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JP2006302530A - 色素増感太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

色素増感太陽電池およびその製造方法 Download PDF

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JP2006302530A JP2005118556A JP2005118556A JP2006302530A JP 2006302530 A JP2006302530 A JP 2006302530A JP 2005118556 A JP2005118556 A JP 2005118556A JP 2005118556 A JP2005118556 A JP 2005118556A JP 2006302530 A JP2006302530 A JP 2006302530A
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良一 古宮
Ryosuke Yamanaka
良亮 山中
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礼元 韓
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武仁 見立
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Abstract

【課題】多層型の電解質を用いることで、液体電解質の液漏れの問題、および固体電解質が液体電解質に比べて光電変換効率が低下する問題を解決し、耐久性も優れた色素増感太陽電池を提供すること。
【解決手段】少なくとも一方が光透過性の材料からなる一対の支持体1、14間に、電極層2、色素を吸着した多孔性半導体層3、電解質層および対極13を備え、前記電解質層が、前記多孔性半導体層3の内部側に形成された第1電解質層15と、多孔性半導体層3の表層側に形成された第2電解質層16とを有し、前記第1電解質層15が液体電解質または固体電解質からなり、前記第2電解質層16が固体電解質からなる色素増感太陽電池を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は色素増感太陽電池およびその製造方法に関する。詳しくは、電解質層の液漏れを防止し、光電変換効率が向上した色素増感太陽電池およびその製造方法に関する。
色素増感太陽電池は、有機系太陽電池の中でも高い光電変換効率が得られるため、近年注目されている。この色素増感太陽電池を構成する光電変換材料からなる半導体層には、半導体表面に可視光領域に吸収を持つ分光増感色素を吸着させたものが用いられている。例えば特許第2664194号公報(特許文献1)では、遷移金属錯体からなる分光増感色素を半導体層の表面に吸着させた金属酸化物半導体層を用いた色素増感太陽電池が記載されている。
また、特公平8−15097号公報(特許文献2)には、金属イオンをドープした酸化チタン半導体層の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素を吸着させた色素増感太陽電池が記載されている。さらに、特開平7−249790号公報(特許文献3)には、半導体層を分光増感色素のエタノール溶液中に入れて加熱還流し、半導体層表面に色素を吸着させることにより得られた光電変換材料用半導体層を用いた色素増感太陽電池が記載されている。
一般的な電解液を使用した上記の色素増感太陽電池の作製工程について図2を用いて説明する。
透明支持体21の表面に形成された透明導電膜22上に、酸化チタン粒子からなる多孔性半導体層23を形成し、その多孔性半導体層23に色素を吸着させる。対極25に白金膜26などの触媒をコーティングし、半導体層23と白金膜26を対面するように透明支持体21と対極25を重ねあわせ、その間に電解液を注入して電解液層24とし、透明支持体21と対極25の側面をエポキシ樹脂27などで封止する。このようにして色素増感太陽電池が作製される。
しかしながら、このような色素増感太陽電池では、電解液層24からの液漏れ防止が不十分であり、光電変換効率の低下をもたらすため、より液漏れ防止を向上させるために液体電解質を固体化した色素増感太陽電池が提案されている。
特開平11−126917号公報(特許文献4)には、ゲル状電解質が、カーボネート基、窒素原子を含有する複素環又は4級アンモニウム塩から選ばれた一価の有機残基を有する構成単位の少なくとも一種類を含む色素増感太陽電池が記載されている。
特開平11−339866号公報(特許文献5)には、作用電極と対極の間に高分子多孔膜等の固体層を有し、その固体層の空隙に電解液を保持している色素増感太陽電池が記載されている。
特開2001−160427号公報(特許文献6)には、ハロゲン含有化合物とN、P、Sの元素を含む化合物を用いてオニウム塩の重合体を形成することにより電解質組成物をゲル化させてゲル状電解質を得た色素増感太陽電池が記載されている。
特開2001−210390号公報(特許文献7)には、3次元的に架橋した高分子化合物に酸化還元性電解液を含浸させた構成の固体電解質(ゲル状電解質)を有する色素増感太陽電池が記載されている。
特許第2664194号公報 特公平8−15097号公報 特開平7−249790号公報 特開平11−126917号公報 特開平11−339866号公報 特開2001−160427号公報 特開2001−210390号公報
上述のように、色素増感太陽電池の電解液の液漏れや揮発を防止するために、高分子化合物などを用いて有機溶媒を含有する液体電解質を固体化する方法が検討されている。このような色素増感太陽電池を作製するに際しては、液体電解質に対して高分子化前の高分子化合物形成材料などを添加した混合溶液を多孔性半導体層の内部(空隙)に含浸させた後、高分子化合物形成材料を高分子化させて混合液を固体化する必要がある。
しかしながら、液体電解質に対して高分子化合物形成材料を添加することにより粘度が増加し、多孔性半導体層内に含浸させることが困難となる。また、高分子化合物が多孔性半導体層内の空孔に存在することにより電荷の輸送が疎外され、電流の低下につながる。一方、液体電解質を固体化するための高分子化合物形成材料の添加量を減少させると、固体状態を保持することが困難であると共に、液体電解質の保持力が低下する。そのため、固体電解質を用いた色素増感太陽電池においては、液体電解質を用いた場合に比べて光電変換効率が低下するという問題があった。
また、特許文献5の色素増感太陽電池では、電解液を固体層に保持しているが、この固体層は空孔の大きさが0.01〜5μmと大きく、リチウム二次電池などで多く用いられているセパレータと同等の大きさであることから、液漏れを防ぐことは困難である。
本発明者らは、多層型の電解質を用いることで、液体電解質の液漏れの問題、および固体電解質が液体電解質に比べて光電変換効率が低下する問題を解決し、耐久性も優れた色素増感太陽電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、一対の支持体間に、電極層、色素を吸着した多孔性半導体層、電解質層および電極層を備え、前記電解質層が、前記多孔性半導体層の内部の空隙内に形成された第1電解質層と、多孔性半導体層の表面側に形成された第2電解質層とを有し、前記第1電解質層が液体電解質または固体電解質からなり、前記第2電解質層が固体電解質からなる色素増感太陽電池が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、支持体上に形成された電極層の上に、色素を吸着した多孔性半導体層を形成する工程と、前記多孔性半導体層の内部の空隙内および表面側に第1電解質層および第2電解質層を形成する工程と、前記第2電解質層の上に電極層および支持体を形成する工程を備え、前記第1電解質層が、多孔性半導体層内に液体電解質を含浸させるか、または多孔性半導体層内に固体電解質を形成することよりなり、前記第2電解質層が、固体電解質を形成することよりなる色素増感太陽電池の製造方法が提供される。
本発明によれば、電解質層が、多孔性半導体層の内部の空隙内と表面側(表層側)に第1、第2電解質層を有し、少なくとも第2電解質層が固体電解質から構成されることにより、多孔性半導体層の表面側が固体電解質によって覆われて表面側に開口する各微細孔が確実に密封される。この結果、第1電解質層が液体電解質からなる場合、多孔性半導体層から液体電解質が漏れ出ることを確実に防止することができる。また、第1電解質が、液体電解質を固体化した固体電解質からなる場合には、多孔性半導体層内部から液漏れが発生することはなく、さらに、多孔性半導体層の中心部まで十分に固体電解質を行き渡らせることが可能であるため、電荷輸送を液体電解質と同等に行なうことができる。よって、高い光電変換効率を示し、かつ、液漏れの無い色素増感太陽電池を得ることができる。また、第1電解質層が無い場合は、多孔性半導体層の内部では半導体層と電解質層との接触率を高くできず電荷輸送に不利であるが、本発明のように電解質層を形成しにくい多孔性半導体層内部に第1電解質層が介在することにより接触率が向上し、効率よく電荷輸送を行なうことができ、それによっても光電変換効率の向上が図られる。
本発明の色素増感太陽電池は、一対の支持体間に、電極層、色素を吸着した多孔性半導体層、電解質層および電極層を備え、前記電解質層が、前記多孔性半導体層の内部の空隙内に形成された第1電解質層と、多孔性半導体層の表面側に形成された第2電解質層とを有し、前記第1電解質層が液体電解質または固体電解質からなり、前記第2電解質層が固体電解質からなることを特徴としている。
以下、この色素増感太陽電池の各構成要素について説明する。
<支持体>
支持体は、太陽電池の受光面となる部分では光透過性が必要となるため、少なくとも一方が光透過性を有する材料からなればよく、他方の支持体は光透過性を有さない材料で構成されていてもよく、あるいは、両面を光透過性の材料として、両面からの光入射が可能な太陽電池を構成してもよい。
本発明において「光透過性」とは、少なくとも光電変換層の色素に実効的な感度を有する波長の光を実質的に透過させることを意味し、必ずしもすべての波長領域の光に対して透過性を有することを意味しない。
支持体を構成する材料としては、250℃以上の耐熱性を有するものが好ましく、その厚さは0.2〜5mm程度が好ましい。
支持体の構成材料としては、例えば、ソーダガラス、溶融石英ガラス、結晶石英ガラス、合成石英ガラスなどのガラス基板、可撓性フィルムなどの耐熱性樹脂板、金属板などが挙げられる。
可撓性フィルム(以下、「フィルム」という)は、例えば、ポリエステル、ポリアクリル、ポリイミド、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの長期耐候性のシートやフィルムが挙げられる。
支持体上に加熱を伴って他の層を形成する場合、例えば、250℃程度の加熱を伴って電極層を形成する場合には、上記のフィルム材料の中でも、250℃以上の耐熱性を有するテフロン(登録商標)が特に好ましい。
支持体は、電極層を埋め込むための凹部を有していてもよい。
また、完成した太陽電池を他の構造体に取り付けるときに支持体を利用することができる。すなわち、ガラス基板などの支持体の周辺部を、金属加工部品とねじを用いて他の支持体に容易に取り付けることができる。
<電極層>
電極層は、太陽電池の受光面となる部分では光透過性が必要となるため、少なくとも一方が光透過性を有する材料からなればよく、他方の電極層(以下対電極と称する場合がある)は光透過性を有さない材料で構成されていてもよく、あるいは、一対の電極層を光透過性の材料として、両面からの光入射が可能な太陽電池を構成してもよい。
受光面側の電極層(以下、集電電極層と称する場合がある)は、支持体上に形成され、支持体の片面に発生した電子を集める機能を有する。
受光面側の電極層である集電電極層を構成する材料としては、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛複合酸化物)、フッ素をドープした酸化スズ、ボロン、ガリウムまたはアルミニウムをドープした酸化亜鉛、ニオブをドープした酸化チタンなどの透明導電性金属酸化物などが挙げられる。
また、導電率の観点から、金属または1種類以上の金属を含む合金が好ましい。したがって、電解質層(キャリア輸送層)に腐食性の強い材料を用いる場合には、耐腐食性の化合物を形成することが可能な金属または1種類以上の金属を含む合金を用いるのが好ましく、そのような材料としては、例えば、錫、チタン、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、インジウム、モリブデン、タングステンおよびそれらの合金などが挙げられ、亜鉛、錫、チタンおよびそれらの合金が特に好ましい。 一般的に耐腐食性の金属酸化物を膜厚10μm以下で金属表面にコートするのが好ましく、この金属酸化物に透明導電膜材料を用いてもよい。
したがって、集電電極層が、少なくとも1層の、金属層および/または金属酸化物層からなるのが好ましい。
集電電極層の膜厚は、0.1〜30μm程度、好ましくは0.3〜5μmである。
支持体上に集電電極層を形成する方法としては、特に限定されず、CVD法、スパッター法、無電解メッキ法、電着法、印刷法、接着剤や両面テープで金属や合金の薄板を貼り付けるなど、一般的に電極の形成する方法が挙げられる。
電極層が多孔質半導体層とショットキー接続されていると、障壁を越えるためにエネルギーロスが起きてしまうため、光電変換層中の電子を電極層へスムーズに移動させるために、電極層は、光電変換層を構成する多孔質半導体層とオーミック接続されているのが好ましい。
対電極は、上記集電電極とともに一対の電極を構成し得るものであり、支持体上に導電層と金属触媒層またはカーボン層(好ましくは金属触媒層)が積層されたものを用いることができる。
導電膜は透明でもよいし、不透明であってもよい。例えば、N型又はP型の元素半導体(例えば、シリコン、ゲルマニウム等)又は化合物半導体(例えば、GaAs、InP、ZnSe、CsS等);金、白金、銀、銅、アルミニウム等の金属;チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属;ITO、SnO2、フッ素ドープのSnO2、CuI、ZnO等の透明導電材料からなる膜が挙げられる。これらの導電膜は、常法によって形成され、その膜厚は0.1μm〜5μm程度が適当である。
触媒層の材料は、白金、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレンなどから選ぶことができ、中でも白金が好ましい。白金の場合、スパッタ、塩化白金酸の熱分解、電着などの方法によって導電膜が被覆された支持基板上に膜を形成させたもの等が挙げられる。この場合の白金膜の膜厚は、0.5nm〜2000nm程度が挙げられる。触媒層の電気伝導性が高い場合には、導電層は必要ない。
<多孔性半導体層>
多孔質半導体層は、半導体から構成され、その形態は、粒子状、表面および内部に微細な多数の空隙を有する膜状などの種々な形態のものを用いることができるが、膜状の形態であることが好ましい。
多孔質半導体層を構成する材料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウムなどの公知の半導体を1種類または2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、光電変換効率、安定性、安全性の点から酸化チタンが特に好ましい。このような酸化チタンとしては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、無定形酸化チタン、メタチタン酸、オルソチタン酸などの種々の酸化チタン、含酸化チタン複合体などが挙げられ、これらはいずれであっても良いが、アナターゼ型酸化チタンを含んでいることが好ましい。
半導体粒子の製造方法としては、水熱合成法などのゾルーゲル法、硫酸法、塩素法などが挙げられ、目的の粒子を製造できる方法であればどんな方法を用いてもよいが、結晶性の観点より、水熱合成法により合成することが好ましい。
上述の半導体粒子としては、適当な平均粒径、例えば1nm〜500nm程度の平均粒径を有する単一または化合物半導体の粒子などが挙げられる。また、一つの多孔質半導体層中に、粒径の異なる半導体微粒子が含有されていてもよい。その中でも比表面積を大きくするという点から1〜50nm程度の平均粒径のものが望ましい。また入射光の利用率を高めるために、200〜400nm程度の粒径の大きな半導体粒子を添加してもよい。
多孔性半導体層の膜厚は、特に限定されるものではないが、透過性、変換効率などの観点より、0.5〜50μm程度が好ましく、0.5〜40μm程度がより好ましい。また電解質層が内部に十分浸透し、形成できるために空隙率は40〜80%が好ましい。
太陽電池の光電変換効率を向上させるためには、後述する色素を多孔質半導体層により多く吸着させることが必要である。このため、膜状の多孔質半導体層では、比表面積が大きなものが好ましく、例えば10〜500m2/g程度、さらに好ましくは20〜200m2/gである。なお、本明細書において示す比表面積はBET吸着法により測定した値である。
電極層上に膜状の多孔質半導体層を形成する方法としては、特に限定されず、種々の公知の方法が挙げられる。具体的には、(1)スクリーン印刷法、インクジェット法などにより、半導体粒子を含有するペーストを電極層上に塗布した後、焼成する方法、(2)所望の原料ガスを用いたCVD法またはMOCVD法などにより、電極層上に成膜する方法、(3)原料固体を用いたPVD法、蒸着法、スパッタリング法などにより、電極層上に成膜する方法、(4)ゾル−ゲル法、電気化学的な酸化還元反応を利用した方法などにより、電極層上に成膜する方法などが挙げられる。
上記の方法の中で、厚膜の多孔質半導体層を低コストで製造できることから、ペーストを用いたスクリーン印刷法が特に好ましい。
スクリーン印刷法で多孔質半導体層を印刷する場合には、印刷後のダレを少なくするために、数回に分けて印刷してもよい。また、数回に分けて印刷する場合には、異なる材料や粒径を有する半導体粒子を含有するペーストを印刷してもよい。
多孔性半導体層は、例えば次のようにして形成することができる。
材料となる半導体微粒子を用意し、その半導体微粒子を、高分子などの有機化合物と共に、分散剤、有機溶媒、水などに加え、分散させて懸濁液を調整し、その混合溶液を透明基板により担持された透明導電膜上に塗布する。半導体微粒子と共に溶媒に有機化合物を添加することで、焼成時に燃焼することにより多孔性半導体層の隙間を確保することも可能となる。また焼成時に燃焼する有機化合物の分子量や添加量を制御することで空隙率を変化させることができる。
その後、塗膜の乾燥、焼成を行う。乾燥と焼成は大気下または不活性ガス雰囲気下、50〜800℃程度の範囲内で、10秒から12時間程度行うことができる。この乾燥および焼成は、単一の温度で1回または温度を変化させて2回以上行うことができる。
また半導体粒子と共に添加する有機化合物としては、ポリエチレングリコール、エチルセルロースなどの高分子が挙げられるが、作製するTiO2懸濁液中に溶解し、焼成するときに燃焼して除去できるものであれば何でも用いることができる。
この半導体粒子を懸濁させるために使用される溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグライム系溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール系、イソプロピルアルコール/トルエンなどの混合溶媒、水などが挙げられる。
形成する多孔性半導体層としては、粒径がほぼ同じ半導体粒子により形成された単層膜だけでなく、粒径や種類の異なった半導体粒子を含む懸濁液を多層塗布したりすることもできる。一度の塗布で膜厚が不足の場合には、多層塗布することにより膜厚を増加させることもできる。
このようにして形成された多孔性半導体層の表面は、マクロ的な視点では平面状であるが、ミクロ的な視点では空隙の存在により微細な凹凸状である。したがって、本発明において、「多孔性半導体層の表面」とは、マクロ的な視点での仮想平面と、ミクロ的な視点での微細な凹凸状表面の両方を意味する。また、「多孔性半導体層の表面側」とは、マクロ的な視点での仮想平面および仮想平面の厚み方向近傍と、ミクロ的な視点での微細な凹凸状表面および微細な凹凸状表面の厚み方向近傍の両方を意味する。
<色素>
多孔質半導体層に吸着して光増感剤として機能する色素としては、種々の可視光領域および赤外光領域に吸収を持つものであって、半導体層に強固に吸着させるために、色素分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などのインターロック基を有するものが好ましい。これらの中でも、カルボン酸基およびカルボン酸無水基が特に好ましい。なお、インターロック基は、励起状態の色素と多孔質半導体層の伝導帯との間の電子移動を容易にする電気的結合を提供するものである。
インターロック基を含有する色素としては、例えば、ルテニウム系金属錯体色素、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイミン系色素、キナクリドン系色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、ポリフィリン系色素フタロシアニン系色素、ベリレン系色素、インジゴ系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。その中でもルテニウム系金属錯体色素が好ましい。
多孔性半導体層に色素を吸着させる方法としては、例えば電極層上に形成された多孔性半導体層を、色素を溶解した溶液(色素吸着用溶液)に浸漬する方法が挙げられる。色素を溶解するために用いる溶媒は、色素を溶解するものであればよく、例えばエタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトニトリルなどの窒素化合物類、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、酢酸エチルなどのエステル類、水などが挙げられる。これらの溶媒は2種類以上を混合して用いてもよい。
溶液中の色素濃度は、使用する色素および溶媒の種類は適宜調整することができ、吸着機能を向上させるためにはある程度高濃度である方が好ましい。例えば5×10-5モル/リットル以上の濃度であれば良い。
色素を溶解した溶液中に半導体を浸漬する際、溶液および雰囲気の温度および圧力は特に限定されるものではなく、例えば室温程度、かつ大気圧下が挙げられ、浸漬時間は使用する色素、溶媒の種類、溶液の濃度などにより適宜調整することができる。なお、効果的に行うには加熱下にて浸漬を行えばよい。これにより、多孔性半導体上に色素を吸着させることができる。
また、色素吸着時に、色素を溶解した溶液にデオキシコール酸やグアニジンチオシアネートのような色素の吸着に影響を及ぼす、あるいは共吸着する物質を混合しておいてもよい。
<電解質層>
本発明の色素増感太陽電池において、電解質層は、多孔性半導体層の内部の空隙内に形成された第1電解質層と、多孔性半導体層の表面側に形成された第2電解質層とを有する。
第1電解質層は、液体電解質または固体電解質からなり、第2電解質層は固体電解質からなる。
液体電解質としては、酸化還元種を含む液体状態のものであればよい。具体的には、酸化還元種とこれを溶解可能な溶媒からなるものが挙げられるが、一般に電池や太陽電池などにおいて使用することができるものであれば特に限定されない。酸化還元種としてはLiI、NaI、KI、CaI2等の金属ヨウ化物とヨウ素の組み合わせおよびLiBr、NaBr、KBr、CaBr2等の金属臭化物と臭素の組み合わせ、ヨウ化物イオンからなる塩とヨウ素の組み合わせ、臭化物イオンからなる塩と臭素の組み合わせが好ましく、この中でも、LiIとヨウ素の組み合わせあるいはヨウ化物イオンからなる塩とヨウ素の組み合わせが好ましい。また、これらの酸化還元種としては金属ヨウ化物とヨウ化物イオンからなる塩とヨウ素の組み合わせのように数種類を用いてもよい。
また、溶媒としては、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、アセトニトリル等のニトリル化合物、エタノール等のアルコール類、その他、水や非プロトン極性物質等が挙げられるが、その中でも、カーボネート化合物、ラクトン類、ニトリル化合物が好ましい。これらの溶剤は2種類以上を混合して用いることもできる。
固体電解質としては、電子、ホール、イオンを輸送できる導電性材料で構成され、太陽電池の電解質として用いることができるものを使用でき、例えば、ポリカルバゾール、トリフェニルアミン等のホール輸送材、テトラニトロフロオルレノン等の電子輸送材、ポリロール等の導電性ポリマー、液体電解質を高分子化合物により固体化した固体電解質、ヨウ化銅、チオシアン酸銅等のp型半導体などが挙げられるが、液体電解質を高分子化合物により固体化した固体電解質が好ましい。
ここで、本発明において、液体電解質を固体化した固体電解質とは、高分子化合物にて液体電解質が保持されてなる固体状の高分子電解質(流動性を有さない状態の電解質層)を意味する。
液体電解質を固体化するための高分子化合物としては、混合溶媒と電解質で構成される電解液を保持できるものであればよく、(a)ポリ(メタ)アクリレート類、(b)イソシアネート基を有する化合物Aと活性水素基を有する化合物Bを重付加したもの、(c)エポキシ樹脂類などが挙げられ、中でも(a)および(b)が好ましい。
本発明において、固体電解質が、ゲル状物に電解質が浸透してなる場合は上記(a)が用いられ、液体電解質を含有する高分子化合物形成材料が高分子化してなる場合は上記(b)が用いられる。
(a)の説明
ポリ(メタ)アクリレート類としては、一般式(I)で表されるモノマー単位を重合していられたものを用いることができる。
Figure 2006302530
式中、R1は水素原子またはメチル基であり、Xはエステル基と炭素原子で結合している残基であり、nは2〜4である。
ここで一般式(I)で示されるモノマー単位としては、具体的には1,4−ブタンジオールジアクリレート、2−プロペノイックアシッド[2−[1,1−ジメチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル]−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル]メチルエステル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン等が挙げられる。さらに、一般式(I)のXで表される残基がポリエチレンオキサイト基とポリプロピレンオキサイト基とブタンテトライル基により構成されるモノマー単位がより好ましい。
また、一般式(I)で示されるモノマー単位を2種類以上用いて共重合させることによっても3次元的に架橋した高分子化合物が得られるが、その他に(メタ)アクリレート系モノマー単位を用いて共重合を行ってもよく、具体的には、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸セチル、アクリル酸4−ヒドロキシブル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキエチル、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
これらの(メタ)アクリレート系モノマー単位の添加量は、一般式(I)の種類および架橋性の用途により異なるが、一般式(I)のモノマー単位に対して50〜98mol%程度の濃度が適当である。またラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、ベンゾイルパーオキサイド等の過酸化物系化合物などを用いることができ、濃度、及び加熱温度・時間は使用する化合物などにより適宜調製及び選択することができる。
(b)の説明
上記イソシアネート基を有する化合物Aは、化合物の中に1つ以上のイソシアネート基を有するものであればよい。具体的にはトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート(A1)、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート(A2)、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート(A3)が挙げられ、(A1)〜(A3)の2量体、3量体などの多量体および変性体であっても良い。また、低分子アルコールと芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートのアダクト体(A4)、高分子構造を有する化合物と、上記の具体例にイソシアネートを予め付加反応させた化合物であって、イソシアネート基を1つ以上有する分子量500〜100,000のプレポリマー(A5)などが挙げられる。
ここで、高分子構造とはイソシアネート基と反応性のある、主に活性水素基を有する化合物であり、イソシアネート基と反応性のある基を一つ以上有する化合物である。
具体的な高分子構造はその一部又は全てが、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリシロキサン、ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンアニド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリベンズイミダゾール、ポリアミン、ポリイミン、ポリスルフィド、ポリフォスファゼン、天然高分子から構成される。
その中でも特にポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリシロキサン、ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリフォスファゼンを有するものが望ましい。
イソシアネート基を有する化合物Aとして以上の具体例が挙げられるが、上述の化合物より二種類以上用いることもできる。
一方、上記の化合物Aのイソシアネート基と反応性を有する化合物Bとは、化合物の中に1つ以上のイソシアネート基と反応性のある基をもっているものであればよく、活性水素基を有する化合物が好ましい。ここで活性水素基とは-OH基、-SH基, -COOH基、-NH基、-NH2基、-CONH2基、-NHCONH-基、-NHCOO-基、Na+[CH(COOC2H5)]基、-CH2NO2基、-OOH基、-SiOH基、-B(OH)2基、-PH3基などが挙げられ、活性水素基を有する化合物とは、活性水素基を一分子中に一種類以上有する化合物である。特に、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基を有する化合物が好ましい。具体的にカルボキシル基を有する化合物として、ヘキサン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸などのカルボン酸、ヒドロキシル基を有する化合物としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖などのアルコール、アミノ基を有する化合物としてエチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミンなどのアミンなどが挙げられる。また一分子中に異種の活性水素基を有する化合物として、グリシン、アラニンなどのアミノ酸、エタノールアミン、スクシンアミド酸などが挙げられる。
また、分子量500〜100,000のイソシアネート基を有する化合物Aと反応性のある化合物Bとしては、高分子構造を有する化合物で、イソシアネート基と反応性のある基を一分子中に1つ以上有する分子量500〜100,000の化合物である。
具体的な高分子構造はその一部又は全てが、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリシロキサン、ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリビニリデンアニド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリベンズイミダゾール、ポリアミン、ポリイミン、ポリスルフィド、ポリフォスファゼン、天然高分子から構成されるものである。
その中でも特にポリエーテル、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリシロキサン、ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリフォスファゼンを有するものが望ましい。
イソシアネート基と反応性を有する化合物Bとして以上の具体例が挙げられるが、上述の化合物Bより、2種類以上用いることもできる。
化合物Aと化合物Bの混合比は、化合物A、Bの組み合わせによって異なり、また高分子の架橋性および色素増感太陽電池に求められる性能などにより適宜決定することができる。
(c)の説明
エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル類とアミン系硬化剤や非アミン系硬化剤等との共重合体が挙げられる。グリシジルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル等が挙げられ、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールが好ましい。アミン系硬化剤としては、例えば、ジアミノエチレン、ジアミノエチレングリコール、ジアミノプロピレングリコール、ジアミノジエチレングリコール、ジアミノジプロピレングリコール等が挙げられ、ジアミノジエチレングリコール、ジアミノジプロピレングリコールが好ましい。非アミン系硬化剤としては、エチレングリコール、グリセリン、クレゾール、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸等、カルボン酸系架橋剤として、テレフタル酸、アセトンジカルボン酸等が挙げられる。
(液体電解質を高分子化合物にて保持する方法)
液体電解質を高分子化合物にて保持する方法としては、(d)固体化する前の高分子化合物形成材料と液体電解質とを混合し、高分子化合物形成材料を重合して固体化する方法、(e)重合により固体化した高分子化合物に電解質を浸透させる方法が挙げられる。
(d)の場合、固体化する前の高分子化合物形成材料として、ヨウ素が重合に影響しないイソシアネートを含む化合物Aと活性水素基を含む化合物Bなどを用い、重合前にヨウ素を含む液体電解質を添加した溶媒と混合し、その後重合させてゲル状電解質が作製される。
(e)の場合、固体化前の高分子化合物形成材料が、ヨウ素が重合禁止剤として働くラジカル重合により固体化する(メタ)アクリレート類などを用い、高分子化合物形成材料と溶媒との混合物を重合してゲル状物を形成した後、ヨウ素を含む液体電解質中にゲル状物を浸すことにより、電解質が浸透したゲル状電解質が作製される。
なお、高分子化合物の重合方法としては光重合、熱重合、自然放置などが考えられ、用いる高分子化合物により適宜選択する必要がある。ただし、色素増感太陽電池において、多孔性半導体に酸化チタンを使用する場合が多い。酸化チタンは紫外線領域にて光触媒反応を起こす物質であるため、光重合を行う際に紫外線光が照射されると光触媒反応が起こり、多孔性半導体に吸着させた色素が分解するなどの問題が考えられるため、熱重合、もしくは自然放置により重合を行うことが好ましい。
(第1電解質層の形成方法)
色素が吸着した多孔性半導体層の内部側の第1電解質層の形成方法は、多孔性半導体層の空孔内部に液体電解質を含浸させる(または注入する)ことによって形成する方法(f)と、多孔性半導体層の空孔内部に、上記(d)の液体電解質と高分子化合物形成材料との混合液を含浸させ、高分子化合物形成材料を重合させて混合液を固体化することにより液体電解質を保持した固体電解質を形成する方法が採用される。
このとき、多孔性半導体層の空孔内部に液体電解質もしくは液体電解質を含む上記混合液を含浸させる際には、多孔性半導体層の全体に液体電解質が十分に浸透していなければ、得られた色素増感太陽電池の光電変換効率が悪くなるため、十分に浸透させる必要がある。粘度の低い液体電解質の場合は常温常圧下でも含浸させることは可能であるが、高粘度溶媒などを多量に含む液体電解質の場合は粘度が高いため、多孔性半導体層の細孔内部にまで含浸しにくい。そのため、多孔性半導体層を真空化においた状態で液体電解質を注入する真空注入法が望ましい。また、液体電解質と高分子化合物形成材料との混合液を用いる場合も同様に真空注入法が望ましい。なお、イオン結合などによって形成されている、熱によって可逆的に液体−固体間の状態変化を起こす高分子化合物などは、加熱して液体状態にしたものを真空注入法により多孔性半導体層内へ注入すればよい。
このようにして多孔性半導体層の空隙内に形成された第1電解質層は、多孔性半導体層の表面の固体上にも薄い膜として存在する場合がある(特に第1電解質層が固体電解質の場合)。
P型半導体としてはCuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuGaSe2、Cu2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2などが挙げられる。その中でもCuI、CuSCNが好ましい。P型半導体を用いた電解質層の形成方法としては、例えば、P型化合物半導体の溶液または分散液を、加熱した色素吸着電極基板上に塗布して形成する方法、キャスト法、スピンコート法、浸漬法、電解メッキ法、真空蒸着法、スパッタリング法を用いて形成する方法が挙げられる。塗布法によって正孔輸送層を形成する場合、必要に応じて正孔をトラップしにくいバインダー樹脂や、レベリング剤、界面活性剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布液を調整し、スピンコート法、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは、米国特許第2681294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等の方法により塗布して正孔輸送層を形成することができる。塗布に好ましく用いられる溶剤または分散媒はアセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、ピリジン等であり、この中でもアセトニトリルが特に好ましい。また、本発明では塗布の際、色素吸着電極を加熱することが好ましく行われる。塗布時の好ましい基板温度は15〜200℃であり、さらに好ましくは40〜150℃である。真空蒸着法により一価の銅を含む化合物半導体層を形成する場合、増感色素を担持した無機酸化物電極基板上に、一般にボート加熱温度50〜400℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/sec、基板温度-50〜+300℃、膜厚5nm〜20μmの範囲で蒸着条件を適宜選択し、蒸着することができる。
P型半導体を固体電解質として用いる場合、短絡を防ぐため、多孔性半導体層と集電電極層の間に酸化チタンなどの下塗り層を設けても良い。下塗り層の形成方法としては、スプレーパイロリシス法、真空蒸着法、スパッタリング法、キャスト法、スピンコート法、ディップ法、電解めっき法などが挙げられる。
(第2電解質層の形成方法)
多孔性半導体層の空孔内部に、上記(f)または(d)のように第1電解質層を形成した後、その上に固体電解質からなる第2電解質層を形成する。第2電解質層の形成方法としては、上記(d)および(e)と同様に行なうことができる。なお、第1電解質層を液体電解質とし、その上に(e)の方法で第2電解質層を形成する場合、第1電解質層中にヨウ素が含まれていると第2電解質層を構成するための高分子化合物形成材料の重合が進行しない。そのため、多孔性半導体層内へのヨウ素の注入(含浸)は、第2電解質層形成時に、先ず多孔性半導体層の表面側にゲル状物の層を形成し、次いでゲル状物を液体電解質へ浸漬することにより、液体電解質中のヨウ素が上層のゲル状物に浸透し、さらに多孔性半導体層へも浸透することによって行なわれる。
このようにして形成された第2電解質層と第1電解質層の界面は、少なくとも多孔性半導体層の表面側の空隙内に現れ、場合によっては多孔性半導体層の表面側の固体(例えば酸化チタン)上にも現れる。
なお、固体電解質として多孔性のP型半導体を用いる場合、まずP型半導体にて固体電解質を形成した後、固体電解質の内部に液体電解質を注入(含浸)して作製することができる。
<封止層>
本発明の色素増感太陽電池は、上述の各構成要素以外にも、電極層と対極との間において、第1電解質層および第2電解質層の周囲に封止層を形成してもよい。
封止層を構成する材料としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ホットメルト樹脂、ガラスフリットなどが好ましく、これらは2種類以上を2層以上にして用いることもできる。酸化還元性電解質の溶剤としてニトリル系溶剤、カーボネート系溶剤を使用する場合には、シリコーン樹脂やホットメルト樹脂(例えば、アイオノマー樹脂)、ポリイソブチレン系樹脂、ガラスフリットが特に好ましい。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は本発明の色素増感太陽電池の製造方法を説明する工程説明図である。なお、図1において、1は支持体としての透明基板、2は電極層としての透明導電膜、3は多孔性半導体層である。
先ず、多孔性半導体層を作製するための酸化チタン懸濁液の作製方法について説明する。
チタンイソプロポキシド(キシダ化学株式会社製)125mL、pH調製剤である0.1M硝酸水溶液(キシダ化学株式会社製)750mLを混合し、80℃8時間加熱することにより、チタンイソプロポキシドの加水分解反応を進行させ、ゾル液を調製した。次に、チタン製オートクレーブにて230℃で11時間、粒子成長させた。次に、超音波分散を30分間行うことで、平均粒径15nmの酸化チタン粒子を含むコロイド溶液Iの作製を行い、2倍のエタノールを加え、5000rpmにて遠心分離を行うことにより酸化チタン粒子を作製した。なお、コロイド溶液に含まれるTiO2粒子の平均粒径は、光散乱光度計(大塚電子社製)を用いて、レーザー光の動的光散乱を解析することにより求めた。
次に、オートクレーブ内における反応条件を粒子成長条件210℃、17時間に変えたこと以外は、上記コロイド溶液Iと同様の手順により、平均粒径が310nmのTiO2粒子(アナターゼ)を含むコロイド溶液(以下、コロイド溶液IIという)を調製した。さらに、上記コロイド溶液Iを90重量%とコロイド溶液IIを10重量%と混合してコロイド溶液IIIを調整した。
上述の工程により作製した各コロイド溶液I〜III中の酸化チタン粒子を洗浄した後、エチルセルロース(キシダ化学株式会社製)とテルピネオール(キシダ化学株式会社製)を無水エタノールに溶解させたものを加え、攪拌することにより酸化チタン粒子を分散させた。その後、40mbarの真空下、50℃にてエタノールを蒸発させ、コロイド溶液I〜IIIから酸化チタンペースト(懸濁液I〜III)の作製を行った。なお、懸濁液I〜IIIにおいて、最終的な組成として、酸化チタン固体濃度20重量%、エチルセルロース10重量%、テルピネオール64重量%となるように濃度調整を行った。
半導体微粒子の平均粒径を測定するために、図示省略の透明基板上のSnO2膜上に、上述の懸濁液I〜IIIをそれぞれドクターブレード法で塗布し、次いで乾燥させた。その後、大気中、450℃の条件下で各基板1を30分間焼成し、多孔性半導体層を形成した。上記懸濁液I〜IIIによる多孔性半導体層について、X線回折装置でθ/2θ測定における回折角が25.28°(アナターゼ101面に対応)のピークの半値幅を求め、その値とシェラーの式から平均粒径を求め、その結果を表1に示した。
また、焼成した多孔性半導体層3をFE−SEMにより観察した結果、柱状の微粒子が含まれていることを確認した。
Figure 2006302530
上記酸化チタン懸濁液Iをスクリーン印刷法により、10mm×10mmの面積で、図1(a)に示す透明ガラス基板1上に形成した透明導電膜(SnO2膜)2上に塗布し,80℃で30分間予備乾燥した後、500℃、30分間空気中で焼成し、下層の多孔性半導体層を形成した。次いで、上記下層の多孔性半導体層の上に、上記と同様に酸化チタン懸濁液IIIを塗布して予備乾燥、焼成を行い、上層の多孔性半導体層を形成した。その結果、下層は平均粒径14.2nm、上層は平均粒径40.1nm、下層と上層の合計膜厚が15μmである多孔性半導体層3が得られた(図1(b)参照)。
次に、ルテニウム金属錯体色素(ルテニウム535−ビスTBA色素、ソラロニックス社製)を無水エタノールに濃度4×10-4モル/リットルで溶解させ吸着用色素溶液を作製した。この吸着用色素溶液と、上述で得られた多孔性半導体層3と透明導電膜2を具備した透明基板1を浸漬し、80℃の温度条件のもとで20時間放置した後、引き上げてエタノールで洗浄し、乾燥させて、多孔性半導体層3に色素を吸着させた。
なお、以下で説明する実施例1〜3および比較例1では、上記多孔性半導体層3および透明導電膜2を有する透明基板1を用いた。
(実施例1)
次に、図1(c)に示すように、エチレンカーボネート(EC、キシダ化学株式会社製)とγ−ブチロラクトン(γ−BL、キシダ化学株式会社製)をEC:γ−BL=30:70(質量%)で混合した溶媒(電解質を含まない)を、次の方法で多孔性半導体層3内に注入した。
真空容器内にビーカーなどの容器を設置し、その中に多孔性半導体層3を有する透明基板1を設置し、ロータリーポンプで約10分間真空引きした。続いて、真空容器内を真空状態(3Torr)に保ちながら、溶媒4をビーカー内に注入し、約10分間含浸させ、多孔性半導体層3中に溶媒を十分に染み込ませた(図1(c)参照)。
次に、一般式(I)で示されるモノマー単位のうち、nが3であり、R1をメチル基、Xを8個のポリエチレンオキサイド基と2個のポリプロピレンオキサイド基を中心核としてブタンテトライル基により構成されるモノマー単位を使用した。このモノマー単位をECとγ―BLをEC:γ−BL=30:70(容量%)で混合した溶媒4(電解質を含まない)に10重量%の濃度で溶解させ、熱重合開始材としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)をモノマー単位に対して1重量%の濃度で混合させたモノマー溶液を作製した。作製したモノマー溶液8を溶媒の浸透している多孔性半導体層上に滴下し、図1(d)に示すようにポリイミド製セパレータ5、PETフィルム6付き押さえ板7を配置し、冶具(図示省略)にて固定する。その後、約90℃で80分間加熱することにより熱重合させゲル状物を形成した。
次に、多孔性半導体層3内の溶媒とゲル状物に電解質成分を浸透させるための酸化還元性電解液を作製した。この際、溶媒としてゲル状物を作製するのに用いた混合溶媒に、濃度0.5モル/リットルのヨウ化リチウムと濃度0.05モル/リットルのヨウ素と濃度0.2モル/リットルの1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾールヨーダイドを溶解させることにより、酸化還元性電解液を作製した。
次いで、図1(e)に示すように、この酸化還元性電解液10を容器11に入れ、その中に上述の溶媒4の浸透した多孔性半導体層3およびその上のゲル状物9を有する基板1をPETフィルム6付き押さえ板7およびセパレータ5を取り外した状態で50℃で約1時間浸すことにより、多孔性半導体層3内の溶媒4とゲル状物9中に酸化還元性電解液10を十分に染み込ませることにより、多孔性半導体層3内に液体電解質からなる第1電解質層15を形成し、多孔性半導体層3の表層側に液体電解質を高分子化合物にて保持した(固体化した)固体電解質からなる第2電解質層16を形成し、多層型電解質を作製した(図1(f)参照)。
その後、基板1を容器11から引き上げ、第2電解質層16上に触媒層となる白金膜13(膜厚1μm)を具備したITO導電性基板(対電極付き支持体)14を設置し、基板1、14間の周囲をエポキシ系樹脂からなる封止剤12にて封止して、実施例1の色素増感太陽電池を完成した。
実施例1の色素増感太陽電池は、測定条件:AM−1.5、照射光強度100mW/cm2の下での測定の結果、光電変換効率が9.5[%]であった。その結果を表2に示した。
(実施例2)
実施例2の色素増感太陽電池の製造において、主として実施例1と異なる点を以下に説明する。実施例2では、先ず、実施例1において多孔性半導体層内部に浸透させた溶媒の代わりに、実施例1で用いた酸化還元性電解液を浸透させて、多孔性半導体層3の内部に液体電解質からなる第1電解質層を形成した。
次に、第1電解質層を含有する多孔性半導体層3上に固体電解質を形成した。その際、先ず、実施例1で用いた電解液170gに化合物Aとして下記合成方法1により合成した化合物10.5gと、化合物Bとしてポリエーテルアミン(HUNTSMAN社製、商品名:ジェファーミンT−5000)5gを溶解させ、モノマー溶液を調整した。調整したモノマー溶液を第1電解質層を含有する多孔性半導体層3上に滴下し、かつ、周囲にセパレータを設置し、白金膜(膜厚1μm)を具備したITO導電性基板を設置した。その後、90℃、60分間加熱することにより、化合物AとBとが反応してなる高分子化合物により酸化還元性電解液が固体化して固体電解質(第2電解質層)が形成し、多層型電解質が形成された。次いで、エポキシ樹脂でセパレータの周囲あるいはセパレータを取り外した周囲を封止して色素増感太陽電池を完成した。
実施例2の色素増感太陽電池は、測定条件:AM−1.5、照射光強度100mW/cm2の下での測定の結果、光電変換効率が9.3[%]であった。その結果を表2に示した。
(合成方法1)
反応容器中に出発物質としてのグリセリン92g、触媒としての水酸化カリウム30gを仕込み、さらにエチレンオキサイド5950gとプロピレンオキサイド3970gを仕込み、130℃で10時間反応させた後、中和脱水処理を行って、分子量10000のエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体を得た。得られた化合物100gにトリレンジイソシアネート5.3gと触媒としてのジブチルチンジラウレート0.05gを加え、80℃で3時間反応を行い、分子量10520(ゲル透過クロマトグラフィーにより測定)の化合物Aを得た。
(実施例3)
実施例3の色素増感太陽電池の製造において、主として実施例1および2と異なる点を以下に説明する。実施例3では、実施例2において多孔性半導体層3の内部に浸透させた電解液の代わりに、実施例2で用いたモノマー溶液において酸化還元性電解液に対する化合物Aと化合物Bの添加量を半分にし、そのモノマー溶液中を実施例1と同様に真空下で多孔性半導体層3中に浸透させ、その後、90℃、60分間加熱することにより、化合物AとBとが反応してなる高分子化合物により酸化還元性電解液が固体化して固体電解質(第1電解質層)を形成した。その後、多孔性半導体層3上に、実施例1に準じてゲル状物を形成後、酸化還元性電解液をゲル状物に含浸させることにより、第2電解質層を形成し、多層型電解質が形成された。
次いで、ITO導電性基板を設置し、エポキシ樹脂で周囲を封止して色素増感太陽電池を完成した。
実施例3の色素増感太陽電池は、測定条件:AM−1.5、照射光強度100mW/cm2の下での測定の結果、光電変換効率が8.9[%]であった。その結果を表2に示した。
(比較例1)
比較例1では、多孔性半導体層3内に、実施例3と同様のモノマー溶液を用い実施例3に準じて固体電解質層を形成して、単層型電解質層を形成した。その後、ITO導電性基板を設置し、エポキシ樹脂で周囲を封止して色素増感太陽電池を完成した。
比較例1の色素増感太陽電池は、測定条件:AM−1.5、照射光強度100mW/cm2の下での測定の結果、光電変換効率が7.8[%]であった。その結果を表2に示した。
Figure 2006302530
実施例1〜3のように、液体電解質と液体電解質を固体化してなる固体電解質との多層型電解質層、あるいは液体電解質を固体化してなる固体電解質同士が積層した多層型電解質層を有する色素増感太陽電池では、単層型電解質層を有する比較例1に比して高い変換効率を示していた。
固体電解質を多孔性半導体層内部に形成させる場合、液体電解質を固体化させるための高分子化合物形成材料(モノマー単位)などを含んだ溶液を多孔性半導体層内部に注入する必要があるため、高分子化合物形成材料を含有することにより粘度が高くなって流動性が低下して多孔性半導体層の中心部まで注入できなかったり、高分子化合物自体が多孔性半導体層内部の電荷輸送を阻害してしまうため、変換効率が低下していた。
しかし本発明では、実施例1〜3のように、第1電解質層の形成において、多孔性半導体層内部に、流動性の良好な液体電解質もしくは液体電解質を固体化させるための高分子化合物形成材料を流動性が良好な状態で注入するため、(ア)多孔性半導体層の中心部まで液体電解質が十分に浸透している点、(イ)電荷輸送が阻害されない程度の添加量の少ない高分子化合物形成材料が孔性半導体層の中心部まで十分に浸透し、かつ、高分子化合物となって液体電解質を保持している点、(ウ)第2電解質層によって多孔性半導体層を覆うことにより、多孔性半導体層内の液体電解質の漏れ防止または揮発抑制を図り、かつ、第2電解質層自体も液体電解質が固体化されて揮発抑制となる点などによって、実施例1〜3は高い変換効率を示し、比較例1との比較では特に上記(ア)および(イ)によるものと考えられる。
本発明の色素増感太陽電池の製造方法を説明する工程説明図である。 従来の色素増感太陽電池の層構成を示す概略断面図である。
符号の説明
1 支持体(透明基板)
2 電極層(透明導電膜)
3 多孔性半導体層
4 溶媒(実施例1)
5 セパレータ
6 PETフィルム
7 押さえ板
8 高分子モノマー溶液
9 ゲル状物(実施例1)
10 酸化還元性電解液
11 容器
12 封止剤
13 触媒層(白金膜)
14 対電極付き支持体(ITO導電性基板)
15 第1電解質層(実施例1)
16 第2電解質層(実施例1)
21 透明支持体
22 透明導電体膜
23 多孔性半導体層
24 電解液層
25 対極
26 白金膜
27 エポキシ樹脂

Claims (13)

  1. 一対の支持体間に、電極層、色素を吸着した多孔性半導体層、電解質層および電極層を備え、
    前記電解質層が、前記多孔性半導体層の内部の空隙内に形成された第1電解質層と、多孔性半導体層の表面側に形成された第2電解質層とを有し、
    前記第1電解質層が液体電解質または固体電解質からなり、前記第2電解質層が固体電解質からなることを特徴とする色素増感太陽電池。
  2. 固体電解質は、高分子化合物にて液体電解質が保持されてなる請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 高分子化合物は、式(I)
    Figure 2006302530
    (式中、R1は水素原子またはメチル基であり、Xはエステル基と炭素原子で結合している残基であり、nは2〜4である。)で表されるモノマー単位が高分子化してなる請求項2に記載の色素増感太陽電池。
  4. 高分子化合物は、イソシアネート基を有する化合物と活性水素基を有する化合物との反応物である請求項2に記載の色素増感太陽電池。
  5. 多孔性半導体層が、平均粒径の異なる半導体粒子からなる層状構造を有する請求項1〜4の何れか1つに記載の色素増感太陽電池。
  6. 半導体粒子が二酸化チタンからなる請求項5に記載の色素増感太陽電池。
  7. 二酸化チタンが柱状結晶を含んでいる請求項6に記載の色素増感太陽電池。
  8. 色素がRu金属錯体色素である請求項1〜7のいずれか1つに記載の色素増感太陽電池。
  9. 液体電解質が、ヨウ素とヨウ素化合物からなる酸化還元種を含む請求項1〜8のいずれか1つに記載の色素増感太陽電池。
  10. 支持体上に形成された電極層の上に、色素を吸着した多孔性半導体層を形成する工程と、前記多孔性半導体層の内部の空隙内および表面側に第1電解質層および第2電解質層を形成する工程と、前記第2電解質層の上に電極層および支持体を形成する工程を備え、
    前記第1電解質層が、多孔性半導体層内に液体電解質を含浸させるか、または多孔性半導体層内に固体電解質を形成することよりなり、
    前記第2電解質層が、固体電解質を形成することよりなることを特徴とする色素増感太陽電池の製造方法。
  11. 固体電解質は、液体電解質を含有する高分子化合物形成材料が高分子化してなるか、またはゲル状物に電解質が浸透してなる請求項10に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
  12. 高分子化合物形成材料が、式(I)
    Figure 2006302530
    (式中、R1は水素原子またはメチル基であり、Xはエステル基と炭素原子で結合している残基であり、nは2〜4である。)で表されるモノマー単位である請求項11に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
  13. ゲル状物が、イソシアネート基を有する化合物と活性水素基を有する化合物との反応物である請求項11に記載の色素増感太陽電池の製造方法。
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