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JP2006280141A - ハイブリッド車両用モータの定数検出装置およびハイブリッド車両用モータの制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両用モータの定数検出装置およびハイブリッド車両用モータの制御装置 Download PDF

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JP2006280141A JP2005098044A JP2005098044A JP2006280141A JP 2006280141 A JP2006280141 A JP 2006280141A JP 2005098044 A JP2005098044 A JP 2005098044A JP 2005098044 A JP2005098044 A JP 2005098044A JP 2006280141 A JP2006280141 A JP 2006280141A
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Abstract


【課題】 ハイブリッド車両用モータの位置センサレス制御においてロータの磁極位置の検出精度を向上させ、ハイブリッド車両用モータの運転効率を向上させる。
【解決手段】 相短絡判定部29は、モータ12の状態が相短絡動作の実行可能領域つまり検出される回転角速度ωが所定の回転角速度閾値#ω1よりも大きくなり、相短絡動作の実行時に相電流(d軸電流Id及びq軸電流Iq)の変化が所定値未満となる定電流かつ短絡トルクTqsが所定値未満となる低トルクの領域に到達した際に、相短絡動作の実行を指示する。パラメータ演算部30は、相短絡動作の実行時に検知されるd軸電流Idおよびq軸電流Iqに基づき、誘起電圧定数Ke及び相抵抗値R及び磁石温度Tm及び巻線温度Tcを算出し、これらのパラメータを更新する。制御部15はパラメータ演算部30により更新されたパラメータに基づきモータ12の位置センサレス制御を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両用モータの定数検出装置およびハイブリッド車両用モータの制御装置に関する。
従来、例えばブラシレスDCモータのロータの磁極位置を推定して位置センサレス制御を実行する際に、電圧指令値にロータの回転には寄与しない程度の高調波電圧を印加し、この高調波電圧によってブラシレスDCモータの各相に流れる相電流から、ロータの磁極位置を検出する制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えばブラシレスDCモータのロータの磁極位置を、誘起電圧に基づき推定する制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、例えばブラシレスDCモータを駆動するインバータ等の通電切換装置によってステータ巻線への通電を順次転流させる際に発生する相短絡状態での短絡電流に基づきロータの磁極位置を検出する制御装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開2002−320398号公報 特開2000−350489号公報 特開2000−175485号公報
ところで、上記従来技術に係る制御装置において、例えば電圧指令値に高調波電圧を印加する制御装置によれば、高調波電圧に起因する騒音が増大してしまい、例えばブラシレスDCモータを駆動源として搭載する車両においては、車室内における所望の静粛性を確保することができなくなる虞がある。
また、例えば誘起電圧に基づきロータの磁極位置を推定する制御装置によれば、ブラシレスDCモータの状態に係る各種のパラメータとして、相抵抗値やインダクタンス成分値や誘起電圧定数等を精度良く把握する必要が生じる。しかしながら、これらのパラメータはブラシレスDCモータの温度状態や相電流に応じて変動することから、ロータの磁極位置の推定結果に対して所望の精度を確保することが困難となる虞がある。
また、例えばインバータ等の通電切換装置による通電制御時に発生する相短絡状態での短絡電流に基づきロータの磁極位置を検出する制御装置によれば、例えばブラシレスDCモータの運転状態が相対的に大きく変化する際にロータの磁極位置が検出されてしまう場合があり、ロータの磁極位置の推定結果に対して所望の精度を確保することが困難となる虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ハイブリッド車両用モータの位置センサレス制御においてロータの磁極位置の検出精度を向上させ、ハイブリッド車両用モータの運転効率を向上させることが可能なハイブリッド車両用モータの定数検出装置およびハイブリッド車両用モータの制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置(例えば、実施の形態での制御部15)は、内燃機関(例えば、実施の形態での内燃機関11)による車両の走行駆動を補助または車両を走行駆動する3相のハイブリッド車両用モータ(例えば、実施の形態でのブラシレスDCモータ12)を、蓄電器(例えば、実施の形態でのバッテリ14)から電源供給を受けて前記ハイブリッド車両用モータへの通電を順次転流させる複数のスイッチング素子(例えば、実施の形態での各トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2)からなる通電切換手段(例えば、実施の形態でのPWMインバータ13A)により回転駆動させるハイブリッド車両用モータの定数検出装置であって、前記ハイブリッド車両用モータの回転数に係る回転数状態量(例えば、実施の形態での回転角速度ω)に応じて、前記ハイブリッド車両用モータの複数相を短絡する相短絡状態での前記ハイブリッド車両用モータのトルクである短絡トルク(例えば、実施の形態での短絡トルクTqs)を算出する短絡トルク算出手段(例えば、実施の形態での相短絡判定部29)と、前記短絡トルク算出手段により算出された前記短絡トルクと運転状態の前記ハイブリッド車両用モータに対するトルク指令値(例えば、実施の形態でのトルク指令値Tq)とが略同等である場合に、前記通電切換手段の複数のスイッチング素子のうちの所定の複数のスイッチング素子(例えば、実施の形態での各トランジスタTU1,TV1,TW1の少なくとも何れか2つのみ、あるいは、各トランジスタTU2,TV2,TW2の少なくとも何れか2つのみ)をオン状態に設定して、前記ハイブリッド車両用モータを前記相短絡状態に設定する相短絡手段(例えば、実施の形態でのDUTY変換部25)と、前記ハイブリッド車両用モータの3相の相電流の前記相短絡状態での検出値(例えば、実施の形態でのU相電流Iu,V相電流Iv,W相電流Iw)を、界磁方向の界磁軸および該界磁軸に直交するトルク軸からなる回転直交座標系をなすdq座標上での界磁軸電流(例えば、実施の形態でのd軸電流Id)およびトルク軸電流(例えば、実施の形態でのq軸電流Iq)に変換する変換手段(例えば、実施の形態での3相−dq変換部26)と、前記変換手段により算出された前記界磁軸電流と、予め設定された所定の前記相短絡状態での界磁軸インダクタンス(例えば、実施の形態での界磁軸インダクタンスLd)および所定温度(例えば、実施の形態での基準温度T)に応じた所定誘起電圧定数(例えば、実施の形態での誘起電圧定数Ke)とに基づき、前記ハイブリッド車両用モータのロータの温度に係る磁石温度(例えば、実施の形態での磁石温度Tm)を算出する磁石温度算出手段(例えば、実施の形態での温度算出部52)とを備えることを特徴としている。
上記構成のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、相短絡手段は、短絡トルクとトルク指令値とが略同等である場合に、例えばトランジスタのスイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路を具備するインバータからなる通電切換手段において、蓄電器の正極側端子に接続されたスイッチング素子からなるハイサイドアームまたは負極側端子に接続されたスイッチング素子からなるローサイドアームのうちの何れか複数の各アームをオン状態に設定することで、ハイブリッド車両用モータを相短絡状態に設定する。そして、磁石温度算出手段は、相短絡状態で検出された界磁軸電流と、相短絡状態での所定の界磁軸インダクタンスおよび所定誘起電圧定数とに基づき、磁石温度を算出する。
これにより、例えば温度検出用の特別なセンサ等を備える必要無しに、ハイブリッド車両用モータの温度状態に係る磁石温度を精度良く算出することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置(例えば、実施の形態での制御部15)は、前記磁石温度算出手段により算出された前記磁石温度と、予め設定された所定温度(例えば、実施の形態での基準温度T)に応じた所定誘起電圧定数(例えば、実施の形態での誘起電圧定数Ke)とに基づき、誘起電圧定数(例えば、実施の形態での誘起電圧定数Ke)を算出する誘起電圧定数算出手段(例えば、実施の形態での誘起電圧定数算出部53)を備えることを特徴としている。
上記構成のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、磁石温度算出手段により算出された精度の良い磁石温度に基づき、誘起電圧定数を精度良く算出することができる。
さらに、請求項3に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置(例えば、実施の形態での制御部15)は、前記変換手段により算出された前記トルク軸電流と、前記誘起電圧定数算出手段により算出された前記誘起電圧定数と、予め設定された所定の前記相短絡状態での界磁軸インダクタンス(例えば、実施の形態での界磁軸インダクタンスLd)およびトルク軸インダクタンス(例えば、実施の形態でのトルク軸インダクタンスLq)と、予め設定された所定温度(例えば、実施の形態での基準温度T)に応じた所定相抵抗値(例えば、実施の形態での相抵抗値R)とに基づき、前記ハイブリッド車両用モータのステータ巻線の温度に係る巻線温度(例えば、実施の形態での巻線温度Tc)を算出する巻線温度算出手段(例えば、実施の形態での温度算出部52)を備えることを特徴としている。
上記構成のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、例えば温度検出用の特別なセンサ等を備える必要無しに、誘起電圧定数算出手段により算出された精度の良い誘起電圧定数に基づき、ハイブリッド車両用モータの温度状態に係る巻線温度を精度良く算出することができる。
さらに、請求項4に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置(例えば、実施の形態での制御部15)は、前記巻線温度算出手段により算出された前記巻線温度と、予め設定された所定温度(例えば、実施の形態での基準温度T)に応じた所定相抵抗値(例えば、実施の形態での相抵抗値R)とに基づき、相抵抗値(例えば、実施の形態での相抵抗値R)を算出する相抵抗値算出手段(例えば、実施の形態での相抵抗値算出部54)を備えることを特徴としている。
上記構成のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、巻線温度算出手段により算出された精度の良い巻線温度に基づき、相抵抗値を精度良く算出することができる。
また、請求項5に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの制御装置(例えば、実施の形態でのブラシレスDCモータの制御装置10)は、請求項4に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置を備え、トルク指令値(例えば、実施の形態でのトルク指令値Tq)に応じた界磁軸インダクタンス(例えば、実施の形態でのd軸インダクタンスLd)およびトルク軸インダクタンス(例えば、実施の形態でのq軸インダクタンスLq)を取得するインダクタンス取得手段(例えば、実施の形態でのインダクタンス取得部51)と、前記誘起電圧定数算出手段により算出された前記誘起電圧定数と、前記相抵抗値算出手段により算出された前記相抵抗値と、前記インダクタンス取得手段により取得された前記界磁軸インダクタンスおよび前記トルク軸インダクタンスと、誘起電圧(例えば、実施の形態での誘起電圧の正弦成分Vsおよび余弦成分Vc)とに基づき、ロータの磁極位置(例えば、実施の形態での推定回転角度θ^)を演算する演算手段(例えば、実施の形態での角度演算部27)と、前記演算手段により算出された前記ロータの磁極位置に基づき、前記ハイブリッド車両用モータを制御する制御手段(例えば、実施の形態でのステップS03)とを備えることを特徴としている。
上記構成のハイブリッド車両用モータの制御装置によれば、演算手段はハイブリッド車両用モータの運転状態での所定の相短絡状態で更新した誘起電圧定数および相抵抗値に基づきロータの磁極位置を演算することから、ハイブリッド車両用モータの状態変化に応じた精度の良い磁極位置を算出することができる。そして、制御手段は精度の良いロータの磁極位置に応じてハイブリッド車両用モータの運転効率を向上させることができる。
請求項1に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、例えば温度検出用の特別なセンサ等を備える必要無しに、ハイブリッド車両用モータの温度状態に係る磁石温度を精度良く算出することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、算出された精度の良い磁石温度に基づき、誘起電圧定数を精度良く算出することができる。
さらに、請求項3に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、例えば温度検出用の特別なセンサ等を備える必要無しに、算出された精度の良い誘起電圧定数に基づき、ハイブリッド車両用モータの温度状態に係る巻線温度を精度良く算出することができる。
さらに、請求項4に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、算出された精度の良い巻線温度に基づき、相抵抗値を精度良く算出することができる。
また、請求項5に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの制御装置によれば、ハイブリッド車両用モータの状態変化に応じた精度の良いロータの磁極位置を算出することができ、この精度の良いロータの磁極位置に応じてハイブリッド車両用モータの運転効率を向上させることができる。
以下、本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置およびハイブリッド車両用モータの制御装置の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
この実施形態によるブラシレスDCモータの制御装置10(以下、単に、モータ制御装置10と呼ぶ)は、例えばハイブリッド車両に内燃機関11と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ12(以下、単に、モータ12と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ12は、内燃機関11と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有するロータ(図示略)と、このロータを回転させる回転磁界を発生するステータ(図示略)とを備えて構成されている。
そして、モータ制御装置10は、例えば図1に示すように、パワードライブユニット(PDU)13と、バッテリ14と、制御部15とを備えて構成されている。
なお、以下の説明では、数式等において文字(例えば、θ)の上にハット記号(^)を付与したものは、文字の右横にハット記号(^)を付与したもの(θ^)と同等である。
このモータ制御装置10において、複数相(例えば、U相、V相、W相の3相)のモータ12の駆動および回生作動は制御部15から出力される制御指令を受けてパワードライブユニット(PDU)13により行われる。
PDU13は、例えば図2に示すように、トランジスタのスイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路13aを具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータ13Aを備え、モータ12と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ14が接続されている。
PDU13に具備されるPWMインバータ13Aは、各相毎に対をなす第1,第2U相トランジスタTU1,TU2および第1,第2V相トランジスタTV1,TV2および第1,第2W相トランジスタTW1,TW2をブリッジ接続してなるブリッジ回路13aと、平滑コンデンサCとを備えて構成され、各トランジスタTU1,TV1,TW1はバッテリ14の正極側端子に接続され、各トランジスタTU2,TV2,TW2はバッテリ14の負極側端子に接続され、各相毎に対をなす各トランジスタTU1,TU2およびTV1,TV2およびTW1,TW2はバッテリ14に対して直列に接続され、各トランジスタTU1,TU2,TV1,TV2,TW1,TW2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタからコレクタに向けて順方向となるようにして、各ダイオードDU1,DU2,DV1,DV2,DW1,DW2が接続されている。
そして、PWMインバータ13Aは、例えばモータ12の駆動時には、制御部15から出力されるスイッチング指令(つまり、パルス幅変調信号)に基づき、各相毎に対をなす各トランジスタTU1,TU2および各トランジスタTV1,TV2および各トランジスタTW1,TW2のオン/オフを切り替えることによって、バッテリ14から供給される直流電力を3相交流電力に変換し、3相のモータ12のステータ巻線への通電を順次転流させることで、各相のステータ巻線に交流のU相電流IuおよびV相電流IvおよびW相電流Iwを通電する。
制御部15は、回転直交座標をなすdq座標上で電流のフィードバック制御を行うものであり、Id指令及びIq指令に基づいて各電圧指令値Vu,Vv,Vwを算出し、PDU13へパルス幅変調信号を入力すると共に、実際にPDU13からモータ12に供給される各相電流Iu,Iv,Iwをdq座標上に変換して得たd軸電流Id及びq軸電流Iqと、Id指令及びIq指令との各偏差がゼロとなるように制御を行う。
この制御部15は、例えば、トルク指令演算部21と、電流指令演算部22と、電流制御部23と、dq−3相変換部24と、DUTY変換部25と、3相−dq変換部26と、角度演算部27と、回転数演算部28と、相短絡判定部29と、パラメータ演算部30と、保護判定部31とを備えて構成されている。そして、この制御部15には、モータ12の各相のステータ巻線に供給される各相電流Iu,Iv,Iwを検出する少なくとも2つの相電流検出器32,32から出力される検出値(例えば、U相電流Iu,W相電流Iw)と、ブレーキスイッチ(ブレーキSW)33から出力されるブレーキのオン/オフ状態に応じた信号と、運転者のアクセル操作に応じたアクセル開度を検出するアクセルセンサ34から出力される検出信号とが入力されている。
トルク指令演算部21は、例えばブレーキスイッチ33およびアクセルセンサ34から出力される各信号に応じて必要とされるトルクをモータ12に発生させるためのトルク指令値Tqを算出する。さらに、トルク指令演算部21は、後述する保護判定部31から出力される保護指令Prに応じてモータ12を保護するためにトルク指令値Tqを規制する。
電流指令演算部22は、モータ12の駆動または回生時においてトルク指令値Tqおよび後述する回転数演算部28から入力されるモータ回転数Nmに基づき、PDU13からモータ12に供給する各相電流Iu,Iv,Iwを指定するための電流指令を演算しており、この電流指令は、回転する直交座標上でのId指令およびIq指令として出力されている。
この回転直交座標をなすdq座標は、例えばロータの永久磁石による界磁極の磁束方向をd軸(界磁軸)とし、このd軸と直交する方向をq軸(トルク軸)としており、モータ12のロータに同期して電気角速度ω(以下、単に、回転角速度ωと呼ぶ)で回転している。これにより、PDU13からモータ12の各相に供給される交流信号に対する電流指令として、直流的な信号であるId指令およびIq指令を与えるようになっている。
電流制御部23は、Id指令とd軸電流Idとの偏差ΔId、および、Iq指令とq軸電流Iqとの偏差ΔIqを算出し、例えば、後述する回転数演算部28から入力されるモータ回転数Nmに応じたPI(比例積分)動作により、偏差ΔIdを制御増幅してd軸電圧指令値Vdを算出し、偏差ΔIqを制御増幅してq軸電圧指令値Vqを算出する。
dq−3相変換部24は、後述する角度演算部27から入力されるロータの回転角度に対する推定回転角度θ^を用いて、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを、静止座標である3相交流座標上でのU相交流電圧指令値VuおよびV相交流電圧指令値VvおよびW相交流電圧指令値Vwに変換する。
DUTY変換部25は、各電圧指令値Vu,Vv,Vwを、PDU13の各スイッチング素子をパルス幅変調(PWM)によりオン/オフ駆動させる各パルスからなるスイッチング指令(つまり、パルス幅変調信号)へと変換する。なお、各パルスのデューティは予めDUTY変換部25に記憶されている。
また、DUTY変換部25は、後述する相短絡判定部29から出力される相短絡指令Psに応じて、モータ12の状態に係る各種のパラメータ、例えば誘起電圧定数Ke、相抵抗値R、磁石温度Tm、巻線温度Tc等を新たに算出して更新する3相短絡処理が実行される際に、PDU13に具備されるPWMインバータ13Aの各トランジスタTU1〜TW2のうち、バッテリ14の正極側端子に接続された各トランジスタTU1,TV1,TW1の少なくとも何れか2つ(好ましくは3つ)のみ、あるいは、バッテリ14の負極側端子に接続された各トランジスタTU2,TV2,TW2の少なくとも何れか2つ(好ましくは3つ)のみをオン状態に設定して、モータ12のステータ巻線に短絡電流を通流させる相短絡動作の実行を指示するスイッチング指令を出力する。
3相−dq変換部26は、後述する角度演算部27から入力される推定回転角度θ^を用いて、静止座標上における電流である各相電流Iu,Iv,Iwを、モータ12の回転位相による回転座標すなわちdq座標上でのd軸電流Idおよびq軸電流Iqに変換する。このため、3相−dq変換部26には、モータ12の各相のステータ巻線に供給される各相電流Iu,Iv,Iwを検出する少なくとも2つの相電流検出器32,32から出力される検出値(例えば、U相電流Iu,V相電流Iv)が入力されている。なお、ステータは3相であるため、任意の1相を流れる電流は他の2相を流れる電流によって一義的に決まり、例えばV相電流Iv={−(U相電流Iu+W相電流Iw)}となる。
角度演算部27は、例えば図3に示すように、モータ回転数Nmが相対的に低い状態でロータの回転に伴うインダクタンス変動に基づきロータの回転角度(つまり所定の基準回転位置からのロータの磁極の回転角度)を検出する低回転時角度演算部41と、モータ回転数Nmが相対的に高い状態で誘起電圧に基づきロータの回転角度を検出する高回転時角度演算部42と、モータ回転数Nmに応じて低回転時角度演算部41または高回転時角度演算部42を選択して作動させる角度検出切替部43とを備えて構成されている。
例えば、高回転時角度演算部42は、モデル演算部44と、角速度状態量算出部45と、正規化部46と、収束演算部47とを備えて構成されている。
モデル演算部44は、d軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqと、d軸電流Idおよびq軸電流Iqとに基づき、例えば下記数式(1)に示すように記述されるdq座標上での回路方程式により、ロータの回転角度に対する推定回転角度θ^と実回転角度θとの角度差θe(=θ−θ^)の正弦値sinθeおよび余弦値cosθeに比例した値として誘起電圧の正弦成分Vsおよび余弦成分Vcを算出する。なお、下記数式(1)の回路方程式は、ロータの回転角速度ωと、誘起電圧定数Keと、相抵抗値Rと、後述する界磁軸インダクタンスLdおよびトルク軸インダクタンスLqに応じたインダクタンス成分値Lとに基づき記述されている。
Figure 2006280141
角速度状態量算出部45は、下記数式(2)に示すように、回転角速度ωに比例する状態量として、回転角速度ωと誘起電圧定数Keとを乗算して得た値(ωKe)を、モデル演算部44にて算出される誘起電圧の正弦成分Vsおよび余弦成分Vcに基づき算出し、正規化部46へ出力する。
Figure 2006280141
正規化部46は、下記数式(3)に示すように、モデル演算部44にて算出される誘起電圧の正弦成分Vsを、角速度状態量算出部45にて算出される回転角速度ωに比例する状態量(例えば、ωKe)によって除算することで角度差θeに近似される角度差近似値を算出し、収束演算部47へ入力する。
Figure 2006280141
すなわち、角度差θeに回転角速度ω及び誘起電圧定数Keを乗算して得た値として角度差推定値θesを設定すると、この角度差推定値θesは、上記数式(1)での誘起電圧の正弦成分Vsにおいて、上記数式(3)に示すように、正弦値sinθeを角度差θeで近似し、さらに、相抵抗値Rによる電圧降下を無視して、例えば下記数式(4)に示すように記述される。
Figure 2006280141
ここで、上記数式(4)において、例えばインダクタンス成分値Lに誤差ΔLがあると、角度差推定値θesは、例えば下記数式(5)に示すように記述され、たとえ角度差θeが一定値であっても、回転角速度ωに比例して誤差が増大することになる。
すなわち、下記数式(5)において、誤差ΔLを含む項(ωΔLIq)は、角度差θeがゼロのときの角度差推定値θesの誤差であって、回転角速度ωに比例して増大する。このため、モータ12の相対的に高回転状態おいては、モータ12の相対的に低回転状態に比べて、角度差推定値θesの誤差が増大する。
Figure 2006280141
ここで、上記数式(5)による角度差推定値θesを、回転角速度ωに比例する値ωK(Kは任意の定数)で除算すると、下記数式(6)に示すように、角度差推定値θesの誤差が回転角速度ωに依存しない値となる。
Figure 2006280141
このため、収束演算部47は、上記数式(4)に示すように角度差推定値θesに近似される誘起電圧の正弦成分Vsを、上記数式(3)に示すように角速度状態量算出部45にて算出される回転角速度ωに比例する状態量(例えば、ωKe)によって除算して得た値(Vs/(Vs+Vc1/2)、つまり角度差θeに近似される角度差近似値(−Vs/(Vs+Vc1/2≒θe)を追従演算処理に対する入力値とする。
そして、収束演算部47は、例えば下記数式(7)に示すように、この入力値(つまり角度差θe)をゼロに収束させるようにして追従演算処理を行うことによって、推定回転角度θ^および回転角速度推定値ω^を逐次更新しつつ算出し、推定回転角度θ^および回転角速度推定値ω^の収束値を出力する。
Figure 2006280141
なお、上記数式(7)において、nは所定時間周期Δtにて繰り返し実行される追従演算処理の実行回数を示す任意の自然数であり、K1は推定回転角度θ^に係る制御ゲイン(フィードバックゲイン)であり、K2は回転角速度推定値ω^に係る制御ゲイン(フィードバックゲイン)であり、Kは正負の符号を含む適宜の比例係数である。
また、上記数式(7)において、offsetは、例えばモータ12の相対的に低回転状態、あるいは、例えば実回転角度θを算出する際等において適宜に設定されるロータの回転角度である。
回転数演算部28は、低回転時角度演算部41または高回転時角度演算部42から出力される回転角速度推定値ω^に基づきモータ回転数Nmを演算する。
相短絡判定部29は、例えば回転数演算部28から出力される回転角速度推定値ω^等のように、検出された回転角速度ωが、所定の回転角速度閾値#ω1よりも大きい場合、あるいは、トルク指令値Tqが所定のトルク閾値#Tq1よりも小さい場合に、例えば図4に示すように短絡トルクTqsとモータ回転数Nmとの相関関係を示す所定のテーブルに対するテーブル検索、あるいは、予め記憶している所定の各誘起電圧定数Keおよび相抵抗値Rおよび界磁軸インダクタンスLdおよびトルク軸インダクタンスLqと、検出された回転角速度ωとに基づき、例えば下記数式(8)に示すように記述される短絡トルクTqsの数式から、相短絡動作の実行時にモータ12から発生する短絡トルクTqsを算出する。
Figure 2006280141
この所定の回転角速度閾値#ω1は、例えば図4に示すように、相短絡動作の実行時に相電流(つまりd軸電流Idおよびq軸電流Iq)の変化が所定値未満となる定電流状態かつ短絡トルクTqsが所定値未満となる低トルク状態であるか否かを判定するための閾値である。
そして、相短絡判定部29は、例えば、テーブル検索あるいは上記数式(8)により算出した短絡トルクTqsと、トルク指令演算部21から入力されるトルク指令値Tqとの差分が所定値未満であるか否かを判定することによって、短絡トルクTqsとトルク指令値Tqとが同等であるか否かを判定し、この判定結果が「YES」の場合には、相短絡動作の実行を指示する相短絡指令Psを出力する。
パラメータ演算部30は、例えば図5に示すように、インダクタンス取得部51と、誘起電圧定数算出部52と、相抵抗値算出部53と、温度算出部54とを備えて構成されている。
インダクタンス取得部51は、モータ12の駆動または回生作動時において、例えば図6および図7に示すように、各d軸インダクタンスLdとId指令との相関関係を示す所定のテーブルおよびq軸インダクタンスLqとIq指令との相関関係を示す所定のテーブルに対する各テーブル検索により、電流指令演算部22から出力されるId指令およびIq指令に応じたd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqを算出する。なお、図6および図7において、各d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqは、各Id指令およびIq指令の絶対値が増大することに伴い、減少傾向に変化するように設定されている。
温度算出部52は、相短絡動作の実行時に、3相−dq変換部26から入力されるd軸電流Idと、予め記憶している所定の各誘起電圧定数Keおよび界磁軸インダクタンスLdおよび基準温度Tと、ロータの永久磁石の温度による誘起電圧の変化係数Cm(例えば、Cm=0.0011)とに基づき、例えば下記数式(9)に示すように、ロータの永久磁石の温度である磁石温度Tmを算出する。なお、所定の誘起電圧定数Keは、例えば所定の基準温度Tに応じた値である。
Figure 2006280141
誘起電圧定数算出部53は、相短絡動作の実行時に、温度算出部52により算出された磁石温度Tmと、予め記憶している所定の各誘起電圧定数Keおよび基準温度Tと、ロータの永久磁石の温度による誘起電圧の変化係数Cm(例えば、Cm=0.0011)とに基づき、例えば下記数式(10)に示すように、誘起電圧定数Keを算出する。
Figure 2006280141
さらに、温度算出部52は、相短絡動作の実行時に、誘起電圧定数算出部53により算出された誘起電圧定数Keと、3相−dq変換部26から入力されるq軸電流Iqと、予め記憶している所定の各相抵抗値Rおよび界磁軸インダクタンスLdおよびトルク軸インダクタンスLqおよび基準温度Tと、例えば回転数演算部28から出力される回転角速度推定値ω^等のように、検出された回転角速度ωと、ステータ巻線の温度による相抵抗(つまりステータ巻線の抵抗)の変化係数Cr(例えば、Cr=0.00393)とに基づき、例えば下記数式(11)に示すように、ステータのステータ巻線の温度である巻線温度Tcを算出する。なお、所定の相抵抗値Rは、例えば所定の基準温度Tに応じた値である。
Figure 2006280141
相抵抗値算出部54は、相短絡動作の実行時に、温度算出部52により算出された巻線温度Tcと、予め記憶している所定の各相抵抗値Rおよび基準温度Tと、ステータ巻線の温度による相抵抗(つまりステータ巻線の抵抗)の変化係数Cr(例えば、Cr=0.00393)とに基づき、例えば下記数式(12)に示すように、相抵抗値Rを算出する。
Figure 2006280141
保護判定部31は、パラメータ演算部30から入力される磁石温度Tmおよび巻線温度Tcに基づき、過剰な温度上昇を抑制してモータ12を保護することを指示する保護指令Prを出力する。
本実施形態によるモータ制御装置10は上記構成を備えており、次に、このモータ制御装置10の動作について添付図面を参照しながら説明する。
先ず、以下に、上記数式(9),(10)の導出方法について説明する。
モータ12の駆動または回生作動時において、d軸電流Idは、d軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqおよび相抵抗Rおよび回転角速度ωおよびd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqおよび誘起電圧定数Keに基づき、例えば下記数式(13)に示すように記述される。
Figure 2006280141
上記数式(13)において、相短絡動作の実行時では、相電圧つまりd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqがゼロとなり、d軸電流Idは、例えば下記数式(14)に示すように記述される。
Figure 2006280141
上記数式(14)において、回転角速度ωが所定の回転角速度閾値#ω1よりも大きくなり、相短絡動作の実行時に相電流(つまりd軸電流Idおよびq軸電流Iq)の変化が所定値未満となる定電流かつ短絡トルクTqsが所定値未満となる低トルクの状態では、所定の各界磁軸インダクタンスLdおよびトルク軸インダクタンスLqに基づき下記数式(15)が成立し、d軸電流Idは、例えば下記数式(16)に示すように記述される。
Figure 2006280141
Figure 2006280141
上記数式(16)において、ロータの永久磁石の現在温度と温度係数とを考慮すると、適宜の磁石温度Tmと、所定の各誘起電圧定数Keおよび基準温度Tと、ロータの永久磁石の温度による誘起電圧の変化係数Cm(例えば、Cm=0.0011)とに基づき、d軸電流Idは、例えば下記数式(17)に示すように記述される。
そして、下記数式(17)から、磁石温度Tmは上記数式(9)に示すように記述され、下記数式(17)および上記数式(16)から、誘起電圧定数Keは上記数式(10)に示すように記述される。
Figure 2006280141
次に、上記数式(11),(12)の導出方法について説明する。
モータ12の駆動または回生作動時において、q軸電流Iqは、d軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqおよび相抵抗Rおよび回転角速度ωおよびd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqおよび誘起電圧定数Keに基づき、例えば下記数式(18)に示すように記述される。
Figure 2006280141
上記数式(18)において、相短絡動作の実行時では、相電圧つまりd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqがゼロとなり、q軸電流Iqは、例えば下記数式(19)に示すように記述される。
Figure 2006280141
上記数式(19)において、回転角速度ωが所定の回転角速度閾値#ω1よりも大きくなり、相短絡動作の実行時に相電流(つまりd軸電流Idおよびq軸電流Iq)の変化が所定値未満となる定電流かつ短絡トルクTqsが所定値未満となる低トルクの状態では、所定の各界磁軸インダクタンスLdおよびトルク軸インダクタンスLqに基づき上記数式(15)が成立し、q軸電流Iqは、例えば下記数式(20)に示すように記述される。
Figure 2006280141
上記数式(20)において、ステータ巻線の現在温度と温度係数とを考慮し、さらに、上記数式(10)と、所定の各相抵抗値Rと、適宜の巻線温度Tcと、ステータ巻線の温度による相抵抗(つまりステータ巻線の抵抗)の変化係数Cr(例えば、Cr=0.00393)とに基づき、q軸電流Iqは、例えば下記数式(21)に示すように記述される。
そして、下記数式(21)から、巻線温度Tcは上記数式(11)に示すように記述され、下記数式(21)および上記数式(19)から、相抵抗値Rは上記数式(12)に示すように記述される。
Figure 2006280141
以下に、モータ制御装置10の相短絡動作について説明する。
先ず、図8に示すステップS01においては、例えば回転数演算部28から出力される回転角速度推定値ω^等のように、検出された回転角速度ωが、所定の回転角速度閾値#ω1よりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS04に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02に進む。
そして、ステップS02においては、トルク指令値Tqが所定のトルク閾値#Tq1よりも小さいか否かを判定する。
ステップS02の判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS04に進む。
一方、ステップS02の判定結果が「NO」の場合には、ステップS03に進む。
そして、ステップS03においては、この時点で設定されているモータ12の状態に係る各種のパラメータ、例えば誘起電圧定数Ke、相抵抗値R、磁石温度Tm、巻線温度Tc等に応じた位置センサレス制御によりモータ12の駆動および回生動作を制御し、一連の処理を終了する。
また、ステップS04においては、例えば図4に示すように短絡トルクTqsとモータ回転数Nmとの相関関係を示す所定のテーブルに対するテーブル検索、あるいは、上記数式(8)に示すように記述される短絡トルクTqsの数式から、相短絡動作の実行時にモータ12から発生する短絡トルクTqsを算出する。
そして、ステップS05においては、算出した短絡トルクTqsとトルク指令値Tqとの差分の絶対値が所定値ΔTq未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS03に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進む。
そして、ステップS06においては、後述する3相短絡処理を実行し、上述したステップS03に進む。
次に、上述したステップS06での3相短絡処理について説明する。
先ず、図9に示すステップS11においては、相短絡動作の実行を指示する相短絡指令Psを出力する。
次に、ステップS12においては、PDU13に具備されるPWMインバータ13Aの各トランジスタTU1〜TW2のうち、バッテリ14の正極側端子に接続された各トランジスタTU1,TV1,TW1の少なくとも何れか2つ(好ましくは3つ)のみ、あるいは、バッテリ14の負極側端子に接続された各トランジスタTU2,TV2,TW2の少なくとも何れか2つ(好ましくは3つ)のみをオン状態に設定して、モータ12のステータ巻線に短絡電流を通流させる。そして、相電流検出器32,32から出力される短絡電流の検出値に基づき、短絡電流に応じたd軸電流Idおよびq軸電流Iqを検知する。
次に、ステップS13においては、上記数式(9)から磁石温度Tmを算出し、この磁石温度Tmに基づき、上記数式(10)から誘起電圧定数Keを算出する。
次に、ステップS14においては、上記数式(11)から巻線温度Tcを算出し、この巻線温度Tcに基づき、上記数式(12)から相抵抗値Rを算出する。
そして、ステップS15においては、相短絡動作の実行を指示する相短絡指令Psの出力を停止する。
そして、ステップS16においては、算出した各パラメータ、つまり誘起電圧定数Keおよび相抵抗値Rおよび磁石温度Tmおよび巻線温度Tcを更新して、一連の処理を終了する。
なお、車両の運転状態に応じて相短絡動作が実行されるタイミングは、例えば図10に示すように、車両の運転状態が、運転者によるアクセル操作がオン状態とされる加速走行状態やクルーズ走行状態からアクセル操作がオフ状態とされる減速走行状態に移行する際に、モータ12の状態が、相短絡動作の実行可能領域、つまり回転角速度ωが所定の回転角速度閾値#ω1よりも大きくなり、相短絡動作の実行時に相電流(つまりd軸電流Idおよびq軸電流Iq)の変化が所定値未満となる定電流かつ短絡トルクTqsが所定値未満となる低トルクの領域に到達するタイミングとなる。
また、車両の減速走行に伴うモータ12の回生作動状態から車両が再加速された際に、モータ12の状態が相短絡動作の実行可能領域に到達した場合にも相短絡動作が実行される。
上述したように、本実施形態によるブラシレスDCモータの制御装置10によれば、車両の運転状態に応じたモータ12の運転状態において、モータ12の状態に係る各種のパラメータとして誘起電圧定数Keおよび相抵抗値Rおよび磁石温度Tmおよび巻線温度Tcを検出し、更新することができることから、これらの更新されたパラメータに応じた位置センサレス制御を実行することで、モータ12の過渡状態での追従性を向上させることができると共に、モータ12の運転効率を向上させることができる。
しかも、各種のパラメータを算出するタイミングを、相短絡動作の実行時において相電流(d軸電流Idおよびq軸電流Iq)の変化が所定値未満となる定電流状態かつ短絡トルクTqsが所定値未満となる低トルク状態に設定することにより、モータ12の運転状態に応じた各パラメータの変動が相対的に小さい状態で各パラメータを精度良く算出することができる。
また、温度検出用の特別なセンサ等を備える必要無しに、モータ12の温度状態に係る磁石温度Tmおよび巻線温度Tcを検出することができ、装置構成に要する費用が増大することを防止しつつ、モータ12の運転可能な出力範囲を適切に設定することができる。
なお、上述した実施の形態においては、テーブル検索あるいは上記数式(8)により短絡トルクTqsを算出する際に、回転数演算部28から出力される回転角速度推定値ω^を用いるとしたが、これに限定されず、例えば内燃機関11の回転数を検出するエンジン回転数センサから出力される内燃機関11のエンジン回転数Neを用いてもよい。
また、上述した実施の形態においては、上記数式(1)に示す回路方程式に基づきモータ12の位置センサレス制御を行うとしたが、これに限定されず、例えば線間電圧モデルでの回路方程式に基づきモータ12の位置センサレス制御を実行してもよい。
本発明の実施形態に係るブラシレスDCモータの制御装置の構成図である。 図1に示すPDUのPWMインバータの構成図である。 図1に示す角度演算部の構成図である。 短絡トルクTqsとモータ回転数Nmとの相関関係の一例を示すグラフ図である。 図1に示すパラメータ演算部の構成図である。 d軸インダクタンスLdとId指令との相関関係の一例を示すグラフ図である。 q軸インダクタンスLqとIq指令との相関関係の一例を示すグラフ図である。 図1に示すブラシレスDCモータの制御装置の動作を示すフローチャートである。 図8に示す3相短絡処理を示すフローチャートである。 車両の運転状態に応じたモータの状態を示すグラフ図である。
符号の説明
10 ブラシレスDCモータの制御装置
11 内燃機関
12 ブラシレスDCモータ(ハイブリッド車両用モータ)
13A PWMインバータ(通電切換手段)
14 バッテリ(蓄電器)
15 制御部(ハイブリッド車両用モータの定数検出装置)
25 DUTY変換部(相短絡手段)
26 3相−dq変換部(変換手段)
27 角度演算部(演算手段)
29 相短絡判定部(短絡トルク算出手段)
51 インダクタンス取得部(インダクタンス取得手段)
52 温度算出部(磁石温度算出手段、巻線温度算出手段)
53 誘起電圧定数算出部(誘起電圧定数算出手段)
54 相抵抗値算出部(相抵抗値算出手段)
ステップS03 制御手段

Claims (5)

  1. 内燃機関による車両の走行駆動を補助または車両を走行駆動する3相のハイブリッド車両用モータを、蓄電器から電源供給を受けて前記ハイブリッド車両用モータへの通電を順次転流させる複数のスイッチング素子からなる通電切換手段により回転駆動させるハイブリッド車両用モータの定数検出装置であって、
    前記ハイブリッド車両用モータの回転数に係る回転数状態量に応じて、前記ハイブリッド車両用モータの複数相を短絡する相短絡状態での前記ハイブリッド車両用モータのトルクである短絡トルクを算出する短絡トルク算出手段と、
    前記短絡トルク算出手段により算出された前記短絡トルクと運転状態の前記ハイブリッド車両用モータに対するトルク指令値とが略同等である場合に、前記通電切換手段の複数のスイッチング素子のうちの所定の複数のスイッチング素子をオン状態に設定して、前記ハイブリッド車両用モータを前記相短絡状態に設定する相短絡手段と、
    前記ハイブリッド車両用モータの3相の相電流の前記相短絡状態での検出値を、界磁方向の界磁軸および該界磁軸に直交するトルク軸からなる回転直交座標系をなすdq座標上での界磁軸電流およびトルク軸電流に変換する変換手段と、
    前記変換手段により算出された前記界磁軸電流と、予め設定された所定の前記相短絡状態での界磁軸インダクタンスおよび所定温度に応じた所定誘起電圧定数とに基づき、前記ハイブリッド車両用モータのロータの温度に係る磁石温度を算出する磁石温度算出手段と
    を備えることを特徴とするハイブリッド車両用モータの定数検出装置。
  2. 前記磁石温度算出手段により算出された前記磁石温度と、予め設定された所定温度に応じた所定誘起電圧定数とに基づき、誘起電圧定数を算出する誘起電圧定数算出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置。
  3. 前記変換手段により算出された前記トルク軸電流と、前記誘起電圧定数算出手段により算出された前記誘起電圧定数と、予め設定された所定の前記相短絡状態での界磁軸インダクタンスおよびトルク軸インダクタンスと、予め設定された所定温度に応じた所定相抵抗値とに基づき、前記ハイブリッド車両用モータのステータ巻線の温度に係る巻線温度を算出する巻線温度算出手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置。
  4. 前記巻線温度算出手段により算出された前記巻線温度と、予め設定された所定温度に応じた所定相抵抗値とに基づき、相抵抗値を算出する相抵抗値算出手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置。
  5. 請求項4に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置を備え、
    トルク指令値に応じた界磁軸インダクタンスおよびトルク軸インダクタンスを取得するインダクタンス取得手段と、
    前記誘起電圧定数算出手段により算出された前記誘起電圧定数と、前記相抵抗値算出手段により算出された前記相抵抗値と、前記インダクタンス取得手段により取得された前記界磁軸インダクタンスおよび前記トルク軸インダクタンスと、誘起電圧とに基づき、ロータの磁極位置を演算する演算手段と、
    前記演算手段により算出された前記ロータの磁極位置に基づき、前記ハイブリッド車両用モータを制御する制御手段と
    を備えることを特徴とするハイブリッド車両用モータの制御装置。

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