溶液を用い、液温度25℃において、2分間超音波洗浄を行っている。
・表面処理
アミノシランカップリング剤(商品名:KBM−603;信越化学工業(株)社製)を濃度1wt%になるように純水中に溶解し、30分間撹拌して、メトキシ基を加水分解させる。温浴にて80℃に加温しつつ、このアミノシランカップリング剤水溶液中に、洗浄済石英ガラス基板を30分間浸漬する。その後、取り出した石英ガラス基板を純水で洗浄し、オーブン中120℃で1時間ベーク処理を行う。このアミノシランカップリング剤処理により、石英ガラス基板表面にアミノ基が導入される。
次いで、N−マレイミドカプロイロキシスクシンイミド(Dojin社製;以後、EMCSと略す)を2.7mg秤量し、ジメチルスルホキシド(DMSO)/エタノールの1:1(体積比)混合溶媒9ml中に溶解し、EMCS溶液を調製する。すなわち、最終濃度0.3mg/mlのEMCS溶液を調製する。アミノ基導入済石英ガラス基板を該EMCS溶液中に室温で2時間浸漬して、EMCSをアミノ基に反応させ、表面にマレイミド基を導入する。EMCS溶液への浸漬処理後、基板をDMSO/エタノール混合溶媒、エタノールで順次洗浄し、未反応のEMCSを除去する。その後、窒素雰囲気下で乾燥させる。
・反応不活性である物質の被覆
本実施例では、プローブDNAの5’末端に導入されている反応性基であるスルファニル基(−SH)と、石英ガラス基板表面に導入されている反応性基であるマレイミド基とを反応させ、プローブDNAを基板表面に固定化する。このスルファニル基(−SH)とマレイミド基のいずれに対しても反応不活性である物質として、下記の4種類の飽和炭化水素を選択し、表面の被覆剤として検討する:
炭素数12のn−ドデカン(n−Dodecane キシダ化学社製;融点 −9.6℃、沸点 216.3℃);
炭素数16のn−ヘキサデカン(n−Hexadecane キシダ化学社製;融点 18.4℃、沸点 286.5℃);
炭素数17のn−ヘプタデカン(n−Heptadecane キシダ化学社製;融点 22℃、沸点 303℃);
炭素数18のn−オクタデカン(n−Octadecane 関東化学社製;融点 27.5℃、沸点 318℃)。
この4種類の飽和炭化水素は、いずれも高沸点であるが、その融点が異なっており、20℃〜30℃の範囲に選択される周辺温度において、その流動性、粘度に差違を有している。この4種類の飽和炭化水素をそれぞれ低沸点非プロトン性溶媒であるアセトンに溶解して、4種類の塗布溶液を調製する。
これらの塗布溶液を、マレイミド基を導入した基板表面にスピンコーターにより塗布して、塗布膜中に含まれる低沸点溶媒のアセトンを揮発させ、基板表面に各飽和炭化水素の被覆膜を形成する。なお、低沸点溶媒のアセトンを揮発する工程、ならびに、下記のプローブ溶液のスポティング工程において、その環境温度は、22.3℃に設定している。従って、この環境温度よりも融点の低い、n−ドデカン、n−ヘキサデカンの被覆膜は、流動性を有する液状被覆膜である。一方、n−オクタデカンの被覆膜は、僅かに残余するアセトンに起因して凝固点降下は見られるが、主にn−オクタデカンで構成されており、その流動性は、前記二種の被覆膜より有意に劣っている。また、n−ヘプタデカンの被覆膜も、僅かに残余するアセトンに起因して凝固点降下が見られ、液状被覆膜となっているが、その流動性は、前記二種の被覆膜よりも有意に劣っている。
・プローブDNAの固定
上記工程(i)において化学合成される、一本鎖DNAプローブ断片(配列番号:1)を、下記の水性溶媒中に溶解し、一本鎖DNAプローブ水溶液を調製する。すなわち、グリセリン7.5wt%、尿素7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、アセチレンアルコール(商品名:アセチレノールE100;川研ファインケミカル(株)社製) 1.0wt%を含む水性溶媒を利用している。この水溶液中に含まれるプローブDNA濃度は、8.75μMである。該プローブ含有溶液をインクジェット法により、前記反応不活性物質の被覆膜を設けた基板表面に、各スポット点当たりの液滴量5pLをスポッティングする。その後、スポッティングを行った石英ガラス基板を30分間、温度25℃、相対湿度99RH%の恒温恒湿チャンバー内に静置して、DNAプローブ5’末端のスルファニル基(−SH)を基板表面のマレイミド基と反応させて、DNAプローブを固定する。
(iii)プローブ含有液滴と反応不活性物質の除去
工程(ii)で作製されるプローブ固定担体の表面には、反応が完了した後、未反応のDNAプローブを含む液滴と、基板表面の被覆膜に利用する反応不活性化物質である飽和炭化水素が残存している。本実施例では、これらを除去するために、1M−NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)中にSDS(Sodium dodecylsulfate キシダ化学社製)を濃度1.0wt%溶解した洗浄剤中に、プローブ固定担体を5分間浸漬させる。飽和炭化水素は、前記界面活性剤SDSの作用により緩衝溶液中に溶出され、また、未反応のDNAプローブを含む液滴も緩衝溶液により希釈除去される。その後、純水でリンス洗浄し、界面活性剤SDSを含む緩衝溶液を除去する。リンス洗浄後、窒素雰囲気下で乾燥させることで、プローブ・ハイブリダイゼーション用のDNAプローブ固定担体が得られる。
(iv)比較用DNAプローブ固定担体の作製
また、比較用DNAプローブ固定担体として、マレイミド基を導入した石英ガラス基板の表面に反応不活性物質の被覆膜を形成せず、プローブ含有溶液をスポットしたプローブ固定担体を作製する。前記マレイミド基を導入した石英ガラス基板の表面に、プローブ含有溶液をインクジェット法により、各スポット点当たりの液滴量5pLを直接スポッティングする。その後、スポッティングを行った石英ガラス基板を30分間、温度25℃、相対湿度99RH%の恒温恒湿チャンバー内に静置して、DNAプローブ5’末端のスルファニル基(―SH)を基板表面のマレイミド基と反応させて、DNAプローブを固定する。
基板表面には、反応が完了した後、未反応のDNAプローブを含む液滴が残存している。これを除去するために、1M −NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)中にSDS(Sodium dodecylsulfate キシダ化学社製)を濃度1.0wt%溶解した洗浄剤中に、プローブ固定担体を5分間浸漬させる。未反応のDNAプローブを含む液滴は緩衝溶液により希釈除去される。その後、純水でリンス洗浄し、界面活性剤SDSを含む緩衝溶液を除去する。リンス洗浄後、窒素雰囲気下で乾燥させることで、比較用DNAプローブ固定担体が得られる。
(v)ハイブリダイゼーション反応、およびスポット点上のハイブリッド体の蛍光評価
前記工程(i)で合成される、蛍光標識を付した標的物質(相補鎖DNA)を1M−NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)中に最終濃度5nMとなるように溶解して、標的物質(相補鎖DNA)溶液を調製する。この標的物質(相補鎖DNA)溶液中に、リンス洗浄後、窒素雰囲気下で乾燥処理を施したプローブ固定担体を浸漬し、温度45℃で2時間ハイブリダイゼーション反応を行う。ハイブリダイゼーション反応後、プローブ固定担体を1M −NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)により洗浄し、表面に残余しているハイブリダイズしなかった標的物質(相補鎖DNA)を洗い流す。次いで、純水で軽く洗浄し、洗浄に用いた緩衝溶液成分を除去した後に、窒素ブローにて乾燥する。以上のハイブリダイゼーション反応と、その後の洗浄、窒素ブロー乾燥は、本実施例のDNAプローブ固定担体、比較用DNAプローブ固定担体ともに同じ操作を施している。
上記ハイブリダイゼーション反応により形成される、プローブDNAと標的物質(相補鎖DNA)とのハイブリッド体を、標的物質(相補鎖DNA)に付されている蛍光標識を用いて検出する。各プローブ固定担体において、プローブDNAが固定化されているスポット点の蛍光強度を蛍光スキャナー(商品名:GenePix4000B/Axon Instruments, Inc.製)を用いて測定する。なお、蛍光強度の測定条件は、励起光照射下、蛍光標識Cy3からの蛍光強度を、測定波長:532nmで測定する。また、前記蛍光スキャナーにより、スポット点において観測される蛍光強度を二次元的なイメージング測定する。
(vi)評価結果
上記のハイブリダイゼーション反応により形成されるハイブリッド体に由来する蛍光強度を二次元的なイメージング測定を行った結果、上記5種類のプローブ固定担体上で観測された蛍光スポット径の平均値を表1に示す。表1に示す結果では、反応不活性物質の被覆膜を形成せず、スポットを行った比較用DNAプローブ固定担体では、蛍光スポット径の平均値は50.1μmである。また、n−ドデカン被覆膜を形成した後、スポットを行ったプローブ固定担体と、n−ヘキサデカン被覆膜を形成した後、スポットを行ったプローブ固定担体上で観測された蛍光スポット径の平均値は、それぞれ50.9μm、49.7μmとなっている。すなわち、n−ドデカン被覆膜の形成、あるいは、n−ヘキサデカン被覆膜の形成は、スポット(ドット)の微小化には、大きな効果を有していない。一方、n−ヘプタデカン被覆膜を形成した後、スポットを行ったプローブ固定担体と、n−オクタデカン被覆膜を形成した後、スポットを行ったプローブ固定担体上で観測された蛍光スポット径の平均値は、それぞれ、32.5μm、23.1μmとなっている。すなわち、n−ヘプタデカン被覆膜の形成、ならびに、n−オクタデカン被覆膜の形成は、スポット(ドット)の微小化に、顕著な効果を発揮している。
ちなみに、比較用DNAプローブ固定担体上で観測される各スポット点の蛍光強度と、反応不活性物質被覆膜を形成した上で、スポットを行っている、4種類のプローブ固定担体上で観測される各スポット点の蛍光強度とを比較する。その比較において、蛍光スポット単位面積当たりの蛍光強度値自体は実質的に等しいことが確認された。すなわち、基板表面に各飽和炭化水素の被覆膜を形成することで、スポットされるDNAプローブを含む液滴と、マレイミド基を導入している基板表面との接触面積は変化する。しかし、その接触領域における、DNAプローブの反応性基;スルファニル基(−SH)と、基板表面の反応性基;マレイミド基との反応は、実質的に阻害を受けていないことを示唆している。また、これら4種類の反応不活性物質は、CH3−(CH2n−CH3の構造を有する直鎖状の飽和炭化水素であり、その炭素鎖長が異なるだけである。しかし、その炭素鎖長の差違に伴い、低沸点溶媒のアセトンを揮発する工程、ならびに、プローブ溶液のスポティング工程を行っている環境温度の22.3℃では、その被覆膜中での流動性(粘度)は異なっている。
すなわち、n−ドデカンとn−ヘキサデカンの融点は、22.3℃より有意に低いため、この温度では、液体であり、その粘度も然程高いものでない。一方、n−ヘプタデカンの融点は22℃であり、この温度では液体となっているものの、その粘度は、前記二種の飽和炭化水素が示す粘度よりも、相当に高い状態となっている。さらに、n−オクタデカン自体の融点は、22.3℃より高く、希釈溶媒のアセトンが僅かに残余している状態では、流動性を示す液状を維持しているが、その粘度は、n−ヘプタデカンが示す粘度よりも、さらに高い状態となっている。この被覆膜を構成する流動性物質が示す粘度の差違によって、プローブを含有する溶液の液滴をスポットする際、粘度が高いほど、この被覆膜を退けて形成されるスポット径は小さくなっている。被覆膜を構成する流動性物質が示す粘度が低いと、プローブを含有する溶液の液滴をスポットする際、そのスポット領域に存在している物質を排除するに要する力が僅かであり、スポット径の拡がりを抑制する効果は小さなものとなることが判る。
Figure 2007071569
本発明は、個々のスポット径を微小化し、単位面積当たり、より高い密度でスポット点を配置した、プローブ・アレイ型のプローブ固定担体の製造に好適に利用できる。
本発明にかかるプローブ固定担体の製造方法における、プローブ溶液のスポティング工程を実施した際、基材表面にスポットされたプローブ溶液液滴の状態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 プローブ
2 プローブの反応性基
3 液滴
4 基材
5 基材の反応性基
6 プローブの反応性基と基材の反応性基に対して反応不活性である物質

Claims (15)

  1. 標的物質に対して特異的に結合可能なプローブを、基材上に固定してなるプローブ固定担体の製造方法において、
    該基材上へのプローブの固定は、プローブが具える反応性基と、基材上に導入されている反応性基との間の反応による結合形成を介してなされ、
    下記(i)〜(iv)の工程:
    工程(i):該プローブが具える反応性基と反応可能な反応性基を基材上に導入する工程;
    工程(ii):該プローブが具える反応性基、ならびに該基材上に導入する反応性基のいずれに対しても反応性を示さない反応不活性物質からなる被覆膜を、該基材上に設ける工程;
    工程(iii):点着手段により、該プローブを含有する溶液の液滴を前記反応不活性物質からなる被覆膜で覆われる基材上に点着させ、その点着される液滴を、反応不活性物質からなる被覆膜を透過させ、前記反応性基が導入されている基材と接触させる工程;
    工程(iv):点着される液滴中に含まれるプローブが具える反応性基と、該液滴と接触している基材上に導入されている反応性基とを反応させる工程
    を含む
    ことを特徴とするプローブ固定担体の製造方法。
  2. 前記工程(iv)の後に、
    工程(v):点着される液滴を除去する工程
    をさらに設けている
    ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  3. 前記工程(iv)の後に、
    工程(v’):点着される液滴および反応不活性物質からなる被覆膜を除去する工程
    をさらに設けている
    ことを特徴とする請求項1に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  4. 前記反応不活性物質からなる被覆膜を構成する該反応不活性物質は、
    該被覆膜により覆われていない状態で、前記反応性基が導入されている基材上に、該プローブを含有する溶液の液滴を点着させた際、前記反応性基が導入されている基材に点着される液滴が接触する部位のドット径と比較し、
    該被覆膜により覆われている状態で、前記反応性基が導入されている基材上に、該プローブを含有する溶液の液滴を点着させた際、前記反応性基が導入されている基材に点着される液滴が接触する部位のドット径をより小さくする性質を有する物質である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  5. 前記反応不活性物質からなる被覆膜を構成する該反応不活性物質は、
    該被覆膜により覆われている状態で、前記反応性基が導入されている基材上に、該プローブを含有する溶液の液滴を点着させる際、
    該点着を実施する温度において、点着される液滴を、該反応不活性物質からなる被覆膜を透過させ、前記反応性基が導入されている基材と接触させることを可能とする流動性を示す物質である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  6. 前記反応不活性物質からなる被覆膜を構成する該反応不活性物質は、
    ナフテン、パラフィン、芳香族炭化水素化合物、または、これら炭化水素化合物から得られる誘導体からなる群より選択される物質である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  7. 前記点着手段は、
    インクジェット方式による液滴の点着手段である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  8. 該インクジェット方式による液滴の点着手段は、
    該プローブを含有する溶液中に、熱エネルギーによって気泡を生成させて、該気泡生成に起因する圧力上昇により、該溶液を液滴として吐出させ、液滴の点着を行う方式である
    ことを特徴とする請求項7に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  9. 該インクジェット方式による液滴の点着手段は、
    該プローブを含有する溶液中に、圧電素子によって圧力上昇を引き起こし、該溶液を液滴として吐出させ、液滴の点着を行う方式である
    ことを特徴とする請求項7に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  10. 前記点着手段は、
    突起体の先端に、該プローブを含有する溶液を付着させ、
    該突起体先端を、反応不活性物質からなる被覆膜を透過させて、前記反応性基が導入されている基材と接触させ、該先端に付着している、該プローブを含有する溶液液滴の点着を行う方式である
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  11. 該プローブに設けられる反応性基は、スルファニル基である
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  12. 該プローブに設けられる反応性基は、アミノ基である
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  13. 該基材上に導入されている反応性基は、マレイミド基である
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  14. 該基材上への反応性基の導入は、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルを用いて行われる
    ことを特徴とする請求項1〜10、12のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
  15. 該プローブは核酸プローブである
    ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載のプローブ固定担体の製造方法。
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