JP2006205017A - 有機性廃棄物の処理方法および処理システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 有機性廃棄物を可溶化し、アンモニアおよび水素を生成させ、生成した水素およびアンモニアを除去し、アンモニアおよび水素が除去された、可溶化された有機性廃棄物をメタン発酵処理する。
【選択図】 なし
Description
本発明にかかる有機性廃棄物の処理方法は、有機性廃棄物を嫌気消化する有機性廃棄物の処理方法であって、有機性廃棄物を可溶化し、アンモニアおよび水素を生成させる第1発酵工程と、第1発酵工程で生成した水素を除去する水素除去工程と、第1発酵工程で生成したアンモニアを除去するアンモニア除去工程と、アンモニアおよび水素が除去された、可溶化された有機性廃棄物をメタン発酵処理する第2発酵工程とを含むものである。
上記第1発酵工程は、微生物を用いて処理対象たる有機性廃棄物を可溶化し、アンモニアおよび水素を発生させる工程である。ここで「可溶化」とは、有機性廃棄物の固形分が分解されて減少することをいう。
水素除去工程は、第1発酵工程で生成した水素を除去する工程であれば特に限定されるものではない。また、除去した水素は、水素を含む混合気体として、または、水素の純度を高める処理を経て純度を高くした気体として回収し、有効利用することが好ましい。
アンモニア除去工程は、上記第1発酵工程で生成したアンモニアを除去する工程であれば、特に限定されるものではない。アンモニア除去方法としては、例えば、上記第1発酵工程により可溶化され、アンモニアが溶解している被処理物のpHをアルカリ側に調製し、加熱することにより、系外にアンモニアを取り出す熱アルカリ処理方法を挙げることができる。かかる熱アルカリ処理方法では、pHを、8.5〜10程度、好ましくは9.0〜10、より好ましくは9.5前後に調製することが好ましい。pHをかかる範囲とすることにより、処理後の中和に必要な酸の量を低減することができる。また、生じる塩化物量を低減することができ、それゆえ生じる塩化物によるメタン発酵の阻害を抑制することができる。また、ここで、被処理物は60℃〜100℃程度に加熱することが好ましい。これにより、エネルギーの消費量を抑制することができる。また、被処理物の加熱方法は特に限定させるものではなく、例えば、電気ヒーター、温水ジャケット等で系内の有機性廃棄物を加熱してもよいし、低圧蒸気を被処理物内に吹き込んで加熱してもよい。
第1発酵工程で可溶化され、続く水素除去工程およびアンモニア除去工程でそれぞれ発生したアンモニアおよび水素が除去された被処理物は、第2発酵工程で、メタン発酵処理される。メタン発酵処理は通常用いられている方法で行われ、被処理物はメタンと二酸化炭素に分解される。
本発明の処理方法における処理対象としての有機性廃棄物としては、特に限定されるものではなく、例えば、余剰汚泥、下水汚泥、生ゴミ、家畜糞尿、家畜糞、し尿、屠殺場廃棄物、食品廃棄物、食品排水等の有機性排水、またはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明にかかる有機性廃棄物の処理システムについて図1に基づいて説明する。図1は、本発明にかかる有機性廃棄物の処理システムの一例を示す概念図である。図1に示すように、本発明の有機性廃棄物の処理システムは、有機性廃棄物を可溶化し、アンモニアおよび水素を生成させる第1発酵槽と、当該第1発酵槽で生じた水素を除去する水素除去装置と、当該第1発酵槽で生じたアンモニアを除去するアンモニア除去装置と、アンモニアおよび水素が除去された有機性廃棄物をメタン発酵処理する第2発酵槽とを含んでいる。
有機性廃棄物の嫌気消化による可溶化、アンモニア発酵および水素発酵を行い、生成するアンモニア、水素、および有機酸の量を調べた。嫌気消化は、65℃において、21日間の回分培養を行った。有機性廃棄物の嫌気消化に関わる微生物の供給源として、下水濃縮汚泥の湿式メタン発酵消化汚泥を種汚泥(接種微生物群)として用いた。また、処理を行なう有機性廃棄物として余剰汚泥のフィルタープレス脱水汚泥(水分含量80重量%、以下、本明細書において「脱水汚泥」と略称する。)を用いた。
上記実施例1と同様の方法で、35℃、45℃、55℃において、脱水汚泥の嫌気消化を行い、生成したアンモニア、水素および有機酸について測定を行った。得られた結果を実施例1の結果に並べて図2(a)〜(e)に示す。
有機性廃棄物の嫌気消化による可溶化、アンモニア発酵および水素発酵を行い、生成するアンモニア、水素、メタン、およびTOC(全有機炭素成分)の量を調べた。嫌気消化は65℃において、8日間の回分培養を行った。有機性廃棄物の嫌気消化に関わる微生物の供給源として、下水濃縮汚泥の湿式メタン発酵消化汚泥を種汚泥(接種微生物群)として用いた。また、処理を行なう有機性廃棄物として鶏糞(水分含量75〜80重量%)を用いた。用いた鶏糞の組成を表1に示す。表1中、「水分」とは水分含量を示す。また、「有機物」とは全有機性廃棄物に対する有機物の総量の割合(重量%)を示し、「Ash」とは灰分を示す。ここで灰分とは試料を大気中で500℃〜600℃の高温で熱し、含有する「有機物」を完全に燃焼、揮散させた後の残分であって、近似的に試料の無機物含量とみなされる。また、「C」とは全有機性廃棄物重量に対する炭素原子の割合(重量%)を示し、「N」とは全有機性廃棄物重量に対する窒素原子の割合(重量%)を示す。
上記実施例2と同様の方法で、35℃、45℃、55℃において、脱水汚泥の嫌気消化を行い、生成したアンモニア、水素、メタン、および有機酸の発生量について測定を行った。得られた結果を実施例の結果に並べて図3に示す。図3中、▲は55℃で、○は45℃で、●は35℃で嫌気消化したときの結果を示す。
実施例2で用いた65℃の鶏糞処理汚泥を種汚泥として、種汚泥と処理対象である鶏糞との混合物に対して25重量%用い、新たに鶏糞を当該混合物に対して75重量%混合し、65℃にて、半連続で嫌気消化による可溶化、水素発酵およびアンモニア発酵を行った。
実施例2で用いた35℃の鶏糞処理汚泥を種汚泥として、35℃にて培養を行った以外は実施例3と同様にして半連続で嫌気消化による可溶化、水素発酵およびアンモニア発酵を行い、生成したアンモニア、水素、メタンおよび有機酸について測定を行った。アンモニア、水素およびメタンについて得られた結果を実施例の結果に並べて図5に示す。また有機酸について得られた結果を図6(b)に示す。図5中○は35℃で嫌気消化したときの結果を示す。
脱水汚泥および鶏糞を処理対象として用い、それぞれ、実施例1および2と同様にして第1発酵工程を実施した。その間にバイアル瓶内に生成した水素を含むガスはバイアル瓶上部のブチルゴム栓に注射針を突き刺し、飽和食塩水を用いた水上置換法でシリンダー内に捕集した。これにより水素ガスを含む生成ガスを第1発酵槽から除去するとともにガス生成量を測定することができた。なお、水素含量をガスクロマトグラフィーで測定し、水素生成量を決定した。
実施例4で水素を除去した被処理物からアンモニアを除去するアンモニア除去工程は、図9に示すアンモニア除去装置を用いて行なった。脱水汚泥の場合も、鶏糞の場合も、第1発酵工程後実施例4で水素を除去した被処理物の温度を70℃とし、pHを10に調整した。この被処理物にN2ガスを500ml/minで通気した。その際、気化したアンモニアを10−3M酢酸にてトラップした。なお、10−3M酢酸にてトラップするアンモニア吸収槽2には1M酢酸が供給可能になっており、アンモニア吸収槽2内の溶液のpHは3.25となるように制御した。また、被処理物の乾燥を防ぐため、N2ガスは70℃の水道水中にて曝気した。
脱水汚泥を処理対象として用いた第1発酵工程後の被処理物から実施例4および5により水素およびアンモニアを除去した被処理物を用いて嫌気消化によるメタン発酵を行った。種汚泥として、実施例1で用いた55℃の余剰汚泥消化汚泥を用い、55℃において30日間の回分培養を行った。種汚泥と被処理物との混合比は、種汚泥:被処理物=3:1および1:1で行った。図7に1kgの被処理物につき発生したメタンの量(図中「CH4production」と表示、単位:mmol)(累積値)の経時変化を示す。図7中、横軸は培養時間(単位:日)を示す。また、図7中△は種汚泥:被処理物=3:1のときの結果を、□は種汚泥:被処理物=1:1のときの結果を示す。図7に示すように、種汚泥:被処理物=3:1では15日間の培養でほぼメタン発酵は終了し、被処理物1kg当たり2000〜2300mmolのメタンが生成した。1対1ではメタン生成が遅く30日で被処理物1kg当たり約2000mmolにとどまった。
2 アンモニア吸収槽
3 曝気槽
4 恒温槽
Claims (5)
- 有機性廃棄物を嫌気消化する有機性廃棄物の処理方法であって、
有機性廃棄物を可溶化し、アンモニアおよび水素を生成させる第1発酵工程と、
第1発酵工程で生成した水素を除去する水素除去工程と、
第1発酵工程で生成したアンモニアを除去するアンモニア除去工程と、
アンモニアおよび水素が除去された、可溶化された有機性廃棄物をメタン発酵処理する第2発酵工程と
を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。 - 上記第1発酵工程を56℃以上、80℃以下の温度で行うことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
- 上記有機性廃棄物の固形分量は、10重量%以上、40重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機性廃棄物の処理方法。
- 有機性廃棄物を可溶化し、アンモニアおよび水素を生成させる第1発酵槽と、
当該第1発酵槽で生じた水素を除去する水素除去装置と、
当該第1発酵槽で生じたアンモニアを除去するアンモニア除去装置と、
アンモニアおよび水素が除去された、可溶化された有機性廃棄物をメタン発酵処理する第2発酵槽とを含む有機性廃棄物の処理システム。 - 上記第1発酵槽は、その槽内を56℃以上、80℃以下の温度に保持する温度調節装置を備えていることを特徴とする請求項4に記載の有機性廃棄物の処理システム。
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