JP2007046640A - シャフト及びハブの動力伝達機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定部位に対する応力集中を抑制して、より一層、静的強度及び疲労強度を向上させることにある。
【解決手段】シャフト歯部22は、シャフト(ハブ歯部の山部)の軸線に対して交差するツイスト形状からなる山部22aを有し、ハブ歯部28は、歯厚が一定の直線状からなり且つ端部からシャフトシャンク24側に向かって内径が変化する山部28aを有し、前記シャフト歯部22の谷部22bには、ハブ歯部28側に向かって膨出する第1段差部30が形成され、前記ハブ歯部28の山部28aには、該シャフト歯部22側と反対方向に窪んだ第2段差部32が形成され、前記第1段差部30の起点(P1)と前記第2段差部32の起点(P2)とをそれぞれ所定距離(L4)だけオフセットした位置に設定した。
【選択図】図3
【解決手段】シャフト歯部22は、シャフト(ハブ歯部の山部)の軸線に対して交差するツイスト形状からなる山部22aを有し、ハブ歯部28は、歯厚が一定の直線状からなり且つ端部からシャフトシャンク24側に向かって内径が変化する山部28aを有し、前記シャフト歯部22の谷部22bには、ハブ歯部28側に向かって膨出する第1段差部30が形成され、前記ハブ歯部28の山部28aには、該シャフト歯部22側と反対方向に窪んだ第2段差部32が形成され、前記第1段差部30の起点(P1)と前記第2段差部32の起点(P2)とをそれぞれ所定距離(L4)だけオフセットした位置に設定した。
【選択図】図3
Description
本発明は、シャフト及びハブからなる2部材間で回転トルクを円滑に伝達することが可能なシャフト及びハブの動力伝達機構に関する。
自動車等の車両において、エンジンからの駆動力を車軸に伝達するためにシャフトを介して一組の等速ジョイントが用いられている。この等速ジョイントは、アウタ部材とインナ部材との間に配設されたトルク伝達部材を介してアウタ・インナ部材間のトルク伝達を行うものであり、シャフトに形成されたシャフト歯部とハブに形成されたハブ歯部とが係合した歯部組立体を有するシャフト及びハブのユニットを含む。
ところで、近年、騒音、振動等の動力伝達系のガタに起因して発生する等速ジョイントの円周方向のガタを抑制することが要求されている。従来では、内輪とシャフトとのガタを抑制するために、等速ジョイントの軸セレーションにねじれ角を設けたものがあるが、前記ねじれ角の方向とトルク負荷方向によって、内輪及びシャフトの強度、寿命にばらつきが生じるおそれがある。
また、歯車等の技術分野において、例えば、特許文献1〜3に示されるように、その歯面部にクラウニングを設ける技術的思想が開示されている。
さらに、トルクを伝達するための歯部組立体を有するシャフト/ハブユニットに関する特許文献4には、長手方向に沿って一定の外径を有するシャフト歯部と、長手方向に沿って一定の基部径を有するハブ歯部とが形成され、シャフト端部側の第1の部分におけるシャフト歯部の基部径(dw1)及びハブ歯部の内径(Dn1)に対し、シャフトシャンクに近接する第2の部分におけるシャフト歯部の基部径(dw2)及びハブ歯部の内径(Dn2)をそれぞれ大きく設定することが開示されている(dw1<dw2、Dn1<Dn2)。
さらにまた、軸部材と外周部材とのスプライン結合に関する特許文献5には、軸部材のシャフトシャンク側において、前記軸部材側の歯の谷部を拡径させて拡径領域を形成し、前記拡径領域内に軸部材側の歯と外周部材側の歯との嵌合部を設けることが開示されている。
ところで、本出願人は、スプラインが形成されたスプラインシャフトのクラウニングトップの位置を、スプラインシャフトと等速ジョイントとの嵌合部位に回転トルクが付与された際に最小となる位置に設けることにより、所定部分に応力が集中することを抑制すると共に、装置の全体構成を簡素化することを提案している(特許文献6参照)。
本発明は、前記の提案に関連してなされたものであり、所定部位に対する応力集中を抑制して、より一層、静的強度及び疲労強度を向上させることが可能なシャフト及びハブの動力伝達機構を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、シャフトに形成されたシャフト歯部と、前記シャフトの外周側に配置されたハブのハブ歯部とが係合することにより、前記シャフト及びハブ間で相互にトルク伝達が可能に結合された機構において、
前記シャフト歯部は、歯厚が一定の直線状からなる山部と、端部からシャフトシャンク側に向かって径が変化する谷部とを有し、
前記ハブ歯部は、歯厚が一定の直線状からなる山部と、軸線方向に沿って一定の径からなる谷部とを有し、
前記シャフト歯部の山部の軸線は前記シャフトの軸線に対して所定角度で交差して形成されると共に、前記ハブ歯部の軸線は前記シャフトの軸線に対して平行に形成され、
前記シャフト歯部の山部と前記ハブ歯部の山部とがシャフトの端部側及びシャフトシャンク側でそれぞれ当接することにより、荷重が分散して伝達されることを特徴とする。
前記シャフト歯部は、歯厚が一定の直線状からなる山部と、端部からシャフトシャンク側に向かって径が変化する谷部とを有し、
前記ハブ歯部は、歯厚が一定の直線状からなる山部と、軸線方向に沿って一定の径からなる谷部とを有し、
前記シャフト歯部の山部の軸線は前記シャフトの軸線に対して所定角度で交差して形成されると共に、前記ハブ歯部の軸線は前記シャフトの軸線に対して平行に形成され、
前記シャフト歯部の山部と前記ハブ歯部の山部とがシャフトの端部側及びシャフトシャンク側でそれぞれ当接することにより、荷重が分散して伝達されることを特徴とする。
本発明によれば、シャフト歯部とハブ歯部とが係合した状態においてシャフト及びハブ間に回転トルクが付与された場合、前記シャフト歯部の山部の軸線が前記シャフトの軸線に対して所定角度で交差して形成され、前記シャフト歯部の山部と前記ハブ歯部の山部とがシャフトの端部側及びシャフトシャンク側でそれぞれ当接することにより、応力が集中する部位における応力を分散させて軸強度を向上させることができる。
この場合、前記シャフト歯部の谷部の径の変化点と、前記ハブ歯部の山部の内径の変化点とを、それぞれ所定距離だけオフセットした位置に設定することにより、前記シャフト歯部側及び前記ハブ歯部側の径の変化部分に応力が集中することが緩和される。
例えば、前記シャフト歯部の谷部には、ハブ歯部側に向かって膨出する第1段差部が形成され、前記ハブ歯部の山部には、該シャフト歯部側と反対方向に窪んだ第2段差部が形成され、前記第1段差部の起点と前記第2段差部の起点とがそれぞれ所定距離だけオフセットした位置に設定されるとよい。なお、前記シャフト歯部に形成された第1段差部の傾斜角度を、5度〜45度に設定することにより、好適な応力緩和効果が得られる。
従って、本発明では、シャフト歯部の谷部の径の変化点とハブ歯部の山部の内径の変化点とが所定距離だけオフセットしているため、前記シャフト歯部に付与された応力が一方の変化点と他方の変化点とにそれぞれ分散されることにより応力集中が緩和される。この結果、応力の集中を緩和して分散させることができるため、シャフト歯部とハブ歯部との係合部位に対する静的強度及び疲労強度を向上させることができる。
さらに、本発明では、前記シャフト歯部とハブ歯部との噛合部位に付与される荷重の度合いに対応して、主たる荷重伝達領域が異なるように設けるとよい。例えば、前記荷重の度合を、低荷重、中荷重及び高荷重に分類した場合、前記低荷重、中荷重及び高荷重の主たる各荷重伝達領域は、前記シャフト歯部の山部と前記ハブ歯部の山部とがそれぞれ当接するシャフト端部側及びシャフトシャンク側に向かって順に離間する方向に設定されることにより、特定部位への応力集中が緩和される。
また、本発明によれば、シャフト歯部とハブ歯部とが係合した状態においてシャフト及びハブ間に回転トルクが付与された場合、前記シャフト歯部に形成された所定の曲率半径からなる円弧部と前記ハブ歯部に形成された段差部との共働作用下にシャフト歯部とハブ歯部との係合部位に付与される応力が分散され、応力集中が緩和される。すなわち、前記シャフト歯部の谷部にハブ歯部側に向かって所定の曲率で延在する円弧部を形成することにより、応力が集中する部位であるシャフト歯部の谷部の径を増大させることができ、軸強度を向上させることができる。
さらに、本発明によれば、シャフト歯部とハブ歯部とが係合した状態においてシャフト及びハブ間に回転トルクが付与された場合、前記シャフト歯部の谷部に形成されたテーパ部と前記ハブ歯部の山部に形成された段差部との共働作用下にシャフト歯部とハブ歯部との係合部位に付与される応力が分散され、応力集中が緩和される。すなわち、前記シャフト歯部の谷部にハブ歯部側に向かって徐々に拡径するテーパ部を形成することにより、応力が集中する部位であるシャフト歯部の谷部の径を増大させることができ、軸強度を向上させることができる。
本発明によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、前記シャフト歯部の山部の軸線が前記シャフトの軸線に対して所定角度で交差する、いわゆるツイスト(捻れ)形状とすることにより、前記シャフト歯部の山部と前記ハブ歯部の山部とがシャフトの端部側及びシャフトシャンク側でそれぞれ当接し、応力が集中する部位における応力を分散させて軸強度を向上させることができる。
また、シャフト歯部に付与された応力がオフセットされた一方の変化点と他方の変化点とにそれぞれ分散されることにより、応力の集中を緩和してシャフト歯部とハブ歯部との係合部位に対する静的強度及び疲労強度を向上させることができる。
さらに、シャフト歯部の山部をツイスト形状とすることにより、入力される荷重の度合いに応じて主たる荷重が伝達される領域が変化して、特定部位に応力が集中することが緩和される。
本発明に係るシャフト及びハブの動力伝達機構について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1において参照数字10は、本発明の実施の形態に係る動力伝達機構が適用されたシャフト及びハブのユニットを示す。このユニット10は、等速ジョイントの一部を構成するものであり、前記シャフト12は、駆動力伝達軸として機能し、ハブ14は、図示しないアウタカップの開口部内に収納され図示しないボールが係合する案内溝15を有するインナリングとして機能するものである。
前記シャフト12の一端部及び他端部には、それぞれ、ハブ14の軸孔16に嵌合する嵌合部18が形成される。ただし、図1では、シャフト12の一端部のみを示し、他端部の図示を省略している。前記嵌合部18は、シャフト12の軸線に沿って所定の歯長からなり、周方向に沿って形成された複数のスプライン歯20を有するシャフト歯部22を備える。前記シャフト歯部22は、凸状の山部22aと凹状の谷部22bとが周方向に沿って交互に連続して構成される。
前記シャフト12の中心側の前記シャフト歯部22に近接する部位には、シャフトシャンク24が設けられ、また、シャフト12の端面13側には、前記ハブ14の抜け止め機能を有する図示しない止め輪が環状溝(図示せず)を介して装着される。
前記シャフト12を半径内方向に向かって見た場合(シャフト歯部22の山部22aを平面視した場合)、前記シャフト歯部22は、歯厚が一定の直線状からなる山部22aと、端面13からシャフトシャンク24側に向かって径が変化する谷部22bとを有する。前記シャフト歯部22の山部22aは、その軸線が前記シャフト12の軸線(ハブ歯部28の山部28aの軸線)に対して所定角度で交差する、いわゆるツイスト(捻れ)形状に形成される。
前記ハブ14の軸孔16の内周面には、前記シャフト12の嵌合部18に嵌合する複数の直線状のスプライン歯26を有するハブ歯部28が形成される。前記ハブ歯部28は、凸状の山部28aと凹状の谷部28bとが周方向に沿って交互に連続して構成され、前記ハブ歯部28の山部28aは、図2に示されるように、同一の歯厚からなり、シャフト12の軸線と平行となるように形成されている。
従って、図2A及び図2Bに示されるように、前記シャフト歯部22の山部22aと前記ハブ歯部28の山部28aとがシャフト12の端面13側及びシャフトシャンク24側でそれぞれ当接することにより、荷重がシャフト12の端面13側とシャフトシャンク24側とにそれぞれ分散して伝達される。
図3は、シャフト歯部22の谷部22bとハブ歯部28の山部28aとが係合した状態におけるシャフト12の軸線方向に沿った一部拡大縦断面図である。
シャフト歯部22の谷部22b(谷部径φ1)の所定位置(破線参照)からシャフトシャンク24側に向かって水平方向に所定距離L1だけ移動した点P1(変化点)を設定し、前記点P1からその谷部22bをハブ歯部28側に向かって膨出させ、谷部径φ1から谷部径φ2に変化させた第1段差部30を形成し、さらに、所定距離L2だけ谷部径φ2を延在させてシャフトシャンク24に連続させて形成する。
この場合、シャフト歯部22側の前記第1段差部30は、後述するように、例えば、傾斜面又は所定の曲率半径からなる円弧状の曲面或いは複合面等によって形成するとよい。また、シャフト歯部22の山部22aの外径は、図3及び図4に示されるように、軸線方向に沿って一定で変化しないものと、図5に示されるように、山部22aの外径が点P1の近傍部位からシャフトシャンク24側に向かって徐々に縮径(歯丈が短縮)するように変化するものとの両方が含まれる。前記山部22aの外径をシャフトシャンク24側に向かって徐々に縮径させることにより、図示しない転造ラックによる製造が容易となり、また、回転トルクの伝達機能を営む際に何ら問題がない。なお、図5中における記号Hは、山部22aの外径の変化(落ち込み)と対比するための水平線を示す。
ハブ歯部28の山部28aでは、前記シャフト歯部22の点P1からシャフトシャンク24と反対側に水平方向に沿った所定距離L4だけオフセットした位置に点P2を設定し、前記点P2からその山部径φ3を山部径φ4に変化させた第2段差部32を形成し、さらに、所定距離L3だけ山部径φ4を延在させて形成する。
この場合、ハブ歯部28の前記第2段差部32は、例えば、傾斜面36(図10参照)又は所定の曲率半径からなる円弧状の曲面38(図11参照)或いは複合面等によって形成し、前記第1段差部30の形状と異なる形状であってもよい。前記第2段差部32の傾斜角度は、第1段差部30の傾斜角度に対応して任意に設定される。なお、ハブ歯部28側の形状は、前記第2段差部32の形状に限定されるものではなく、例えば、所定の曲率半径を有するR形状、テーパ形状等を含む形状であってもよい。また、ハブ歯部28の谷部28bの内径は、軸線方向に沿って一定で変化しないものとする。
前記谷部径φ1、φ2は、それぞれ、シャフト12の軸心からシャフト歯部22の谷部22bの底面までの離間距離を示したものであり、前記山部径φ3、φ4は、それぞれ、シャフト12の軸心からハブ歯部28の山部28aの歯先までの離間距離を示したものである。
なお、シャフト歯部22側のL2は、L1より大きく設定されるとよい(L1<L2)。後述するように、シャフト歯部22とハブ歯部28との噛合部位に付与される荷重の度合いに対応して、例えば、低荷重、中荷重及び高荷重等の主たる荷重伝達領域を異なるように設定するためである。さらに、シャフト歯部22側のL2とハブ歯部28側のL3とはそれぞれ略等しく(L2≒L3)、又はシャフト歯部22側のL2に対してハブ歯部28側のL3が大きくなるように設定されるとよい(L2<L3)。寸法公差及び寸法精度によって後述するオフセットが設定し易くなると共に、組み付け性を向上させることができるからである。
図3から諒解されるように、シャフト歯部22の第1段差部30の立ち上がりの起点(変化点)となる点P1と、ハブ歯部28の第2段差部32の立ち上がりの起点(変化点)となる点P2とが所定の離間距離L4だけ略水平方向にオフセットした位置に設定されている。
従って、シャフト歯部22とハブ歯部28とが係合したシャフト12及びハブ14のユニット10に対して回転トルクが付与された場合、シャフト歯部22側の点P1とハブ歯部28側の点P2とが所定距離だけオフセットしているため、前記ユニット10に付与された応力が前記点P1と点P2とにそれぞれ分散されることにより応力集中を緩和することができる。
前記点P1と点P2とがオフセットされていない場合、前記ユニット10に付与された応力が点P1と点P2との径方向の一致部位又は略一致部位に過剰に集中するおそれがあるからである。この結果、本実施の形態では、応力の集中を緩和して分散させることができるため、シャフト歯部22とハブ歯部28との係合部位に対する静的強度及び疲労強度を向上させることができる。
さらに、図4に示されるように、点P1、点P3、点P4を結んだ直角三角形の断面積を増大させ、点P1及び点P4を結ぶ線分P14と点P1及び点P3を結ぶ線分P13とがなす角度θ、すなわち、第1段差部30の傾斜角度θを所定値に設定することにより、第1段差部30に形成されたテーパ部34によってより一層応力集中が緩和される。
例えば、前記第1段差部30の傾斜角度θと応力緩和及び生産技術性との関係を図6に示す。図6から諒解されるように、前記傾斜角度θを5度〜45度に設定すると良好(○印参照)であり、前記傾斜角度θを10度〜35度に設定すると最適(◎印参照)である。
前記傾斜角度θを3度に設定すると、応力分散効果を十分に発揮することができないと共に、転造ラックによる生産が困難であって不適である。一方、前記傾斜角度θを90度に設定すると、階段状の第1段差部30に応力が過剰に集中するという問題があると共に、転造ラックの耐久性を劣化させるという他の問題がある。
第1及び第2段差部30、32がない通常のシャフト及びハブのスプライン嵌合では、シャフトシャンクの近傍部位に応力のピークポイントが発生するが、本実施の形態では、シャフト歯部22に第1段差部30を設けて点P1にもある程度の応力が集中するように構成し、シャフトシャンク24側に集中する応力を分散させている。この場合、シャフト歯部22の第1段差部30の傾斜角度θを、例えば、90度のように大きく設定しすぎると点P1に応力が過剰に集中しすぎて応力分散(応力緩和)効果を発揮することができない。従って、前記第1段差部30の立ち上がり角度である傾斜角度θを適正に設定することにより、シャフトシャンク24の近傍に発生する応力の集中を好適に分散させて、ピークポイントにおける応力値を低減することができる。
次に、回転トルクが付与されていない無負荷状態から、回転トルクが付与されてツイスト形状を有するシャフト歯部22の山部22aと直線形状を有するハブ歯部28の山部28aとが噛合した状態を図2A及び図2Bに示す。なお、回転トルクによる荷重入力方向は、ハブ歯部28の軸線と直交する矢印Y方向に設定した。また、図2Bにおいて、仮想線は、シャフト歯部22の山部22aが反対方向に傾斜した逆ツイスト形状を示している。
この場合、応力値と測定位置(図2Bの矢印X参照)との関係を表した図7に示されるように、入力される荷重の度合いが異なることにより、応力値のピークポイントが測定位置に沿って変化していることがわかる。前記入力される荷重の度合いを、例えば、低荷重、中荷重、高荷重の3段階とすると、前記段階に対応した低荷重特性曲線D、中荷重特性曲線E、高荷重特性曲線Fとなる。
図2Bから諒解されるように、入力される荷重の度合いによってシャフト歯部22とハブ歯部28との噛合部位が、荷重付与位置に対応する円a、円b、円cのように順次変化している。この噛合部位は、入力される荷重の度合いに対応して中央部からシャフト12の端面13側及びシャフトシャンク24側の両方に向かってそれぞれ離間する方向に作用している。
すなわち、低荷重が付与されたときには、シャフト12の端面13側及びシャフトシャンク24側における円aの領域が主たる低荷重伝達領域となり、中荷重が付与されたときには、前記円aから僅かに離間したシャフト12の端面13側及びシャフトシャンク24側の円bの領域が主たる中荷重伝達領域となり、高荷重が付与されたときには、前記円bから僅かに離間するシャフト12の端面13側及びシャフトシャンク24側の円cの領域が主たる高荷重伝達領域となる。
このようにシャフト歯部22をハブ歯部28の軸線に対して交差するツイスト形状とすることにより、入力される荷重の度合いに応じて荷重が伝達される領域(応力値のピークポイント)が変化するように設定され、特定の部位に対する応力集中を緩和することができる。
この結果、付与される荷重は、シャフト12の端面13側とシャフトシャンク24側とにそれぞれ分散される(この場合、図7から諒解されるようにシャフト12の端面13側に付与される荷重よりもシャフトシャンク24側に付与される荷重が大きい)と共に、前記シャフト12の端面13側及びシャフトシャンク24側においてそれぞれ荷重の度合いに対応して荷重が伝達される領域が変化することにより、より一層の荷重の分散化を図ることができる。
次に、他の実施の形態に係る動力伝達機構が適用されたシャフト及びハブのユニットを図8に示す。なお、前記実施の形態と同一の構成要素には同一の参照符号を付しその詳細な説明を省略する。
他の実施の形態では、点P1を起点としてハブ歯部28側に向かって延在し、曲率中心をP3として所定の曲率半径Wからなる円弧部40を形成してシャフトシャンク24側に連続させている点で相違している。
なお、シャフト歯部22側と反対方向に窪んで形成されるハブ歯部28の前記段差部42は、例えば、傾斜面または所定の曲率半径からなる円弧状の曲面または複合面等によって形成するとよい。前記点P2を起点とする段差部42の傾斜角度は、円弧部40に対応して任意に設定される。前記ハブ歯部28側の形状は、前記段差部42の形状に限定されるものではなく、例えば、所定の曲率半径を有するR形状、テーパ形状等を含む形状であってもよい。また、ハブ歯部28の谷部28bの内径は、軸線方向に沿って一定で変化しないものとする。
この場合、シャフト歯部22側に形成された円弧部40とハブ歯部28側に形成された段差部42の共働作用下に、シャフト歯部22の円弧部40に付与される応力が分散されて応力集中を緩和することができる。
次に、さらに他の実施の形態に係る動力伝達機構が適用されたシャフト及びハブのユニットを図9に示す。
さらに、他の実施の形態では、水平方向に沿った谷部22bに対して所定角度θからなり、点P1を起点としてその谷部22bの径がハブ歯部28側に向かって徐々に増大するように形成されたテーパ部50を設け、前記テーパ部50を延在させてシャフトシャンク24に連続させて形成している点で相違している。
なお、シャフト歯部22の山部22aの外径は、軸線方向に沿って一定で変化しないものとする。
ハブ歯部28の山部28aでは、前記シャフト歯部22の点P1からシャフトシャンク24と反対側に水平方向に沿った所定距離L3だけオフセットした位置に点P2を設定し、前記点P2からその山部径φ2から山部径φ3に変化させた段差部52を形成し、さらに、所定距離L2だけ山部径φ3を延在させて形成する。
この場合、ハブ歯部28の前記段差部52は、例えば、傾斜面または所定の曲率半径からなる円弧状の曲面または複合面等によって形成するとよい。前記P2を起点とする段差部52の傾斜角度は、テーパ部50の傾斜角度に対応して任意に設定される。なお、ハブ歯部28側の形状は、前記段差部52の形状に限定されるものではなく、例えば、所定の曲率半径を有するR形状、テーパ形状等を含む形状であってもよい。また、ハブ歯部28の谷部28bの内径は、軸線方向に沿って一定で変化しないものとする。
さらに、図1〜図11に示す実施の形態では、ハブ歯部28の山部径φ3から山部径φ4に変化させて構成しているが、これに限定されるものではなく、図12及び図13に示されるように、ハブ歯部28の山部径φ3(φ4)が一定に設定されたハブ14aを用いてもよい。
10…ユニット 12…シャフト
13…端面 14、14a…ハブ
18…嵌合部 20、26…スプライン歯
22…シャフト歯部 22a、28a…山部
22b、28b…谷部 24…シャフトシャンク
28…ハブ歯部 30…第1段差部
32…第2段差部 34、50…テーパ部
13…端面 14、14a…ハブ
18…嵌合部 20、26…スプライン歯
22…シャフト歯部 22a、28a…山部
22b、28b…谷部 24…シャフトシャンク
28…ハブ歯部 30…第1段差部
32…第2段差部 34、50…テーパ部
Claims (7)
- シャフトに形成されたシャフト歯部と、前記シャフトの外周側に配置されたハブのハブ歯部とが係合することにより、前記シャフト及びハブ間で相互にトルク伝達が可能に結合された機構において、
前記シャフト歯部は、歯厚が一定の直線状からなる山部と、端部からシャフトシャンク側に向かって径が変化する谷部とを有し、
前記ハブ歯部は、歯厚が一定の直線状からなる山部と、軸線方向に沿って一定の径からなる谷部とを有し、
前記シャフト歯部の山部の軸線は前記シャフトの軸線に対して所定角度で交差して形成されると共に、前記ハブ歯部の軸線は前記シャフトの軸線に対して平行に形成され、
前記シャフト歯部の山部と前記ハブ歯部の山部とがシャフトの端部側及びシャフトシャンク側でそれぞれ当接することにより、荷重が分散して伝達されることを特徴とするシャフト及びハブの動力伝達機構。 - 請求項1記載の機構において、
前記ハブ歯部の山部は、端部からシャフトシャンク側に向かって内径が変化するように設けられ、
前記シャフト歯部の谷部の径の変化点と、前記ハブ歯部の山部の内径の変化点とは、それぞれ所定距離だけオフセットした位置に設定されることを特徴とするシャフト及びハブの動力伝達機構。 - 請求項2記載の機構において、
前記シャフト歯部の谷部には、前記ハブ歯部側に向かって膨出する第1段差部が形成され、前記ハブ歯部の山部には、該シャフト歯部側と反対方向に窪んだ第2段差部が形成され、前記第1段差部の起点と前記第2段差部の起点とがそれぞれ所定距離だけオフセットした位置に設定されることを特徴とするシャフト及びハブの動力伝達機構。 - 請求項3記載の機構において、
前記シャフト歯部に形成された第1段差部の傾斜角度は、5度〜45度に設定されることを特徴とするシャフト及びハブの動力伝達機構。 - 請求項1記載の機構において、
前記シャフト歯部と前記ハブ歯部との噛合部位に付与される荷重の度合いに対応して、主たる荷重伝達領域が異なるように設けられ、
前記荷重の度合いは、低荷重、中荷重及び高荷重を含み、前記低荷重、中荷重及び高荷重の主たる各荷重伝達領域は、前記シャフト歯部の山部と前記ハブ歯部の山部とがそれぞれ当接するシャフト端部側及びシャフトシャンク側に向かって順に離間する方向に設定されることを特徴とするシャフト及びハブの動力伝達機構。 - 請求項1記載の機構において、
前記シャフト歯部の谷部には、前記ハブ歯部側に向かって所定の曲率で延在する円弧部が形成され、前記ハブ歯部の山部には、前記円弧部に臨み該シャフト歯部側と反対方向に窪んだ段差部が形成されることを特徴とするシャフト及びハブの動力伝達機構。 - 請求項1記載の機構において、
前記シャフト歯部の谷部には、前記ハブ歯部側に向かって徐々に拡径するテーパ部が形成され、前記ハブ歯部の山部には、前記テーパ部に臨み該シャフト歯部側と反対方向に窪んだ段差部が形成されることを特徴とするシャフト及びハブの動力伝達機構。
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