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JP2006347925A - 植物発酵物及びこれを含む化粧料 - Google Patents

植物発酵物及びこれを含む化粧料 Download PDF

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JP2006347925A
JP2006347925A JP2005174319A JP2005174319A JP2006347925A JP 2006347925 A JP2006347925 A JP 2006347925A JP 2005174319 A JP2005174319 A JP 2005174319A JP 2005174319 A JP2005174319 A JP 2005174319A JP 2006347925 A JP2006347925 A JP 2006347925A
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Abstract

【課題】シミやくすみ或いはシワ、タルミなど内的及び外的要因に基づく皮膚の老化或いは不健全化の症状に対して多面的かつ複合的に作用することにより、すぐれた予防或いは改善効果を発揮し、皮膚に総合的な美肌化効果を与えると共に、皮膚刺激性等がなく生体安全性にもすぐれた生理活性成分、並びにかかる成分が配合されてなり、すぐれた皮膚老化防止・美肌化効果と高い安全性を有する化粧料を提供すること。
【解決手段】アオイ科フヨウ(ハイビスカス)属の植物を乳酸菌等の微生物で発酵して得られる発酵物並びに該発酵物を有効成分として含む化粧料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、すぐれた皮膚老化防止作用を持ち、皮膚に対して総合的、多面的な美肌化効果を付与すると共に、生体安全性にもすぐれた発酵物及びこれを含む化粧料に関する。
シワやたるみなど皮膚の老化や不健全化の症状は、加齢に伴う細胞増殖・分化の不活性化やホルモン分泌の低下などの内的要因と、日光(紫外線)暴露によって誘発される活性酸素に基づく細胞・組織の損傷や細胞増殖・分化の不活性化などの外的要因が複雑に絡み合って生ずる現象である。
この皮膚の老化や不健全化を防止し或いは改善して、皮膚を健全かつ若々しい状態に保持するため、従来より種々の活性成分の使用が提案され、それら成分を配合した化粧料が上市されている。例えばα−ヒドロキシカルボン酸類、胎盤抽出物、ホルモン類などの細胞賦活成分、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの真皮マトリックス成分、ビタミンE類などの抗酸化剤、グリチルレチン酸などの抗炎症剤、各種紫外線防御剤等がそれである。
しかしながら、それら従来の成分は一般に、上述した皮膚の老化乃至不健全化要因の一つを予防し或いは改善し得るに過ぎないため、それら成分を配合した化粧料によっては、真に満足し得る老化防止効果、美肌化効果を得ることは困難である。また、成分によっては、有効性を高めるため配合量を増すと皮膚刺激の問題を生ずるなど安全性の面に於いても改善を要するものがある。
本発明者等は、上記の如き従来技術の問題点に鑑み、皮膚の老化や不健全化の諸要因に対して複合的に作用することにより、皮膚を真に健全で若々しい状態に保持し、改善し得る新たな活性成分を、しかも生体安全性の観点から天然物由来の成分中に求めるべく鋭意研究・検討を重ねた結果、アオイ科フヨウ(ハイビスカス)属の植物を乳酸菌などの微生物で発酵させて得られる発酵物が、ヒト皮膚表皮細胞の賦活効果と紫外線損傷から表皮細胞を保護する効果とを併せ持っており、かかる成分を配合してなる化粧料は、皮膚に総合的、多面的な美肌化、健全化効果を付与し得ると共に、該成分が天然物由来であるが故に生体安全性にもすぐれたものとなることを見出し本発明を完成するに至った。
フヨウ(ハイビスカス)属の植物、例えば一般的にはハイビスカスと呼ばれるローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)等を化粧料配合原料として利用することについては、従来より種々の提案がなされている。
例えば、フヨウ(ハイビスカス)属植物のムクゲ(Hibiscus syriacus)の抽出物を含有したメラニン生成抑制剤(特開2003-171300号)、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)の萼から得られた赤色色素を含有してなるコラーゲン産生促進剤(特開2004-67552号)、アクネ菌(P.acnes)のヒアルロニダーゼ活性阻害剤としてフヨウ属植物抽出物を含有する保湿化粧料(特開2003-12489号)ハイビスカス抽出物を含有してなる活性酸素消去剤(特開2001-122765号)、ハイビスカス フルセラータス抽出物の抗ラジカル作用及び還元型グルタチオン自己合成促進作用を利用した局所適用のための化粧用製品(特開2002-503242号)、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)の抽出液を含有する美白、活性酸素消去、抗菌外用剤(特開2000-95663号)、フヨウ(ハイビスカス)属植物抽出物の示す紫外線防御作用及び抗炎症作用と生理活性成分(美白剤等)の作用との相乗効果を利用してなる皮膚・毛髪機能亢進効果を有する化粧料(特開2000-7545号)、フヨウ属植物抽出物を含有してなる紫外線防御化粧料(特開平11-349469号)、ハイビスカス抽出物を含有するメイラード反応阻害剤(特開平11-106336号)、ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)又はその抽出物の有する皮膚線維芽細胞増殖活性化作用及び細胞外マトリックス産生増加作用を利用した皮膚老化防止化粧料(特開平09-295928号)、フヨウ(ハイビスカス)属植物の花の抽出物を有効成分として含有する抗炎症・抗アレルギー剤(特開平09-87188号)、ハイビスカス抽出物を有効成分とするムコ多糖類断片化抑制剤、活性酸素消去剤及び抗酸化剤、並びにそれらの剤を含有する化粧料(特開平06-24937号)、フヨウ属の植物体の汁液または抽出液を必須成分として含有する、脱脂状態や炎症状態にある皮膚や粘膜を保護するための皮膚保護剤(特開昭57-99517号)、ムクゲの抽出物を含有する線維芽細胞増殖促進剤(特開平10-36279号)などの特許がそれぞれ開示されている。
特開2003−171300号 特開2004−67552号 特開2003−12489号 特開2001−122765号 特開2002−503242号 特開2000−95663号 特開2000−7545号 特開平11−349469号 特開平11−106336号 特開平9−295928号 特開平9−87188号 特開平6−24937号 特開昭57−99517号 特開平10−36279号
しかしながら、それら従来の技術の場合は、フヨウ(ハイビスカス)属植物に含まれる成分を抽出物等の形でそのまま、もしくはこれを他の活性成分と組み合わせて化粧料配合原料として利用するというに過ぎず、フヨウ(ハイビスカス)属植物を微生物発酵の資化源として用い、ここに得られる発酵産生物を化粧料配合原料として利用する本発明とは明らかに技術思想を異にしており、従って当然ながら、それら従来技術中には、本発明の発酵物がヒト皮膚表皮細胞の賦活作用と紫外線損傷から表皮細胞を保護する作用とを併せ持ち、皮膚に総合的、多面的な美肌化、健全化効果を付与し得ることについては、その事実の開示はもとよりこれを示唆するものすら見当たらない。
加えて、フヨウ(ハイビスカス)属植物含有成分をそのまま利用する従来技術の場合にあっては、未だ十分満足し得る有効性が得られているとは言い難い面があり、皮膚に対する改善効果の点で本発明には及ばないものである(後述の試験例参照)。
即ち本発明は、アオイ科(Malvaceae)フヨウ(ハイビスカス)属(Hibiscus L.)の植物を微生物で発酵させて得られる発酵物及び該発酵物を配合したことを特徴とする化粧料に関するものである。
ここで、化粧料なる文言は、所謂化粧料のほかに医薬部外品までも含む広義で用いる。
本発明のフヨウ(ハイビスカス)属植物の発酵物は、ヒト表皮細胞に対する顕著な賦活作用と紫外線による表皮細胞の損傷を抑制する作用を併せ持っている。従って、かかる発酵物を配合してなる本発明の化粧料は、それら両作用の複合に基づく相乗的効果により、シワやタルミなどの皮膚の老化や不健全化の症状の予防或いは改善に多面的かつすぐれた効果を発揮して、皮膚を真に健全で若々しい状態に維持し、改善する。さらに、ヒト表皮細胞賦活作用に起因し、表皮のターンオーバーを正常化してメラニンの排出を促し、シミやくすみを軽減するという効果も併せ持つ。
又、本発明化粧料で活性成分として用いる発酵物は、皮膚に対する刺激性が全くなく、このため本発明の化粧料は生体安全性にも大変すぐれている。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるアオイ科フヨウ(ハイビスカス)属の植物としては、例えばローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)、ムクゲ(Hibiscus syriacus),、フヨウ(Hibiscus mutabills)、モミジアオイ(Hibiscus coccineus)、オオハマボウ(Hibiscus tiliaceus)、フウリンブッソウゲ(Hibiscus schizopetalus)などが挙げられるが、それらのうちでも、発酵物の表皮細胞賦活作用及び紫外線損傷防御作用の観点からローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)の使用が最も好ましい。
それらフヨウ(ハイビスカス)属植物を発酵させるに当って、該植物の発酵部位には特に限定はなく、全草、葉、花、萼、雄しべ、雌しべ、茎、根、子実など適宜の部分を用いることができるが、得られる発酵物の有効性の点から萼の使用が最も好ましい。
フヨウ(ハイビスカス)属植物の発酵に用いる微生物としては、乳酸菌、麹菌、納豆菌、テンペ菌、酵母等が挙げられ、一般にはそれら各菌種のいずれかから選ばれた一種又は二種以上を用いるが、場合によっては、又相互に発酵の妨げとならない限り、別の菌種に属するもの同士を組み合せて用いるようにしてもよい。
上記の各菌種のうちでも、特に乳酸菌を用いた場合、得られる発酵物はとりわけ顕著な表皮細胞賦活作用と紫外線損傷からの表皮細胞の保護作用を示し、それら両作用の相乗的・複合的な働きによってすぐれた美肌化効果、皮膚健全化効果を奏することから、本発明に於いては、乳酸菌から選ばれる一種又は二種以上の菌を用いることが特に好ましい。
ここで乳酸菌としては、例えばラクトバシルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシルス ブレビス(L. brevis)、ラクトバシルス カゼイ(L. casei)等のラクトバシルス(Lactobacillus)属の乳酸菌;カルノバクテリウム ディバージェンス(Carnobacterium divergens)、カルノバクテリウム ピシコーラ(Carnobacterium piscicola)等のカルノバクテリウム(Carnobacterium)属の乳酸菌;ロイコノストック メセンテロイズ(Leuconostoc mesenteroides)、ロイコノストック シトレウム(Leuconostoc citreum)等のロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌; ストレプトコッカス フェーカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス ピオジェネス(Streptococcus pyogenes)等のストレプトコッカス属の乳酸菌;エンテロコッカス カゼリフラバス(Enterococcus caseliflavus)、エンテロコッカス サルフレウス(Enterococcus sulfreus)等のエンテロコッカス(Enterococcus)属の乳酸菌;ラクトコッカス プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス ラフィノラクティス(Lactococcus rafinolactis)等のラクトコッカス属の乳酸菌;ヴェイセラ コンフューザ(Weissella confusa)、ヴェイセラ カンドウレリ(Weissella kandleri)等のヴェイセラ属の乳酸菌;アトポビウム ミニュタム(Atopobium minutum)、アトポビウム パービュラス(Atopobiumparvulus)等のアトポビウム(Atopobium)属の乳酸菌;バゴコッカス フルビアリス(Vagococcus fluvialis)、バゴコッカス サーモニナラム(Vagococcus salmoninarum)等のバゴコッカス(Vagococcus)属の乳酸菌;ペディオコッカス ダムノサス(Pediococcus damnosus)、ペディオコッカス ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス(Pediococcus)属の乳酸菌等が挙げられる。それら乳酸菌のうちでも、得られる発酵物の有効性の観点とさらに極度の嫌気性でなく取り扱い易いという点から、ラクトバシルス プランタラム(Lactobacillus plantarum)の使用が最も好ましい。
麹菌としては、例えばアスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス ポリオキソジェネス(Aspergillus polyoxogenes)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)等の黄麹菌、アスペルギルス アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス カワウチ(Aspergillus kawauchii)、アスペルギルス ウサミ(Aspergillus usami)、
アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)等の黒麹菌、モナスカス アンカ(Monascus anka)、モナスカス ピロサス(Monascus pilosus)等の紅麹菌などが挙げられる。それらのうちでも、得られる発酵物の有効性の観点とさらに発酵液の着色や発酵臭が比較的少ないことから、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)が最も好ましい。
納豆菌としては、例えばバシルス ナットー(Bacillus natto)、バシルス サブチルス(Bacillus subtilis)、バシルス サーキュランス(Bacillus circulans)等のバシルス属の細菌などが挙げられる。なかでも、食品に広く使用されており、安全性が高い点でバシルス ナットー(Bacillus natto)が最も好ましい。
テンペ菌としては、リゾプス アジゴスポラス(Rhizopus azygosporus)、リゾプス ミクロスポラス チネンシス(Rhizopus microsporus chinensis)、リゾプス ミクロスポラス オリゴスポラス(Rhizopus microsporus oligosporus)、リゾプス ニベウス(Rhizopus niveus)、リゾプス オリゼー(Rhizopus oryzae)等のリゾプス属の真菌(カビ)が挙げられる。なかでも、インドネシアをはじめ東南アジア地域で発酵食品に広く使用されており、安全性が高い点で、リゾプス ミクロスポラス オリゴスポラス(Rhizopus microsporus oligosporus)やリゾプス オリゼー(Rhizopus oryzae)が最も好ましい。
酵母としては、例えばサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス アワモリ(Saccharomyces awamori)、サッカロミセス チェバリエリ(Saccharomyces chevalieri)、サッカロミセス カールスバージェンシス(Saccharomyces carlsbergensis)、サッカロミセス バヨナス(Saccharomyces bayon us)等のサッカロミセス属の酵母、トルラスポラ デルブルエキ(Torulaspora delbruekii)、トルラスポラ ファーメンタチ(Torulaspora fermentati)、トルラスポラ ロゼイ(Torulaspora rosei)等のトルラスポラ属の酵母、ジゴサッカロミセス ローキシ(Zygosaccharomyces rouxii)、ジゴサッカロミセス ソーヤ(Zygosacchar
omyces soya)、ジゴサッカロミセス サケ(Zygosaccharomyces sake)、ジゴサッカロミセス ミソ(Zygosaccharomyces miso)、ジゴサッカロミセス ラクティス(Zygosaccharomyces lactis)等のジゴサッカロミセス属の酵母、カンディダ ベルサチリス(Candida versatilis)、カンディダ エチェリシイ(Candida etchellsii)、カンディダ ケフィール(Candida kefyr)、カンディダ サケ(Candida sake)、カンディダ スコッティ(Candida scottii)等のカンディダ属の酵母、オーレオバシディウム プルランス(Aureobasidium Pullulans)、オーレオバシディウム マンソニー(Aureobasidium mansonii)、オーレオバシディウム マイクロスティクタム(Aureobasideium microstictum)等のオーレオバシディウム属の酵母などが挙げられる。
それらのうちでも、食品に最も広く利用され、発酵力が強いという点からサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が最も好ましい。
上記の微生物を用いてフヨウ(ハイビスカス)属植物を発酵させる方法の好ましい具体例を挙げれば以下の通りである。
まず、発酵しようとするフヨウ(ハイビスカス)属植物(以下、発酵素材ということがある)を発酵媒体中に浸漬乃至懸濁させて、発酵のための懸濁液を調製する。この場合、フヨウ(ハイビスカス)属植物は生のまま用いても、又予め乾燥もしくは半乾燥した上用いてもよい。又、形状としては、採取したものをそのまま用いることもできるが、細断或いは粉砕して微細化すれば発酵効率を上げることができる。
発酵素材を懸濁させるための発酵媒体としては、水或いは水と低級アルコール類(、メタノール、エタノール、プロパノールなど)もしくはグリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンなど)との混液等が用いられ、又それら媒体中にはグルコース、フルクトース、シュークロースなどの糖類を添加してもよいが、微生物が最もその作用を発揮しやすいこととフヨウ(ハイビスカス)属植物以外の資化成分が存在することによる発酵副産物の生成を避けるという意味から、水の単独使用が最も好ましい。
発酵素材と発酵媒体との混合比(重量比)は、発酵素材の乾燥重量換算で一般に1:1〜1:1000、好ましくは1:5〜1:100、より好ましくは1:10〜1:50の範囲である。
この発酵素材の懸濁液は、これを発酵工程に供する前に、殺菌を行って発酵の障害となる雑菌を除去する。この場合殺菌除去方法としては、発酵素材を予め殺菌用エタノール等で洗浄殺菌した上無菌水等の無菌媒体に懸濁する方法を用いてもよく、又発酵素材を媒体に懸濁した後、懸濁液を加熱殺菌する方法を用いるようにしてもよい。
加熱殺菌法としては、懸濁液を120〜130℃で10〜20分間加熱するオートクレーブ殺菌法や、懸濁液を80〜90℃に60〜120分間保持することを1日1回2〜3日間繰り返す間断殺菌法が一般に用いられる。
次に、この無菌化した懸濁液を発酵タンクに入れ、これに微生物を植菌して発酵を行わしめる。
微生物の接種量は10〜10個/mLが適量である。接種量が上記の範囲より多くなっても発酵の進行時間は殆ど変わらず、一方上記の範囲より少なくなると発酵完了までに長時間を要することとなって好ましくない。
発酵温度は一般に5〜50℃の範囲、好ましくは各微生物の生育至適温度である30〜40℃(例えば、乳酸菌であれば35℃〜40℃)の範囲である。発酵日数は、至適温度に於いて一般に1〜10日、好ましくは2〜5日の範囲である。発酵日数が上記の一般的範囲より短くなると発酵が十分に行われず発酵物の有効性が低下する傾向にあり、一方10日を越えて長くしても有効性のそれ以上の上昇は認められないだけでなく、着色や発酵臭の増加が生ずることとなっていずれも好ましくない。
以上の発酵処理を行うに当たって、フヨウ(ハイビスカス)属植物の成分が微生物によってより有効に利用されるようにするため、微生物の植菌前もしくは植菌時、或いは場合によっては植菌後発酵継続中に、前記の懸濁液に酵素を添加して、フヨウ(ハイビスカス)属植物に酵素による加水分解処理を施すことが好ましい。
この場合、酵素としては、蛋白分解酵素、糖質分解酵素及びペクチン質分解酵素から選ばれた少なくとも1種の酵素が用いられる。
ここで蛋白分解酵素としては、例えばアクチナーゼなどのアクチナーゼ類、ペプシンなどのペプシン類、トリプシン、キモトリプシンなどのトリプシン類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類、グリシルグリシンペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼなどのペプチダーゼ類、ブロメラインなどを用いることができる。それら酵素のうちでも、アクチナーゼなどのアクチナーゼ類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類或いはブロメラインが特に好ましい。
糖質分解酵素としては、例えばα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、グルコアミラーゼ、β−ガラクトシダーゼなどを用いることができる。それらの酵素のうちでも、グルコアミラーゼが特に好ましい。
ペクチン質分解酵素としては、例えばペクチンデポリメラーゼ、ペクチンデメトキシラーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチンエステラーゼ、ポリガラクチュロナーゼなどを用いることができる。それらの酵素のうちでも、ペクチンエステラーゼとポリガラクチュロナーゼが特に好ましい。
酵素の使用量は、懸濁液中のフヨウ(ハイビスカス)属植物の固形分に対して、合計で0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜2.0重量%である。
pH、温度、時間などの処理条件としては、酵素処理を発酵の前に行うのであれば、使用する酵素の至適pH及び至適温度付近で1〜24時間の処理を行うのがよく、一方発酵と並行して行うのであれば、当該発酵と同条件であって差し支えない。
以上の発酵処理が終ったならば、微生物の殺菌のため、又酵素処理を併用した場合であれば酵素の失活も兼ねて、発酵液に80〜100℃で10〜120分程度の加熱殺菌処理を施す。殺菌処理を終わった発酵液は、これをそのまま、或いは一般かつ好適にはろ過或いは遠心分離などの固液分離手段によって液相を分取し、必要ならばpHを通常の化粧料のpH領域であるpH6〜8に調整し、さらに必要ならば希釈もしくは濃縮によって適宜の濃度とした上、化粧料の配合原料として供する。又、場合によっては、固液分離後の液相を、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って固体化し、さらに必要に応じて粉砕して粉末状とした上化粧料に配合するようにしてもよい。
本発明のフヨウ(ハイビスカス)属植物の発酵物を配合してなる化粧料としては、例えば乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パック、洗顔料などの基礎化粧料、口紅、ファンデーション、リキッドファンデーション、メイクアッププレスドパウダーなどのメイクアップ化粧料、洗顔料、ボディーシャンプー、石けんなどの清浄用化粧料、さらには浴剤等が挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
本発明の化粧料中に於けるフヨウ(ハイビスカス)属植物の発酵物の配合量は、発酵物の固形分として、基礎化粧料の場合は、一般に0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%の範囲、メイクアップ化粧料の場合は、一般に0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲、清浄用化粧料の場合は、一般に0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲、又浴剤の場合は、一般に0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%の範囲である。
本発明の化粧料には、上記の必須成分の他に、通常化粧料に用いられる配合成分、例えば油性成分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、色素、香料、抗酸化剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
ここで、油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、植物由来スクワランなどの植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油などの動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリンなどのロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワランなどの炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、cis−11−エイコセン酸などの脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2−エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)などの合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
界面活性剤としては,例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪酸アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α−スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩などのアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級〜第三級脂肪酸アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2−アルキル−1−アルキル−1−ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N−ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩などのカチオン界面活性剤;N,N−ジメチル−N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N−トリアルキル−N−アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N−アシルアミドプロピル−N′,N′−ジメチル−N′−β−ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタインなどの両性界面活性剤等を使用することができる。
又、乳化剤乃至乳化助剤として、酵素処理ステビアなどのステビア誘導体、レシチン及びその誘導体、乳酸菌発酵米、乳酸菌発酵発芽米、乳酸菌発酵穀類(麦類、豆類、雑穀など)、ジュアゼイロ(Zizyphus juazeiro:Rhamnaceae)抽出物等を配合することもできる。
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、グルコース等の糖類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸菌発酵米、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体など)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン及びその誘導体、加水分解シルク蛋白質、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、フィトステロール、大豆リン脂質、イソステアリン酸コレステリル、海藻抽出物、魚介類由来コラーゲン及びその誘導体、各種アミノ酸及びそれらの誘導体(例えばトリメチルグリシンなど)、ビャッキュウ抽出物、豆乳発酵液、納豆エキス、米由来抽出物及びその発酵物等が挙げられる。
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン、ファーセララン等の褐藻、緑藻或いは紅藻由来成分、ビャッキュウ抽出物、ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体等の多糖類、キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体、ポリグルタミン酸及びその誘導体、グルコシルトレハロースと加水分解水添デンプンを主体とする糖化合物等が挙げられる。
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルなどのパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャーマル(イミダゾデイニールウレア)、1,2−ペンタンジオール、ウドなどのタラノキ属植物の抽出物、各種精油類、樹皮乾留物、プロポリスエキス、メチルイソチアゾリノン等がある。
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、6−又は12−ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビなど)のパウダー、豆類(大豆、小豆など)のパウダー等がある。
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−ターシャリーブチル−4−メトキシベンゾイルメタン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
抗酸化剤としては、例えばスーパーオキシドディスムターゼ(Superoxide dismutase)、カタラーゼなどの生体内活性酸素分解酵素、ビタミンE、ビタミンDなどのビタミン類及びその誘導体、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ユビデカキノン(ユビキノン)、ルチン、ルチングルコシド、γ−オリザノール、イチョウ抽出物、エイジツ抽出物、サイコ抽出物、シャチノキ抽出物、スモモ抽出物、月見草抽出物、ナツユキソウ抽出物、ハマメリス抽出物、メリッサ抽出物、白芥子抽出物、イネ抽出物、ムラサキシキブ抽出物、シラカバ抽出物、ハマメリス抽出物、ウーロン茶抽出物、黒豆加水分解抽出液、ハゴロモグサ抽出液等がある。
さらに必要ならば、本発明で用いる発酵物の作用効果及び特長を損なわない範囲で、他の活性成分(美白剤、皮膚老化防止・肌荒れ改善剤、抗炎症剤等)を配合してもよく、かかるものとしては、例えば美白剤であれば、トラネキサム酸及びその誘導体、t−シクロアミノ酸誘導体、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン誘導体、エラグ酸及びその誘導体、レゾルシノール誘導体、胎盤抽出物、システイン、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、米糠抽出物、米糠抽出物加水分解物、乳酸菌発酵米、乳酸菌発酵発芽米、乳酸菌発酵穀類(麦類、豆類、雑穀類)、白芥子加水分解抽出物、ムラサキシキブ抽出物、ハスの実発酵物、党参抽出物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、カミツレ抽出物(商品名:カモミラET)、ジンコウ抽出物、ハマメリス抽出物、イタドリ抽出物、サワヒヨドリ抽出物、甘草抽出物、フキタンポポ抽出物、アルテア抽出物、ゲンノショウコ抽出物、ユキノシタ抽出物、ナツメ抽出物、シャクヤク抽出物、トウキ抽出物、モモ抽出物、緑藻類、紅藻類又は褐藻類の海藻の抽出物、アマモ等の海草の抽出物、リノール酸及びその誘導体もしくは加工物(例えばリポソーム化リノール酸など)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体等が、皮膚老化防止・肌荒れ改善成分であれば、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、セラミドなどの細胞間脂質、胎盤抽出物、ニコチン酸及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体(ジカリウム塩等)、t−シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA前駆体、ビタミンA及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、アラントイン、α−ヒドロキシ酸類、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、コエンザイムQ−10、アデノシン、α−リポ酸、ピコリン、カルニチン及びその誘導体、ゲンチアナエキス、甘草エキス、ハトムギエキス、カミツレエキス、ニンジンエキス、アロエエキスなどの生薬抽出エキス、米糠抽出物加水分解物、米抽出物加水分解物、低アレルゲン米抽出物加水分解物、米発酵エキス、緑藻類、紅藻類又は褐藻類の海藻の抽出物、アマモ等の海草の抽出物、ソウハクヒエキス、ジュアゼイロ(Zizyphus juazeiro)抽出物、ブナ抽出物、キダチアロエ抽出物、マンネンロウ抽出物、イチョウ抽出物、スギナ抽出物、ベニバナ抽出物、オタネニンジン抽出物、セイヨウニワトコ抽出物、ハゴロモグサ抽出物、レンゲ抽出物、マンゴー抽出物、チェリモヤ抽出物、マンゴスチン抽出物、タベブイア・インペチギノサ抽出物、酵母抽出物、卵殻膜抽出タンパク質、デオキシリボ核酸カリウム塩、紫蘭根抽出物、ムラサキシキブ抽出物、イネ抽出物、サンゴ草抽出物、花粉荷エキス等が、又抗炎症成分であれば、例えばグアイアズレンスルホン酸ナトリウム、グアイアズレンスルホン酸エチルなどのアズレン誘導体、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ステアリルなどのグリチルリチン酸誘導体、アラントイン、カンゾウ抽出物、クジン抽出物、シャクヤク抽出物、ボタンピ抽出物、レンギョウ抽出物、リュウタン抽出物、トウキンセンカ抽出物、パセリ抽出物、オトギリソウ抽出物、ブクリョウタケ抽出物、カシア抽出物等が挙げられる。
上記のコウジ酸誘導体としては、例えばコウジ酸モノブチレート、コウジ酸モノカプレート、コウジ酸モノパルミテート、コウジ酸ジブチレートなどのコウジ酸エステル類、コウジ酸エーテル類、コウジ酸グルコシドなどのコウジ酸糖誘導体等が、アスコルビン酸誘導体としては、例えばL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルナトリウム、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルマグネシウムなどのアスコルビン酸エステル塩類、L−アスコルビン酸−2−グルコシド(2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸)、L−アスコルビン酸−5−グルコシド(5−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸)などのアスコルビン酸糖誘導体、それらアスコルビン酸糖誘導体の6位アシル化物(アシル基は、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基など)、L−アスコルビン酸テトライソパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸テトララウリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸テトラ脂肪酸エステル類、3−O−エチルアスコルビン酸、L−アスコルビン酸−2−リン酸−6−O−パルミテートナトリウム等が、ハイドロキノン誘導体としては、アルブチン(ハイドロキノン−β−D−グルコピラノシド)、α−アルブチン(ハイドロキノン−α−D−グルコピラノシド)等が、レゾルシノール誘導体としては、例えば4−n−ブチルレゾルシノール、4−イソアミルレゾルシノール等が、2,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体としては、例えば2,5−ジアセトキシ安息香酸、2−アセトキシ−5−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−5−プロピオニルオキシ安息香酸等が、ニコチン酸誘導体としては、例えばニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等が、ビタミンE誘導体としては、例えばビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート、ビタミンEリン酸エステルナトリウム塩等が、α−ヒドロキシ酸としては、例えば乳酸、リンゴ酸、コハク酸、クエン酸、α−ヒドロキシオクタン酸等がある。
次に、実施例、処方例(化粧料の実施例)及び試験例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下に於いて、部はすべて重量部を、又%はすべて重量%を意味する。
実施例1.
乾燥したローゼル(Hibisucas sabdariffa L.)の萼50gに精製水950gを加えて懸濁液を作り、アルカリで中和してpH約6とした後、80〜90℃で1時間加温して殺菌を行った。
殺菌した懸濁液に乳酸菌(ラクトバシルス プランタラム)を10個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。
培養終了後培養液を加熱殺菌し、ろ過してフヨウ(ハイビスカス)属植物ローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液720g(固形分濃度3.1%)を得た。
実施例2
ローゼルに代えてムクゲ(Hibiscus syriacus)の萼を用いる他は実施例1と同様にしてフヨウ(ハイビスカス)属植物ムクゲの萼の乳酸菌発酵物溶液650g(固形分濃度2.7%)を得た。
実施例3
乳酸菌としてラクトバチルス プランタラムに代えてストレプトコッカス フェーカリスを用いる他は実施例1と同様にして、ローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液770g(固形分濃度3.3%)を得た。
実施例4
乾燥したローゼルの萼50gに精製水950gを加えて懸濁液を作り、この液にペクチンエステラーゼ1.0gを加えた後40℃で3時間加水分解処理を行った。
この加水分解懸濁液をアルカリで中和してpH約6とした後、80〜90℃で1時間加温し、酵素の失活と殺菌を行った。
殺菌した加水分解懸濁液に乳酸菌(ラクトバシルス・プランタラム)を10個/mL接種し、37℃で3日間静置培養した。
培養終了後培養液を加熱殺菌し、ろ過してローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液800g(固形分濃度3.9%)を得た。
実施例5.
乳酸菌に代えて麹菌であるアスペルギルス オリゼーを用いる他は実施例4と同様にして、ローゼルの萼の麹菌発酵物溶液810g(固形分濃度3.4%)を得た。
実施例6.
乳酸菌に代えて納豆菌であるバシルス ナットーを用いる他は実施例4と同様にして、ローゼルの萼の納豆菌発酵物溶液790g(固形分濃度3.4%)を得た。
実施例7.
乳酸菌に代えて酵母であるサッカロミセス セレビシエを用いる他は実施例4と同様にして、ローゼルの萼の酵母発酵物溶液800g(固形分濃度3.2%)を得た。
実施例8.
乳酸菌に代えてテンペ菌であるリゾプス ミクロポラス オリゴスポラスを用いる他は実施例4と同様にして、ローゼルの萼のテンペ菌発酵物溶液820g(固形分濃度3.2%)を得た。
実施例9.
乾燥したローゼルの萼50gに精製水950gを加えて懸濁液を作り、この液をアルカリで中和してpH約6とした後、80〜90℃で1時間加温して殺菌した。
殺菌した懸濁液に、ペクチンエステラーゼ1.0g、グルコアミラーゼ0.1g及びパパイン0.1gを加え、さらに乳酸菌(ラクトバシルス・プランタラム)を10個/mL接種し、37℃で3日間静置培養と酵素加水分解処理を行った。
培養終了後85〜90℃で1時間加熱して殺菌と酵素失活を行い、冷却後に培養液をろ過してローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液850g(固形分濃度4.1%)を得た。
実施例10.
酵素として、ペクチンエステラーゼ1.0g、グルコアミラーゼ0.1g及びパパイン0.1gに代えてグルコアミラーゼ0.1gを用いるほかは実施例9と同様にしてローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液810g(固形分濃度3.5%)を得た。
実施例11.
酵素として、ペクチンエステラーゼ1.0g、グルコアミラーゼ0.1g及びパパイン0.1gに代えてパパイン0.1gを用いるほかは実施例9と同様にしてローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液805g(固形分濃度3.4%)を得た。
実施例12.
乾燥したローゼルの萼に代えて乾燥したローゼルの葉の細切物を用いるほかは実施例4と同様にしてローゼルの葉の乳酸菌発酵物溶液820g(固形分濃度3.6%)を得た。
実施例13.
乾燥したローゼルの萼に代えて乾燥したローゼルの根の細切物を用いるほかは実施例4と同様にしてローゼルの根の乳酸菌発酵物溶液720g(固形分濃度2.6%)を得た。
実施例14.
乾燥したローゼルの萼に代えて乾燥したローゼルの全草の細切物を用いるほかは実施例4と同様にしてローゼルの全草の乳酸菌発酵物溶液780g(固形分濃度2.8%)を得た。
実施例15.
実施例4で得られたローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液500gを濃縮後凍結乾燥し、これを粉砕して発酵物粉末18gを得た。
比較実施例1.
乾燥したローゼルの萼50gに精製水950gを加えて懸濁液を作り、この液にペクチナーゼ1.0gを加えた後40℃で3時間加水分解処理を行った。
この加水分解懸濁液をアルカリで中和してpH約6とした後、80〜90℃で1時間加温して酵素を加熱失活させ、ろ過を行ってローゼルの萼の酵素加水分解物溶液810g(固形分濃度4.0%)を得た。
比較実施例2.
乾燥したローゼルの萼50gに精製水950gを加えて懸濁液を作り加熱した。冷却後、この懸濁液をアルカリで中和してpH約6とし、ろ過してローゼルの萼の抽出物溶液720g(固形分濃度2.8%)を得た。
処方例1.クリーム
[A成分] 部
流動パラフィン 5.0
ヘキサラン (注1) 4.0
パラフィン 5.0
グリセリルモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 6.0
ブチルパラベン 0.1
(注1)株式会社テクノーブル製 トリオクタン酸グリセリル
[B成分]
実施例4の発酵物溶液 10.0
グリセリン 5.0
カルボキシメチルモノステアレート 0.1
モイストン・C (注2) 1.0
精製水 全量が100部となる量
(注2)株式会社テクノーブル製 NMF成分
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合してクリームを得た。
処方例2.クリーム
処方例1のB成分中実施例4の発酵物溶液に代えて実施例2の発酵物溶液を用いるほかは処方例1と同様にしてクリームを得た。
処方例3.クリーム
処方例1のB成分中実施例4の発酵物溶液に代えて実施例3の発酵物溶液を用いるほかは処方例1と同様にしてクリームを得た。
処方例4.クリーム
処方例1のB成分中実施例4の発酵物溶液に代えて実施例12の発酵物溶液を用いるほかは処方例1と同様にしてクリームを得た。
処方例5.クリーム
処方例1のB成分中実施例4の発酵物溶液に代えて実施例13の発酵物溶液を用いるほかは処方例1と同様にしてクリームを得た。
処方例6.クリーム
処方例1のB成分中実施例4の発酵物溶液に代えて実施例14の発酵物溶液を用いるほかは処方例1と同様にしてクリームを得た。
処方例7.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
[B成分]
実施例1の発酵物溶液 10.0
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。こ
れを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
処方例8.乳液
処方例7のB成分中実施例1の発酵物溶液に代えて実施例5の発酵物溶液を用いるほかは処方例7と同様にして乳液を得た。
処方例9.乳液
処方例7のB成分中実施例1の発酵物溶液に代えて実施例6の発酵物溶液を用いるほかは処方例7と同様にして乳液を得た。
処方例10.乳液
処方例7のB成分中実施例1の発酵物溶液に代えて実施例7の発酵物溶液を用いるほかは処方例7と同様にして乳液を得た。
処方例11.乳液
処方例7のB成分中実施例1の発酵物溶液に代えて実施例8の発酵物溶液を用いるほかは処方例7と同様にして乳液を得た。
処方例12.ローション
[成分] 部
実施例9の発酵物溶液 10.0
エタノール 10.0
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
メチルパラベン 0.2
クエン酸 0.1
クエン酸ナトリウム 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
香料 適量
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を混合してローションを得た。
処方例13.ローション
処方例12の成分中実施例9の発酵物溶液に代えて実施例4の発酵物溶液を用いるほかは処方例12と同様にしてローションを得た。
処方例14.ローション
処方例12の成分中実施例9の発酵物溶液に代えて実施例14の発酵物溶液を用いるほかは処方例12と同様にしてローションを得た。
処方例15.化粧水
[A成分] 部
オリーブ油 1.0
ポリオキシエチレン(5.5)セチルアルコール 5.0
ブチルパラベン 0.1
[B成分]
実施例10の発酵物溶液 10.0
エタノール 5.0
グリセリン 5.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
メチルパラベン 0.1
水酸化カリウム 適量
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃以上に加温後、A成分にB成分を加えて攪拌し、さらにヒスコトロン(5000rpm)で2分間ホモジナイズを行った。
これを50℃まで冷却した後、C成分を加えて攪拌混合し、さらに30℃以下まで冷却して化粧水を得た。
処方例16.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
[B成分]
実施例4の発酵物溶液 10.0
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
処方例17.乳液
処方例16のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム2.0部を用いるほかは処方例16と同様にして乳液を得た。
処方例18.乳液
処方例16のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム2.0部を用いるほかは処方例16と同様にして乳液を得た。
処方例19.乳液
処方例16のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてアルブチン2.0部を用いるほかは処方例16と同様にして乳液を得た。
処方例20.乳液
処方例16のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えて米糠抽出物加水分解物(株式会社テクノーブル製、商品名「グレイスノウ*雪*HP」、固形分濃度3.5%)5.0部を用いるほかは処方例16と同様にして乳液を得た。
処方例21.乳液
処方例16のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えて白芥子抽出物(株式会社テクノーブル製、商品名「シナブランカ−WH」、固形分濃度1.0%)5.0部を用いるほかは処方例16と同様にして乳液を得た。
処方例22.乳液
処方例16のB成分中、L−アスコルビン酸−2−グルコシド2.0部及び水酸化カリウム0.5部に代えてγ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸1.0部を用いるほかは処方例16と同様にして乳液を得た。
処方例23.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
[B成分]
実施例11の発酵物溶液 10.0
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
コエンザイムQ−10 0.1
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
処方例24.乳液
[A成分] 部
流動パラフィン 6.0
ヘキサラン 4.0
ホホバ油 1.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 2.0
大豆レシチン 1.5
メチルパラベン 0.15
エチルパラベン 0.03
[B成分]
実施例3の発酵物溶液 10.0
L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2.0
水酸化カリウム 0.5
豆乳乳酸菌発酵エキス 1.0
グリセリン 3.0
1、3−ブチレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロース 0.3
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ80℃以上に加熱した後、攪拌混合した。これを50℃まで冷却した後、C成分を加えてさらに攪拌混合して乳液を得た。
処方例25.プレストパウダー
[A成分] 部
ベンガラ 0.5
黄酸化鉄 1.5
黒酸化鉄 0.1
酸化チタン 10.0
ナイロンパウダー 4.0
セリサイト 全量が100部となる量
マイカ 23.0
タルク 25.0
実施例15の発酵物粉末 1.0
[B成分]
スクワラン 1.0
メチルポリシロキサン 4.0
プロピルパラベン 0.1
デヒドロ酢酸 0.1
流動パラフィン 2.0
香料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ混合攪拌し混合した後、200メッシュのタイラーメッシュの篩にかけ、得られた混合粉末を金型に打型してプレストパウダーを得た。
処方例26.リクイドファンデーション
[A成分] 部
ステアリン酸 2.4
モノステアリン酸プロピレングリコール 2.0
セトステアリルアルコール 0.2
液状ラノリン 2.0
流動パラフィン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.5
プロピルパラベン 0.05
[B成分]
実施例4の発酵物溶液 5.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
ベントナイト 0.5
プロピレングリコール 4.0
トリエタノールアミン 1.1
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
酸化チタン 8.0
タルク 4.0
着色顔料 適量
上記のA成分とB成分をそれぞれ加温した後混合攪拌した。これを再加温し、上記のC成分を添加して型に流し込み、室温になるまで攪拌してリキッドファンデーションを得た。
処方例27.リクイドファンデーション
処方例26のB成分中、実施例4の発酵物溶液に代えて実施例12の発酵物溶液を用いるほかは処方例26と同様にしてリクイドファンデーションを得た。
処方例28.クリームファンデーション
[A成分] 部
ステアリン酸 5.0
セタノール 2.0
モノステアリン酸グリセリル 3.0
流動パラフィン 5.0
スクワラン 3.0
ミリスチン酸イソプロピル 8.0
ポリオキシエチレン(20)モノステアリン酸グリセリル 2.0
プロピルパラベン 0.1
[B成分]
実施例1の発酵物溶液 5.0
ソルビトール 3.0
1,3−ブチレングリコール 5.0
トリエタノールアミン 1.5
メチルパラベン 0.1
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
酸化チタン 8.0
タルク 2.0
カオリン 5.0
ベントナイト 1.0
着色顔料 適 量
[D成分]
香料 0.3
C成分を混合し、粉砕機で粉砕した。B成分を混合し、これに粉砕したC成分を加え、コロイドミルで均一分散させた。A成分及び均一分散させたB、C成分をそれぞれ80℃に加温後、B、C成分にA成分を攪拌しながら加え、さらにヒスコトロン(5000rpm)で2分間ホモジナイズを行った。これを50℃まで冷却した後、D成分を加えて攪拌混合し、さらに攪拌しながら30℃以下まで冷却してクリームファンデーションを得た。
処方例29.クリームファンデーション
処方例28のB成分中、実施例1の発酵物溶液に代えて実施例13の発酵物溶液を用いるほかは処方例28と同様にしてクリームファンデーションを得た。
処方例30.ボディシャンプー
[A成分] 部
N−ラウロイルメチルアラニンナトリウム 25.0
ヤシ油脂肪酸カリウム液(40%) 26.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.0
メチルパラベン 0.1
[B成分]
実施例9の発酵物溶液 10.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加え、攪拌を続けて室温まで冷却してボディシャンプーを得た。
処方例31.石けん
[A成分] 部
硬化ヒマシ油 26.0
ヤシ油 10.0
オリーブ油 4.0
[B成分]
水酸化ナトリウム 6.0
砂糖 10.0
グリセリン 5.0
実施例10の発酵物溶液 5.0
精製水 全量が100部となる量
[C成分]
エタノール 20.0
香料 適量
A成分及びB成分をそれぞれ80℃に加温して均一に溶解した後、A成分にB成分を加えてケン化した。これを攪拌しながら50℃まで冷却し、C成分を加えた。これを型に流し込み冷却した後、室温下で数日間乾燥させ、充分に乾燥したものを型から取りだして石けんを得た。
比較処方例1.クリーム
処方例1のB成分中、実施例4の発酵物溶液に代えて比較実施例2の抽出物溶液を用いるほかは処方例1と同様にしてクリームを得た。
比較処方例2.クリーム
処方例1のB成分中、実施例4の発酵物溶液に代えて精製水を用いるほかは処方例1と同様にしてクリームを得た。
試験例1.表皮細胞賦活試験(1)
[試料]
実施例1及び4で得られた本発明の発酵物溶液、並びに比較実施例1の酵素加水分解物溶液及び比較実施例2の抽出物溶液を試料として用い、それらの表皮細胞賦活作用を調べた。
[試験方法]
ヒト表皮細胞PHK16−0b(Lot.040817(4))を、96穴マイクロプレートに1×10個/穴の濃度となるように播種した。培地としては、MCDB153(SIGMA社製)に増殖促進剤としてエピダーセルHKGS(クラボウ社製)を添加したものを用いた。37℃で2日間プレ培養した後、培地に試料溶液を5.0%の濃度(溶液濃度として)となるように添加し、37℃でさらに4日間培養した。次に培地を除去し、PBS(−)を用いて調製した0.03%のMTT溶液を添加して37℃に保持した後、マイクロプレートリーダー(MODEL680、バイオラッド社製)を用い、波長570−630nmでMTT値を測定した。
試料無添加の場合(対照)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたMTT値に対する各試料添加時のMTT値の相対値を求め、ヒト表皮細胞MTT活性率(%)とした。
なお比較のため、試料溶液の代わりにグルコースを100mM添加した場合(陽性対照)についても、同様の試験を行った。
[結果]
上記の試験で得られた結果を表1に示す。
Figure 2006347925
表1に示す通り、ローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液は、発酵前に酵素加水分解処理を行わなかった場合(実施例1)及び酵素加水分解処理を行った場合(実施例4)のいずれも表皮細胞を強く賦活する作用を有している。これに対して、酵素加水分解物溶液(比較実施例1)及び従来公知の抽出物溶液(比較実施例2)は、該作用を殆ど示さない。
又表1の結果から、本発明の発酵物溶液の示す表皮細胞賦活作用は、発酵に際して酵素加水分解処理を併用した場合(実施例4)に於いて特に顕著となることが判る。
試験例2.ヒト表皮細胞賦活試験(2)
[試料]
実施例4、5、6、7及び8で各々得られた発酵物溶液を試料として用い、それら発酵物溶液の表皮細胞賦活作用を調べた。
[試験方法]
試験例1と同様にして行った。
[結果]
結果を表2に示す。
Figure 2006347925
表2に示す通り、乳酸菌、麹菌、納豆菌、酵母及びテンペ菌のいずれの微生物を用いて得られるローゼル発酵物溶液も、ヒト表皮細胞を顕著に賦活する作用を有するが、それら微生物のうちでも特に乳酸菌による発酵物溶液がすぐれた賦活作用を示す。
試験例3.ヒト表皮細胞賦活試験(3)
[試料]
実施例4、12、13及び14で各々得られた発酵物溶液を試料として用い、それら発酵物溶液の表皮細胞賦活作用を調べた。
[試験方法]
試験例1と同様にして行った。
[結果]
結果を表3に示す。
Figure 2006347925
表3の結果から、発酵素材としてローゼルのいずれの部位を用いた場合も、得られる発酵物溶液は、ヒト表皮細胞に対して強い賦活作用を示すが、なかでも萼を用いた場合に最も強い賦活作用が得られることが判る。
試験例4.ヒト表皮細胞紫外線損傷抑制試験(1)
[試料]
実施例1及び4で各々得られた発酵物溶液を試料として用い、ヒト表皮細胞の紫外線損傷に対するそれら発酵物溶液の抑制作用を調べた。
[試験方法]
ヒト表皮細胞PHK16−0b(Lot.050506(12))を、96穴マイクロプレートに1×10個/穴の濃度となるように播種した。培地としては、MCDB153(SIGMA社製)に増殖促進剤としてエピダーセルHKGS(クラボウ社製)を添加したものを用いた。37℃で2日間プレ培養した後、底面より紫外B波を90mJ/cmの量になるように照射した。その後、試料溶液を5.0%の濃度(溶液濃度として)で含む培地と交換し、37℃でさらに4日間培養した。次に培地を除去し、PBS(−)を用いて調製した0.03%のMTT溶液を添加して37℃に保持した後、マイクロプレートリーダー(MODEL680、バイオラッド社製)を用い、波長570−630nmでMTT値を測定した。
紫外線照射・試料無添加の場合(対照)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたMTT値に対する各試料添加時のMTT値の相対値を求め、ヒト表皮細胞MTT活性率(%)とした。
なお比較のため、試料溶液の代わりにグルコースを100mM添加した場合(陽性対照)についても、同様の試験を行った。
[結果]
上記の試験で得られた結果を表4に示す。
Figure 2006347925
表4に示す通り、ローゼルの萼の乳酸菌発酵物溶液は、発酵前に酵素加水分解処理を行わなかった場合(実施例1)及び酵素加水分解処理を行った場合(実施例4)のいずれもヒト表皮細胞の紫外線による損傷を抑制する作用を有している。これに対して、酵素加水分解物溶液(比較実施例1)及び従来公知の抽出物溶液(比較実施例2)は、該作用を殆ど示さない。
又表4の結果から、本発明の発酵物溶液の示す表皮細胞の紫外線損傷防御作用は、発酵に際して酵素加水分解処理を併用した場合(実施例4)に於いてとりわけ顕著となることが判る。
試験例5.ヒト表皮細胞紫外線損傷抑制試験(2)
[試料]
実施例4、5、6、7及び8で各々得られた発酵物溶液を試料として用い、ヒト表皮細胞の紫外線損傷に対するそれら発酵物溶液の抑制作用を調べた。
[試験方法]
試験例4と同様にして行った。
[結果]
結果を表5に示す。
Figure 2006347925
表5の結果から、乳酸菌、麹菌、納豆菌、酵母及びテンペ菌のいずれの微生物を用いて得られるローゼル発酵物溶液も、紫外線によるヒト表皮細胞の損傷を有意に抑制する作用を有するが、該作用は乳酸菌を用いて得られる発酵物溶液に最も顕著に認められることが判る。
試験例6.ヒト表皮細胞紫外線損傷抑制試験(3)
[試料]
実施例4、12、13及び14で各々得られた発酵物溶液を試料として用い、ヒト表皮細胞の紫外線損傷に対するそれら発酵物溶液の抑制作用を調べた。
[試験方法]
試験例1と同様にして行った。
[結果]
結果を表6に示す。
Figure 2006347925
表6の結果から、発酵素材としてローゼルのいずれの部位を用いた場合も、得られる発酵物溶液は、紫外線によるヒト表皮細胞の損傷に対してこれを抑制する作用を示すが、なかでも萼を用いた場合に最も強い抑制作用が得られることが判る。
試験例7.皮膚一次刺激性試験
モルモットを用いて、本発明のフヨウ(ハイビスカス)属植物発酵物の皮膚一次刺激性を調べた。
[試料]
(1) 実施例1の発酵物溶液
(2) 実施例4の発酵物溶液
(3) 実施例8の発酵物溶液
[試験方法]
Hartley系モルモット(雄、4週齢)3匹(GA、GB及びGC)を用い、その背部をバリカン及び電気シェーバーで除毛した後、除毛部に、パッチテスト用絆創膏の布地部(直径25mm)に実施例1、4もしくは8の発酵物溶液、又は対照として精製水0.5mLを湿潤させたものを貼付した。貼付開始から24時間後に絆創膏を除去し、除去直後(貼付開始から24時間後)、除去24時間後(貼付開始から48時間後) 及び除去48時間後(貼付開始から72時間後)に、絆創膏貼付部位の紅斑、痂皮及び浮腫形成の程度を観察し、下記のドレイズ(Draize)の判定基準に従って評価した。
(紅斑・痂皮)
スコア 皮膚の状態
0 : 紅斑なし
1 : 極く軽度の紅斑
2 : 明らかな紅斑
3 : 中程度から強い紅斑
4 : 深紅色の強い紅斑に軽い痂皮形成
(浮腫)
スコア 皮膚の状態
0 : 浮腫なし
1 : 極く軽度の浮腫
2 : 明らかな浮腫(周囲と明らかに区別可能)
3 : 中程度の浮腫(1mm以上の盛り上がり)
4 : 強い浮腫(さらに周囲にも広がり)
[結果]
結果を表7に示す。
Figure 2006347925
表7の結果から明らかな通り、本発明のフヨウ(ハイビスカス)属植物ローゼルの発酵物は皮膚に対する一次刺激性がなく、生体安全性に極めてすぐれている。
試験例8.モニターテスト
処方例1のクリームと比較処方例1及び2のクリームについて、モニターテストにより皮膚に対する効果を調べた。
[試験方法]
無作為に抽出した年齢18〜50歳の女性40名を被験者として20名ずつ2つのグループ(A、B)に分け、各グループに、処方例1と比較処方例1のクリーム又は処方例1と比較処方例2のクリームの2種の組み合わせのいずれかを割り振り、それぞれ左右の頬部に、実施例又は比較例のクリームを1日2回(朝、晩)、1ヵ月間塗布してもらった後、シミ、くすみに対する改善効果、小ジワに対する改善効果及び肌のはり、艶に対する改善効果を、以下の評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
(肌のシミ、くすみに対する改善効果)
A:非常に改善された
B:かなり改善された
C:僅かに改善された
D:変わらない
E:かえって目立つようになった
(小ジワに対する改善効果)
A:殆ど目立たなくなった
B:かなり目立たなくなった
C:わずかに目立たなくなった
D:変わらない
E:かえって増えた
(肌のはり、艶に対する改善効果)
A:明らかに改善された
B:かなり改善された
C:僅かに改善された
D:変わらない
E:かえって悪くなった
[結果]
結果を表8に示す。なお、表8のA〜Eの各評価欄の数字は、被験者20名中当該評価を行った被験者の数を示す。
Figure 2006347925
表8に示す通り、フヨウ(ハイビスカス)属植物ローゼルの発酵物を活性成分として配合してなる本発明のクリーム(処方例1)は、該成分の有する表皮細胞賦活作用と紫外線による細胞損傷を抑制する作用の複合に基づく相乗的効果により、皮膚の老化或いは不健全化の典型的な症状であるシミ、くすみやシワ、たるみ等のいずれに対してもすぐれた改善作用を示す。
これに対して、従来公知のフヨウ(ハイビスカス)植物ローゼルの抽出物を配合したクリーム(比較処方例1)や精製水を配合したクリーム(比較処方例2)では殆ど改善効果が見られず、明らかに有効性に違いがある結果となった。

Claims (8)

  1. アオイ科(Malvaceae)フヨウ(ハイビスカス)属(Hibiscus L.)の植物を微生物で発酵させて得られる発酵物。
  2. フヨウ(ハイビスカス)属(Hibiscus L.)の植物がローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)である請求項1に記載の発酵物。
  3. ローゼル(Hibiscus sabdariffa L.)の萼を用いる請求項2に記載の発酵物。
  4. 発酵に用いる微生物が、乳酸菌、麹菌、納豆菌、テンペ菌及び酵母から選ばれたものである請求項1に記載の発酵物。
  5. 発酵に用いる微生物が、乳酸菌である請求項4に記載の発酵物。
  6. 乳酸菌としてラクトバチルス プランタラム(Lactobacillus pl antarum)を用いる請求項5に記載の発酵物。
  7. アオイ科フヨウ(ハイビスカス)属植物を、その発酵前及び/又は発酵時に、蛋白分解酵素、糖質分解酵素及びペクチン質分解酵素から選ばれた少なくとも1種の酵素で加水分解処理する請求項1に記載の発酵物。
  8. 請求項1乃至7項に記載の発酵物を配合したことを特徴とする化粧料。
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