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JP2006258217A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置 Download PDF

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JP2006258217A
JP2006258217A JP2005077975A JP2005077975A JP2006258217A JP 2006258217 A JP2006258217 A JP 2006258217A JP 2005077975 A JP2005077975 A JP 2005077975A JP 2005077975 A JP2005077975 A JP 2005077975A JP 2006258217 A JP2006258217 A JP 2006258217A
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rubber plate
ridge
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plate
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JP2005077975A
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Atsushi Muramatsu
篤 村松
Hajime Maeno
肇 前野
Mutsumi Muraoka
睦 村岡
Hironori Koyama
裕教 小山
Satoshi Umemura
聡 梅村
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Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16F13/00Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs
    • F16F13/04Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper
    • F16F13/06Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper the damper being a fluid damper, e.g. the plastics spring not forming a part of the wall of the fluid chamber of the damper
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    • F16F13/10Units comprising springs of the non-fluid type as well as vibration-dampers, shock-absorbers, or fluid springs comprising both a plastics spring and a damper, e.g. a friction damper the damper being a fluid damper, e.g. the plastics spring not forming a part of the wall of the fluid chamber of the damper the plastics spring forming at least a part of the wall of the fluid chamber of the damper the wall being at least in part formed by a flexible membrane or the like
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Abstract

【課題】 可動板が収容スペース内壁面に当接せしめられる場合における異音の発生を安定して効果的に低減乃至は回避することが出来る新規な構造の可動板を備えた流体封入式防振装置を提供すること。
【解決手段】 略円板形状のゴム弾性体で形成された可動ゴム板80の両面に、それぞれ周方向に延びる凸条88と凹溝90を互いに隣り合うように形成し、凸条88を突出先端部に向かって次第に狭い幅寸法となる先細断面とすると共に、可動ゴム板80の両面に形成された凸条88と凹溝90を互いに径方向の同じ位置に設けて可動ゴム板80の板厚を径方向で変化せしめた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、特に、液圧吸収機構としての可動板を有する流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体として、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結した防振ゴムが各種分野に広く採用されているが、このような防振ゴムの一種として、より優れた防振効果を得るために、封入した非圧縮性流体の共振作用等の流動作用を利用するようにした流体封入式防振装置が提案されている。かかる防振装置は、一般に、それら防振対象部材と振動部材の各一方に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体によって相互に連結せしめる一方、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、変形容易とされた可撓性膜で壁部の一部が構成されて容積変化が許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、両室を相互に連通させるオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置が知られている。
また、オリフィス通路を通じて流動せしめられる非圧縮性流体の共振作用に基づく防振効果は、予めチューニングされた特定の周波数域でしか有効に発揮され難い。そこで、特にオリフィス通路のチューニング周波数域よりも高周波数域の振動入力時における著しい高動ばね化を回避して防振性能を向上するために、可動板による液圧吸収機構が提案されている。この液圧吸収機構は、一般に、受圧室と平衡室を仕切る仕切部材に収容スペースを形成し、この収容スペースに対して微小変位可能に可動板を収容配置せしめた構造となっている。収容スペースは、受圧室と平衡室にそれぞれ通孔を通じて接続されており、それらの通孔を通じて、可動板の一方の面に受圧室の圧力が及ぼされ且つ他方の面に平衡室の圧力が及ぼされるようになっている。
そして、受圧室と平衡室の圧力差に基づく可動板の変位によって、高周波数域の振動入力時における受圧室の微小圧力変動を平衡室に逃がして吸収するようにされている。一方、オリフィス通路がチューニングされた低周波数数域の振動入力時には、かかる振動の振幅が大きいことから、可動板が収容スペースの内面に当接して重ね合わされた状態となって通孔を実質的に閉塞してしまうこととなる。それ故、液圧吸収機構による受圧室の圧力吸収が回避されて、受圧室と平衡室の相対的な圧力変動が有効に生ぜしめられることとなり、それら両室間でのオリフィス通路を通じての流体流動量が十分に確保されて、オリフィス通路による防振効果が発揮されるようにされる。
ところが、このような液圧吸収機構では、大振幅振動が入力されて受圧室に急激な圧力変動が生ぜしめられた際、可動板が収容スペースの内面に勢い良く打ち当たる。そのために、可動板の収容スペース内面への打ち当たりの衝撃が、音や振動となって発生し易いという問題があった。例えば、自動車用のエンジンマウントとして採用する場合には、エンジンのクランキング時や段差乗り越えの際、運転者に聞こえる程の異音等となって、乗車フィーリングを低下させる原因の一つとなるおそれもあったのである。
なお、このような問題に対処するために、例えば実公平4−33478号公報(特許文献1)には、可動板をゴム弾性板で構成すると共に、その表面にリップ状の小突起を一体形成し、この小突起で打ち当たりの際の衝撃を吸収することも提案されている。しかしながら、このような小突起は、小さなエネルギーでの打ち当たりに対して効果が認められるものの、受圧室の圧力変動が急激で大きい場合には、未だ十分な効果が発揮され難く、更なる対策が切望されていたのである。
実公平4−33478号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、可動板が仕切部材に当接せしめられる場合における異音の発生を安定して効果的に防ぐことができる新規な構造の可動板を備えた流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(本発明の第一の態様)
すなわち、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置の第一の態様は、パワーユニット側部材と車両ボデー側部材の一方に取り付けられる第一の取付部材と他方に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で弾性的に連結せしめ、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室と壁部の一部が可撓性膜によって構成されて容積変化が容易に許容される平衡室を第二の取付部材で支持された仕切部材を挟んだ両側に形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に連通せしめるオリフィス通路を設ける一方、該仕切部材に設けられた収容スペースに可動板を収容配置すると共に、該収容スペースを該受圧室と該平衡室にそれぞれ接続する透孔を形成し、該透孔を通じて該可動板の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされ且つ他方の面に該平衡室の圧力が及ぼされるようにして、振動入力時における該受圧室の微小圧力変動を該可動板を介して該平衡室に逃がして吸収するようにした流体封入式防振装置において、略円板形状のゴム弾性体で形成された可動ゴム板によって前記可動板を構成して、同一中心軸周りでそれぞれ周方向に延びる凹溝と凸条を互いに隣り合うように形成し、該凸条を突出先端部に向かって次第に狭幅となる先細断面とすると共に、該可動ゴム板の両面で該凹溝及び該凸条を互いに径方向の同じ位置に設けて該可動ゴム板の板厚を径方向で変化せしめたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可動ゴム板の両面に形成された凸条が突出先端に向かって次第に幅寸法が狭くなる先細の断面形状とされていることにより、大振幅振動の入力時における可動ゴム板の収容スペース壁面への当接による圧力によって凸条が弾性変形せしめられた場合に、可動ゴム板と収容スペース内壁面との当接面積が徐々に大きくなるようにされている。それ故、振動入力時の可動ゴム板と収容スペース内壁面との当接により生じる圧力が急激に上昇することを防ぐことが出来て、かかる圧力の急激な上昇に起因して生じる当接打音の発生を効果的に防ぐことが出来る。
また、凸条が周方向に延びるように形成されていることにより、可動ゴム板が収容スペース内壁面に対して当接せしめられて凸条が弾性変形せしめられる場合に、凸条が屈曲等の変形を生じることなく安定して圧縮変形せしめられて、衝撃吸収効果を高い信頼性をもって発揮させることが出来る。
また、凸条を構成する傾斜面や湾曲面の傾斜角度や曲率、或いは、突出高さ等を適宜に設定することによって、仕切部材と可動ゴム板の当接時に生じる圧力を容易に調節することが可能であり、可動ゴム板の弾性変形に伴う当接エネルギーの吸収作用を要求されるチューニング精度に応じて設定することが出来る。
さらに、表裏両面において、径方向で同じ位置にそれぞれ凹溝が位置せしめられていると共に、径方向で同じ位置にそれぞれ凸条が形成されている。それ故、収容スペースに対する可動ゴム板の当接時の圧力によって可動ゴム板の凸条が確実に軸方向で圧縮されて弾性変形を生ぜしめられて、当接打音の抑制効果を高い安定性をもって発揮せしめることが出来る。
(本発明の第二の態様)
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式防振装置において、前記凹溝を同心円状に周方向に延びるように複数形成すると共に、少なくとも隣り合う該凹溝の径方向間において周方向に延びるように前記凸条が形成されていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、複数の凹溝を形成すると共に、隣り合う凹溝の径方向間で周方向に延びる凸条を形成することにより、可動ゴム板の径方向で凸条の両側に位置せしめられた凹溝によって凸条が可動ゴム板の径方向における膨出変形が許容されている。それ故、可動ゴム板の径方向における膨出変形を伴う凸条の突出方向での圧縮変形が容易に許容され得て、振動入力時における可動ゴム板の収容スペースに対する当接打音の原因となる圧力変動を有利に吸収することが出来る。
(本発明の第三の態様)
また、本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る流体封入式防振装置において、前記凸条が略三角形の断面形状をもって周方向に延びて形成されていると共に、前記凹溝の側壁を構成する傾斜面の傾斜角度:αが45<α<90度とされていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、凸条の断面形状を略三角形とすることにより、収容スペース内壁面への当接時における異音の原因となる当接圧力を弾性変形により巧く分散させることが出来て、当接打音の発生を防ぐことが出来る。また、可動ゴム板が収容スペースに当接せしめられる当接初期の状態においては、凸条の突出先端が収容スペースに対して線当たりせしめられるため、当接面積を非常に小さくすることが出来て、当接初期における高い衝撃吸収効果を発揮せしめることが出来る。しかも、凹溝の側壁を構成する傾斜面の傾斜角度:αを45度<α<90度とすることにより、凸条の突出先端の角度を十分に確保できるため、当接時の圧力により該突出先端が折れ曲げ状に変形せしめられることを有利に防ぐことが出来て、安定して優れた緩衝効果を得ることが出来る。
(本発明の第四の態様)
また、本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記凸条の突出先端を曲面によって構成したことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、凸条の突出先端を曲面によって構成することにより、可動ゴム板の収容スペース内壁面への当接時において凸条の突出先端部が屈曲変形をせしめられることを一層有利に回避して、安定して異音の発生を防止することが可能となる。更に、可動ゴム板と収容スペースの当接時には、可動ゴム板と収容スペースの接触部位が線形状となり、当接面積が非常に小さくなっている。それ故、当接直後における優れた衝撃緩和性能を実現することが出来る。
(本発明の第五の態様)
また、本発明の第五の態様は、前記第一乃至四の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記凹溝が略V字断面形状で周方向に連続して延びるように形成されていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、凹溝を略V字断面を有して周方向に延びるように形成することにより、凸条の弾性変形を十分に許容しつつ、可動ゴム膜全体の剛性を十分に確保することが出来て、安定した作動を実現することが可能となり得る。
(本発明の第六の態様)
また、本発明の第六の態様は、前記第一乃至第五の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記可動ゴム板を前記仕切部材に対して位置決めして、該可動ゴム板を、前記収容スペース内において、少なくとも前記凹溝上に前記透孔が位置するように配設位置せしめる位置決め手段を設けたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、位置決め手段によって少なくとも凹溝上には透孔が位置するように可動ゴム板が収容スペース内で位置決めされて配設されていることにより、振動入力時における凸条の弾性変形に伴って凹溝の側壁が弾性変形せしめられる場合に、凹溝内に位置せしめられた非圧縮性流体が透孔を通じて受圧室又は平衡室に逃されることとなる。それ故、凸条の突出方向における圧縮変形に伴って生じる可動ゴム板の径方向における凸条の膨出変形が凹溝内における非圧縮性流体の封入によって阻害されることなく実現されて、可動ゴム板が収容スペースに対して当接せしめられる時に生じる衝撃力を凸条の弾性変形により有効に吸収せしめることが出来る。
(本発明の第七の態様)
また、本発明の第七の態様は、前記第六の態様に係る流体封入式防振装置において、前記可動ゴム板の径方向略中央に位置して、該可動ゴム板を前記仕切部材に対して位置決めする凹凸状の係合部を設けて、該係合部によって前記位置決め手段を構成したことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、径方向中央部に設けられた係合部によって位置決め手段を構成することにより、可動ゴム板と収容スペースの径方向間において隙間を有利に確保することが出来て、可動ゴム板の径方向で最も外方に位置せしめられた凸条の弾性変形を十分に許容できるため、凸条の弾性変形による当接打音の抑制効果を有利に発揮せしめることが出来る。しかも、製造時においては、可動ゴム板の外周面と収容スペースの側壁との隙間が十分に確保されることにより、可動ゴム膜の径方向サイズの管理を比較的容易に行うことが出来る。
(本発明の第八の態様)
また、本発明の第八の態様は、前記第一乃至第七の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記可動ゴム板の一方の面と他方の面が互いに同一形状とされていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、仕切部材に対する可動ゴム板の組付け時に可動ゴム板の表裏を区別することなく取り付けることが出来て、組付け作業時の誤組付けを防止できると共に、組付け作業の効率化を図ることが出来る。
(本発明の第九の態様)
また、本発明の第九の態様は、前記第一乃至第八の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記透孔が、前記可動ゴム板において径方向で最も外方に形成される前記凸条の形成位置よりも径方向内周側にのみ形成されていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、低周波大振幅振動の入力時には可動ゴム板の収容スペース内壁面への当接により、全ての透孔が実質的に閉塞せしめられて、収容スペースを通じての受圧室と平衡室の間での流体流動を阻止することが出来る。それ故、オリフィス通路がチューニングされている低周波数域の振動が入力した場合に受圧室と平衡室の相対的な圧力変動を有利に確保して、高い防振性能を得ることが出来る。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置にあっては、可動ゴム板に形成されている凸条の突出先端において仕切部材に当接せしめられる部分の面積が圧力の増大に従って徐々に広くなるようにされているため、当接面積の急激な増加に伴う当接圧力の過激な上昇を防ぐことによる当接打音の抑制乃至は回避が実現できる。
しかも、凸条と隣り合うように凹溝が形成されていることにより、凸条の径方向での膨出変形が許容されており、軸方向における圧縮変形が阻害されないようになっているため、安定して上述の如き効果を得ることが出来る。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で連結された構造とされている。また、エンジンマウント10は、第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14がボデー側に取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して、他の図示しないエンジンマウント等と協働して防振支持せしめるようになっている。かかる装着状態下、エンジンマウント10には、パワーユニットの分担荷重の入力により本体ゴム弾性体16が弾性変形することに伴って、第一の取付金具12と第二の取付金具14が図1中の上下方向に所定量だけ接近して相対変位せしめられると共に、防振すべき主たる振動が、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に対して、図1中の略上下方向に入力されることとなる。なお、本実施形態のエンジンマウント10は、その装着状態下で、図1に示すように、マウント中心軸(第一及び第二の取付金具12,14の中心軸)が略鉛直方向とされることから、以下の説明中において、特に断りのない限り、図1中の上下方向を、上下方向とする。
より詳細には、第一の取付金具12は、略円形のブロック形状を有しており、中心軸上には、上方に向かって延び出す固定ボルト18が形成されている。かかる固定ボルト18が、図示しないパワーユニットにおけるブラケット等の取付部材に形成された図示しないボルト穴に対して螺着されることによって、第一の取付金具12がパワーユニット側に固定されるようになっている。
また、第二の取付金具14は、全体として厚肉の略円環板形状とされており、上取付金具20と下取付金具22を含んで構成されている。上取付金具20は、全体として略円環板形状の金属材によって形成されており、その径方向内周縁部には、軸方向上方に延び出す本体ゴム固着部24が形成されている。かかる本体ゴム固着部24は、略円環形状であって、軸方向上端部分の内周側が上方に向かって次第に拡開する傾斜面とされたテーパ面26とされている。また、径方向内周部分の下面には、周方向に延びる圧入溝28が形成されていると共に、圧入溝28よりも内周側の下面が圧入溝28よりも外周側の下面よりも僅かに軸方向で上方に位置せしめられた固定金具支持部30とされている。更に、上取付金具20の内周縁部には、固定金具支持部30よりも僅かに軸方向上方に位置せしめられた段差状の仕切金具支持部32が形成されている。
一方、下取付金具22は、上取付金具20に比して薄肉とされた略円環板形状の金属材によって形成されており、その内径寸法及び外形寸法がそれぞれ上取付金具20と略同一とされている。そして、上取付金具20と下取付金具22が同一中心軸上で上下に重ね合わせられることにより、全体として厚肉の略円環板形状を有する第二の取付金具14が構成されている。また、第二の取付金具14の径方向中間部には、複数のボルト孔34が周方向で相互に離隔して貫通形成されており、図示しないブラケット金具に第二の取付金具14が圧入されると共に、該ブラケット金具に対してボルト孔34が同じく図示しない取付ボルトによって固定されることにより第二の取付金具14が該ブラケット金具に対して取り付けられるようになっている。
そして、第二の取付金具14は、図示しない筒状のブラケット金具に組み付けられると共に、該ブラケット金具が車両ボデーに取り付けられること等によって、車両ボデー側に固定されるようになっている。また、第二の取付金具14と略同一中心軸上で上方に離隔して、第一の取付金具12が位置せしめられていると共に、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に、本体ゴム弾性体16が配されている。
本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有していると共に、大径側端面に開口する略逆すり鉢形状の大径凹所36を備えている。第一の取付金具12は、本体ゴム弾性体16の小径側端面から軸方向下方に差し込まれた状態で、本体ゴム弾性体16と同一中心軸上に配されて加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部外周面が、第二の取付金具14を構成する上取付金具20に形成されたテーパ面26に加硫接着されている。要するに、本体ゴム弾性体16が、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されている。これにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14が、防振すべき振動の主たる入力方向に延びる略同一の中心軸上に位置するようにして、互いに離隔して配設されており、本体ゴム弾性体16によって弾性的に連結されている。また、第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16に固着されていることにより、第二の取付金具14の一方(図1中、上)の開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。また、上取付金具20の内周面で、テーパ面26の内周側端部よりも下方であって、仕切部材かしめ部よりも上方に位置する部位には、本体ゴム弾性体16と一体形成されたシールゴム層38が略全面に亘って被着されている。
一方、第二の取付金具14の他方(図1中、下)の開口部には、可撓性膜としてのダイヤフラム40が組み付けられている。ダイヤフラム40は、中央部分に十分な弛みをもたせて変形容易とした薄肉の略円板形状のゴム弾性膜によって構成されている。更に、ダイヤフラム40の外周縁部には、大径の略円筒形状とされた固定金具42が加硫接着されている。固定金具42はその上部に段差部44が設けられており、段差部44より上方の部分が大径の圧入部46とされていると共に、段差部44より下方の部分が圧入部46に比して小径であって、内周面に対してダイヤフラム40が被着せしめられる膜固着部48とされている。
そして、固定金具42の圧入部46が上取付金具20の下面に形成された圧入溝28に圧入せしめられる一方、固定金具42の段差部44上面が上取付金具20の下面に形成された固定金具支持部30と重ね合わせられると共に、段差部44の下面が下取付金具22の内周縁部上面と重ね合わせられることにより、相互にボルト固定される上取付金具20と下取付金具22の重ね合わせ面間に挟み込まれる。これにより、固定金具42が第二の取付金具14に対して固定されて、第二の取付金具14の下側の開口がダイヤフラム40によって流体密に覆蓋されている。
これにより、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム40の対向面間の領域が外部空間に対して密閉されており、かかる領域に非圧縮性流体が封入されることによって、流体封入領域が画成されている。なお、該流体封入領域に封入される流体としては、例えば水やアルキレングリコール, ポリアルキレングリコール, シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、非圧縮性流体の封入は、例えば第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対するダイヤフラム40の組み付けを非圧縮性流体中で行うこと等によって実現される。
さらに、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、第二の取付金具14に対して仕切部材としての仕切金具50が組み付けられている。仕切金具50は、上仕切金具52と下仕切金具54を含んで構成されている。
上仕切金具52は、薄肉の略平面視円板形状を呈している。また、上仕切金具52の中央部分には、プレス加工等で上方に向かって略平坦な円形状に突出せしめられた中空の円形凸部56が一体形成されている。この円形凸部56の上底部には、その径方向中央部に係合孔58が貫設されていると共に、その径方向中間部分には複数の円形小孔からなる通孔60が貫設されている。更に、上仕切金具52の外周部分には、下方に向かって開口する溝形断面で周方向に所定の長さで延びる環状凸部62が形成されている。
一方、下仕切金具54は、薄肉の略円板形状であって、上仕切金具52と同様に、その径方向中央部に係合孔64が形成されていると共に、その径方向中間部分には複数の円形小孔からなる通孔66が貫設されている。なお、通孔60と通孔66によって本実施形態における透孔が構成されている。
そして、上仕切金具52と下仕切金具54が同一中心軸上で軸方向に重ね合わせられることにより仕切金具50が構成されている。かかる仕切金具50は、その外周縁部上面が第二の取付金具14を構成する上取付金具20の内周縁部の下面に形成された仕切金具支持部32に重ね合わせられると共に、その外周縁部下面がダイヤフラム40の外周縁部に固着される固定金具42に重ね合わせられることにより、固定金具42を介して上取付金具20と下取付金具22の間に挟み込まれて固定的に支持されている。
これにより、流体封入領域は、その内部に仕切金具50が軸直角方向に拡がるように配設されていることによって上下に二分されている。これに伴い、仕切金具50を挟んだ軸方向一方(図1中、上)の側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って圧力変動が生ぜしめられる受圧室68が形成されている。一方、仕切金具50を挟んだ軸方向他方(図1中、下)の側には、壁部の一部がダイヤフラム40で構成されて、該ダイヤフラム40の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室70が形成されている。
さらに、上仕切金具52の外周部分に形成された環状凸部62の下側の開口が下取付金具22の外周部分によって覆蓋されており、径方向外周部における上仕切金具52と下仕切金具54の対向面間にオリフィス通路72を構成する流体流路が形成されている。
この流体流路は、周方向に所定の長さで延びており、その一方の端部が上取付金具20に貫通形成された受圧室側連通孔74を通じて受圧室68に接続されていると共に、他方の端部が下取付金具22における、環状凸部62の開口を覆蓋する部分に貫通形成された平衡室側連通孔76を通じて平衡室70に接続されている。これにより、該流体流路を含んでなるオリフィス通路72によって受圧室68と平衡室70が相互に連通せしめられており、それら両室68,70間で、オリフィス通路72を通じての流体流動が許容されるようになっている。
特に本実施形態では、オリフィス通路72を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてエンジンシェイク等に相当する10Hz前後の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。なお、オリフィス通路72のチューニングは、例えば、受圧室68や平衡室70の各壁ばね剛性(単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する特性値)等を考慮しつつ、オリフィス通路72の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路72を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、当該オリフィス通路72のチューニング周波数として把握することが出来る。
また、上仕切金具52に形成されている円形凸部56の下側の開口が下仕切金具54の中央部分によって覆蓋されており、径方向中央における上仕切金具52と下仕切金具54の対向面間に収容スペースとしての収容領域78が形成されている。
さらに、収容領域78には、可動ゴム板としての弾性ゴム板80が配設されている。弾性ゴム板80は、全体として略円板形状とされており、その中心軸上には、軸方向上下にそれぞれ突出する係合凸部82が形成されている。係合凸部82は上下の仕切金具52,54の中央部にぞれぞれ形成された係合孔58,64の内径よりも僅かに小さな外径の円形断面を有して軸方向に延びており、係合凸部82が上下の仕切金具52,54にそれぞれ形成された係合孔58,64に対して挿通せしめられることにより、弾性ゴム板80の収容領域78内における軸方向への変位が許容されると共に、弾性ゴム板80の収容領域78内での径方向の変位量が制限されるようになっている。要するに、係合凸部82と係合孔58,64によって本実施形態における係合部が構成されている。また、弾性ゴム板80は収容領域78の径方向寸法よりも小さな径方向寸法で形成されており、弾性ゴム板80の外周面と収容領域78の側壁内面の対向面間には、隙間が設けられて流体流通領域84とされている。
また、弾性ゴム板80の径方向中央部には略円錐形状で軸方向上下にそれぞれ突出するように中央凸部86が形成されていると共に、外周縁部には軸方向上下にそれぞれ突出する略円環形状とされた凸条としての外周凸条88が形成されており、それら中央凸部86と外周凸条88の径方向間を周方向に延びるように凹溝としての中間周溝90が形成されている。そして、中央凸部86によって中央厚肉部92が形成されていると共に、外周凸条88によって外周厚肉部94が形成されている一方、中間周溝90によって中間薄肉部96が形成されており、厚肉とされた部分と薄肉とされた部分が弾性ゴム板80の径方向で交互に位置するように形成されている。
中央凸部86は、突出先端に向かって次第に小径となる略円錐台形状を有して弾性ゴム板80の両面中央にそれぞれ形成されている。また、中央凸部86の突出高さが係合凸部82の突出高さに比して十分に低く設定されており、中央凸部86の径方向中央部分から軸方向上下に向かって係合凸部82が延び出すように形成されている。更に、弾性ゴム板80の上下にそれぞれ形成された中央凸部86,86の各突出先端が同時に収容領域78の内壁面に当接せしめられることがないように中央凸部86の突出高さが設定されている。要するに、弾性ゴム板80の両面にそれぞれ形成された中央凸部86の突出先端間の距離が、収容領域78の軸方向寸法よりも小さくされている。それ故、少なくとも一方の面に形成された中央凸部86が収容領域78の内壁面から離隔して位置せしめられている。
一方、外周凸条88は、弾性ゴム板80の外周縁部に形成されて、略直角三角形断面で周方向に延びる凸条とされている。また、外周凸条88の突出高さは中央凸部86と略同じとされており、弾性ゴム板80が軸方向に変位せしめられた場合に、収容領域78の内壁面に対して中央凸部86と外周凸条88が略同時に当接せしめられるようになっている。
特に本実施形態では、外周凸条88の内周側壁面を構成する傾斜面97の傾斜角度:αが45度<α<90度の範囲で設定されている。なお、傾斜面97の傾斜角度とは、図1に示されているように、任意の半径方向における縦断面で傾斜面97を示す構造線の延長線が弾性ゴム板80の中心軸との間に為す角の角度をいうものとする。また、本実施形態では、かかる傾斜面97を示す構造線の延長線が弾性ゴム板80の中心軸との間に為す角:αは、外周凸条88の突出先端が為す角:βと錯角又は同位角の関係にあり、外周凸条88の突出先端部の角度:βが傾斜面97の傾斜角度:αと等しくなっている。
また一方、中間周溝90は、中央凸部86と外周凸条88の径方向間を周方向に延びる凹溝であって、特に本実施形態においては、中央凸部86の側壁面と外周凸条88の内周側壁面を滑らかに繋ぐ湾曲面によって中間周溝90が構成されている。また、中間周溝90は、中央凸部86と外周凸条88の径方向間に形成されていることからも明らかなように、弾性ゴム板80の上下両面にそれぞれ形成されており、各面に形成された中間周溝90,90が互いに同じ径方向位置に形成されている。また、中間周溝90上に位置するように、上仕切金具52と下仕切金具54にそれぞれ形成された通孔60,66が位置合せされて貫設されている。
上述の如き構造とされた自動車用エンジンマウント10において、シェイク等の低周波数大振幅振動が入力された場合には、予めシェイク等の低周波数域の振動にチューニングされたオリフィス通路72を通じて受圧室68と平衡室70の間で積極的な流体流動が生ぜしめられる。また、低周波大振幅振動の入力時には、弾性ゴム板80の変位が追従しきれず、弾性ゴム板80が収容領域78の内壁面に対して押し付けられて、弾性ゴム板80の変位による液圧の吸収が阻止されると共に、上仕切金具52及び下仕切金具54にそれぞれ形成された通孔60,66の少なくとも一方が弾性ゴム板80によって閉塞せしめられることにより、通孔60,66及び収容領域78を通じての両室68,70間での流体の流動が防がれることとなる。これにより、受圧室68内に生じた圧力変動を有利に確保することが出来て、オリフィス通路72を通じて両室68,70間を流動せしめられる流動流体量を有利に得ることが出来て、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果を有効に発揮せしめることが出来る。
ここにおいて、低周波大振幅振動の入力時における弾性ゴム板80の収容領域78内壁面に対する当接時の衝撃力に起因する当接打音が問題となり易いが、本実施形態に従う構造とされたエンジンマウント10においては、かかる当接時の衝撃力を効果的に低減することが出来て、当接時の衝撃力に基づく異音の発生を低減乃至は回避することが可能となる。
すなわち、弾性ゴム板80が軸方向で変位せしめられて、収容領域78の壁面に当接する場合には、本実施形態に係るエンジンマウント10における弾性ゴム板80では、先ず、中央凸部86と外周凸条88が収容領域78の壁面を構成する仕切金具50に当接せしめられる。特に本実施形態では、それら中央凸部86と外周凸条88が略同一の突出高さで形成されており、略同時に仕切金具50に対して当接せしめられるようになっている一方、中央凸部86が円錐形状とされていると共に、外周凸条88が突出先端に向かって次第に狭幅となる略三角形断面で形成されていることにより、当接直後には弾性ゴム板80と仕切金具50が線当たりせしめられることとなって、当接初期の衝撃力が有効に分散,緩和される。
また、受圧室68と平衡室70の相対的な圧力差により弾性ゴム板80が更に仕切金具50に対して押圧されると、中央凸部86と外周凸条88の先端部が軸方向で圧縮されて潰れるように弾性変形せしめられる。ここで、軸方向で圧縮変形せしめられた中央凸部86と外周凸条88は、径方向で膨出変形せしめられることとなるが、中央凸部86と外周凸条88の径方向間に中間周溝90が形成されていることにより、かかる膨出変形が許容されて、中央凸部86と外周凸条88の軸方向での圧縮変形が有利に実現される。それにより、弾性ゴム板80に圧力が作用せしめられて、仕切金具50に対してより大きな力で押圧されるに従って、中央凸部86と外周凸条88が徐々に弾性変形せしめられるため、当接圧力が急激に増大することを防ぐことができて、当接時の急激な圧力変動に基づく当接打音の発生を低減乃至は回避することが出来る。なお、中央凸部86と外周凸条88が軸方向で圧縮変形せしめられることにより中間周溝90の断面積が小さくなるが、通孔60,66が中間周溝90の形成位置上に開口形成されていることにより、中間周溝90内の非圧縮性流体が弾性ゴム板80の弾性変形に伴って受圧室68又は平衡室70へ逃されるため、中間周溝90内への非圧縮性流体の封入によって弾性ゴム板80の弾性変形が妨害されることを効果的に回避することが出来る。
さらに、中央凸部86が突出先端に向かって次第に小径とされていると共に、外周凸条88が突出先端に向かって次第に幅寸法が小さくなるようにされており、当接によって弾性ゴム板80に作用せしめられる圧力の増大に伴って徐々に弾性変形せしめられると、それに伴って弾性ゴム板80と仕切金具50との当接面積が徐々に大きくなる。それ故、当接面積が急激に大きくなることによる当接圧力の急激な増大に基づく異音の発生を効果的に防ぐことが出来るのである。
なお、中間周溝90の最深位置を通り、弾性ゴム板80の軸直角方向に広がる平面を基準面とした外周凸条88の断面積が、外周凸条88の突出先端位置を通り、弾性ゴム板80の軸直角方向に広がる平面を基準面とした中間周溝90の断面積に対して30%以上且つ70%以下となるように設定されている。好適には、外周凸条88の断面積は中間周溝90の断面積に対して40%以上且つ60%以下に設定されていることが望ましく、より好適には、外周凸条88の断面積は中間周溝90の断面積に対して50%に設定されていることが望ましい。
すなわち、外周凸条88の断面積が中間周溝90の断面積に対して小さ過ぎると、当接初期の衝撃力は吸収できるものの、当接圧力の増大によって圧縮変形せしめられると、比較的短時間で外周凸条88が潰れてしまい、弾性変形後の緩衝性能を十分に得ることが出来ない。一方、外周凸条88の断面積が中間周溝90の断面積に対して大き過ぎると、中間周溝90の幅が不十分となり易く、外周凸条88の軸方向での圧縮変形に伴う径方向での膨出変形が十分に許容され得ず、結果的に圧縮変形が容易に許容されないこととなって、軸方向での弾性変形による衝撃吸収効果を初期のとおり発揮できないおそれがある。
そして、このような観点から、当接直後の緩衝性能と外周凸条88が弾性変形せしめられた後の緩衝性能の維持を何れも有利に実現するためには、外周凸条88の断面積が中間周溝90の断面積に対して上述の如き範囲に設定されることが有効であることが明らかとなったのであり、これによって異音の発生を一層効果的に低減乃至は回避することが可能となり得るのである。
次に、自動車用エンジンマウント10に対して、走行こもり音等の高周波数小振幅振動が入力された場合には、入力振動よりも低い周波数域の振動にチューニングされたオリフィス通路72は、反共振的な作用によって流体の流通抵抗が著しく大きくなって、実質的に閉塞状態とされる。
一方、高周波小振幅振動の入力によって受圧室68に惹起される小さな振幅の圧力変動により、弾性ゴム板80が収容領域78内で軸方向に微小変位せしめられる。これにより、受圧室68の圧力変動が平衡室70に対して効率的に伝達されて、受圧室68内に惹起される圧力変動が容積変化を許容された平衡室70で吸収されることとなる。更に、上仕切金具52に形成された通孔60と流体流通領域84と下仕切金具54に形成された通孔66を通じて、受圧室68と平衡室70の間での流体流動が生じることにより、受圧室68内の液圧が平衡室70へ逃されることとなる。それ故、オリフィス通路72の実質的な閉塞に起因するエンジンマウント10の著しい高動ばね化が回避されて、高周波小振幅振動に対する良好な防振効果(低動ばね特性に基づく振動絶縁効果)が発揮されるのである。
このような本実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、大振幅の振動入力時における仕切金具50に対する弾性ゴム板80の当接に基づく衝撃力が、弾性ゴム板80に形成された中央凸部86と中間周溝90と外周凸条88の協働により効果的に吸収されて、かかる衝撃力に起因する異音の発生を有効に低減乃至は回避することが出来る。
また、外周凸条88が周方向に延びる円環状の凸条として形成されていることにより、当接時の安定した弾性変形を実現することが出来て、異音を確実に低減乃至は回避せしめることが出来る。しかも、弾性ゴム板80の最外周縁部に外周凸条88が全周に亘って形成されているため、大振幅振動の入力時に弾性ゴム板80が仕切金具50に対して当接せしめられると外周凸条88によって通孔60,66を通じての受圧室68と平衡室70の間での流体流動が直ちに阻止されて、受圧室68内に惹起される圧力変動が有利に確保される。それ故、オリフィス通路72を通じての流体流動量を十分に得ることが出来て、流体の共振作用に基づく防振効果を有効に発揮させることが出来るのである。
また、弾性ゴム板80中央に形成された係合凸部82が仕切金具50中央に形成された係合孔58,64に対して係合せしめられることにより、弾性ゴム板80が仕切金具50に対して径方向で位置決めされている。それ故、径方向外方に形成された流体流通領域84を安定して確保することが出来て、小振幅振動入力時における受圧室68と平衡室70との流体流動を許容することによる液圧吸収効果を有効に得ることが出来る。
次に、図2には、本発明の第二の実施形態としてのエンジンマウントにおける弾性ゴム板98が示されている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と実質的に同一とされた部材乃至部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
より詳細には、弾性ゴム板98は略円板形状であって、径方向中間の一部に中間凸条100を有している。中間凸条100は、略三角形状の略一定断面で周方向に全周に亘って延びる凸条であって、かかる中間凸条100が弾性ゴム板98の両面にそれぞれ形成されることにより、中間厚肉部102が形成されている。また、特に本実施形態においては、弾性ゴム板98の両面において中央凸部86と外周凸条88の径方向間略中央に同一中心軸周りでそれぞれ一条の中間凸条100が形成されている。なお、中間凸条100と外周凸条88によって本実施形態における凸条が構成されている。
さらに、中間凸条100の断面における突出先端部の角度:γが、90度<γ<180度の鈍角とされていると共に、突出先端の狭い領域が僅かに湾曲面で構成されている。更にまた、中間凸条100の突出高さは、中央凸部86及び外周凸条88の突出高さと略同一とされている。また、中間凸条100の断面積が外周凸条88の断面積の略二倍とされていると共に、中間凸条100の突出先端の角度:γが外周凸条88の突出先端の角度:βの略二倍とされている。更に、中間凸条100の傾斜面103の傾斜角度と外周凸条88の傾斜面97の傾斜角度は互いに等しくなっておいる。なお、中間凸条100の傾斜面103の傾斜角度とは、任意の半径方向における縦断面で中間凸条100の側壁を構成する傾斜面103の延長線が弾性ゴム板98の中心軸との間に為す角の角度:αをいうものとする。即ち、本実施形態では、かかる傾斜面97を示す構造線の延長線が弾性ゴム板80の中心軸との間に為す角:αは、外周凸条88の突出先端が為す角:γの1/2倍の大きさとなっている。
また、本実施形態における弾性ゴム板98には、中央凸部86と中間凸条100の径方向間と、中間凸条100と外周凸条88の径方向間にそれぞれ一条ずつ合計二条の中間周溝104,104が両面にそれぞれ形成されている。また、中間周溝104は、略三角形断面を有する凹溝として形成されており、その最深部が僅かに湾曲面とされている。
なお、中間周溝104の最深位置を通り、弾性ゴム板98の軸直角方向に広がる平面を基準面とした中間凸条100の断面積が、中間凸条100の突出先端位置を通り、弾性ゴム板98の軸直角方向に広がる平面を基準面とした中間周溝104の断面積に対して60%以上且つ140%以下となるように設定されている。好適には、中間凸条100の断面積は中間周溝104の断面積に対して80%以上且つ120%以下に設定されていることが望ましく、より好適には、中間凸条100の断面積は中間周溝104の断面積に対して100%に設定されていることが望ましい。
すなわち、中間凸条100の断面積が中間周溝104の断面積に対して小さ過ぎると、当接初期の衝撃力は吸収できるものの、当接圧力の増大によって圧縮変形せしめられると、比較的短時間で中間凸条100が潰れてしまい、弾性変形後の緩衝性能を十分に得ることが出来ない。一方、中間凸条100の断面積が中間周溝104の断面積に対して大き過ぎると、中間周溝104の幅が不十分となり易く、中間凸条100の軸方向での圧縮変形に伴う径方向での膨出変形が十分に許容され得ず、結果的に圧縮変形が容易に許容されないこととなって、軸方向での弾性変形による衝撃吸収効果を初期のとおり発揮できないおそれがある。
そして、このような観点から、当接直後の緩衝性能と中間凸条100が弾性変形せしめられた後の緩衝性能の維持を何れも有利に実現するためには、中間凸条100の断面積が中間周溝104の断面積に対して上述の如き範囲に設定されることが有効であることが明らかとなったのであり、これによって異音の発生を一層効果的に低減乃至は回避することが可能となり得るのである。
これにより、本実施形態における弾性ゴム板98は、径方向中央側から、中央凸部86,中間周溝104,中間凸条100,中間周溝104,外周凸条88の順にそれぞれ同一中心軸周りで構成されており、本実施形態における凸条が中間凸条100と外周凸条88によって構成されていると共に、凹溝が中間周溝104,104によって構成されている。
なお、このような弾性ゴム板98は、前記第一の実施形態において示した弾性ゴム板80に替えて収容領域78に配設され得る。
このような本実施形態に係る弾性ゴム板98を備えたエンジンマウントにおいては、中間凸条100を形成することにより、当接圧力を一層有利に分散して緩衝効果を効果的に発揮せしめることが出来る。それ故、当接打音の原因となる当接圧力の急激な増大をより有効に抑えることが出来て、異音の発生を抑制することが出来る。
また、中間凸条100の突出先端が鈍角とされていることにより、当接時の圧力で突出先端部が屈曲変形せしめられることを有利に防いで、徐々に潰れるように弾性変形せしめられることによる圧力の緩やかな増大を確実に実現し、急激な圧力の増加に起因する当接打音の発生を効果的に防ぐことが出来る。しかも、中間凸条100や外周凸条88の突出先端が湾曲面によって構成されていることにより、当接直後の屈曲変形を一層有利に防いで圧力の急激な変化を回避して、異音の発生をより有効に低減乃至は回避することが出来る。
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、弾性ゴム板80,104の断面形状は、必ずしも前記第一,第二の実施形態に示されているものに限定されるものではない。具体的には、例えば、中間凸条100を二条以上の複数条形成することにより、当接時の圧力を有利に分散させて、当接打音の低減効果の向上を図ることも出来る。また、それに伴って、中間凸条100や外周凸条88,中間周溝90,104の形状も適宜に選択されて採用され得る。具体的には、例えば、中間凸条100の断面形状が突出先端が湾曲せしめられた略半楕円形状や略台形形状とされていても良い。
また、前記第一,第二の実施形態では、径方向中央部に係合凸部82が形成されていたが、かかる係合凸部82は必ずしも必要ではない。また、それに伴い、上下の仕切金具52,54にそれぞれ形成されている係合孔58,64も必ずしも必要ではない。
また、前記第一の実施形態においては、仕切金具50は、金属によって形成されていたが、必ずしも金属製である必要はなく、例えば、硬質の樹脂材等によって形成されていても良い。
また、オリフィス通路72における形状や大きさ、構造、位置、数などの形態は、要求される防振特性や製作性などに応じて設定変更されるものであり、例示の如きものに限定されるものでない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の第一の実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウントを示す断面図である。 本発明の第二の実施形態に従う構造とされた自動車用エンジンマウントにおける可動板を示す断面拡大図である。
符号の説明
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
40 ダイヤフラム
50 仕切金具
68 受圧室
70 平衡室
78 収容領域
80 可動板
86 中央凸部
88 外周凸条
90 中間周溝
98 可動板
100 中間凸条

Claims (9)

  1. パワーユニット側部材と車両ボデー側部材の一方に取り付けられる第一の取付部材と他方に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で弾性的に連結せしめ、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動が入力される受圧室と壁部の一部が可撓性膜によって構成されて容積変化が容易に許容される平衡室を第二の取付部材で支持された仕切部材を挟んだ両側に形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に連通せしめるオリフィス通路を設ける一方、該仕切部材に設けられた収容スペースに可動板を収容配置すると共に、該収容スペースを該受圧室と該平衡室にそれぞれ接続する透孔を形成し、該透孔を通じて該可動板の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされ且つ他方の面に該平衡室の圧力が及ぼされるようにして、振動入力時における該受圧室の微小圧力変動を該可動板を介して該平衡室に逃がして吸収するようにした流体封入式防振装置において、
    略円板形状のゴム弾性体で形成された可動ゴム板によって前記可動板を構成して、同一中心軸周りでそれぞれ周方向に延びる凹溝と凸条を互いに隣り合うように形成し、該凸条を突出先端部に向かって次第に狭幅となる先細断面とすると共に、該可動ゴム板の両面で該凹溝及び該凸条を互いに径方向の同じ位置に設けて該可動ゴム板の板厚を径方向で変化せしめたことを特徴とする流体封入式防振装置。
  2. 前記凹溝を同心円状に周方向に延びるように複数形成すると共に、少なくとも隣り合う該凹溝の径方向間において周方向に延びるように前記凸条が形成されている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
  3. 前記凸条が略三角形の断面形状をもって周方向に延びて形成されていると共に、前記凹溝の側壁を構成する傾斜面の傾斜角度:αが45<α<90度とされている請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 前記凸条の突出先端を曲面によって構成した請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  5. 前記凹溝が略V字断面形状で周方向に連続して延びるように形成されている請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  6. 前記可動ゴム板を前記仕切部材に対して位置決めして、該可動ゴム板を、前記収容スペース内において、少なくとも前記凹溝上に前記透孔が位置するように配設位置せしめる位置決め手段を設けた請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  7. 前記可動ゴム板の径方向略中央に位置して、該可動ゴム板を前記仕切部材に対して位置決めする凹凸状の係合部を設けて、該係合部によって前記位置決め手段を構成した請求項6に記載の流体封入式防振装置。
  8. 前記可動ゴム板の一方の面と他方の面が互いに略同一形状とされている請求項1乃至7の何れかに記載の流体封入式防振装置。
  9. 前記透孔が、前記可動ゴム板において径方向で最も外方に形成される前記凸条の形成位置よりも径方向内周側にのみ形成されている請求項1乃至8の何れかに記載の流体封入式防振装置。
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