JP4028395B2 - デジタルカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆光シーン撮影時の露出補正機能を有するデジタルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD撮像素子等の固体撮像素子のダイナミックレンジは、一般に狭く、ハイコントラストの被写体を撮影する場合は、固体撮像素子の受光量がダイナミックレンジを超えて固体撮像素子の出力が飽和してしまい、被写体の情報が欠落する場合がある。
【0003】
このような問題を解決するため、相対的に高感度の第1の画像データ(以下、単に「高感度画像データ」と記述する場合もある。)と相対的に低感度の第2の画像データ(以下、単に「低感度画像データ」と記述する場合もある。)との合成処理を行うことにより、ダイナミックレンジの拡大を図る技術が提案されている(特許文献1、2参照)
【0004】
特許文献1に記載された技術は、異なる露光条件、異なるゲイン制御の少なくとも何れか1つによって、標準的な明るさの被写体が適正レベルとなるようにして得た標準輝度映像信号(高感度画像データ)と、所定値より明るい被写体が適正レベルとなるようにして得た高輝度映像信号(低感度画像データ)を加算して、広ダイナミックレンジ映像信号を得るものである。そして、その際、高輝度映像信号のピーク値を検出し、このピーク値に基づき、標準輝度映像信号と高輝度映像信号にそれぞれ乗算する乗算係数を算出し、それぞれに乗算した後、加算するものである。
【0005】
特許文献2に記載された技術は、被写界を撮像して該被写界を表わす高感度の映像信号及び低感度の映像信号を生成する撮像手段と、高感度の映像信号を第1の量子化分解能で量子化して、対応する高感度の映像信号データを出力する第1の信号変換手段と、低感度の映像信号を第1の量子化分解能より低い第2の量子化分解能で量子化して、対応する低感度の映像信号データを出力する第2の信号変換手段とを含み、高感度の映像信号データ及び対応する低感度の映像信号データを加算合成して、広いダイナミックレンジの映像信号を形成するものである。
【0006】
一方、主要被写体に対して背景が非常に明るい逆光状態での撮影では、背景の明るさの影響で主要被写体の画像が暗い画像となる傾向がある。そのため、逆光状態であると判断される場合には、オーバー側に露出補正を行って撮影している(特許文献3、4参照)。
【0007】
しかし、主要被写体に露出を合わせるために露出をオーバー側に補正すると、背景部分がオーバー露光となって白とびが生じやすいという問題がある。特に、広いダイナミックレンジの映像信号を形成することができないデジタルカメラにいては、この現象が顕著である。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−94870号公報
【特許文献2】
特開2001−8104号公報
【特許文献3】
特開2001−242504号公報
【特許文献4】
特開2001−242504号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、逆光シーンの撮影時に、適切な露出補正を行うことが可能なデジタルカメラを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のデジタルカメラは、逆光シーン撮影時の露出補正機能を有するデジタルカメラであって、撮像面を分割した複数の領域の測光値を得る分割測光部と、前記測光値に基づいて逆光シーンを判定する逆光判定部と、前記測光値に基づいて求めた画面の重み付け平均測光値、前記測光値の最大値、及び前記測光値の最大値に対する目標値に基づいて、露出補正量を求める露出補正部とを含み、前記目標値は、前記デジタルカメラが再現可能な輝度の範囲を、撮影時の露出設定の基準とする輝度値からの偏位によって示したものであり、前記露出補正部は、前記逆光判定部が逆光シーンであると判定した場合に、前記測光値の最大値と前記重み付け平均測光値の差と、前記目標値とを比較し、前記目標値が前記差より大の場合に、その差を露出補正量とするものである。
【0011】
本発明のデジタルカメラは、前記露出補正部が、前記目標値が前記差より小の場合は、露出補正量を0とするものであるものを含む。
【0012】
本発明のデジタルカメラは、前記露出補正部が、前記露出補正量を、撮影モードに応じて補正するものであるものを含む。
【0013】
本発明のデジタルカメラは、前記目標値が、撮影シーンに応じて変更されるものを含む。
【0014】
本発明のデジタルカメラは、前記目標値が、前記分割測光部による測光値の最大値と最小値との差に応じて変更されるものであるものを含む。
【0015】
本発明のデジタルカメラは、前記目標値が、前記分割測光部による測光値の分布に応じて変更されるものであるものを含む。
【0016】
本発明のデジタルカメラは、さらに、相対的に高感度の第1の画像データと相対的に低感度の第2の画像データとの合成処理を行って合成画像データを得る機能を有し、前記合成処理は、前記第2の画像データが示す被写体輝度の最大値と、前記第1の画像データがとり得る最大値が示す輝度値との比xと求める工程と、前記比xに基づいて、前記第2の画像データのガンマ補正パラメータ、及び前記合成処理パラメータを決定する工程と、前記ガンマ補正パラメータに基づいて前記第2の画像データを補正する工程と、前記合成処理パラメータに基づいて前記第1の画像データと前記第2の画像データとの合成処理を行う工程とを含んで実現されるものを含む。
【0017】
本発明のデジタルカメラは、前記合成処理が、さらに、前記比xに基づいて、前記第2の画像データのガンマ補正パラメータを決定する工程と、前記ガンマ補正パラメータに基づいて前記第2の画像データを補正する工程とを含んで実現されるものを含む。
【0018】
本発明のデジタルカメラは、前記合成処理が、さらに、前記比xに基づいて、合成画像データの彩度補正パラメータを決定する工程と、前記彩度補正パラメータに基づいて、前記合成画像データの彩度を補正する工程とを含んで実現されるものを含む。
【0019】
本発明のデジタルカメラは、前記第1の画像データと前記第2の画像データが、感度の異なる光電変換部を有する撮像素子による撮像信号に基づいて取得されるものを含む。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態のデジタルカメラの概略構成を示す図である。図11のデジタルカメラは、撮像部1、アナログ信号処理部2、A/D変換部3、駆動部4、ストロボ5、デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、表示部8、システム制御部9、内部メモリ10、メディアインタフェース11、記録メディア12、操作部13を含んで構成される。デジタル信号処理部6、圧縮/伸張処理部7、表示部8、システム制御部9、内部メモリ10、及びメディアインタフェース11は、システムバス20に接続されている。
【0021】
撮像部1は、撮影レンズ等の光学系及びCCDイメージセンサ等の撮像素子を含み、被写体の撮影を行うものであって、アナログの撮像信号を出力する。撮像部1で得られた撮像信号は、アナログ信号処理部2に送られ、所定のアナログ信号処理が施され、A/D変換部3でデジタル信号に変換された後、いわゆるRAW画像データとしてデジタル信号処理部6に送られる。RAW画像データは、撮像部1からの撮像信号の形式のままデジタル化したデジタル画像データである。
【0022】
撮影に際しては、駆動部4を介して撮像部1が制御される。撮像素子として利用されるCCDイメージセンサ等の固体撮像素子は、半導体基板表面に行方向とこれに直交する列方向に配設された複数の光電変換領域(例えばフォトダイオード)を有し、入射光に対応して発生し、蓄積された信号電荷に基づいたアナログ電圧信号を出力するものである。固体撮像素子は、操作部13の一部であるレリーズボタン(図示せず)の操作によるレリーズスイッチ(図示せず)オンを契機として、所定のタイミングで、駆動部4に含まれるタイミングジェネレータ(図11ではTGと記載)からの駆動信号によって駆動される。駆動部4は、システム制御部9の制御に基づいて所定の駆動信号を出力するものであり、アナログ信号処理部2及びA/D変換部3に対する駆動信号も出力する。
【0023】
撮像部1は、相対的に高感度の撮像信号と相対的に低感度の撮像信号を出力するものであり、撮像信号は、共にアナログ信号処理部2、A/D変換部3を経てデジタル画像データに変換され、デジタル信号処理部6に送られる。撮像部1に含まれる撮像素子は、感度の異なる光電変換部を有するものである。感度の異なる光電変換部を有する撮像素子としては、特許文献2に示すように高感度撮像セルと低感度撮像セルを有する固体撮像素子を利用してもよいし、図12に示すような固体撮像素子を用いてもよい。
【0024】
図12は、高感度撮像信号と低感度撮像信号を出力可能な固体撮像素子の概略構成を示す図である。図12は、いわゆるハニカム構造の固体撮像素子の部分拡大平面図であって、半導体基板表面に行方向(矢印Xで示す方向)とこれに直交する列方向(矢印Yで示す方向)に配設された複数の光電変換領域111〜157(図では一部のみに番号を付してある)、垂直転送部201〜208、水平転送部300、及び出力部400を含む。複数の光電変換領域111〜157の内の奇数列のものは、偶数列のものに対して光電変換領域同士の列方向ピッチの略1/2だけ列方向にずれており、また、奇数行の光電変換領域は、偶数行の光電変換領域対して光電変換領域同士の行方向ピッチの略1/2だけ行方向にずれて配置される。なお、図12では、5行8列の光電変換領域を示してあるが、実際には、さらに多くの光電変換領域が設けられる。
【0025】
光電変換領域111〜157は、入射光量に対応した信号電荷を発生し、蓄積するもので、例えばフォトダイオードである。光電変換領域111〜157は、相対的に広い受光面積を有する主領域mと相対的に狭い受光面積を有する副領域sに分割され(図12では、光電変換領域151のみについて符号を付してある。)、それぞれ所定の分光感度の光に対応する信号電荷を発生し、蓄積する。図12の固体撮像素子においては、赤(Rで示す。)、緑(Gで示す。)、又は青(Bで示す。)のフィルタ(図示せず)が、それぞれの光電変換領域111〜157の上方に設けられ、それぞれの色の光に対応する信号電荷を発生し、蓄積する。
【0026】
垂直転送部201〜208は、光電変換領域111〜157からの信号電荷を読み出し、列方向に転送するものであり、光電変換領域111〜157の各列に対応してその側方に設けられる。列方向の転送は、主領域mの信号電荷と副領域sの信号電荷を、それぞれ独立に垂直転送部201〜208に読み出して行う。水平転送部300は、複数の垂直転送部201〜208からの信号電荷が転送され、転送された信号電荷を行方向に転送するものである。出力部400は、転送された信号電荷量に応じた電圧信号を出力するものである。
【0027】
ストロボ5は、被写体の輝度が所定値以下の場合等に動作するものであり、システム制御部9によって制御される。
【0028】
デジタル信号処理部6では、A/D変換部3からのデジタル画像データに対して、操作部13によって設定された動作モードに応じたデジタル信号処理を行うものである。デジタル信号処理部6が行う処理には、黒レベル補正処理(OB処理)、リニアマトリクス補正処理(撮像部からの原色信号に対して、撮像素子の光電変換特性に起因する混食成分を除去する補正を行う処理。RBG入力に対する3×3のマトリクス演算による。)、ホワイトバランス調整処理(ゲイン調整)、ガンマ補正処理、画像合成処理、同時化処理、Y/C変換処理等が含まれる。デジタル信号処理部6の画像合成処理については、後述する。
【0029】
デジタル信号処理部6は、例えばDSPで構成される。圧縮/伸張処理部7は、デジタル信号処理部6で得られたY/Cデータに対して圧縮処理を施すと共に、記録メディア12から得られた圧縮画像データに対して伸張処理を施すものである。
【0030】
表示部8は、例えばLCD表示装置を含んで構成され、撮影され、デジタル信号処理を経た画像データに基づく画像を表示する。記録メディアに記録された圧縮画像データを伸張処理して得た画像データに基づく画像の表示も行う。また、撮影時のスルー画像、デジタルカメラの各種状態、操作に関する情報の表示等も可能である。
【0031】
内部メモリ10は、例えばDRAMであり、デジタル信号処理部6、システム処理部9のワークメモリとして利用される他、記録メディアに12に記録される撮影画像データを一時的に記憶するバッファメモリ、表示部8への表示画像データのバッファメモリとしても利用される。メディアインタフェース11は、メモリカード等の記録メディア12との間のデータの入出力を行うものである。
【0032】
システム制御部9は、撮影動作を含むデジタルカメラ全体の制御を行う。システム制御部9は、具体的には所定のプログラムによって動作するプロセッサを主体に構成される。
【0033】
操作部13は、デジタルカメラ使用時の各種操作を行うもので、デジタルカメラの動作モード(撮影モード、再生モード等)、撮影時の撮影方法、撮影条件、設定等を行う。操作部13によって設定される撮影条件には、撮影感度(ISO感度)の設定、電子ズームの動作設定、ストロボの動作設定が含まれる。操作部13は、それぞれの機能に対応する操作部材を設けてもよいが、表示部8の表示と連動して操作部材を共用してもよい。また、操作部13には、撮影動作を起動するためのレリーズボタンも含まれる。
【0034】
次に、撮影時の測光機能、及び測光値に基づく露出制御について、簡単に説明する。測光機能は、操作部13に含まれるレリーズボタン(図示せず)の半押しを契機に実行される。具体的には、システム制御部9の制御により、撮像部1を予め定めた複数の露出値(例えば7EV、11EV、15EV)に設定して露光したときの、画像データに所定の演算を施こすことによって行われる。演算処理は、システム制御部6及びデジタル信号処理部6によって行われる。手順は、次の通りである。
【0035】
(1)取り込んだ複数枚(この例では3枚)の画像データを、撮影画面の複数の分割領域(例えば64分割)について、積算平均し、各領域の測光値Evi(i=0〜63)を求める。測光値Eviは、複数枚の積算演算データの内、オーバーフローもアンダーフローもしていない画像から得られたものを選択し、各色(RGB)毎に積算した値に所定のホワイトバランスゲインを乗じ、さらにそれらを加算したものである。
(2)測光値Eviに次の演算を施し、重み付け平均測光値EVa=Σ(Evi×Wi)/ΣWiを演算する。ここで、Wiは、予め定められた各領域の重みであり、中央部が大きく、周辺部が小さい値となっている。
【0036】
撮影時の露出は、ここで求められた重み付け平均測光値EVaに基づいて定められる。そして、定められた露出に基づいてシステム制御部9から、駆動部4を介して撮像部1の各パラメータが設定され、レリーズボタン(図示せず)の全押しによって、撮影信号の取り込み及び信号処理が開始される。
【0037】
続いて、逆行シーンの検出、及び逆光シーン撮影時の露出補正について説明する。図1は、本発明の実施の形態のデジタルカメラにおける露出補正処理の概略フローを示す図である。ステップ101では、レリーズボタン(図示せず)の半押し時に求められた測光値Eviを取り込む。
【0038】
ステップ102では、測光値Eviを利用して逆光シーン判別用のパラメータの演算を行う。ここでは、次の3つのパラメータを演算する。1つ目は、測光値Eviの最大値EVmaxと測光値Eviの最小値EVminの差EVdiffである。差EVdiffは、被写体の輝度レンジの大きさに対応し、逆光時には大きくなるので、逆光の判別に利用できる。2つ目は、重み付け平均測光値EVaと周辺部分の測光値の平均値である周辺測光値EVbとの差である。このパラメータは、撮影画面の輝度分布を示し、負側になるほど逆光シーンと判断できる。3つ目は、測光値Eviの最大値EVmaxである。逆光シーンにおいては、最大値EVmaxが大きくなるので、逆光シーンの判別に利用できる。
【0039】
ステップ103では、ステップ102で得られたパラメータを利用して逆光シーンか否かの判別を行う。逆光シーンの判別は、これらのパラメータ大きさ及び組合せによって判別するのが好ましい。逆光シーンでない場合は、このまま終了する。
【0040】
逆光シーンであると判別されると、ステップ104で、露出補正量を決定する。露出補正量は、重み付け平均測光値EVa、測光値の最大値EVmax、及び測光値の最大値EVmaxに対する目標値EVsに基づいて演算する。ここで、目標値EVsは、デジタルカメラが再現可能な輝度の範囲を、撮影時の露出設定の基準とする輝度値(重み付け平均測光値EVa等)からの偏位によって示したものである。
【0041】
露出補正量dEVは、dEV=(EVs−(EVmax−EVa))Kの演算によって求める。ただし、dEV<0のときは、dEV=0とする。ここで、Kは、撮影モードに応じて変化する係数であり、通常の撮影時は、K=1である。ストロボのオンオフ、ストロボの動作モード(日中シンクロモード等)等によって変化させることによって、露出補正量を補正できる。例えば、ストロボのオン時は、K=0.7とする。
【0042】
ステップ104で、露出補正量dEVが求められると、ステップ105で、通常の方法で求めた露出値(例えば、重み付け平均測光値EVaを露出値とする。)を露出補正量dEVで補正し、最終露出EVo(=EVa−dEV)として出力する。
【0043】
次に、目標値EVsの決定方法について説明する。目標値EVsは、デジタルカメラが再現可能な輝度の範囲を、撮影時の露出設定の基準とする輝度値(重み付け平均測光値EVa等)からの偏位max_difで示したものであり、被写体の輝度レンジの大きさに対応するEVdiff(最大値EVmaxと測光値Eviの最小値EVminの差)に応じて変化させる。図2に、EVdiffに応じた目標値EVs(=max_dif)の設定例を示す。図2(a)は、偏位max_difとEVdiffとの関係を示したものであり、図2(b)は、図2(a)における変数lとEVmaxとの関係を示したものである。図2の、設定例によれば、目標値EVs(=max_dif)は、2+(EVdiff−4.5)×(4−2)/(7.5−4.5)×lである。
【0044】
目標値EVsとなる偏位max_difは、輝度分布に応じてクリップされる。図3に、クリップ関数dif_clipの一例を示す。図3の横軸は、重み付け平均測光値EVaと周辺測光値EVbとの差であるので、横軸の正方向が順光の輝度分布になり、負方向が逆光になっている。このような、クリップを行うと、EVdiffが大きく、EVmaxが大きくても、輝度分布が逆光側でない場合は、目標値EVsが大きくならない。したがって、過度な逆光補正を避けることができる。
【0045】
このような露出補正が施されて得られた撮像信号は、A/D変換部3でデジタル化され、デジタル信号処理部6に送られる。デジタル信号処理部6の機能を、画像合成処理を中心に説明する。図4は、デジタル信号処理部6の概略機能ブロック図である。デジタル信号処理部6は、OB(オプティカルブラック)処理部61a、61b、LMTX(リニアマトリクス)62a、62b、WB(ホワイトバランス)処理部63a、63b、ガンマ補正部64a、64b、合成ゲインLUT(ルックアップテーブル)65、乗算部66a、66b、加算部67、リミッタ68、同時化及びY/C処理部69、CMTX(色差マトリクス)70、合成レンジ演算部71を含む。
【0046】
OB処理部61a、61bは、画像データの黒レベルを補正するものであり、LMTX62a、62bは、例えば3×3のマトリクス演算を行うことにより、色相を調整するものである。WB処理部63a、63bは、ホワイトバランス補正用のゲインをそれぞれの色を示す画像データに乗算するものであり、ガンマ補正部64a、64bは、それぞれの画像データが所望のガンマ特性になるように入出力特性を変更するものである。
【0047】
合成ゲインLUT65は、高感度画像データと低感度画像データとを加算合成する際のそれぞれのゲインデータを高感度画像データに応じて出力するものである。出力するゲインデータは、合成レンジ演算部71からの合成すべき輝度レンジ情報によって選択される。合成ゲインの求め方については、後述する。
【0048】
デジタル処理部6に入力される高感度画像データHighは、OB処理部61a、LMTX62a、WB処理部63a、ガンマ補正部64aによる処理を経て乗算部66aに入力される。また、同様に低感度画像データLowは、OB処理部61b、LMTX62b、WB処理部63b、ガンマ補正部64bによる処理を経て、乗算部66bに入力される。そして、それぞれ合成ゲインLUT65からのゲインデータと乗算され、乗算結果は加算部67で加算される。
【0049】
加算部67からの画像データは、リミッタ68で予め定めたビット数(例えば8ビット)で表現できる範囲に収まるように制限され、同時化及びY/C処理部69に入力される。同時化及びY/C処理部69は、点順次のRGB信号を補間し、各撮像位置毎にRGB信号を求め、さらにRGB信号から輝度信号Yと色差信号Cr,Cbに変換する。そして、CMTX70によって彩度補正を行い、合成画像データとして出力する。
【0050】
積算処理部71は、LMTX62bを経た低感度画像データを積算するのものであり、具体的には、画像の全領域又は画像の周辺部を除く領域を16×16分割し、各分割領域における緑データGを積算するものである。合成レンジ演算部72は、画像合成を行う場合の合成レンジを求めるものである。合成レンジは、低感度画像データが示す被写体輝度の最大値と、高感度画像データがとり得る最大値が示す輝度値との比xを基に定められる。合成レンジの求め方については後述する。
【0051】
合成レンジ演算部72の出力は、合成ゲインLUT65に送られ、合成レンジに応じたゲインデータを出力する。また、ガンマ補正部64bに送られ、低感度画像データのガンマ補正特性が合成レンジに応じたものとなる。さらに、CMTX70にも送られ、同時化及びY/C処理部69で得られた色差データが、合成レンジに応じたゲインで補正され、出力される合成画像データの彩度が補正される。
【0052】
なお、合成レンジ演算部72からの合成レンジに基づく低感度画像データのガンマ特性の補正、及び彩度補正は必須ではなく、適宜省略してもよい。
【0053】
図5に、撮影時の合成演算処理までのデジタル信号処理の概略シーケンスを示す。期間t1において露光がされた後、期間t2で高感度画像データの取り込みが行われる。期間t3では、低感度画像データの取り込みと同時に高感度画像データに対する信号処理が行われる。ここでは、ホワイトバランスゲイン決定処理(AWB)、キズ補正処理(キズ)、及び前処理が行われる。前処理には、OB処理、LMTX演算、WB処理、ガンマ補正処理が含まれる。
【0054】
低感度画像データの取り込みが終了すると、期間t4で合成レンジの演算処理が行われる。ここでの合成レンジの演算処理には、低感度画像データのOB処理、LMTX演算、積算処理も含まれる。合成レンジが決定すると、期間t5で低感度画像データの前処理(WB処理、ガンマ補正処理が含まれる)が行われる。そして、期間t6で、ガンマ補正後の高感度画像データ及び低感度画像データの合成演算が行われる。
【0055】
次いで、合成ゲインLUT65に記憶されるゲインデータについて説明する。ゲインデータは、合成データdataを求める式(1)に基づいて作成される。
【0056】
data=[high+MIN(high/th,1)×low]×MAX[(−lg×high/th)+1,p] (1)
ここで、
highは、ガンマ補正後の高感度画像データ
lowは、ガンマ補正後の低感度画像データ
thは、低感度画像データの加算比率を変更する閾値
pは、トータルゲイン
lgは、高感度画像データと低感度画像データの飽和出力の比に依存する値(例えば、飽和比が4:1とするとp=0.2)である。
【0057】
式(1)を展開し、
h_gain=MAX[(−lg×high/th)+1,p] (2)
l_gain=MAX[(−lg×high/th)+1,p]×MIN(high/th,1)=h_gain×wl (3)
とすると、
data=h_gain×high+l_gain×low
となる。
【0058】
h_gainは、高感度画像データ用のゲインであり、図6に示す特性を有する。また、l_gainは、低感度画像データ用のゲインであって、h_gain×wlであり、wlは、図7に示す特性を有する。
【0059】
合成ゲインLUT65には、上記式(2)及び(3)によって求められる高感度画像データ用のゲインh_gain、及び低感度画像データ用のゲインl_gainが、高感度画像データhighに対応するテーブル形式のデータとして記憶される。この記憶されるゲインデータは、合成レンジ演算部72から出力される合成レンジに応じた数だけ記憶される。
【0060】
続いて、合成レンジ演算部72による合成レンジの求め方について説明する。まず、低感度画像データが示す被写体輝度の最大値と、高感度画像データがとり得る最大値が示す輝度値との比xを、積算処理部71からの積算データに基づいて求める。積算データを積算画像数で除算した値は、被写体の分割領域毎のGデータの平均値であり、被写体輝度は、Gデータの1.25(80/64)倍と考えることができるので、その平均値の最大値Gmaxは、低感度画像データが示す被写体輝度の最大値に対応するものとなる。
【0061】
今、図5に示すように、高感度画像データがとり得る最大値が4095、低感度画像データがとり得る最大値が1023、低感度画像データの輝度レンジが高感度画像データの輝度レンジに対して400%、輝度が緑データGの1.25(80/64)倍であるとすると、低感度画像データが示す被写体輝度の最大値と、高感度画像データがとり得る最大値が示す輝度値との比xは、次の式(4)で表される。
【0062】
x=Gmax×80×400/1023×64(%) (4)
【0063】
合成レンジ演算部72は、このようにして求めた比xに基づいて合成レンジを求める。合成レンジは、例えば図9のように、比xの大きさによって決められる。
【0064】
このように決定された合成レンジに基づいて、高感度画像データ及び低感度画像データに乗算するゲインデータが選択される。図10に、合成画像データの合成レンジに応じた階調特性の一例を示す。図10に示すように、合成レンジが大きくなる(被写体の輝度範囲が広くなる)につれて、合成画像データの再現範囲を広くすることができる。図10の例は、低感度画像データのガンマ特性を変化させていない例を示しているが、合成レンジに応じて低感度画像データのガンマ特性をさらに好ましい階調特性にすることができる。
【0065】
このように、撮影画像データに応じて合成パラメータや低感度画像のガンマ特性を変更して合成することにより、逆光シーン撮影時にオーバー露出とした場合でも、より好ましい画像を得ることができる。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、逆光シーンの撮影時に、適切な露出補正を行うことが可能なデジタルカメラを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態のデジタルカメラにおける露出補正処理の概略フローを示す図
【図2】測光値のレンジEVdiffに応じた目標値EVs(=max_dif)の設定例を示す図
【図3】偏位max_difを、輝度分布に応じてクリップするクリップ関数の一例を示す図
【図4】デジタル信号処理部の概略機能ブロック図
【図5】撮影時の合成演算処理までのデジタル信号処理の概略シーケンスを示す図
【図6】高感度画像データ用のゲインの特性を示す図
【図7】低感度画像データ用のゲインと高感度画像データ用ゲインの比wlの特性を示す図
【図8】高感度画像データと低感度画像データの関係の一例を示す図
【図9】低感度画像データが示す被写体輝度の最大値と、高感度画像データがとり得る最大値が示す輝度値との比xと合成レンジとの関係の一例を示す図
【図10】合成レンジに応じて合成画像データの階調特性が変化する様子を示す図
【図11】本発明の実施の形態のデジタルカメラの概略構成を示す図
【図12】高感度撮像信号と低感度撮像信号を出力可能な固体撮像素子の概略構成を示す図
【符号の説明】
1・・・撮像部
2・・・アナログ信号処理部
3・・・A/D変換部
4・・・駆動部
5・・・ストロボ
6・・・デジタル信号処理部
7・・・圧縮/伸張処理部
8・・・表示部
9・・・システム制御部
10・・・内部メモリ
11・・・メディアインタフェース
12・・・記録メディア
13・・・操作部
20・・・システムバス
61a、61b・・・OB(オプティカルブラック)処理部
62a、62b・・・LMTX(リニアマトリクス)
63a、63b・・・WB(ホワイトバランス)処理部
64a、64b・・・ガンマ補正部
65・・・合成ゲインLUT(ルックアップテーブル)
66a、66b・・・乗算部
67・・・加算部
68・・・リミッタ
69・・・同時化及びY/C処理部
70・・・CMTX(色差マトリクス)
71・・・積算処理部
72・・・合成レンジ演算部
Claims (10)
- 逆光シーン撮影時の露出補正機能を有するデジタルカメラであって、
撮像面を分割した複数の領域の測光値を得る分割測光部と、
前記測光値に基づいて逆光シーンを判定する逆光判定部と、
前記測光値に基づいて求めた画面の重み付け平均測光値、前記測光値の最大値、及び前記測光値の最大値に対する目標値に基づいて、露出補正量を求める露出補正部とを含み、
前記目標値は、前記デジタルカメラが再現可能な輝度の範囲を、撮影時の露出設定の基準とする輝度値からの偏位によって示したものであり、
前記露出補正部は、前記逆光判定部が逆光シーンであると判定した場合に、前記測光値の最大値と前記重み付け平均測光値の差と、前記目標値とを比較し、前記目標値が前記差より大の場合に、その差を露出補正量とするものであるデジタルカメラ。 - 請求項1記載のデジタルカメラであって、
前記露出補正部は、前記目標値が前記差より小の場合は、露出補正量を0とするものであるデジタルカメラ。 - 請求項1又は2記載のデジタルカメラであって、
前記露出補正部は、前記露出補正量を、撮影モードに応じて補正するものであるデジタルカメラ。 - 請求項1ないし3のいずれか1項記載のデジタルカメラであって、
前記目標値は、撮影シーンに応じて変更されるものであるデジタルカメラ。 - 請求項4記載のデジタルカメラであって、
前記目標値は、前記分割測光部による測光値の最大値と最小値との差に応じて変更されるものであるデジタルカメラ。 - 請求項4又は5記載のデジタルカメラであって、
前記目標値は、前記分割測光部による測光値の分布に応じて変更されるものであるデジタルカメラ。 - 請求項1ないし6のいずれか1項記載のデジタルカメラであって、
さらに、相対的に高感度の第1の画像データと相対的に低感度の第2の画像データとの合成処理を行って合成画像データを得る機能を有し、
前記合成処理は、
前記第2の画像データが示す被写体輝度の最大値と、前記第1の画像データがとり得る最大値が示す輝度値との比xと求める工程と、
前記比xに基づいて、前記第2の画像データのガンマ補正パラメータ、及び前記合成処理パラメータを決定する工程と、
前記ガンマ補正パラメータに基づいて前記第2の画像データを補正する工程と、
前記合成処理パラメータに基づいて前記第1の画像データと前記第2の画像データとの合成処理を行う工程とを含んで実現されるものであるデジタルカメラ。 - 請求項7記載のデジタルカメラであって、
前記合成処理は、
さらに、前記比xに基づいて、前記第2の画像データのガンマ補正パラメータを決定する工程と、
前記ガンマ補正パラメータに基づいて前記第2の画像データを補正する工程とを含んで実現されるものであるデジタルカメラ。 - 請求項7又は8記載のデジタルカメラであって、
前記合成処理は、
さらに、前記比xに基づいて、合成画像データの彩度補正パラメータを決定する工程と、
前記彩度補正パラメータに基づいて、前記合成画像データの彩度を補正する工程とを含んで実現されるものであるデジタルカメラ。 - 請求項7ないし9のいずれか1項記載のデジタルカメラであって、
前記第1の画像データと前記第2の画像データは、感度の異なる光電変換部を有する撮像素子による撮像信号に基づいて取得されるものであるデジタルカメラ。
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