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JP2006299867A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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JP2006299867A JP2005120467A JP2005120467A JP2006299867A JP 2006299867 A JP2006299867 A JP 2006299867A JP 2005120467 A JP2005120467 A JP 2005120467A JP 2005120467 A JP2005120467 A JP 2005120467A JP 2006299867 A JP2006299867 A JP 2006299867A
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rotating body
camshaft
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Junji Yamanaka
淳史 山中
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Hitachi Ltd
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Abstract

【課題】 位相変更機構による機関始動に適した相対回転位置の外乱による不安定化を解消して、良好な始動性を確保する。
【解決手段】 スプロケット2とカムシャフトとの間に設けられ、ヒステリシスリングに電磁コイルからの電磁力よってブレーキ力を作用させて、前記両者の相対回動位相を変更する。渦ディスク13に形成された一対の渦巻き溝15の機関始動時における最適な回転位相となる各先端溝部15aを、一般部位15bから屈曲部15cを介して内方へ屈曲させて渦ディスクの接線方向へほぼ直線状に形成し、これにより、減速比を6以上に設定して、作動抵抗を大きくした。これにより、始動時における交番トルクなどの外乱によって前記渦ディスクが不用意に進角方向へ回転するのを防止して、良好な始動性を確保した。
【選択図】 図5

Description

本発明は、例えば内燃機関の吸気側または排気側の機関弁の開閉タイミングを運転状態に応じて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
この種の従来のバルブタイミング制御装置としては、本出願人が先に出願した以下の特許文献1に記載されるようなものがある。
このバルブタイミング制御装置は、機関のクランクシャフトから回転力が伝達されるタイミングスプロケットと、該タイミングスプロケットに対して所定の角度範囲内で相対回転自在に支持されたカムシャフトと、該カムシャフトに連結されたスリーブと、前記タイミングスプロケットと前記スリーブとの間に設けられ、機関運転状態に応じて前記タイミングスプロケットとカムシャフトの相対回転位相を変換させる位相変更機構とを備えている。
この位相変更機構は、前記タイミングスプロケットに形成された径方向ガイド窓と、渦ディスクに形成された渦巻き状ガイド(渦巻き溝)と、基端部が前記スリーブに回転自在に設けられて、先端部が前記径方向ガイド内を径方向移動可能に配置されたリンク部材と、該リンク部材の先端部に設けられて、先端の球状部が前記渦巻き状ガイドに係合した係合部と、機関運転状態に応じて前記渦ディスクにブレーキ力を付与するヒステリシスブレーキとを備えている。
このヒステリシスブレーキは、前記スリーブの先端側に有するコイルヨーク内に設けられた電磁コイルと、前記コイルヨークの軸方向端部に形成されて内外周の対向面に極歯を有する有底状の円筒溝と、該各極歯間に非接触状態でかつ相対回転可に配置され、磁束のヒステリシス特性を有する円筒状のヒステリシス材とを備えている。
そして、前記電磁コイルに通電することにより、前記各極歯間に磁界を発生させることによって互いに吸引し合うことにより、前記ヒステリシス材を介して前記渦ディスクに電磁ブレーキを作用させて、前記係合部が径方向ガイドに沿って径方向に移動しつつ渦巻き状ガイド内を摺動して、前記タイミングスプロケットと前記スリーブとを所定の角度範囲内で相対的に回転させるようになっている。
特開2004−11537号公報
しかしながら、前記従来のバルブタイミング制御装置にあっては、前記渦巻きガイドの収束率が全体に一定(減速比が一定)に形成されていることから、位相変更機構に作動力が作用しない機関始動時に、例えばバルブスプリングのばね力などに起因してカムシャフトに発生する交番トルクなどの外乱によって前記渦ディスクに不用意に回転トルクが発生してしまう場合がある。このため、タイミングスプロケットとスリーブとの相対回転位相が変更されて、前記機関の始動性が悪化してしまうおそれがある。
本発明は前記従来の技術的課題を解決するために案出されたもので、請求項1に記載の発明は、機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、作動力によって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更可能な位相変更機構と、を備え、前記位相変更機構は、作動力が生じない状態では機関始動可能な始動回転位相に戻るように構成されていると共に、該始動回転位相に戻る際に、前記始動回転位相付近で位相の変化率が小さくなるように構成されていることを特徴としている。
例えば、機関停止後などの位相変更機構の作動力も停止している状態時に、機関を再始動した際に、バルブスプリングのばね力などに起因した交番トルクなどが発生し、この影響を受けて位相変更機構が所定の範囲内で不用意に作動してしまう場合がある。
しかし、この発明によれば、予め機関の始動回転位相に戻された状態にある位相変更機構の該回転位相の変化率が小さくなっていることから、前記交番トルクが発生しても位相変更機構が不用意に作動してしまうことがなくなり、前記変化率の小さくなっている領域によって機関が容易に始動できる範囲が広がって、容易に始動させることが可能になる。
請求項2に記載の発明は、機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、
作動力によって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更可能な位相変更機構と、を備え、前記位相変更機構は、作動力が生じない状態では機関始動可能な始動回転位相に戻るように構成されていると共に、該始動回転位相付近で作動力が生じても始動回転位相がほぼ一定となるように構成されていることを特徴としている。
この発明によれば、機関の始動回転位相付近では、回転位相がほぼ一定となっていることから、かかる始動回転位相付近で位相変更機構に前記交番トルクなどの外乱が発生しても位相変更機構が不用意に作動してしまうことがなくなる。したがって、前記請求項1の発明と同様な作用効果が得られる。
請求項3に記載の発明は、機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、作動力によって前記位相変更機構の中間回転体が前記駆動回転体に対して相対回転を行い、該相対回転を減速機構によって減速して前記従動回転体に伝達することによって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更する位相変更機構と、を備え、前記位相変更機構は、作動力が生じない状態では機関始動可能な始動回転位相に戻るように構成されていると共に、前記始動回転位相付近で前記減速機構の減速比が大きくなるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この発明によれば、機関始動回転位相付近での減速機構の減速比を大きくなるように構成したことから、前記交番トルクが発生しても位相変更機構が不用意に作動してしまうことがなくなり、前記減速比の大きくなっている領域によって機関が容易に始動できる範囲が広がって、容易に始動させることが可能になる。
請求項4に記載の発明は、機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、機関弁を開閉作動させる駆動カムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、作動力によって可動部材がカムに当接しながら移動して前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更可能な位相変更機構と、を備え、前記位相変更機構は、作動力が生じない状態では機関始動可能な始動回転位相に戻るように構成されていると共に、該始動回転位相付近で外乱により作動力が作用した際に、前記可動部材が当接しても前記始動回転位相が機関の始動回転位相範囲内となるような前記カム形状に形成されていることを特徴としている。
この発明によれば、機関始動位相付近では前記可動部材がカムと当接しても始動回転位相を維持するようになることから、外乱が入っても機関の始動性に支障を来すことがなく、良好な始動性が得られる。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態は、内燃機関の吸気側の動力伝達系に適用したものであるが、内燃機関の排気側の動力伝達系に同様に適用することも可能である。
すなわち、このバルブタイミング制御装置は、図1〜図7に示すように、内燃機関の図外のシリンダヘッドに回転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端側に必要に応じて相対回動可能に設けられた駆動回転体であるタイミングスプロケット2と、該タイミングスプロケット2の内周側に配置されて、両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構3とを備えている。
前記カムシャフト1は、外周に吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つのカム1a、1aを有すると共に、先端部に従動回転体である従動軸部材4がカムボルト5によって軸方向から結合され、この従動軸部材4の先端部にスリーブ6が螺着固定されている。
前記従動軸部材4は、前記カムボルト5が内部の貫通孔を介して挿通する円筒状の軸部4aと、該軸部4aのカムシャフト1側の端縁に一体に形成された段差径状の大径な拡径部4bとを備えている。また、前記軸部4aの先端部外周に前記スリーブ6が螺着する雄ねじが形成されている。
前記スリーブ6は、カムシャフト1側の基端部の内周面に軸部4aの雄ねじに螺合する雌ねじ6aが切られていると共に、前記軸部4aに最大にねじ込まれた後に、前記雌ねじ6aの端緒部が軸部4aの先端面側に回り止めのために、円環状のかしめによって固定されている。
前記タイミングスプロケット2は、外周に図外のタイミングチェーンを介してクランクシャフトに連係されるリング状のギア歯車2aが外周に一体に形成されていると共に、このリング状歯車部2aの内周側にほぼ円板状のプレート部材2bを有している。また、このプレート部材2bの中央に形成された挿通孔2cの内周面が前記従動軸部材4の軸部4aの外周に回転自在に支持されている。
また、前記プレート部材2bには、対面する平行な側壁を有する径方向ガイドである2つ径方向窓孔7,7がタイミングスプロケット2のほぼ直径方向に沿うように貫通形成されていると共に、この2つの径方向窓孔7、7の間に、可動部材である2つのリンク部材8,8の各基端部8a、8aが周方向へ移動可能に係入保持される2つのガイド孔2d、2dが貫通形成されている。
前記ガイド孔2d、2dは、前記挿通孔2bの外周部に円周方向に沿って円弧状に形成されて、その軸方向の長さが前記各基端部8a、8aが移動する範囲内(カムシャフト1とタイミングスプロケット2の相対回動範囲内)の大きさに設定されている。
前記各リンク部材8は、それぞれがほぼ円弧状に折曲形成されて、一端側の各基端部8aが円筒状に形成されている一方、他端側の各先端部8b、8bも円筒状に形成されて、それぞれがプレート部材2b方向に突設されている。また、前記従動軸部材4の前記拡径部4bのカムシャフト1側の端部内周側に放射状に突出する2つのレバー突起の内部にそれぞれ保持孔が貫通形成されており、この各保持孔に各ピン9、9の一端部が圧入固定されていると共に、該ピン9,9の他端部に前記各リンク部材8、8の各基端部8a、8aが回転自在に連結されている。
また、各リンク部材8、8は、先端部8b、8bが前記各径方向窓孔7,7に係入している。
また、前記各リンク部材8の先端部8bには、軸方向前方側に開口する収容穴10が形成され、この収容穴10に、前記各径方向窓孔9を介して、後述する渦ディスク13の渦巻き溝15に係合する球面状の先端部を有する係合部である係合ピン11と、この係合ピン11を前方側(渦巻き溝15側)に付勢するコイルばね12とが収容されている。
そして、各リンク部材8は、各先端部8bが対応する各径方向窓孔9に係入した状態において、各基端部8a、8aがピン9、9を介して前記従動軸部材4に連結されているため、リンク部材8の先端部8b、8b側が、外力を受けて各径方向窓孔9に沿って変位すると、タイミングスプロケット2と従動軸部材4とは、各リンク部材8、8の基端部8a、8aが各ガイド孔2d、2dに沿って移動して、各先端部8b、8bの変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
一方、前記プレート部材2bの前方側に対向配置された円板状の渦ディスク13がボールベアリング14を介して回転自在に支持されている。この渦ディスク13は、前記ボールベアリング14の外輪が固定された筒状部13aと、該筒状部13aの後端に一体に設けられたディスク部13bとから構成され、このディスク部13bのカムシャフト1側の後面に、渦巻き状ガイドである断面半円状の2条の渦巻き溝15が形成されている。この各渦巻き溝15に、前記各リンク部材8の各係合ピン11の先端部が摺動自在に案内係合されている。
また、前記渦ディスク13は、型成形された粉末金属を仮焼結する仮焼結工程と、その後、仮焼結された中間回転体を高圧によって圧縮する再圧縮行程とからなる高密度焼結法によって成形されている。したがって、前記各渦巻き溝15も渦ディスク13を焼結合金によって成形する際に、同時に形成するようになっている。
前記各渦巻き溝15は、図5〜図7に示すように、互いに分離されて、タイミングスプロケット2の回転方向に沿って次第に縮径するように形成されていると共に、最外周側の先端溝部15aが所定の角度をもって内方へ屈曲(偏曲)形成されており、該先端溝部15aは、その長手方向のほぼ中央位置から先端側がさらに内方へ小さな角度で内方に屈曲形成されている。
すなわち、この各渦巻き溝15は、図5〜図7に記載されているように、それぞれの先端溝部15a以外の一般部位15bは渦(位相)の変化率が一定に形成されているが、先端溝部15aは、渦の変化率が前記内方へ屈曲した偏曲部15cから先端に向かって一般部位15bに比較して小さく形成されて渦ディスク13の接線方向に沿ってほぼ直線状に形成されており、この先端溝部15aの長さLが比較的長く設定されている。また、この先端溝部15aは、長手方向のほぼ中央部位(屈曲部15d)から先端部位がさらに極小さな角度で内方に屈曲形成されている。
換言すれば、前記渦ディスク13や各渦巻き溝15、各リンク部材8及び係合部11などによって減速機構が構成されて、前記渦巻き溝15は、その減速比、つまり図8に示すように、渦ディスク13の回転角θに対してカムシャフト1とタイミングスプロケット2との位相変換角θ1に対する減速比が一定に設定されているのに対して、前記先端溝部15aの区間では、減速比が6以上に大きく設定され、つまり少なくともθ:θ1=1:6の割合となるように設定されている。
そして、各係合ピン11が渦巻き溝15に係合した状態において、渦ディスク13がタイミングスプロケット2に対して遅れ方向に相対回動すると、各リンク部材8の先端部8bは各径方向窓孔9に案内されつつ、渦巻き溝15の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側(進角側)に移動し、逆に、渦ディスク13が進み方向に相対変位すると、半径方向外側に移動して、係合ピン11が前記渦巻き溝15の偏曲部15cに位置した状態で最遅角側に制御される。
さらに、前記係合ピン11が前記渦巻き溝15の先端溝部15a域に位置すると、機関の始動に適した僅かに進角側の位置となるように制御されるようになっている。
前記渦ディスク13は、操作力付与機構によってカムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が各渦巻き溝15と各係合ピン11の先端部11aを通してリンク部材8の先端部8bを各径方向窓孔9内で径方向に変位させ、このときリンク部材8の作用でもってタイミングスプロケット2と従動軸部材4に相対的な回動力を伝達する。
前記操作力付与機構は、図1に示すように、渦ディスク13を前記スリーブ6を介してタイミングスプロケット2の回転方向に付勢する付勢手段であるトーションスプリング16と、渦ディスク13をタイミングスプロケット2の回転方向と逆方向に制動付勢する電磁ブレーキであるヒステリシスブレーキ17と、該ヒステリシスブレーキ17の制動力を機関運転状態に応じて制御するコントローラ24とを備え、機関の運転状態に応じてヒステリシスブレーキ17の制動力を適宜制御することにより、渦ディスク13をタイミングスプロケット2に対して相対回動させ、あるいは両者の回動位置を維持するようになっている。
前記トーションスプリング16は、図1に示すように、前記スリーブ6の外周側に配置され、その一端部16aがスリーブ6の先端部に形成された係止孔に径方向から挿通係止されている一方、他端部16bが前記筒状部13aの内部軸方向に形成された係止孔に挿通係止されて、機関停止後に前記渦ディスク13を始動回転位相方向へ回転付勢するようになっている。
一方、前記ヒステリシスブレーキ17は、渦ディスク13の外周側前端部に固定状態に取り付けられたヒステリシスリング18と、該ヒステリシスリング18の前端部に配置された円環状のコイルヨーク19と、該コイルヨーク19の内部に収容配置されて、該コイルヨーク19に磁気を誘導する電磁コイル20とを備え、この電磁コイル20が機関の運転状態に応じて前記コントローラ24によって通電制御されることによって比較的大きな磁束が発生するようになっている。
前記ヒステリシスリング18は、前記外部の磁界の変化に対して位相遅れをもって磁束が変化する特性をもつヒステリシス材(半硬質材)によって形成され、先端部18aの部分がコイルヨーク19の後述する対向する内外周面の各極歯21,22間の隙間内に非接触状態で配置されて、該コイルヨーク19によって制動作用を受けるようになっている。
前記コイルヨーク19は、電磁コイル20を取り囲むように全体がほぼ円筒形状に形成され、内周側でボールベアリング23を介して前記筒状部13aに回転自在に支持されていると共に、図外のガタ吸収機構を介してエンジンカバーに固定されている。
そして、前記コイルヨーク19は、図2〜図4にも示すように、後面側(渦ディスク13側)の空間部の内周側に環状ヨーク部19aを有し、前記空間部の内周面と該内周面に対向する環状ヨーク部19aの外周面に凸状の極歯21、22がそれぞれ円周方向へ等間隔で複数設けられている。
前記対向する各極歯21,22は、磁界発生部であって、一方の極歯21と他方の極歯22は円周方向に交互に配置され、対向する前記内外周面相互の近接する極歯21,22がすべて円周方向にずれている。したがって、両対向面の近接する極歯21,22間には、電磁コイル20の励磁によって円周方向に傾きをもった向きの磁界が発生する。そして、極歯21,22間の隙間には前記ヒステリシスリング18の先端部18aが非接触状態で介装されており、該先端部18aの内外周面と前記極歯21、22との間のエアギャップは、大きな磁力を確保するために微小隙間に設定されている。
このヒステリシスブレーキ17は、ヒステリシスリング18が対向面21,22間の磁界内を変位するときに、ヒステリシスリング18の内部の磁束の向きと磁界の向きのずれによって制動力を発生するものであるが、その制動力は、ヒステリシスリング18の回転速度(前記対向内外周面とヒステリシスリング18の相対速度)に関係なく、磁界の強さ、すなわち、電磁コイル20の励磁電流の大きさに略比例した一定の値となる。
前記コントローラ24は、機関の回転数を検出するクランク角センサや機関の吸入空気量から負荷を検出エアーフローメーター、スロットルバルブ開度及び機関水温センサなどの各種のセンサ類からの検出信号に基づいて現在の機関運転状態を検出して、機関運転状態に応じて電磁コイル20に制御電流を出力している。
前記位相変更機構3は、前記タイミングスプロケット2の径方向窓孔9、リンク部材8、係合ピン11、レバー突起、渦ディスク13、渦巻き溝15及び以下の操作力付与機構等によって構成されている。
また、前記位相変換機構3の内部には、機関の動弁系に潤滑油を供給する図外のメインオイルギャラリーからカムシャフト1の内部などに形成されたオイル供給回路を介して潤滑油(オイル)が循環供給されるようになっている。これによって、ヒステリシスブレーキ17の作動によって高熱となった前記電磁コイル20が冷却されて電気抵抗の低下が防止されると共に、渦巻き溝15と係合ピン11などの摺動部の潤滑を図るようになっている。
以下、この実施形態の作用について説明する。まず、機関停止時には、ヒステリシスブレーキ17の電磁コイル20の励磁をオフにしておくことにより、トーションスプリング16のばね力によって渦ディスク13をタイミングスプロケット2に対して機関回転方向へ最大に回転させておく。これにより、係合ピン11は、図5に示すように、球状先端部が渦巻き溝15の先端溝部15aの先端側に位置して、クランクシャフトとカムシャフト1の相対回転位相(機関弁の開閉タイミング)は始動に最適な僅かに進角側寄りの位置に保持されている。
そして、機関始動のためにイグニッションキーを操作して電源をオンにすると、クランキング時には、交番トルクなどの外乱が発生して前記渦ディスク13が不用意に回転してしまうおそれがあるが、前記係合ピン11が渦巻き溝15の先端溝部15aに安定に保持されてクランクシャフトとカムシャフト1はその相対回転位相が始動に最適な位置になっているので、機関の始動性が良好になる。
具体的に説明すれば、この機関始動時には、カムシャフト1には外乱の一つである正負の交番トルクが発生しており、この交番トルクが渦ディスク13に伝達されてヒステリシスリング18がトーションスプリング16のばね力に抗して不用意に回転してしまうおそれがある。
あるいはまた、位相変更機構3内に供給されている前記オイルが前記ヒステリシスリング18と各各極歯21,22との間の微小隙間内に滞留し、このオイルの粘性抵抗などに起因してヒステリシスリング18にブレーキ力が発生して渦ディスク13を不用意に進角方向に回転させてしまうおそれがある。したがって、かかる機関の最適な始動を確保するための回転位相が不安定になるおそれがある
しかしながら、この実施形態では、前述のように、渦巻き溝15の先端溝部15aの領域が内方に屈曲されて、減速比が6以上に大きく設定されていることから、係合ピン11の先端溝部15a内での作動抵抗が大きくなって渦ディスク13を保持することが可能になり、前記交番トルクなどによる不用意な回転を確実に規制することができる。
したがって、機関始動時の回転位相が安定に保持され、この結果、良好な始動性を確保することができる。
その後、機関がアイドル運転などの低回転域に移行すると、前記コントローラ24から電磁コイル20に発された制御電流によって、ヒステリシスブレーキ17に磁力が発生して、トーションスプリング16の力に抗する制動力が渦ディスク13に付与される。このとき、前記電磁コイル20には、通常よりも比較的大きな電流が供給されるようになっており、これによって、前記係合ピン11が渦巻き溝15の先端溝部15aから速やかに脱出して偏曲部15c側に速やかに移動できるようになっている。
これにより、渦ディスク13が、タイミングスプロケット2の回転方向に対して僅かに逆方向に回転し、それによってリンク部材8の先端の係合ピン11が各渦巻き溝15に誘導されてリンク部材8の先端部8bが径方向窓孔9に沿って外側に揺動し、図6に示すように、リンク部材8の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材4の回転位相角が最遅角側に変更される。
この結果、クランクシャフトとカムシャフト1の相対回転位相が低回転に適した最遅角側に変更される。これによって、アイドル運転時の機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
そして、この状態から機関の運転が通常運転に移行して、例えば高回転時になると、前記回転位相を最進角側に変更すべき指令が前記コントローラ24から発され、電磁コイル20にさらに大きな電流が供給されて、トーションスプリング16の力に抗する制動力が渦ディスク13に付与される。
これにより、渦ディスク13がタイミングスプロケット2に対してさらに逆方向に回転し、それによってリンク部材8の先端の係合ピン11が各渦巻き溝15に誘導されてリンク部材8の先端部8bが径方向窓孔9に沿ってさらに内側に揺動し、図7に示すように、リンク部材8の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材4の相対回転角が最進角側に変更される。
この結果、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相が最進角側に変更され、それによって機関の高出力化が図られることとなる。
そして、前述した機関始動時から高回転までのクランクシャフトとカムシャフト1との相対回転位相角(変換角θ1)と渦ディスク13の回転角(θ)との関係、つまり、前記渦巻き溝15の先端溝部15aから屈曲部15dと偏曲部15cを経て一般部位15bまでの制御マージンは、図8に示すような特性になる。
すなわち、機関始動時初期の僅かな進角領域a−b(先端溝部15aの先端から前記屈曲部15dまでの領域A)ではほぼ一定になるが、この屈曲部15dから偏曲部15cまで、つまりアイドル運転時の最遅角cまでの領域Bは比較的急激な立ち下がり特性になるが、この最遅角cからさらに通常運転時から機関高回転時における最進角dまでの領域Cはなだらかな連続的な立ち上がり特性となる。
したがって、この実施形態によれば、渦巻き溝15の先端溝部15aの特異な形状、つまり回転位相の変化率を小さくする(減速比大)ことによって機関が容易に始動できる進角領域a−cが広くなったことから、この領域における係合ピン11との作動抵抗が大きくなる。すなわち、交番トルクが渦ディスク13に作用して偏曲部15c側へ回転させようとすると、係合ピン11が先端溝部15a内において径方向の外側直角方向(図5中矢印方向)へ移動しようとして、該先端溝部15aの外周縁に突き当たって移動が確実に規制される。このため、前記交番トルクなどの相対回転方向に前記各種の外乱が発生しても渦ディスク13が不用意に相対回転変更することがなくなる。つまり、渦ディスク13に対する始動回転位相位置での保持力が向上することから、機関の常時安定かつ良好な始動性が得られる。
特に、前記渦巻き溝15の先端溝部15aをそのほぼ屈曲部15dを僅かに屈曲形成して機関始動初期の進角aからbまでの変換角特性(領域A)がほぼ一定となるように設定した(図8参照)ことから、前記交番トルクなどの外乱による渦ディスク13の不用意な回転を確実に規制することが可能になる。
しかも、機関始動後には、電磁コイル20への通電量を大きくしてブレーキ力を高め、渦ディスク13を速やかに回転させるため、バルブタイミングの最遅角側への制御、さらに最進角側への制御応答性の低下を防止できる。
また、本実施形態では、位相変更機構3としてヒステリシスブレーキ17を用いていることから、電磁コイル20への通電量によって渦ディスク13に対して非常に高いブレーキ力を得ることができる。このため、前述のように、機関始動後から通常制御を開始する際に通電量を多くすることにより、始動後から通常制御開始時の位相変更の応答性の悪化を簡単かつ効果的に防止することができる。
さらに、前記渦巻き溝13の変化率が小さくなっている先端溝部15a以外は、所望の形状によって形成することができるため、機関始動後の制御に影響が与えられることがなく、所望の制御を確保できる。
また、前記各径方向窓孔7、7や各リンク部材8、8が径方向位置に2つ設けられていることから、該各リンク部材8に掛かる荷重をそれぞれに分散することができるので、各渦巻き溝15,15との間に作用する面圧を低減することが可能になる。
さらに、前記従動軸部材4に発生した交番トルクによって係合ピン11が渦巻き溝15の径方向に交番荷重を与えるが、前記リンク部材8は周方向に対向しているので、振動方向が対向してバランスする。このため、前記交番トルクに起因する振動を効果的に低減させることができる。
前記渦ディスク13は、高密度成形法によって成形したことから高硬度に形成することが可能になり、したがって、複雑な形状の前記各渦巻き溝15を精度良く成形できると共に、長期に亘る使用による周壁のへたりを防止することができ、耐久性の向上が図れる。
また、前記渦巻き溝15の先端溝部15aは、そのほぼ屈曲部15dの屈曲角度を適宜変更して、変換角θを例えば図9及び図10に示すような特性に設定することも可能である。
すなわち、図9に示すものは、前記先端溝部15aのほぼ屈曲部15dでの屈曲角度α1を先の第1の実施形態の屈曲角度α場合よりも僅かに大きく設定して、減速比を6以下にしたものである。よって、前記偏曲部15cの屈曲角度は、第1の実施形態の場合よりも僅かに大きくなっている。
したがって、先端溝部15aの内方への屈曲形状によって機関始動時の外乱による渦ディスク13の不用意な回転が規制されることは勿論のこと、前記進角領域であるb点の屈曲角度α1が僅かに大きくなることから、最遅角までの渦ディスク13の回転が比較的円滑になり、作動応答性が向上する。
一方、図10に示すものは、前記先端溝部15aのほぼ屈曲部15dでの屈曲角度α2を先の第1の実施形態の場合よりも僅かに小さく設定して、減速比を6以上にしたものである。よって、前記偏曲部15cの屈曲角度は第1の実施形態の場合よりも小さくなっている。
したがって、前記進角領域であるb点の屈曲角度α2が僅かに小さくなることから、機関始動時の外乱による渦ディスク13の不用意な回転をさらに確実に規制することが可能になる。
なお、このバルブタイミング制御装置によるクランクシャフトとカムシャフト1の相対回転位相は、前記最遅角や最進角の位相ばかりでなく、機関運転状態に応じて電磁コイル20への通電量を変化によるヒステリシスブレーキ17の制動力の制御によって任意の回転位相に変更し、例えば、トーションスプリング16のばね力とヒステリシスブレーキ17の制動力とのバランスによってその位相をクランク角約50°のほぼ中間位置に保持することもできる。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、前記駆動回転体に駆動力を伝達するものは、スプロケット以外にゴム製のタイミングベルトによって駆動されるタイミングプーリや、ギアとギアの噛み合いによって駆動されるものなどであってもよい。
また、前記位相変更機構は、渦巻き状ガイドを用いるもの以外に、例えば油圧や電磁力によって軸方向に移動するピストンに突起を設け、この突起がカム溝内を摺動することによって回転位相が変更されるようなものとし、カム溝の形状に応じて回転位相特性を変更することが可能となるものが考えられる。また、カムを用いずに遊星歯車を用いて電気的に減速比を可変させることも可能である。
さらに、位相変更機構を電磁ブレーキに代えてヘリカルギア形式のものなどに適用することも可能である。
また、位相変更機構の渦ディスクを一方向へ回転付勢する付勢手段としては前記トーションスプリングに限らず、カムシャフトからの交番トルクの正負のトルク差を動力源として始動回転位相に戻るように渦巻き溝の収束率を設定してもよい。
前記径方向ガイドは、前記係合部をガイドできればよく、前記径方向ガイド孔の他にガイド溝やガイド突起であってもよい。なお、ガイド突起の場合には、連続している必要もない。また、径方向とは回転中心から外側に延びていればよく、傾斜状に形成されていてもよく、さらに直線的ではなく、曲線的に形成されていてもよい。
渦巻き状ガイドは、有底溝に限らず、中間回転体を貫通する孔状のものや突起状のものであってもよい。
また、前記可動部材の形状はどのような形をしていてもよく、例えばリンク先端部の摺動面にローラやボールを設けたものであってもよい。
なお、前記請求項2に記載した「回転位相がほぼ一定」とは、機関の始動が可能となる回転位相範囲に維持されるということである。
前記実施形態から把握される前記請求項に記載した発明以外の技術的思想について以下に説明する。
請求項(1)前記減速機構の始動回転位相付近での減速比を6以上に設定したことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
減速機構の減速比が6以上であれば、機関の始動性に支障を来すことがなく、常に安定した始動性が確保できる。
請求項(2)前記位相変更機構は、
前記駆動回転体と従動回転体のいずれか一方に設けられた径方向ガイドと、
前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転可能に設けられて、渦巻きガイドが形成された中間回転体と、
前記径方向ガイドと渦巻き状ガイドに係合する可動部材と、
前記中間回転体に回転操作力を付与する操作力付与手段と、
該可動部材の可動を、前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相に変換する運動変換機構と、
によって構成したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(3)前記可動部材は、前記操作力付与手段が前記中間回転体に回転作動力を付与しない状態時において前記渦巻き状ガイドの一端側に移動すると共に、該渦巻き状ガイドの一端側の収束率を小さく形成したことを特徴とする請求項(2)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(4)前記渦巻き状ガイドの一端側の収束率は、外乱により前記中間回転体に作動力が発生した際に、機関の始動回転位相を保持する程度に小さく設定されていることを特徴とする請求項(3)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(5)前記渦巻き状ガイドの一端には、該渦巻き状ガイドの回転中心からほぼ同一半径の軌跡に沿った渦巻き状のガイド部が所定範囲に形成されていることを特徴とする請求項(3)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この発明によれば、渦巻き状ガイドの一端では、前記可動部材が渦巻き状のガイド部に対して相対移動するが、径方向ガイドに対しては相対移動しない。したがって、可動部材が、交番トルクによってばた付いたとしても回転位相が変化せずに機関の良好な始動性を維持することができる。
請求項(6)前記中間回転体を、前記渦巻き状ガイドの一端側に前記可動部材が当接する方向へ回転付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項(3)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
機関停止時には、前記付勢手段によって中間回転体を介して前記渦巻き状ガイドの一端側に可動部材が係合する方向に回転付勢されることから、機関始動時には、かかる係合位置が維持されて、該始動性が良好になる。
請求項(7)前記渦巻き状ガイドは、一端側に拡径側から縮径方向へ偏曲する偏曲点を有し、前記渦巻き状ガイドの前記偏曲点に可動部材が位置した際には、最進角側の回転位相と遅角側の回転位相の間の中間回転位相となることを特徴とする請求項(2)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
駆動回転体と従動回転体が回転作動している間は、両者間のフリクションによって従動回転体が駆動回転体に対して必ず回転遅れ方向に力が作用する。ここで、渦巻き状ガイドは前記偏曲点を有することから、該偏曲点から一端側には前記可動部材を僅かに進角側に作動させなければならないため、前記フリクションが可動部材を渦巻き状ガイドの一端に移動させる反力となって該一端側に戻りにくくなり、可動部材が渦巻き状ガイドとの間でばたつき易くなる。しかし、前記渦巻き状ガイドの一端側が同一半径になっているため、前記ばたつきの発生を十分に抑制することが可能になる。
この結果、可動部材などのばたつきによる異音の発生を防止できる。
請求項(8)内燃機関の始動後は、前記渦巻き状ガイドの偏曲点から他端側の範囲内で前記可動部材が移動可能になるように制御することを特徴とする請求項(7)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この発明によれば、機関始動後において前記可動部材が渦巻き状ガイド内を一方向に移動する際に、進角や遅角側に繰り返し移動することがなく、安定した移動性が得られる。これによって、相対回転位相変更制御の応答性が良好になる。
請求項(9)前記操作力付与手段は、電気的に駆動されることを特徴とする請求項(2)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(10)前記操作力付与手段を、電磁ブレーキによって構成したことを特徴とする請求項(9)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(11)前記運動変換機構は、前記駆動回転体と従動回転体の回転中心から径方向に所定長さ離れた位置に配置されていると共に、前記可動部材とを揺動自在に連結するリンクによって構成されていることを特徴とする請求項(2)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(12)前記渦巻き状ガイドと径方向ガイドは複数設けられていると共に、該それぞれの渦巻き状ガイドと径方向ガイドに対応して前記可動部材も複数設けられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この発明によれば、各可動部材に掛かる荷重をそれぞれに分散することができるので、各渦巻き状ガイドとの間に作用する面圧を低減することが可能になる。
請求項(13)前記径方向ガイドは、周方向で対向した位置に対に設けられていることを特徴とする請求項(12)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
前記従動回転体には、前述したように、バルブスプリングなどに起因する交番トルクが発生するが、この交番トルクによって係合部が渦巻き状ガイドの径方向に交番荷重を与えるが、前記可動部材は周方向に対向しているので、振動方向が対向してバランスする。このため、前記交番トルクに起因する振動を効果的に低減させることができる。
請求項(14)前記渦巻き状ガイドは、渦巻き溝によって構成されていることを特徴とする請求項(2)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(15)前記渦巻き溝が形成された前記中間回転体は、焼結合金によって成形したことを特徴とする請求項(14)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
前記中間回転体を焼結合金によって成形する際に、同時に渦巻き溝を形成するため、かかる複雑な形状の渦巻き溝を精度良く成形することが可能になる。
請求項(16)前記中間回転体を、型成形された粉末金属を仮焼結する仮焼結工程と、その後、仮焼結された中間回転体を高圧によって圧縮する再圧縮行程とからなる高密度焼結法によって成形したことを特徴とする請求項(15)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この高密度成形法によって中間回転体をより高硬度に形成することが可能になる。したがって、長期に亘る使用による渦巻き溝を構成する周壁のへたりを防止することができ、耐久性の向上が図れる。
請求項(17)前記中間回転体の回転中心からほぼ同一半径の軌跡に沿った渦巻き状ガイドが形成される範囲は、機関の始動時であって、前記操作力付与手段が操作力を付与していない状態で前記中間回転体が正逆回転してしまう範囲以上に形成されていることを特徴とする請求項(5)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
機関の始動時は、前述した交番トルクが大きく作用して、中間回転体が正逆方向の回転を繰り返してしまうが、前記中間回転体が正逆回転しても回転中心からほぼ同一半径の軌跡に沿った範囲から外れることがない。したがって、前記回転位相を確実に維持させることができる。
請求項(18)前記中間回転体の回転中心からほぼ同一半径の軌跡の沿った渦巻き状ガイドが形成される範囲は、3〜15°の角度範囲に形成されていることを特徴とする請求項(17)に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(19)前記機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、
作動力によって可動部材が移動して前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更すると共に、前記可動部材の移動に対して回転位相の変更方向が反転する偏曲点を有する位相変更機構と、
を備え、
前記可動部材は、機関の始動可能な始動回転位相付近で作動力に対して移動量が少なくなり、それに伴い、前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相の変化方向が同方向で変化量が小さくなるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
請求項(20)前記機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、
作動力によって可動部材が移動して前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更すると共に、前記可動部材の移動に対して回転位相の変更方向が反転する偏曲点を有する位相変更機構と、
を備え、
前記可動部材は、機関の始動可能な始動位相付近で作動力に対して移動量が少なくなり、それに伴って前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相の変化方向がさらに反転して変化量が小さくなるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この発明によれば、請求項1に記載の発明と同様な作用効果が得られる。
請求項(21)前記機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、
作動力によって可動部材が移動して前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更すると共に、前記可動部材の移動に対して回転位相の変更方向が反転する偏曲点を有する位相変更機構と、
を備え、
前記可動部材は、機関の始動可能な始動位相付近で作動力に対して移動量が少なくなり、それに伴って前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相の変化がほとんど無くなるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
この発明も前記請求項1の発明と同様な作用効果が得られる。
本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を示す縦断面図である。 本実施形態のバルブタイミング制御装置の分解して一方向からみた斜視図である。 本実施形態のバルブタイミング制御装置の分解して他方向からみた斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 本実施形態の始動時における回転位相制御時の作動状態を示す図1のB−B線断面図である。 本実施形態の最遅角位相制御時の作動状態を示す図1のB−B剪断面図である。 本実施形態の最進角位相制御時の作動状態を示す図1のB−B線断面図である。 本実施形態における渦ディスクの回転角と相対回転位相の変換角との関係における制御マージンを示す特性図である。 第2の実施形態における渦ディスクの回転角と相対回転位相の変換角との関係における制御マージンを示す特性図である。 第3の実施形態における渦ディスクの回転角と相対回転位相の変換角との関係における制御マージンを示す特性図である。
符号の説明
1…カムシャフト
2…タイミングスプロケット(駆動回転体)
4…従動軸部材(従動回転体)
7…径方向窓孔(径方向ガイド)
11…係合ピン(係合部)
13…渦ディスク(中間回転体)
15…渦巻き溝(渦巻き状ガイド)
15a…先端溝部
15b…一般部位
15c…偏曲部(偏曲点)
15d…中央部位
16…トーションスプリング(付勢手段)
17…ヒステリシスブレーキ

Claims (4)

  1. 機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
    機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、
    作動力によって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更可能な位相変更機構と、
    を備え、
    前記位相変更機構は、作動力が生じない状態では機関始動可能な始動回転位相に戻るように構成されていると共に、該始動回転位相に戻る際に、前記始動回転位相付近で位相の変化率が小さくなるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
    機関弁を開閉作動させる駆動カムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、
    作動力によって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更可能な位相変更機構と、
    を備え、
    前記位相変更機構は、作動力が生じない状態では機関始動可能な始動回転位相に戻るように構成されていると共に、該始動回転位相付近で作動力が生じても始動回転位相がほぼ一定となるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
    機関弁を開閉作動させる駆動カムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、
    作動力によって前記位相変更機構の中間回転体が前記駆動回転体に対して相対回転を行い、該相対回転を減速機構によって減速して前記従動回転体に伝達することによって前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更する位相変更機構と、
    を備え、
    前記位相変更機構は、作動力が生じない状態では機関始動可能な始動回転位相に戻るように構成されていると共に、前記始動回転位相付近で前記減速機構の減速比が大きくなるように構成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 機関のクランクシャフトによって回転駆動される駆動回転体と、
    機関弁を開閉作動させる駆動カムを有するカムシャフトまたは該カムシャフトに結合された別部材からなる従動回転体と、
    作動力によって可動部材がカムに当接しながら移動して前記駆動回転体と従動回転体の相対回転位相を変更可能な位相変更機構と、
    を備え、
    前記位相変更機構は、作動力が生じない状態では機関始動可能な始動回転位相に戻るように構成されていると共に、該始動回転位相付近で外乱により作動力が作用した際に、前記可動部材が当接しても前記始動回転位相が機関の始動回転位相範囲内となるような前記カム形状に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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