JP2006310817A - 白色発光装置及び照明装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 光源と光源が発する光の少なくとも一部を吸収して波長の異なる光を発する波長変換材料とを備え波長変換材料が発する光を含む白色光を発する白色発光装置において、白色光の発光スペクトルの500nmから650nmの波長範囲における最大発光強度を同じ波長範囲における最小発光強度の150%以下にする。
【選択図】 なし
Description
また、非特許文献1では、波長変換材料として、緑色蛍光体であるSrGa2S4:Eu2+と赤色蛍光体であるZnCdS:Ag,Clとを使用した白色発光装置が提案されている。
そのほか、非特許文献2や特許文献1などにおいても発光素子と波長変換材料とを組み合わせた白色発光装置が提案されている。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、従来よりも演色性を向上させた、発光素子と波長変換材料とを備える白色発光装置、並びに、それを用いた照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
本実施形態の白色発光装置は、光(以下適宜、「一次光」という)を発生する光源(発光素子等)と、この光源からの光(以下適宜、「一次光」という)の少なくとも一部を吸収して、一次光とは波長の異なる光(以下適宜、「二次光」という)を発する少なくとも1種類の波長変換材料とを備え、波長変換材料が発する二次光を含む白色光を発するようになっている。ここで、白色光は、一次光と二次光との合成光、2以上の二次光の合成光などとして合成された光として得ることができる。
また、本実施形態の白色発光装置においては、上記白色光の発光スペクトルの、500nmから650nmの波長範囲(以下適宜、この波長範囲を「所定波長範囲」という)における最大発光強度が、上記所定波長範囲における最小発光強度の150%以下である。
[1−1.発光スペクトルが平坦である点]
白色発光装置は、主に照明に使用され、物体の色を忠実に再現されること(即ち、発する白色光の演色性が高いこと)が望まれる。これを実現するためには、白色発光装置が発する白色光が、自然光に含まれる可視光成分をすべて含んでいることが好ましい。特に、発光スペクトルの500nmから650nmの所定波長範囲は、視感度が高く、青緑から赤色の主要な光成分を含む波長範囲であり、この波長範囲の可視光成分を均等に含むこと、即ち、発光スペクトルが平坦であることは、良好な演色性につながる。
所定波長範囲における発光スペクトルの最小発光強度I(min)と最大発光強度I(max)とを測定し、その比率を%単位で表したものをI(ratio)とする。このI(ratio)は、以下の式(i)で計算される。
I(ratio)={I(max)/I(min)}×100 (i)
本実施形態の白色発光装置が発する白色光の相関色温度は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意であるが、従来の蛍光ランプの光源色に関するJIS規格(Z 9112)における昼白色(記号N)、または、昼光色(記号D)に準じた発光色であることが好ましい。昼白色は、相関色温度が4600K以上、5400K以下に相当し、昼光色は、相関色温度が5700K以上、7100K以下に相当する。相関色温度の範囲として更に好ましいのは、昼白色における4800K以上、5200K以下の範囲と、昼光色における6000Kから6800Kの範囲であり、昼白色としては5000Kに、昼光色としては6500Kにできるだけ近いことが更に好ましい。なお、相関色温度は、JIS Z 8725に準じて求めるものであり、黒体放射軌跡からの距離が小さくなるように発光色を調節することが好ましい。
本実施形態の白色発光装置が発する白色光の色は、その用途等に応じて任意に設定することができる。なお、明細書において、白色とはJIS Z8110の色区分に規定する白色のことを指す。また、白色光の色は、色彩輝度計、放射輝度計などで測定することができる。
本実施形態の白色発光装置において、白色光の発光効率は、通常20lm/W以上、好ましくは30lm/W以上、より好ましくは40lm/W以上である。この範囲の下限を下回る素子を多数使用することによっても必要な明るさを得ることができるが、エネルギーを多く消費することになるため、好ましくない。なお、白色発光装置の発光効率は、例えば、積分球で測定した白色光の光束を供給電力で割ることにより測定することができる。
本実施形態の白色発光装置によれば、白色光の演色性を高めることができる。具体的な値としては特に制限されないが、JIS−Z8726に規定された演色性評価数R1〜R8の平均値Raの値として、通常80以上、好ましくは85以上、より好ましくは90以上である。
以下、図1に本実施形態の白色発光装置の模式的な断面図を示して白色発光装置の構成を説明するが、図1に示した白色発光装置は本発明の白色発光装置の一例であり、本発明の白色発光装置は以下の実施形態に限定されるものではない。
なお、本実施形態の白色発光装置1は、発する白色光が、所定波長範囲において発光スペクトルが平坦であり、相関色温度、色、強度及び発光効率が上述した範囲になるようになっているものとする。
フレーム5は、発光素子2及び波長変換材料3,4を保持する基部であり、その形状及び材質等は任意である。
フレーム5の形状の具体例としては、板状、カップ状等、その用途に応じて適当な形状とすることができる。また、例示した形状の中でも、カップ状のフレームは、白色光の出射方向に指向性をもたせることができ、白色発光装置1が放出する光を有効に利用できるため、好ましい。
ただし、発光素子2や波長変換材料3,4から発せられる光(例えば、一次光や二次光)が当たるフレーム5の面は、当たった光の反射率を高められていることが好ましく、特に、可視光域全般の光の反射率を高められていることがより好ましい。したがって、少なくとも光が当たる面は、反射率が高い素材により形成されていることが好ましい。具体例としては、ガラス繊維、アルミナ粉、チタニア粉等の高い反射率を有する物質を含んだ素材(射出整形用樹脂など)でフレーム5の全体又はフレーム5の表面を形成することが挙げられる。
なお、反射率を高める部分は、フレーム5の全体であっても一部であってもよいが、通常は、発光素子2や波長変換材料3,4から発せられる光が当たる部分の全表面の反射率が高められていることが望ましい。
本実施形態においては、カップ状に設けられたフレーム5の凹部5Aの底に、発光素子2に電力を供給するための導電性端子6,7が形成されていて、導電性端子6,7は外部の電源(図示省略)に接続されるようになっている。
発光素子2は、波長変換材料3,4の励起光として一次光を発するものであり、光源として機能する。また、一次光の一部は、白色発光装置1が放出する白色光の一成分として用いられることもあり、この場合、一次光と二次光とを合成した合成光が白色光として白色発光装置1から発せられることになる。即ち、発光素子2から発せられる一次光のうちの一部は波長変換材料3,4に励起光として吸収され、また別の一部は、白色発光装置1から発せられるようになる。なお、白色光は必ずしも一次光を含む必要はなく、例えば、本実施形態の白色発光装置1が2種以上の二次光の合成光として白色光を発するようにしても良い。
なお、発光素子2は1個を単独で用いてもよく、2個以上の発光素子2を併用しても良い。さらに、発光素子2は1種のみで用いてもよく、2種以上のものを併用しても良い。
本実施形態においては、発光素子2としてLEDを用い、この発光素子2がフレーム5の凹部5Aの底部には設置されている。さらに、発光素子2は、導電性端子6と直接接続され、また、導電性端子7とワイヤ8を介してワイヤボンドにより接続されて、電力を供給されるようになっている。
ただし、光源としては、上述した発光素子以外のものを使用しても良い。
波長変換材料3,4は、発光素子2から発せられる一次光の少なくとも一部を吸収し、吸収した一次光とは波長が異なる二次光を発するものである。そして、波長変換材料3,4を適切に選択することにより、一次光と二次光との合成光や、2種以上の二次光の合成光として、白色光が得られる。
第1波長変換材料は、励起光として、波長が通常350nm以上、好ましくは400nm以上、より好ましくは430nm以上、また、通常520nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは480nm以下の光を吸収するものが望ましい。
また、第1波長変換材料は、発する光の波長が、通常400nm以上、好ましくは450nm以上、より好ましくは500nm以上、また、通常600nm以下、好ましくは570nm以下、より好ましくは550nm以下であるものが望ましい。
また、第2波長変換材料は、発する光の波長が、通常550nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは600nm以上、また、通常750nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは670nm以下であるものが望ましい。
上記のような波長範囲の励起光を吸収し、上記のような波長範囲の光を発する波長変換材料を用いることにより、可視光領域すべての波長の光を発する発光装置とすることができ、特に500nmから650nmの範囲のすべての波長の光を発することができるという利点を得ることができる。なお、波長変換材料1種類でも本発明の要件を満足することができるのであれば、それでよい。
波長変換材料3,4は、温度上昇による発光強度の変化が小さいことが好ましい。即ち、発光強度の温度依存性が小さいこと好ましい。波長変換材料3,4として温度依存性が大きいものを用いると、温度条件により二次光の強度が変化し、一次光と二次光との強度のバランスや二次光同士の強度のバランスが変化して、白色光の色調が変化する虞がある。具体例を挙げると、発光素子2として例えばLED等のように発光に伴い発熱するものを用いた場合には、点灯を継続すると発光素子2の発熱により白色発光装置1の温度が経時的に上昇し、それに伴って波長変換材料3,4が発する二次光の強度が変化して、点灯直後と継続点灯時とで白色光の色調が変化する虞がある。しかし、波長変換材料3,4の温度依存性が小さいものを用いることで、上述した色調変化を抑制することが可能となる。
まず、向洋電子製温度特性評価装置を用い、直径8mmの粉体用ホルダーに約100mgの測定サンプル粉(波長変換材料)を詰め、装置内にセットする。その後、25℃並びに100℃に保持した状態で、大気中、TOPCON製色彩輝度計BM5Aを用いて、460nmの励起光(150Wキセノンランプの光を回折格子分光器で分光した光)を照射した状態での輝度を測定する。このとき、Y51フィルターなどを使用して、輝度計に励起光が入らないようにして、波長変換材料の発する光の輝度を求める。そして、25℃における輝度に対する、100℃における輝度の比率を計算し、輝度保持率TR(%)とする。
波長変換材料3,4は、その内部量子効率が、通常40%以上、好ましくは50%以上であることが望ましい。この範囲の下限を下回る材料は白色発光装置の発光効率を低下させるので好ましくない。また、中でも500nmから600nmの波長の光を発する波長変換材料3,4に関しては、視感度が特に高い領域の光を二次光として発生するため、内部量子効率はさらに高いことがより好ましく、具体的には60%以上であることがより好ましい。
波長変換材料3,4の吸光度は、通常50%以上であり、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。この範囲の下限を下回ると、やはり、白色発光装置の発光効率を十分に高くできなくなる虞がある。
まず、反射率0.97の白色拡散板に発光素子の発光ピーク波長の光を入射して白色拡散板で反射させ、白色拡散板で反射した光を積分球で集め、積分球で集めた光をマルチチャンネルフォトディテクターで捉え、発光素子の発光ピーク波長の光が白色拡散板で反射した反射光強度RWを測定する。
吸収光強度AP={(反射光強度RW)/0.97}−(反射光強度RP) (ii)
また、反射光強度RWについても同様に、波長をかけて反射光フォトン数対応値RWAに換算する。
また、吸光度は、「吸光度=(吸収光フォトン数対応値PA)/{(反射光フォトン数対応値RWA)/0.97}」によって算出する。
なお、上記の内部量子効率が高いこと、及び、吸光度が大きいことが好ましく、両特性を共に備えていることが更に好ましい。
なお、上記式のうち(Sc,Mg)や(Sr,Ca)は、(Sc1-a,Mga)、(Sr1-a,Caa)で、0≦a≦1であることを略して記したものであり、かっこ内に一つ又は複数の元素が合計1モル分含まれることを示す。本明細書中における同様の表記は、同様の意味を表すものである。
第1波長変換材料の第1の例としては、酸化物、窒化物、酸窒化物などが熱安定性が良いので好ましい。例えば、MSi2N2O2:Eu、M−Si−Al−O−N:Ce、M−Si−Al−O−N:Eu(ただしMは1種又は2種以上のアルカリ土類金属を表す。)、好ましくは、SrSi2N2O2:Eu、Ca−Si−Al−O−N:Ce、Ca−Si−Al−O−N:Eu等が挙げられる。
また、他の例としては下記一般式(1)又は(2)で表される母体結晶内に、発光中心イオンとして少なくともCeを含有する蛍光体が、輝度が高く、緑色域での蛍光強度が高く、温度消光が小さいので好ましい。
ここで、M1は2価の金属元素、M2は3価の金属元素、M3は4価の金属元素をそれぞれ示し、a、b、c、dはそれぞれ下記の範囲の数である。
2.7≦a≦3.3
1.8≦b≦2.2
2.7≦c≦3.3
11.0≦d≦13.0
ここで、M4は2価の金属元素、M5は3価の金属元素をそれぞれ示し、e、f、gはそれぞれ下記の範囲の数である。
0.9≦e≦1.1
1.8≦f≦2.2
3.6≦g≦4.4
ここで例示する好適な第1波長変換材料は、下記一般式(1)表される母体結晶内に発光中心イオンとして少なくともCeを含有する緑色系蛍光体であり、式中M1は2価の金属元素、M2は3価の金属元素、M3は4価の金属元素をそれぞれ示す。
M1 aM2 bM3 cOd (1)
前記一般式(1)におけるM1は2価の金属元素を表すが、発光効率等の面から、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Mg、Ca、及びZnからなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、Caが特に好ましい。この場合、Caは単独系でもよく、Mgとの複合系でもよい。M1は、基本的には、ここに例示された好ましいとされる元素から選択されることが好ましいが、性能を損なわない範囲で、他の2価の金属元素を含んでいてもよい。
なお、ここで、性能を損なわない範囲で含むとは、上記M1、M2及びM3それぞれの金属元素に対し、他元素を、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下で含むことをいう。
2.7≦a≦3.3
1.8≦b≦2.2
2.7≦c≦3.3
11.0≦d≦13.0
ここで例示する好適な第1波長変換材料は、下記一般式(2)表される母体結晶内に発光中心イオンとして少なくともCeを含有する緑色系蛍光体であり、ここで、M4は2価の金属元素、M5は3価の金属元素をそれぞれ示す。
M4 eM5 fOg (2)
また、前記一般式(2)におけるM4は2価の金属元素であるが、発光効率等の面から、Mg、Ca、Zn、Sr、Cd、及びBaからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、Mg、Sr、Ca、及びZnからなる群から選択される少なくとも1種であることが更に好ましく、Sr又はCaがより好ましく、Caが特に好ましい。この場合、Caは単独系でもよく、Mgとの複合系でもよい。M4は、基本的にはここに例示された好ましいとされる元素から選択されるのが好ましいが、性能を損なわない範囲で、他の2価の金属元素を含んでいてもよい。
なお、ここで、性能を損なわない範囲で含むとは、上記M4、M5それぞれの金属元素に対し、他元素を、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下で含むことを言う。
0.9≦e≦1.1
1.8≦f≦2.2
3.6≦g≦4.4
これらの中でも、Mgを添加したものが好ましく、特にMgの濃度が母体結晶1モルに対して0.001以上、好ましくは0.01上、また、0.5以下、好ましくは0.3以下であるものが好ましい。このような蛍光体としては、例えば、Ca2.97Ce0.03Sc1.97Mg0.03Si3O12、Ca2.97Ce0.03Sc1.94Mg0.06Si3O12、Ca2.94Ce0.03Sc1.94Mg0.06Si3O12、Ca2.94Ce0.06Sc1.97Mg0.03Si3O12、Ca2.94Ce0.06Sc1.94Mg0.06Si3O12、Ca2.94Ce0.06Sc1.9Mg0.1Si3O12、Ca2.9Ce0.1Sc1.97Mg0.03Si3O12、Ca2.9Ce0.1Sc1.94Mg0.06Si3O12などが挙げられる。
なお、これらの蛍光体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
第1波長変換材料のその他の例としては、(Ba,Ca,Sr)MgAl10O17:Euや、(Ba,Mg,Ca,Sr)5(PO)4Cl:Eu、(Ba,Ca,Sr)3MgSi2O8:Eu等の400nm〜500nmに発光ピークを持つ物質や、(Ba,Ca,Sr)MgAl10O17:Eu,Mn、(Ba,Ca,Sr)Al2O4:Eu、(Ba,Ca,Sr)Al2O4:Eu,Mn、(Ca,Sr)Al2O4:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)9(Sc,Y,Lu,Gd)2(Si,Ge)6O24:Eu、一般式CaxSi12-(m+n)Al(m+n)OnN16-n:Eu(但し、0.3<x<1.5、0.6<m<3、0≦n<1.5)で表されるEuで付活されたαサイアロンやβサイアロン等の500nm〜600nmに発光ピークを持つ物質が挙げられるが、これらに限定されない。また、上述の蛍光体を複数用いても良い。
第2波長変換材料の第1の例としては、酸化物、窒化物、酸窒化物などが、熱安定性が良いので好ましい。例えば、MSi7N10:Eu、M2Si5N8:Eu、(ただし、Mは1種又は2種以上のアルカリ土類金属を表す。)、好ましくは、BaSi7N10:Eu、(Ca,Ba,Sr)2Si5N8:Eu等が挙げられる。
また、他の例としては、下記一般式(3)で表される蛍光体が挙げられる。この蛍光体を用いることにより、輝度が高く、赤色域での蛍光強度が高く、温度消光が小さいという利点を得ることができる。
上記一般式(3)において、Mは、Mn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbからなる群から選ばれる1種または2種以上の元素であって、Aは、M元素以外の2価の金属元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の元素を表わし、Dは、4価の金属元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の元素を表わし、Eは、3価の金属元素からなる群から選ばれる1種または2種以上の元素を表わし、Xは、O、N、Fからなる群からから選ばれる1種または2種以上の元素を表わす。
0.00001≦a≦0.1
a+b=1
0.5≦c≦4
0.5≦d≦8
0.8×(2/3+4/3×c+d)≦e
e≦1.2×(2/3+4/3×c+d)
この蛍光体は、少なくとも580nm以下の光で励起され、特に400nm〜550nmで最も効率がよい。発光スペクトルは、580nm〜720nmにピークを有する。
なお、これらの蛍光体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
第2波長変換材料のその他の例としては、発光素子が発する一次光や第1波長変換材料が発する二次光と合成されて白色光となる波長の光を発するものであれば特に制限はされないが、例えば、一般式CaxSi12-(m+n)Al(m+n)OnN16-n:Eu(但し、0.3<x<1.5、0.6<m<3、0≦n<1.5)で表されるEuで付活されたαサイアロン、Ca2Si5N8:Eu、Sr2Si5N8:Eu、(Ca,Sr)2Si5N8:Eu、CaSi7N10:Eu、蛍光を発するユーロピウム錯体等を用いることが出来る。また、上述の蛍光体を複数用いても良い。
波長変換材料を構成する蛍光体は、その発光効率が20%以上であることが好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上であることが更に好ましく、発光効率は高いほど良い。蛍光体の発光効率が20%より低いと輝度の高い発光装置が得られない虞がある。なお、蛍光体の発光効率は、蛍光体に照射された光の量子数に対する蛍光体から発せられる光の量子数として定義する。
まず、測定対象となる蛍光体サンプル(例えば、粉末状など)を、測定精度が保たれるように、十分に表面を平滑にしてセルに詰め、積分球などの集光装置に取り付ける。積分球などの集光装置を用いるのは、サンプルで反射したフォトン及びサンプルからフォトルミネッセンスで放出されたフォトンを全て計上できるようにする、すなわち、計上されずに測定系外へ飛び去るフォトンをなくすためである。
まず、後者の励起光の全フォトン数Nを、次のようにして求める。すなわち、励起光に対してほぼ100%の反射率Rを持つ物質、例えばLabsphere製「Spectralon」(450nmの励起光に対して98%の反射率を持つ。)等の反射板を、測定対象として該分光光度計に取り付け、反射スペクトルIref(λ)を測定する。ここでこの反射スペクトルIref(λ)から下記(式I)で求められた数値は、Nに比例する。
以上より、αq=Nabs/N=(式II)/(式I)と求められる。
ここで、NPLは、下記(式III)で求められる量に比例する。
以上により、ηi=(式III)/(式II)と求められる。
なお、デジタルデータとなったスペクトルから積分を行うことに関しては、αqを求めた場合と同様である。
そして、上記のようにして求めた量子吸収効率αqと内部量子効率ηiの積をとることで、本発明で定義される発光効率を求める。
また、窒化物又は酸窒化物蛍光体の場合は、例えば、蛍光体を構成する金属元素を少なくとも2種類以上含有する合金、好ましくは蛍光体を構成する金属元素を全て含有する合金を作製し、得られた合金を窒素含有雰囲気中、加圧下で加熱処理することにより、製造することができる。さらに、例えば、蛍光体を構成する金属元素の一部を含有する合金を作成し、得られた合金を窒素含有雰囲気中、加圧下で加熱処理した後、更に蛍光体を構成する残りの金属元素源となる原料化合物と混合、加熱処理することにより、製造することもできる。このように合金を経て製造された蛍光体は、不純物が少なく、輝度が高い蛍光体となる。
バインダ9は、通常、粉末状や粒子状の波長変換材料3,4をまとめたり、フレーム5に添着させたりするために用いる。本実施形態の白色発光装置1に用いるバインダ9について制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。
なお、バインダ9は1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
具体例を挙げると、例えば、白色発光装置1の配光特性や混色の制御を行なう場合には、その他の成分として、アルミナやイットリア等の拡散剤を使用することが好ましい。
また、例えば、波長変換材料3,4を高密度に充填する場合には、その他の成分として、ピロリン酸カルシウムや硼酸バリウムカルシウム等の結着剤を使用することが好ましい。
また、本実施形態で用いる波長変換材料3,4は、温度上昇による発光強度の変化が小さく、内部量子効率が高く、吸光度も高いものを用いている。さらに、バインダ9は発光素子2が発する一次光や波長変換材料3,4が発する二次光を透過できるようになっていて、これにより、一次光と二次光との合成光として白色光が発せられるようになっているものとする。
白色発光装置1の製造方法に制限はなく任意であるが、例えば、波長変換材料3,4並びに適宜用いられるバインダ9及びその他の成分を分散媒に分散させてスラリーを調製し、調製したスラリーを、発光素子2を取り付けたフレーム5に塗布した後、スラリーを乾燥させて形成することができる。なお、適宜、発光素子2はスラリーの塗布時や塗布後にフレーム5に取り付けるようにしても良い。
塗布後、分散媒を乾燥させて、波長変換材料3,4をフレーム5に固定する。乾燥方法は任意であるが、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、真空乾燥、焼き付け、紫外線照射、電子線照射等の方法を用いればよい。中でも、数十℃〜百数十℃の温度でのベーキングは、安価な設備で簡単に、確実に分散媒を除去できるため好ましい。
本実施形態の白色発光装置1は上記のように構成されているため、使用時には、発光素子2に電力を供給して発光素子2を発光させる。発光素子2は電力の供給により一次光を発する。一次光の一部は、バインダ9に分散した波長変換材料3,4に吸収され、これにより、波長変換材料3,4は、それぞれ二次光として蛍光を発する。以上のようにして、波長変換材料3,4に吸収されなかった一次光と、波長変換材料3,4が発した二次光とがバインダ9を透過して、白色発光装置1から一次光と二次光との合成光として白色光が発せられる。
また、本実施形態の白色発光装置1では、発光強度の温度依存性が小さい波長変換材料3,4を用いているため、従来のような点灯後の白色光の経時的な色調変化を抑制することができる。
なお、本実施形態では白色光が一次光を成分として含むものを挙げたが、白色光が一次光を含まないものも同様の利点を得ることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
例えば、白色発光装置1を反射型に形成しても良い。具体例を挙げると、図2に示すように、発光素子2から発せられた一次光がフレーム5の表面等で反射して外部に発せられる構成にしても良い。なお、図2において、図1と同様の符号で示す部位は、図1と同様のものを表わす。
また、導電性端子6,7は、発光素子2に電力を供給できるよう、梁10に設けられている。このほかは、図2の白色発光装置1は、上記の実施形態と同様に構成されている。
なお、図3の白色発光装置1を更に変形させて、波長変換材料3,4に応じて別々の凹部5Aをフレーム5に設け、波長変換材料3,4を性質や種類などに応じて別々の凹部5Aに配置するようにしても良い。
上記の白色発光装置1は、照明装置に用いることができる。この照明装置は、上記の白色発光装置1を備えていれば他に制限はないが、通常、レンズ等の配光素子や、保護カバー、反射防止フィルム、視野拡大フィルム、輝度向上フィルム、レンズシート、放熱板などの他の構成部材を適宜組み合わせて構成される。
なお、図4を用いて示した面発光照明装置11は本発明の照明装置の一例であり、本発明の照明装置は本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
上記の白色発光装置1は、表示装置(画像表示装置)に用いることができる。この表示装置は、上記の白色発光装置1を備えていれば他に制限はないが、通常、画像を形成させる像形成ユニットや、照明装置と同様の他の構成部材などを適宜組み合わせて構成される。
また、導光板22は、白色発光装置1からの白色光を像形成ユニット25に案内するための部材であり、鏡、プリズム、レンズ、光ファイバー等を利用したものをはじめ、公知の導光板を任意に用いることができる。導光板22を用いるようにすれば、像形成ユニット25に対して任意の位置に白色発光装置1を配設することが可能となり、表示装置21の設計の自由度を高めることができる。
本実施形態では、導光板としてプリズムを用いているものとする。
拡散板24の具体的な構成に制限はなく、形状、材料、寸法などは任意であり、例えば、表裏に凹凸を有するシートや、合成樹脂などのバインダ中に合成樹脂やガラスなどの微粒子が分散した構造物を用いることもできる。本実施形態では、バインダ中に微粒子が分散したタイプの拡散板24を用いているものとする。
例えば、液晶ユニットの一例としては、カラーフィルター、透明電極、配向膜、液晶、配向膜、透明電極が上記の順に重なった液晶層が、表裏に偏光フィルムを取り付けられたガラスセル等の容器に保持された構造のものが挙げられる。この場合、液晶ユニットでは透明電極に印加する電極によって液晶の分子配列を制御して像を形成するようになっているが、この際、上述した白色発光装置1が背面から白色光(バックライト)によって液晶ユニットを照らすことにより、液晶ユニットに形成された像を液晶ユニットの表面側に明瞭に表示することができる。
なお、像形成ユニット25に形成される像は任意であり、文字であっても画像であっても良い。
本実施形態では像形成ユニット25として、表面に直接像を表示する液晶ユニットを用いているものとする。
この際、上記のように白色発光装置1を用いて表示装置21を構成することにより、演色性の向上により表示される像の色再現性を向上させることができる他、点灯後の白色光の経時的な色調変化の抑制、白色光の強度の向上及び白色発光装置1の発光効率の向上など、白色発光装置1と同様の利点を得ることが可能となる。
なお、図5を用いて示した表示装置21は本発明の表示装置の一例であり、本発明の表示装置は本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
以下の手順で表面実装型白色発光装置を作製し、その評価を行なった。
まず、表面実装型LED用のフレームのカップ部(凹部)の端子に、460nmの波長で発光するLED(Epistar社製:ES−CEBL912X10X)を、銀ペースト(導電性マウント部材)を使ってボンディングした。
次に、太さ20μmのAu線(導電性ワイヤ)を使用してLEDの電極とフレームの端子とを結線した。
さらに、上記の白色光及び全ての光の発光スペクトルから、使用した波長変換材料それぞれについて、LEDが発する光に対する内部量子効率及び吸光度並びに25℃における輝度に対する100℃における輝度の輝度保持率TR(%)と、白色発光装置が発した白色光の上記所定波長範囲内における平坦度[I(ratio)]及び相関色温度とを測定した。これらの特性を表1に示す。
波長変換材料の種類をCa2.97Ce0.03Sc1.94Mg0.06Si3O12に変更した以外は実施例1と同様にして、表面実装型白色発光装置を製造し、表面実装型白色発光装置が発した白色光及び全ての光の発光スペクトルを測定し、実施例1と同様に各特性を測定して、この特性を表1に示した。また、表面実装型白色発光装置からの全ての発光の発光スペクトルを図7に示した。
波長変換材料の種類を(Y,Gd,Ce)3Al5O12に変更した以外は実施例1と同様にして、表面実装型白色発光装置を製造し、表面実装型白色発光装置が発した白色光及び全ての光の発光スペクトルを測定し、実施例1と同様に各特性を測定して、この特性を表1に示した。また、表面実装型白色発光装置からの全ての発光の発光スペクトルを図8に示した。
また、実施例1,2で用いた波長変換材料は、いずれも輝度保持率が80%以上と高く、このため、実施例1,2で作製した白色発光装置は点灯後にLEDの発熱により白色光の強度が経時的に低下する虞は小さい。
さらに、実施例1,2で用いた波長変換材料は、LEDの発光波長の光に対する吸光度が50%以上と高く、且つ、波長変換材料の内部量子効率が40%以上と高いため、白色発光装置が発する光の強度を比較例1よりも高めて、白色発光装置の発光効率に優れているものと推察される。
また、比較例1の白色発光装置は実施例1,2の白色発光装置よりも発光効率が高いものの、演色性は劣り、使用した波長変換材料の輝度保持率が低いことから温度変化による色調変化の発生が懸念される。
2 発光素子
3,4 波長変換材料
5 フレーム
5A 凹部
6,7 導電性端子
8 ワイヤ
9,9a,9B バインダ
10 梁
11 面発光照明装置
12 保持ケース
13 拡散板
21 表示装置
22 導光板
23 反射フィルム
24 拡散板
25 像形成ユニット
Claims (4)
- 光源と、該光源からの光の少なくとも一部を吸収して波長の異なる光を発する少なくとも1種類の波長変換材料とを備え、該波長変換材料が発する光を含む白色光を発する白色発光装置であって、
上記白色光の発光スペクトルの、500nmから650nmの所定波長範囲における最大発光強度が、上記所定波長範囲における最小発光強度の150%以下である
ことを特徴とする白色発光装置。 - 該波長変換材料の100℃における輝度が、該波長変換材料の25℃における輝度の80%以上である
ことを特徴とする、請求項1記載の白色発光装置。 - 該光源の発光ピーク波長の光に対する、該波長変換材料の吸光度が50%以上であり、かつ、該波長変換材料の内部量子効率が40%以上である
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の白色発光装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の白色発光素子を備える
ことを特徴とする、照明装置。
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