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JP2006308947A - 静電像現像用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

静電像現像用トナーおよびその製造方法 Download PDF

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JP2006308947A JP2005132732A JP2005132732A JP2006308947A JP 2006308947 A JP2006308947 A JP 2006308947A JP 2005132732 A JP2005132732 A JP 2005132732A JP 2005132732 A JP2005132732 A JP 2005132732A JP 2006308947 A JP2006308947 A JP 2006308947A
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Masazumi Oda
正純 小田
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Kyocera Chemical Corp
Kyocera Document Solutions Inc
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Kyocera Chemical Corp
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Abstract

【課題】 画像形成処理を繰り返した場合に、トナーの帯電不足やそれに伴うカブリの発生、荷電制御剤による汚染やそれに伴う形成画像の画質低下などの不具合の発生を抑制することができる静電像現像用トナーと、その製造方法とを提供すること。
【解決手段】 第1のバインダ樹脂と第1の荷電制御剤または荷電制御樹脂とを含むコア粒子であって、その表面が第2のバインダ樹脂を含むシェル層で被覆されてなる、コアーシェル構造を有する粒子と、第2の荷電制御剤と、着色剤とを混合し、得られた混合物15を、第2のバインダ樹脂のガラス転移温度以上、180℃以下の温度の熱気流中に供給して熱処理した後、直ちに冷却することにより、第2の荷電制御剤および着色剤がシェル層に固着されたトナー粒子を形成する。次いで、得られたトナー粒子と、外添剤とを混合して、トナー粒子の表面を外添剤で被覆する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式において静電潜像を現像するために使用される、コア−シェル構造を有する静電像現像用トナーと、その製造方法とに関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機などの電子写真方式による画像形成装置や、静電式プリンタなどの静電記録方式による画像形成装置において、静電潜像を顕像化(現像)させるのに用いられる静電像現像用トナーとしては、バインダ樹脂に、荷電制御剤、着色剤などを配合して、分散させた後、これを粉砕、分級することにより製造される、粉砕法トナーが主流である。
一方、形成画像の高画質化の要求に伴って、トナーの小粒径が進められているが、粉砕法トナーは、トナーの粒径が小さくなるほど製造コストが高くなるのが一般的である。そこで、近年では、着色剤、荷電制御剤などを含有するトナー粒子が懸濁重合や乳化重合により製造される、重合法トナーが広く用いられつつある。さらに、重合法トナーの保存性の向上などを目的として、バインダ樹脂、着色剤、荷電制御剤などを含むコア粒子の表面に、バインダ樹脂を含むシェル層が形成された、いわゆるコア−シェル構造のトナーが提案されている。
コア−シェル構造のトナーとしては、特許文献1に、重合法で得られた1次粒子および着色剤を含有する凝集粒子を一体化させた熟成粒子(内層)と、重合体を主成分とする外層とからなるカプセル化トナー粒子を形成し、得られたカプセル化トナー粒子を加熱しつつ、その表面に無機微粒子を添加させたものが記載されている。
また、特許文献2には、重合法で得られた粒子の最表面に荷電制御剤(芳香族オキシカルボン酸の金属化合物)が析出するように処理されたトナーが記載されており、特許文献3には、球状レジン芯体の外周面に、顔料粉末をメカノケミカル的に固着(マイクロカプセル化)させることにより顔料層を形成させ、さらに、得られた顔料層の外周面に荷電制御樹脂(帯電制御樹脂)粉末をメカノケミカル的に固着(マイクロカプセル化)させることにより荷電制御樹脂フィルム層を形成させたトナーが記載されている。
特開2003−316071号公報 特開2001−343786号公報 特開昭64−62666号公報
しかるに、コア−シェル構造のトナーは、最表面に、バインダ樹脂からなるシェル層を有していることから、コア粒子内に含有された帯電制御剤や着色剤がシェル層に覆われてしまう。それゆえ、特許文献1に記載のトナーによれば、例えば、トナーの帯電量が低くなる、画像形成処理を繰り返したときにトナーの帯電量が不安定化する、十分な画像濃度が得られにくくなる、といった不具合が生じる。
また、コア粒子を重合により形成する場合には、帯電制御剤や顔料などの着色剤が重合禁止剤となるために、使用可能な帯電制御剤や着色剤の種類が限定される、コア粒子中での帯電制御剤や着色剤の含有量が低くなる、といった不具合も生じる。
一方、特許文献2および特許文献3に記載のトナーは、トナーの最表面に荷電制御剤が多量に存在していることから、このトナーを用いて画像形成処理を繰り返した場合に、例えば、2成分系現像剤中のキャリアや、現像器内の現像スリーブなどが、トナーから脱落した荷電制御剤によって汚染されるといった不具合が生じる。さらに、トナーから荷電制御剤が脱落することで、トナーの帯電量が徐々に低下するといった不具合も生じる。
そこで、本発明の目的は、重合法で製造されたコア−シェル構造を有するトナーであって、画像形成処理を繰り返した場合に、トナーの帯電不足やそれに伴うカブリの発生、荷電制御剤による汚染やそれに伴う形成画像の画質低下などの不具合の発生を抑制することができる静電像現像用トナーと、その製造方法とを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、
(1) 第1のバインダ樹脂と第1の荷電制御剤または荷電制御樹脂とを含むコア粒子、前記コア粒子の表面を被覆する、第2のバインダ樹脂を含むシェル層、前記シェル層に固着された第2の荷電制御剤および前記シェル層に固着された着色剤を有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面を被覆する外添剤と、からなり、表面が前記シェル層で被覆された前記コア粒子と、前記第2の荷電制御剤と、前記着色剤とが、前記第2のバインダ樹脂のガラス転移温度以上、180℃以下の温度で熱処理されていることを特徴とする、静電像現像用トナー、
(2) 前記トナー粒子の表面における前記外添剤の被覆率が60〜120%であることを特徴とする、前記(1)に記載の静電像現像用トナー、
(3) 第1のバインダ樹脂と第1の荷電制御剤または荷電制御樹脂とを含むコア粒子であって、その表面が第2のバインダ樹脂を含むシェル層で被覆されたものと、第2の荷電制御剤と、着色剤とを、前記第2のバインダ樹脂のガラス転移温度以上、180℃以下の温度の熱気流中に供給して熱処理した後、直ちに冷却することにより、前記第2の荷電制御剤および前記着色剤が前記シェル層に固着されたトナー粒子を形成し、次いで、得られたトナー粒子と、外添剤とを混合して、前記トナー粒子の表面を外添剤で被覆することを特徴とする、静電像現像用トナーの製造方法、
を提供するものである。
本発明の静電像現像用トナーによれば、コア−シェル構造のトナー粒子のシェル層に、荷電制御剤と着色剤とが固着されていることから、たとえ画像形成処理を繰り返した場合であっても、トナーの帯電不足やそれに伴うカブリの発生、荷電制御剤による汚染やそれに伴う形成画像の画質低下といった不具合が発生することを抑制できる。
また、荷電制御剤と着色剤とが、トナー粒子のシェル層に固着していることから、コア粒子内での荷電制御剤や着色剤の含有量を低減させることができ、それゆえ、コア粒子の作製に際して、バインダ樹脂形成用モノマー、帯電制御剤および着色剤についての使用可能な組み合わせの幅を広げることができる。
また、本発明の静電像現像用トナーの製造方法によれば、上述の、トナーの帯電不足やそれに伴うカブリの発生、荷電制御剤による汚染やそれに伴う形成画像の画質低下といった不具合の発生が抑制された静電現像用トナーを得ることができる。
本発明の静電像現像用トナーは、
(a)第1のバインダ樹脂と、第1の荷電制御剤または荷電制御樹脂とを含むコア粒子、
(b)第2のバインダ樹脂を含み、上記コア粒子(a)の表面を被覆するシェル層、
(c)上記シェル層(b)に固着された第2の荷電制御剤、および、
(d)上記シェル層(b)に固着された着色剤
を有するコア−シェル構造のトナー粒子と、
上記コア−シェル構造のトナー粒子の表面を被覆する外添剤と、
からなっている。
コア粒子(a)を形成する第1のバインダ樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレンなど。)、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレートなど。)、スチレン−アクリル系樹脂(例えば、スチレンと、アクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーとの共重合体など。)、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど。)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど。)、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、これらの混合樹脂などの、種々のトナー用バインダ樹脂が挙げられる。なかでも、好ましくは、熱可塑性を有する樹脂が挙げられ、より好ましくは、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂が挙げられる。特に好ましくは、スチレン−アクリル系樹脂が挙げられる。
第1のバインダ樹脂の物性などについては、特に限定されないが、例えば、ガラス転移温度Tgは、好ましくは、50〜75℃であり、軟化点は、好ましくは、80〜160℃である。また、数平均分子量<Mn>は、好ましくは、1000〜30000であり、重量平均分子量と数平均分子量との比(<Mw>/<Mn>)は、好ましくは、2〜100である。なお、上記の数平均分子量<Mn>および重量平均分子量<Mw>は、いずれも、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法を用いて、スチレン換算により算出した値を示している。
コア粒子(a)に含まれる第1の荷電制御剤としては、トナーを負帯電性に制御する負荷電制御剤や、トナーを正帯電性に制御する正荷電制御剤として用いられている、種々の荷電制御剤が挙げられる。
このうち、負荷電制御剤としては、例えば、ホウ素錯体化合物(例えば、ホウ素ベンジル酸錯体など。)、含金属サリチル酸系化合物、含金属モノアゾ系化合物、含金属アセチルアセトン系化合物、芳香族ヒドロキシカルボン酸またはその金属塩、芳香族モノカルボン酸またはその金属塩、芳香族ポリカルボン酸またはその金属塩、フェノール化合物(例えば、ビスフェノールなど。)、尿素化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、第4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−スルホン酸共重合体、無金属コルボン酸系化合物などが挙げられる。なかでも、帯電性、色味などの観点から、好ましくは、ホウ素錯体化合物、含金属サリチル酸系化合物、カリックスアレーンなどが挙げられる。
また、正荷電制御剤としては、例えば、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの第4級アンモニウム塩、ニグロシン顔料、脂肪酸金属塩、グアニジン系化合物、イミダゾール系化合物、ホスホニウム塩などのオニウム塩またはこれらを含むレーキ顔料、トリフェニルメタン染料またはこれらを含むレーキ顔料、高級脂肪酸の金属塩、ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド、ジシクロヘキシルスズオキシドなどのジオルガノスズボレート類などが挙げられる。なお、上記レーキ顔料を形成するレーキ化剤としては、例えば、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化合物、フェロシアン化合物などが挙げられる。
荷電制御樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アンモニウム塩などのイオン性官能基を有するイオン性単量体(例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩など。)と、このようなイオン性単量体との共重合が可能な単量体(例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体など。)とを共重合させたものなどが挙げられる。
コア粒子(a)中の第1の荷電制御剤および荷電制御樹脂の含有量の総量は、特に限定されないが、例えば、第1のバインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.1〜10重量部であり、より好ましくは、1.0〜5.0重量部である。
なお、上記静電像現像用トナーにおいては、トナー粒子のコア粒子(a)中に第1の荷電制御剤または荷電制御樹脂が含有され、さらに、後述するように、トナー粒子のシェル層(b)に第2の荷電制御剤が固着されることから、たとえ、コア粒子(a)中の第1の荷電制御剤および荷電制御樹脂の含有量が少なくても、シェル層(b)の第2の荷電制御剤の固着量を調節することにより、十分な帯電量を確保することができる。それゆえ、重合反応によるコア粒子(a)の生成を阻害させないためにも、コア粒子(a)中の第1の荷電制御剤および荷電制御樹脂の含有量は、極力少なく設定されることが好ましい。
コア粒子(a)には、さらに、顔料などの着色剤、離型剤などの、種々の添加剤を配合することができる。また、コア粒子(a)には、その重合度を制御するための架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤などが含有されていてもよく、コア粒子(a)の重合反応時に分散媒中でのモノマーの分散性を向上させるための分散剤が含有されていてもよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、カーミン6B、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3等が挙げられる。
コア粒子(a)中の着色剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、コア粒子(a)を形成する第1のバインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、1〜10重量部であり、より好ましくは、2〜6重量部である。
なお、上記静電像現像用トナーにおいては、後述するように、トナー粒子のシェル層(b)に着色剤が固着される。それゆえ、シェル層(b)に固着された着色剤によって、現像・定着処理後に十分な画像濃度を得ることができる場合には、重合反応によるコア粒子(a)の生成を阻害させないためにも、コア粒子(a)中の着色剤の含有量は、極力少なく設定されることが好ましい。
離型剤としては、これに限定されないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、サゾールワックス、モンタン系エステルワックス、モンタワックス、フィッシャトロプシュワックスなどが挙げられる。離型剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、コア粒子(a)を形成する第1のバインダ樹脂100重量部に対して、好ましくは、0.5〜5重量部であり、より好ましくは、0.7〜2.5重量部である。
シェル層(b)を形成する第2のバインダ樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレンなど。)、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレートなど。)、スチレン−アクリル系樹脂(例えば、スチレンと、アクリル酸系モノマーまたはメタクリル酸系モノマーとの共重合体など。)、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリオレフィンなど。)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど。)、ポリアミド系樹脂、これらの混合樹脂などの、種々の熱可塑性樹脂が挙げられる。なかでも、好ましくは、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂が挙げられ、特に好ましくは、スチレン−アクリル系樹脂が挙げられる。また、第2のバインダ樹脂は、これに限定されないが、第1のバインダ樹脂と同じ樹脂であることが好ましい。
第2のバインダ樹脂の物性は、例えば、ガラス転移温度Tgは、好ましくは、50〜75℃、より好ましくは、55〜65℃であり、軟化点は、好ましくは、80〜160℃、より好ましくは、90〜120℃である。また、数平均分子量<Mn>は、好ましくは、1000〜30000、より好ましくは、5000〜20000であり、重量平均分子量と数平均分子量との比(<Mw>/<Mn>)は、好ましくは、2〜100、より好ましくは、10〜50である。なお、上記の数平均分子量<Mn>および重量平均分子量<Mw>は、いずれも、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法を用いて、スチレン換算により算出した値を示している。
表面がシェル層(b)で被覆されたコア粒子(a)は、懸濁重合または乳化重合によって製造することができる。なお、表面がシェル層(b)で被覆されたコア粒子(a)については、以下、単に「コア−シェル構造を有する粒子」という場合がある。
懸濁重合によるコア−シェル構造を有する粒子の製造では、まず、重合反応により第1のバインダ樹脂を生成する第1のモノマーと、第1の荷電制御剤と、さらに、必要に応じて、かつ、第1のモノマーの重合反応が阻害されない範囲で、顔料などの着色剤、ワックスなどの離型剤、その他各種添加剤とが配合されて、分散媒中に分散された後、上記第1のモノマーが重合されることにより、コア粒子(a)が形成される。次いで、重合反応により第2のバインダ樹脂を生成する第2のモノマーが分散されている分散媒中に、上記コア粒子(a)が分散された後、上記第2のモノマーが重合されることにより、シェル層(b)が形成され、こうして、コア−シェル構造を有する粒子が得られる。
また、乳化重合によるコア−シェル構造を有する粒子の製造では、まず、重合により第1のバインダ樹脂を生成する第1のモノマーと、第1の荷電制御剤と、必要に応じて、かつ、第1のモノマーの重合反応が阻害されない範囲で、顔料などの着色剤、ワックスなどの離型剤、その他各種添加剤とが配合されて、分散媒中に分散された後、これらが会合凝集されることにより、凝集物であるコア粒子(a)が形成される。次いで、重合反応により第2のバインダ樹脂を生成する第2のモノマーが分散されている分散媒中に、上記コア粒子(a)が分散された後、上記第2のモノマーが重合されることにより、シェル層(b)が形成され、こうして、コア−シェル構造を有する粒子が得られる。
コア−シェル構造を有する粒子の粒径は、特に限定されないが、例えば、体積平均粒径で、好ましくは、3〜20μmであり、より好ましくは、5〜10μmである。コア−シェル構造を有する粒子の体積平均粒径が上記範囲を上回ると、トナーの帯電量が不足して、画像にカブリを生じるといった不具合を招くおそれがある。一方、体積平均粒径が上記範囲を下回るコア−シェル構造を有する粒子は、作製が困難であり、また、粒径が小さくなりすぎることで、粒子が凝集しやすくなるため、後述する固着処理時などに取り扱いが困難になるおそれがある。
また、コア−シェル構造を有する粒子の粒径は、例えば、上記懸濁重合や乳化重合時の反応条件を変更することにより、具体的には、分散媒の撹拌速度や、重合反応の前処理の条件(例えば、前撹拌の撹拌速度)などを変更することにより、適宜、調節することができる。
なお、体積平均粒径は、例えば、コールターカウンタを用いて測定することにより、求められる。
シェル層(b)に固着される第2の荷電制御剤(c)としては、コア粒子(a)に含まれる第1の荷電制御剤と同様のものが挙げられる。なかでも、シェル層(b)に固着される第2の荷電制御剤は、好ましくは、微粉末状である。
第2の荷電制御剤(c)の1次粒子径は、特に限定されないが、例えば、体積平均粒径で、好ましくは、0.01〜2μmであり、より好ましくは、0.02〜0.2μmである。第2の荷電制御剤(c)の1次粒子径が上記範囲を上回ると、シェル層(b)に固着させにくくなったり、固着処理後にシェル層(b)から剥がれ易くなったりする不具合を生じるおそれがある。一方、1次粒子径が上記範囲を下回る荷電制御剤は、一般に、入手が困難であり、また、後述する固着処理時などに取り扱いが困難になるおそれがある。
シェル層(b)に固着される第2の荷電制御剤(c)の量は、コア粒子(a)中での荷電制御剤または荷電制御樹脂の含有量などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、表面にシェル層(b)が被覆されたコア粒子(a)100重量部に対して、好ましくは、0.1〜10重量部であり、より好ましくは、1〜5重量部である。第2の荷電制御剤(c)の固着量が上記範囲を下回ると、静電現像用トナーの帯電量が低下するおそれが生じる。逆に、第2の荷電制御剤(c)の固着量が上記範囲を上回ると、後述する着色剤(d)を、シェル層(b)に対して十分に固着させられなくなるおそれがある。
シェル層(b)に固着される着色剤(d)としては、コア粒子(a)に任意的に含まれる着色剤と同様のものが挙げられる。なかでも、シェル層(b)に固着される着色剤(d)は、好ましくは、微粉末状である。
着色剤(d)の1次粒子径は、特に限定されないが、例えば、体積平均粒径で、好ましくは、0.01〜2μmであり、より好ましくは、0.02〜0.2μmである。着色剤(d)の1次粒子径が上記範囲を上回ると、シェル層(b)に固着させにくくなったり、固着処理後にシェル層(b)から剥がれ易くなったりする不具合を生じるおそれがある。一方、1次粒子径が上記範囲を下回る着色剤は、一般に、入手が困難であり、また、後述する固着処理時などに取り扱いが困難になるおそれがある。
シェル層(b)に固着される着色剤(d)の量は、コア粒子(a)中での着色剤の含有量などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、例えば、表面にシェル層(b)が被覆されたコア粒子(a)100重量部に対して、好ましくは、1〜10重量部であり、より好ましくは、2〜5重量部である。着色剤(d)の固着量が上記範囲を下回ると、静電現像用トナーを用いて形成される画像の画像濃度が低下するおそれが生じる。逆に、着色剤(d)の固着量が上記範囲を上回ると、上記荷電制御剤(c)を、シェル層(b)に対して十分に固着させられなくなるおそれがある。また、定着時に顔料の分散性が低下して、形成画像の色調にくすみを生じさせたりするおそれがある。
シェル層(b)への第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)の固着処理は、上記の懸濁重合または乳化重合により得られたコア−シェル構造を有する粒子を、分散媒から取り出して、分散媒を除去し、乾燥させた後、こうして乾燥されたコア−シェル構造を有する粒子と、第2の荷電制御剤(c)と、着色剤(d)とを、熱処理装置に導入して、シェル層(b)を形成する第2のバインダ樹脂のガラス転移温度Tg2から、180℃までの温度範囲で熱処理することにより、達成される。
上記熱処理は、具体的には、温度が、シェル層(b)を形成する第2のバインダ樹脂のガラス転移温度Tg2から、180℃までの範囲にある熱気流中に、上記の乾燥されたコア−シェル構造を有する粒子と、第2の荷電制御剤(c)と、着色剤(d)とを供給することにより行われる。また、熱処理後には、直ちに冷却される。
熱処理装置への第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)の供給は、それぞれ、コア−シェル構造を有する粒子とは別の供給口から、コア−シェル構造を有する粒子と同時に行ってもよく、また、コア−シェル構造を有する粒子と、第2の荷電制御剤(c)と、着色剤(d)とを予め所定の割合で混合することにより、混合物を作製しておき、得られた混合物を熱処理装置に供給させてもよい。
上記熱処理の温度(T)が、シェル層(b)を形成する第2のバインダ樹脂のガラス転移温度Tg2(℃)よりも低いとき(T<Tg2)には、シェル層(b)の溶融状態が不十分となって、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)がシェル層(b)に固着されないか、または、固着後において、シェル層(b)から経時的に第2の荷電制御剤(c)や着色剤(d)が脱落する不具合を生じるおそれがある。
一方、上記熱処理の温度(T)が、180℃よりも高いとき(T>180(℃))には、シェル層(b)が過剰に溶融されて、例えば、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)がシェル層(b)中に埋没するなど、それらの固着処理に不具合が生じたり、コア粒子(a)までもが溶融されて、静電像現像用トナーが変形、劣化したり、互いに融着したりするおそれがある。
上記熱処理温度(T)の下限は、上記範囲内において、好ましくは、Tg2+5(℃)であり、より好ましくは、Tg2+10(℃)である。なお、通常、第2のバインダ樹脂の軟化点(℃)は、ガラス転移温度Tg2(℃)よりも高いことから、上記熱処理温度(T)の下限は、上記範囲にかかわらず、軟化点(℃)以上とすることが好ましい。
一方、上記熱処理温度(T)の上限は、上記範囲内において、好ましくは、150(℃)、より好ましくは、120(℃)である。なお、これとは別に、熱処理温度(T)の上限は、軟化点+40(℃)であることが好ましく、軟化点+20(℃)であることがより好ましい。
図1は、トナー粒子のシェル層(b)への第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)の固着処理に用いられる熱処理装置の一例を示す概略構成図である。
図1に示す熱処理装置は、熱風発生装置101、コア−シェル構造を有する粒子、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)の混合物105が熱気流とともに供給される試料噴射室104、熱風発生装置101で発生された熱気流を試料噴射室104に導入するための導入管102aおよび熱風噴射ノズル103、上記混合物105を貯留する定量供給器106、定量供給器106から上記混合物105を試料噴射室104に導入するための導入管102b、サイクロン109、上記混合物105から生成されたトナー粒子を、試料噴射室104からサイクロン109に導入させるための複数の試料噴射ノズル108、サイクロン109に冷風を供給する冷風導入口110、サイクロン111、トナー粒子をサイクロン109からサイクロン111に導入する導入管102c、および、製品タンク112を備えている。
熱風発生装置101で発生された熱風は、導入管102aを経て、熱風噴射ノズル103から噴射される。熱風噴射ノズル103の先端部の周囲には試料噴射室104が設けられており、上記混合物105は、加圧エアーにより、定量供給器106から導入管102bを経て、試料噴射室104に送り込まれる。試料噴射室104は、図2に示すように、中空のドーナツ状をしており、その内側の壁には複数の試料噴射ノズル108が等間隔に配置されている。
試料噴射室104内に送り込まれた上記混合物105は、試料噴射室104内で拡散して均等に分散した状態となり、引き続き送り込まれるエアーの圧力により、複数の試料噴射ノズル108から熱風気流中へ噴射される。試料噴射ノズル108は、好ましくは、3本以上、より好ましくは、4本以上であり、これらは周方向に等間隔で配置されることが好ましい。複数本の試料噴射ノズル108を使用することにより、熱気流中への上記混合物105の均一な分散が可能となる。
また、上記混合物105が、複数の試料噴射ノズル108から熱風気流中へ噴射されることにより、高温の熱風を瞬間的に接触して、均質に熱処理される。こうして、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層(b)に、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)が固着されて、トナー粒子が生成する。
上記の熱処理において、熱風の温度は、シェル層(b)を形成する第2のバインダ樹脂のガラス転移温度Tg2以上、180℃以下(Tg2(℃)〜180(℃))となるように設定される。また、上記混合物105が試料噴射ノズル108から噴射され、サイクロン109を経て、導入管102cに導入されるまでの滞留時間は、シェル層(b)と、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)との固着が十分に達成され、かつ、トナー粒子同士の凝集が抑制される時間であって、第2バインダ樹脂の種類、熱処理温度などによって変動するものの、好ましくは、2秒以下、より好ましくは、1秒以下である。
図1に示す熱処理装置での固着処理では、コア−シェル構造を有する粒子、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)の混合物は、熱気流中で十分に混合させるために、予め混合されて、混合物105となっている。なお、コア−シェル構造を有する粒子、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)は、それぞれ別々の定量供給器から、試料噴射室104内に送り込んでもよい。しかし、予め混合しておくことが、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層(b)に、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)を均一に固着させるという観点から、好ましい。
また、コア−シェル構造を有する粒子、第2の荷電制御剤(c)および着色剤(d)を予め混合させる場合において、混合処理は、例えば、ヘンシェルミキサなどの混合・撹拌器を用いて、コア−シェル構造を有する粒子に対して剪断応力などの負荷をできる限り加えないように、ゆっくりとした速度で撹拌することにより達成することが好ましい。
試料噴射ノズル108から噴射された上記混合物105は、サイクロン109に導入されて、冷風導入口110から供給される冷風によって、直ちに冷却される。これにより、上記混合物105から生成されたトナー粒子が熱処理装置の内壁に付着したり、トナー粒子同士が凝集したりすることなく、導入管102cを経て、サイクロン111に捕集され、製品タンク112に貯留される。
上記コア−シェル構造のトナー粒子の表面を被覆する外添剤としては、例えば、コロイダルシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛などの金属酸化物の微粒子が挙げられる。これら金属酸化物の微粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
外添剤の1次粒子径は、特に限定されないが、例えば、体積平均粒径で、好ましくは、0.1〜100nmであり、より好ましくは、1〜50nmである。外添剤の1次粒子径が上記範囲を上回ると、流動性の低下、トナーの帯電量の不足といった不具合を生じるおそれがある。一方、1次粒子径が上記範囲を下回る外添剤は、一般に、入手が困難であり、また、外添剤の付着処理時などに取り扱いが困難になるおそれがある。
トナー粒子の表面における外添剤の被覆率Pは、60〜120%に設定される。
上記被覆率Pは、トナー粒子の体積平均粒径dt、トナー粒子の真比重ρt、外添剤の1次平均粒径da、外添剤の真比重ρa、および、トナー粒子に対する外添剤の重量比Wより、次式にて求められる。
P=((dt・ρt/4(da・ρa))×W×100
なお、トナー粒子の真比重ρtや外添剤の真比重ρaは、例えば、ベックマン真比重測定計などを用いて測定することができる。また、トナー粒子の体積平均粒径dtや外添剤の1次平均粒径daは、例えば、粒子数計数器、粒子径測定器、粒度分布測定器などにより測定された体積基準の粒度分布から算出することができる。上記の計数器、測定器としては、例えば、コールターカウンタ、コールターカウンタ・マルチサイザ(いずれも、ベックマン・コールター(株))などが挙げられる。
トナー粒子の表面における外添剤の被覆率が60%を下回ると、トナー粒子の表面に露出している荷電制御剤の量が多くなることから、例えば、2成分現像などで繰り返し現像した場合に、磁性キャリアや現像スリーブが荷電制御剤に汚染されるといった不具合が生じる。一方、被覆率が120%を上回ると、トナー粒子からの外添剤の脱落が生じやすくなり、現像器内を汚染するおそれがある。
トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、上記範囲の中でも特に、好ましくは、60〜100%であり、より好ましくは、80〜100%である。
トナー粒子に対する外添剤の被覆は、例えば、トナー粒子と外添剤とを、所定の割合で配合し、ヘンシェルミキサなどの混合・撹拌器に投入して、混合することにより達成される。
上記静電像現像用トナーは、非磁性一成分系現像剤として、または、二成分系現像剤として、電子写真方式や静電記録方式による静電潜像の現像に使用することができる。上記静電像現像用トナーによれば、シャープな画像を得ることができ、帯電の立ち上がりが良好で、画像濃度が高く、しかも、画像形成処理を繰り返した場合に、帯電性や形成画像の画質の劣化が少ない。
次に、本発明を実施例および比較例に基づいて説明する。
実施例1
(i) コア粒子の作製
スチレン50重量部、n−ブチルアクリレート50重量部、ホウ素ベンジル酸錯体(荷電制御剤)2重量部およびビニルベンゼン(架橋剤)1重量部を配合して、混合した後、得られた混合溶液に、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(重合開始剤)2重量部、精製水400重量部、第三リン酸カルシウム(懸濁安定剤)5重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(懸濁安定剤)0.1重量部を配合して、混合した。次いで、得られた混合液を、乳化・分散機(商品名「T.K.ホモミクサー」、特殊機化工業(株)製)に投入して、前撹拌として毎分1000回転で20分間攪拌し、さらに、窒素雰囲気下、70℃、毎分100回転の条件で、10時間攪拌し、重合反応させることにより、体積平均粒径が6.5μmのコア粒子を得た。
(ii) コア−シェル構造を有する粒子の作製
スチレン75重量部、n−ブチルアクリレート25重量部および水100重量部を配合して、混合した後、得られた混合溶液を、超音波分散機(超音波工業(株)製)に投入して、微分散化処理をすることにより、シェル層形成用の単量体分散液を調製した。
次いで、第三リン酸カルシウム(懸濁安定剤)5重量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(懸濁安定剤)0.1重量部を含有する水酸化カルシウムのコロイド分散液に、上記コア粒子を配合して、撹拌翼を備える反応器に投入し、さらに、上記シェル層形成用の単量体分散液と、1%過硫酸カリウム水溶液(水溶性ラジカル開始剤)とを配合して、混合し、得られた混合液を5時間撹拌して、反応させることにより、表面がシェル層で被覆されたコア粒子(コア−シェル構造を有する粒子)の水分散液を得た。
上記シェル層のガラス転移温度(Tg2)は、63℃であった。
(iii) 荷電制御剤および着色剤の固着処理
上記コア−シェル構造を有する粒子の水分散液を撹拌しながら硫酸を加えて、系のpHを4以下に、液温を25℃に調節した後、10分間撹拌することにより、コア−シェル構造を有する粒子を酸洗浄した。酸洗浄後、濾過により水を分離し、新たにイオン交換水500重量部を加えてスラリー化して、コア−シェル構造を有する粒子を水洗した。さらに、脱水および水洗を数回繰り返して、固形分をろ過により分離した後、乾燥機にて50℃で一昼夜乾燥させることにより、トナー粒子を得た。
次に、得られたトナー粒子100重量部に対して、ホウ素ベンジル酸錯体(荷電制御剤;1次粒子径1μm以下)3重量部と、シアン顔料(フタロシアニン;1次粒子径10〜100nm)3重量部とを配合して、ヘンシェルミキサにて低速で混合した後、こうして得られたトナー粒子、ホウ素ベンジル酸錯体およびシアン顔料の混合物を、図1に示す熱処理装置の定量供給器106に投入して、下記の熱処理条件にて、固着処理を施した。
熱処理条件:上記混合物の噴射は、試料噴射室104の周方向に90°の間隔で配置された計4本の試料噴射ノズル108から行った。熱気流の流れ方向に対する噴射角度は30°、熱気流の風量は900リットル/分、分散風量は60リットル/分、上記混合物の分散濃度は100g/m、熱風温度(熱処理温度T)は80℃、滞留時間は2.0秒、冷風温度は15℃に、それぞれ設定した。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、荷電制御剤および顔料が固着されたことが確認された。
(iv) 外添剤の付着処理
上記固着処理により得られたトナー粒子100重量部に対して、外添剤としての疎水化処理されたコロイダルシリカ(1次粒子径12nm、商品名「RX200」、日本アエロジル(株)製)2.0重量部を配合し、これをヘンシェルミキサに投入して、混合することにより、静電像現像用トナーを得た。
こうして得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における上記外添剤の被覆率は、計算上99.7%であって、実質的にトナー粒子の表面全体に外添剤が被覆されていた。
(v) 静電像現像用トナーの性能評価
得られた静電像現像用トナーを、1成分系現像剤用の現像器に投入して、カラーレーザビームプリンタで静電画像を現像し、普通紙に転写・定着処理させた。その結果、画像形成処理の初期において、ベタ画像の画像濃度が1.35であって、非常に良好な画像が得られた。また、静電像現像用トナーを適宜補充しながら、印字率5%の画像の画像形成処理を5万回繰り返したところ、画像濃度は1.36であって、高い画像濃度が維持された。しかも、5万回の画像形成処理後においても、トナーのカブリなどの不具合は発生しておらず、カラーレーザビームプリンタの装置内部において、汚れなどは観察されなかった。
実施例2
コア粒子を作製するための上記混合溶液中に、さらに、シアン顔料(フタロシアニン;1次粒子径10〜100nm)4重量部を配合し、かつ、前撹拌時の撹拌速度を、毎分9000回転に変更したこと以外は、実施例1の(i)と同様にして、コア粒子を作製した。得られたコア粒子の体積平均粒子径は6.7μmであった。
また、上記のコア粒子を用いたこと以外は、実施例1の(ii)〜(iv)と同様にして、コア−シェル構造を有する粒子の作製、荷電制御剤および着色剤の固着処理、および、外添剤の付着処理をすることにより、静電像現像用トナーを得た。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、荷電制御剤および顔料が固着されていることが確認された。また、得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上102.8%であって、実質的にトナー粒子の表面全体に外添剤が被覆されていた。
次いで、得られた静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.45であって、非常に良好な画像が得られた。また、5万回の画像形成処理(印字率5%)後における画像濃度は1.47であって、高い画像濃度が維持された。しかも、5万回の画像形成処理においても、トナーのカブリや、装置内部の汚れなどは観察されなかった。
実施例3
前撹拌時の撹拌速度を、毎分8500回転に変更して、コア粒子の体積平均粒径を6.8μmに調節したこと以外は、実施例1の(i)〜(iv)と同様にして、コア粒子の作製、コア−シェル構造を有する粒子の作製、荷電制御剤および着色剤の固着処理、および、外添剤の付着処理をすることにより、静電像現像用トナーを得た。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、荷電制御剤および顔料が固着されていることが確認された。また、得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上104%であって、実質的にトナー粒子の表面全体に外添剤が被覆されていた。
次いで、得られた静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.32であって、非常に良好な画像が得られた。また、5万回の画像形成処理(印字率5%)後における画像濃度は1.36であって、高い画像濃度が維持された。しかも、5万回の画像形成処理においても、トナーのカブリや、装置内部の汚れなどは観察されなかった。
実施例4
コア粒子を作製するための上記混合溶液中に、さらに、シアン顔料(フタロシアニン;1次粒子径10〜100nm)4重量部を配合したこと以外は、実施例1の(i)と同様にして、コア粒子を作製した。得られたコア粒子の体積平均粒子径は6.5μmであった。
また、上記のコア粒子を用いたこと以外は、実施例1の(ii)〜(iv)と同様にして、コア−シェル構造を有する粒子の作製、荷電制御剤および着色剤の固着処理、および、外添剤の付着処理をすることにより、静電像現像用トナーを得た。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、顔料および荷電制御剤が固着されていることが確認された。また、得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上99.7%であって、実質的にトナー粒子の表面全体に外添剤が被覆されていた。
次いで、得られた静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.44であって、非常に良好な画像が得られた。また、5万回の画像形成処理(印字率5%)後における画像濃度は1.42であって、高い画像濃度が維持された。しかも、5万回の画像形成処理においても、トナーのカブリや、装置内部の汚れなどは観察されなかった。
実施例5
実施例4で得られたのと同じコア粒子を使用し、実施例1の(ii)〜(iii)と同様にして、コア−シェル構造を有する粒子の作製と、荷電制御剤および着色剤の固着処理とを行った。さらに、トナー粒子100重量部に対する外添剤の配合量を1.4重量部としたこと以外は、実施例1の(iv)と同様にして、外添剤の付着処理をすることにより、静電像現像用トナーを得た。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、顔料および荷電制御剤が固着されていることが確認された。また、得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上69.8%であって、静電像現像用トナーの表面の一部において、荷電制御剤や顔料が露出していた。
次いで、得られた静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.47であって、非常に良好な画像が得られた。また、5万回の画像形成処理(印字率5%)後における画像濃度は1.48であって、高い画像濃度が維持された。しかも、5万回の画像形成処理においても、トナーのカブリや、装置内部の汚れなどは観察されなかった。
比較例1
実施例4で得られたのと同じコア粒子を使用し、実施例1の(ii)と同様にして、コア−シェル構造を有する粒子を作製した。次いで、得られたコア−シェル構造を有する粒子に対して、荷電制御剤および着色剤の固着処理を施さず、かつ、実施例1の(iv)と同様にして外添剤の付着処理を施すことにより、静電像現像用トナーを得た。なお、トナー粒子100重量部に対する疎水化処理されたコロイダルシリカの配合量は、2.0重量部であった。
得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上99.7%であって、実質的にトナー粒子の表面全体に外添剤が被覆されていた。
次いで、得られた静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.25であって、画像濃度が若干低く、画像そのものもくすんでいた。しかも、全体的にトナーの帯電不足によるカブリが発生していた。また、5万回の画像形成処理(印字率5%)後における画像濃度は1.20であって、さらに低下しており、カブリも改善されていなかった。
比較例2
コア粒子を作製するための混合溶液として、スチレン50重量部、n−ブチルアクリレート50重量部、シアン顔料(フタロシアニン;1次粒子径10〜100nm)4重量部およびビニルベンゼン(架橋剤)1重量部を配合したものを使用し、かつ、前撹拌時の撹拌速度を、毎分9000回転に変更したこと以外は、実施例1の(i)と同様にして、コア粒子(体積平均粒子径6.7μm)を作製した。すなわち、コア粒子中には、荷電制御剤を配合しなかった。
また、上記のコア粒子を用いたこと以外は、実施例1の(ii)と同様にして、コア−シェル構造を有する粒子を作製し、さらに、実施例1の(iii)と同様に、コア−シェル構造を有する粒子の酸洗浄、水洗、ろ過および乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得た。
次いで、得られたトナー粒子100重量部に対して、ホウ素ベンジル酸錯体(荷電制御剤;1次粒子径1μm以下)3重量部を配合して、ヘンシェルミキサにて低速で混合した後、こうして得られたトナー粒子およびホウ素ベンジル酸錯体の混合物を用いたこと以外は、実施例1の(iii)と同様にして固着処理をすることにより、トナー粒子のシェル層にホウ素ベンジル酸錯体を固着させた。すなわち、シェル層には、顔料を固着させなかった。
次に、上記の固着処理により得られたトナー粒子に対して、実施例1の(iv)と同様にして外添剤の付着処理を施すことにより、静電像現像用トナーを得た。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、荷電制御剤が固着されていることが確認された。また、得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上102.8%であって、実質的にトナー粒子の表面全体に外添剤が被覆されていた。
次いで、得られた静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.22であって、画像濃度が若干低く、カブリは発生しなかったものの、画像そのものはくすんでいた。また、5万回の画像形成処理(印字率5%)後における画像濃度は0.87であって、さらに低下しており、カブリも改善されていなかった。
比較例3
実施例3で得られたのと同じコア粒子を使用し、実施例1の(ii)と同様にして、コア−シェル構造を有する粒子を作製した。さらに、得られたコア−シェル構造を有する粒子を用いたこと以外は、実施例1の(iii)と同様に、コア−シェル構造を有する粒子の酸洗浄、水洗、ろ過および乾燥処理を施すことにより、トナー粒子を得た。
次いで、得られたトナー粒子100重量部に対して、シアン顔料(フタロシアニン;1次粒子径10〜100nm)3重量部を配合して、ヘンシェルミキサにて低速で混合した後、こうして得られたトナー粒子およびシアン顔料の混合物を用いたこと以外は、実施例1の(iii)と同様にして固着処理をすることにより、トナー粒子のシェル層にシアン顔料を固着させた。すなわち、シェル層には、荷電制御剤を固着させなかった。
次に、上記の固着処理により得られたトナー粒子に対して、実施例1の(iv)と同様にして外添剤の付着処理を施すことにより、静電像現像用トナーを得た。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、顔料が固着されていることが確認された。また、得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上104%であって、実質的にトナー粒子の全体に外添剤が被覆されていた。
次いで、静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.01であって、画像濃度極めて低かった。また、カブリは発生しなかったものの、画像そのものはくすんでいた。なお、5万回の画像形成処理(印字率5%)後における画像濃度は1.30であって、ある程度の回復がみられた。
比較例4
固着処理時の熱処理条件のうち、熱風温度(熱処理温度T)を60℃に変えたこと以外は、実施例1の(i)〜(iv)と同様にして、コア粒子を作製、コア−シェル構造を有する粒子の作製、荷電制御剤および着色剤の固着処理、および、外添剤の付着処理をすることにより、静電像現像用トナーを得た。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、荷電制御剤が固着されていることが確認された。また、得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上99.7%であって、実質的にトナー粒子の表面全体に外添剤が被覆されていた。
次いで、得られた静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.25であって、画像濃度がやや低くかった。しかも、カブリが発生しており、画像そのものはくすんでいた。また、5万回の画像形成処理(印字率5%)後には、静電像現像用トナーから荷電制御剤や顔料が多量に剥がれ落ち、トナー飛散が発生した。画像濃度も0.90まで低下した。
比較例5
固着処理時の熱処理条件のうち、熱風温度(熱処理温度T)を200℃に変えたこと以外は、実施例1の(i)〜(iv)と同様にして、コア粒子を作製、コア−シェル構造を有する粒子の作製、荷電制御剤および着色剤の固着処理、および、外添剤の付着処理をすることにより、静電像現像用トナーを得た。
上記固着処理の前後において、コア−シェル構造を有する粒子(トナー粒子)の表面状態を電子顕微鏡で観察し、対比したところ、上記固着処理により、コア−シェル構造を有する粒子のシェル層に、荷電制御剤が固着されていることが確認された。また、得られた静電像現像用トナーについて、トナー粒子の表面における外添剤の被覆率は、計算上99.7%であって、実質的にトナー粒子の表面全体に外添剤が被覆されていた。
次いで、得られた静電像現像用トナーについて、実施例1の(v)と同様にして性能評価をしたところ、画像形成処理の初期におけるベタ画像の画像濃度は1.30であって、画像濃度がやや低くかった。しかも、カブリが発生しており、画像そのものはくすんでいた。また、5万回の画像形成処理(印字率5%)後には、静電像現像用トナーから荷電制御剤や顔料が多量に剥がれ落ち、トナー飛散が発生した。画像濃度は1.32であった。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
熱処理装置の一例を示す概略構成図である。 図1に示す試料噴射室の水平断面構造を示す概略断面図である。

Claims (3)

  1. 第1のバインダ樹脂と第1の荷電制御剤または荷電制御樹脂とを含むコア粒子、前記コア粒子の表面を被覆する、第2のバインダ樹脂を含むシェル層、前記シェル層に固着された第2の荷電制御剤および前記シェル層に固着された着色剤を有するトナー粒子と、前記トナー粒子の表面を被覆する外添剤と、からなり、
    表面が前記シェル層で被覆された前記コア粒子と、前記第2の荷電制御剤と、前記着色剤とが、前記第2のバインダ樹脂のガラス転移温度以上、180℃以下の温度で熱処理されていることを特徴とする、静電像現像用トナー。
  2. 前記トナー粒子の表面における前記外添剤の被覆率が60〜120%であることを特徴とする、請求項1に記載の静電像現像用トナー。
  3. 第1のバインダ樹脂と第1の荷電制御剤または荷電制御樹脂とを含むコア粒子であって、その表面が第2のバインダ樹脂を含むシェル層で被覆されたものと、第2の荷電制御剤と、着色剤とを、前記第2のバインダ樹脂のガラス転移温度以上、180℃以下の温度の熱気流中に供給して熱処理した後、直ちに冷却することにより、前記第2の荷電制御剤および前記着色剤が前記シェル層に固着されたトナー粒子を形成し、次いで、得られたトナー粒子と、外添剤とを混合して、前記トナー粒子の表面を外添剤で被覆することを特徴とする、静電像現像用トナーの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008257227A (ja) * 2007-03-15 2008-10-23 Ricoh Co Ltd 画像形成方法及びプロセスカートリッジ
JP2009244727A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Casio Electronics Co Ltd 電子写真用トナーの製造方法
JP2011128488A (ja) * 2009-12-21 2011-06-30 Canon Inc トナーの熱処理装置及びトナーの製造方法
JP2015081954A (ja) * 2013-10-21 2015-04-27 富士ゼロックス株式会社 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法
KR101862119B1 (ko) * 2011-11-16 2018-05-30 롯데정밀화학 주식회사 토너 및 그의 제조방법

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