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JP2006321914A - 自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた自動車外装部品 - Google Patents

自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを用いた自動車外装部品 Download PDF

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JP2006321914A JP2005146689A JP2005146689A JP2006321914A JP 2006321914 A JP2006321914 A JP 2006321914A JP 2005146689 A JP2005146689 A JP 2005146689A JP 2005146689 A JP2005146689 A JP 2005146689A JP 2006321914 A JP2006321914 A JP 2006321914A
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Abstract

【課題】耐汚れ性、成形性、物性バランスに優れた自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物の提供と、それを用いることによる自動車白色外装部品とりわけ自動車バンパー材料の提供。
【解決手段】(a)結晶性プロピレン系ブロック共重合体50〜65重量%、(b)無機フィラー10〜20重量%、(c)酸化チタン粒子0.5〜3重量%、(d)エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー10〜20重量%、(e)エチレン・エチルアクリレート共重合体2〜10重量%、(g)脂肪酸アミドまたはその誘導物0.2〜1.0重量部を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、曲げ弾性率が1400MPa以上、−30℃アイゾット衝撃値が4KJ/m以上であることを特徴とする自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物に関し、特に、耐汚れ性、物性バランスに優れ、かつ射出成形加工性が良好な自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
従来からバンパーなどの自動車用外装部品には、ポリプロピレン樹脂が広く利用されている。このようなポリプロピレン樹脂製部品は、意匠性、耐傷つき性向上などのために通常部品表面に塗装が施されている。しかしながら、近年は、コスト合理化の観点から、また溶剤規制などの環境問題の観点から、樹脂に直接顔料を入れ着色することにより塗装を施さない、いわゆる原着材料としての使用が広がってきている。
例えば、プロピレン系樹脂;50〜95重量部と、アクリル系樹脂;5〜40重量部とからなる樹脂成分と着色剤、無機充填剤とから形成された原着材料からなる表面光沢に優れ、色の深みがある塗装不要な射出成形品(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。また、プロピレン系ブロック共重合体50〜99.9重量%、ポリエチレン0.1〜10重量%、MFRが0.1〜60g/10分のエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマー又はスチレン系エラストマー0〜30重量%、無機フィラー0〜50重量%、脂肪酸アミド又はその誘導体0.05〜3重量部、25℃における粘度が1万mm/s以上のシリコーン化合物0〜3重量部、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン0〜5重量部からなる耐傷つき性の良好な原着材料(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
しかし、かかる提案では、雨水、油、埃、ダスト、虫などによる汚れ成分に対する考慮は一切なされていない。長期における屋外での使用においては、成形品表面に雨などによるしみ等の汚れが付着するといった問題が想定され、かかる汚れが簡単に落ちやすい耐汚れ性に優れた原着材料が出現すれば産業上利用価値はきわめて大きい。本発明者らの検討では、上記提案にかかる原着材料は、使用態様を想定した汚れ試験において付着した汚れが落ちにくく、耐汚れ性の性能が十分なものとはいえなかった。
特開平7−285143号公報 特開2002−3692号公報
本発明の目的は、上記耐汚れ性における欠点を解決しつつ、成形性、物性バランスに優れた自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物の提供と、それを用いることによる自動車外装部品とりわけ自動車バンパーを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、種々の研究を重ねた結果、特定の結晶性プロピレン系ブロック共重合体、無機フィラー、酸化チタン粒子、特定の密度を有するエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー、特定のエチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン系樹脂及び脂肪酸アミド類を組み合わせることにより、従来の材料に比べて優れた耐汚れ性を発現するポリプロピレン系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成することに至ったものである。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記成分(a)〜成分(g)を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、曲げ弾性率が1400MPa以上、−30℃アイゾット衝撃値が4KJ/m以上であることを特徴とする自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分(a):下記(i)〜(iv)を満足する結晶性プロピレン系ブロック共重合体 50〜65重量%
(i)MFRが40〜80g/10分
(ii)結晶性ホモポリプロピレン部分のMFRが100〜200g/10分で、13C−NMRにより求めたIPFが0.97以上
(iii)エチレン・プロピレン共重合部分の比率が15〜25重量%
(iv)エチレン・プロピレン共重合部分のエチレン含量が35〜45重量%
成分(b):無機フィラー 10〜20重量%
成分(c):粒径が0.05〜2μmの酸化チタン粒子 0.5〜3重量%
成分(d):MFRが0.2〜10g/10分、密度が0.865〜0.886g/cmであるエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー 10〜20重量%
成分(e)エチルアクリレート重合単位の比率が10〜20重量%であるエチレン・エチルアクリレート共重合体 2〜10重量%
成分(f):密度が0.93g/cm以上であるエチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン単独重合体 3〜10重量%
成分(g):脂肪酸アミドまたはその誘導物 成分(a)〜(f)の合計100重量部に対して0.2〜1.0重量部
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記(b)無機フィラーが、タルクであることを特徴とする自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明の自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて成形したことを特徴とする自動車用外装部品が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、自動車用外装部品が、バンパーであることを特徴とする自動車用外装部品が提供される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、耐汚れ性に優れ、かつ機械物性および射出成形性にすぐれた白色のポリプロピレン系樹脂組成物であり、自動車用外装部材として好適な樹脂組成物である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、(a)結晶性プロピレン系ブロック共重合体、(b)無機フィラー、(c)酸化チタン粒子、(d)エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー、(e)エチレン・エチルアクリレート共重合体、(f)ポリエチレン、及び(g)脂肪酸アミドまたはその誘導体を含有する自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物である。以下に、ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分、ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、ポリプロピレン系樹脂組成物の物性、ポリプロピレン系樹脂組成物の用途について詳細に説明する。
1.ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
(a)結晶性プロピレン系ブロック共重合体
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いる結晶性プロピレン系ブロック共重合体(a)は、結晶性ホモポリプロピレン部分とエチレン・プロピレン共重合部分を逐次重合して得られる結晶性プロピレン系ブロック共重合体であり、下記(i)〜(iv)の特性を満足する結晶性プロピレン系ブロック共重合体である。
(i)MFR
結晶性プロピレン系ブロック共重合体(a)全体のメルトフローレート(MFR)は、40〜80g/10分であり、好ましくは50〜70g/10分であり、より好ましくは55〜65g/10分である。MFRが40g/10分未満であると成形性が劣り、80g/10分を超えると衝撃強度、引張り伸びが低下する。
ここで、MFRは、JIS K 7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定する値である。
(ii)ホモポリプロピレン部分
結晶性プロピレン系ブロック共重合体(a)のホモポリプロピレン部分のMFRは、100〜200g/10分であり、好ましくは160〜180g/10分である。MFRが100g/10分未満であると成形性が劣り、200g/10分を超えると衝撃強度、引張り伸びが低下する。
また、結晶性ホモポリプロピレン部分は、13C−NMRにより求めたIPFが、0.97以上であり、好ましくは0.975以上である。IPFが0.97未満であると剛性、耐熱性が低下する。
IPFは、重合触媒の電子供与体(外部及び/又は内部ドナー)の添加量を制御し、さらにこれらの重合過程での欠落を防止することにより側鎖の立体配置を制御することにより、調整することができる。
ここで、IPFは、Macromolecules,6,925(1973年)記載の方法、すなわち13C−NMRを使用する方法で測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率である。
(iii)エチレン・プロピレン共重合部分の比率
結晶性プロピレン系ブロック共重合体(a)のエチレン・プロピレン共重合部分の比率は、結晶性ホモポリプロピレン部分とエチレン・プロピレン共重合部分との和に対し、15〜25重量%であり、好ましくは17〜23重量%である。エチレン・プロピレン共重合部分の比率が15重量%未満であると衝撃強度が低下し、25重量%を超えると剛性が低下する。
(iv)エチレン・プロピレン共重合部分のエチレン含量
結晶性プロピレン系ブロック共重合体(a)のエチレン・プロピレン共重合部分のエチレン含量は、35〜45重量%であり、好ましくは38〜43重量%である。エチレン含量が35重量%未満であると衝撃強度が低下し、45重量%を超えると衝撃強度が低下する。
本発明で用いる結晶性プロピレン系ブロック共重合体(a)は、高立体規則性触媒を用いてスラリー重合、バルク重合、気相重合により製造することが好ましい。高立体規則性触媒としては、塩化マグネシウムに四塩化チタン、有機ハイドライド、及び有機シラン化合物を接触させて形成した固体成分に有機アルミニウム化合物を組み合わせた触媒が挙げられる。重合方式としては、バッチ重合、連続重合のどちらの方式でも採用される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、結晶性プロピレン系ブロック共重合体(a)の配合量は、50〜65重量%であり、好ましくは55〜60重量%である。成分(a)の配合量が、50重量%未満では剛性などが不足となり、65重量%を超えると衝撃強度と剛性のバランスが悪くなる。
(b)無機フィラー
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いる無機フィラー(b)は、剛性の向上、寸法安定性の調整等を目的に用いられる。無機フィラーとしては、特に限定されないが、タルク、ワラストナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、カーボンファイバーなどが挙げられ、特にタルクが好ましい。
タルクとしては、外観や衝撃強度の点から、好ましくは平均粒径が1.5〜15μmである。該タルクは、例えば、先ずタルク原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粉砕して製造したり、更にジェットミルなどで粉砕した後、サイクロンやミクロンセパレータ等で分級調整する等の方法で製造する。タルクの平均粒径は、レーザ回折散乱方式粒度分布計(例えば、堀場製作所LA−920型)を用いて測定することができる。
また、見かけ比容を2.50ml/g以下にしたいわゆる圧縮タルクを用いても良く、該タルクは、金属石鹸、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはそれらの変性物、有機シラン、有機ボラン、有機チタネ−ト等を使用して表面処理されたものであってもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、無機フィラー(b)の配合量は、10〜20重量%であり、好ましくは12〜18重量%である。成分(b)の配合量が、10重量%未満では剛性や耐熱性が不足し、20重量%を超えると衝撃強度や外観が劣り不適である。
(c)酸化チタン粒子
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いる酸化チタン粒子(c)は、結晶構造的にルチル型とアナタース型いずれの結晶構造であってもよい。耐候性が優れるルチル型が好ましい。また、酸化チタンはその生成過程において、使用媒体中での分散性や、耐候性を改良するためにAl、SiO、ZnO等で表面処理されたものであってもよい。
また、酸化チタン粒子の粒径は、0.05〜2μmである。この範囲の粒径にすることにより、着色力、隠ぺい力などに優れるようになる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、酸化チタン粒子(c)の配合割合は、0.5〜3重量%であり、好ましくは0.8〜2重量%である。0.5重量%未満では、着色力、隠蔽度におとり、3重量%を超えると剛性などを下げるために好ましくない。
(d)エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いるエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー(d)は、耐衝撃性を向上しつつ、かつ良好な成形性、物性、収縮特性の発現等を目的に用いられる。エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーにおいて、エチレンと共重合されるα−オレフィンとしては、1−オクテンまたは1−ブテンなどが挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーは、1種類である必要はなく2種類以上の混合物であってもよい。
本発明で使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー(d)のMFRは、0.2〜10g/10分であり、好ましくは、0.4〜6g/10分である。MFRが上記範囲を逸脱した場合には、外観が不良となる場合もしくは、衝撃性が不十分となる。
ここで、MFRはJIS−K7210に準拠し、230℃、荷重2.16kgで測定する値である。
また、本発明で使用されるエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー(d)の密度は、0.86〜0.886g/cmであり、好ましくは0.87〜0.88g/cmである。密度が、0.86g/cm未満ではプロピレン系樹脂組成物の耐汚れ性が不十分であり、密度が0.886g/cmを超える場合には衝撃性が不十分となる。
ここで、密度はJIS−K7112に準拠して測定する値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー(d)の配合割合は、10〜20重量%であり、好ましくは12〜18重量%である。10重量%未満では、衝撃強度が不足し、20重量%を超えると、剛性が劣り不適である。
(e)エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いるエチレン・エチルアクリレート共重合体(e)は、エチルアクリレート重合単位の比率が10〜20重量%であり、好ましくは13〜18重量%である。エチルアクリレート重合単位の比率が10重量%未満であると相溶性が高くなり表面への移行が少なく、耐汚れ性が不足となる。20重量%を超えると相溶性が悪いために、物性低下および層状剥離が発生し成形品の外観が不良となる。
また、エチレン・エチルアクリレート共重合体(e)は、メルトインデックス(190℃、2.16kg荷重で測定)の値が1〜120g/10分が好ましく、10〜100g/10分がより好ましく、20〜80g/10分がさらに好ましい。メルトインデックスがこの範囲にあると、耐汚れ性がより向上するので好ましい。
ここで、メルトインデックスは、JIS−K7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定する値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、エチレン・エチルアクリレート共重合体(e)の配合割合は、2〜10重量%であり、好ましくは3〜9重量%である。2重量%未満であると耐汚れ性が悪化し、10重量%を超えると剛性が低くなる。
(f)ポリエチレン
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いるポリエチレン(f)は、エチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン単独重合体である。
エチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン単独重合体(f)の密度は、0.93g/cm以上であり、好ましくは0.940g/cm以上であり、より好ましくは0.950〜0.970g/cmである。上記範囲外の場合には外観や耐傷付き性が劣り不適である。
ここで、密度はJIS−K7112に準拠して測定する値である。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、エチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン単独重合体(f)の配合量は、3〜10重量%であり、好ましくは4〜8重量%である。成分(f)の配合量が3%重量未満では耐汚れ性が悪く、10重量%を超えると剛性に悪影響を及ぼす。
(g)脂肪酸アミド又はその誘導体
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いる脂肪酸アミド(g)としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド等が挙げられる。また、脂肪酸アミド誘導体としては、12−ヒドロキシステアリル酸アミド等が挙げられる。
これらの中から選ばれる一種又は二種以上を併用して使用することができ、なかでも、オレイン酸アミドが好ましい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物において、脂肪酸アミド又はその誘導体(g)の配合量は、上記成分(a)〜(f)の合計100重量部に対し、0.2〜1.0重量部であり、好ましくは0.3〜0.6重量部である。成分(g)の配合量が0.2重量部未満では耐汚れ性が悪く、1.0重量部を超えると剛性に悪影響を及ぼす。
(h)その他の配合成分(任意成分)
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲で、或いは、更に性能の向上をはかるために、上記成分以外に、以下に示す任意成分を配合することができる。具体的には、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、核剤、難燃剤、分散剤、顔料、発泡剤などをあげることが出来る。
2.ポリプロピレン系樹脂組成物の製造と成形
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(a)〜(g)を、従来公知の方法で、各配合成分を上記配合割合で配合・混合し、溶融混練することにより製造できる。
溶融混練は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いて混練・造粒することによって、本発明のプロピレン系樹脂組成物が得られる。
この場合、各成分の分散を良好にすることができる混練・造粒方法を選択することが好ましく、通常は二軸押出機を用いて行われる。この混練・造粒の際には、上記各成分の配合物を同時に混練してもよく、また性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、先ずプロピレン系重合体の一部又は全部とエラストマーとを混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、公知の各種方法による成形に用いることができる。例えば、射出成形(ガス射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、中空成形、カレンダー成形、インフレーション成形、一軸延伸フィルム成形、二軸延伸フィルム成形等にて成形することによって各種成形品を得ることができる。このうち、射出成形、射出圧縮成形がより好ましい。
3.ポリプロピレン系樹脂組成物の物性
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(a)〜(g)の組成物であるので、MFRが25g/10分以上、より好ましくは30g以上、曲げ弾性率が1400以上、より好ましくは1500MPa以上、−30℃におけるアイゾッド衝撃値が4KJ/m以上、好ましくは4.5KJ/m以上のものとなる。ポリプロピレン系樹脂組成物がこのような値であることにより、耐汚れ性、物性バランスに優れ、かつ射出成形加工性に優れる効果を有する。
ここで、MFRはJIS−K7210に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定する値であり、曲げ弾性率はJIS−K7203に準拠して測定する値であり、アイゾッド衝撃値はJIS−K7110に準拠して測定する値である。
4.ポリプロピレン系樹脂組成物の用途
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、耐汚れ性、物性バランスに優れ、かつ射出成形加工性に優れるため、各種工業部品分野、特に薄肉化、高機能化、大型化された各種自動車用成形品、例えばバンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダー、バックドア、ガーニッシュなどの自動車用外装部品の成形材料として、実用に十分な性能を有している。
以下に、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を実施例および比較例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例および比較例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例において使用した原材料および試験法・評価方法は以下のとおりである。
1.評価方法
(1)MFR:JISK7210に準拠して行った。
(2)密度:JIS−K7112に準拠して測定する値である。
(3)曲げ弾性率(単位:MPa):JIS−K7203に準拠して23℃で測定した。
(4)アイゾット(IZOD)衝撃強度(単位:KJ/m):JIS−K7110に準拠し、−30℃で測定した。
(5)外観:射出成形して成形した100×100×3mmtのシートを用いて、成形不良の有無を目視にて観察した。
(6)耐汚れ性:射出成形機にて成形した100×100×3mmtのシートを、JIS−B7753に準拠したサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機に取り付け、JIS−K7350−4に準拠したブラックパネル63℃、降雨時間12分/60分、の条件で1000時間暴露して、汚れ付着シートを作成した。得られた汚れ付着シートを流水下にて市販のスポンジにて洗浄し、汚れ度合いを目視にて4段階で評価した。
◎:汚れが目立たない
○:若干汚れが目立つ
△:やや汚れが目立つ
×:汚れが目立つ
2.原材料
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体(成分(a))
表1に示す(a−1)〜(a−3)のプロピレン・エチレンブロック共重合体を用いた。
(2)無機フィラー(成分(b))
b−1:タルク(富士タルク製LMS200(LA920により求めた平均粒径:6μm)を用いた。
(3)酸化チタン粒子(成分(c))
c−1:酸化チタン粒子(市販品、粒径が0.1μm)を用いた。
(4)エチレン・α−オレフィン系エラストマー(成分(d))
表2に示したエチレン・α−オレフィン系エラストマー(d−1)〜(d−4)を用いた。
(5)エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)(成分(e))
表3に示したエチレン・エチルアクリレート共重合体(e−1)〜(e−3)を用いた。
(6)ポリエチレン(成分(f))
f−1:ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、HJ490D、密度0.94g/cm)を用いた。
(7)肪酸アミド又はその誘導体(成分(g))
g−1:オレイン酸アミド(市販品)を用いた。
Figure 2006321914
Figure 2006321914
Figure 2006321914
(実施例1〜4、比較例1〜9)
表4に示す成分を、表4に示す割合にて、スーパーミキサーにてドライブレンドした後、押出し温度200℃、吐出量35kg/hの条件で2軸押出し機(神戸製鋼社製、KTX44)を用いて溶融混練した。なお、溶融混練時の熱安定剤として、イルガノックス1010を組成物100重量部に対して0.1重量部添加した。溶融混練後、射出成形(220℃、金型温度40℃)にて試験片を作製し、評価を行った。その結果を表5に示す。
Figure 2006321914
Figure 2006321914
表4及び5より明らかなように、実施例1〜4は各成分の要件を満たしており、成形性、物性、外観が良好、かつ耐汚れ性に優れる成形品が得られた。
一方、比較例1、2はEEAが無添加の為、耐汚れ性が低下する。比較例3はオレイン酸アミドが無添加であり、耐汚れ性が低下する。比較例4はポリエチレンが無添加であり、耐汚れ性が低下する。比較例5はエラストマーの密度が低い為、耐汚れ性が低下する。比較例6はエラストマーの密度が高い為、耐汚れ性は良好であるが、衝撃強度が低下する。比較例7はプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRが低い為、成形性が劣る。比較例8はEEAのエチルアクリレート重合単位が低く、耐汚れ性が低下する。比較例9はEEAのエチルアクリレート重合単位が高い為、層状剥離が発生した。外観が悪く、耐汚れ性の評価は実施しなかった。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、耐汚れ性に優れ、かつ機械物性および射出成形性にすぐれた白色のポリプロピレン系樹脂組成物であり、自動車用外装部材、特にバンパー材料として、実用に十分な性能を有し、工業的に用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記成分(a)〜成分(g)を含むポリプロピレン系樹脂組成物であって、曲げ弾性率が1400MPa以上、−30℃アイゾット衝撃値が4KJ/m以上であることを特徴とする自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    成分(a):下記(i)〜(iv)を満足する結晶性プロピレン系ブロック共重合体 50〜65重量%
    (i)MFRが40〜80g/10分
    (ii)結晶性ホモポリプロピレン部分のMFRが100〜200g/10分で、13C−NMRにより求めたIPFが0.97以上
    (iii)エチレン・プロピレン共重合部分の比率が15〜25重量%
    (iv)エチレン・プロピレン共重合部分のエチレン含量が35〜45重量%
    成分(b):無機フィラー 10〜20重量%
    成分(c):粒径が0.05〜2μmの酸化チタン粒子 0.5〜3重量%
    成分(d):MFRが0.2〜10g/10分、密度が0.865〜0.886g/cmであるエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー 10〜20重量%
    成分(e)エチルアクリレート重合単位の比率が10〜20重量%であるエチレン・エチルアクリレート共重合体 2〜10重量%
    成分(f):密度が0.93g/cm以上であるエチレン・α−オレフィン共重合体又はエチレン単独重合体 3〜10重量%
    成分(g):脂肪酸アミドまたはその誘導物 成分(a)〜(f)の合計100重量部に対して0.2〜1.0重量部
  2. 前記(b)無機フィラーが、タルクであることを特徴とする請求項1に記載の自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の自動車外装部品用ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて成形したことを特徴とする自動車用外装部品。
  4. 前記自動車用外装部品が、バンパーであることを特徴とする請求項3に記載の自動車用外装部品。
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