JP2006282561A - アムラの抽出成分を配合したマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 - Google Patents
アムラの抽出成分を配合したマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性に対する阻害効果に優れた新規のMMP阻害剤を提供する。
【解決手段】 アムラ(Emblic officinalis Gaertn.)の果実を溶媒で抽出して得られた分離成分を含むMMP阻害剤、および、当該MMP阻害剤を含む口腔用組成物、食品および化粧品。
【選択図】 なし
【解決手段】 アムラ(Emblic officinalis Gaertn.)の果実を溶媒で抽出して得られた分離成分を含むMMP阻害剤、および、当該MMP阻害剤を含む口腔用組成物、食品および化粧品。
【選択図】 なし
Description
本願発明は、新規なマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤に関する。
細胞外マトリックスは、コラーゲン、プロテオグリカン、エラスチンなどを主要な構成成分とする生体高分子であって、哺乳動物の生体組織を構成する細胞間に存在する間隙を埋める役割を果たしている。 これら細胞外マトリックスに作用してその分解を促す金属酵素群が、一般に、マトリックスメタロプロテアーゼ(以下、単に「MMP」と称する)と呼ばれている。 そして、この細胞外マトリックスの代謝活動は、MMPに特異的な組織由来メタロプロテアーゼインヒビター(以下、単に「TIMP」と称する)とMMPとの相互作用によって司られている。
MMPは、ガン(癌)疾患、潰瘍形成、慢性関節リュウマチ、骨粗鬆症、歯周炎、歯肉炎等の種々の病態での細胞外マトリックスの分解において中心的な役割を果たす物質である(非特許文献1参照)。 また、紫外線などの外部刺激によって活性の亢進したMMPが、皮膚の構造維持に重要な成分を分解してしまうことから、紫外線によって活性化する皮膚の老化促進因子としての側面も併せ持っている。
MMPは、多種多様の細胞によって産生されており、コラゲナーゼ(MMP-1およびMMP-8)、ストロメライシン(MMP-3)、ゼラチナーゼ(MMP-2およびMMP-9)などの、10種類以上の酵素分子種がこれまでに報告されている(非特許文献2参照)。
この内、コラゲナーゼは、通常は、上皮系細胞からは産生されないが、歯周組織の付着上皮および歯周ポケット上皮周辺に発現していることが報告されている(非特許文献3参照)。 また、ゼラチナーゼは、歯周病原因菌由来のリポ多糖などによる刺激に起因して上皮細胞から産生され、かつ基底膜の構成成分であるタイプIVコラーゲンを分解することが報告されている。 つまり、このことは、MMP活性の上昇が、歯周病の病態の進行とも密接に相関していることを示唆しているものと考えられる。
実際のところ、歯周病患者の口腔洗浄液、歯肉溝滲出液および唾液内に含まれるMMP量は、歯周病患者の病態を反映しており、歯周病の治療処置を施すことによって、MMP量が減少したことも報告されている(非特許文献4参照)。 また、歯肉炎患者と健常者が保有しているMMPの量とTIMPの量を測定したところ、歯肉炎患者でのMMP量が非常に多く、しかも、歯周炎患者に至ってはMMP量が著量であったことも報告されている(非特許文献5参照)。 従って、MMPの酵素活性やMMP産生を阻害する物質は、局所的炎症の悪化に伴う歯周疾患の病態進行の抑制を促す上で有用であると考えられる。
MMP阻害剤としては、これまでに、ヒドロキサム酸誘導体(特許文献1〜2参照)やエスクレチン誘導体(特許文献3参照)などの物質が合成されており、また、天然物由来のフラボン類やアントシアニジン類を有効成分とする阻害剤も提案されている(特許文献4参照)。 また、細胞でのMMP産生を阻害する物質として、グルココルチコイド類の1種であるデキサメタゾンが合成されている(非特許文献6参照)。
そして、前出のコラゲナーゼに対する天然物由来の阻害剤/物質として、荊芥エキスまたは薄荷エキスを有効成分とする阻害剤(特許文献5参照)、ノルジヒドログアヤレテックアシッドを有効成分とする阻害剤(特許文献6参照)、ポリポレニックアシッドCを有効成分とする阻害剤(特許文献7参照)、それに、ホウフクロウタケから分離精製された四環式トリテルペンの 20-carboxy-16-hydroxy-21-nor-5 α-7,9(11)-lanostadien-3,24-dione(特許文献8参照)などが、これまでに報告されている。
さらに、MMPの活性のみならず、細胞でのMMPの産生能力に対する阻害剤として、ブドウ種子エキスを有効成分とする阻害剤(特許文献9参照)も報告されている。 また、最近になって、マンネンタケの溶媒抽出物が、癌細胞が産生するMMPに対して阻害活性を示す上に、MMPが関与する癌転移をも抑制することが明らかにされている(特許文献10参照)。
特表平7−505387号公報
特開平8− 81443号公報
特開平8−183785号公報
特開平8−104628号公報
特開平6−183990号公報
特開平4−217626号公報
特開平9− 40552号公報
特開平9−235293号公報
特開2000−191487号公報
特開2003−171307号公報
中田、岡田、「呼吸」、18、4、pp.365-371 (1999)
吉原、新名、「炎症と免疫」、2、pp.177-185 (1994)
M.Kylmaniemi, et al: J.Dent Res., 75, pp.919-926 (1996)
M. Makela, et al: J.Dent Res., 73, pp.1397-1406 (1994)
A.Haerian, et al: J.Clin Periodontol., 22, pp.505-509 (1995)
M.Kylmaniemi: J.Dent.Res., 75, pp.919-926 (1996)
本願発明は、MMP活性に対する阻害効果に優れ、なおかつ歯肉炎や歯周炎などの口腔内疾患の予防効果および治療効果を改善する新規のMMP阻害剤の提供を目的とする。
すなわち、本願発明の要旨とするところは、古来より周知の薬用植物であり、しかもヒトに対する安全性が確認されている、アムラ(ラテン語学名:Emblica officinalis Gaertn.、英語学名:Emblic Myrobalan)を溶媒で抽出して得られた分離成分を含むMMP阻害剤にある。 また、本願発明の他の態様によれば、本願発明のMMP阻害剤を有効成分とする口腔用組成物、食品、化粧品なども提供される。
本願発明者が鋭意研究を行ってきた結果、アムラを溶媒で抽出して得られた分離成分が、MMP阻害作用を奏するとの知見を得るに至り、歯肉炎や歯周炎(歯周病)などの口腔内疾患の予防や治療などの用途への応用性を見出したのである。
本願発明によると、MMP活性に対する阻害効果に優れ、なおかつ歯肉炎や歯周炎などの口腔内疾患の予防および治療などへの利用に好適な新規のMMP阻害剤が実現されるのである。 また、これらMMP阻害剤を有効成分として取り込んだ口腔用組成物、食品、化粧品などを調製し、これを摂食または使用することで、MMP阻害剤の作用を容易かつ持続的に享受することができる。
本願発明のMMP阻害剤の構成を、以下に、詳細に説明する。
本願発明の一態様によれば、アムラを溶媒で抽出して得られた分離成分を含むMMP阻害剤が提供される。 なお、本明細書で使用する「MMP阻害」の表現は、MMPの酵素活性の阻害および/または細胞内でのMMPの産生阻害を指すものである。 すなわち、細胞内でのMMPの産生阻害とは、歯肉炎や歯周炎などの疾病に罹患した哺乳動物の歯周組織を構成する細胞が産生したMMPが、歯周組織間に存在する細胞外マトリックスを分解して、同組織の破壊に至らしめる一連の作用を阻害することである。 また、MMPの産生阻害とは、歯肉炎や歯周炎などの疾病に罹患した哺乳動物の歯周組織を構成する細胞が、MMPの産生を阻害し、かつ同組織内でのMMPの蓄積を抑制することによって、歯周組織の破壊を免れることを意味している。
アムラは、古来よりインドにて主に強壮用剤として利用されている薬用植物である。 その果実には、身体への吸収性が非常に優れた約3,000mgもの熱安定性のビタミンCを含有しており、この含有量は、オレンジ12個に含まれるビタミンCの総量に匹敵する。 そして、アムラの果実が、生体組織の活性化、赤血球数の増大化、口腔内の清浄作用、歯茎出血の止血、視力改善、骨の再生、毛髪および爪の成長促進、白髪形成防止、血糖値調節、胃腸の炎症軽減などに対して作用すると言われている。
まず、アムラの果実を、溶媒を用いた抽出工程に適用する。 抽出工程に適用される果実は、そのままの状態で、または、物理的に破砕してから、あるいは、必要に応じて、乾燥および粉砕して粉体に加工してから抽出工程に適用することもできる。
この抽出工程で利用する溶媒としては、当該技術分野で周知の溶媒が利用可能であり、例えば、低級アルコール、多価アルコール、非極性溶媒、極性溶媒などが使用できる。
低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどの炭素数が1〜4のアルコール;多価アルコールとしては、グリセリン、ポリエチレングリコールなど;非極性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどの飽和炭化水素;極性溶媒としては、水、温水(熱水)、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチルなどがある。 溶媒としては、前記したものの内の単品だけを選択して利用できることは勿論、二種類以上の溶媒を組み合わせて使用することもできる。 例えば、脂肪分の多い原料を用いる場合には、非極性溶媒で脱脂抽出処理した後に、任意の溶媒で抽出処理を行ってもよく、あるいは含水有機溶媒を用いて抽出処理を行うこともできる。
アムラの果実の抽出方法としては、当該技術分野で周知の方法を用いることができる。
例えば、アムラの果実そのもの、もしくはその粗粉砕物または裁断物、あるいはその乾燥破砕物(粉末)を、溶媒に、冷浸、温浸などして浸漬する方法や、加温して攪拌しながら抽出を行って、濾過を経て所望の分離成分を含む抽出物を得る方法、それにパーコレーション法なども利用することができる。
このようにして得られた抽出物を、必要に応じて、濾過または遠心分離によって不要な固形物(固形分)を除去した後に、使用態様に応じて、そのまま用いるか、または溶媒を留去して一部濃縮または乾燥したものを用いることができる。 なお、濃縮または乾燥して得られた分離物を、非溶解性溶媒で洗浄して精製して用いてもよく、あるいは、このものをさらに適当な溶剤に溶解または懸濁して用いることもできる。
別法として、得られた抽出物を、慣用されている精製法、例えば、向流分配法や液体クロマトグラフィーなどを用いて、所望の阻害活性を有する画分を取得および精製して使用することも可能である。
さらに、前述したようにして得られた溶媒抽出物を、減圧乾燥、凍結乾燥などの通常の乾燥手段によって、乾燥濃縮エキスの形態に加工して使用することも可能である。
また、本願発明の好ましい実施態様によれば、本願発明のMMP阻害剤を有効成分とする口腔用組成物も提供される。 本願発明の口腔用組成物でのアムラを溶媒で抽出して得られた分離成分の配合量は、通常は、乾燥重量でとして、約0.0001〜約20重量%、好ましくは、約0.0001〜約10重量%の範囲で調製される。 これはすなわち、分離成分の配合量が、約0.0001重量%に満たないと、相応のMMP阻害効果が発現されず、一方で、約20重量%を超えてしまうと、服用時における口腔用組成物の味が不快なものになってしまう上に、所望の阻害効果を獲得できないことによる。
そして、本願発明のMMP阻害効果に悪影響を及ぼすものでない限りは、口腔用組成物、食品や化粧品に一般的に用いられているその他の成分、例えば、粘着剤、清涼剤、結合剤、甘味料、着香料、崩壊剤、滑沢剤、着色料、徐放調整剤、界面活性剤、溶解剤、湿潤剤、pH調整剤などを任意に加えることもできる。
粘着剤としては、多糖類、セルロース系高分子物質、合成高分子物質、天然系高分子物質、アミノ酸系高分子物質、ゴム系高分子物質などを由来とする水溶性高分子物質が利用できる。 例えば、プルラン、プルラン誘導体およびデンプンなどの多糖類;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩類(カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルセルロースカリウムなど)、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(ポリアクリル酸ナトリウムおよびアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体など)、メタアクリル酸類の共重合体(メタアクリル酸とアクリル酸 n-ブチルの重合体、メタアクリル酸とメタアクリル酸メチルの重合体およびメタアクリル酸とアクリル酸エチルの重合体など)などのセルロース系高分子物質;カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの合成高分子物質;レクチン、アルギン酸、アルギン酸塩(アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸トリエタノールアミン、アルギン酸トリイソプロパノールアミン、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ブチルアミンおよびアルギン酸ジアミルアミンなど)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、寒天、キトサン、カラギーナンなどの天然系高分子物質;コラーゲンおよびゼラチンなどのアミノ酸系高分子物質;および、アラビアガム、カラヤガム、トラガカントガム、キサンタンガム、ローカストビンガム、グアガム、タマリンドガムおよびジェランガムなどのゴム系高分子物質などが、本願発明において好適に利用することができる。
清涼剤としては、l-メントール、dl-メントール、ハッカ油、カンフル、ハッカ水、ボルネオール、ペパーミント精油、スペアミント精油などが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
結合剤としては、糖類(ブドウ糖など)、糖アルコール類(ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトールなど)、ポリビニルピロリドン、デンプン類、マクロゴール、デキストリン、トラガント、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セラック、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
甘味料としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、アスパルテーム、キシリトール、水飴、蜂蜜、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、糖類(乳糖、白糖、果糖、ブドウ糖など)などが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
着香料としては、天然香料(スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウインターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリナガム油、パインニードル油など)、合成香料(カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒドなど)、前掲の天然香料および/または合成香料から任意に選択した香料を混合して得た調合香料などが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
崩壊剤としては、デンプン類、メチルセルロース、結晶セルロース、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)、アルギン酸、アルギン酸塩、炭酸塩、有機酸、ポリビニルピロリドン、架橋ポリビニルピロリドンなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
滑沢剤としては、滑石、金属石鹸、脂肪酸(ステアリン酸など)、ステアリン酸塩(ステアリン酸マグネシウムなど)、タルク、蔗糖脂肪酸エステル、含水ニ酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、マクロゴールなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
着色料としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン、銅クロロフィリンナトリウムなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
防腐剤としては、安息香酸類、サリチル酸類、ソルビン酸類、パラベン類、塩化セチルピリジニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール、フェノールなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
徐放調整剤としては、ポリ酢酸ビニル、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは双方を併用することもできる。
界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル流酸ナトリウム、ラウロマクロゴールなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
溶解剤としては、グリセリン、濃グリセリン、プロピレングリコール、エタノール、流動パラフィン、精製水、マクロゴール、ポリソルベートなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
湿潤剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール液、水、エタノール、希エタノールなどが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
pH調整剤としては、乳酸、パントテン酸、リン酸塩、リンゴ酸、クエン酸などが本願発明において利用可能であるが、これらに限定されるものではなく、これらのいずれか1種類のみを用いることも、あるいは2種類以上を併用することもできる。
本願発明の口腔用組成物の剤型としては、錠剤、丸剤、顆粒剤、液剤、シート剤、ゲル剤、ペースト剤などのいずれでも利用可能である。 とりわけ、本願発明の口腔用組成物を歯科製剤とする場合には、練歯磨、洗口液、口腔用パスタ、トローチなどの形態とすることで、歯周炎、歯肉炎、歯根膜炎、智歯周囲炎、インプラント周囲炎などの歯周組織の破壊に起因する口腔内疾患の予防および治療に有効に対処できる。
以下に、本願発明をその実施例に沿って説明するが、この実施例の開示に基づいて本願発明が限定的に解釈されるべきでないことは勿論である。
A:MMP阻害剤の調製
アムラ(Emblica officinalis Gaertn.)果実の乾燥物100gに、900mlの50%エタノールを加えて、常温で7日間かけて抽出を行った。 その後、抽出液を濾過し、得られた濾液を濃縮乾固して、1.9gのアムラ乾燥エキスを得た。
アムラ(Emblica officinalis Gaertn.)果実の乾燥物100gに、900mlの50%エタノールを加えて、常温で7日間かけて抽出を行った。 その後、抽出液を濾過し、得られた濾液を濃縮乾固して、1.9gのアムラ乾燥エキスを得た。
なお、対照試料として、ウイキョウ(Foeniculum vulgare Mill.)果実の乾燥物20gを選択し、このものに、400mlの精製水を加え、90〜100℃で2時間かけて抽出を行った。 その後、抽出液を濾過し、得られた濾液を濃縮乾固して、1.4gのウイキョウ乾燥エキスを得た。
このようにして得た各乾燥エキスの0.02g/ml(2%W/V)を、抽出工程で用いた溶媒に溶解して調製した溶液を、後続の実施例で用いた。
B:MMP阻害効果の検定
実施例Aで調製したMMP阻害剤に関して、ゼラチナーゼ(MMP-2およびMMP-9)の酵素活性に対する効果を、ゼラチンザイモグラフィーを用いて検定した。
実施例Aで調製したMMP阻害剤に関して、ゼラチナーゼ(MMP-2およびMMP-9)の酵素活性に対する効果を、ゼラチンザイモグラフィーを用いて検定した。
MMP-2試料として、「MMP-2, Active, Human」(5μg、CALBIOCHEM、カタログ#PF023)を、30mM HEPES (pH 7.4) [5mM塩化カルシウム、0.2M塩化ナトリウム、0.02%アジ化ナトリウムを含有]2mlで調整し、−20℃で保管した。
同様に、MMP-9試料として、「MMP-9, Recombinant, Active (67kD)」(5μg、CALBIOCHEM、カタログ#PF140)を、30mM HEPES (pH 7.4) [5mM塩化カルシウム、0.2M塩化ナトリウム、0.02%アジ化ナトリウムを含有]2mlで調整し、−20℃で保管した。
次に、10%SDS-PAGEゲル[1mm厚の分離用ゲル;0.3mg/mlゼラチン、10%のアクリルアミド/0.8%ビスアクリルアミド、0.100%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、0.085%APS(アデニリル硫酸)、0.130%TEMED(N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン)を含有]を準備した。 次いで、250mM Tris-HCl (pH 6.8) [10%SDS、50%グリセロールを含有]でSDS化したMMP-2試料およびMMP-9試料をそれぞれ2.0μl、1.5μlサンプルアプライ用の溝に置き、常法に従って、250V、20mAの電気負荷条件下で、ゼラチンザイモグラフィーを実施した。
SDS-PAGEの泳動相用の緩衝液は、25mM Tris、192mMグリシン、および0.1%SDSを含む緩衝液を用いた。 電気泳動を終えた後、2.5%Triton X-100(SIGMA)の溶液に、分離用ゲルを、室温下で、30分間、2回浸漬して、SDSを除去した。 その後、200mM塩化ナトリウム、5mM塩化カルシウム、0.02%アジ化ナトリウムを含む50mM Tris-HCl (pH 7.4)を、濃縮用ゲル[3%のアクリルアミド/0.8%ビスアクリルアミド、0.125M Tris-HCl (pH 6.8)、0.100%SDS、0.095%APS、0.250%TEMEDを含有]に浸漬し、37℃で、19時間インキュベートした。 この際に、実施例Aで調製した各乾燥エキス(1%および0.1%の濃度)の試料溶液を、Tris-HCl緩衝液に加えた。
反応終了後に、濃縮用ゲルを、0.2% ゲルコード ブルー染色剤(GelCode Blue Stain Reagent)の溶液に浸漬し、1時間、振とうした。 その後、蒸留水で洗浄して脱色を行い、ゼラチナーゼ活性は、青色のゲル上で染色されないバンドとして出現した(図1)。
図1に関して、図1(a)は、アムラ(Emblica officinalis Gaertn.)を溶媒で抽出して得られた分離成分を用いた試験区であり、また、図1(b)は、ウイキョウ(Foeniculum vulgare Mill.)を溶媒で抽出して得られた分離成分を用いた試験区である。 そして、各ゲル上に追記された破線中心線の向かって左側のレーンにはMMP-2試料が、また、右側のレーンにはMMP-9試料が置かれて、泳動に付されている。 また、MMP阻害成分を全く含まないゲルを、ネガティブコントロールとし、そして、o-フェナントロリン(1mM)のゲルを、ポジティブコントロールとした。
ゲル上に現れた非染色バンド(白抜き部分)を目視して、実施例Aで調製したMMP阻害剤のMMP阻害効果を、顕著な阻害効果(+++)、強度の阻害効果(++)、通常の阻害効果(+)および阻害効果無し(-)、との4段階評価に従って等級付けを行った。 その評価結果を、以下の表1にまとめた。
C:口腔用組成物の調製
アムラ抽出物(1.0%)を配合した各種口腔用組成物を調製した。
アムラ抽出物(1.0%)を配合した各種口腔用組成物を調製した。
なお、本実施例での成分配合量の単位は、特に断りのない限り、重量%で表示してある。
1:練歯磨剤
以下の表2に記載の材料を、常温下で、混合および練合して練歯磨剤を調製した。
以下の表2に記載の材料を、常温下で、混合および練合して練歯磨剤を調製した。
以下の表3に記載の材料を、常温下で、混合および練合して練歯磨剤を調製した。
以下の表4に記載の材料を、常温下で、混液して洗口液を調製した。
アムラ抽出物(1.0%)を配合した各種食品を調製した。
なお、本実施例での成分配合量の単位は、特に断りのない限り、重量%で表示してある。
1:チューインガム
以下の表5に記載の材料を、常温下で、混合してチューインガムを調製した。
以下の表5に記載の材料を、常温下で、混合してチューインガムを調製した。
以下の表6に記載の材料を、常温下で、混合、打錠して錠剤を調製した。
以下の表7に記載の材料を、常温下で、混合して飴菓子(キャンディー)を調製した。
アムラ抽出物(1.0%)を配合した各種化粧品を調製した。
なお、本実施例での成分配合量の単位は、特に断りのない限り、重量%で表示してある。
1:化粧水
以下の表8に記載の材料を、常温下で、混合して化粧水を調製した。
以下の表8に記載の材料を、常温下で、混合して化粧水を調製した。
以下の表9に記載の材料を、常温下で、混合して化粧クリームを調製した。
以下の表10に記載の材料を、常温下で、混合して乳液を調製した。
本願発明のMMP阻害剤は、歯肉炎や歯周炎などの口腔内疾患を予防および治療するための手段として有用である。
Claims (4)
- アムラ(Emblica officinalis Gaertn.)を溶媒で抽出して得られた分離成分を含む、ことを特徴とするマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤。
- 請求項1に記載のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤を含む口腔用組成物。
- 請求項1に記載のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤を含む食品。
- 請求項1に記載のマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤を含む化粧品。
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