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JP2006513984A - 医薬的に活性な、脂質をベースにしたsn38製剤 - Google Patents

医薬的に活性な、脂質をベースにしたsn38製剤 Download PDF

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JP2006513984A JP2004531063A JP2004531063A JP2006513984A JP 2006513984 A JP2006513984 A JP 2006513984A JP 2004531063 A JP2004531063 A JP 2004531063A JP 2004531063 A JP2004531063 A JP 2004531063A JP 2006513984 A JP2006513984 A JP 2006513984A
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アフマド、イムラン
チャン、チア−アイ
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ネオファーム、インコーポレイティッド
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Abstract

カンプトセシン誘導体であるSN38は水にほぼ不溶で、極めて親油性のカンプトセシン誘導体であり、ヒトにおける様々な癌に対し非常に有効である。水にほぼ不溶であるため、SN38はヒトの癌患者の治療に用いられていなかった。というのも、医薬製剤に溶解された充分な量を投与することができなかったためである。本発明は、ヒトの癌患者に製剤を直接投与するための、新規な医薬的に許容されるSN38リポソーム複合体製剤を教示することによって、これらの制限を克服する。また、請求の範囲に記載された発明は、リポソームSN38複合体およびリポソームSN38複合体の抗腫瘍組成物を、様々な種類の癌を治療するのに充分な量で投与できるように、および抗ウイルス剤として投与できるように、調製する方法を説明する。本発明はさらに、注射可能な滅菌溶液、抗腫瘍組成物、リポソームを提示するものである。本発明は、細胞増殖によって引き起こされる疾患を治療するための、特に、哺乳類、より詳細にはヒトにおける癌の治療のための、新規な組成物および方法である。本発明の治療組成物としてはSN38脂質複合体が挙げられ、かかる複合体においては、中性または荷電の様々な脂質が、望ましくはカルジオリピンが含まれていてもよい。組成物は効率よくSN38を複合体に取り込むことができ、また比較的高濃度のSN38を可溶化することができる。

Description

関連出願へのクロスレファレンス
本出願は2002年8月20日に提出された米国仮特許出願60/404,668に対し、優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、脂質とSN38の複合体、それらの製造方法、並びに抗ウイルス剤としてのそれらの使用、および、疾患、特に真核細胞増殖を含む疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
発明の背景
米国特許4,473,692号において初めて開示された、7−エチル−10−ヒドロキシカンプトセシン(SN38)、より正式には((+)−(4S)−4,11−ジエチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’:6,7]−インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオンとして知られている化合物は、イリノテカンの活性代謝物質、カンプトセシンの誘導体である。これは、可逆性一本鎖切断を誘導することによってDNAにおけるねじれ鎖の除去に関与する酵素であるトポイソメラーゼI酵素に結合すると考えられている。結合したSN38はトポイソメラーゼIによる一本鎖切断の再結合を妨げ、それにより別の方法では充分に切断を修復できないことが明らかな哺乳類の細胞において細胞毒性を引き起こしているようである。
イリノテカンのSN38への代謝変換は、主に肝臓で、カンプトセシン部分とジピペリジノ側鎖との間のカルバミン酸結合がカルボキシルエステラーゼによって切断されることによって起こる。次いで、この誘導体は抱合を経てグルクロニド代謝物質を形成する。
SN38は、ヒトおよびげっ歯類の腫瘍細胞系から精製したトポイソメラーゼIの阻害剤として、イリノテカンのおよそ1000倍以上有力である。インビトロ細胞毒性測定は、SN38がイリノテカンより最大2000倍まで有力であることを示している。よって、SN38は非常に有効な抗腫瘍剤となる可能性がある。加えてSN38はそのカンプトセシン前駆体に対し、肝臓による活性化を必要としない点で、利点を有する。したがって、適切な製剤が、全身性の治療方法のみならず、局所においても用いられうる。
SN38は水溶液に極めて不溶である。水への溶解性を欠いているにもかかわらず、SN38は脂質膜に対しても低い親和性を有しているので、水相へ沈殿する傾向がある。これらの溶解性特質は、SN38の治療への使用を妨げていた。さらには、繰り返し投与された後のSN38の効果は、SN38の効果だけではなくいくつかのその他の抗腫瘍薬の効果をも下げる多剤耐性の進展によって、制限される可能性がある。SN38の一般的な毒性もまた、SN38を治療目的で使用することを制限している。
よって、SN38が細胞増殖に関連する疾患の治療に効果的に用いられるように、SN38の有効性を改善する製剤が望まれている。そのような製剤は適切な溶解性と毒性特性を有しているべきであり、抗ウイルス剤として、および癌のような特定の増殖性疾患の治療において、有用であろう。
本発明はかかる組成物および方法を提供する。本発明のこれらの利点およびその他の利点、そして付加的な発明の特性は、以下に提供される発明の詳細から明らかとなるであろう。
本発明の要旨
本発明は新規なSN38組成物、それらの調製方法、それらの抗ウイルス剤としての使用、および、特に哺乳類(より特定的にはヒト)における癌のような真核細胞を増殖することによって引き起こされる疾患の治療への使用のためのものである。SN38組成物としては、SN38の脂質との複合体であって、40重量%を超えるSN38が脂質と複合体を形成しているものが挙げられる。複合体はリポソームを含み、また様々な中性または荷電脂質物質のいずれか、および望ましくはカルジオリピンを含有することができる。適切な脂質には、SN38と結合することによって安定な医薬的製剤を提供し、哺乳類への投与を容易にするものであれば、医薬的に許容されるいかなる親油性物質も含まれる。カルジオリピンは、合成されたもの、天然源由来のもの、または化学的に修飾されたものであってもよい。脂質複合体は、正味の負荷または正荷を持っていてもよく、また中性であってもよい。好ましい複合体はさらにα−トコフェロールを含有している。SN38複合体は、SN38複合体以外の第2治療剤と共に有利に使用することができ、第2治療剤としては、抗腫瘍剤(例えば、シスプラチン、タキソール、ドキソルビシン、ビンカアルカロイド、およびテモゾロマイド)、抗真菌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、および代謝拮抗剤、またはその他の活性剤が挙げられる。リポソーム複合体は、所望により、多重膜小胞、単膜小胞、またはそれらの混合物であってもよい。本発明はまた、そのようなSN38複合体を調製するための方法を包含する。本発明はさらに、治療上有効な量のSN38複合体が医薬的に許容される賦形剤中に含まれ、抗ウイルス剤として、または癌などの増殖性疾患を治療するために、哺乳類(例えばヒト)に投与される方法をも提示する。
本発明はまた、SN38複合体の貯蔵寿命を伸ばすための方法を説明する。
SN38複合体を調製する特に好ましい1つの方法においては、SN38はアルカリ性溶液に溶解され、脂質フィルムを水和しリポソームを形成するために用いられる。
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明はSN38をヒト受容者に供給するための組成物および方法を提供する。該組成物および方法は、SN38の溶解性問題の回避、SN38および複合体の高い安定性、SN38の大型丸薬または高濃度での短時間の注入での投与、SN38毒性の低減、SN38の治療上の効果の上昇、および多剤耐性の調節によって特徴付けられる。
本発明の組成物はSN38との脂質複合体であり、かかる複合体は好ましくはカルジオリピンを含有する。適切な複合体は、安定な医薬的調製物が生成されまた用いられるように、溶解性特質を与えてくれる親油性化合物と結合したSN38を有することによって特徴付けられる。複合体としては、リポソーム、エマルジョン、およびミセルが挙げられるが、それらに限定されない。複合体において、SN38は、共有結合、疎水性結合、静電結合、水素結合、またはその他の結合により結合されていてもよく、SN38が単にリポソームの内部に取り込まれているような状態でも結合とみなす。SN38組成物としては、少なくとも約40%以上、例えば少なくとも約50重量%以上のSN38が脂質と複合体を形成しているような、SN38の脂質との複合体が挙げられ、より好ましくは少なくとも約70重量%以上、さらに好ましくは少なくとも約80重量%以上(例えば、少なくとも約85%以上)、そして最も好ましくは少なくとも約90重量%以上(例えば、少なくとも約95%以上)のSN38が脂質(たとえば、少なくとも脂質の一部)と複合体を形成しているものが挙げられる。組成物がリポソームである場合、望ましくは、少なくとも約70重量%以上、さらに好ましくは少なくとも約80重量%以上(例えば、少なくとも約85%以上)、そして最も好ましくは少なくとも約90重量%以上(例えば、少なくとも約95%以上)のSN38がリポソーム中に取り込まれているか、封入されている。
望ましくは、SN38脂質複合体はカルジオリピンを含有する。いずれの適切なカルジオリピンも用いることができる。例えば、カルジオリピンは、当分野で公知の方法により、天然源から精製でき、また化学的に合成若しくは化学的に修飾されうる(例えば、テトラミリスチルカルジオリピンなど)。
SN38複合体は通常、カルジオリピンに加えてその他の錯化剤を含有する。適切な剤としては、医薬的に許容される合成、半合成(天然物を修飾)、または天然に生じた化合物であって、親水性領域および疎水性領域を有するものが挙げられる。かかる化合物としては、正味の正、負、または中性荷電を有するか、あるいはまったく荷電していない、両親媒性分子が挙げられる。適切な錯化剤としては、合成された、あるいは卵や大豆といったような天然源由来のリン脂質などの化合物が挙げられる。適切なリン脂質としては、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、スフィンゴミエリン(SPM)などの化合物が、単独で、または組み合わせで挙げられる。ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロールなど、あるいはそれらの混合物が、ホスファチジルグリセロールとして好ましい。リン脂質ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジアラキドノイルホスファチジルコリン(DAPC)、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)を用いることができ、またはそれらの混合物も用いることができる。使用できるその他の脂質としては、ガングリオシドGM1およびポリマー修飾された脂質(例えばPEG修飾された脂質)が挙げられる。
SN38脂質複合体は通常、コレステロール、コレステロールのポリエチレングリコール誘導体(PEG−コレステロール)、コプロスタノール、コレスタノール、またはコレスタン、またはα−トコフェロールなどといった、ステロールまたはステロイド成分を少なくとも1つ含む。それらはまた、コレステロールヘミスクシナート(CHS)、コレステロール硫酸などのステロール誘導体を含有していてもよい。α−トコフェロールヘミスクシナート(THS)などの、トコフェロールの有機酸誘導体もまた用いられうる。適切なSN38複合体は、糖脂質、または天然もしくは誘導された脂肪酸などと共に形成されてもよい。好ましいSN38錯化剤としては、カルジオリピン(例えば、天然カルジオリピンまたは合成カルジオリピン)、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびα−トコフェロールが挙げられ、それらは組み合わされてリポソームを形成する。
SN38の量は適切であればいかなる量でも用いることができる。SN38の適切な量とは、本発明の複合体に安定して取り込まれうる量である。SN38は、上述した組成物中において、約0.01mg/mL〜約20mg/mL、例えば約0.1mg/mLと約20mg/mLの間または約0.01mg/mLと約5mg/mLの間、より好ましくは約0.1〜約4mg/mL、さらに好ましくは約0.5〜3mg/mL、そしてさらにより好ましくは約0.8〜2(例えば、約1以上〜約1.5mg/mL)の濃度で好ましくは存在すべきである。また、適切な組成物は通常、約1〜約50重量%のカルジオリピンを、または好ましくは約2〜約25重量%のカルジオリピンを、またはさらに好ましくは約5重量%〜約20重量%のカルジオリピンを含有する。かかる組成物は通常さらに、約1重量%〜約95重量%のホスファチジルコリンまたはより好ましくは約20重量%〜約75重量%のホスファチジルコリンを含有する。好ましい組成物は通常さらに、α−トコフェロールを約0.001重量%〜約5重量%の濃度で含有する。
また、錯化剤は、それらが公知の方法によってリポソームを生成するために用いられる場合、リポソーム形成物質としてみなされてもよい。所望の複合体を生成するため、それらはそれら自身によって、あるいはSN38を含むその他の親油性成分と共に、適切な溶媒に溶解されうる。適切な溶媒とは、充分な溶解性を提供できるものであり、医薬的に許容されない量の医薬的に許容されない残留物を残さずに蒸発されうるものである。例えば、カルジオリピンは、エタノール、メタノール、クロロフォルム、塩化メチレン、またはアセトンといったような、非極性あるいは僅かに極性の溶媒に溶解することができる。SN38はまた水性(一般的にはアルカリ性)緩衝液(例えば、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、水酸化カルシウム、重リン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、トリス(ヒドロキシ−メチル)アミノメタン、または安息香酸ナトリウムなど)に溶解することもできる。SN38の水溶液は、その後、脂質フィルムに加えられてもよく、所望により、得られた混合物を激しくホモジナイズしてリポソーム、エマルジョン、およびミセルを生成してもよい。
本発明はさらに、SN38またはSN38と平衡状態にある化合物を含有する脂質組成物を形成する方法を提供する。SN38は、ほとんどの薬剤がその化学構造またはその化学構造と平衡状態にある化学構造を保っているかぎり、安定であると考えられる。SN38と平衡状態にある化学構造としては、特に、高pHにおいては高い溶解性を与え、pHが低められたときにはSN38に変換される構造が挙げられる。
通常、かかる方法には、溶解された親油性成分をまとめて混合すること、または溶媒を蒸留あるいは凍結乾燥して(好ましくは均質の)脂質相もしくは脂質フィルムを形成することが含まれる。脂質相は例えば、当分野で一般的に使用されているような適切な有機溶媒中で、形成することができる。次いで脂質相はSN38(あるいはSN38と平衡状態にある化合物)を含む第1の水溶液で水和され、化合物を含む脂質組成物を形成する。その後、組成物のpHが下げられ、SN38と平衡状態にある化合物の一部または全部がSN38に変換される。
好ましくは、脂質相は公知の方法で生成され得る脂質フィルムである。例えば、溶媒の蒸発は、成分の安定性を保つような任意の適切な手段によっても達成されうる。リポソームまたはミセルを含むSN38複合体は、その後、例えば乾燥脂質フィルム混合物に適切な溶媒を加えることによる、脂質相の水和によって形成することができる。適切な溶媒としては、医薬的に許容される極性溶媒が挙げられる。通常、溶媒は医薬的に許容される塩、緩衝液、またはそれらの混合物を含有する水溶液である。1つの方法においては、脂質フィルムは、アルカリ性pHを有するSN38の水溶液で水和される。適切なpHの範囲は約7〜約11であり、約8〜約10のpHがより好ましく、約9〜約10のpHが最も好ましい。適切なpHを有する水溶液は、適当な量のNaOHが溶解されている水から調製することができる。あるいは、かかる溶液は、Tris HClといったような、所望のpHの約1pHユニットにpKを有する緩衝液で調製することができる。その他の適切な緩衝液としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、重リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシ−メチル)アミノメタン、安息香酸ナトリウムなどが挙げられる。
リポソーム複合体は、脂質を水溶液に激しい混合で分散することによって(例えば、水和工程の間に)形成することができる。脂質フィルムと極性溶媒との間に充分な剪断力を引き起こし、混合物を強力にホモジナイズして所望の複合体を形成するものであれば、いかなる混合方法を用いてもよい。例えば、混合は、渦動、磁気攪拌、および/または超音波によるものであってもよい。多重膜リポソームが所望される場合は、それらは単に溶液を渦動することによって形成することができる。単膜リポソームが所望される場合は、超音波またはろ過の工程がプロセスに含まれる。
リポソームSN38複合体は、SN38、カルジオリピン、コレステロール、ホスファチジルコリンおよびα−トコフェロールを適切な溶媒中で混合し、均質な混合物を形成することによって、調製できる。混合物を乾燥して脂質フィルムを形成し、水または水溶液を加えて混合することによってリポソームに水和する。あるいは、SN38リポソームは、親油性成分(SN38を除く)を共に溶解し、それらを蒸発させて脂質フィルムを形成することによって調製できる。SN38溶液はアルカリ性pHで水溶液中にて調製され、その後、乾燥脂質フィルムを水和し、リポソームを形成するために用いられる。
あるいは、SN38を上述したようなアルカリ性水溶性緩衝液に直接溶解することができる。溶解されたSN38はリポソームに加えられうるが、かかるリポソームは、リポソームを調製するための現在公知、あるいは続いて開発されるいかなる技術によって調製されたものであってもよい。例えば、リポソームは、多重膜リポソーム(MLVs)を調製するための従来技術によって調製することができる。つまり、1以上の選択された脂質を適切な容器の内壁上に沈殿させ、脂質をクロロフォルムに溶解し、次いでクロロフォルムを蒸発させ、容器に封入されるように水溶液を加え、水溶液で脂質を水和させ、得られた脂質懸濁液をかき混ぜて、あるいは渦動して所望のリポソームを製造する。
あるいは、巨大な単膜リポソーム(LUVs)を製造するために用いられる技術、例えば、逆相蒸発、溶媒希釈方法、注入方法、および界面活性剤希釈などが、リポソームを製造するために用いられうる。これら、若しくはリポソームを製造するためのその他の方法のレビューは、出典「リポソーム」、Marc J. Ostro編、Marcel Dekker社、ニューヨーク、1983年、チャプター1に載っている。
一般的に、SN38を取り込んだリポソームを生成するかぎり、リポソームを形成するいかなる適切な方法でも用いることができる。多重膜小胞、安定な複膜小胞(plurilamellar vesicles)、および逆相蒸発小胞が用いられうる。評価されるであろうように、本発明はSN38を取り込んだリポソーム組成物を対象とするものであり、それはいかなる方法で製造されたものであってもよい。
適切なリポソームは、中性、負または正に荷電していてもよく、荷電はリポソーム成分の荷電およびリポソーム溶液のpHの作用である。例えば、中性pHでは、正荷電したリポソームはホスファチジルコリン、コレステロールおよびステアリルアミンの混合物から形成することができる。負荷電したリポソームは例えば、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびホスファチジルセリンから形成できる。
SN38またはSN38と平衡状態にある化合物を含有する脂質組成物形成後、組成物のpHを下げてSN38と平衡状態にある化合物の一部あるいは全部をSN38へ変換する。望ましくは、組成物のpHは約3.5より低く(例えば、約1〜3.5のpH(例えば約1.5〜約3の間))、好ましくはpHは約2である。pHは、ここで記載するように、水和過程の直後、例えば酸性緩衝液(本明細書に記載したようなもの)を加えることにより、あるいは脱水(または乾燥)、貯蔵(所望により)、および再水和(re-hydration)(「再懸濁(resuspension)」または「再構成(reconstitution)」ともいう)工程の後に、発明の方法に応じて下げることができる。あるいは、pHは乾燥もしくは凍結乾燥した調製物の再水和の間に下げることもできる(例えば、酸性緩衝液がSN38を含有する乾燥リポソームを再構成するために用いられる場合)。
複合体が特定の組織または器官を標的とするように、標的剤をSN38複合体に結合させることができる。かかる剤は、共有結合、静電結合、または疎水性結合を介して複合体と結合されうる。適切な標的剤としては、炭水化物およびタンパク質(例えば、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ペプチドホルモン、受容体リガンド、およびそれらの混合物)または所望の組織または器官を標的とすることが知られているその他の剤が挙げられる。例えば、米国特許6,056,973(ここで言及することにより、これは本発明に含まれる)は多数の標的剤および標的細胞を開示している(11段、1−41行参照)。適切なコンジュゲートを調製する方法も開示されている(11段、55行−14段、20行参照)。
SN38複合体は、適切なフィルターを介してろ過し、それらのサイズ分布を調節することができる。適切なフィルターとしては、ろ液から所望のサイズ範囲のリポソームを得るために用いられうるものが挙げられる。つまり、産生されたリポソームは、適宜、それらのサイズを小さくして、かつ均一な集団となるように処置されるのが好ましい。これは、フィルター(好ましくは100〜800nm孔サイズのもの)を通した押し出しといったような従来技術により達成され、かかるフィルターは直路タイプまたは蛇行路タイプのいずれでもよい。フィルターは、好ましくは約5ミクロン以下、より好ましくは約1ミクロン以下(例えば、約500nm以下、またはさらに約200nm以下もしくは100nm以下)の孔サイズを有している。リポソームのサイズを均質なサイズ分布へと小さくするその他の方法は、超音波照射、フレンチ・プレス技術、流体剪断(hydrodynamic shearing)、ホモゲナイズの使用(例えばホモゲナイザー)またはマイクロ流動化(microfuidization)である。あるいは、以下に記載するように、液体賦形剤または希釈剤における製剤の後にろ過を行うこともできる。
したがって、例えば、リポソームは約5ミクロン以下、より好ましくは約1ミクロン以下(例えば、約500nm以下、またはさらに約200nm以下もしくは100nm以下)の直径(例えば、平均直径)を有していてもよい。本発明で用いられるリポソームは約20nm〜約1000nm、好ましくは約100nm〜約800nmまたは約100nm〜400nmの平均直径を有していることが好ましい。平均直径が約160nmであることが特に好ましい。
貯蔵寿命を改善するため、本発明は、内部に封入された物質が実質的にリポソームから漏れることなく長期間保存されうる、SN38リポソーム調製物を提供する。本発明は、乾燥もしくは脱水されて乾燥脂質組成物を形成し、脱水されている間長期間保存され、その後、使用される際にその場で再水和されることができ、かつ脱水、保存および再水和の過程において包含されたSN38の実質的な部分を失うことのない、SN38リポソーム調製物を提供する。乾燥または脱水は、組成物のpHを下げる前に行っても、後に行ってもよい。
好ましくは、リポソームを、標準凍結乾燥機器または同等の装置を用いて乾燥あるいは脱水し、乾燥脂質組成物を形成する。すなわち、好ましくはそれらを減圧下で脱水する。所望であれば、リポソームおよびその周辺の媒体は、脱水する前に液体窒素中で凍らせてもよい。あるいは、リポソームを、事前に凍らせず、単に減圧下に置くことにより脱水してもよい。
これらの、あるいはその他の目的を達成するため、これらのうちの1つの局面に応じて、本発明は1つ以上の保護糖(protective sugar)の存在下で脱水されたSN38リポソーム調製剤を提供する。本発明のある好ましい実施態様では、リポソーム膜の内側および外側の表面両方に1つ以上の糖が存在する状態で、リポソームを脱水する。別の好ましい実施態様では、糖は、トレハロース、マルトース、ラクトース、スクロース、グルコース、およびデキストランからなる群より選ばれる。性能の面からすると、最も好ましい糖はトレハロースおよびスクロースである。一般的には、二糖類が単糖類よりもよく機能することが知られており、二糖類のトレハロースおよびスクロースがもっとも有効である。その他のより複雑な糖も用いられうる。例えば、ストレプトマイシンやジヒドロストレプトマイシンを含むアミノグリコシドが、脱水の間、リポソームを保護することが知られている。脱水は真空下で達成され、リポソーム調製物の事前凍結はあってもなくてもよい。
膜上に濃度勾配を有する本発明のリポソームが、乾燥もしくは脱水され(好ましくは1つ以上の糖の存在下で)、その後再水和されること、および濃度勾配が次いで、膜貫通電位差をつくってSN38をリポソーム中へ包含することが知見されている。あるいは、濃度勾配は、リポソームが脱水され再水和された後につくられてもよい。したがって、本発明はリポソームにSN38またはSN38と平衡状態にある化合物を包含させる方法を提供し、かかる方法には、リポソームを含む調製物を調製すること;リポソーム調製物を脱水すること;脱水された調製物を再水和すること;再水和された調製物においてリポソーム周辺の外部媒体を、イオン濃度勾配を生み出して、SN38またはSN38と平衡状態にある化合物をリポソームに包含させる配向を有する膜貫通電位差を生成することが可能な媒体(例えば、酸性緩衝液、これの適切な例は以下に述べる)と置換すること;およびSN38またはSN38と平衡状態にある化合物を、それらの置換された外部媒体中でリポソームと混合することが含まれる。
乾燥、脱水、または凍結乾燥されたSN38複合体リポソームは、溶液を緩やかにかき混ぜることによって、適切な溶液(一般的には水溶液)に再懸濁(すなわち、再構成)できる。再水和は、室温またはリポソーム組成物およびその内容物に適したその他の温度にて、行われうる。所望であれば、リポソームを蒸発または凍結乾燥などによって乾燥し、所望のいかなる極性溶媒中に再懸濁(すなわち、再構成)してもよい。リポソームが本明細書に記載されているように、SN38を含有するアルカリ性水溶性溶媒で脂質フィルムを水和することによって形成される場合、本明細書に記載されているような低pHの緩衝液を脱水または凍結乾燥されたリポソームを再懸濁(再構成)するために用いるのが望ましい。リポソームを再懸濁する(再構成する)ための適切な溶媒としては、例えば、約3.5未満のpH(例えば、約1〜3.5(例えば約1.5と約3の間)のpH)、および好ましくは約2.0のpH(例えば、約2.0のpHを有する乳酸緩衝液)を有する緩衝液が挙げられる。かような実施態様おいては、脱水された脂質組成物の再懸濁は組成物のpHの低減に影響する可能性がある。
脱水または凍結乾燥されたリポソームが用いられる場合、再水和(もしくは再構成)はSN38活性剤を加えてSN38のラクトン環を閉じることによって達成できる。この場合、SN38およびSN38と平衡状態にある化合物となったものは、活性な(医薬的に活性な)SN38として放出される。したがって、本発明はSN38複合体を製造する方法を提供し、かかる方法には、リポソームおよびSN38またはSN38と平衡状態にある化合物を含有する脱水あるいは凍結乾燥された複合体を製剤化すること、脱水もしくは凍結乾燥された複合体を水溶液に溶解あるいは再懸濁すること、およびSN38が活性になるようにリポソームを活性化剤と接触させることが含有される。活性化剤はいかなる水溶性緩衝液(例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酢酸ナトリウム、酢酸、アスコルビン酸、乳酸ナトリウム、乳酸、酒石酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸ナトリウム、コハク酸、アスパラギン酸、塩酸、メレイン酸(meleic acid)、カルボン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸;好ましくは、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど)でありうる。一部の実施態様では、アルカリ性緩衝液(これの例は本明細書に記載されている)などの可溶化剤を使用して、製剤におけるSN38の溶解性を増加させるのが望ましい。さらに、組成物の貯蔵寿命を増加させるため、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤が使用されるのが望ましい。貯蔵寿命を高めるための適切な賦形剤としては、例えば、本明細書で開示した保護糖が挙げられる。
本発明のリポソーム組成物は、望ましくは少なくとも約24時間安定であり、より好ましくは、少なくとも約48時間安定である。最も好ましくは、SN38を含有するリポソーム組成物、あるいは本発明のその他の脂質複合体は、少なくとも約72時間安定である。安定性は製剤後の時間、あるいは乾燥または凍結乾燥に続く再構成後の期間のいずれかで評価される。これに関し、本発明のリポソーム組成物の長期にわたる安定性は、例えば、24、48または72時間の期間の平均粒子サイズの変化を測定することによって評価できる。一般的には、安定性は所望の期間の間、組成物を室温(例えは約25℃)で保存した後に評価されるが、その他の適切な温度を使用してもよい。望ましくは、25℃で測るとき、製剤あるいは再構成から24、48または72時間後の組成物の平均粒子サイズの変化(例えば、増加もしくは減少)は、最初に製剤されたあるいは再構成された組成物に比べて、約25%未満である(より好ましくは、サイズの変化は、約20%もしくは15%未満、最も好ましくは約10%未満もしくは約5%未満である)。あるいは、安定性は組成物のpHを所望の時間単位で測ることによって評価されうる。望ましくは、製剤あるいは再構成から24、48または72時間後の組成物のpHの変化(例えば、増加もしくは減少)は、最初に組成物が製剤あるいは再構成された時の組成物のpHから、最大でも約0.5pHユニット、より好ましくは最大で約0.4pHユニットである。さらに好ましくは、製剤あるいは再構成から24、48または72時間後の組成物のpHの変化は、最初に製剤あるいは再構成された時の組成物のpHから、最大でも約0.3pHユニットであり、さらにより好ましくは最初に製剤あるいは再構成された時の組成物のpHから、最大でも約0.2pHユニットである。最も好ましくは、製剤あるいは再構成から24、48または72時間後の組成物のpHの変化は、最初に製剤あるいは再構成された時の組成物のpHから、最大でも約0.1pHユニットである。安定性のもう1つの測り方は、組成物、特にリポソーム組成物内へのSN38の取り込み効率である。望ましくは、製剤あるいは再構成から24、48または72時間後の、組成物におけるSN38の取り込み効率は、組成物が最初に製剤あるいは再構成された時の取り込み効率の少なくとも約80%(より好ましくは、少なくとも約85%、そして最も好ましくは少なくとも約90%もしくは少なくとも約95%)である。最も好ましくは、製剤あるいは再構成から24、48または72時間後の、組成物におけるSN38の取り込み効率は、最初に組成物が製剤あるいは再構成されたときのものとほとんど変化がないものである。
本発明は医薬的調製物を含み、かかる調製物は非毒性で不活性な医薬的に適切な賦形剤に加えて、SN38複合体を含有する。本発明はそのような組成物を調製する方法を含む。ここで、非毒性で不活性な医薬的に適切な賦形剤とは、当然ながら、固形、半固形、もしくは液状の希釈剤、充填剤、および全ての種類の製剤補助剤である。
本発明はさらに、投薬量単位の医薬調製物を含む。つまり、調製物が、例えばカプセル、ピル、座薬およびアンプルなどそれぞれの形態におけるものであり、その中でSN38複合体の含有量が1つまたは複数の各投与量に対応したものである。かかる投薬量単位は、例えば、各投与量の1、2、3または4回分、あるいは各投与量の1/2、1/3または1/4を含有していてもよい。好ましくは、各投与量は、1回の投与量として与えられる、通常、1日の用量の全部、半分、3分の1もしくは4分の1に対応する量のSN38を含有する。
錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、顆粒、座薬、液剤、懸濁剤およびエマルジョン、ペースト剤、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、散剤およびスプレーが適切な医薬調製物でありうる。
経口投与形態の場合、SN38複合体は、錠剤、カプセル、ロセンジ(losenges)、散剤、シロップ、水溶液、懸濁剤などの形態で用いることができる。ラクトース、クエン酸ナトリウム、およびリン酸の塩などの担体が錠剤の調製に用いられうる。さらに、スターチなどの崩壊剤、並びにステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなど潤沢剤を含んでいてもよい。ラクトースなどの希釈剤および高分子量のポリエチレングリコールを、カプセル形態の調剤調製において用いてもよい。活性成分を乳化剤および懸濁剤と組み合わせて、経口使用のための水溶懸濁剤を生成してもよい。甘味料などの香味剤も所望により加えることができる。
局所投与および座薬の場合、薬剤複合体は、適切な水溶性または水不溶性賦形剤(例えば、ポリエチレングリコール、特定の脂肪およびエステル、もしくはこれらの物質の混合物など)を加えることで、知られているようにして、ゲル、オイルおよびエマルジョンなどの形態で提供されうる。適切な賦形剤とは、それを用いることにより、薬剤複合体が充分に安定であり、その治療上の使用を可能とするもののことである。
上述した医薬組成物は、例えば複合体化したSN38を適切な賦形剤と混ぜるなどの公知の方法による通常のやり方で、投与用に調製される。
本発明はまた、ウシ、ウマ、ブタ、イヌもしくはネコなどすべての動物の患う、特に癌のような細胞増殖によって引き起こされる疾患の予防、改善および/または治療のための、ヒトおよび動物用医薬品における本発明のSN38および本発明のSN38を含有する医薬調製物の使用を含む。しかしながら、ヒト患者の治療に用いるのが特に好ましく、とりわけ癌や細胞増殖によって引き起こされるその他の疾患に用いるのが好ましい。好ましい実施態様では、野生型UGTA1対立遺伝子が同型接合であるか、または、例えばUGTA128などの変異UGTA1対立遺伝子(すなわち、異型接合または同型接合)を少なくとも1コピー有する患者における、真核細胞を増殖することによって引き起こされる疾患によって引き起こされる疾患を治療するために、本発明の方法を使用する。UGTA1に変異を有する患者は、SN38のグルコロン酸化(glucoronidation)機能を損なっており、そのため、本発明のリポソーム製剤などの、本発明の組成物を使用することによって、かかる患者において効力を上げることができる。本発明の組成物は、多発性硬化症に加え、ヒトの癌およびウイルス感染の治療に特に用いられる。本発明によって処置できる癌の例としては、肺癌(例えば肺非小細胞癌など);乳癌;精巣癌;卵巣癌;結腸、直腸、膵臓、および胃癌、肝細胞癌を含む胃腸癌;頭および首の癌;前立腺癌;腎細胞癌;腺癌;肉腫;リンパ腫;白血病および菌状息肉腫;黒色腫;重度の神経膠腫;神経膠芽腫または脳腫瘍などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のSN38(またはSN38と平衡状態にある化合物)を含む複合体もまた、患者のウイルス感染を治療するために使用することができる。この場合、本発明はウイルス感染を治療する方法を提供し、かかる方法は、SN38もしくはSN38と平衡状態にある化学物質を含有する複合体および脂質を含有する組成物を、ウイルス感染を有する患者に、患者のウイルス感染を治療するのに充分な量で投与することを含有する。本発明の方法の適用によって、感染の症状を調節することにより、あるいは、一部の患者においては、感染細胞を殺すことにより、若しくは当該患者のウイルス量を減らすことにより、ウイルス感染を治療することができる。この方法を使用すれば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、乳頭腫ウイルス、ポックスウイルス、SARSウイルス、および免疫不全ウイルスなどの多くのウイルスによる感染を治療することができる。本発明の方法によって治療されうる好ましいウイルス感染としては、例えばSIV、FIV、最も好ましくはHIVなどの、免疫不全ウイルスが挙げられる。
活性化合物またはその医薬調製物は、皮膚に、経口で、非経口で、腹腔内に、静脈内に、直腸に、若しくは直接腫瘍(例えば、腫瘍内注射を介して)に投与されうる。SN38は肝臓による活性化を必要としないので、腕や脚に、あるいはヒトの場合、手もしくは脳に直接注射することなどによって、本発明の組成物を局所的に使用できるので有利である。
約70kgの体重のヒトの場合、例えば、約0.1〜2mgまたは約0.5〜1mg/体重kgのSN38を投与することができる。好ましくは、約0.5〜2.0mg/体重kgのSN38を投与する。投薬量は体の表面積あたりで計算してもよく、例えばヒト患者の場合、約2mg/m〜約150mg/mの量で本発明の組成物を投与することが、あるいは、かかる量のSN38の投与量を供給するのが好ましい。より好ましくは、約2または約2.5mg/mと約125mg/mとの間(例えば約2.5mg/mと約30mg/mの間(例えば、約2.5mg/m、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/mもしくは約25mg/m))の組成物を患者に投与するか、あるいは、かかる投薬量のSN38を患者に供給するような量の組成物を患者に投与する。また、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/mまたは約100mg/mの投薬量もまた適切である。しかし、上記した投薬量を外れる必要がある場合もあり、特に、治療を受ける対象の性質や体重、病気の性質や重篤度、調製の性質、医薬品もしくはその他の化学療法剤が投与されるかどうか、および投与が行われる時間もしくは間隔に応じてそうする必要が生じる。よって、上述した活性化合物の量より少なくてよい場合もあれば、一方で、上述した活性化合物の量を超過しなくてはならない場合もある。
ヒト患者の場合、好ましい投薬計画は、約30または約180分からの間(例えば、約60と約120分の間、より好ましくは約90分間)、組成物を投与することを包含する。その他の投薬計画およびSN38の投与方法は、当業者により、利用可能な方法によって決められる。適切な量とは、実験に基づく研究において決められた、過剰な毒性を有さない、医薬的に有効な量のことである。
カルジオリピン含有組成物の顕著な利点は、カルジオリピン含有組成物が、SN38に曝した癌細胞において、多剤耐性を調節する方法を提供することである。とりわけ、本発明の組成物は、SN38での化学療法に曝した癌細胞がそれに対する耐性を生じる傾向を抑え、また癌細胞がタキソールまたはドキソルビシンといったその他の治療剤に対する耐性を生じる傾向を抑える。よって、SN38複合体(例えば、リポソームSN38組成物)以外のその他の剤(例えば、第2治療剤)が、SN38複合体との組み合わせで本発明の治療に有利に使用される。適切な付加的な第2治療剤としては、例えば、抗腫瘍剤(例えば、シスプラチン、タキソール、ドキソルビシン、ビンカアルカロイド、およびテモゾロマイド)、抗真菌剤、抗生物質、抗ウイルス剤、代謝拮抗剤、イムノモデレーター(imunomodelators)、およびその他の第2活性剤が挙げられる。その他の第2剤の中で好ましい第2活性剤としては、例えば、ゴナドトロピン放出ホルモン、抗エストロゲン、抗アンドロゲン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、パクリタキセル、ドセタキセル(docetexl)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデスチン(vindestine)およびビノレルビンなどのビンカアルカロイド、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、シタラビン、テモゾロマイド、ロイプロリド、シクロホスファミド、エトポシド、およびタモキシフェンが挙げられる。
本発明を記載してきたが、次は、いくつかの実施例について述べる。これらは単なる例示目的のものであり、本発明を制限するものではない。
実施例1
SN38(3μモル)を3μモルのカルジオリピンを含有するクロロフォルム中に溶解し得る。この混合物へ、ヘキサンに溶解した14μモルのホスファチジルコリンおよびクロロフォルムに溶解した10μモルのコレステロールを加えてもよい。混合物を穏やかに攪拌し、溶媒を真空下で30℃未満にて蒸発させ、脂質と薬剤の薄い乾燥フィルムを形成する。次いで、2.5mLの生理食塩水を加え、成分を渦動によって積極的に混合することによって、リポソームを形成し得る。その後、フラスコを渦動して多重膜リポソームを提供し得る。またオプションとして、ソニケータで超音波処理して小さな単膜リポソームを提供することもできる。SN38封入の効率は、対象リポソームのアリコートを適切な水性溶媒中で一晩透析することにより、あるいは、対象リポソームのアリコートを200,000×gで4℃にて2時間遠心分離することにより、決めることができる。その後、リポソーム画分をメタノールに溶解し、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)(例えば、逆相HPLC)を用いる通常の方法によって分析する。通常、SN38のリポソームへの封入効率は最初の投入用量の80〜95%の間となるだろう。
実施例2
量の薬剤および脂質の量を変えて、同じような実験条件が用いられうる。例えば、6μMのSN38、6μMのカルジオリピン、28μMのホスファチジルコリンおよび20μMのコレステロールといった濃度が、それらを適切な溶媒に溶解し、溶媒を蒸発させ、乾燥した脂質/薬剤フィルムを適切な水性溶媒(例えば5mLの7%トレハロース−生理食塩水液)に拡散させることによって用いられうる。リポソームの水和は混合物を渦動および/または超音波処理することによって促進できる。リポソームを所望によりその後透析し、SN38がリポソーム中に封入された割合を上述のようにして測る。一般的には、SN38封入は約75%を超え、通常、HPLCによって測定すると約85%〜95%の間を越える。
実施例3
SN38を、3μMの薬剤、15μMのジパルミトイルホスファチジルコリン、1μMのカルジオリピンおよび9μMのコレステロールを容積2.5mLで用いることによって、リポソームに封入する。薬剤と脂質の混合物を真空下で蒸発し、同じ容積の生理食塩水に再懸濁する。その後の過程は上述した方法と同様である。SN38封入効率は、この系においては通常75%を越える。
実施例4
本実施例では、2μMのSN38、2μMのホスファチジルセリン、11μMのホスファチジルコリン、2μMのカルジオリピン、および7μMのコレステロールを含有するリポソームを、実施例1に記載の方法で調製した。このリポソームは75%を越えるSN38封入効率であると考えられる。
実施例5
本実施例では、2mg/mLを越えるSN38を溶液中に含有するリポソームを例示する。
約0.2gのD−α−トコフェロール コハク酸エステルを、約35〜40℃に暖めた約1kgのt−ブチルアルコールに加えることによって、脂質フィルムを調製する。溶液をトコフェロールが溶解するまで約5分間混合する。約6.0gのテトラミリストイルカルジオリピンを溶液に加え、溶液を約5分間混合する。約10gのコレステロールを溶液に加え、溶液を約5分間混合する、その後、約30gの卵ホスファチジルコリンを加えもう5分間混合する。約11グラムの得られた脂質溶液を凍結乾燥し、脂質フィルムを生成する。
リポソームSN38を調製するために、SN38の4mg/mL溶液を、薬剤を8と10の間のpHを有するアルカリ性水溶液に溶解することによって調製する。約15mLのこのSN38溶液を脂質フィルムを含有するバイアルに加える。バイアルを穏やかにかき混ぜ、室温で30分間水和させ、2分間激しく渦動させ、浴槽タイプのソニケータの最大強度で10分間超音波処理する。リポソーム溶液のpHを酸性pHへ下げる。この方法を用いれば、90重量%を越えるSN38が脂質と、リポソームの形態で複合体を形成する。
実施例6
脂質、DOPC、コレステロールおよび適当な割合のカルジオリピン、およびトコフェリル酸コハク酸エステルをジクロロメタンに溶解し、続いて真空下で乾燥した。乾燥した脂質フィルムを、SN38の10%スクロースの0.1N水酸化ナトリウム(pH>9)溶液中に再水和する。脂質拡散を、窒素下で、0.2μMおよび0.1μMのポリカーボネートフィルターを通して押し出し、次いで凍結乾燥してLE−SN38ケーキを産出した。凍結乾燥したケーキを10mMの乳酸緩衝液(pH2.0)で水和して、SN38(開いたラクトン環、不活性形態)を薬剤の活性形態へ変換し、それを脂質二重層へ移動させた。再構成したLE−SN38のバッチの分析は、超遠心分離およびHPLC法によって99.8%の薬剤の取り込み、標準生理食塩水中の希釈における安定した取り込み、および150nmの平均小胞サイズを示した。
実施例7
脂質をエタノールに溶解した。脂質アルコール混合物を次いでpH8〜10でSN38/スクロース溶液に拡散した。その後、大容量のリポソームSN38を0.2μMおよび0.1μMのポリカーボネートフィルターを通して押し出した。サイズを下げた後、産生物を次いで真空下で40℃に加熱し有機溶媒を蒸発させ、次いで0.22μMフィルターを通して滅菌ろ過し、凍結乾燥した。薬剤取り込み効率はHPLC法による測定で>95%であった。
実施例8
LE−SN38の、再構成後72時間までの物理的および化学的安定性をモニターする調査を行った。本調査の目的は、再構成後72時間の25℃での、SN38取り込み効率、SN38濃度、リポソーム粒子サイズ、並びにpHを調べることである。
Figure 2006513984
表1に見られるように、安定性調査の間、25℃におけるSN38の濃度に変化は見られない。同様に初期SN38濃度の%も、どの時点においても実質的に100%である。さらに、SN38取り込みの割合は25℃における72時間の調査の間中ずっと95%を超えたままであった。初期時点で再構成されたLE−SN38の平均小胞直径は、258.8nmであることが観察される。再構成後72時間では、粒子サイズにおいてもpHにおいても劇的な変化はなかった。これらの結果は、本発明の組成物が少なくとも約72時間までは安定であることを示している。
実施例9
LE−SN38の、再構成して、標準生理食塩水で希釈後24時間までの物理的および化学的安定性をモニターする調査を行った。本調査の目的は、25℃での、時間に応じた、粒子サイズ、SN38取り込み効率、SN38濃度、並びにpHを調べることである。
Figure 2006513984
表2に見られるように、安定性調査の間、25℃におけるSN38の濃度に顕著な変化は見られない。SN38取り込みの割合は25℃における24時間の調査の間中ずっと95%を超えたままであった。25℃における24時間の調査では、粒子サイズにおいてもpHにおいても劇的な変化はなかった。これらの結果は、本発明の組成物が少なくとも約24時間までは安定であることを示している。
実施例10
凍結乾燥されたLE−SN38の、12ヶ月までの物理的および化学的安定性をモニターする長期安定性調査を行った。本調査の目的は、25℃での、時間に応じた、外観、粒子サイズ、SN38取り込み効率、SN38濃度、並びにpHを調べることである。
Figure 2006513984
Figure 2006513984
表3および4に見られるように、凍結乾燥されたLE−SN38は12ヶ月まで安定である。12ヶ月までのSN38濃度、pH、薬剤取り込みおよび粒子サイズに、顕著な変化はない。
実施例11
LE−SN38のインビトロ細胞毒性調査
癌細胞系におけるリポソームSN38(LE−SN38)およびCPT−11のインビトロ細胞毒性を、スルホローダミンB(SRB)アッセイ(Monks, J Natl Cancer Inst, 83, 757-766 (1991))を用いて調べた。ヒト結腸癌(HT29)、ヒト肺癌(A549)、ヒト乳癌(MX−1)、ヒト卵巣癌(OVCAR−3)、ヒト膵臓癌(Capan−1)、マウス白血病(P388)、マウスアドリアマイシン耐性白血病(P388/ADR)およびルイス肺カルシノーマ(LLC)を含む、全部で8つの癌細胞系が本調査に含まれる。GI50値を、50%の成長阻害を与えるLE−SN38またはCPT−11の濃度として計算した。
調査により、調べた8つの細胞系すべてがLE−SN38に対し感受性があることが示された(GI50値0.1μM未満)。これらの結果は、以前に報告された、DMSOに溶解された遊離SN38のデータ(Lavelle et al., Semin Oncol, 23; 1 Suppl 3, 11-20(1996));Cavaletti et al., Toxicol Lett, 118, 103-107(2000))に匹敵する。これは、細胞培養においてLE−SN38をインキュベートしている期間中に、SN38がリポソームから放出され、細胞成長を阻害していることを示唆している。結果により、LE−SN38がすべての腫瘍細胞系に対し、CPT−11より約200〜2000倍以上毒性があることが示された。
実施例12
CD2F1マウスにおける、LE−SN38の複数回投与の毒性調査
CD2F1マウス(オスとメス)をHarlen Sprague Dawley Laboratories(Indianapolis, IN)から得た。調査の1日目におけるマウスの平均体重は、メスで16〜22g、オスで20〜27gであり、6〜7週齢であった。マウスは実験の前にそれぞれ個々の体重を量った。1〜5日目に、動物にLE−SN38、またはプラセボリポソームを、5、7.5および10mg/kg投与レベルで尾静脈を介して静脈内注射した。すべての動物の死亡率および臨床的兆候を調査期間中、1日に1回観察した。臨床的兆候および25%以上の体重の低下が認められるような毒性を示した動物は、瀕死とみなし直ちに安楽死させた。
CD2F1マウスにおける、LE−SN38の複数回投与の毒性調査の結果により、5および7.5mg/kg投与群(5および7.5mg/kg×5日)においては平均体重減少が5.2%からであり、10mg/kg投与群(10mg/kg×5日)においては平均体重減少が15.7%からであることが示唆された。しかしながら、LE−SN38処置したすべての群において、体重減少は処置後17日目までに回復した。すべての群において、動物はLE−SN38の注射後1〜5日目には正常に動いていた。6〜12日目には、5および7.5mg/kgで5日間処置した動物もまた正常であったに対し、10mg/kgで5日間処置した動物は、猫背の姿勢、荒れた外皮、脱水および運動の低下が認められるような臨床的兆候を示した。しかし、注射後14〜18日目には、すべての群におけるすべての動物が回復した。全般に、LE−SN38はマウスにおいて、調査したすべての投与レベルで耐容性がよかった。これは非毒性の脂質をリポソームを形成するのに使用したためであり、これによりSN38の毒性が緩衝されたのである。リポソーム中における薬剤の保持が、SN38分子が正常細胞と直接作用する傾向を抑え、したがって、遊離SN38に関する全体の毒性が弱められた。
実施例13
CD2F1マウスにおける、LE−SN38の大量投与および複数回投与の毒性:30日生存率
CD2F1マウス(5〜8週齢)をHarlen Sprague Dawley Laboratories(Indianapolis, IN)から得た。動物を、動物療養所の温度および湿度を調節した部屋において、12時間明/暗サイクルにして、ケージ中で飼った。マウスには自由に8656HTローデント飼料(Rodent Diet)(Harlan Teklad, Madison, WI)が与えられた。大量投与毒性調査では、マウスにLE−SN38を23、28、37、46および65mg/kgの投与量で静脈内(IV)投与した(1時間間隔をあけて1日に2回尾静脈に注射)。複数回投与毒性調査では、マウスにLE−SN38(IV×5日、1日1回)を5.0、7.5および10mg/kgの投与量で投与した。動物における毒性の臨床的兆候、死亡率および体重変化を30日まで観察した。
大量投与毒性の調査により、オスおよびメスのマウスでそれぞれLE−SN38の最大耐容性投与量(MTD)が37および46mg/kgであることが示唆された。複数回投与毒性調査におけるLE−SN38のMTDはオスおよびメスのマウスでそれぞれ5および7.5mg/kgであることがわかった。耐容性投与量では、マウスにおける顕著な体重減少は観察されなかった。さらに、コントロールと薬剤処置した群の間に、血液学上のパラメータにおける差異は観察されなかった。これらの実験の結果を表5および6に提示する。
Figure 2006513984
CD2F1マウスにLE−SN38を静脈内投与した(1時間間隔をあけて1日に2回尾静脈に注射)。0mg/投与量としては、最も高い投与量群の脂質量を用いた空のリポソームを用いた。N/A、該当なし。
Figure 2006513984
CD2F1マウスにLE−SN38を(iv、1日1回×5日)、LE−SN38の5.0、7.5および10mg/kg投与量で投与した。0mg/投与量としては、最も高い投与量群の脂質を用いた空のリポソームを用いた。
実施例14
異種移植マウスの腫瘍モデルにおけるLE−SN38およびCPT−11の治療効果
CD2F1マウスのメス(6〜8週齢)あるいはC.B−17SCIDマウスのメス(4〜6週齢)を業者から得て、前述したようにして飼った。CD2F1マウスにはP388ネズミの白血病腫瘍細胞を移植する一方で、SCIDマウスにはHT−29ヒト結腸癌細胞、Capan−1ヒト膵臓癌細胞およびMX−1ヒト乳癌細胞を移植した。適切な待機期間後(待機期間は腫瘍モデルによって異なる)、それぞれのマウスに尾静脈を介した静脈内注射で、プラセボリポソーム、LE−SN38またはCPT−11を所定の投与レベルで与えた。P388を有するマウスでは、それぞれの処置群において長期生存率を調べたのに対し、固形腫瘍を有するマウスでは、異なる投与レベルでのプラセボリポソーム、LE−SN38またはCPT−11の腫瘍成長阻害を処置後28日目に測った。
マウスにおける異なった腫瘍に対するLE−SN38またはCPT−11の治療効果を表7にまとめる。CPT−11を4、8および16mg/kgの投与レベルで5日間連続投与したP388腫瘍を有するマウスでは、平均生存時間はそれぞれ16、20および22日間で、長期生存はなかった。16mg/kgのCPT−11を投与したマウスでは、約22%の長期生存(60日間)が観察された。それに対し、マウスにLE−SN38を2.76mg/kgおよび5.52mg/kgの投与量で5日間連続与えた場合、それぞれの投与レベルで60%および100%の長期生存(60日間)が観察された。これらのLE−SN38投与レベルでは、下痢、猫背の姿勢、汚れた毛皮および脱毛、または体重減少などの臨床的兆候はなかった。明らかに、LE−SN38はプロドラッグCPT−11よりも、P388ネズミ白血病腫瘍に対し顕著な治療効果を見せた。
HT−29ヒト結腸腫瘍を有するマウスにLE−SN38を2、4および8mg/kgの投与量で与えた場合、LE−SN38はヒト結腸癌成長を処置後28日目にそれぞれ46、70および80%阻害した。しかし、マウスにCPT−11を同じ投与レベルで処置した場合、一番高い投与レベル(8mg/kg)でたった36%の阻害しか観察されなかった。2および4mg/kg投与レベルでは、CPT−11は腫瘍成長に対し何の阻害も示さなかった。明らかに、LE−SN38は同じ投与レベルのプロドラッグCPT−11より、マウスにおけるHT−29に誘発された腫瘍に対し、より優れた阻害を見せた。
その上、LE−SN38はLE−SN38で処置した動物群においてCPT−11で処置した群よりも、Capan−1ヒト膵臓腫瘍成長に対してより優れた成長阻害を見せた(表7)。SCID異所的モデルにおいて、LE−SN38のヒト膵臓腫瘍に対する抗腫瘍効果がCPT−11よりも優れていることが実証された。さらに、LE−SN38が、SCIDマウスにおいて、MX−1ヒト固形乳腫瘍の投与量依存的な腫瘍退化を誘導することがわかった。マウスが4および8mg/kg投与レベルのLE−SN38で処置した場合、腫瘍はそれぞれ43.9%および87.8%に退化した。しかし、マウスに8mg/kg投与レベルのCPT−11を与えた場合は、腫瘍サイズの顕著な減少は観察されなかった。
リポソームを静脈内投与すると、血管の外側に蓄積し、腫瘍部位の場合のように、漏れやすい血管系を示すようになることが知られている。この蓄積の度合いにより、前駆体CPT−11よりも数段優れた、SN38の組織特異的な送達がもたらされ得る。この薬剤の治療活性部位への受動的な送達は、CPT−11よりSN38の効果が優れているためと考えられる。またリポソームもSN38を構造的変化および/または化学的劣化から保護する。この活性分子の保護は、バイオアベイラビリティの顕著な上昇をもたらすことがあり、その結果、薬剤の効き目および効果が増強される。つまり、LE−SN38の抗腫瘍効果は同じ投与レベルのCPT−11の効果よりもはるかに優れている。
Figure 2006513984
実施例15
SN38リポソーム複合体を以下の方法を用いて調製した:脂質をカルジオリピンと混合した。混合した粉末脂質を丸底フラスコ中でクロロフォルムに溶解した。澄明な溶液をブチ(Buchi)ロータリー・エバポレーターに30℃にて30分間置いて、薄いフィルムを製造した。薄い脂質膜を含有するフラスコを真空下で30分間乾燥した。フィルムをスクロースを含有するSN38アルカリ性溶液中に水和した。水和した脂質フィルムを50℃で回転させた。フラスコ中の混合物を渦動し、混合した。引き続き、混合物を800nm、400nm、200nmおよび100nmとサイズを減らしたフィルターを通して押し出した。次いでSN38リポソーム複合体を真空下で凍結乾燥した。得られた脱水複合体は2〜8℃で少なくとも12ヶ月保存できる。投与の前に、酸性緩衝液を加えることによりSN38を活性化できる。
実施例16
本実施例は、進行癌を有する患者の治療における、本発明のリポソームSN38(LE−SN38)製剤の使用を例示する。
本調査は、リポソームSN38の最大耐容性投与量および毒性を制限する投与量を調べ、LE−SN38投与後のSN38のファーマコキネティックスを決め、そしてLE−SN38の抗腫瘍効果を観察するために行われた。
LE−SN38を5mLの10mM乳酸緩衝液で再構成することによって調製した。LE−SN38は2〜8℃もしくは室温(20〜25℃)に冷蔵して8時間まで安定であった。標準生理食塩水で希釈後、LE−SN38を21日サイクルの1日目に90分かけて静脈内投与した。第1サイクルは、投与前、注入開始後15および45分、注入の終了時;注入後5、15および30分;1、2、3、4、6、8、12および24時間後;2、4、7、14および21日後からなるものであった。
本調査に関わった患者は、従来の治療法では治らなかった進行固形癌を有する人たちであった。彼らを遺伝子型によって3つの層に分けた。
A層:UGT1A1 wt対立遺伝子(同型接合)を有する患者
B層:UGT1A128対立遺伝子(異型接合)を有する患者
C層:UGT1A128対立遺伝子(同型接合)を有する患者
2.5mg/m、5mg/m、並びに10mg/mおよび20mg/mの投与量を本調査で用いた。LE−SN38の投与レベルは、A層の患者で耐容性を示さなければ、B層の患者にその投与レベルを投与してはならない。また、B層の患者で耐容性を示さなければ、C層の患者にその投与レベルで投与してはならない。各層は、3〜6患者/群/層の間であった。血漿中のSN38濃度および血漿中のSN38−グルクロニド濃度の合計をそれぞれの患者で調べた。
本調査により、LE−SN38を20mg/mでA層の患者に与えると耐容性がよく、B層の患者の第1群に与える場合は低い投与量だとLE−SN38の耐容性がよかったことが観察された。本調査では、SN38のファーマコキネティックスは2.5〜10mg/mの投与量に比例することが観察された。また、2.5mg/mのLE−SN38を与えたA層とB層の癌患者の、SN38のファーマコキネティックスにおいて差異は観察されなかった。
A層の進行癌を有する患者に、LE−SN38を2.5、5および10mg/mでIV注入した後の、SN38のファーマコキネティックパラメータに関するデータを、表8に提示する。B層の進行癌を有する患者に、LE−SN38を2.5mg/mでIV注入した後の、SN38のファーマコキネティックパラメータに関するデータを、表9に提示する。LE−SN38投与後の、SN38の平均最大プラズマ濃度(Cmax)および濃度曲線下面積(AUC0−inf)に関するデータを、表10に提示する。CPT−11について報告されている数値は刊行物から引用した。図1は、A層の進行癌を有する患者に、LE−SN38を2.5、5および10mg/mで注入した後の、SN38の平均(SD)プラズマ濃度を計算した値を提示したグラフである。図2は、A層およびB層の進行癌を有する患者にLE−SN38を2.5mg/mで注入し、その後4日間のSN38のプラズマ濃度に関するデータを提示したグラフである。
Figure 2006513984
Figure 2006513984
Figure 2006513984
本明細書中で引用された刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、それぞれの参考文献が参照により、一つ一つ具体的に援用されることが示され、本明細書にその参考文献の全体が記述されているのと同程度まで、参照によって本明細書中に援用されるものとする。
本明細書に他に記述がないか又は文脈に明らかに矛盾していない限り、本発明を表す文脈における用語「a」、「an」、「the」および類似表現の使用は(特に請求の範囲中の文脈において)、単数および複数の両方を包含していると解釈されるものとする。他に注釈がなければ、用語「含有する(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含有する(containing)」は制限のない用語(つまり、「含むがそれに制限されない」という意味)として解釈されるものとする。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書に他に記述がない限り、範囲内に含まれるそれぞれ個々の値を個別に言及する簡略な方法として働くことを単に意図されたもので、それぞれ個々の値は個別に本明細書中に記述されたものの如く本明細書中に包含される。本明細書中他に記述がないか、又は文脈に明らかに矛盾していない限り、本明細書中に記載した全ての方法はどんな適当な順序でも行われうる。本明細書中に出されたいずれのそして全ての実施例、又は例示的な言葉(例えば「〜のような(such as)」)の使用は、単に発明をより明快にするよう意図したものであり、他に主張がない限り、本発明の範囲に制限をもたらすようなものではない。明細書中のどの言葉も、未請求の要素を本発明の実施に必須であると示唆していると解釈されるべきではない。
本発明の好ましい実施態様を本明細書に記載し、それには本発明者らが知る本発明を実施するための最良の態様が含まれている。それらの好ましい実施態様の改変は、前述の説明を読むことによって当業者に明らかになるだろう。本発明者らは当業者がそのような改変を適切に使用することを予期し、さらに本発明がここに具体的に記載した以外の方法で実施されることを意図している。したがって本発明は、適用法で許可されている通り、ここに添付する特許請求の範囲において言及した主題の全ての変更や等価物を含む。さらには、本明細書中に他に記述がないか、又は文脈に明らかに矛盾していない限り、上述の要素のいかなる組み合わせもそれらの全ての可能な改変において、本発明によって包含されている。
図1は、A層の進行癌を有する患者に、LE−SN38を2.5、5および10mg/mで注入した後の、SN38の平均(SD)プラズマ濃度を計算した値を提示したグラフである。 図2は、A層およびB層の進行癌を有する患者にLE−SN38を2.5mg/mで注入し、その後4日間のSN38のプラズマ濃度に関するデータを提示したグラフである。

Claims (104)

  1. ウイルス感染を治療する方法であって、ウイルス感染を有する患者にSN38またはSN38と平衡状態にある化学物質および脂質を含有する複合体を含有する組成物を、患者のウイルス感染を治療するために患者に充分な量で投与することを含む方法。
  2. 方法が患者のウイルス量を減少させる、請求項1に記載の方法。
  3. ウイルス感染が、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、乳頭腫ウイルス、ポックスウイルス、SARSウイルス、および免疫不全ウイルスからなる群より選ばれるウイルスによる感染である、請求項1に記載の方法。
  4. ウイルスがHIVウイルスである、請求項3に記載の方法。
  5. 患者における膵臓癌を治療する方法であって、膵臓癌を有する患者にSN38またはSN38と平衡状態にある化学物質および脂質を含有する複合体を患者に、患者のウイルス感染を治療するために患者に充分な量で投与することを含む方法。
  6. 野生型UGTA1対立遺伝子が同型接合であるか、またはUGTA128対立遺伝子を少なくとも1コピー有する患者における、真核細胞を増殖することによって引き起こされる疾患を治療する方法であって、SN38またはSN38と平衡状態にある化学物質および脂質を含有する複合体を含有する組成物を、患者がUGTA1対立遺伝子を少なくとも1コピー有する場合において、患者において真核細胞を増殖することによって引き起こされる疾患を治療するために、患者に充分な量で投与することを含む方法。
  7. 疾患が癌である、請求項6に記載の方法。
  8. 癌が、肺癌;乳癌;精巣癌;卵巣癌;結腸、直腸、膵臓、および胃癌、肝細胞癌を含む胃腸癌;頭および首の癌;前立腺癌;腎細胞癌;腺癌;肉腫;リンパ腫;白血病および菌状息肉腫;黒色腫;重度の神経膠腫;神経膠芽腫または脳腫瘍である、請求項7に記載の方法。
  9. 受容者がヒトである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. SN38またはSN38と平衡状態にある化学物質から選ばれる化合物と脂質とを含有する組成物をヒト患者に投与する方法であって、組成物が約30〜約180分の期間投与される方法。
  11. 注入の期間が約60〜約120分である、請求項10に記載の方法。
  12. 注入の期間が約90分である、請求項10に記載の方法。
  13. 薬物が腫瘍に直接投与される、請求項5〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 薬物が皮膚に投与される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  15. 薬物が静脈に投与される、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
  16. SN38が投薬量約0.1mg/kg〜約2mg/kgで送達されるように、組成物が投与される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. SN38が投薬量約0.5mg/kg〜約1mg/kgで送達されるように、組成物が投与される、請求項16に記載の方法。
  18. SN38が投薬量約0.5mg/kg〜約2mg/kgで送達されるように、組成物が投与される、請求項16に記載の方法。
  19. SN38が投薬量約2mg/m〜約125mg/mで送達されるように、組成物が投与される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  20. SN38が投薬量約2.5mg/m〜約30mg/mで送達されるように、組成物が投与される、請求項19に記載の方法。
  21. SN−30が投薬量約2.5mg/m、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、または約30mg/mで送達されるように、組成物が投与される、請求項20に記載の方法。
  22. 組成物がリポソームを含有する、請求項1〜21のいずれかに記載の方法。
  23. SN38またはSN38と平衡状態にある化学物質から選ばれる化合物、脂質を含有するリポソーム、および酸性緩衝液を含有するリポソームの組成物であって、当該組成物が約3.5未満のpHを有する組成物。
  24. 組成物が約1.5〜約3の間のpHを有する、請求項23に記載の組成物。
  25. SN38またはSN38と平衡状態にある化学物質から選ばれる化合物、脂質を含有するリポソーム、および水溶液を含有するリポソームの組成物であって、当該組成物が約72時間安定である組成物。
  26. 少なくとも約80%の化合物がリポソームに取り込まれている、請求項23〜25のいずれかに記載の組成物。
  27. 少なくとも約85%の化合物がリポソームに取り込まれている、請求項23〜25のいずれかに記載の組成物。
  28. 少なくとも約90%の化合物がリポソームに取り込まれている、請求項23〜25のいずれかに記載の組成物。
  29. 少なくとも約95%の化合物がリポソームに取り込まれている、請求項23〜25のいずれかに記載の組成物。
  30. 化合物がSN38である、請求項23〜29のいずれかに記載の組成物。
  31. 脂質がカルジオリピンを含有する、請求項23〜30のいずれかに記載の組成物。
  32. カルジオリピンが天然カルジオリピン、合成カルジオリピンおよび化学的に修飾されたカルジオリピンからなる群より選ばれる、請求項31に記載の組成物。
  33. 脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、ステロール、トコフェロール、脂肪酸、カルジオリピン、ガングリオシドGM1およびポリマー修飾された脂質(例えばPEG修飾された脂質)、およびそれらの混合物からなる脂質の群より選ばれる少なくとも1つの脂質を含有する、請求項23〜32のいずれかに記載の組成物。
  34. 脂質がホスファチジルコリン、ステロールおよびトコフェロールを含有する、請求項23〜32のいずれかに記載の組成物。
  35. 脂質が、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロール、またはそれらの混合物からなる群より選ばれるホスファチジルグリセロールを含有する、請求項23〜32のいずれかに記載の組成物。
  36. 脂質が、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素化大豆ホスファチジルコリン、およびそれらの混合物からなる群より選ばれるホスファチジルコリンを含有する、請求項23〜32のいずれかに記載の組成物。
  37. 脂質が、コレステロール、コレステロールのポリエチレングリコール誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、コレスタン、コレステロールヘミスクシナート、コレステロール硫酸、およびそれらの混合物からなる群より選ばれるステロールを含有する、請求項23〜32のいずれかに記載の組成物。
  38. 化合物の約80重量%以上が脂質部分との複合体中にある、請求項23〜37のいずれかに記載の組成物。
  39. 化合物の約90重量%以上が脂質部分との複合体中にある、請求項23〜37のいずれかに記載の組成物。
  40. 組成物における化合物の濃度が約0.1以上〜約20mg/mLである、請求項23〜39のいずれかに記載の組成物。
  41. 化合物の濃度が約0.01以上〜約5mg/mLである、請求項23〜39のいずれかに記載の組成物。
  42. 化合物の濃度が約0.1以上〜約4mg/mLである、請求項23〜39のいずれかに記載の組成物。
  43. 化合物の濃度が約0.5以上〜約3mg/mLである、請求項23〜39のいずれかに記載の組成物。
  44. 化合物の濃度が約0.8以上〜約2mg/mLである、請求項23〜39のいずれかに記載の組成物。
  45. 化合物の濃度が約1以上〜約1.5mg/mLである、請求項23〜39のいずれかに記載の組成物。
  46. 複合体またはリポソームが、約1ミクロン以下の直径を有する、請求項23〜45のいずれかに記載の組成物。
  47. 複合体またはリポソームが、約500nm以下の直径を有する、請求項23〜45のいずれかに記載の組成物。
  48. 複合体またはリポソームが、約200nm以下の直径を有する、請求項23〜45のいずれかに記載の組成物。
  49. 複合体またはリポソームが、約100nm以下の直径を有する、請求項23〜45のいずれかに記載の組成物。
  50. さらに医薬的に許容される賦形剤を含む、請求項23〜49のいずれかに記載の組成物。
  51. さらに標的剤を含む、請求項23〜50のいずれかに記載の組成物。
  52. 標的剤がタンパク質である、請求項51に記載の組成物。
  53. タンパク質が抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ペプチドホルモン、受容体リガンド、およびそれらの混合物からなるタンパク質群より選ばれる、請求項52に記載の組成物。
  54. 標的剤が炭水化物である、請求項51に記載の組成物。
  55. SN38またはSN38と平衡状態にある化学物質から選ばれる化合物を含有する脂質組成物を形成する方法であって、脂質相を形成すること、およびその後で化合物を含む第1水溶液で脂質相を水和して化合物を含む脂質組成物を形成すること、さらにその後で化合物を含む脂質組成物のpHを約3.5未満のpHに下げることを含む方法。
  56. 脂質相が有機溶媒中で形成される、請求項55に記載の方法。
  57. 第1水溶液がアルカリ性pHを有する、請求項55または56に記載の方法。
  58. 第1水溶液のpHが約7と約11の間である、請求項55に記載の方法。
  59. 第1水溶液のpHが約8と約10の間である、請求項55に記載の方法。
  60. 水和の工程が激しい混合下で行われる、請求項55〜59のいずれかに記載の方法。
  61. 化合物を含む脂質組成物のpHが約1.5〜約3の間に下げられる、請求項55〜59のいずれかに記載の方法。
  62. さらに脂質組成物をろ過することを包含する、請求項55〜61のいずれかに記載の方法。
  63. ろ過が組成物のpHを下げる前に行われる、請求項62に記載の方法。
  64. ろ過が約5ミクロン以下のフィルターを通して行われる、請求項62または63に記載の方法。
  65. ろ過が約1ミクロン以下のフィルターを通して行われる、請求項62または63に記載の方法。
  66. ろ過が約500nm以下のフィルターを通して行われる、請求項62または63に記載の方法。
  67. ろ過が約200nm以下のフィルターを通して行われる、請求項62または63に記載の方法。
  68. ろ過が約100nm以下のフィルターを通して行われる、請求項62または63に記載の方法。
  69. さらに脂質組成物を脱水して乾燥脂質組成物を形成することを含む、請求項55〜68のいずれかに記載の方法。
  70. 乾燥が組成物のpHを下げる前に行われる、請求項69に記載の方法。
  71. さらに保護糖を脂質組成物に加えることを含む、請求項69または70に記載の方法。
  72. 糖が二糖類の糖である、請求項71に記載の方法。
  73. 糖がトレハロース、マルトース、スクロース、グルコース、ラクトース、またはデキストランである、請求項71に記載の方法。
  74. 糖がアミノグリコシドである、請求項71に記載の方法。
  75. 糖がストレプトマイシンまたはジヒドロキシストレプトマイシンである、請求項74に記載の方法。
  76. さらに乾燥脂質組成物を極性溶媒に再懸濁することを含む、請求項69〜75のいずれかに記載の方法。
  77. 極性溶媒が約3.5未満の酸性pHの水溶液である、請求項76に記載の方法。
  78. 組成物のpHの低下に影響する、請求項76または77に記載の方法。
  79. SN38複合体を製造する方法であって、リポソームおよびSN38またはSN38と平衡状態にある化合物を含有する凍結乾燥された複合体を製剤すること、かかる凍結乾燥された複合体を水溶液に溶解すること、およびSN38が水溶液中で活性化しSN38を放出するようにリポソームを活性剤と接触させることを含む方法。
  80. 可溶化剤がSN38の可溶性を上げるために使用される、請求項79に記載の方法。
  81. 可溶化剤がアルカリ性緩衝液である、請求項80に記載の方法。
  82. アルカリ性緩衝液が、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、重リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、トリス(ヒドロキシ−メチル)アミノメタン、または安息香酸ナトリウムである、請求項81に記載の方法。
  83. 1つ以上の医薬的に許容される賦形剤がSN38複合体リポソームの貯蔵寿命を高めるために使用される、請求項79に記載の方法。
  84. 賦形剤の少なくとも1つが保護糖である、請求項83に記載の方法。
  85. リポソームにSN38またはSN38と平衡状態にある化合物を包含させる方法であって、以下の工程:
    ・ リポソームを含む調製物を調製すること;
    ・ リポソーム調製物を脱水すること;
    ・ 脱水された調製物を再水和すること;
    ・ 再水和された調製物においてリポソーム周辺の外部の媒体を、イオン濃度勾配を生み出して、荷電物質をリポソームに包含させる配向を有する膜貫通電位差を生成することが可能な媒体と置換すること;および
    ・ 置換された外部媒体中でSN38をリポソームと混合することを含む方法。
  86. 活性剤がSN38を活性化するために使用される、請求項85に記載の方法。
  87. 活性剤が酸性緩衝液である、請求項79または86に記載の方法。
  88. 酸性緩衝液が約3.5以下のpHを有する、請求項87に記載の方法。
  89. 酸性緩衝液が約1.5と約3の間のpHを有する、請求項87に記載の方法。
  90. 酸性緩衝液が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、乳酸、酢酸ナトリウム、酢酸、アスコルビン酸、酒石酸ナトリウム、酒石酸、コハク酸ナトリウム、コハク酸、アスパラギン酸、塩酸、メレイン酸(meleic acid)、カルボン酸ナトリウム、硫酸または硫酸ナトリウムである、請求項87に記載の方法。
  91. 工程(a)のリポソーム調製物が1つ以上の保護糖を含む、請求項85に記載の方法。
  92. 糖がトレハロース、マルトース、スクロース、グルコース、ラクトース、およびデキストランからなる群より選ばれる、請求項84または91に記載の方法。
  93. 糖がトレハロースである、請求項92に記載の方法。
  94. 糖がスクロースである、請求項92に記載の方法。
  95. 1つ以上の保護糖がアミノグリコシドである、請求項91に記載の方法。
  96. 糖がストレプトマイシンである、請求項95に記載の方法。
  97. 糖がジヒドロストレプトマイシンである、請求項95に記載の方法。
  98. リポソームがカルジオリピンを含有する、請求項79〜97のいずれかに記載の方法。
  99. カルジオリピンが天然カルジオリピン、合成カルジオリピンおよび化学的に修飾されたカルジオリピンからなる群より選ばれる、請求項98に記載の方法。
  100. リポソームが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、ステロール、トコフェロール、脂肪酸、カルジオリピンおよびそれらの混合物からなる脂質の群より選ばれる少なくとも1つの脂質を含有する、請求項97〜99のいずれかに記載の方法。
  101. リポソームがホスファチジルコリン、ステロールおよびトコフェロールを含有する、請求項97〜99のいずれかに記載の方法。
  102. 脂質相97〜99、リポソームが、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジアラキドノイルホスファチジルグリセロール、またはそれらの混合物からなる群を含有する、請求項55〜63のいずれかに記載の方法。
  103. リポソームが、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジアラキドノイルホスファチジルコリン、卵ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、水素化大豆ホスファチジルコリン、およびそれらの混合物からなる群より選ばれるホスファチジルコリンを含有する、請求項97〜99のいずれかに記載の方法。
  104. リポソームが、コレステロール、コレステロールのポリエチレングリコール誘導体、コプロスタノール、コレスタノール、、コレスタン、コレステロールヘミスクシナート、コレステロール硫酸、およびそれらの混合物からなる群より選ばれるステロールを含有する、請求項97〜99のいずれかに記載の方法。
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