JP2006323395A - 信号処理装置並びに音響再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タップ長の短いFIRフィルタを用いても良好な信号処理が行われる。
【解決手段】入力端子101から入力されたディジタル信号は2つの信号処理系に各々供給される。一方の信号処理系に供給されたディジタル信号はFIRフィルタ105の第1の入力端子151に直接入力される。また他方の信号処理系に入力された信号は遅延器102に入力され一定時間遅延された後に出力される。遅延器102より出力された信号は減衰器103により減衰ざれた後、FIRフィルタ105の第2の入力端子152に入力される。
【選択図】図1
【解決手段】入力端子101から入力されたディジタル信号は2つの信号処理系に各々供給される。一方の信号処理系に供給されたディジタル信号はFIRフィルタ105の第1の入力端子151に直接入力される。また他方の信号処理系に入力された信号は遅延器102に入力され一定時間遅延された後に出力される。遅延器102より出力された信号は減衰器103により減衰ざれた後、FIRフィルタ105の第2の入力端子152に入力される。
【選択図】図1
Description
本発明は、信号処理装置並びに音響再生装置に関する。特に、本発明はFIRフィルタを用いる信号処理装置並びにそれを用いた音響再生装置に関する。
例えば、帯域分割された周波数帯域ごとに残響処理を行う残響付加装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。ただし、ここで言う「残響処理」とは、その「残響特性(長さ、深さ等)」(第1頁最下行)について処理を行うものである。
実公平1−12320号公報
信号伝達経路等の系のインパルス応答を測定し、その応答を信号処理装置の中に構成したFIRフィルタにより再現するようにした電子機器が数多く提案されている。例えば、FIRフィルタを用いる残響付加装置では、部屋のインパルス応答を測定し、この応答を再現するFIRフィルタにより、実際に測定した部屋でその音を聞くのと同じ残響特性を持つ再生信号を全く別の環境下で聞くことができる。
またFIRフィルタを用いた音響再生装置では、スピーカから両耳への伝達特性を表すインパルス応答を測定し、この応答を再現するFIRフィルタを信号処理装置に設けることにより、ヘッドホンを用いる音響再生装置による再生でありながらスピーカシステムを用いた場合の再生の場合と同等の音像定位効果を発生させることができる。
しかしながらこのような信号処理装置において、測定したインパルス応答に忠実な収束時間及び周波数応答を持つフィルタを、FIRフィルタで高精度に構成しようとした場合、タップ長の長いFIRフィルタを用いる必要があった。従ってこのような信号処理を行うためには、多数個の信号処理装置を必要とし、高価でかつ大規模なシステムになってしまうものであった。
この出願はこのような点に鑑みて成されたものであって、解決しようとする問題点は、従来の装置では、FIRフィルタで高精度に構成しようとした場合に、タップ長の長いFIRフィルタを用いる必要がある。従ってこのような信号処理を行うためには、多数個の信号処理装置を必要とし、高価でかつ大規模なシステムになってしまうというものである。
このため本発明においては、信号処理手段の出力をFIRフィルタの中間に入力するようにしたものであって、これによれば、タップ長の短いFIRフィルタを用いても良好な信号処理が行われるようにすることができる。
請求項1の発明によれば、信号処理手段の出力をFIRフィルタの中間に入力するようにしたことによって、タップ長の短いFIRフィルタを用いても良好な信号処理が行われるようにすることができるものである。
また、請求項2の発明によれば、信号処理手段からの出力信号は、FIRフィルタの複数の遅延素子によって初期反射音に相当する時間だけ遅延された出力に加算されることによって、さらに良好な信号処理が行われるものである。
請求項3の発明によれば、信号処理手段は、入力されたディジタル音声信号を遅延させ、遅延された信号を減衰させて出力する第1の処理手段と、人力されたディジタル音声信号を第1の処理手段とは異なる時間だけ遅延させ、遅延された信号を第1の処理手段よりも更に減衰させて出力する第2の信号処理手段とを備えることによって、信号処理を具体的に実現することができるものである。
請求項4の発明によれば、第1の処理手段からの出力信号と第2の信号処理手段からの出力信号と入力されたディジタル音声信号とを加算する加算手段を備え、加算手段からの出力信号がFIRフィルタに供給されることによって、さらに良好な信号処理を行うことができるものである。
さらに請求項5の発明によれば、信号処理手段の出力をFIRフィルタの中間に入力するようにしたことによって、タップ長の短いFIRフィルタを用いても良好な信号処理が行われ、良好な音響再生が行われるようにすることができるものである。
また、請求項6の発明によれば、遅延減衰手段からの出力信号は、FIRフィルタの複数の遅延素子によって初期反射音に相当する時間だけ遅延された出力に加算されることによって、さらに良好な音響再生が行われるものである。
請求項7の発明によれば、信号処理手段は、入力されたディジタル音声信号を遅延させ、遅延された信号を減衰させて出力する第1の処理手段と、入力されたディジタル音声信号を第1の処理手段とは異なる時間だけ遅延させ、遅延された信号を第1の処理手段よりも更に減衰させて出力する第2の処理手段とを備えることによって、音響再生を具体的に実現することができるものである。
請求項8の発明によれば、第1の処理手段からの出力信号と第2の処理手段からの出力信号と入力されたディジタル音声信号とを加算する加算手段を備え、加算手段からの出力信号がFIRフィルタに供給されることによって、さらに良好な音響再生を行うことができるものである。
これによって、従来の装置では、FIRフィルタで高精度に構成しようとした場合に、タップ長の長いFIRフィルタを用いる必要がある。従ってこのような信号処理を行うためには、多数個の信号処理装置を必要とし、高価でかつ大規模なシステムになってしまうという問題点があったものを、本発明によればこれらの問題点を容易に解消することができるものである。
すなわち本発明の信号処理装置においては、入力されたディジタル音声信号を遅延および減衰させる信号処理手段と、入力されたディジタル音声信号に対して、音響伝達特性を表すインパルス応答の畳み込み処理を施すFIRフィルタとを備え、FIRフィルタは、複数の遅延素子と、遅延素子からの出力に所定の係数を乗算する複数の乗算器と、乗算器からの出力信号を加算する複数の加算器より構成され、信号処理手段からの出力信号は、FIRフィルタの複数の遅延素子との間に入力されてなるものである。
また、本発明の音響再生装置においては、入力されたディジタル音声信号に対して、音響伝達特性を表すインパルス応答の畳み込み処理を施す信号処理手段と、信号処理手段からの出力信号をアナログ信号に変換する変換手段と、変換手段からの出力信号を可聴音に変換する電気音響変換手段とを有し、信号処理手段は、入力されたディジタル音声信号を遅延および減衰させる遅延減衰手段と、入力されたディジタル音声信号に対して、音響伝達特性を表すインパルス応答の畳み込み処理を施すFIRフィルタとを備え、FIRフィルタは、複数の遅延素子と、遅延素子からの出力に所定の係数を乗算する複数の乗算器と、乗算器からの出力信号を加算する複数の加算器より構成され、遅延減衰手段からの出力信号は、FIRフィルタの複数の遅延素子との間に入力されてなるものである。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る信号処理装置並びに音響再生装置について詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る信号処理装置の処理ブロックを図示している。この図1において、入力端子101から入力されたディジタル信号は2つの信号処理系に各々供給される。一方の信号処理系に供給されたディジタル信号はFIRフィルタ105の第1の入力端子151に直接入力される。また他方の信号処理系に入力された信号は遅延器102に入力され一定時間遅延された後に出力される。遅延器102より出力された信号は減衰器103により減衰ざれた後、FIRフィルタ105の第2の入力端子152に入力される。
FIRフィルタ105は図2に示すように構成されている。入力端子101から入力されたディジタル信号は、直列に接続された複数の遅延素子222に供給される。これらの遅延素子222によって遅延された信号は、サンプリング周期のクロックに基づいて順次遅延素子222間を転送される。各遅延素子222の出力端より取り出された信号がそれぞれ係数器223に供給されて、所定の係数が乗算される。各係数器223からの乗算した結果は、加算回路224で加算されて出力端子253より出力される。
このようなFIRフィルタ105において、図3のAは測定したインパルス応答の例を示す。一方、FIRフィルタ105のタップ長は有限なので、これを図2に示すような普通のFIRフィルタで構成した場合、そのタップ長までの応答しか構成することができず、その応答は図3のCのように時間t1(図3のB)まで再生してその後は途切れてしまう。
これに対し遅延器102を介して時間t1だけ遅らせさらに減衰させた信号図4のAをこのFIRフィルタに入力すると、この入力によりFIRフィルタ105は図4のBのような応答を出力する。
従って、図1のような構成にし、直接入力信号とt1だけ遅延させて減衰させた信号をFIRフィルタ105に入力することにより、その出力は図3のCと図4のBを合成したもの、すなわち図4のCのような応答が得られ、実質的にインパルス応答時間を長くすることができる。この際、遅延器102から出力される遅延した信号は減衰器103によって減衰されているので、図3のCに示した応答と図4のBに示した応答は滑らかにつながる。
さらに図2に示すFIRフィルタ105には、第2の入力端子152が設けられているとともに、第2の入力端子152には減衰器103からの出力信号が供給される。この第2の入力端子152に入力された信号は加算器225で、複数の遅延素子222、図2の場合は2個の遅延素子222を経て遅延された信号と加算される。即ち、加算器225は複数の遅延素子222と直列に接続されているとともに、複数の遅延素子222の間の初期反射音と分散音との境目となる位置に設けられている。
例えばリスニングルームでスピーカシステムが出力された音で聴取者に到達する音は初期反射音と分散音とに大別される。第2の入力端子152に入力された信号が、分散音に相当する段以降の遅延素子222に供給される信号に加算されることによって、よりリスニングルームで、スピーカシステムで聞いているような音場を実現することができる。
初期反射音がどれだけの長さになるかは、リスニングルームの大きさによって異なるので、加算器252を挿入、配設する位置は、図2に示すように、2段目の遅延素子222と3段目の遅延素子222との間に限らず、想定するリスニングルームの大きさに応じて適時変更すればよい。すなわちこの第1の実施形態の構成によれば、付加される応答部分はインパルス応答の立ち上がり近傍を除いた部分になる。
ここでインパルス応答の立ち上がり近傍は上述したようにリスニングルームのような部屋の残響等においては初期反射音が占めている。ところがインパルス応答の後半部分は分散音が中心の応答であり、初期反射音とは異なった特徴を持つ応答となっている。従ってこのようにインパルス応答立ち上がり近傍部分以降に遅延器102によって遅延された信号に基づく応答を付加することは分散音に近いインパルス応答部分を加えることになり、より自然な応答とすることができる。
従ってこの第1の実施形態によれば、タップ長の短いFIRフィルタを用いても長いインパルス応答を再現できるようになるので、信号処理の規模を大幅に少なくでき、これをディジタル信号処理用IC等で構成する場合使用ICの個数を大幅に低減できる。従って当然実装面積を少なくし、消費電力を低減しなおかつ安価にシステムを構成できる。
こうして第1の実施形態に係る装置によれば、一方の信号処理系に供給された信号を減衰器及び遅延器に供給し、他方の信号処理系に供給された信号をFIRフィルタに直接入力すると共に、減衰及び遅延した信号をFIRフィルタの途中に設けられた加算器に入力される。その結果、FIRフィルタにはまず遅延されていない信号、即ち、入力端子101から入力されたディジタル信号が入力され、そのインパルス応答がおおよそ完了する時点に遅延された信号が今度はFIRフィルタのタップ途中に人力される。
すなわちFIRフィルタからは入力された遅延された信号に基づいて、上述したように分散音に相当するインパルス応答が出力される。これによりFIRフィルタによる応答の長さは途中に挿入されたタップ以降のタップ長が付加されると同等になり、タップ長の短いFIRフィルタでも長いインパルス応答を作ることができると共に、より自然な応答とすることができる。
また、一方の信号処理系に供給された信号は、遅延器及び減衰器によって遅延及び減衰され、減衰及び遅延した信号を他方の信号処理系に供給された信号と加算した後、FIRフィルタに入力するように構成したことによって、FIRフィルタにはまず遅延されてない信号、即ち、入力端子より入力されたディジタル信号そのものが入力される。
そしてこの入力されたディジタル信号のインパルス応答がおおよそ完了する時点に遅延された信号が再びFIRフィルタに入力される。その結果、これにより見かけのFIRフィルタによる応答の長さは2倍になり、タップ長の短いFIRフィルタでも長いインパルス応答を作ることができる。
図5は本発明の第2の実施形態に係る信号処理装置の処理ブロックを図示している。この図5において、入力端子101から入力されたディジタル信号は2つの信号処理系に各々供給される。一方の信号処理系に供給された信号は、遅延器102に入力され少なくとも2つ以上の異なる遅延時間で遅延された後、各々出力される。この遅延器102より取り出された異なる遅延を持った信号は減衰器103a,103bにより減衰された後加算回路104で加算され、FIRフィルタ105の第2の入力端子152に入力される。
そしてこのFIRフィルタ105に予め設定された係数を用いて、FIRフィルタ105に入力された信号にインパルス応答を畳み込んだ後に出力端子106より出力される。なお、FIRフィルタ105の構成は図2に示したFIRフィルタと同様のものが使用される。他は図1と同様に構成される。
この第2の実施形態に係る信号処理装置では、入力端子101から入力されたディジタル信号は、FIRフィルタ105の第1の入力端子151に入力されると共に、遅延器102に入力される。遅延器102に入力された信号は、遅延器102によって互いに異なる遅延時間で遅延された出力信号が出力端子R1,R2より各々出力される。この第2の実施形態の場合には、遅延器102の出力端R2から出力される信号の遅延時間のほうが、遅延器102の出力端R1より出力される信号の遅延時間よりも長い。
そして遅延器102から出力された2つの遅延された信号は各々減衰器103a,103bに供給されて、各々減衰される。この場合、減衰器103bの減衰率のほうが減衰器103aの減衰率よりも大きい。これら減衰器103a,103bからの出力信号は、加算回路104によって加算されてFIRフィルタ105の第2の入力端子152に供給される。
FIRフィルタ105では、第1の入力端子151に入力されたディジタル信号にインパルス応答が畳み込まれて出力端子153より出力されるとともに、続いて、第2の入力端子152に入力される遅延されて減衰された信号のうち、減衰器103aから出力された信号に分散音に相当するインパルス応答が畳み込まれて出力端子153より出力される。このとき、減衰器103aによって遅延された信号は所定のレベルまで減衰されているので第1の入力端子151に入力された信号のインパルス応答と、図4Cに示した場合と同様に滑らかにつながる。
更につづいて、FIRフィルタ305の第2の入力端子352に入力された減衰器303bからの遅延されて減衰された信号に、分散音に相当するインパルス応答が畳み込まれ、出力端子353より出力される。このとき、減衰器303bによって、遅延器302の出力端R2から出力された信号は、減衰器303aから出力された信号よりも更に減衰されているので減衰器303aから出力された信号のインパルス応答に続いて、且つ減衰器303aから出力されたインパルス応答に滑らかにつながった状態のFIRフィルタ305より出力される。
従ってこの第2の実施形態によれば、上述の図1の実施形態においてさらに遅延器を介して遅らせる時間t1が複数になり、FIRフィルタのタップ長をさらに短くすることができる。
さらに、図6は本発明の第3の実施形態に係る信号処理装置の処理ブロックを図示している。この図6において、上述の図5の実施形態の遅延器102の出力の信号のうちの何れか一方の出力信号、本例ではR2の出力信号を、減衰器103bからの出力信号は減衰器103bを通して加算回路104に入力するとともに、減衰器407で減衰された後、遅延器102の入力段に帰還する。
即ち、減算器407によって減衰された信号は、遅延器102の前端に設けられた加算回路408で加算され、遅延器102の入力端に入力される。この第3の実施形態の場合、減衰器103aに供給される出力信号R1を減衰器407に供給するようにしてもよい。
さらに、図7は本発明の第4の実施形態に係る信号処理装置の処理ブロックを図示している。この図7において、上述の図5の実施形態の遅延器102からさらにもう一つの遅延された信号R3を取り出し、減衰器507で減衰された後、遅延器102の入力段に帰還させる。即ち、減衰器507によって減衰された信号は、遅延器102の前段に設けられた加算回路508で加算され、入力端子101から入力されたディジタル信号と加算された信号が遅延器102に供給される。
これら第3及び第4の実施形態の減衰器407,507の減衰率は、遅延器102から出力された遅延された信号の遅延時間との関係で決まる。即ち、遅延器102から出力された遅延時間が長い場合には、遅延された信号の減衰量が大きくなり、FIRフィルタ105から出力されたインパルス応答が実際に測定したインパルス応答に近くなるように減衰器407,507の減衰率が設定される。
逆に、遅延器102から出力された遅延時間が短い場合には、遅延された信号の減衰量が小さくなり、前述と同様にFIRフィルタ105から出力されたインパルス応答が実際に測定されたインパルス応答に近くなるように減衰器407,507の減衰率が設定される。第9,第10の実施形態の減衰器407,507に供給される信号の遅延時間は任意に設定される。
すなわちこれらの第3,第4の実施形態によれば、さらに遅延器の出力信号を、当該遅延器の入力端に帰還することによって、遅延された信号が減衰された後再び遅延器の入力になるので、一定比率で減衰した入力が一定周期で繰り返しFIRフィルタに入力されることになり、これによりFIRフィルタの見かけ上のタップ長さをさらに長くすることができる。
従って、これらの第3,第4の実施形態によれば、タップ長の短いFIRフィルタを用いても長いインパルス応答を再現できるようになるので、信号処理の規模を大幅に少なくでき、これをディジタル信号処理用IC等で構成する場合使用ICの個数を大幅ご低減できる。従って当然実装面積を少なくし、消費電力を低減しなおかつ安価にシステムを構成できるという大きな効果を有する。
さらに図8,図9は、本発明による信号処理装置を音響再生装置に応用した実施形態を示す。
まず図8は、ヘッドホンを用いた音響再生装置の全体の構成を示す。この図8において、音声入力端子61より入力されたアナログ音声信号はA/D変換器62によりディジタル信号、例えば44.1KHzのディジタルオーディオ信号に変換される。ディジタル化された信号は信号処理装置63に入力され、ここで音像を頭外に定位させるためのフィルタリングが行われる。
すなわちこの信号処理装置63での信号処理内容は、例えば前方に置かれた2ケの発音源から両耳にいたる合計4種類のインパルス応答を予め測定し、その測定した特性を図7に示すようなフィルタによって畳み込む。
図9においては、第1及び第2の入力端子71,72に入力された信号、例えばL,Rの各チャンネルの信号がそれぞれフィルタ73,74と、フィルタ75,76とに供給される。これらのフィルタ73とフィルタ75からの信号が加算器78で加算され、フィルタ74とフィルタ76からの信号が加算器78で加算される。これらの加算信号が第1及び第2の出力端子79,80に取り出される。
ここでフィルタ73〜76は図1,図5〜7に示したFIRフィルタを用いた信号処理装置を用いる。出力端子79,80に出力された信号は、D/A変換器64によってL,Rの各チャンネルのアナログオーディオ信号に変換されて、増幅器65によって増幅された後に、ヘッドホンシステム66の一対のスピーカユニットに各々供給される。
これにより、ヘッドホンシステム66を頭部に装着してヘッドホンシステム66から出力された音を聞いている聴取者は、あたかもスピーカシステムから再生された音を聞いているように感じる。即ち、ヘッドホンシステム66の左右のスピーカユニットから出力される音の中心、定位が聴取者の頭部の中に位置しているのではなく、頭外に出た位置、頭部前方に位置する。
そして本発明によれば、フィルタ73〜76は、上述の構成の採用によりFIRフィルタを簡略化し小型かつ廉価な音響再生装置を提供することができる。
なお、図8,図9に示した実施形態では、ヘッドホンを用いて再生された音像の頭外定位感を得る音響再生装置を示したが、この部分をスピーカ再生とし2個のスピーカの外側まで音像が定位するようにしたシステムでのFIR処理の置き換えとしても本発明を応用することができる。
すなわちこの図8,図9に示した装置において、発音源から両耳までのインパルス応答を畳み込むためのフィルタを、図1、図5から図7に示したような信号処理装置を用いて構成すれば、再生された音像の頭外感あるいは前方定位感が従来のサンプリング周波数一定で同数の総タップ数を持ったFIRフィルタで構成した場合に比べて大幅に改善されるという効果がある。
さらに図8,図9に示した例ではヘッドホンを用いて再生された音像の頭外定位感を得る音響再生装置を示したが、この部分をスピーカ再生とし2個のスピーカの外側まで音像が定位するようにしたシステムにも応用できる。
更に本発明を音場シミュレーションシステムに応用すれば、少ないタップ数で長い応答時間の再現が出来る。その結果、従来インパルス応答を巨視的にみて特徴的なパルスのみを捕らえ、サンプリング時間に比べ荒い時間間隔で残響発生器を構成していたものを、サンプリング時間毎に分布する密なパルスで構成できるようになり、より忠実な音場再現ができるようになる。
なお本発明は、上述の説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱することなく種々の変形が可能とされるものである。
101,151,152…入力端子、102,407,507…遅延器、103…減衰器、104,408,504…加算回路、105…FIRフィルタ、106,153…出力端子、222…遅延素子、223…係数器、224,225…加算器、61…音声入力端子、62…A/D変換器、63…信号処理装置、64…D/A変換器、65…増幅器、66…ヘッドホンシステム、71…第1の入力端子、72…第2の入力端子、73〜76…フィルタ、77,78…加算器、79,80…出力端子
Claims (8)
- 入力されたディジタル音声信号を遅延および減衰させる信号処理手段と、
前記入力されたディジタル音声信号に対して、音響伝達特性を表すインパルス応答の畳み込み処理を施すFIRフィルタと
を備え、
前記FIRフィルタは、
複数の遅延素子と、
前記遅延素子からの出力に所定の係数を乗算する複数の乗算器と、
前記乗算器からの出力信号を加算する複数の加算器より構成され、
前記信号処理手段からの出力信号は、前記FIRフィルタの前記複数の遅延素子との間に入力されることを特徴とする信号処理装置。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
前記信号処理手段からの出力信号は、
前記FIRフィルタの前記複数の遅延素子によって初期反射音に相当する時間だけ遅延された出力に加算されることを特徴とする信号処理装置。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
前記信号処理手段は、
前記入力されたディジタル音声信号を遅延させ、遅延された信号を減衰させて出力する第1の処理手段と、
前記人力されたディジタル音声信号を前記第1の処理手段とは異なる時間だけ遅延させ、遅延された信号を前記第1の処理手段よりも更に減衰させて出力する第2の信号処理手段と
を備えることを特徴とする信号処理装置。 - 請求項3に記載の信号処理装置において、
前記第1の処理手段からの出力信号と前記第2の信号処理手段からの出力信号と前記入力されたディジタル音声信号とを加算する加算手段を備え、
前記加算手段からの出力信号が前記FIRフィルタに供給されることを特徴とする信号処理装置。 - 入力されたディジタル音声信号に対して、音響伝達特性を表すインパルス応答の畳み込み処理を施す信号処理手段と、
前記信号処理手段からの出力信号をアナログ信号に変換する変換手段と、
前記変換手段からの出力信号を可聴音に変換する電気音響変換手段とを有し、
前記信号処理手段は、
前記入力されたディジタル音声信号を遅延および減衰させる遅延減衰手段と、前記入力されたディジタル音声信号に対して、前記音響伝達特性を表すインパルス応答の畳み込み処理を施すFIRフィルタと
を備え、
前記FIRフィルタは、
複数の遅延素子と、前記遅延素子からの出力に所定の係数を乗算する複数の乗算器と、前記乗算器からの出力信号を加算する複数の加算器より構成され、
前記遅延減衰手段からの出力信号は、前記FIRフィルタの前記複数の遅延素子との間に入力されることを特徴とする音響再生装置。 - 請求項5に記載の音響再生装置において、
前記遅延減衰手段からの出力信号は、前記FIRフィルタの前記複数の遅延素子によって初期反射音に相当する時間だけ遅延された出力に加算される
ことを特徴する音響再生装置。 - 請求項5に記載の音響再生装置において、
前記信号処理手段は、
前記入力されたディジタル音声信号を遅延させ、遅延された信号を減衰させて出力する第1の処理手段と、
前記入力されたディジタル音声信号を前記第1の処理手段とは異なる時間だけ遅延させ、遅延された信号を前記第1の処理手段よりも更に減衰させて出力する第2の処理手段と
を備えることを特徴とする音響再生装置。 - 請求項7に記載の音響再生装置において、
前記第1の処理手段からの出力信号と前記第2の処理手段からの出力信号と前記入力されたディジタル音声信号とを加算する加算手段を備え、
前記加算手段からの出力信号が前記FIRフィルタに供給されることを特徴とする音響再生装置。
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JP (1) | JP2006323395A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2663512A1 (de) | 2011-01-11 | 2013-11-20 | Pöppelmann Holding GmbH & Co. KG. | AUSGIEßER UND BEHÄLTNIS MIT EINEM SOLCHEN |
WO2021095127A1 (ja) * | 2019-11-12 | 2021-05-20 | 日本電信電話株式会社 | 受信装置 |
-
2006
- 2006-06-06 JP JP2006157695A patent/JP2006323395A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2663512A1 (de) | 2011-01-11 | 2013-11-20 | Pöppelmann Holding GmbH & Co. KG. | AUSGIEßER UND BEHÄLTNIS MIT EINEM SOLCHEN |
WO2021095127A1 (ja) * | 2019-11-12 | 2021-05-20 | 日本電信電話株式会社 | 受信装置 |
JPWO2021095127A1 (ja) * | 2019-11-12 | 2021-05-20 | ||
JP7208570B2 (ja) | 2019-11-12 | 2023-01-19 | 日本電信電話株式会社 | 受信装置 |
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