JP2006280141A - ハイブリッド車両用モータの定数検出装置およびハイブリッド車両用モータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ハイブリッド車両用モータの位置センサレス制御においてロータの磁極位置の検出精度を向上させ、ハイブリッド車両用モータの運転効率を向上させる。
【解決手段】 相短絡判定部29は、モータ12の状態が相短絡動作の実行可能領域つまり検出される回転角速度ωが所定の回転角速度閾値#ω1よりも大きくなり、相短絡動作の実行時に相電流(d軸電流Id及びq軸電流Iq)の変化が所定値未満となる定電流かつ短絡トルクTqsが所定値未満となる低トルクの領域に到達した際に、相短絡動作の実行を指示する。パラメータ演算部30は、相短絡動作の実行時に検知されるd軸電流Idおよびq軸電流Iqに基づき、誘起電圧定数Ke及び相抵抗値R及び磁石温度Tm及び巻線温度Tcを算出し、これらのパラメータを更新する。制御部15はパラメータ演算部30により更新されたパラメータに基づきモータ12の位置センサレス制御を行う。
【選択図】 図1
Description
また、例えばブラシレスDCモータのロータの磁極位置を、誘起電圧に基づき推定する制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、例えばブラシレスDCモータを駆動するインバータ等の通電切換装置によってステータ巻線への通電を順次転流させる際に発生する相短絡状態での短絡電流に基づきロータの磁極位置を検出する制御装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、例えば誘起電圧に基づきロータの磁極位置を推定する制御装置によれば、ブラシレスDCモータの状態に係る各種のパラメータとして、相抵抗値やインダクタンス成分値や誘起電圧定数等を精度良く把握する必要が生じる。しかしながら、これらのパラメータはブラシレスDCモータの温度状態や相電流に応じて変動することから、ロータの磁極位置の推定結果に対して所望の精度を確保することが困難となる虞がある。
また、例えばインバータ等の通電切換装置による通電制御時に発生する相短絡状態での短絡電流に基づきロータの磁極位置を検出する制御装置によれば、例えばブラシレスDCモータの運転状態が相対的に大きく変化する際にロータの磁極位置が検出されてしまう場合があり、ロータの磁極位置の推定結果に対して所望の精度を確保することが困難となる虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ハイブリッド車両用モータの位置センサレス制御においてロータの磁極位置の検出精度を向上させ、ハイブリッド車両用モータの運転効率を向上させることが可能なハイブリッド車両用モータの定数検出装置およびハイブリッド車両用モータの制御装置を提供することを目的とする。
これにより、例えば温度検出用の特別なセンサ等を備える必要無しに、ハイブリッド車両用モータの温度状態に係る磁石温度を精度良く算出することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、算出された精度の良い磁石温度に基づき、誘起電圧定数を精度良く算出することができる。
さらに、請求項3に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、例えば温度検出用の特別なセンサ等を備える必要無しに、算出された精度の良い誘起電圧定数に基づき、ハイブリッド車両用モータの温度状態に係る巻線温度を精度良く算出することができる。
さらに、請求項4に記載の本発明のハイブリッド車両用モータの定数検出装置によれば、算出された精度の良い巻線温度に基づき、相抵抗値を精度良く算出することができる。
この実施形態によるブラシレスDCモータの制御装置10(以下、単に、モータ制御装置10と呼ぶ)は、例えばハイブリッド車両に内燃機関11と共に駆動源として搭載されるブラシレスDCモータ12(以下、単に、モータ12と呼ぶ)を駆動制御するものであって、このモータ12は、内燃機関11と直列に直結され、界磁に利用する永久磁石を有するロータ(図示略)と、このロータを回転させる回転磁界を発生するステータ(図示略)とを備えて構成されている。
そして、モータ制御装置10は、例えば図1に示すように、パワードライブユニット(PDU)13と、バッテリ14と、制御部15とを備えて構成されている。
なお、以下の説明では、数式等において文字(例えば、θ)の上にハット記号(^)を付与したものは、文字の右横にハット記号(^)を付与したもの(θ^)と同等である。
PDU13は、例えば図2に示すように、トランジスタのスイッチング素子を複数用いてブリッジ接続してなるブリッジ回路13aを具備するパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータ13Aを備え、モータ12と電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ14が接続されている。
この制御部15は、例えば、トルク指令演算部21と、電流指令演算部22と、電流制御部23と、dq−3相変換部24と、DUTY変換部25と、3相−dq変換部26と、角度演算部27と、回転数演算部28と、相短絡判定部29と、パラメータ演算部30と、保護判定部31とを備えて構成されている。そして、この制御部15には、モータ12の各相のステータ巻線に供給される各相電流Iu,Iv,Iwを検出する少なくとも2つの相電流検出器32,32から出力される検出値(例えば、U相電流Iu,W相電流Iw)と、ブレーキスイッチ(ブレーキSW)33から出力されるブレーキのオン/オフ状態に応じた信号と、運転者のアクセル操作に応じたアクセル開度を検出するアクセルセンサ34から出力される検出信号とが入力されている。
電流指令演算部22は、モータ12の駆動または回生時においてトルク指令値Tqおよび後述する回転数演算部28から入力されるモータ回転数Nmに基づき、PDU13からモータ12に供給する各相電流Iu,Iv,Iwを指定するための電流指令を演算しており、この電流指令は、回転する直交座標上でのId指令およびIq指令として出力されている。
dq−3相変換部24は、後述する角度演算部27から入力されるロータの回転角度に対する推定回転角度θ^を用いて、dq座標上でのd軸電圧指令値Vdおよびq軸電圧指令値Vqを、静止座標である3相交流座標上でのU相交流電圧指令値VuおよびV相交流電圧指令値VvおよびW相交流電圧指令値Vwに変換する。
また、DUTY変換部25は、後述する相短絡判定部29から出力される相短絡指令Psに応じて、モータ12の状態に係る各種のパラメータ、例えば誘起電圧定数Ke、相抵抗値R、磁石温度Tm、巻線温度Tc等を新たに算出して更新する3相短絡処理が実行される際に、PDU13に具備されるPWMインバータ13Aの各トランジスタTU1〜TW2のうち、バッテリ14の正極側端子に接続された各トランジスタTU1,TV1,TW1の少なくとも何れか2つ(好ましくは3つ)のみ、あるいは、バッテリ14の負極側端子に接続された各トランジスタTU2,TV2,TW2の少なくとも何れか2つ(好ましくは3つ)のみをオン状態に設定して、モータ12のステータ巻線に短絡電流を通流させる相短絡動作の実行を指示するスイッチング指令を出力する。
すなわち、下記数式(5)において、誤差ΔLを含む項(ωΔLIq)は、角度差θeがゼロのときの角度差推定値θesの誤差であって、回転角速度ωに比例して増大する。このため、モータ12の相対的に高回転状態おいては、モータ12の相対的に低回転状態に比べて、角度差推定値θesの誤差が増大する。
そして、収束演算部47は、例えば下記数式(7)に示すように、この入力値(つまり角度差θe)をゼロに収束させるようにして追従演算処理を行うことによって、推定回転角度θ^および回転角速度推定値ω^を逐次更新しつつ算出し、推定回転角度θ^および回転角速度推定値ω^の収束値を出力する。
また、上記数式(7)において、offsetは、例えばモータ12の相対的に低回転状態、あるいは、例えば実回転角度θを算出する際等において適宜に設定されるロータの回転角度である。
そして、相短絡判定部29は、例えば、テーブル検索あるいは上記数式(8)により算出した短絡トルクTqsと、トルク指令演算部21から入力されるトルク指令値Tqとの差分が所定値未満であるか否かを判定することによって、短絡トルクTqsとトルク指令値Tqとが同等であるか否かを判定し、この判定結果が「YES」の場合には、相短絡動作の実行を指示する相短絡指令Psを出力する。
モータ12の駆動または回生作動時において、d軸電流Idは、d軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqおよび相抵抗Rおよび回転角速度ωおよびd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqおよび誘起電圧定数Keに基づき、例えば下記数式(13)に示すように記述される。
そして、下記数式(17)から、磁石温度Tmは上記数式(9)に示すように記述され、下記数式(17)および上記数式(16)から、誘起電圧定数Keは上記数式(10)に示すように記述される。
モータ12の駆動または回生作動時において、q軸電流Iqは、d軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqおよび相抵抗Rおよび回転角速度ωおよびd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqおよび誘起電圧定数Keに基づき、例えば下記数式(18)に示すように記述される。
そして、下記数式(21)から、巻線温度Tcは上記数式(11)に示すように記述され、下記数式(21)および上記数式(19)から、相抵抗値Rは上記数式(12)に示すように記述される。
先ず、図8に示すステップS01においては、例えば回転数演算部28から出力される回転角速度推定値ω^等のように、検出された回転角速度ωが、所定の回転角速度閾値#ω1よりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS04に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02に進む。
そして、ステップS02においては、トルク指令値Tqが所定のトルク閾値#Tq1よりも小さいか否かを判定する。
ステップS02の判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS04に進む。
一方、ステップS02の判定結果が「NO」の場合には、ステップS03に進む。
そして、ステップS03においては、この時点で設定されているモータ12の状態に係る各種のパラメータ、例えば誘起電圧定数Ke、相抵抗値R、磁石温度Tm、巻線温度Tc等に応じた位置センサレス制御によりモータ12の駆動および回生動作を制御し、一連の処理を終了する。
そして、ステップS05においては、算出した短絡トルクTqsとトルク指令値Tqとの差分の絶対値が所定値ΔTq未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS03に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進む。
そして、ステップS06においては、後述する3相短絡処理を実行し、上述したステップS03に進む。
先ず、図9に示すステップS11においては、相短絡動作の実行を指示する相短絡指令Psを出力する。
次に、ステップS12においては、PDU13に具備されるPWMインバータ13Aの各トランジスタTU1〜TW2のうち、バッテリ14の正極側端子に接続された各トランジスタTU1,TV1,TW1の少なくとも何れか2つ(好ましくは3つ)のみ、あるいは、バッテリ14の負極側端子に接続された各トランジスタTU2,TV2,TW2の少なくとも何れか2つ(好ましくは3つ)のみをオン状態に設定して、モータ12のステータ巻線に短絡電流を通流させる。そして、相電流検出器32,32から出力される短絡電流の検出値に基づき、短絡電流に応じたd軸電流Idおよびq軸電流Iqを検知する。
次に、ステップS14においては、上記数式(11)から巻線温度Tcを算出し、この巻線温度Tcに基づき、上記数式(12)から相抵抗値Rを算出する。
そして、ステップS15においては、相短絡動作の実行を指示する相短絡指令Psの出力を停止する。
そして、ステップS16においては、算出した各パラメータ、つまり誘起電圧定数Keおよび相抵抗値Rおよび磁石温度Tmおよび巻線温度Tcを更新して、一連の処理を終了する。
また、車両の減速走行に伴うモータ12の回生作動状態から車両が再加速された際に、モータ12の状態が相短絡動作の実行可能領域に到達した場合にも相短絡動作が実行される。
しかも、各種のパラメータを算出するタイミングを、相短絡動作の実行時において相電流(d軸電流Idおよびq軸電流Iq)の変化が所定値未満となる定電流状態かつ短絡トルクTqsが所定値未満となる低トルク状態に設定することにより、モータ12の運転状態に応じた各パラメータの変動が相対的に小さい状態で各パラメータを精度良く算出することができる。
また、温度検出用の特別なセンサ等を備える必要無しに、モータ12の温度状態に係る磁石温度Tmおよび巻線温度Tcを検出することができ、装置構成に要する費用が増大することを防止しつつ、モータ12の運転可能な出力範囲を適切に設定することができる。
11 内燃機関
12 ブラシレスDCモータ(ハイブリッド車両用モータ)
13A PWMインバータ(通電切換手段)
14 バッテリ(蓄電器)
15 制御部(ハイブリッド車両用モータの定数検出装置)
25 DUTY変換部(相短絡手段)
26 3相−dq変換部(変換手段)
27 角度演算部(演算手段)
29 相短絡判定部(短絡トルク算出手段)
51 インダクタンス取得部(インダクタンス取得手段)
52 温度算出部(磁石温度算出手段、巻線温度算出手段)
53 誘起電圧定数算出部(誘起電圧定数算出手段)
54 相抵抗値算出部(相抵抗値算出手段)
ステップS03 制御手段
Claims (5)
- 内燃機関による車両の走行駆動を補助または車両を走行駆動する3相のハイブリッド車両用モータを、蓄電器から電源供給を受けて前記ハイブリッド車両用モータへの通電を順次転流させる複数のスイッチング素子からなる通電切換手段により回転駆動させるハイブリッド車両用モータの定数検出装置であって、
前記ハイブリッド車両用モータの回転数に係る回転数状態量に応じて、前記ハイブリッド車両用モータの複数相を短絡する相短絡状態での前記ハイブリッド車両用モータのトルクである短絡トルクを算出する短絡トルク算出手段と、
前記短絡トルク算出手段により算出された前記短絡トルクと運転状態の前記ハイブリッド車両用モータに対するトルク指令値とが略同等である場合に、前記通電切換手段の複数のスイッチング素子のうちの所定の複数のスイッチング素子をオン状態に設定して、前記ハイブリッド車両用モータを前記相短絡状態に設定する相短絡手段と、
前記ハイブリッド車両用モータの3相の相電流の前記相短絡状態での検出値を、界磁方向の界磁軸および該界磁軸に直交するトルク軸からなる回転直交座標系をなすdq座標上での界磁軸電流およびトルク軸電流に変換する変換手段と、
前記変換手段により算出された前記界磁軸電流と、予め設定された所定の前記相短絡状態での界磁軸インダクタンスおよび所定温度に応じた所定誘起電圧定数とに基づき、前記ハイブリッド車両用モータのロータの温度に係る磁石温度を算出する磁石温度算出手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両用モータの定数検出装置。 - 前記磁石温度算出手段により算出された前記磁石温度と、予め設定された所定温度に応じた所定誘起電圧定数とに基づき、誘起電圧定数を算出する誘起電圧定数算出手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置。
- 前記変換手段により算出された前記トルク軸電流と、前記誘起電圧定数算出手段により算出された前記誘起電圧定数と、予め設定された所定の前記相短絡状態での界磁軸インダクタンスおよびトルク軸インダクタンスと、予め設定された所定温度に応じた所定相抵抗値とに基づき、前記ハイブリッド車両用モータのステータ巻線の温度に係る巻線温度を算出する巻線温度算出手段を備えることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置。
- 前記巻線温度算出手段により算出された前記巻線温度と、予め設定された所定温度に応じた所定相抵抗値とに基づき、相抵抗値を算出する相抵抗値算出手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置。
- 請求項4に記載のハイブリッド車両用モータの定数検出装置を備え、
トルク指令値に応じた界磁軸インダクタンスおよびトルク軸インダクタンスを取得するインダクタンス取得手段と、
前記誘起電圧定数算出手段により算出された前記誘起電圧定数と、前記相抵抗値算出手段により算出された前記相抵抗値と、前記インダクタンス取得手段により取得された前記界磁軸インダクタンスおよび前記トルク軸インダクタンスと、誘起電圧とに基づき、ロータの磁極位置を演算する演算手段と、
前記演算手段により算出された前記ロータの磁極位置に基づき、前記ハイブリッド車両用モータを制御する制御手段と
を備えることを特徴とするハイブリッド車両用モータの制御装置。
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