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JP2006265111A - エポキシ化合物およびエポキシ樹脂硬化物 - Google Patents

エポキシ化合物およびエポキシ樹脂硬化物 Download PDF

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JP2006265111A
JP2006265111A JP2005081362A JP2005081362A JP2006265111A JP 2006265111 A JP2006265111 A JP 2006265111A JP 2005081362 A JP2005081362 A JP 2005081362A JP 2005081362 A JP2005081362 A JP 2005081362A JP 2006265111 A JP2006265111 A JP 2006265111A
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group
epoxy
compound
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JP2005081362A
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Koji Takeshima
宏治 竹島
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】融点が低く、エポキシ樹脂硬化物の原料となり得る新規なエポキシ化合物を提供すること。
【解決手段】式(1)
Figure 2006265111

(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表わし、XおよびXはそれぞれ同一または相異なって、分岐鎖状の炭素数2〜18のアルキレン基を表わす。ここで、該アルキレン基中の一つもしくは二つ以上の炭素−炭素単結合が酸素原子に置換していてもよい。mは1〜10の整数を表わす。)
で示されるエポキシ化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ化合物およびエポキシ樹脂硬化物に関する。
分子内に、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物を硬化せしめたエポキシ樹脂として、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから誘導されるエポキシ化合物を硬化せしめたエポキシ樹脂硬化物が知られている(例えば特許文献1参照。)。かかるエポキシ樹脂硬化物は耐熱性に優れる等の特性を有しているが、その原料となるエポキシ化合物は、融点が高く、使用しにくいという問題があった(例えば特許文献1参照。)。
特許第2551475号公報
このような状況のもと、本発明者は、融点が低く、エポキシ樹脂硬化物の原料となり得る新規なエポキシ化合物を開発すべく鋭意検討したところ、下記式(1)
Figure 2006265111
(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表わし、XおよびXはそれぞれ同一または相異なって、分枝鎖状の炭素数2〜18のアルキレン基を表わす。ここで、該アルキレン基中の一つもしくは二つ以上の炭素−炭素単結合が酸素原子に置換していてもよい。mは1〜10の整数を表わす。)
で示されるエポキシ化合物が新規な化合物であって、融点が低く、また、硬化剤により硬化せしめることによりエポキシ樹脂硬化物を製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、式(1)
Figure 2006265111
(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表わし、XおよびXはそれぞれ同一または相異なって、分岐鎖状の炭素数2〜18のアルキレン基を表わす。ここで、該アルキレン基中の一つもしくは二つ以上の炭素−炭素単結合が酸素原子に置換していてもよい。mは1〜10の整数を表わす。)
で示されるエポキシ化合物、該エポキシ化合物と硬化剤とを含んでなるエポキシ組成物、該エポキシ組成物を硬化せしめてなるエポキシ樹脂硬化物等を提供するものである。
本発明の新規なエポキシ化合物は、融点が低いため、硬化温度以下で、硬化剤と溶融混合が可能となり、容易に、エポキシ樹脂硬化物を製造することができる。また、本発明のエポキシ樹脂硬化物は、液晶性を示すと共に、比較的良好な熱伝導率を示しており、例えばプリント配線基板等の熱放散性を要求される絶縁材料としても有用である。
まず、本発明の新規な下記式(1)
Figure 2006265111
で示されるエポキシ化合物(以下、エポキシ化合物(1)と略記する。)について説明する。
エポキシ化合物(1)の式中、mは1〜10の整数を表わし、R、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表わす。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基等の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、1,1,3,3−テトラメチルブトキシ基等の直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
また、上記式(1)中、XおよびXはそれぞれ同一または相異なって、分枝鎖状の炭素数2〜18のアルキレン基を表わし、該アルキレン基中の一つもしくは二つ以上の炭素−炭素単結合が酸素原子に置換していてもよい。かかるアルキレン基としては、例えばエタン−1,1−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、4−メチルヘプタン−1,7−ジイル基、2−オキサペンタン−1,4−ジイル基、2,5−ジオキサオクタン−1,7−ジイル基、2−オキサ−3−メチルブタン−1,4−ジイル基、2,5−ジオキサ−3,7−ジメチルヘプタン−1,7−ジイル基等が挙げられる。
かかるエポキシ化合物(1)としては、例えば4,4’−ビス{1−(オキシラニルメトキシ)エチル}ビフェニル、4,4’−ビス{3−(オキシラニルメトキシ)−2−メチルプロピル}ビフェニル、4,4’−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)ペンチル}ビフェニル、4,4’−ビス{7−(オキシラニルメトキシ)−4−メチルヘプチル}ビフェニル、4,4’−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)−2−オキサペンチル}ビフェニル、4,4’−ビス{7−(オキシラニルメトキシ)−2,5−ジオキサオクチル}ビフェニル、4,4’−ビス{4−(オキシラニルメトキシ)−2−オキサ−3−メチルブチル}ビフェニル、4,4’−ビス{7−(オキシラニルメトキシ)−2,5−ジオキサ−3−メチルオクチル}ビフェニル等が挙げられる。
かかるエポキシ化合物(1)は、例えば式(2)
Figure 2006265111
(式中、R、R、R、R、XおよびXは上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアルコール化合物(以下、アルコール化合物(2)と略記する。)と式(3)
Figure 2006265111
(式中、mは上記と同一の意味を表わし、Xはハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(3)と略記する。)とを、塩基の存在下に反応させる方法により製造することができる。
アルコール化合物(2)としては、例えば4,4’−ビス(1−ヒドロキシエチル)ビフェニル、4,4’−ビス(3−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ビフェニル、4,4’−ビス(4−ヒドロキシペンチル)ビフェニル、4,4’−ビス(7−ヒドロキシ−4−メチルヘプチル)ビフェニル、4,4’−ビス(4−ヒドロキシ−2−オキサペンチル)ビフェニル、4,4’−ビス(7−ヒドロキシ−2,5−ジオキサオクチル)ビフェニル、4,4’−ビス(4−ヒドロキシ−2−オキサ−3−メチルブチル)ビフェニル、4,4’−ビス(7−ヒドロキシ−2,5−ジオキサ−3−メチルオクチル)ビフェニル等が挙げられる。
化合物(3)の式中、Xはハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を表わし、ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が、アルキルスルホニルオキシ基としては、例えばメチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基等が、アリールスルホニルオキシ基としては、例えばフェニルスルホニルオキシ基、4−メチルフェニルスルホニルオキシ基等が、それぞれ挙げられる。
かかる化合物(3)としては、例えばエピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メタンスルホン酸グリシジル、ベンゼンスルホン酸グリシジル、p−トルエンスルホン酸グリシジル等が挙げられる。
化合物(3)の使用量は、アルコール化合物(2)に対して、通常2〜100モル倍である。化合物(3)が、反応条件下で液体である場合には、反応溶媒を兼ねて大過剰量用いてもよい。
塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられ、その使用量は、アルコール化合物(2)に対して、通常2〜20モル倍である。
アルコール化合物(2)と化合物(3)との反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の親水性アルコール系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、メトキシメチルエーテル、ジエトキシエタン等の親水性エーテル系溶媒等の単独もしくは混合溶媒が挙げられ、その使用量は、アルコール化合物(2)に対して、通常1〜50重量部である。また、上記したように、化合物(3)が、反応条件下で液体である場合には、化合物(3)を反応溶媒として使用してもよい。
アルコール化合物(2)と化合物(3)との反応は、三級アミンまたは相間移動触媒の共存下におこなってもよい。三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン等が挙げられ、その使用量は、アルコール化合物(2)に対して、通常0.01〜1モル倍である。相間移動触媒としては、例えばテトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム塩等が挙げられ、その使用量は、アルコール化合物(2)に対して、通常0.005〜0.5モル倍である。
アルコール化合物(2)と化合物(3)との反応は、常圧条件下で実施してもよいし、減圧条件下で実施してもよい。反応温度は、通常10〜150℃である。なお、本反応は、用いる塩基の種類によっては、反応の進行に伴い、水が副生するが、その場合には、副生する水を反応系外へ除去しながら反応を実施してもよい。
反応終了後、例えば反応液と水を混合し、そのままもしくは水に不溶の有機溶媒を加え分液処理することにより、エポキシ化合物(1)を取り出すことができる。取り出したエポキシ化合物(1)は、例えば再結晶、カラムクロマトグラフィー等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。水に不溶の有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
また、エポキシ化合物(1)は、上記アルコール化合物(2)と式(4)
Figure 2006265111
(式中、mおよびXは上記と同一の意味を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(4)と略記する。)とを、塩基の存在下に反応させた後、酸化せしめることによっても製造することができる。
化合物(4)としては、例えばアリルクロリド、アリルブロミド、メタンスルホン酸アリル、ベンゼンスルホン酸アリル、p−トルエンスルホン酸アリル等が挙げられる。
化合物(4)の使用量は、アルコール化合物(2)に対して、通常2〜100モル倍である。
塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられ、その使用量は、アルコール化合物(2)に対して、通常2〜20モル倍である。
アルコール化合物(2)と化合物(4)との反応は、無溶媒で行ってもよいし、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の親水性アルコール系溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、メトキシメチルエーテル、ジエトキシエタン等の親水性エーテル系溶媒等の単独もしくは混合溶媒が挙げられ、その使用量は、アルコール化合物(2)に対して、通常1〜50重量部である。
反応温度は、通常10〜150℃である。
反応終了後、例えば反応液に、そのまま酸化剤を作用させてもよいし、例えば反応液と水を混合し、アルコール化合物(2)と化合物(4)との反応生成物を取り出した後、酸化剤を作用させてもよい。酸化剤としては、炭素−炭素二重結合をエポキシ基に酸化可能な酸化剤であればよく、例えばm−クロロ過安息香酸等が挙げられる。酸化剤の使用量は、アルコール化合物(2)と化合物(4)との反応生成物に対して、通常2〜10モル倍である。
酸化剤を作用させた後、例えば、必要に応じて残存する酸化剤を分解処理した後、濃縮処理することにより、エポキシ化合物(1)を取り出すことができる。
なお、アルコール化合物(2)は、例えば対応するケトン体を、例えば水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤と反応させる方法等により製造することができる。
続いて、本発明のエポキシ組成物について説明する。本発明のエポキシ組成物は、エポキシ化合物(1)と硬化剤とを含んでなるエポキシ組成物である。かかるエポキシ組成物は、エポキシ化合物(1)と硬化剤をそのままもしくは溶媒中で混合することにより得られる。エポキシ組成物は、一種のエポキシ化合物(1)と硬化剤を含んでいてもよいし、異なる二種以上のエポキシ化合物(1)と硬化剤を含んでいてもよい。溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、例えばジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、例えば酢酸ブチル等のエステル系溶媒、例えばプロピレングリゴールモノメチルエーテル等のグリコール系溶媒等が挙げられる。
硬化剤としては、エポキシ化合物(1)を硬化せしめるものであればよく、例えばアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、触媒系硬化剤等が挙げられ、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤または触媒系硬化剤が好ましい。
アミン系硬化剤としては、例えばエチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の炭素数2〜20の脂肪族多価アミン、例えばp−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルメタン等の芳香族多価アミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環式多価アミン、例えばジシアンジアミド等が挙げられ、芳香族多価アミンやジシアンジアミドが好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、1,5−ジアミノナフタレン、p−フェニレンジアミン、ジシアンジアミドがより好ましい。
フェノール系硬化剤としては、例えばフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ジフェニレン骨格等を有する)、ナフトールアラルキル樹脂、ポリオキシスチレン樹脂等が挙げられる。フェノール樹脂としては、例えばアニリン変性レゾール樹脂、ジメチルエーテルレゾール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、例えばジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂等の特殊フェノール樹脂等が挙げられ、ポリオキシスチレン樹脂としては、例えばポリ(p−オキシスチレン)等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸等が挙げられる。触媒系硬化剤としては、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンジルジメチルアミン等が挙げられる。
かかる硬化剤の使用量は、用いる硬化剤の種類に応じて適宜選択すればよく、アミン系硬化剤やフェノール系硬化剤であれば、例えば該硬化剤中のエポキシ基と硬化反応し得る官能基の総量が、エポキシ化合物(1)中のエポキシ基の総量に対して、通常0.5〜1.5倍、好ましくは0.9〜1.1倍となる量が用いられる。
本発明のエポキシ組成物は、エポキシ化合物(1)および硬化剤以外に、前記したように前記溶媒を含んでいてもよいし、また、エポキシ組成物を硬化せしめてなるエポキシ樹脂硬化物の所望の性能を妨げない限り、他のエポキシ化合物を含んでいてもよく、また、各種添加剤を含んでいてもよい。他のエポキシ化合物としては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、オルソクレゾール型エポキシ化合物、例えばビフェノールジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(3,4−エポキシブテン−1−イロキシ)フェニルベンゾエート、ナフタレンジグリシジルエーテル、α−メチルスチルベン−4,4’−ジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物等が挙げられる。添加剤としては、例えば溶融破砕シリカ粉末、溶融球状シリカ粉末、結晶シリカ粉末、二次凝集シリカ粉末等のシリカ粉末、例えばアルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレイ、マイカ、ガラス繊維等の充填材、例えばトリフェニルホスフィン、1,8−アザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の硬化促進剤、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、例えばカーボンブラック等の着色剤、例えばシリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、例えば天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸またはその金属塩、パラフィン等の離型剤、酸化防止剤等が挙げられる。かかる他のエポキシ化合物や添加剤の含量は、本発明のエポキシ組成物を硬化せしめてなるエポキシ樹脂硬化物の所望の性能を損なわない量であれば特に問題ない。
続いて本発明のエポキシ樹脂硬化物について説明する。本発明のエポキシ樹脂硬化物は、前記エポキシ化合物(1)と硬化剤を含んでなるエポキシ組成物を硬化せしめることにより製造することができる。
本発明のエポキシ樹脂硬化物は、一種のエポキシ化合物と硬化剤とを硬化せしめたエポキシ樹脂硬化物であってもよいし、異なる二種以上のエポキシ化合物と硬化剤とを硬化せしめたエポキシ樹脂硬化物であってもよい。
エポキシ組成物を硬化せしめる方法としては、例えばエポキシ組成物をそのまま加熱して硬化させる方法、エポキシ組成物を加熱溶融して金型等に注ぎ、該金型をさらに加熱して成形する方法、エポキシ組成物を溶融し、得られる溶融物をトランスファー成形機で予め加熱された金型に注入し硬化する方法、エポキシ組成物をB−ステージと呼ばれる部分硬化し、得られる部分硬化物を粉砕してなる粉末を金型に充填し、該充填物を溶融成形する方法、エポキシ組成物を必要に応じて溶媒に溶解し、攪拌しながらB−ステージ化し、得られた溶液をキャストした後、溶媒を通風乾燥等で乾燥除去し、必要に応じてプレス機等で圧力をかけながら所定時間加熱する方法等が挙げられる。
最後に本発明のエポキシ組成物を基材に含浸もしくは塗布せしめ、半硬化せしめてなるプリプレグについて説明する。本発明のエポキシ組成物を、必要に応じて溶媒で希釈した後、基材に含浸もしくは塗布せしめ、含浸もしくは塗布された基材を加熱し、該基材中のエポキシ化合物を半硬化せしめることにより、プリプレグを製造することができる。基材としては、例えばガラス繊維織布等の無機質繊維の織布もしくは不織布、例えばポリエステル等の有機質繊維の織布もしくは不織布等が挙げられる。かかるプリプレグを用い、通常の方法により、積層板等を容易に製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお、分析には高速液体クロマトグラフィー(LC)法を用いた。
実施例1 <エポキシ化合物の製造例>
温度計、冷却管および攪拌装置を備えた四つ口フラスコに、4,4’−ジアセチルビフェニル25重量部およびエタノール750重量部を仕込み、これに、水素化ホウ素ナトリウム2.5重量部を少しずつ加えた。その後、室温で20時間攪拌、反応させた。反応終了後、反応液を濃縮処理し、得られた濃縮残渣を酢酸エチルに溶解させた。酢酸エチル溶液を水で洗浄処理した後、濃縮処理し、白色粉末状の4,4’−ビス(1−ヒドロキシエチル)ビフェニル22.5重量部を得た。純度:94.5%(LC面積百分率値)。
H−NMR(CDOD,TMS基準,単位:ppm)
δ7.56(4H,d),7.44(4H,d),3.59(2H,q),1.45(6H,d),1.17(2H,d)
温度計、冷却管および攪拌装置を備えた四つ口フラスコに、上記で得た4,4’−ビス(1−ヒドロキシエチル)ビフェニル10重量部、エピクロロヒドリン76.4重量部、ジメチルスルホキシド80重量部、トリエチルアミン2.5重量部および水酸化ナトリウム19.8重量部を仕込み、内温50℃で20時間攪拌、反応させた。反応終了後、反応液を水に注加した。不溶分を濾別した後、得られた濾液を分液処理し、粗4,4’−ビス{1−(オキシラニルメトキシ)エチル}ビフェニルを得た。これをシリカゲルカラム(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製処理し、4,4’−ビス{1−(オキシラニルメトキシ)エチル}ビフェニル6重量部を得た。純度:99%(LC面積百分率値)。得られた4,4’−ビス{1−(オキシラニルメトキシ)エチル}ビフェニルは、室温で液体であった。
H−NMR(CDCl,TMS基準,単位:ppm)
δ7.52(4H,d),7.31(4H,d),4.53(2H,q),3.56〜3.61(2H,m),3.24〜3.42(4H,m),2.75〜2.79(2H,m),2.52〜2.65(2H,m),1.50(6H,d)
実施例2 <エポキシ組成物およびエポキシ樹脂硬化物の製造例 その1>
前記実施例1で得られた4,4’−ビス{1−(オキシラニルメトキシ)エチル}ビフェニル20重量部と、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルメタン5.6重量部とを混合し、エポキシ組成物を得た。120℃程度に加熱したの板状の金型の中空部に、溶融させた該エポキシ組成物を注ぎ込み、さらに160〜180℃程度で約5時間加温し、板状のエポキシ樹脂硬化物を得た。このエポキシ樹脂硬化物から、5mm×10mmの薄板状試料を切り出し、熱伝導率を測定したところ、0.21W/m・Kであった(測定条件は光交流法に準拠し、室温で行った。)。
実施例3 <エポキシ組成物およびエポキシ樹脂硬化物の製造例 その2>
前記実施例1で得られた4,4’−ビス{1−(オキシラニルメトキシ)エチル}ビフェニル20重量部と、硬化剤として4,4’−ジアミノジフェニルメタン5.6重量部とを混合し、エポキシ組成物を得た。かかるエポキシ組成物を、ホットステージ(メトラートレド社製;FP84HTおよびFP90)を用いて、室温から120℃まで昇温させ、エポキシ樹脂硬化物を得た。偏光光学顕微鏡(ニコン社製;E6TP−M61)による観察の結果、液晶組織が認められ、液晶性を有するエポキシ樹脂硬化物であることが分かった。
実施例4 <プリプレグの製造例>
前記実施例1で得られた4,4’−ビス{1−(オキシラニルメトキシ)エチル}ビフェニルと、硬化剤として1,5−ジアミノナフタレンと、溶剤としてメチルエチルケトンとを混合することにより、エポキシ組成物が得られる。該エポキシ組成物をガラス繊維織布に含浸せしめ、加熱し、半硬化させることにより、プリプレグが得られる。

Claims (4)

  1. 式(1)
    Figure 2006265111
    (式中、R、R、RおよびRはそれぞれ同一または相異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表わし、XおよびXはそれぞれ同一または相異なって、分枝鎖状の炭素数2〜18のアルキレン基を表わす。ここで、該アルキレン基中の一つもしくは二つ以上の炭素−炭素単結合が酸素原子に置換していてもよい。mは1〜10の整数を表わす。)
    で示されるエポキシ化合物。
  2. 請求項1に記載のエポキシ化合物と硬化剤とを含んでなるエポキシ組成物。
  3. 請求項2に記載のエポキシ組成物を硬化せしめてなるエポキシ樹脂硬化物。
  4. 請求項2に記載のエポキシ組成物を基材に含浸もしくは塗布せしめ、半硬化せしめてなるプリプレグ。
JP2005081362A 2005-03-22 2005-03-22 エポキシ化合物およびエポキシ樹脂硬化物 Pending JP2006265111A (ja)

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