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JP2006343498A - 電子機器の冷却装置および投写型光学装置 - Google Patents

電子機器の冷却装置および投写型光学装置 Download PDF

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JP2006343498A JP2005168328A JP2005168328A JP2006343498A JP 2006343498 A JP2006343498 A JP 2006343498A JP 2005168328 A JP2005168328 A JP 2005168328A JP 2005168328 A JP2005168328 A JP 2005168328A JP 2006343498 A JP2006343498 A JP 2006343498A
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Abstract

【課題】低騒音で冷却性能に優れた電子機器の冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置41aは、冷却対象物から受熱し、受熱した熱を冷媒に伝えるジャケット部26d,26eと、管路31bと、管路を通って流入する冷媒から受熱するラジエータ部37aとを有している。ラジエータ部37aは、内部水路43aを備え、内部水路43aの少なくとも一部に内部水路43aより幅の小さい複数個の峡間流路からなるマイクロチャネル44aが形成された受熱プレート42aを有している。ラジエータ部は、受熱プレート42aの外壁面の、マイクロチャネル44aと対向するマイクロチャネル対向面54aに、吸熱面をマイクロチャネル側に向けて接続された熱電素子47aを有している。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電子機器の冷却装置および投写型光学装置に関し、特に液晶パネル等を用いて映像を投写表示する投写型光学装置の冷却構造に関する。
液晶プロジェクタ装置は、ランプ発光効率の改善や、ライトバルブの高精細化・広開口率化、照明光学系の改良などにより、その投写画像品質が飛躍的に向上し、現在ではホームシアター用途から業務用プレゼンテーション用途まで、幅広く利用されている。
図16は、従来技術の液晶プロジェクタ装置の基本構成図である。液晶プロジェクタ装置101は、照明光学系2と、色分離光学系7と、結像光学系13とを備えている。
照明光学系2は、超高圧水銀ランプなどの高輝度ランプからなる光源3と、光源3の光を反射するリフレクタ4と、リフレクタ4からの反射光の照度分布を均一化させる光インテグレータ5a,5bと、光源3からのランダム偏光を直線偏光に揃える偏光ビームスプリッタ(PBS)6と、フィールドレンズ11aとを備えている。
色分離光学系7は、照明光学系2からの全光束を赤(R)・緑(G)・青(B)からなる各色光束に分離し、対応する各々の液晶パネルへ入射させるダイクロイックミラー8a,8bと、反射ミラー9a,9b,9c,9dと、リレーレンズ10a,10bと、フィールドレンズ11bとを備えている。
結像光学系13は、色分離光学系7から入射される各色光束を与えられた画像情報にしたがって変調する光変調部14と、変調された各色光束を合成する色合成プリズム15と、合成光をスクリーン上に投影する投写レンズ16とを備えている。光変調部14は、透過型表示デバイスである液晶パネル17a,17b,17cと、パネル入射面側に配置される入射側偏光板18a,18b,18cと、パネル出射側面に配置される出射側偏光板19a,19b,19cとからなる。
TN(Twisted Nematic)液晶パネルは特定の直線偏光成分しか扱えないため、色分離光学系7からの各色光束は、入射側偏光板18a,18b,18cで所定の偏光方向(P偏光)に揃えられ、P偏光光は液晶パネル17a,17b,17cで変調され、その後変調光のS偏光成分のみが出射側偏光板19a,19b,19cから透過される。
このような構成の光変調部14においては、入射側偏光板18a,18b,18cおよび出射側偏光板19a,19b,19cは、各々1軸方向の偏光光のみを通過させ、他の偏光光を遮蔽するため、吸光により発熱し易い。液晶パネルもまた、各画素境界にあるブラックマトリクスで透過光が遮光されるため、動作時に発熱を伴う。
これらの液晶パネルや偏光板には有機材料が用いられることも多く、長時間にわたって波長の短い光が照射されたり、高温環境に曝されたりすると、パネル配向膜がダメージを受けたり、偏光選択特性が低下したりするなど、その機能が著しく損なわれてしまう。その結果、製品寿命が低下し、ユニット交換によるランニングコストの増加を招いたり、各色光特性の変動による合成投写画像の劣化を引き起こしたりする。そこで、これらの光変調部には熱対策が必要となる。
以下に、入射側偏光板、出射側偏光板、および液晶パネル(以後、これらの部材をまとめて液晶ユニットと称する場合がある。)の温度上昇を抑制するため、従来用いられている冷却方法について簡単に説明する。
図17は、従来技術の、強制空冷による液晶ユニット冷却方法の一例を示す概略図である。同図(a)は冷却ユニットの斜視図を、同図(b)は断面図を示す。冷却ファン20は、図示せぬ筐体の吸気口から外気を取り入れ、パネルダクト21を介して、ファン出口から液晶ユニット直下のダクト開口部22まで冷却風24を送風する。液晶ユニット23を構成する入射側偏光板18a,18b,18c、液晶パネル17a,17b,17c、出射側偏光板19a,19b,19cの各部材は、それぞれ離間して配置されている。その間隙を下方から上方へ冷却風24が通過することにより、被冷却面は強制対流熱伝達によって熱量を奪われ、排熱が行なわれる。
近年の液晶プロジェクタ装置の小型・高輝度化への要求は、ランプ出力の増加と表示デバイスの小型化を促進し、液晶ユニットへ入射される光束密度の増加による熱負荷の上昇を招いている。たとえば2000lmクラスの液晶プロジェクタ装置(1.0型-XGA)では、液晶ユニット部の総発熱量は15W前後で、出射側偏光板熱流束は0.6W/cm2程度であるが、5000lmクラスの輝度になると、液晶ユニット部の総発熱量は35W以上、出射側偏光板熱流束は1.4W/cm2以上にまで達する。
強制空冷では、液晶ユニット部の総発熱量が増加した場合、ファン送風量を増加することで対応してきた。すなわち、発熱体周りの風速を高め、それによって熱伝達効率を改善し、発熱体からの伝熱量を増加させることで、冷却性能が引き上げられ、拡大する熱負荷への対応が可能となる。
ところで、コンピュータ分野などの電子機器の冷却には空冷システムだけでなく、液冷システムも提案されている(例えば特許文献1参照)。図18は、コンピュータなどの冷却に使われる、従来技術の液冷ユニットのシステム構成図の一例である。液冷システム25は、受熱ジャケット26a,26bと、ラジエータ部27と、循環ポンプ28aと、リザーブタンク29aとから構成されている。受熱ジャケット26a,26bは、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの発熱体30に熱的に接続され、吸熱を行い、受熱ジャケット26a,26bの内部を流れる冷媒を介して、受熱した熱量をラジエータ部27へ輸送する。ラジエータ部27では、自然空冷もしくは強制空冷との組み合わせにより、外気との間で熱交換を行い放熱する。ラジエータ部27で冷却された冷媒は、循環ポンプ28aにより、再度受熱ジャケット26a,26bに輸送され、循環系の液冷システムを構築している。
特開平6-326226公報 特許第3205743号明細書 特開2002-162058公報 特開2004-128457公報 特開平10-209531公報
ところで、液晶ユニットを構成する液晶パネルや偏光板の部品寿命は、その温度に因るところが大きい。例えば1.0"の液晶パネル(B-ch)のパネル寿命は、パネル温度が70℃前後のとき2000時間、55℃前後のとき3000時間となり、パネル寿命を4000時間以上確保しようとすれば、40℃近くまでパネル温度を冷却する必要が生じる。これは、例えば動作保証環境温度が35℃であれば、ユニットの寿命を4000時間以上確保するためには、外部温度に対し+5℃強の温度上昇しか許容できないことを意味している。
しかし、空冷方式の冷却限界は送風温度(=室温)に制約されるため、上述のように動作保証環境温度とパネル温度との差が小さい場合、冷却効率は極端に悪化する。また、ファン風量の増加は装置騒音を悪化させ、利用者の快適性を阻害する。さらに、空冷方式では塵埃の混入を招きやすく、結像品質の劣化の危険を常に伴う。
一方、水冷方式の場合、冷却限界は冷媒温度に制約され、放熱性能は外気温(=室温)に依存する。このため、いずれの冷却方式でも、発熱体(液晶ユニット)を室温付近まで冷却することは困難であった。
本発明の目的は、低騒音で冷却性能に優れた電子機器の冷却装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高輝度化に対応しつつ、長寿命で低騒音の投写型光学装置を提供することにある。
本発明の電子機器の冷却装置は、冷却対象物から受熱し、受熱した熱を冷媒に伝えるジャケット部と、ジャケット部に接続され、冷媒の流路を形成する管路と、管路に接続され、管路を通って流入する冷媒から受熱するラジエータ部とを有している。ラジエータ部は、内部水路を備え、内部水路の少なくとも一部に内部水路より幅の小さい複数個の峡間流路からなるマイクロチャネルが形成された受熱プレートを有している。また、ラジエータ部は、受熱プレートの外壁面の、マイクロチャネルと対向するマイクロチャネル対向面に、吸熱面をマイクロチャネル側に向けて接続された熱電素子を有している。
熱電素子を用いることによって、冷媒の温度を室温以下に設定できるため、冷却対象物温度を室温近くまで冷却することが容易となる。また、ラジエータ部の内部水路に熱伝達効率の高いマイクロチャネルを採用しているため、受熱プレート、ひいてはラジエータ部の小型化、薄型化が容易となる。さらに、内部水路の冷媒と熱電素子が設けられるマイクロチャネル対向面との温度差が少なくなり、熱電素子の吸熱負荷を軽減できるため、熱電素子からの放熱対策も容易となる。
熱電素子は、受熱プレートの両側のマイクロチャネル対向面に各々接続されるように構成することもできる。
ラジエータ部は、熱電素子の放熱面の少なくとも一部に接続された第1のヒートシンクを有していることが望ましい。この際、放熱用のファンを第1のヒートシンクに隣接して設けてもよい。
熱電素子は、マイクロチャネル対向面の、冷媒のラジエータ部からの流出側に設けられ、ラジエータ部は、マイクロチャネル対向面の、冷媒のラジエータ部への流入側に設けられた第2のヒートシンクを有するように構成することもできる。このとき、内部水路は略直線状に形成され、放熱用のファンが第1のヒートシンクと第2のヒートシンクとの間に設けられるようにしてもよい。また、内部水路は略U字形に形成され、マイクロチャネルは内部水路の各直線部に各々形成され、第1のヒートシンクは、流出側に隣接するマイクロチャネル対向面に設けられ、第2のヒートシンクは、流入側に隣接するマイクロチャネル対向面に、第1のヒートシンクと隣接して設けられ、放熱用のファンが、第1のヒートシンクおよび第2のヒートシンクに送風方向を向けて設けられるようにしてもよい。
熱電素子としては、ペルチェ素子を用いることが望ましい。
本発明の投写型光学装置は、複数の色光を各々個別に変調する複数の液晶パネルと、液晶パネルの各々を間に挟んで光軸上に配置された入射側偏光板および出射側偏光板と、液晶パネル、入射側偏光板、および出射側偏光板の少なくとも一つを冷却対象物とする上記の冷却装置とを有している。
本発明の他の投写型光学装置は、表示画素数に応じたミラー素子を有し、ミラー素子の高速チルト制御によって光源からの光を変調して画像を表示させるマイクロミラーアレイと、マイクロミラーアレイを冷却対象物とする上記の冷却装置とを有している。
以上説明したように、本発明における電子機器の冷却装置では、冷却対象物の室温近傍までの低温冷却が効果的に行えるため、冷却対象物に生じる可能性のある種々の熱的影響を軽減することができる。また、熱電素子の放熱対策も容易となる。このため、低騒音で冷却性能に優れた電子機器の冷却装置を提供することが可能となる。この冷却装置を投写型光学装置に適用すれば、液晶パネル等を効率的に冷却し、ユニットの長寿命化を図ることが可能になる。このため、高輝度化に対応しつつ、長寿命で低騒音の投写型光学装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の電子機器の冷却装置および投写型光学装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の冷却措置は電子機器の冷却装置として一般的に適用することができるが、ここでは投写型光学装置、特に液晶プロジェクタ装置に適用した例について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による冷却装置を実装した、液晶プロジェクタ装置の要部斜視図である。図2は、図1に示す液晶プロジェクタ装置の冷却装置の分解斜視図である。図3は、冷却装置の概略系統図である。
本発明の液晶プロジェクタ装置の基本構成は、従来技術と基本的に同一である。すなわち、図16を用いて説明したとおり、液晶プロジェクタ装置1は、照明光学系2と、色分離光学系7と、結像光学系13とを備えている。色分離光学系7は、複数の色光を各々個別に変調する液晶パネル17a,17b,17cと、液晶パネル17a,17b,17cの各々を間に挟んで光軸上に配置された入射側偏光板18a,18b,18cおよび出射側偏光板19a,19b,19cとを備えている。これらの液晶パネル、入射側偏光板、および出射側偏光板は、液晶ユニット23を構成する。
液晶プロジェクタ装置はまた、冷却装置41aを備えている(図2参照)。冷却装置41aは、冷媒40を循環させるポンプ28cと、内部に水路が設けられた一対の受熱ジャケット26d,26eと、吸熱して高温になった冷媒40から受熱し、その熱を外気へ放熱させるラジエータ部37aと、リザーブタンク29cと、これらをつなぐ管路である接続チューブ31bとを備えている。冷媒40は、プロピレンアルコールやエチレングリコールを主成分としている。リザーブタンク29cは、冷媒40が接続チューブ31bの繊維孔から揮発して減少することによる液量を補償するとともに、熱膨張による内圧上昇を緩和するために設けられている。
図1に示すように、液晶ユニット23は伝熱ホルダ33b,33cに接続されており、伝熱ホルダ33b,33cは受熱ジャケット26d,26eに接続されている。この結果、液晶ユニット23で発生する熱は、伝熱ホルダ33b,33cおよび受熱ジャケット26d,26eを介して、受熱ジャケット26d,26e内の水路を通る冷媒40に伝えられる。図3(a)に示すように、冷媒40は、一対の受熱ジャケット26d,26eを順に通過しながら液晶ユニット23から受熱し、リザーブタンク29cを通ってポンプ28cで昇圧され、ラジエータ部37aに流入し、放熱されて、再び受熱ジャケット26d,26eに流入する。なお、一般的には、液晶ユニット23から発生する熱は、一括して受熱ジャケット26d,26eで受熱するのが望ましいが、液晶パネル、入射側偏光板、出射側偏光板の一部を別の熱除去手段で冷却することも可能である。
次に、冷却装置のラジエータ部の構造について説明する。図4は、ラジエータ部の内部水路に設けられたマイクロチャネルの斜視図および断面図である。図5は、マイクロチャネルの上面図である。
ラジエータ部37aは、ラジエータプレート53aとラジエータカバー45aとからなる受熱プレート42aを有している。ラジエータプレート53aとラジエータカバー45aは互いに接合されて一体化されており、内部に冷媒40が循環する内部水路43aが形成されている。ラジエータプレート53aのうち、内部水路43aが形成された内面部には、その一部に数十μm〜数mmオーダの厚さの微細フィン52aが、例えば異方性エッチング等の加工手段を用いて形成されている。微細フィン52aは、流路に沿って数百μm〜数mmの所定の間隔で複数個形成されている。各微細フィン52aの先端部はラジエータカバー45aと接合されている。この結果、内部水路43aの一部は、微細フィン52aで互いに区分された、内部水路より幅の小さい複数の峡間流路46からなるマイクロチャネル44aとなっている。冷媒40は、マイクロチャネル44aを含む内部水路43aを循環し、冷媒40の保有熱は、熱伝達によって、微細フィン52a、ラジエータプレート53a、およびラジエータカバー45aに伝えられる。マイクロチャネル44aは内部水路43aの一部に形成されているが、全域に形成されていてもよい。
受熱プレート42a(ラジエータプレート53a)の外壁面の、マイクロチャネル44aと対向するマイクロチャネル対向面54a(図2参照)には、熱電素子であるペルチェ素子47aが、吸熱面55aをマイクロチャネル44a側に向けて接続されている(図3参照)。ペルチェ素子47aの放熱面56aには、受熱した熱を外気へ放熱させる、フィン列からなる第1のヒートシンク36aが接続されている。第1のヒートシンク36aに隣接して放熱ファン35aが設けられており、ペルチェ素子47aの高温側の放熱面56aは強制空冷により冷却される。ペルチェ素子47aは、マイクロチャネル対向面54aの全面に設けられる必要はなく、その一部にだけ設けられていてもよい。また、第1のヒートシンク36aは、冷却効率の観点からは、ペルチェ素子47aの放熱面56aの全面に設けられていることが好ましいが、その一部だけに設けられていてもよい。
なお、マイクロチャネル44aの微細フィン52aは、熱抵抗設計の観点からは、受熱プレート42aのペルチェ素子47aと接続する面に設ける方がより合理的である。本実施形態では、図示の都合によりラジエータプレート53aに設けるものとして説明したが、実際にはラジエータカバー45aの内部水路側に設けるほうが有利である。一方、受熱プレート42aを反転させ、ラジエータプレート53a側にペルチェ素子47aを接続する場合には、図4に示すとおり、微細フィン52aをラジエータプレート53a側に設けるほうが有利である。
次に、本実施形態の効果について説明する。図6は、冷却装置のラジエータ部に適用されるマイクロチャネルの熱抵抗算出式に使用するモデル図である。図5および6に示すように、マイクロチャネル長さをL、マイクロチャネル全幅をW、マイクロチャネル高さをZ、マイクロチャネル各壁面厚さ(フィン幅)をWW、マイクロチャネル1本当たりの幅(峡間流路幅)をWC、マイクロチャネル本数をNとすると、マイクロチャネルのフィン熱抵抗(Rconv)は式(1)で示される。ここで、hは熱伝達率であり、Z>>WCが、式(1)が成立するための近似条件となっている。
Figure 2006343498
一例として、チャネル領域をW×L=40×40mm、マイクロチャネル高さをZ=10mm、フィン幅をWW=1.5mm、チャネル幅をWC=1.5mm、冷媒流量を0.3リットル/分とすると、h=1185W/m2Kのとき、フィン熱抵抗はRconv=0.091℃/Wとなる。マイクロチャネル構造を用いない従来構造の受熱プレート(例えば、内部が、峡間流路が形成されない一体空間となっており、空間内に数枚のフィンが形成されている構造)のフィン熱抵抗は同一条件で1℃/W程度であるので、マイクロチャネルを設けることによって、ペルチェ素子接続部の熱抵抗を極めて小さく設計できる。このため、ペルチェ素子部の吸熱効率を大幅に改善でき、ラジエータ部の内部水路内の冷媒温度を室温以下まで低下させ、冷却対象(液晶ユニット)の低温冷却が可能になる。ここで、ペルチェ素子部の吸熱効率の改善とは、マイクロチャネルによる低熱抵抗設計(フィン熱抵抗:Rconv)によって、ペルチェ素子の低温側温度をあまり低く設定する必要がなくなり、吸熱負荷(低温側と高温側の温度差に依存した吸熱量)が低減されることをいう。
図3(b)に示すように、このようなラジエータ構成を採用することにより、発熱体(液晶ユニット23)からの受熱により高温になった冷媒の温度(T1)を、ラジエータ部37aにおいて、室温TroomよりもΔTBだけ低い温度(T2)まで低下させることができる。さらに、マイクロチャネルによる低熱抵抗設計の効果で、受熱ジャケット26d、26eの伝熱ホルダ接続面温度(Tcase)も、同様に室温以下に設定することが可能になる。この結果、液晶ユニット23の温度を室温近傍まで低温冷却することができ、光学ユニット部の長寿命設計が可能になる。
また、ペルチェ素子が接続された受熱プレートにマイクロチャネルを設定した構造のメリットとして、さらに以下の点が挙げられる。まず、第一のメリットは、ラジエータ部構成部位の厚み方向寸法を縮小でき、小型/薄型のラジエータ部ユニットが構築できることである。
第二のメリットは、冷媒液からペルチェ素子までの間の熱抵抗を極めて小さく設計できることから、ヒートシンクの設計合理化が可能になるという点である。これは、熱電素子の性質上、ペルチェ素子の放熱面側には冷媒吸熱量にペルチェ素子消費電力を加えた熱量の放熱が要求されることと関連している。すなわち、ペルチェ素子を利用した冷却方法では、ペルチェ素子消費電力の分だけ必要除熱量が増えるため、単に水冷システムのラジエータ部にペルチェ素子を配置して冷媒冷却を促進するだけだと、ペルチェ素子の放熱に必要なヒートシンクと放熱ファンがより大型化してしまうのである。これはラジエータ部の容積増加につながり、水冷装置をプロジェクタ装置に実装するうえで不利となる。また、放熱ファン風量が増加するため、騒音上も好ましくない。一方、本発明では、マイクロチャネルを用いたことで、上述の通り、熱抵抗を小さくすることができる。このため、ペルチェ素子の放熱に必要なヒートシンク冷却性能を抑制でき、ラジエータ部容積の小型化が可能となる。換言すれば、ペルチェ素子の放熱用熱交換器であるヒートシンクの空冷設計(ヒートシンク外形寸法、放熱ファン風量等)を、実現可能な範囲に収めることが可能となるのである。さらに、放熱ファンの必要風量を抑制できるため、静音化にも有利である。
この他、マイクロチャネルのパラメータ設計(溝幅、溝長、溝高さ)の自由度を生かし、後述する各実施形態に示すような、より効率の良いラジエータ部構造へと展開することも容易となる。
以上の説明では、熱電素子は受熱プレートの片側のマイクロチャネル対向面に設けられていたが、冷却対象の低温冷却性能(放熱性能)を重視して、ペルチェ素子を受熱プレートの両側のマイクロチャネル対向面に設けることも可能である。図7は、ペルチェ素子が受熱プレートの両側のマイクロチャネル対向面に設けられた冷却装置の概略系統図である。本変形例の基本的な構成は第1の実施形態と同一であり、ペルチェ素子が受熱プレートの両面に設けられている点だけが異なっている。ペルチェ素子は同一でもよく、熱負荷や周辺スペースに応じて互いに異ならせてもよい。後者の場合、微細フィンは、容量の大きなペルチェ素子が設けられた面に形成するのが有利であろう。ヒートシンクの容量も同一でもよく、互いに異なっていてもよい。ファンは両方のヒートシンクに同時に送風できるよう、回転中心軸が受熱プレートと略同一平面上にあるように設けられているが、各ヒートシンクに専用のファンを設けても構わない。
なお、このように熱電素子を受熱プレートの両側に設ける構造は、配置スペースの面で不利となることは否定できない。その意味では、内部にフィンを配置する構成よりも、受熱プレート内部にマイクロチャネルを配し、小型・薄型の受熱プレートが得られる本発明の方が上記変形例にはより適合的であり、上記のデメリットを解消しやすいと考えられる。
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図8は、本発明の第2の実施形態による冷却装置を実装した、液晶プロジェクタ装置の要部斜視図である。図9は、図8に示す液晶プロジェクタ装置の冷却装置の分解斜視図である。図10は、冷却装置のラジエータ部内部水路を示す斜視図および上面図である。図11は、冷却装置の概略系統図である。
ペルチェ素子47bは、マイクロチャネル対向面の、冷媒のラジエータ部からの流出側に設けられ、第1のヒートシンク49aがペルチェ素子47bに接続されている。第2のヒートシンク48aが、マイクロチャネル対向面55bの、冷媒のラジエータ部への流入側に設けられている。第2のヒートシンク48aとマイクロチャネル対向面55bとの間にはペルチェ素子は設けられておらず、第2のヒートシンク48aはマイクロチャネル対向面55bに直接取付けられている。内部水路43bは略直線状に、冷媒の流れ方向に伸長されて形成されている。この結果、第1のヒートシンク49aと第2のヒートシンク48aは、冷媒の流れ方向に互いに隣接して配置されている。放熱用のファン35cが、第1のヒートシンク49aと第2のヒートシンク48aとの間に、送風方向を第1のヒートシンク49aに向けて設けられている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態の目的は以下の通りである。すなわち、前述したとおり、ペルチェ素子を冷媒冷却手段に用いた場合、ペルチェ素子自体の消費電力による発熱が生じ、必要放熱量は冷却対象(液晶ユニット)の発熱量とペルチェ素子消費電力の総和となる。例えば、第1の実施形態の場合、液晶ユニットの発熱量を38Wとし、室温35℃に対して40℃まで冷却することを想定して温度Tcaseを30℃に設定すると、ラジエータ部で必要な冷媒温度降下量(図3中のΔTA)は1.94℃で、ペルチェ素子駆動電力は65.8Wとなり、ペルチェ素子放熱側熱交換器に要求される放熱量は103.8Wとなる。このため、ペルチェ素子を利用した冷却装置では、総発熱量に見合ったマイクロチャネルの熱伝達性能やヒートシンク性能の強化が望ましい。本実施形態はかかる目的により適したものである。
まず、図10に示すマイクロチャネル長さL’が第1の実施形態における長さLよりも増えるため、フィン熱抵抗(Rconv)、すなわち冷媒からラジエータ部への熱抵抗は、式(1)から明らかなように減少し、ペルチェ素子への熱伝達効率が向上する。同時に、図11に示すように、発熱体(液晶ユニット23)からの受熱により高温になった冷媒の温度(T1)は、まずラジエータ部上流側に設置された第1のヒートシンク48aによって、室温(Troom)近傍まで下げられる(T1→T2)。次いで、冷媒の温度(T2)は、ペルチェ素子47bと第2のヒートシンク49aとによって、室温以下(ΔTHS2)まで下げられる(T2→T3)。このように放熱負荷を分散することで、ペルチェ素子47bの吸熱負荷が低減し、放熱側熱交換器(第1のヒートシンク49aおよび放熱ファン35c)に要求される放熱量の軽減が可能となる。
また、放熱ファン35cは第1のヒートシンク49aと第2のヒートシンク48aとの間隙に配置されているため、1つのファンの吸気側空気流れで第2のヒートシンク48aの放熱(図11中のΔTHS1)を行い、吹出側空気流れで第1のヒートシンク49a(ペルチェ素子放熱用)の放熱(図11中のΔTHS2)を行うことができる。このため、冷却装置の小型化と低騒音化も可能となる。
さらにマイクロチャネル長さL’の拡大により、冷媒からラジエータ部表面への熱伝達特性が改善され、放熱効率も向上する。
次に、本発明による冷却装置の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。図12は、本発明の第3の実施形態による冷却装置を実装した、液晶プロジェクタ装置の要部斜視図である。図13は、図12に示す液晶プロジェクタ装置の冷却装置の分解斜視図である。図14は、冷却装置のラジエータ部内部水路を示した斜視図および上面図である。
ラジエータ部の内部水路43cは、略U字形に形成されている。マイクロチャネル50a,51aが、U字型の内部水路43cの各直線部に各々形成されている。ラジエータカバー45cの流出側に隣接するマイクロチャネル対向面55dには、ペルチェ素子47cが、第1の実施形態と同様に、吸熱面をマイクロチャネル側に向けて接続されている。ペルチェ素子47cの放熱面には第1のヒートシンク49bが接続されている。すなわち、第1のヒートシンク49bは、流出側に隣接するマイクロチャネル対向面に設けられている。第2のヒートシンク48bが、流入側に隣接するマイクロチャネル対向面55cに、第1のヒートシンク49bと隣接して設けられている。放熱用のファン35dが、第1のヒートシンク49bおよび第2のヒートシンク48bの側方に、これらのヒートシンク48b,49bに送風方向を向けて設けられている。
本実施形態は、第1,2の実施形態と同様に、ラジエータ部を循環する冷媒の放熱負荷が各ヒートシンクで分担され、ペルチェ素子部の吸熱負荷の低減が図られている。また、両方のヒートシンクに吹出側空気流れを与えているため、各ヒートシンクの冷却性能をより向上させることが可能になる。すなわち、第2のヒートシンク48bも放熱ファン35dの吹出側空気流れで冷却されるため、十分なフィン間流速を得ることができ、必要な放熱量を満たしやすくなる。また、第1ヒートシンク49bは、第2ヒートシンク48bの放熱による送風温度上昇の影響を受けないので、必要な放熱量を得ることが容易となる。さらに、第1および第2ヒートシンク49b,48bの放熱に1台のファン35dを共用しているので、冷却装置の小型化も容易である。
放熱ファンの位置は、上述のものに限定されず、配置スペースとの関係等を考慮して適宜に変更することができる。図15は、第3の実施形態において、放熱ファンの位置を変更した一例を示す斜視図である。この例では、放熱ファン35eを、受熱プレートと対向する方向から、第1および第2ヒートシンク49c,48cを跨ぐように配置し、各ヒートシンク49c,48cに対して衝突流を形成するように配置している。放熱ファンは、斜め方向その他の適宜の方向に設置することも可能である。
なお、以上説明した第2,第3の各実施形態においては、1個の放熱ファンを用いて2つのヒートシンクを放熱しているが、コストや実装容積との関係で可能であれば、各ヒートシンクに放熱ファンを個別に複数個用意しても構わない。また、第3の実施形態においては、第1のマイクロチャネル50aと、第2のマイクロチャネル51aの幅W1,W2や長さL1,L2は、対応するヒートシンクの熱抵抗設計や冷媒流路抵抗の効率等を勘案して、個別に最適設計を行ってもよく、加工性(製造コスト)を優先して共通寸法としてもよい。
このように、本発明の冷却装置は、液晶ユニットの低温冷却が可能であり、ユニット寿命を向上させてランニングコストの低減を図ることができる。また、本発明の冷却装置は、小型で低騒音かつ無塵埃構造であるため、液晶プロジェクタ装置の静音・高輝度化および高信頼設計に寄与することが可能となる。この結果、トータルコストの低い、高輝度/低騒音の液晶プロジェクタ装置を提供することが可能になる。
以上、液晶プロジェクタ装置を対象に本発明を説明したが、上述したとおり本発明は液晶プロジェクタ装置に限定されるものではない。たとえば、表示画素数に応じたミラー素子を有し、ミラー素子の高速チルト制御によって光源からの光を変調して画像を表示させるマイクロミラーアレイを有する投写型光学装置において、本冷却装置をマイクロミラーアレイの冷却装置として適用することができる。
本発明の第1の実施形態による冷却装置を実装した、液晶プロジェクタ装置の要部斜視図である。 図1に示す液晶プロジェクタ装置の冷却装置の分解斜視図である。 冷却装置の概略系統図である。 ラジエータ部の内部水路に設けられたマイクロチャネルの斜視図および断面図である。 マイクロチャネルの上面図である。 冷却装置のラジエータ部に適用されるマイクロチャネルの熱抵抗算出式に使用するモデル図である。 ペルチェ素子が受熱プレートの両側のマイクロチャネル対向面に設けられた冷却装置の概略系統図である。 本発明の第2の実施形態による冷却装置を実装した、液晶プロジェクタ装置の要部斜視図である。 図8に示す液晶プロジェクタ装置の冷却装置の分解斜視図である。 冷却装置のラジエータ部内部水路を示す斜視図および上面図である。 冷却装置の概略系統図である。 本発明の第3の実施形態による冷却装置を実装した、液晶プロジェクタ装置の要部斜視図である。 図12に示す液晶プロジェクタ装置の冷却装置の分解斜視図である。 冷却装置のラジエータ部内部水路を示した斜視図および上面図である。 第3の実施形態において、放熱ファンの位置を変更した一例を示す斜視図である。 従来技術の、液晶プロジェクタ装置の基本構成図である。 従来技術の、強制空冷による液晶ユニット冷却方法の一例を示す概略図である。 従来技術の液冷ユニットのシステム構成図の一例である。
符号の説明
1 液晶プロジェクタ装置
17a,17b,17c 液晶パネル
18a,18b,18c 入射側偏光板
19a,19b,19c 出射側偏光板
23 液晶ユニット
26d,26e受熱ジャケット
28c 循環ポンプ
29c リザーブタンク
33b,33c 伝熱ホルダ
35a,35b,35c,35d,35e 放熱ファン
36a ヒートシンク
37a,37b,37c,37d,37e ラジエータ部
40 冷媒
41a,41b,41c,41d 冷却装置
42a,42b,42c 受熱プレート
43a,43b,43c,43d 内部水路
44a,44b,50a,51a マイクロチャネル
45a,45b,45c,45d ラジエータカバー
46 峡間流路
47a,47b,47c ペルチェ素子
48a,48b,48c 第2のヒートシンク
49a,49b,49c 第1のヒートシンク

Claims (10)

  1. 冷却対象物から受熱し、受熱した熱を冷媒に伝えるジャケット部と、
    前記ジャケット部に接続され、前記冷媒の流路を形成する管路と、
    前記管路に接続され、該管路を通って流入する前記冷媒から受熱するラジエータ部と、
    を有し、
    前記ラジエータ部は、
    内部水路を備え、該内部水路の少なくとも一部に該内部水路より幅の小さい複数個の峡間流路からなるマイクロチャネルが形成された受熱プレートと、
    前記受熱プレートの外壁面の、前記マイクロチャネルと対向するマイクロチャネル対向面に、吸熱面を前記マイクロチャネル側に向けて接続された熱電素子と、
    を有する、電子機器の冷却装置。
  2. 前記熱電素子は、前記受熱プレートの両側の前記マイクロチャネル対向面に各々接続されている、請求項1に記載の冷却装置。
  3. 前記ラジエータ部は、前記熱電素子の放熱面の少なくとも一部に接続された第1のヒートシンクを有している、請求項1または2に記載の冷却装置。
  4. 放熱用のファンが前記第1のヒートシンクに隣接して設けられている、請求項3に記載の冷却装置。
  5. 前記熱電素子は、前記マイクロチャネル対向面の、前記冷媒の前記ラジエータ部からの流出側に設けられ、
    前記ラジエータ部は、前記マイクロチャネル対向面の、前記冷媒の前記ラジエータ部への流入側に設けられた第2のヒートシンクを有している、請求項3に記載の冷却装置。
  6. 前記内部水路は略直線状に形成され、
    放熱用のファンが前記第1のヒートシンクと前記第2のヒートシンクとの間に設けられている、請求項5に記載の冷却装置。
  7. 前記内部水路は略U字形に形成され、
    前記マイクロチャネルは前記内部水路の各直線部に各々形成され、
    前記第1のヒートシンクは、前記流出側に隣接する前記マイクロチャネル対向面に設けられ、
    前記第2のヒートシンクは、前記流入側に隣接する前記マイクロチャネル対向面に、前記第1のヒートシンクと隣接して設けられ、
    放熱用のファンが、前記第1のヒートシンクおよび前記第2のヒートシンクに送風方向を向けて設けられている、請求項5に記載の冷却装置。
  8. 前記熱電素子はペルチェ素子である、請求項1から7のいずれか1項に記載の冷却装置。
  9. 複数の色光を各々個別に変調する複数の液晶パネルと、
    前記液晶パネルの各々を間に挟んで光軸上に配置された入射側偏光板および出射側偏光板と、
    請求項1から8のいずれか1項に記載され、前記液晶パネル、前記入射側偏光板、および出射側偏光板の少なくとも一つを前記冷却対象物とする冷却装置と、
    を有する投写型光学装置。
  10. 表示画素数に応じたミラー素子を有し、該ミラー素子の高速チルト制御によって光源からの光を変調して画像を表示させるマイクロミラーアレイと、
    請求項1から8のいずれか1項に記載され、前記マイクロミラーアレイを前記冷却対象物とする冷却装置と、
    を有する投写型光学装置。
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