JP2006321880A - ポリアセタール樹脂組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリアセタール樹脂と、式(1)
【化1】
(式中、R1は炭素数1〜30の炭化水素基を示し、R2は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアシル基を示し、aは1〜4の整数、bは0〜4の整数を示す)
で表される単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドとで構成する。前記単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド(1)は、特に、C1-8アルキル基を有する安息香酸ヒドラジドであってもよい。前記ポリアセタール樹脂は、共重合単位として環状エーテル及び/又は環状ホルマールで構成された単位を有するコポリマーであってもよい。
【選択図】 なし
Description
で表される単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドとで構成されている。
ポリアセタール樹脂は、オキシメチレン基(−OCH2−)を主たる構成単位とする高分子化合物であり、実質的にオキシメチレン単位の繰返しのみからなるポリアセタールホモポリマー又はポリオキシメチレン(例えば、米国デュポン社製、商品名「デルリン」;旭化成工業(株)製、商品名「テナック4010」など)、オキシメチレン単位以外に、他のコモノマー単位を少なくとも一種含有するポリアセタールコポリマー(例えば、ポリプラスチックス(株)製、商品名「ジュラコン」など)などが代表的な樹脂である。さらに、ポリアセタール樹脂には、慣用のポリアセタール樹脂、例えば、分岐形成成分や架橋形成成分を共重合することにより分岐構造や架橋構造が導入された共重合体、更には、オキシメチレン基の繰返しを構成単位として有するブロック共重合体やグラフト共重合体なども含まれる。これらのポリアセタール樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の特色は、前記式(1)で表される単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドをポリアセタール樹脂に添加することにより、ホルムアルデヒドの発生を著しく抑制でき、ポリアセタール樹脂の加工安定性を著しく向上させる点にある。
本発明のポリアセタール樹脂組成物には、さらに、酸化防止剤、耐熱安定剤、加工安定剤、耐候(光)安定剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、光沢制御剤、充填剤、着色剤などの添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
酸化防止剤には、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物、ヒドロキノン系化合物、キノリン系化合物などが含まれる。これらの酸化防止剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物が好ましい。
前記耐熱安定剤には、(a)有機カルボン酸金属塩、(b)塩基性窒素化合物(例えば、アミノトリアジン化合物、グアニジン化合物、尿素化合物、アミノ酸化合物、アミノアルコール化合物、イミド化合物、アミド化合物、ヒドラジン化合物など)、(c)アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、(d)ハイドロタルサイト、(e)ゼオライト、(f)ホスフィン化合物などが含まれる。
有機カルボン酸金属塩としては、有機カルボン酸と金属(Li,Na,Kなどのアルカリ金属;Mg,Caなどのアルカリ土類金属;Znなどの遷移金属など)との塩が挙げられる。
塩基性窒素化合物としては、アミノトリアジン化合物、グアニジン化合物、尿素化合物、アミノ酸化合物、アミノアルコール化合物、イミド化合物、アミド化合物、ヒドラジン化合物などが挙げられる。これらの塩基性窒素化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
アルカリ又はアルカリ土類金属化合物には、CaO、MgOなどの金属酸化物、LiOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2などの金属水酸化物、金属無機酸塩(Li2CO3、Na2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3などの金属炭酸塩、ホウ酸塩やリン酸塩などの無機酸塩など)などの無機化合物が含まれ、特に、金属酸化物及び金属水酸化物が好ましい。また、前記化合物のうち、アルカリ土類金属化合物が好ましい。
ハイドロタルサイトとしては、特開昭60−1241号公報及び特開平9−59475号公報などに記載されているハイドロタルサイト類、例えば、下記式で表されるハイドロタルサイト化合物などが使用できる。
(式中、M2+はMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+などの2価金属イオンを示し、M3+はAl3+、Fe3+、Cr3+などの3価金属イオンを示す。An-はCO3 2-、OH-、HPO4 2-、SO4 2-などのn価(特に1価又は2価)のアニオンを示す。xは、0<x<0.5であり、mは、0≦m<1である)
これらのハイドロタルサイトは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ゼオライトとしては、特に制限されないが、H型以外のゼオライト、例えば、特開平7−62142号公報に記載されているゼオライト[最小単位セルがアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオライト(A型、X型、Y型、L型、及びZSM型ゼオライト、モルデン沸石型ゼオライト;チャバザイト、モルデン沸石、ホージャサイトなどの天然ゼオライトなど)など]などが使用できる。
ホスフィン化合物には、アルキルホスフィン(例えば、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィンなどのトリC1-10アルキルホスフィンなど)、シクロアルキルホスフィン(例えば、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリC5-12シクロアルキルホスフィンなど)、アリールホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン、p−トリルジフェニルホスフィン、ジ−p−トリルフェニルホスフィン、トリ−m−アミノフェニルホスフィン、トリ(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ(o−、m−又はp−トリル)ホスフィンなどのアミノ基やC1-4アルキル基などの置換基を有していてもよいトリC6-12アリールホスフィンなど)、アラルキルホスフィン(例えば、トリ(o−、m−又はp−アニシルホスフィンなどのトリ(C6-12アリールC1-4アルキル)ホスフィンなど)、アリールアルケニルホスフィン(例えば、ジフェニルビニルホスフィン、アリルジフェニルホスフィンなどのモノ又はジC6-12アリール−ジ又はモノC2-10アルケニルホスフィンなど)、アリールアラルキルホスフィン(例えば、p−アニシルジフェニルホスフィン、ジ(p−アニシル)フェニルホスフィンなどのモノ又はジC6-12アリール−ジ又はモノ(C6-12アリールC1-4アルキル)ホスフィン;メチルフェニル−p−アニシルホスフィンなどのC1-10アルキル基などの置換基を有していてもよいC6-12アリール−(C6-12アリールC1-4アルキル)ホスフィンなど)、ビスホスフィン類[例えば、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンなどのビス(ジC6-12アリールホスフィノ)C1-10アルカン]などのホスフィン化合物などが例示できる。これらのホスフィン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
加工安定剤には、(a)長鎖脂肪酸又はその誘導体、(b)ポリアルキレングリコール、(c)シリコーン化合物などが含まれる。これらの加工安定剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
長鎖脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよい。また、一部の水素原子がヒドロキシル基などの置換基で置換された脂肪酸も使用できる。このような長鎖脂肪酸としては、炭素数10以上の一価又は二価の脂肪酸、例えば、炭素数10以上の一価の飽和脂肪酸[カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、べヘン酸、モンタン酸などのC10-34飽和脂肪酸(好ましくはC10-30飽和脂肪酸)など]、炭素数10以上の一価の不飽和脂肪酸[オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エルカ酸などのC10-34不飽和脂肪酸(好ましくはC10-30不飽和脂肪酸)など]、炭素数10以上の二価の脂肪酸(二塩基性脂肪酸)[セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、タプシア酸などの二価のC10-30飽和脂肪酸(好ましくは二価のC10-26飽和脂肪酸);デセン二酸、ドデセン二酸などの二価のC10-30不飽和脂肪酸(好ましくは二価のC10-26不飽和脂肪酸)など]が例示できる。前記脂肪酸には、1つ又は複数のヒドロキシル基を分子内に有する脂肪酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ飽和C10-26脂肪酸など)も含まれる。これらの脂肪酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記脂肪酸のうち、一価のC10-26飽和又は不飽和脂肪酸、及び二価のC10-20飽和又は不飽和脂肪酸が好ましい。
ポリアルキレングリコールには、アルキレングリコール[例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコールなどのC2-6アルキレングリコール(好ましくはC2-4アルキレングリコール)など]の単独又は共重合体、それらの誘導体などが含まれる。
シリコーン系化合物には、(ポリ)オルガノシロキサンなどが含まれる。(ポリ)オルガノシロキサンとしては、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンなど)、アルキルアリールシロキサン(例えば、フェニルメチルシロキサンなど)、ジアリールシロキサン(例えば、ジフェニルシロキサンなど)などのモノオルガノシロキサン、これらの単独重合体(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサンなど)又は共重合体などが例示できる。なお、ポリオルガノシロキサンは、オリゴマーであってもよい。
耐候(光)安定剤としては、(a)ベンゾトリアゾール系化合物、(b)ベンゾフェノン系化合物、(c)芳香族ベンゾエート系化合物、(d)シアノアクリレート系化合物、(e)シュウ酸アニリド系化合物、(f)ヒドロキシアリール−1,3,5−トリアジン系化合物、(g)ヒンダードアミン系化合物などが挙げられる。これらの耐候(光)安定剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ(t−ブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ(t−アミル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジイソアミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基及びC1-6アルキル基で置換されたアリール基を有するベンゾトリアゾール類;2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基及びアラルキル(又はアリール)基で置換されたアリール基を有するベンゾトリアゾール類;2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのヒドロキシル基及びアルコキシ(C1-12アルコキシ)基で置換されたアリール基を有するベンゾトリアゾール類などが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、複数のヒドロキシル基を有するベンゾフェノン類(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジ乃至テトラヒドロキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノンなどのヒドロキシル基、及びヒドロキシル置換アリール又はアラルキル基を有するベンゾフェノン類など);ヒドロキシル基及びアルコキシ(C1-16アルコキシ)基を有するベンゾフェノン類(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノンなど)などが挙げられる。
芳香族ベンゾエート系化合物としては、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートなどのアルキルアリールサリシレート類(特にアルキルフェニルサリシレートなど)が挙げられる。
シアノアクリレート系化合物としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートなどのシアノ基含有ジアリールアクリレート類(特にシアノ基含有ジフェニルアクリレートなど)などが挙げられる。
シュウ酸アニリド系化合物としては、N−(2−エチルフェニル)−N′−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N′−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミドなどの窒素原子上に置換されていてもよいアリール基(フェニル基など)などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
ヒドロキシアリール−1,3,5−トリアジン系化合物としては、2,4−ジC6-10アリール−6−(モノ又はジヒドロキシC6-10アリール)−1,3,5−トリアジン[アリール基にC1-10アルキル基、C1-18アルコキシ基、C1-10アルコキシC1-10アルコキシ基、C6-10アリールオキシ基、C6-10アリールC1-6アルコキシ基などの置換基を有していてもよい2,4−ジC6-10アリール−6−(モノ又はジヒドロキシC6-10アリール)−1,3,5−トリアジン、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのヒドロキシアリールトリアジン;2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、これらの2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−アルコキシフェニル)−1,3,5−トリアジンに対応する2,4−ジ(p−トリル又は2′,4′−ジメチルフェニル)6−(2−ヒドロキシ−C1-16アルコキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのヒドロキシアルコキシアリールトリアジン;2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ(p−トリル又は2′,4′−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのヒドロキシアラルキルオキシアリールトリアジン;2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジ−p−トリル−6−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヘキシルオキシエトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジンなどのヒドロキシアルコキシアルコキシアリールトリアジンなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物としては、酸化防止剤の項で例示されたヒンダードアミン系化合物などが使用できる。
耐衝撃性改良剤としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、アクリル系コアシェルポリマー、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ゴム成分(天然ゴムなど)などが挙げられる。これらの耐衝撃性改良剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの耐衝撃性改良剤のうち、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、アクリル系コアシェルポリマー、熱可塑性ポリエステル系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが汎用される。
摺動性改良剤としては、例えば、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリC2-4オレフィン系樹脂など)、ワックス類(例えば、ポリエチレンワックスなどのオレフィン系ワックスなど)、シリコーン系樹脂(例えば、前記加工安定剤の項で例示されたシリコーン系化合物など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレンなど)などが挙げられる。これらの摺動性改良剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの摺動性改良剤のうち、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などが汎用される。
光沢制御剤としては、透明性樹脂、例えば、耐衝撃性改良剤の項で例示された樹脂の他、C1-6アルキル(メタ)アクリレートの単独又は共重合体(例えば、ポリメチルメタクリレートなど)、ポリカーボネート系樹脂(例えば、ビスフェノールA型フェノール樹脂などのビスフェノール型樹脂など)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、AS樹脂、AES樹脂など)、オレフィン系樹脂(例えば、ポリプロピレンや環状ポリオレフィンなど)などが挙げられる。これらの光沢制御剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの光沢制御剤のうち、メタクリル酸メチル単位を有するホモ又はコポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレートなど)が汎用される。
充填剤としては、例えば、各種ポリマー(例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリビニルアルコール系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂など)、繊維状充填剤[例えば、無機繊維(例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、チタン酸カリウム繊維(ウイスカー)など)、有機繊維(例えば、アミド繊維など)など]、板状充填剤(例えば、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種金属箔など)、粉粒状充填剤[例えば、金属酸化物(酸化亜鉛、アルミナなど)、硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムなど)、炭酸塩(炭酸カルシウムなど)、ガラス類(ミルドファイバー、ガラスビーズ、ガラスバルーンなど)、ケイ酸塩(タルク、カオリン、シリカ、ケイソウ土、クレー、ウォラスナイトなど)、硫化物(二硫化モリブデン、二硫化タングステンなど)、炭化物(フッ化黒鉛、炭化ケイ素など)、窒化ホウ素など]などが挙げられる。これらの充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの充填剤のうち、ガラス繊維や炭素繊維などの繊維状充填剤、ガラスフレークやマイカなどの板状充填剤、タルクやシリカなどの粉粒状充填剤などが汎用される。
着色剤としては、各種染料又は顔料が使用できる。染料はソルベント染料が好ましく、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、又はナフトキノン系染料などが挙げられる。顔料については、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、粉粒状混合物や溶融混合物であってもよく、ポリアセタール樹脂と、単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド(1)と、必要により他の添加剤[酸化防止剤、耐熱安定剤、加工安定剤、耐候(光)安定剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、光沢制御剤、充填剤、着色剤など]とを慣用の方法で混合することにより調製できる。例えば、(1)全成分を主フィード口からフィードして、押出機(一軸又は二軸押出機など)により混練して押出してペレットを調製した後、成形する方法、(2)前記単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドを含まない成分(ポリアセタール樹脂、前記他の添加剤など)を主フィード口から、そして少なくとも前記単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドを含む成分(他成分として、ポリアセタール樹脂、前記他の添加剤など)をサイドフィード口からフィードして、押出機により混練押出してペレットを調製した後、成形する方法、(3)前記単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドの一部を含む成分(他成分として、ポリアセタール樹脂、他の添加剤など)を主フィード口から、そして残りの前記単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドを含む成分(他成分として、ポリアセタール樹脂、他の添加剤など)をサイドフィード口からフィードして、押出機により混練押出してペレットを調製した後、成形する方法(4)一旦組成の異なるペレット(マスターバッチ)を調製し、そのペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、所定の組成の成形品を得る方法、(5)ポリアセタール樹脂のペレットに前記単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドを散布、コーティング(表面コートなど)などにより共存又は付着させた後、成形し、所定の組成の成形品を得る方法などが採用できる。
本発明には、前記樹脂組成物で形成された成形品も含まれる。成形品は、ポリアセタール樹脂と単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド(1)とを組み合わせて含んでおり、押出及び/又は成形加工安定性に優れるとともに、ホルムアルデヒド発生量が極めて少ない。すなわち、従来のポリアセタール樹脂で構成された成形品は、比較的多量のホルムアルデヒドを生成し、腐食や変色などの他、生活環境や作業環境を汚染し、モールドデポジットが発生し易い。
平板状試験片(100mm×40mm×2mm、成形温度190℃)を、蒸留水50mlを含むポリエチレン製瓶(容量1L)の蓋に2枚吊下げて密閉し、恒温槽内に温度60℃で3時間放置した後、室温で1時間静置した。ポリエチレン製瓶中の水溶液のホルムアルデヒド量をJISK0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、単位重量当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/g)を算出した。
角柱状試験片(2mm×2mm×50mm、成形温度190℃)を密閉容器(容量20ml)に10個入れ、温度80℃で24時間、恒温構内で加熱した後、室温に空冷し、蒸留水5mlをシリンジにて注入した。この水溶液のホルムアルデヒド量を、JISK0102,29(ホルムアルデヒドの項)に従って定量し、単位重量当たりのホルムアルデヒド発生量(μg/g)を算出した。
ポリアセタール樹脂組成物で形成されたペレットから円板形状の成形品(成形温度200℃、径20mm×1mm)を、30t射出成形機を用いて連続成形(100ショット)し、金型付着物(モールドデポジット)の程度を以下の基準で評価した。
△:わずかにモールドデポジットが見られる
×:著しいモールドデポジットが見られる。
湿式での成形品からのホルムアルデヒド発生試験において、試験後の平板状試験片の成形品の表面を目視で観察し、染み出し物(ブリードアウト)の程度を以下の基準で評価した。
△:僅かなブリードアウトが見られる
×:著しいブリードアウトが見られる。
ポリアセタール樹脂コポリマー100重量部に、単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド、酸化防止剤、耐熱安定剤、加工安定剤、耐候(光)安定剤、及び他の添加剤を表1〜3に示す割合でプリブレンドした後、1ヶ所のベント口を有する30mm径の二軸押出機の主フィード口に投入して200℃で溶融混合し、ペレット状の組成物を調製した。得られたペレットを用いて、射出成形機により、所定の試験片を成形し、試験片からのホルムアルデヒド発生量、モールドデポジット、ブリードアウトの評価を行った。結果を表1〜3に示す。
比較のために、単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド化合物を添加しない例、他のカルボン酸ヒドラジド(アジピン酸ジヒドラジド)を添加した例について、前記と同様にして評価した。結果を表1〜3に示す。
(a−1):ポリアセタール樹脂コポリマー(トリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体、1,3−ジオキソランを3.8重量%共重合、メルトインデックス=9g/10分)
(a−2):ポリアセタール樹脂コポリマー(トリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体、1,3−ジオキソランを3.6重量%共重合、メルトインデックス=27g/10分)
尚、メルトインデックスは、ASTM−D1238に準じ、温度190℃、荷重2.16kgf(21.2N)の条件下で求めた値である。
(単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド)
(b−1):3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド
(b−2):3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド
(b−3):p−トルイル酸ヒドラジド
(b−4):4−t−ブチル安息香酸ヒドラジド
(他のカルボン酸ヒドラジド)
(b−5):アジピン酸ジヒドラジド
(b−6):安息香酸ヒドラジド。
(c−1):トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
(c−2):ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]。
(d−1):ステアリン酸カルシウム
(d−2):クエン酸カルシウム
(d−3):12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム
(d−4):酸化マグネシウム。
(e−1)エチレンビスステアリルアミド
(e−2):モンタン酸エステル[東洋ペトロライト(株)製、LUZA WAX−EP]
(e−3):ポリエチレンオキシド[分子量:35000]。
(f−1):2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール
(f−2):ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート。
(g−1)アクリル系コアシェルポリマー[武田薬品工業(株)製、スタフィロイドPO]
(g−2)熱可塑性ポリウレタン[日本ミラクトロン(株)製、ミラクトランE]
(g−3):カーボンブラック(アセチレンブラック)
(g−4):ガラス繊維(直径9μm、長さ3mmのチョップドストランド)。
Claims (16)
- ポリアセタール樹脂と、式(1)
で表される単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジドとで構成されているポリアセタール樹脂組成物。 - 式(1)において、aが1〜2の整数であり、かつbが0〜2の整数である請求項1記載の樹脂組成物。
- 式(1)において、R1がC1-8アルキル基であり、R2が水素原子であり、aが1〜2の整数であり、かつbが0〜1の整数である請求項1記載の樹脂組成物。
- 単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド(1)が、C1-8アルキル基を有する安息香酸ヒドラジドである請求項1記載の樹脂組成物。
- 単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド(1)が、3,5−ジC1-4アルキル−4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド及びC1-8アルキル安息香酸ヒドラジドから選択された少なくとも一種である請求項1記載の樹脂組成物。
- 単環式芳香族モノカルボン酸ヒドラジド(1)の割合が、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.001〜20重量部である請求項1記載の樹脂組成物。
- ポリアセタール樹脂が、共重合単位として環状エーテル及び環状ホルマールから選択された少なくとも一種で構成された単位を有するコポリマーである請求項1記載の樹脂組成物。
- ポリアセタール樹脂が、ホルムアルデヒドの環状オリゴマー単位と、環状エーテル単位及び/又は環状ホルマール単位とで構成されたコポリマーであって、環状オリゴマー単位と、環状エーテル単位及び/又は環状ホルマール単位との割合(重量比)が、(環状オリゴマー単位)/(環状エーテル単位及び/又は環状ホルマール単位)=99.5/0.5〜80/20である請求項1記載の樹脂組成物。
- さらに、酸化防止剤、耐熱安定剤、加工安定剤、耐候(光)安定剤、耐衝撃性改良剤、摺動性改良剤、光沢制御剤、充填剤及び着色剤から選択された少なくとも一種を含む請求項1記載の樹脂組成物。
- 酸化防止剤が、ヒンダードフェノール系化合物及びヒンダードアミン系化合物から選択された少なくとも一種を含む請求項9記載の樹脂組成物。
- 耐熱安定剤が、有機カルボン酸金属塩、アミノトリアジン化合物、グアニジン化合物、尿素化合物、アミノ酸化合物、アミノアルコール化合物、イミド化合物、アミド化合物、ヒドラジン化合物、アルカリ又はアルカリ土類金属化合物、ハイドロタルサイト、ゼオライト、及びホスフィン系化合物から選択された少なくとも一種を含む請求項9記載の樹脂組成物。
- 加工安定剤が、長鎖脂肪酸又はその誘導体、ポリアルキレングリコール及びシリコーン系化合物から選択された少なくとも一種を含む請求項9記載の樹脂組成物。
- 耐候(光)安定剤が、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、芳香族ベンゾエート系化合物、シアノアクリレート系化合物、シュウ酸アニリド系化合物及びヒドロキシフェニル−1,3,5−トリアジン系化合物から選択された少なくとも一種を含む請求項9記載の樹脂組成物。
- 請求項1記載のポリアセタール樹脂組成物で形成されている成形品。
- (1)温度60℃で飽和湿度の密閉空間に厚さ2mmの成形品を3時間保存したときに発生するホルムアルデヒド量が、成形品の単位重量当り2μg/g以下、及び/又は(2)温度80℃の密閉空間に厚さ2mmの成形品を24時間保存したときに発生するホルムアルデヒド量が、成形品の単位重量当り2μg/g以下である請求項14記載の成形品。
- 自動車部品、電気・電子部品、建材・配管部品、生活・化粧品用部品又は医用部品である請求項14記載の成形品。
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