JP2006324789A - 映像信号処理方法および映像信号処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リニアマトリクス回路から出力される原色信号の信号値が単調増加または略一定になるようにする。
【解決手段】リニアマトリクス回路12の演算処理には、例えば3×3のマトリクスが用いられる。マトリクスの非対角成分は負の値又は対角成分のマトリクス係数に対して小さい値とされる。非対角成分のマトリクス係数にゲインkが乗算される。ゲインkの値は、リニアマトリクス回路12に入力される複数の色信号のうちの何れかの色信号が飽和するまでに0とされる。ゲインkの値が0とされることでマトリクスの非対角成分が0とされ、マトリクス演算処理により得られる、リニアマトリクス回路12の出力である原色信号の信号値が単調増加または略一定となる。
【選択図】図3
【解決手段】リニアマトリクス回路12の演算処理には、例えば3×3のマトリクスが用いられる。マトリクスの非対角成分は負の値又は対角成分のマトリクス係数に対して小さい値とされる。非対角成分のマトリクス係数にゲインkが乗算される。ゲインkの値は、リニアマトリクス回路12に入力される複数の色信号のうちの何れかの色信号が飽和するまでに0とされる。ゲインkの値が0とされることでマトリクスの非対角成分が0とされ、マトリクス演算処理により得られる、リニアマトリクス回路12の出力である原色信号の信号値が単調増加または略一定となる。
【選択図】図3
Description
この発明は、例えば、映像信号処理装置に備えられるリニアマトリクス回路のマトリクス係数を適応的に制御する映像信号処理方法および映像信号処理装置に関する。
近年、撮像素子の画素数増加は目覚しく、撮像素子の解像度は人間の眼で判定できないほどの滑らかな粒状性を持つレベルにまで達している。この状況下で画質に対する要求は、色再現性、ノイズの低減、ダイナミックレンジの拡大へと移行しつつある。この発明は、その中でも特に、色再現性を向上させる手段、装置を提供するものである。
被写体の色を忠実に再現するために、従来からリニアマトリクス回路を用いたリニアマトリクス処理と称される手法が知られている。リニアマトリクス処理では、輝度にリニアな撮像素子の出力信号をマトリクス変換することで原色RGB信号値が生成される。
また撮像装置では、リニアマトリクス処理で生成される原色RGB信号値を使用して撮像装置の光学系に備えられる絞りの制御が行われる。リニアマトリクス処理により作成される原色RGB信号値を検波して明るさを示す信号値を得、この信号値に応じて撮像装置の絞りの開閉が制御され、撮像素子へ入射する光量の調節が行われる。
図6は、3色のRGB(赤、緑、青)カラーフィルタを有する撮像素子の分光特性の一例を示す。また、図7は、人間の視感度特性に合うRGB信号の分光特性(等色関数)を示す。図6および図7における横軸は光の波長を示し、縦軸は相対感度を示す。
図7のR信号の分光特性に着目すると波長500nm付近では、R信号の相対感度は負となっている。対して、撮像素子のR信号の分光特性は図6からも明らかな通り負の領域が存在しない。すなわち、撮像素子の分光感度を負にすることはできず、撮像素子によって理想的な分光特性を実現することは物理的に不可能である。従って、理想的な分光特性としては、正の分光感度を持つ分光特性が使用される。このように、撮像素子の分光特性と理想的な分光特性が異なるときに、リニアマトリクス処理により分光補正が行われる。
式(1)はリニアマトリクス回路による処理の一例である。リニアマトリクス回路による処理では、例えば、3×3(行×列)のマトリクスが用いられて1次の演算処理が行われる。式(1)ではリニアマトリクス回路の入力をRin、Gin、Binと示し、出力をRout、Gout、Boutと示す。
式(1)による演算後もホワイトバランスを保つ必要があるため、マトリクスの各係数(以下、マトリクス係数と称する)は以下の式(2)〜式(4)の関係を満たすように設定される。
a+b+c=1・・・(2)
d+e+f=1・・・(3)
g+h+i=1・・・(4)
a+b+c=1・・・(2)
d+e+f=1・・・(3)
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マトリクス係数には、実験から得られた値や経験から判断した値が固定的に割り当てられる。一般に、3×3のマトリクスでは、対角方向のマトリクス係数(以下、これらを総称して「対角成分」と称する)であるマトリクス係数a、マトリクス係数eおよびマトリクス係数iは正の値とされる。また、対角成分以外のマトリクス係数(以下、これらを総称して「非対角成分」と称する)であるマトリクス係数b、マトリクス係数c、マトリクス係数d、マトリクス係数f、マトリクス係数g、マトリクス係数hは負の値、又は対角成分のマトリクス係数の値と比べて小さい値とされることが多い。
式(5)は、具体的なマトリクス係数が割り当てられたマトリクス回路による処理の一例を示す。対角成分のマトリクス係数には正の値(例えば、1.06や1.20)が設定され、非対角成分のマトリクス係数には負の値(例えば、−0.09や−0.17)、又は対角成分のマトリクス係数に比べて小さい値(例えば、0.03)が設定される。
式(5)に例示したマトリクス係数を用いて演算を行うと、以下の式(6)〜式(8)が得られる。
Rout=1.06Rin−0.09Gin+0.03Bin・・・(6)
Gout=−0.03Rin+1.20Gin−0.17Bin・・・(7)
Bout=−0.01Rin−0.04Gin+1.05Bin・・・(8)
Rout=1.06Rin−0.09Gin+0.03Bin・・・(6)
Gout=−0.03Rin+1.20Gin−0.17Bin・・・(7)
Bout=−0.01Rin−0.04Gin+1.05Bin・・・(8)
また、近年、マトリクス係数を固定値とせずに撮像条件に応じて適応的にマトリクス係数を決定することが提案されており、下記特許文献1にその詳細が記載されている。
ところで、撮像素子に対して入射する光の明るさが一定以上を超えると、撮像素子が飽和する。カラーフィルタを備える撮像素子の場合では、波長に対して画素の感度が異なることに起因してRGBの色信号が飽和する入射光量の値が相違する。RGBの何れの色信号が最も早く飽和するかは光源と被写体の特質によって異なるが、例えば、太陽光などの一般的な光源で白い被写体を撮影した場合は、G信号が最も早く飽和する。また、赤い被写体を撮影すると、R信号が最も早く飽和する。
例えば、G信号が最も早く飽和すると仮定して説明する。入射する光の明るさが増加するにつれリニアマトリクス回路に入力される色信号Ginの信号値は増加し、リニアマトリクス回路の出力である色信号Goutの信号値は式(7)によって単調増加する。しかしながら、色信号Ginが飽和するタイミング(以下、適宜、飽和点と称する)を超えると色信号Ginの信号値は変化しなくなるが、入射する光の明るさが増加することから、飽和点に達していない色信号Rin、色信号Binの信号値は増加する。色信号Rin、色信号Binの係数は負の値であるから、式(7)により得られる色信号Goutの信号値は、色信号Ginの飽和点以降に減少に転じる。
このように、本来、光の明るさの増加によって単調増加するはずの色信号Goutの信号値が飽和点を境として減少してしまうため、式(7)により得られる色信号Goutの信号値が不適切なものとなり、実際に撮影している被写体の色を再現していないばかりか、被写体の色と異なる色を再現してしまうおそれがあった。
また、撮像装置ではリニアマトリクス回路の出力を検波して明るさを示す信号値を得、この信号値に基づいて絞りの開閉を制御し、撮像素子へ入射する光量を制御することが行われる。例えば、明るさを示す信号値が大きければ入射光量が多いことであるから絞りの口径を小さくして撮像素子への入射光量を少なくし、反対に信号値が小さければ入射光量が少ないことから絞りの口径を大きくして撮像素子への入射光量を多くする。明るさを示す信号値である輝度レベルYは、例えば、以下の式(9)により作成される。
Y=0.3Rout+0.1Bout+0.6Gout・・・(9)
Y=0.3Rout+0.1Bout+0.6Gout・・・(9)
上述したように、撮像素子に入射する光の明るさが増加することで色信号Ginが飽和し、単調増加するはずの色信号Goutの信号値が減少してしまうおそれがある。色信号Goutに対しては、式(9)において最も大きい係数が乗じられていることから、色信号Goutの信号値が減少することで式(9)によって得られる信号値Yが減少するおそれがある。言い換えれば、撮像素子に入射する光の明るさが増加しているにも関わらず、リニアマトリクス回路の出力から生成される輝度レベルYが減少してしまうおそれがある。
輝度レベルYが減少することから、絞りの口径が大きくされ入射光量を多くする制御がされる。このように、実際には撮像素子に入射する光の明るさが増加しているにも関わらず、絞りの口径が大きくされる制御がされてしまい、結果として撮像素子へ入射する光量の制御を適切に行うことができなくなるという問題点があった。
したがって、この発明の目的は、マトリクス係数を制御することで被写体の色をより忠実に再現することができる映像信号処理方法および映像信号処理装置を提供することである。
上述した課題を解決するために、この発明の第1の態様は、入力される複数の色信号に対してマトリクス演算を施すことで原色信号を生成するマトリクス演算ステップと、ゲインk(但し、0≦k≦1)を生成するゲイン生成ステップと、マトリクス演算ステップにおいて用いられる所定のマトリクス係数に、ゲインkを乗算する演算ステップとを有し、ゲイン生成ステップは、入力される複数の色信号のうちの何れかの色信号が飽和するまでに0とされるゲインkを生成する映像信号処理方法である。
この発明の第2の態様は、入力される複数の色信号に対してマトリクス演算を施すことで原色信号を生成するリニアマトリクス部と、ゲインk(但し、0≦k≦1)を生成し、リニアマトリクス部の所定のマトリクス係数にゲインkを乗算する制御部とを備え、制御部は、入力される複数の色信号のうちの何れかの色信号が飽和するまでに0とされるゲインkを生成する映像信号処理装置である。
この発明によれば、被写体の色をより忠実に再現することができる。また、この発明によれば、撮像素子へ入射する光量を適切に制御することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明の一実施形態について説明する。一実施形態では、この発明を撮像装置に適用した例を用いて説明する。
図1は、この発明の一実施形態における撮像装置1の主要な構成の一例を示す。撮像装置1の光学系は、レンズ2、絞り3、図示しない光学LPF(Low Pass Filter)や赤外線除去フィルタを含む構成とされる。また、撮像装置1は、撮像素子4、フロントエンド5、カメラ信号処理部6、制御部7、駆動回路8を含む構成とされる。
レンズ2により集光された光は、絞り3に入射される。絞り3は、レンズ2により集光された光の通過量を調節し、撮像素子4に取り込まれる光量を調節する。撮像素子4は例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)により構成される。撮像素子4の前面には、例えば、赤の光のみを透過するRフィルタ、緑の光のみを透過するGフィルタ、青の光のみを透過するBフィルタが市松状に配置された3色カラーフィルタが設けられる。
撮像素子4では、3色カラーフィルタを介して入射された光が、光電変換により電気信号へと変換され3種類の色信号(R信号、G信号、B信号)が生成される。撮像素子4で生成された色信号はフロントエンド5に供給される。
フロントエンド5では、撮像素子4から供給される色信号に対してノイズ成分を除去するCDS(Correlated Double Sampling)処理(相関二重サンプリング処理)、信号レベルを調節するゲインコントロール処理、ディジタル信号変換処理等が行われ、画像データが得られる。
フロントエンド5から出力される画像データが、カメラ信号処理部6に供給される。カメラ信号処理部6は、例えば、光学・センサー補正部11、リニアマトリクス回路12、ホワイトバランス処理部(WB)13、ガンマ(γ)補正部14、輝度信号(Y)処理部15、色差信号処理部16を含む構成とされる。また、カメラ信号処理部6は、リニアマトリクス回路12の入力を検波して演算処理を行う演算部17およびリニアマトリクス回路12の出力を検波して演算処理を行う演算部18を含む構成とされる。
カメラ信号処理部6では、フロントエンド5から供給される画像データを構成する色信号に対して種々のディジタル信号処理が施される。光学・センサー補正部11では、光学系で発生する明るさのむらを補正するシェージング補正、黒レベルを補正するディジタルクランプ処理、ひずみ補正、欠陥画素補正等が行われる。リニアマトリクス回路12ではマトリクス演算処理が行われ、RGBの原色信号が生成される。リニアマトリクス回路12の処理については後述する。
ホワイトバランス処理部13では、RGBのバランスを調整して正しい色合いになるように補正する処理がされ、ガンマ補正部14では、例えば、モニタなどの表示装置の発光特性の非線形性を補正する処理が行われる。ガンマ補正部14から出力される色信号は、輝度信号(Y)処理部15および色差信号(C)処理部16に供給される。Y信号処理部15では、RGBの色信号が所定の合成比で合成されて輝度信号が生成され、C信号処理部16では色差信号Cr、色差信号Cbが生成され、それぞれカメラ信号処理部6から出力される。
上述したような、撮像装置1の各部は、例えばマイクロコンピュータにより実現される制御部7により制御される。例えば、制御部7は、駆動回路8に対して制御信号S1を送出する。制御信号S1が供給された駆動回路8は、制御信号S1の内容に応じてレンズ2の位置や絞り3の開閉を制御し、撮像素子へ取り込まれる光量を調節する。また、制御部7は、撮像素子4に対して電子シャッターのタイミングを制御する制御信号S2、フロントエンド5に対してゲインをコントロールするゲイン信号S3、カメラ信号処理部6の各部を制御する制御信号S4を送出する。
また、制御部7に対しては、演算部17から検波情報S5が供給される。検波情報S5は、リニアマトリクス回路12に入力される色信号(以下、それぞれの色信号を色信号Rin、色信号Gin、色信号Binと称する)を検波して得られる情報であり、色信号Rin、色信号Gin、色信号Binのそれぞれの信号値を示す情報と、色信号Rin、色信号Gin、色信号Binから得られる明るさを示す信号値(以下、この信号値を輝度レベルYinと、適宜称する)を示す情報が含まれる。輝度レベルYinは、例えば、以下の式(10)を使用した演算により得られる。
Yin=0.3Rin+0.1Bin+0.6Gin・・・(10)
Yin=0.3Rin+0.1Bin+0.6Gin・・・(10)
また、制御部7に対しては、演算部18から検波情報S7が供給される。検波情報S7は、リニアマトリクス回路12から出力される色信号(以下、それぞれの色信号を色信号Rout、色信号Gout、色信号Boutと、適宜称する)を検波して得られる情報であり、色信号Rout、色信号Gout、色信号Boutから得られる明るさを示す信号値(以下、この信号値を輝度レベルYoutと称する)を示す情報が含まれる。輝度レベルYoutは、例えば、以下の式(11)を使用した演算により得られる。
Yout=0.3Rout+0.1Bout+0.6Gout・・・(11)
Yout=0.3Rout+0.1Bout+0.6Gout・・・(11)
ここで、リニアマトリクス回路12で行われる処理および制御部7によるリニアマトリクス回路12の制御について説明する。以下に説明する処理は、ハードウェアによる実現に限らず、ソフトウェアによる処理によっても実現可能である。この発明では、リニアマトリクス回路12による演算処理で用いられるマトリクスのマトリクス係数は固定値とされない。制御部7によって生成されたゲインkが所定のマトリクス係数に乗算される。さらにゲインkの値が適応的に設定されることで、マトリクス係数が可変とされる。
式(12)は、この発明の一実施形態におけるリニアマトリクス回路12による処理の一例を示す。
式(12)に示すように、マトリクスの非対角成分のマトリクス係数に対してゲインkが乗算される。このゲインkの値は、0≦k≦1とされる。ゲインkの値は、リニアマトリクス回路12に入力される色信号Rin、色信号Gin、色信号Binのうちの何れかの色信号が飽和する飽和点までに0に制御される。この制御により、撮像素子への入射する光量が増加し、色信号Rin、色信号Gin、色信号Binのいずれかの色信号が飽和してもリニアマトリクス回路12から出力される色信号Rout、色信号Gout、色信号Boutは単調増加または略一定を維持できる。
リニアマトリクス回路12から出力される色信号Rout、色信号Gout、色信号Boutが単調増加または略一定であることから、演算部18で検波される輝度レベルYoutも単調増加する。従って、制御部7に対して供給される検波情報S7の輝度レベルYoutは単調増加し、制御部7は絞り3の口径を小さくする制御信号S1を送出する。言い換えれば、絞り3の開閉の適切な制御を行うことができ、撮像素子4へ取り込まれる光量を適切に制御することができる。
より詳細に説明する。はじめに、制御部7によって生成されるゲインkについて説明する。ゲインkは、例えば、以下の式(13)により求めることができる。
k=1−{max(R,G,B)−threshold}*Gain・・・(13)
k=1−{max(R,G,B)−threshold}*Gain・・・(13)
図2は式(13)を用いたゲインkを求めるための演算の一例を示す。図2に示す演算は、例えば、制御部7によって行われる。はじめに最大値演算処理21において、演算部17から制御部7に供給される検波情報S5に含まれる色信号Rin、色信号Gin、色信号Binの信号値のうち、最大の信号値が選択される。選択された最大の信号値をmax(R,G,B)とする。
続いて、max(R,G,B)からパラメータしきい値を減算する減算処理22が行われ、max(R,G,B)とパラメータしきい値の差分(diff)が求まる。パラメータしきい値の値は、検波情報S5に含まれる輝度レベルYinに応じて適切な値に設定される。式(14)は、減算処理22で行われる処理を示す。なお、以下の式(14)ではパラメータしきい値をthresholdと示す。
diff=max(R,G,B)−threshold・・・(14)
diff=max(R,G,B)−threshold・・・(14)
続いて、求められた差分(diff)に対して0クリップ(clip)演算処理23が行われる。0クリップ演算処理23では、差分(diff)が0より大きければ、0クリップ演算結果(diff_cp0)をそのままとし、差分(diff)が0以下であれば、0クリップ演算結果(以下、diff_cp0とする)を0とする。式(15)および式(16)は、0クリップ(clip)演算処理23で行われる処理を示す。
If diff>0, then diff_cp0=diff;・・・(15)
If diff≦0, then diff_cp0=0;・・・(16)
If diff>0, then diff_cp0=diff;・・・(15)
If diff≦0, then diff_cp0=0;・・・(16)
続いて、0クリップ演算結果(diff_cp0)に対してパラメータゲインを乗算する乗算処理24が行われる。パラメータゲインの値は0から1までの間の値とされ、検波情報S5に含まれる輝度レベルYinに応じて適切な値に設定される。式(17)は、乗算処理24で行われる処理を示す。以下の式(17)では、パラメータゲインをgainと示し、乗算処理24の処理結果を(diff_gn)と示す。
diff_gn= diff_cp0*gain・・・(17)
diff_gn= diff_cp0*gain・・・(17)
続いて、乗算処理24の結果(diff_gn)に対して、1クリップ(clip)演算処理25が行われる。1クリップ演算処理25では、(diff_gn)が1より大きければ、1クリップ演算結果(以下、diff_cp1と表記する)を1とし、(diff_gn)が1以下であれば、(diff_cp1)をそのままとする。式(18)および式(19)は、1クリップ(clip)演算処理で行われる処理を示す。
If diff_gn>0, then diff_cp1=1;・・・(18)
If diff_gn≦0, then diff_cp1= diff_gn;・・・(19)
If diff_gn>0, then diff_cp1=1;・・・(18)
If diff_gn≦0, then diff_cp1= diff_gn;・・・(19)
続いて、1クリップ演算処理25の結果(diff_cp1)に対して減算処理26が行われる。減算処理26では常数1から(diff_cp1)を引く演算が行われる。式(20)は、減算処理26を示す。
k=1−diff_cp1・・・(20)
k=1−diff_cp1・・・(20)
上述した演算処理によりゲインkの値が算出される。
図3Aは、検波情報S5に含まれる輝度レベルYin(横軸)に対するmax(R,G,B)の値の遷移を示す。また図3Bは、検波情報S5に含まれる輝度レベルYin(横軸)に対するゲインkの値の遷移を示す。図3Aと図3Bは、各ポイントにおいて対応付けがされている。
図3Aおよび図3Bにおける横軸のP0ポイントは、リニアマトリクス処理部に入力される色信号Rin、色信号Gin、色信号Binのうちの何れかの色信号が飽和する飽和点を示す。どの色信号が飽和するかは、光源、被写体の特質によって決まる。P1ポイントは、次に飽和する色信号の飽和点を示し、P2ポイントは、最後に飽和する色信号の飽和点を示す。
例えば、図3Aに示すようにパラメータしきい値をTh1に設定するとゲインkの値は、図3BにおいてTh1に対応するポイントであるA1ポイントまでは1を維持する。A1ポイント以降、さらに輝度レベルYinが増加するとゲインkの値は1より小さい値へと変化し、P0ポイントにおいてゲインkの値は0とされる。A1ポイント(ゲインk=1)からP0ポイント(ゲインk=0)までのゲインkの変化の傾きは、ゲインkを求める演算処理の乗算処理24で使用されるパラメータゲインの値によって調整可能とされる。
また、図3Aに示すようにパラメータしきい値の値をTh2に設定するとゲインkの値は、図3BでTh2に対応するポイントであるA2ポイントまでは1とされる。A2ポイント以降、輝度レベルYinが増加すると、ゲインkの値は1より小さい値へと変化し、P0ポイントにおいてゲインkの値は0とされる。もし、パラメータしきい値の値が飽和値と同じ値に設定されるとゲインkはAmaxポイントの位置からP0ポイントにかけて急峻に変化する。このようにパラメータしきい値の値を変えることで、ゲインkの値が1から変化する位置を設定することができる。但し、P0ポイントまでにゲインkの値は0とされる。
再び式(12)を参照して説明する。ゲインkが飽和点であるP0ポイントまでに0とされることで、P0ポイント以降の式(12)の非対角成分のマトリクス係数は全て0とされる。従って、以下の式(21)〜式(23)が成立する。
Rout=aRin・・・(21)
Gout=eGin・・・(22)
Bout=iBin・・・(23)
Rout=aRin・・・(21)
Gout=eGin・・・(22)
Bout=iBin・・・(23)
ここで、マトリクス係数a、マトリクス係数e、マトリクス係数iは一般に1以上の正の値であるから、P0ポイントで飽和した色信号の出力は略一定となるが、他の色信号の出力に関しては、飽和するまでは単調増加を維持することになる。すなわち、ある色信号が飽和しても、その色信号のリニアマトリクス回路12からの出力は従来のように減少することはない。
さらに、演算部18では色信号Rout、色信号Gout、色信号Boutを検波して式(11)に基づく演算により輝度レベルYoutを得るが、リニアマトリクス回路12からの出力が減少しないことから輝度レベルYoutが減少することもない。このため、制御部7は輝度レベルYoutに基づく絞り3の制御を適切に行えることができ、結果として撮像素子4へ取り込まれる光量を適切に制御できる。
ゲインkを決定する手法の他の例について説明する。この他の例は、P0ポイントにゲインkを0とせずにゲインkがとり得る値の条件を示す。
リニアマトリクス回路12で行われるマトリクス演算の式は、上述した式(12)により表される。また、リニアマトリクス回路12から出力される色信号を検波して得られる輝度レベルYoutは上述した式(11)により表される。
ここで、式(12)の演算結果を式(11)に代入することで以下の式(24)が得られる。
Yout=(0.3a+0.6kd+0.1kg)Rin+(0.3kb+0.6e+0.1kh)Gin+(0.3kc+0.6kf+0.1i)Bin・・・(24)
Yout=(0.3a+0.6kd+0.1kg)Rin+(0.3kb+0.6e+0.1kh)Gin+(0.3kc+0.6kf+0.1i)Bin・・・(24)
ここで、ある色信号、ここでは色信号Ginが最も早く飽和したとすると、色信号Ginの飽和点以降のYoutは、色信号Rinと色信号Binの信号値で決まる関数となる。
色信号Rinと色信号Binの信号値は、飽和するまではレンズから入射する光の明るさのレベルを示す輝度レベルYinの増加につれて増加すると考えられることから、以下の式(25)および式(26)が成立する。
Rin=l1*Yin・・・(25)
Bin=l2*Yin・・・(26)
Rin=l1*Yin・・・(25)
Bin=l2*Yin・・・(26)
式(25)のl1は、輝度レベルYinの増加に伴って増加する色信号Rinの増加直線の傾きを示す。同様に、式(26)のl2は、輝度レベルYinの増加に伴って増加する色信号Binの増加直線の傾きを示す。
式(25)および式(26)を式(24)に代入し、また色信号Ginが飽和していると仮定していることから色信号Ginを含む項を常数Cとすると、以下の式(27)が得られる。
Yout=(0.3a+0.6kd+0.1kg)l1*Yin+(0.3kc+0.6kf+0.1i)l2*Yin+C・・・(27)
Yout=(0.3a+0.6kd+0.1kg)l1*Yin+(0.3kc+0.6kf+0.1i)l2*Yin+C・・・(27)
式(27)よりYoutを常に増加させるには、以下の式(28)で示す条件を満たす必要がある。
(0.3a+0.6kd+0.1kg)l1+(0.3kc+0.6kf+0.1i)l2≧0・・・(28)
(0.3a+0.6kd+0.1kg)l1+(0.3kc+0.6kf+0.1i)l2≧0・・・(28)
なお、式(28)におけるl1およびl2の値は、光源、被写体によって異なるため一意に定まるものでない。しかしながら、撮像装置1に入力される入力光の光源と、被写体の反射率が既知であれば式(28)に示す条件を満たすようにゲインkの値を決定することができる。
この発明は、この発明の要旨を逸脱しない範囲内でさまざまな変形や応用が可能であり、上述した一実施形態に限定されることはない。例えば、上述した一実施形態のおける撮像装置1のマトリクス回路12には3種類の色信号が供給されるとして説明したが、4種類以上の色信号が供給される場合でもこの発明を適用することができる。
図4は、撮像素子4に備えられるカラーフィルタの他の例であり、4色のカラーフィルタ31の例を示す。カラーフィルタ31は、赤の光のみを透過するRフィルタ、青の光のみを透過するBフィルタ、第1の波長帯域の緑色の光のみを透過するG1フィルタ、およびG1フィルタと相関の高い第2の波長帯域の緑色の光のみを透過するG2フィルタを最小単位として構成される。
図5は、カラーフィルタ31の分光感度特性の一例を示す。図5において、曲線L61はRの分光感度を表し、曲線L62はG1の分光感度を表している。また、曲線L63はG2の分光感度を表し、曲線L64はBの分光感度を示している。図5に示されるように、G2の分光感度曲線L62は、G1の分光感度曲線L62に対して相関が高い。また、Rの分光感度、G(G1、G2)の分光感度およびBの分光感度は、それぞれ適度な範囲で重複している。
4色カラーフィルタが備えられる撮像素子4からフロントエンド5に対して、4色の色信号(色信号R、色信号G1、色信号G2、色信号B)が供給される。フロントエンド5や光学・センサー補正部11で所定の信号処理を受けた色信号はリニアマトリクス回路12に入力される。
4色の色信号が供給されるリニアマトリクス回路12による演算処理では、3×4のマトリクスが用いられる。以下の式(29)は、この発明を適用した3×4のマトリクスを示す。3×4のマトリクスでは、マトリクス係数m0、マトリクス係数m5、マトリクス係数m6、マトリクス係数m11が対角成分であり、マトリクス係数m1、マトリクス係数m2、マトリクス係数m3、マトリクス係数m4、マトリクス係数m7、マトリクス係数m8、マトリクス係数m9、マトリクス係数m10が非対角成分である。非対角成分のマトリクス係数にゲインkが乗算される。なお、式(29)では、リニアマトリクス回路12に入力される色信号をR、G1、G2、Bと示し、マトリクス演算後の出力をR’、G’、B’と示す。
式(29)に示すように、ゲインkは各色の主成分にかかる対角成分のマトリクス係数以外のマトリクス係数に乗算される。例えば、リニアマトリクス回路12から出力される色信号R’の信号値は、ゲインkが式(29)の所定のマトリクス係数に乗算されていない場合は、以下の式(30)で求められる。
R’=m0R+m1G1+m2G2+m3B・・・(30)
R’=m0R+m1G1+m2G2+m3B・・・(30)
式(30)において出力の色信号R’の主成分は右辺のRである。ゲインkは、色信号Rにかかる対角成分のマトリクス係数m0以外のマトリクス係数である、マトリクス係数m1、マトリクス係数m2、マトリクス係数m3に乗算される。
出力の色信号G’の主成分は色信号G1および色信号G2である。従って、ゲインkは、色信号G1および色信号G2にかかる対角成分のマトリクス係数m5およびマトリクス係数m6以外のマトリクス係数である、マトリクス係数m4およびマトリクス係数m7に乗算される。
出力の色信号B’の主成分は色信号Bである。従って、ゲインkは、色信号Bにかかる対角成分のマトリクス係数m11以外のマトリクス係数である、マトリクス係数m8、マトリクス係数m9、マトリクス係数m10に乗算される。
式(29)のゲインkは、図2を用いて説明した演算と同様の演算により算出することができる。すなわち、最大値演算処理21で色信号R、色信号G1、色信号G2、色信号Bから最大の信号値を選択して、減算処理22、0クリップ処理23、乗算処理24、1クリップ演算処理25、減算処理26を行うことでゲインkを算出することができる。
またゲインkの値は、上述した一実施形態と同様に、色信号R、色信号G1、色信号G2、色信号Bで最も早く飽和する色信号が飽和するまでに0とされる。このゲインkの値の制御により、入力される4種類の色信号の何れかの色信号が飽和した後も、リニアマトリクス回路12から出力される色信号R’、色信号G’、色信号B’は単調増加または略一定を維持することができる。
1 撮像装置
3 絞り
4 撮像素子
6 カメラ信号処理部
7 制御部
17、18 演算部
3 絞り
4 撮像素子
6 カメラ信号処理部
7 制御部
17、18 演算部
Claims (4)
- 入力される複数の色信号に対してマトリクス演算を施すことで原色信号を生成するマトリクス演算ステップと、
ゲインk(但し、0≦k≦1)を生成するゲイン生成ステップと、
上記マトリクス演算ステップにおいて用いられる所定のマトリクス係数に、上記ゲインkを乗算する演算ステップとを有し、
上記ゲイン生成ステップは、上記入力される複数の色信号のうちの何れかの色信号が飽和するまでに0とされる上記ゲインkを生成する映像信号処理方法。 - 請求項1において、
上記演算ステップにおいて上記ゲインkは、マトリクスの非対角成分のマトリクス係数に対して乗算される映像信号処理方法。 - 請求項1において、
上記演算ステップにおいて上記ゲインkは、マトリクスの非対角成分であり、且つ負の値であるマトリクス係数に対して乗算される映像信号処理方法。 - 入力される複数の色信号に対してマトリクス演算を施すことで原色信号を生成するリニアマトリクス部と、
ゲインk(但し、0≦k≦1)を生成し、上記リニアマトリクス部の所定のマトリクス係数に上記ゲインkを乗算する制御部とを備え、
上記制御部は、上記入力される複数の色信号のうちの何れかの色信号が飽和するまでに0とされる上記ゲインkを生成する映像信号処理装置。
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---|---|---|---|
JP2005144349A JP2006324789A (ja) | 2005-05-17 | 2005-05-17 | 映像信号処理方法および映像信号処理装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016063467A (ja) * | 2014-09-19 | 2016-04-25 | 株式会社シグマ | 画像信号処理方法及びそれを用いた撮像装置 |
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2005
- 2005-05-17 JP JP2005144349A patent/JP2006324789A/ja active Pending
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