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JP2006220558A - 酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路 - Google Patents

酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路 Download PDF

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JP2006220558A
JP2006220558A JP2005034642A JP2005034642A JP2006220558A JP 2006220558 A JP2006220558 A JP 2006220558A JP 2005034642 A JP2005034642 A JP 2005034642A JP 2005034642 A JP2005034642 A JP 2005034642A JP 2006220558 A JP2006220558 A JP 2006220558A
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oxygen
oxygen concentration
output voltage
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Koji Ogusu
幸治 小楠
Masaki Saijo
将樹 西條
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Denso Corp
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Abstract

【課題】酸素センサの素子抵抗値の算出後、酸素センサによる迅速で且つ、高い信頼性を維持した酸素濃度の検出を可能とする酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路を提供すること。
【解決手段】大気と被検出ガスとの間に酸素濃度差が生じることに基づき酸素濃度差に応じた電圧を出力する酸素センサOSに対して直列に抵抗R2を接続するとともに、この直列回路と並列にコンデンサC1を配する。酸素センサOS及び抵抗R2の直列回路とコンデンサC1との並列回路に対する給電を行う前に酸素センサOSの出力電圧を予め求め、酸素センサOSの素子抵抗ERの算出後、給電の解除に伴ってこの予め求めた酸素センサOSの出力電圧に相当する電圧を酸素センサOSの電圧出力端に印加する。そして、コンデンサC1の放電が完了することを条件に酸素センサOSの出力電圧に基づき被検出ガス中の酸素濃度を検出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸素センサを用いて例えば車載内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出方法及び該検出方法の実施に使用する酸素濃度検出回路に関するものである。
車両には、環境保護の目的で、車載内燃機関から排出されたガスを浄化する三元触媒が備えられている。この三元触媒の浄化効率は排気ガス中の酸素濃度(空気過剰率)に依存するため、上記内燃機関においては、排気ガス中の酸素濃度をパラメータとする補正信号に基づいて、燃焼に供された混合気の空燃比が理論空燃比に一致するように燃料噴射量をフィードバック制御する、いわゆる空燃比フィードバック制御が一般に行われている。
この空燃比フィードバック制御にあって、上記排気ガス中の酸素濃度は、排気管内に設けられた酸素センサにより求められる。酸素センサは、例えばジルコニア素子により構成されており、大気と排気ガスとの間に酸素濃度差があると所定の起電力を発生する。ただし、この発生する起電力の信頼性は酸素センサ自身の温度に依存するため、実際には、この酸素センサを例えば500℃以上の活性状態に維持するための正確なヒータ制御が必要となる。そこで、こうした酸素センサでは、酸素センサ自身の素子抵抗と同酸素センサの温度とに所定の相関があることを利用して、この素子抵抗の値から推定される酸素センサの温度が上記500℃等、所定の温度以上のとき活性状態にあると判断される。そして、酸素センサがこうした活性状態にあることを条件に、上述した空燃比フィードバック制御が実行される。
ここで、酸素センサの素子抵抗の値を求める方法としては、例えば特許文献1に記載の方法があり、またこの求めた素子抵抗の値に基づき酸素センサが活性温度に達しているか否かを判断しつつ、車載内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出する回路として従来一般に採用されている回路としては、図12に例示する回路が知られている。
同図12に示されるように、この酸素濃度検出回路は、例えばマイクロコンピュータからなる制御部100を備え、この制御部100によるトランジスタTR1の制御、並びにその結果得られる各部の電圧の監視のもとに酸素センサOSの素子抵抗ERの値を求め、且つ、酸素センサOSの出力電圧をもとに上記酸素濃度を検出する。そして、酸素センサOSの素子抵抗ERの値を求めるためにこの回路では、電極の一端が接地された酸素センサOSと直列に抵抗R1及びR2を接続し、該直列回路に対して上記トランジスタTR1のオン制御に基づく電源VCからの給電を行う。
また、上記制御部100には、抵抗R3を介して上記トランジスタTR1のオン/オフを制御するための充電ポートPT1とともに、
・上記抵抗R1と抵抗R2との接続点の電圧を抵抗R4を介してAD(アナログ−ディジタル)変換するAD変換ポートAD1。
・上記抵抗R2と酸素センサOSとの接続点の電圧を抵抗R5を介してAD変換するAD変換ポートAD2。
・上記酸素センサOSの出力電圧をモニタするためのAD変換ポートAD3。
がそれぞれ設けられている。そして、この制御部100では基本的に、上記トランジスタTR1のオン制御時に上記AD変換ポートAD1及びAD2に取り込まれる電圧に基づいて酸素センサOSの素子抵抗ERの値を求めるとともに、上記トランジスタTR1をオフとしたときに上記AD変換ポートAD3に取り込まれる電圧に基づいて酸素センサOSの出力電圧を求める。
ただしこの回路においては、同図12に併せて示されるように、上記抵抗R1及びR2の接続点と接地との間に、すなわち抵抗R2と酸素センサOSとからなる直列回路に電気的に並列にコンデンサC1が接続されている。このコンデンサC1は、電源VCの急激な電圧変化を吸収するとともに、上記AD変換ポートAD1及びAD2に取り込まれる電圧に対する例えば点火ノイズ等の外来ノイズの重畳を防止するためのものであり、上記素子抵抗ERの値の算出精度を高めるうえでも不可欠の素子となっている。
そこで、この酸素濃度検出回路では、制御部100による以下に列記する処理を通じて上記酸素センサOSの素子抵抗ERの値を求めるとともに、酸素センサOSの出力電圧に基づく上記酸素濃度の検出を行うようにしている。
1.上記充電ポートPT1を通じてトランジスタTR1をオンとする。これにより、電源VCからトランジスタTR1、抵抗R1、抵抗R2、及び酸素センサOSを介して接地端に電流が流れ込むとともに、コンデンサC1に対する電荷の充電が開始される。
2.コンデンサC1に電荷が充電された後、上記AD変換ポートAD1及びAD2に取り込まれる電圧に基づき抵抗R2の端子間電圧V1(=AD1−AD2)を求める。すなわちこのとき、抵抗R2は検流抵抗として機能する。
3.この求めた電圧V1(=AD1−AD2)から、次式に基づき酸素センサOSの素子抵抗ERの値を求める。

電流I=V1/R2
素子抵抗ERの抵抗値=AD変換ポートAD2に取り込まれる電圧/電流I
=AD変換ポートAD2に取り込まれる電圧×R2/V1

4.上記充電ポートPT1を通じてトランジスタTR1をオフとする。これにより、コンデンサC1に充電されていた電荷が抵抗R2及び酸素センサOSを通じて放電される。
5.上記電荷の放電完了後、酸素センサOSから上記検出対象となる酸素濃度に応じた値として出力されている電圧を上記AD変換ポートAD3を介して取り込み、この取り込んだ電圧に基づいて同検出対象となる酸素濃度を検出(推定)する。
上述の空燃比フィードバック制御にあっては、このようにして検出される排気ガス中の酸素濃度に基づき直前の燃焼に供された混合気の空燃比を推定し、この空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射量の増減が行われることとなる。なお、上記求められる素子抵抗ERの値に基づいて判断される酸素センサOSの温度が上記活性温度に達していない場合には、上記AD変換ポートAD3を介して取り込まれる酸素センサOSの出力電圧がこの空燃比フィードバック制御に用いられることはない。すなわちこの場合、空燃比フィードバック制御自体を禁止するようにしている。
特開平9−292364号公報
このように、酸素濃度検出回路にあっては通常、上記求めた酸素センサOSの素子抵抗ERの値に基づいて酸素センサOS自身のその都度の温度を推定し、該推定した温度に基づいて酸素センサOSが活性状態にあるか否かを判断している。このため、上記素子抵抗ERの値を求めている間は酸素濃度を検出することができない。
また、この素子抵抗ERの値の算出が終了して、上記トランジスタTR1をオフにしたとしても、上記コンデンサC1に充電された電荷が完全に放電されるまでの時間は待つ必要があり、やはりこの間は酸素濃度を検出することができない。
しかも、このコンデンサC1に充電された電荷の放電にかかる時定数は、上記抵抗R2と素子抵抗ERとの合成抵抗に基づいて決定されるため、素子抵抗ERの抵抗値が変化するようなことがあれば、このコンデンサC1に充電された電荷が完全に放電されるまでの時間も変化する。事実、この素子抵抗ERの抵抗値は、酸素センサOS自身の温度によって大きく変動し、酸素センサOSが活性化されていて、例えばその温度が約750℃であるときの素子抵抗ERの抵抗値は約「30Ω」であるのに対し、酸素センサOSの活性化前、例えばその温度が約25℃であるときの素子抵抗ERの抵抗値は約「35kΩ」と大きく異なる。すなわち、酸素センサOSの温度が低いほど上記時定数は大きな値となり、ひいては上記コンデンサC1に充電された電荷が完全に放電されるまでの時間も長くなる。またこのことは、酸素センサOSが活性化されている状態でも同様であり、その温度が例えば約750℃であるときの上記素子抵抗ERの抵抗値、約「30Ω」に対し、活性化の判定基準とする温度、例えば上述した500℃であるときの素子抵抗ERの抵抗値は約「500Ω」と、一桁以上高くなる。したがって、たとえ活性状態の範囲にあったとしても、酸素センサOS自身の温度が低いほど、上記コンデンサC1に充電された電荷が完全に放電されるまでの時間は長くなる。
結局、上記従来の酸素濃度検出回路では、酸素センサの素子抵抗の値を求めている間はともあれ、この素子抵抗の値の算出後、酸素センサを通じた酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間が無視できないばかりか、この時間そのものが酸素センサ自身の温度によって大きく変動する。このため、酸素濃度の検出時期についての適合を図ることは困難であり、逆にこの適合を断念して、上記電荷の放電に必要十分とされる時間だけ酸素濃度の検出時期を遅らせることとすれば、その検出される酸素濃度についての信頼性の維持が難しくなる。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸素センサの素子抵抗値の算出後、酸素センサによる迅速で且つ、高い信頼性を維持した酸素濃度の検出を可能とする酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路を提供することにある。
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、大気と被検出ガスとの間に酸素濃度差が生じることに基づき該酸素濃度差に応じた電圧を出力する酸素センサに対して直列に検流抵抗を接続するとともに、この直列回路と並列にコンデンサを配し、該酸素センサ及び検流抵抗の直列回路とコンデンサとの並列回路に給電を行って酸素センサの素子抵抗を算出した後、上記給電の解除によって上記コンデンサから電荷の放電が完了することを条件に酸素センサの出力電圧に基づき被検出ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出方法として、上記並列回路に対する給電を行う前に酸素センサの出力電圧を予め求め、その素子抵抗の算出後、上記給電の解除に伴ってこの予め求めた酸素センサの出力電圧に相当する電圧を酸素センサの電圧出力端に印加するようにした。
このような酸素濃度検出方法によれば、上記並列回路に対する給電に基づく酸素センサの素子抵抗の算出後、同並列回路に対する給電を行う前の酸素センサの出力電圧に相当する電圧が酸素センサの電圧出力端に印加されることで、上記並列回路を構成するコンデンサの放電電圧も、上記算出された素子抵抗の値に拘らず、急速にこの印加された電圧、すなわち同並列回路に対する給電を行う前の酸素センサの出力電圧に収束されるようになる。このため、上記素子抵抗の算出後、酸素センサを通じた酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間は大幅に短縮されることとなり、また酸素センサ自身の温度によってこの時間に変動をきたすようなこともなくなる。しかも、酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間がこうして短縮されることで、被検出ガス中の酸素濃度の変化にも迅速に追従することができるようになり、その検出される酸素濃度についての信頼性も高く維持されるようになる。
また、このような酸素濃度検出方法において、上記給電を行う前の酸素センサの出力電圧に相当する電圧を同酸素センサの電圧出力端に印加する方法としては、例えば請求項2に記載の発明によるように、
(イ)上記並列回路に対する給電を行う前に予め求めた酸素センサの出力電圧をアナログ−ディジタル変換して記憶手段に記憶しておき、この記憶手段に記憶した値をディジタル−アナログ変換した電圧を、酸素センサの出力電圧に相当する電圧として、上記給電の解除に伴い、酸素センサの電圧出力端に印加する。
あるいは請求項3に記載の発明によるように、
(ロ)上記並列回路に対する給電を行う前に酸素センサの出力電圧を予めサンプルホールドしておき、このサンプルホールドした電圧を、酸素センサの出力電圧に相当する電圧として、上記給電の解除に伴い、酸素センサの電圧出力端に印加する。
等々、の方法を採用することができる。ちなみに、上記(イ)の方法によれば、アナログ−ディジタル変換機能やディジタル−アナログ変換機能を備えたマイクロコンピュータ等を用いて、上述した酸素濃度検出方法を容易に実施することができるようになる。一方、上記(ロ)の方法によれば、基本的にアナログ回路を用いて酸素センサの電圧出力端に対する上記電圧の印加を行うことができるため、コスト面での、同酸素濃度検出検出方法の実施が容易となる。
なお、これら請求項1〜3のいずれかに記載の酸素濃度検出方法は、請求項4に記載の発明によるように、上記並列回路に対する給電を行う前の酸素センサの出力電圧の抽出、及び上記並列回路に給電を行っての酸素センサの素子抵抗の算出、及び上記給電の解除に伴う酸素センサの出力電圧に相当する電圧の酸素センサの電圧出力端への印加、及び酸素センサの出力電圧に基づく被検出ガス中の酸素濃度の検出を所定周期毎に繰り返し実行する用途に適用して特に有効である。上記酸素濃度検出方法によれば、酸素センサの素子抵抗の算出後、酸素センサによる酸素濃度の検出が迅速に行われるようになるため、繰り返しの実行による限られた期間内であっても的確に、しかも高い信頼性を維持して酸素濃度の検出を行うことができるようになる。
また、請求項5に記載の発明では、大気と被検出ガスとの間に酸素濃度差が生じることに基づき該酸素濃度差に応じた電圧を出力する酸素センサと、酸素センサに対して直列に接続される検流抵抗と、これら酸素センサ及び検流抵抗の直列回路に対して並列に接続されるコンデンサと、酸素センサ及び検流抵抗と上記コンデンサとの並列回路に対する給電をオン/オフするスイッチング素子と、酸素センサの出力電圧を抽出した後、スイッチング素子をオンとして上記並列回路に給電を行い、その状態で検流抵抗に流れる電流に基づき酸素センサの素子抵抗を算出するとともに、該素子抵抗の算出後、上記スイッチング素子をオフとして酸素センサの電圧出力端に上記抽出した酸素センサの出力電圧に相当する電圧を印加し、同酸素センサの電圧出力端の収束された電圧に基づいて被検出ガス中の酸素濃度を検出する制御手段とを備えて酸素濃度検出回路を構成することとした。
酸素濃度検出回路としてこのような構成によれば、制御手段を通じて上記請求項1に記載の酸素濃度検出方法が忠実に実行されることとなる。したがって、このような酸素濃度検出回路によっても、酸素センサの素子抵抗値の算出後、酸素センサによる迅速で且つ、高い信頼性を維持した酸素濃度の検出が可能となる。
なお、上記制御手段の具体的な構成としては、例えば請求項6に記載の発明によるように、
(A)上記抽出される酸素センサの出力電圧をアナログ−ディジタル変換して記憶手段に記憶しておき、この記憶手段に記憶した値をディジタル−アナログ変換した電圧を、酸素センサの出力電圧に相当する電圧として、上記スイッチング素子をオフとした後、酸素センサの電圧出力端に印加する構成。
あるいは請求項7に記載の発明によるように、
(B)上記抽出される酸素センサの出力電圧をサンプルホールド回路にホールドしておき、このホールドした電圧を、酸素センサの出力電圧に相当する電圧として、上記スイッチング素子をオフとした後、酸素センサの電圧出力端に印加する構成。
等々を採用することができる。ちなみに、上記(A)の構成によれば、上記(イ)の方法が忠実に実行されることとなり、上述した酸素濃度検出方法を容易に実施することができるようになる。また、上記(B)の構成によれば、上記(ロ)の方法が忠実に実行されることとなり、コスト面での、同酸素濃度検出検出方法の実施が容易となる。
なお、請求項5〜7のいずれかに記載の酸素濃度検出回路は、請求項8に記載の発明によるように、酸素センサの出力電圧の抽出、及び上記スイッチング素子をオンとしての酸素センサの素子抵抗の算出、及び上記スイッチング素子をオフとしての酸素センサの出力電圧に相当する電圧の酸素センサの電圧出力端への印加、及び酸素センサの電圧出力端の収束された電圧に基づく被検出ガス中の酸素濃度の検出を所定周期毎に繰り返し実行する用途に適用して特に有効である。これにより、上記請求項4に記載の酸素濃度検出方法と同様、繰り返しの実行による限られた期間内であっても的確に、しかも高い信頼性を維持して酸素濃度の検出を行うことができるようになる。
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路を車載内燃機関において空燃比フィードバック制御を行う装置に実装される酸素濃度検出回路及び同回路を用いて酸素濃度の検出を行う方法に適用した第1の実施の形態について図1〜図8を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態の酸素濃度検出回路も、基本的には、先の図12に例示した酸素濃度検出回路と同様、酸素センサOSに加え、トランジスタTR1(スイッチング素子)、抵抗R1〜R5、及びコンデンサC1を備えて構成されている。ただし、ここでは、制御部10及びトランジスタTR2を通じて、抵抗R2及び酸素センサOSとコンデンサC1との並列回路に給電する前の酸素センサOSの出力電圧を、酸素センサOSの素子抵抗ERの算出後、酸素センサOSの電圧出力端に印加することによって、コンデンサC1の放電電圧が収束するまでの時間を短縮するようにしている。以下、その具体的な構成、並びに動作について詳述する。
同図1に示されるように、この酸素濃度検出回路は、先の図12に示される酸素濃度検出回路の構成に加えて、酸素センサOSの電圧出力端に抵抗R6を介して接続されるトランジスタTR2及びこのトランジスタTR2のエミッタ端子に接続されるボルテージフォロア11を備えて構成されている。また、上記制御部10は、充電ポートPT1やAD変換ポートAD1〜AD3に加えて、メモリ(記憶手段)12、このメモリ12に記憶された値をDA(ディジタル−アナログ)変換して出力するDA変換ポートDA、及び電荷抜きポートPT2を備えるマイクロコンピュータ等によって構成されている。そして、上記トランジスタTR2のベース端子は制御部10の電荷抜きポートPT2に接続され、ボルテージフォロア11の入力端子は制御部10のDA変換ポートDAにそれぞれ接続されている。なお、本実施の形態で用いられる酸素センサOSは、その温度が500℃以上となったときに活性状態となるとともに、その活性状態において、
(a)燃焼に供された混合気の空燃比がリッチ状態であるときの排気ガス中の酸素濃度に対応して0.9Vの電圧を出力する。
(b)燃焼に供された混合気の空燃比がリーン状態であるときの排気ガス中の酸素濃度に対応して0.2Vの電圧を出力する。
といった特性を有しているとする。
このような構成において、制御部10は、酸素センサOSの素子抵抗ERの値を求めるにあたって、まず酸素センサOSの上述した出力電圧をAD変換ポートAD3を介して抽出し、その抽出した出力電圧の値をAD変換してメモリ12に記憶する。そして、制御部10は、酸素センサOSの素子抵抗ERの値を算出した後、電荷抜きポートPT2を介してトランジスタTR2をオン制御するとともに、上記メモリ12に記憶されている値、すなわち酸素センサOSの出力電圧をDA変換し、そのDA変換した電圧をボルテージフォロア11を通じて酸素センサOSの電圧出力端に印加する。すなわち、制御部10は、酸素センサOSの素子抵抗ERの値を算出した後、予め求めた酸素センサOSの出力電圧に相当する電圧を酸素センサOSの電圧出力端に印加する。
また、上記制御部10が上述した車載内燃機関の空燃比フィードバック制御等を含む運転制御を併せて行うものである場合、同制御部10では、上記算出された素子抵抗ERの値から酸素センサOS自身の温度を推定し、その推定した温度に基づいて酸素センサOSの活性状態を判別する活性判定処理を行う。そして、制御部10は、上記活性判定処理において酸素センサOSが活性状態にあると判別された場合、酸素センサOSの出力電圧をAD変換ポートAD3を介して取り込み、この取り込んだ酸素センサOSの出力電圧に基づいて燃料噴射量を調整すべく、前述した噴射量制御を行う。
これらの処理のうち、まず制御部10が行う活性判定処理を図2にフローチャートとして示し、この図2のフローチャートを参照しつつ、同活性判定処理にかかる処理手順を以下に列記する。なお、この活性判定処理は、例えば64ms(ミリ秒)毎に行われる処理である。
1.酸素センサOSの出力電圧をAD変換ポートAD3を介して抽出し、この抽出された酸素センサOSの出力電圧をアナログ−ディジタル変換してメモリ12に記憶する(図2ステップS101)。
2.充電ポートPT1を通じてトランジスタTR1をオン制御する(図2ステップS102)。これにより、電源VCからトランジスタTR1、抵抗R1、抵抗R2、及び酸素センサOSを介して接地端に電流が流れ込むとともに、コンデンサC1に対する電荷の充電が開始される。
3.コンデンサC1に電荷が充電された後、AD変換ポートAD1及びAD2に取り込まれる電圧に基づき抵抗R2の端子間電圧V1(=AD1−AD2)を求める(図2ステップS103)。すなわちここで、抵抗R2は検流抵抗として機能する。
4.この求めた電圧V1(=AD1−AD2)と抵抗R2の値から電流I(=V1/R2)を求める(図2ステップS104)。
5.AD変換ポートAD2に取り込まれる電圧と上記電流Iとに基づき、酸素センサOSの素子抵抗ERの抵抗値を算出する(図2ステップS105)。
6.充電ポートPT1を通じてトランジスタTR1をオフ制御する(図2ステップS106)。
7.続いて、上記メモリ12に記憶されている酸素センサOSの出力電圧のディジタル値、すなわち、抵抗R2及び酸素センサOSとコンデンサC1との並列回路に給電される前の酸素センサOSの出力電圧を示すディジタル値をディジタル−アナログ変換する。そしてこの変換された電圧(相当電圧)をDA変換ポートDAを介して出力し、その後、電荷抜きポートPT2を通じてトランジスタTR2をオン制御する(図2ステップS107)。これにより、上記並列回路に給電される前の酸素センサOSの出力電圧に相当する電圧がボルテージフォロア11、トランジスタTR2、及び抵抗R6を介して酸素センサOSの電圧出力端に印加されることとなる。この酸素センサOSの電圧出力端への上記電圧の印加によって、コンデンサC1の放電に際して酸素センサOSに電流が流れ込むことはなくなり、コンデンサC1の放電電圧は、上記算出された素子抵抗ERの値に拘らず、この印加された電圧に急速に収束されるようになる。
8.上記素子抵抗ERの値に基づいて酸素センサOS自身の温度の推定を行う(図2ステップS108)。具体的には、図3に示される素子抵抗ERの値と酸素センサOSの温度との相関関係に基づいて上記素子抵抗ERの値から酸素センサOSの温度を推定する。例えば、上記算出された素子抵抗ERの値が30Ωの場合、酸素センサOSの温度が750℃であると推定する。
9.この求めた酸素センサOSの温度が500℃以上であるか否か、すなわち酸素センサOSが活性状態にあるか否かを判断する(図2ステップ109)。
10.酸素センサOSの温度が500℃以上であると判断される場合、活性判定フラグFGをセットする(図2ステップS110)。
11.一方、酸素センサOSの温度が500℃未満であると判断される場合、活性判定フラグFGをリセットする(図2ステップS111)。
次に、制御部10が行う上記噴射量制御を図4にフローチャートとして示し、この図4のフローチャートを参照しつつ、同噴射量制御にかかる制御手順について説明する。なお、この噴射量制御は、例えば4ms毎に行われる。
同図4に示されるように、この噴射量制御に際してはまず、ステップS201の処理として、活性判定フラグFGがセットされているか否かが判断され、肯定判断される場合にはステップS202の処理として酸素センサOSの出力電圧がAD変換ポートAD3を介して取り込まれる。そして、続くステップS203の処理として、この取り込まれた酸素センサOSの出力電圧の値が判別される。その結果、この酸素センサOSの出力電圧が0.9Vのときには、ステップS204の処理として燃料の噴射量を減少させるべく燃料噴射弁等の制御が行われた後に当該処理は一旦終了される。一方、このステップS203の処理において、酸素センサOSの出力電圧が0.2Vのときには、ステップS205の処理として燃料の噴射量を増加させるべく燃料噴射弁等の制御が行われた後に当該処理は一旦終了される。すなわち、酸素センサOSの出力電圧が0.9Vの場合には、前記燃焼に供された混合気の空燃比がリッチ状態であると判断されて燃料の噴射量が減少する方向に空燃比フィードバック制御が行われる。逆に、酸素センサOSの出力電圧が0.2Vの場合には、前記燃焼に供された混合気の空燃比がリーン状態であると判断されて燃料の噴射量が増加する方向に空燃比フィードバック制御が行われる。
なお、上記ステップS201の処理において否定判断された場合には、当該処理は一旦終了され、酸素センサOSの出力電圧が空燃比フィードバック制御に用いられることはない。
このようにして制御部10は、活性判定処理及び噴射量制御の実行を通じて酸素センサOSの素子抵抗ERの値を算出した後、酸素センサOSにより排気ガス中の酸素濃度を検出する。
図5は、この実施の形態にかかる酸素濃度検出回路の上述した動作に伴う酸素センサOSの端子間電圧の推移について示したものであり、次に、同図5を併せ参照して、素子抵抗ERの値が算出された後、酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となる時期についてさらに詳述する。なお、図5(a)〜(d)は、上記並列回路に給電が行われる前の酸素センサOSの出力電圧が0.9Vであるときの酸素センサOSの端子間電圧の推移、及び同酸素センサOSの出力電圧が0.2Vであるときの酸素センサOSの端子間電圧の推移を、それぞれ上記トランジスタTR1、TR2の動作との対比のもとに示したものである。以下、これら出力電圧の別にその詳細を説明する。
<給電前の酸素センサOSの出力電圧が0.9Vの場合>
制御部10において活性判定処理が実行されると、まず酸素センサOSの出力電圧0.9VがAD変換されてメモリ12に記憶される。そして、タイミングt1として示すタイミングにおいて図5(c)に示されるようにトランジスタTR1がオン制御されると、同図5(a)に示されるように、酸素センサOSの端子間電圧はコンデンサC1への電荷の充電に伴い上昇していく。その後、コンデンサC1への電荷の充電が完了するタイミングt2において素子抵抗ERの値が算出された後、タイミングt3として示すタイミングにおいて図5(c)及び(d)に示される態様でトランジスタTR1のオフ制御及びトランジスタTR2のオン制御がそれぞれ実行される。これにより、酸素センサOSの電圧出力端には上記メモリ12に記憶されている0.9Vの電圧が印加されるようになり、タイミングt4として示すタイミングにおいてコンデンサC1の放電電圧、すなわち酸素センサOSの端子間電圧はこの0.9Vに急速に収束することとなる。したがって、この酸素センサOSの端子間電圧が0.9Vに収束した後の多少余裕のあるタイミング、例えばタイミングt5において酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となる。
なお、実際には、上述した活性判定処理は例えば200μ秒といった極短時間のうちに実行される処理であり、車載内燃機関の高回転領域での燃料噴射間隔が10msであることに鑑みると、活性判定処理中における酸素濃度の変化は無視することができる。よって、素子抵抗ERの値を求めた後の酸素センサOSの出力電圧と前記並列回路に対する給電が行われる前の酸素センサOSの出力電圧とはほぼ等しいと考えられる。この点からも、素子抵抗ERの値が算出された後、速やかに、しかも高い信頼性をもって酸素センサOSによる酸素濃度の検出を行うことができるようになる。
<給電前の酸素センサOSの出力電圧が0.2Vの場合>
次に、上記並列回路に給電する前の酸素センサOSの出力電圧が0.2Vである場合について説明する。この場合、制御部10において活性判定処理が実行されると、この出力電圧0.2VがAD変換されてメモリ12に記憶される。そして、上記タイミングt3においてトランジスタTR1のオフ制御及びトランジスタTR2のオン制御がそれぞれ実行されると、タイミングt4において酸素センサOSの端子間電圧は0.2Vに収束することとなる。したがってこの場合も、酸素センサOSの端子間電圧が0.2Vに収束した後のタイミング、例えば上記タイミングt5において酸素センサOSによる酸素濃度の迅速で且つ信頼性の高い検出が可能となる。
ところで、酸素センサOSの素子抵抗ERの値を算出した後において速やかに酸素センサOSによる酸素濃度の検出を可能とする構成としては、例えば図6に例示するように、従来の酸素濃度検出回路に対してトランジスタTR2のみを酸素センサOSに対して並列に付加する構成も考えられる。この構成によれば、制御部20を通じて素子抵抗ERの値が算出された後にトランジスタTR1がオフ制御されるとともにトランジスタTR2がオン制御され、コンデンサC1に充電された電荷は、抵抗R2、酸素センサOS、及び接地端からなる経路と、抵抗R6、トランジスタTR2、及び接地端からなる経路とを通じて放電される。これにより、上記コンデンサC1の放電時間も確実にその短縮化が図られるようになる。しかし、このような構成によっても、酸素センサOSの温度の違いに起因して変化する素子抵抗ERの値の影響は避けきれず、結局は、コンデンサC1に充電された電荷の放電にかかる時定数は変化する。このため、コンデンサC1が完全に放電されるまでの時間も変動することとなり、電荷抜きポートPT2を通じたトランジスタTR2のオン時間についての適合を図ることが必要となる。しかも、この酸素濃度検出回路では、抵抗R6の抵抗値の大小やトランジスタTR2の精度によっても上記時定数が変動するため、こうした適合は一層困難である。そして、こうした適合が正確に行われない場合には、素子抵抗ERの値が算出されてから酸素センサOSによる酸素濃度の検出が行われるまでの時間も結局は長くなってしまう。
例えば、図7(a)に示されるように、適合が最適ではなく、トランジスタTR2がオンされている時間が最適な時間(図7(c)参照)よりも短い場合、すなわち、トランジスタTR2がタイミングt11にてオン制御された後、タイミングt12にてオフ制御されたとすると、タイミングt12以降はコンデンサC1の放電速度が緩やかになってしまう。このため、コンデンサC1に充電された電荷が完全に放電されるまでの時間は長くなり、結局は、酸素センサOSの出力電圧がそのときの酸素濃度に応じた電圧に収束するまでの時間も長くなる。その結果、酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となるのは、例えばタイミングt13に対応して同図7(a)に示すタイミング、すなわち先の図5に示したタイミングt5よりも大きく遅れたタイミングとなる。
他方、同図7(b)に示すように、トランジスタTR2がオンされている時間が上記最適な時間よりも長い場合、すなわち、トランジスタTR2がタイミングt11にてオン制御された後、タイミングt14にてオフ制御された場合、コンデンサC1に充電された電荷は抵抗R6、トランジスタTR2、及び接地端を通じて接地レベルまで放電される。このため、酸素センサOSの端子間電圧は、タイミングt14として示すタイミングにおいて接地レベルまで低下してしまい、結局、トランジスタTR2がオンされている時間が最適な時間よりも短い場合と同様に、酸素センサOSの出力電圧がそのときの酸素濃度に応じた電圧に収束するまでの時間は長くなる。したがって、酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となるのは、ここでも例えばタイミングt13に対応して同図7(b)に示すタイミング、すなわち先の図5に示したタイミングt5よりも大きく遅れたタイミングとなる。
このように、トランジスタTR2がオンしている時間の長短によって、酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となるタイミングは変動することとなる。そのため、同図7(c)に示されるように、酸素センサOSの端子間電圧がそのときにおける酸素センサOSの出力電圧とほぼ等しくなるようなタイミング、すなわちタイミングt15として示すタイミングにおいてトランジスタTR2をオフ制御する必要がある。こうしたトランジスタTR2のオフ制御のタイミングを含めて、酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となる検出時期についての適合は困難である。しかも、酸素センサOSの出力電圧が酸素濃度に依存していることも、トランジスタTR2の最適なオン時間を求めることを困難とする要因となっている。
すなわち、例えば図8(a)に示すように、上記並列回路に給電を行う前の酸素センサOSの出力電圧が0.9Vである場合、素子抵抗ERの値を求めた後に速やかに酸素センサOSの出力電圧を取り込むためには、タイミングt22においてトランジスタTR2をオフ制御すればよい。そうすれば、このタイミングt22から多少余裕のあるタイミング、例えばタイミングt23において酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となる。しかし、このようなトランジスタTR2のオフ制御のタイミングは、上記並列回路に対して給電を行う前の酸素センサOSの出力電圧が0.9Vの場合には最適であっても、この酸素センサOSの出力電圧が0.9Vと異なれば、必ずしも最適にはならない。例えば、上記並列回路に対して給電を行う前の酸素センサOSの出力電圧が0.2Vであったときに、同図8(b)に示すタイミングt22においてトランジスタTR2をオフ制御すると、タイミングt22以降はコンデンサC1の放電速度が減速することとなる。その結果、酸素センサOSの出力電圧がそのときの酸素濃度に応じた出力電圧に収束するまでの時間は長くなり、酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となるタイミングは、例えばタイミングt24として示すタイミング、すなわち先の図5に示したタイミングt5よりもやはり遅れたタイミングとなる。
その点、本実施の形態のように、素子抵抗ERの値を求めた後に酸素センサOSの電圧出力端に対して上記並列回路に対する給電を行う前の酸素センサOSの出力電圧に相当する電圧を印加することとすれば、酸素センサOSの端子間電圧が素子抵抗ERの値や抵抗R6の値に拘らず、急速にこの印加された電圧に収束されるようになる。その結果、素子抵抗ERの算出後、酸素センサOSを通じた酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間は大幅に短縮されることとなる。また、酸素センサOS自身の温度によってこの時間に変動をきたすようなこともなくなる。しかも、酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間がこうして短縮されることで、排気ガス中の酸素濃度の変化にも迅速に追従することができるようになり、その検出される酸素濃度についての信頼性も高く維持されるようになる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路によれば、以下のような効果を得ることができるようになる。
(1)酸素センサOSの素子抵抗ERの算出後、酸素センサOSの電圧出力端に対して上記並列回路に対する給電を行う前の酸素センサOSの出力電圧に相当する電圧を印加するようにした。このため、コンデンサC1の放電電圧は、酸素センサOSの素子抵抗ERの値等に拘らず、急速にこの印加された電圧に収束されるようになり、素子抵抗ERの算出後、酸素センサOSを通じた酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間は大幅に短縮されるようになる。
(2)また、素子抵抗ERの算出後、コンデンサC1に充電された電荷が放電される際に酸素センサOSに酸素センサの出力電圧が印加されるため、酸素センサOSを通じた酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間が酸素センサOS自身の温度によって変動をきたすようなこともなくなる。この点でも、酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となるタイミングの変動は大幅に軽減されるようになる。
(3)しかも、酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間がこうして短縮されることで、排気ガス中の酸素濃度の変化にも迅速に追従することができるようになり、その検出される酸素濃度についての信頼性も高く維持されるようになる。
(4)本実施の形態では、アナログ−ディジタル変換機能やディジタル−アナログ変換機能を備えたマイクロコンピュータ等からなる制御部10を用いて酸素濃度の検出を行うこととしたため、その検出が容易であるとともに、酸素濃度検出回路としての回路構成も簡素化されるようになる。
(第2の実施形態)
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態について説明する。前記第1の実施の形態では、上記並列回路に給電する前の酸素センサOSの出力電圧をAD変換してメモリ12に記憶しておき、素子抵抗ERの算出後、このメモリ12に記憶されている電圧をDA変換して酸素センサOSの電圧出力端に印加するようにしている。これに対し、本実施の形態では、サンプルホールド回路を用いて、素子抵抗ERの算出後、上記並列回路に給電する前の酸素センサOSの出力電圧に相当する電圧を酸素センサOSの電圧出力端に印加するようにしている。以下、こうした酸素濃度検出回路について説明する。
図9は、本実施の形態にかかる酸素濃度検出回路を概略的に示したものである。同図9に示されるように、本実施の形態にかかる酸素濃度検出回路は、サンプルホールド回路(S/H回路)31をさらに備えて構成されている。このサンプルホールド回路31は、セットポートSP、リセットポートRP、ホールドポートSH、及び出力ポートOUTを備えている。このうち、セットポートSP及びリセットポートRPは制御部30にそれぞれ接続され、ホールドポートSHは酸素センサOSの電圧出力端子に接続されている。また、サンプルホールド回路31において、出力ポートOUTは、ボルテージフォロア11の入力端子に接続されている。
こうしたサンプルホールド回路31は、公知の回路構成を有しており、ホールドポートSHを介して抽出される電圧を出力ポートOUTに出力する。ただし、サンプルホールド回路31は、セットポートSPの入力信号の論理がL(ロー)レベルからH(ハイ)レベルに移行した場合、この移行したことをトリガとして、ホールドポートSHを介して抽出される電圧を保持(サンプルホールド)する。すなわち、サンプルホールド回路31の出力ポートOUTの電圧は、セットポートSPが論理Lレベルから論理Hレベルとなった時点の酸素センサOSの出力電圧に保持される。また、サンプルホールド回路31は、リセットポートRPの入力信号の論理がL(ロー)レベルからH(ハイ)レベルに移行した場合、この移行したことをトリガとして、上記電圧のホールドを解除する。すなわち、出力ポートOUTの電圧は、ホールドポートSHに入力される電圧に追従して変化するようになる。
この酸素濃度検出回路において、制御部30は、DA変換ポートDAに代わって、セットポートSP及びリセットポートRPをそれぞれ備えている。これらセットポートSP及びリセットポートRPは、サンプルホールド回路31の対応するポートにそれぞれ接続されている。
また、制御部30は、上述したように、空燃比フィードバック制御が実行されるにあたって、酸素センサOSの活性状態を判定する活性判定処理と、酸素センサOSの出力電圧に基づいて燃料の噴射量を調整する噴射量制御との2つの処理を行う。これらの処理のうち、まず制御部30が行う活性判定処理を図10にフローチャートとして示し、この図10のフローチャートを参照しつつ、同活性判定処理にかかる処理手順を以下に列記する。なお、噴射量制御については前記第1の実施の形態において述べた処理手順と同一であるため、ここではその説明を割愛する。
1.セットポートSPの出力信号を論理Lレベルから論理Hレベルに移行させる。これにより、酸素センサOSの出力電圧がサンプルホールド回路31によってサンプルホールドされる(図10ステップ121)。その結果、トランジスタTR2のエミッタ端子には、上記並列回路に対して給電が行われる前の酸素センサOSの出力電圧がボルテージフォロア11を介して印加されることになる。ただし、この時点でのトランジスタTR2はオフ状態であるため、酸素センサOSの電圧出力端に対してこうした電圧が印加されることはない。
2.充電ポートPT1を通じてトランジスタTR1をオン制御する(図10ステップS122)。これにより、電源VCからトランジスタTR1、抵抗R1、抵抗R2、及び酸素センサOSを介して接地端に電流が流れ込むとともに、コンデンサC1に対する電荷の充電が開始される。
3.コンデンサC1に電荷が充電された後、AD変換ポートAD1及びAD2に取り込まれる電圧に基づき抵抗R2の端子間電圧V1(=AD1−AD2)を求める(図10ステップS123)。
4.この求めた電圧V1(=AD1−AD2)と抵抗R2の値から電流I(=V1/R2)を求める(図10ステップS124)。
5.AD変換ポートAD2に取り込まれる電圧と上記電流Iとに基づき、酸素センサOSの素子抵抗ERの値を算出する(図10ステップS125)。
6.充電ポートPT1を通じてトランジスタTR1をオフ制御する(図10ステップS126)。
7.電荷抜きポートPT2を通じてトランジスタTR2をオン制御する(図10ステップS127に相当)。これにより、サンプルホールド回路31によってサンプルホールドされている電圧、すなわち、上記並列回路に対して給電が行われる前の酸素センサOSの出力電圧(相当電圧)がボルテージフォロア11、トランジスタTR2、及び抵抗R7を介して酸素センサOSの電圧出力端に印加されることになる。その結果、コンデンサC1の放電電圧は、この印加された電圧に急速に収束されるようになる。
8.トランジスタTR2をオン制御した後、コンデンサC1に充電された電荷が放電するのに十分な時間が経過した後、リセットポートRPの出力信号を論理Lレベルから論理Hレベルに移行させる(図10ステップ128)。これにより、サンプルホールド回路31による酸素センサOSの出力電圧のサンプルホールドが解除される。
9.上記素子抵抗ERの値に基づいて酸素センサOS自身の温度の推定を行う(図10ステップS129)。
10.この求めた酸素センサOSの温度が500℃以上であるか否か、すなわち酸素センサOSが活性状態にあるか否かを判断する(図10ステップ130)。
11.酸素センサOSの温度が500℃以上であると判断する場合、活性判定フラグFGをセットする(図10ステップS131)。
12.一方、酸素センサOSの温度が500℃未満であると判断する場合、活性判定フラグFGをリセットする(図10ステップS132)。
このように、サンプルホールド回路31による酸素センサOSの出力電圧のサンプルホールドを通じて、素子抵抗ERの算出後に酸素センサOSの電圧出力端に対して上記並列回路に給電する前の酸素センサOSの出力電圧が印加されるようになる。ここで、サンプルホールド回路31によって酸素センサOSの出力電圧がサンプルホールドされるタイミング、及びこのサンプルホールドが解除されるタイミングについて、制御部30でのセットポートSP及びリセットポートRPの論理レベルの移行タイミングと対比させながら説明する。図11(a)〜(f)は、前記第1の実施の形態で示した酸素センサOSの端子間電圧の推移と対比させて、セットポートSP及びリセットポートRPのそれぞれの論理レベルの移行タイミングを示したものである。
例えばタイミングt0に対応して同図11(e)に示すタイミング、すなわち上述したトランジスタTR1をオン制御するタイミングt1よりも先のタイミングにおいて、制御部30では、セットポートSPの出力信号を論理Lレベルから論理Hレベルに移行させる。その結果、サンプルホールド回路31によって酸素センサOSの出力電圧がサンプルホールドされる。具体的には、例えば図11(a)の例では、タイミングt0においてセットポートSPが論理Lレベルから論理Hレベルに移行すると、そのときの酸素センサOSの出力電圧である0.9Vがサンプルホールド回路31によりサンプルホールドされることとなる。また同様に、同図11(b)の例では、タイミングt0においてセットポートSPが論理Lレベルから論理Hレベルに移行すると、そのときの酸素センサOSの出力電圧である0.2Vがサンプルホールド回路31によりサンプルホールドされることとなる。そして、タイミングt3として示すタイミングにてトランジスタTR2がオン制御されると、タイミングt0においてサンプルホールドした酸素センサOSの出力電圧が酸素センサOSの電圧出力端に印加されるようになる。
また、制御部30では、トランジスタTR2のオフ制御が行われた後、例えばタイミングt6として示すタイミングにおいてリセットポートRPの出力信号を論理Lレベルから論理Hレベルに移行させる。これにより、サンプルホールド回路31による酸素センサOSの出力電圧のサンプルホールドは解除されることとなる。
以上説明したように、本実施の形態にかかる酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路によれば、上記(1)〜(3)と同等の効果に加えて、以下のような効果を得ることができるようになる。
(5)制御部30によるトランジスタTR2及びサンプルホールド回路31の制御を通じて、酸素センサOSの素子抵抗ERの算出後、上記並列回路に給電される前の酸素センサOSの出力電圧を同酸素センサOSの電圧出力端に印加するようにした。このため、基本的にアナログ回路を用いて酸素センサOSの電圧出力端に対する上記電圧の印加を行うことができるようになり、酸素濃度検出回路のコストを抑制することができるようになる。
なお、この発明にかかる酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路は上記実施の形態に限定されるものではなく、同実施の形態を適宜変更した例えば次のような形態として実現することもできる。
・酸素濃度検出回路は、必ずしも制御部10を独立した部品として備えなくてもよい。例えば、制御部10が行う活性判定処理及び噴射量制御の処理を車載内燃機関の運転制御を行うコンピュータに兼用させるようにしてもよい。このようにすれば、酸素濃度検出回路の構成をさらに簡素化することができるようになる。
・上記第1の実施の形態では、制御部10を含め、抵抗R6、トランジスタTR2、及びボルテージフォロア11によって、上記並列回路に給電前の酸素センサOSの出力電圧の抽出、及び同出力電圧の酸素センサOSの電圧出力端への印加を制御する制御手段を構成している。また、上記第2の実施の形態では、制御部10を含め、抵抗R7、トランジスタTR2、ボルテージフォロア11、及びサンプルホールド回路31によって制御手段を構成している。しかし、制御手段の構成としては、これら構成に限定されるものではなく、抵抗R2及び酸素センサOSとコンデンサC1との並列回路に給電を行う前の酸素センサOSの出力電圧に相当する電圧を、素子抵抗ERの算出後に酸素センサOSの電圧出力端に印加できる構成であれば、任意の構成を採用することができる。
・また、この上記並列回路に給電を行う前の酸素センサOSの出力電圧に相当する電圧としては種々の電圧を採用することができる。例えば、上記給電前における酸素センサOSの出力電圧の範囲に対応して、コンデンサC1の放電電圧が急速に収束するような電圧を複数設定しておき、素子抵抗ERの算出後には、上記給電前の酸素センサの出力電圧の範囲に対応した上記設定されている電圧を酸素センサOSの電圧出力端に印加するようにしてもよい。このようにしても、素子抵抗ERの算出後、コンデンサC1の放電電圧はこの印加された電圧に急速に収束することとなるため、酸素センサOSによる酸素濃度の検出が可能となるまでに要する時間は大幅に短縮されるようになる。
・本発明にかかる酸素濃度検出回路は、前述した特許文献1に記載されているリニア式空燃比センサによる酸素濃度の検出に適用するようにしてもよい。すなわち、酸素センサOSの特性としては種々のものを採用することができる。
・本発明にかかる酸素濃度検出方法及び酸素濃度検出回路は、排気ガス中の酸素濃度を検出する用途への適用に限定されるものではなく、例えば大気中の酸素濃度を検出する用途に適用されるようにしてもよい。
本発明の第1の本実施の形態にかかる酸素濃度検出回路の概要を示す回路図。 同実施の形態にかかる酸素濃度検出回路の制御部が実行する活性判定処理の処理手順を示すフローチャート。 同実施の形態の酸素濃度検出回路が備える酸素センサについて、その素子抵抗の抵抗値と温度との関係を示すグラフ。 同実施の形態にかかる酸素濃度検出回路の制御部が実行する噴射量制御の処理手順を示すフローチャート。 (a)〜(d)は、同実施の形態の酸素濃度検出回路の動作例を示すタイミングチャート。 同実施の形態にかかる酸素濃度検出回路の対比例としての酸素濃度検出回路の一例を示す回路図。 (a)〜(c)は、同対比例としての酸素濃度検出回路の動作例を示すタイミングチャート。 (a),(b)は、同対比例としての酸素濃度検出回路の動作例を示すタイミングチャート。 本発明の第2の本実施の形態にかかる酸素濃度検出回路の概要を示す回路図。 同実施の形態にかかる酸素濃度検出回路の制御部が実行する活性判定処理の処理手順を示すフローチャート。 (a)〜(f)は、同実施の形態の酸素濃度検出回路の動作例を示すタイミングチャート。 酸素センサの素子抵抗の抵抗値を求める従来の検出回路を含めて一般に採用されている酸素濃度検出回路の概要を示す回路図。
符号の説明
10,20,30…制御部、11…ボルテージフォロア、12…メモリ、31…サンプルホールド回路、OS…酸素センサ、C1…コンデンサ、R2…抵抗、ER…素子抵抗、TR1,TR2…トランジスタ。

Claims (8)

  1. 大気と被検出ガスとの間に酸素濃度差が生じることに基づき該酸素濃度差に応じた電圧を出力する酸素センサに対して直列に検流抵抗を接続するとともに、この直列回路と並列にコンデンサを配し、該酸素センサ及び検流抵抗の直列回路とコンデンサとの並列回路に給電を行って前記酸素センサの素子抵抗を算出した後、前記給電の解除によって前記コンデンサから電荷の放電が完了することを条件に前記酸素センサの出力電圧に基づき前記被検出ガス中の酸素濃度を検出する酸素濃度検出方法であって、
    前記並列回路に対する給電を行う前に前記酸素センサの出力電圧を予め求め、前記素子抵抗の算出後、前記給電の解除に伴ってこの予め求めた酸素センサの出力電圧に相当する電圧を前記酸素センサの電圧出力端に印加するようにした
    ことを特徴とする酸素濃度検出方法。
  2. 前記並列回路に対する給電を行う前に予め求めた前記酸素センサの出力電圧をアナログ−ディジタル変換して記憶手段に記憶しておき、この記憶手段に記憶した値をディジタル−アナログ変換した電圧を、前記酸素センサの出力電圧に相当する電圧として、前記給電の解除に伴い、前記酸素センサの電圧出力端に印加する
    請求項1に記載の酸素濃度検出方法。
  3. 前記並列回路に対する給電を行う前に前記酸素センサの出力電圧を予めサンプルホールドしておき、このサンプルホールドした電圧を、前記酸素センサの出力電圧に相当する電圧として、前記給電の解除に伴い、前記酸素センサの電圧出力端に印加する
    請求項1に記載の酸素濃度検出方法。
  4. 前記並列回路に対する給電を行う前の前記酸素センサの出力電圧の抽出、及び前記並列回路に給電を行っての前記酸素センサの素子抵抗の算出、及び前記給電の解除に伴う前記酸素センサの出力電圧に相当する電圧の前記酸素センサの電圧出力端への印加、及び前記酸素センサの出力電圧に基づく前記被検出ガス中の酸素濃度の検出を所定周期毎に繰り返し実行する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素濃度検出方法。
  5. 大気と被検出ガスとの間に酸素濃度差が生じることに基づき該酸素濃度差に応じた電圧を出力する酸素センサと、
    前記酸素センサに対して直列に接続される検流抵抗と、
    これら酸素センサ及び検流抵抗の直列回路に対して並列に接続されるコンデンサと、
    前記酸素センサ及び検流抵抗と前記コンデンサとの並列回路に対する給電をオン/オフするスイッチング素子と、
    前記酸素センサの出力電圧を抽出した後、前記スイッチング素子をオンとして前記並列回路に給電を行い、その状態で前記検流抵抗に流れる電流に基づき前記酸素センサの素子抵抗を算出するとともに、該素子抵抗の算出後、前記スイッチング素子をオフとして前記酸素センサの電圧出力端に前記抽出した酸素センサの出力電圧に相当する電圧を印加し、同酸素センサの電圧出力端の収束された電圧に基づいて前記被検出ガス中の酸素濃度を検出する制御手段と、
    を備える酸素濃度検出回路。
  6. 前記制御手段は、前記抽出される酸素センサの出力電圧をアナログ−ディジタル変換して記憶手段に記憶しておき、この記憶手段に記憶した値をディジタル−アナログ変換した電圧を、前記酸素センサの出力電圧に相当する電圧として、前記スイッチング素子をオフとした後、前記酸素センサの電圧出力端に印加するものである
    請求項5に記載の酸素濃度検出回路。
  7. 前記制御手段は、前記抽出される酸素センサの出力電圧をサンプルホールド回路にホールドしておき、このホールドした電圧を、前記酸素センサの出力電圧に相当する電圧として、前記スイッチング素子をオフとした後、前記酸素センサの電圧出力端に印加するものである
    請求項5に記載の酸素濃度検出回路。
  8. 前記制御手段は、前記酸素センサの出力電圧の抽出、及び前記スイッチング素子をオンとしての前記酸素センサの素子抵抗の算出、及び前記スイッチング素子をオフとしての前記酸素センサの出力電圧に相当する電圧の前記酸素センサの電圧出力端への印加、及び前記酸素センサの電圧出力端の収束された電圧に基づく前記被検出ガス中の酸素濃度の検出を所定周期毎に繰り返し実行する
    請求項5〜7のいずれか一項に記載の酸素濃度検出回路。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112180037A (zh) * 2020-09-15 2021-01-05 华帝股份有限公司 一种氧传感器和家用电器
CN112955737A (zh) * 2019-03-15 2021-06-11 日本特殊陶业株式会社 气体传感器控制装置、气体传感器控制系统及气体传感器系统

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