JP2006118547A - 流体封入式防振装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 可動板の収容スペース内面への打ち当たりに際しての衝撃に起因する振動の伝達を抑えて、かかる打ち当たりに起因する異音等の発生を低減することが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することを、目的とする。
【解決手段】 第二の取付部材14によって固定的に支持されるオリフィス部材44と、オリフィス部材44の内周側に配された仕切部材本体46とが、それらオリフィス部材44と仕切部材本体46の間に配された連結ゴム弾性体48によって連結せしめられた構造の仕切部材42を採用し、かかる仕切部材42を構成する仕切部材本体46に対して可動板82が収容配置される収容スペース60を設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】 第二の取付部材14によって固定的に支持されるオリフィス部材44と、オリフィス部材44の内周側に配された仕切部材本体46とが、それらオリフィス部材44と仕切部材本体46の間に配された連結ゴム弾性体48によって連結せしめられた構造の仕切部材42を採用し、かかる仕切部材42を構成する仕切部材本体46に対して可動板82が収容配置される収容スペース60を設けた。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば自動車用エンジンマウント等として用いられる防振装置に係り、特に、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体として、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結した防振装置が各種分野に広く採用されており、その一種として、第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめ、本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて第一の取付部材と第二の取付部材の間への振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、可撓性膜で壁部の一部が構成されて可撓性膜の変形に基づいて容積変化が生ぜしめられる平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、それら受圧室と平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設けた流体封入式防振装置が提案されている。
このような流体封入式防振装置では、封入した非圧縮性流体の共振作用等の流動作用を利用した防振効果を得ることが出来るのであり、本体ゴム弾性体の防振作用だけでは得られない程の低動ばね効果や高減衰効果をチューニング周波数域で容易に得ることが出来ることから、例えば、特定の周波数域で高度な防振性能が要求される自動車用のエンジンマウント等への適用が検討されている。
ところで、自動車用のエンジンマウントにおいては、走行状態等に応じて防振すべき振動の周波数が異なる場合がある。しかしながら、オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて発揮される防振効果は、予めオリフィス通路がチューニングされた比較的狭い周波数域に限られている。それ故、このような流体封入式防振装置においては、オリフィス通路のチューニング周波数よりも高周波数域の振動が入力されると、オリフィス通路が実質的に閉塞状態となってしまい、それによって、著しい高動ばね化が生ぜしめられて、防振性能が低下してしまうという問題がある。
そこで、オリフィス通路のチューニング周波数域よりも高周波数域の振動入力時における著しい高動ばね化を回避して防振性能を向上するために、第二の取付部材によって固定的に支持された状態で受圧室と平衡室を仕切る仕切部材に収容スペースを形成し、この収容スペースに対して微小変位可能に可動板を収容配置せしめると共に、収容スペースを、受圧室と平衡室にそれぞれ通孔を通じて接続し、それらの通孔を通じて、可動板の一方の面に受圧室の圧力が及ぼされ且つ他方の面に平衡室の圧力が及ぼされるようにした流体封入式防振装置が提案されている(特許文献1参照)。
このような構造とされた流体封入式防振装置においては、高周波数域の振動が入力された際、受圧室と平衡室の圧力差に基づく可動板の変位によって、受圧室の微小圧力変動を平衡室に逃がして吸収するようになっている。一方、オリフィス通路がチューニングされた低周波数域の振動入力時には、かかる振動の振幅が大きいことから、可動板が収容スペースの内面に当接して重ね合わせられた状態となって通孔が実質的に閉塞されることとなる。それ故、受圧室の圧力吸収が回避されて、受圧室と平衡室の相対的な圧力変動が有効に生ぜしめられることとなり、それら両室間でのオリフィス通路を通じての流体流動量が十分に確保されて、オリフィス通路による防振効果が有効に発揮されるようになっている。
ところが、このような構造とされた流体封入式防振装置では、大振幅振動が入力されて受圧室に急激な圧力変動が生ぜしめられた際、可動板が収容スペースの内面に勢い良く打ち当たる。そのために、可動板の収容スペース内面への打ち当たりに際しての衝撃に起因する、仕切部材の振動が、仕切部材を固定的に支持する第二の取付部材へ伝わることによって、音や振動として認識されるという問題があった。それ故、上述の如き構造とされた流体封入式防振装置を、例えば、自動車用のエンジンマウントとして採用する場合には、エンジンのクランキング時や段差乗り越えの際、運転者に聞こえる程の異音となって、乗車フィーリングを低下させる原因の一つとなるおそれもあったのである。
ここにおいて、本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、可動板の収容スペース内面への打ち当たりに際しての衝撃に起因する振動の伝達を抑えて、かかる打ち当たりに起因する異音等の発生を低減することが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
本発明の第一の態様は、防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめ、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室を、該第二の取付部材で支持された仕切部材を挟んだ両側に形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設ける一方、該仕切部材に設けられた収容スペースに可動板を収容配置すると共に、該収容スペースを該受圧室と該平衡室にそれぞれ接続する通孔を形成し、該通孔を通じて該可動板の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされ且つ他方の面に該平衡室の圧力が及ぼされるようにして、振動入力時における該受圧室の微小圧力変動を該可動板を介して該平衡室に逃がして吸収するようにした流体封入式防振装置において、前記仕切部材が、前記第二の取付部材によって固定的に支持される、環状のオリフィス部材と、該オリフィス部材の内周側に配された仕切部材本体とを、それらオリフィス部材と仕切部材本体の間に配された連結ゴム弾性体によって連結せしめた構造とされており、該オリフィス部材によって前記オリフィス通路が構成されている一方、該仕切部材本体に対して前記可動板が収容配置される前記収容スペースが設けられており、該仕切部材本体において該収容スペースを画成する壁部のうち該可動板の可動方向で対向位置する一対の壁部のそれぞれに前記通孔が形成されることによって、該収容スペースが前記受圧室と前記平衡室にそれぞれ接続されていることを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可動板が収容された仕切部材本体が、第二の取付部材に対して、連結ゴム弾性体を介して弾性支持されている。これにより、可動板の収容スペース内面への打ち当たりに際しての衝撃に起因する仕切部材本体の振動が、連結ゴム弾性体の弾性変形に基づいて、低減乃至は吸収されることとなる。
従って、本態様に係る流体封入式防振装置においては、連結ゴム弾性体の弾性変形に基づく振動の低減乃至は吸収作用によって、可動板の収容スペース内面への打ち当たりに際しての衝撃に起因する仕切部材本体の振動の第二の取付部材への伝達を抑えることが可能となり、その結果、可動板の収容スペース内面への打ち当たりに起因する異音等の発生を低減することが可能となる。
また、本態様に係る流体封入式防振装置においては、オリフィス通路を構成するオリフィス部材が仕切部材の最外周部分に位置せしめられていることから、オリフィス部材によって構成されるオリフィス通路の通路長さを有利に確保することが可能となり、それによって、オリフィス通路のチューニング自由度を大きく確保することが可能となる。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式防振装置において、前記仕切部材本体と前記連結ゴム弾性体によって構成された振動系の共振周波数が、前記第二の取付部材が取り付けられる、前記防振すべき他方の部材の固有振動数とは異なる周波数にチューニングされていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、仕切部材本体と連結ゴム弾性体によって構成された振動系の共振作用に起因する防振性能の低下が回避されて、目的とする防振性能をより有効に得ることができる。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る流体封入式防振装置において、前記仕切部材本体と、該仕切部材本体の外周側に配された金属スリーブとの間に前記連結ゴム弾性体を配設し、該連結ゴム弾性体を、それら仕切部材本体と金属スリーブに接着する一方、前記オリフィス部材を、該金属スリーブが圧入される圧入孔を備えた構造とし、該金属スリーブが該オリフィス部材に圧入固定されることによって、該仕切部材本体と該オリフィス部材が該連結ゴム弾性体で連結されるようにしたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、連結ゴム弾性体を加硫成形する際の成形金型のサイズを小さくすることが可能となる。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記オリフィス部材の備える内孔が該オリフィス部材の中心軸に対して軸直角方向にずれた位置に形成されていることによって、前記仕切部材本体が該オリフィス部材の中心軸に対して軸直角方向にずれた位置で該オリフィス部材の内周側に配されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、仕切部材本体の大きさを大きく確保しながら、オリフィス部材に形成されたオリフィス通路の受圧室側への開口および平衡室側への開口を、オリフィス部材の中心軸に近い位置で形成することが可能となる。
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、ゴム弾性体で形成された可動ゴム板によって前記可動板を構成すると共に、該可動板の少なくとも一部を、連続した凹凸をもって略波板形状で広がる波状部としたことを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可動板を構成する可動ゴム板そのものを略波板形状とした波状部が設けられており、大振幅の振動入力時には、可動ゴム板の板厚方向両面に作用せしめられる受圧室と平衡室の圧力差に基づいて、この波状部が、収容スペース内面に対して、繰り返し当接し、或いは予め当接せしめられた状態から更に押し付けられるようにして一層広い範囲で当接するようにされる。即ち、可動ゴム板が収容スペース内面に当接する際には、波状部に対して、通孔を通じて表面に作用せしめられて収容スペース内面に向けて可動ゴム板を押し付ける液圧力と、収容スペースの内面から受ける押し付け反力とが、作用することとなる。その結果、波状部が全体として弾性変形せしめられることとなり、この波状部の弾性変形に伴う減衰力や弾性に基づいて、上述の如き当接に際しての衝撃を有効に吸収することが可能となる。
従って、本態様に係る流体封入式防振装置においては、可動ゴム板の収容スペース内面への打ち当たり(当接)に際しての衝撃そのものを軽減することが可能となり、それによって、可動ゴム板の収容スペース内面への打ち当たりに起因する異音等の発生を一層低減することが可能となる。
なお、本態様において、波状部は、その一部(板厚方向両面における各凸部)が予め収容スペース内面に当接されていても良いし、或いは、その全体が収容スペースの対向内面間で浮いた状態で変位可能とされていても良い。前者の場合、波状部の当接に起因する衝撃は、振動が及ぼされていない初期状態下での当接部位よりも振動が及ぼされることにより広がる当接部位での打ち当たりや、振動入力時の波状部の弾性変形に起因して初期状態下での当接部位が収容スペース内面に対して離隔と当接を繰り返すことによる初期当接部位での打ち当たり等によって発生する。また、後者の場合、波状部の当接に起因する衝撃は、入力振動の振幅が大きくなった場合に波状部が収容スペース内面に当接して変位量を規制される場合の打ち当たり等によって発生する。
本発明の第六の態様は、前記第五の態様に係る流体封入式防振装置において、前記波状部が、前記収容スペースの内面に当接する面において、一体形成された緩衝リップ突起を有していることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可動ゴム板の収容スペース内面(仕切部材本体)に対する当接時の衝撃を、波状部の全体としての変形によるだけでなく、緩衝リップ突起の弾性変形によっても吸収,軽減することが可能となる。特に、緩衝リップ突起は、波状部の全体に対して柔らかいばね特性をもって形成されることから、波状部の全体としての変形と相補的に作用して、当接の初期から終期まで、更に、低周波から高周波まで、広い範囲の衝撃を一層効果的に吸収,軽減することが可能となる。
従って、本態様に係る流体封入式防振装置においては、可動ゴム板の収容スペース内面の打ち当たりに際しての衝撃そのものを、より一層軽減することが可能となり、それによって、可動ゴム板の収容スペース内面への打ち当たりに起因する異音等の発生を、より一層低減することが可能となる。
なお、緩衝リップ突起は、例えば線状に延びる他、点状に散在するものであっても良い。また、突出高さの異なる緩衝リップ突起を複数形成したり、一つの線状に延びる緩衝リップ突起の突出高さを部分的に異ならせたりしても良い。
本発明の第七の態様は、前記第五又は第六の態様に係る流体封入式防振装置において、前記可動ゴム板の中央部分が円形の平板状部とされていると共に、該可動ゴム板の外周部分が全周に亘って周方向に波打った円環板形状とされて前記波状部が構成されていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、平板状部と波状部の両方を備えることにより、波状部によって、収容スペース内面への当接に際しての衝撃の吸収,緩和作用を得ながら、平板状部によって、通孔の確実な狭窄乃至は遮断によるオリフィス通路の流体流動量の確保等を図ることが可能となる。
本発明の第八の態様は、前記第五乃至第七の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記可動ゴム板が、その全体に亘って、前記収容スペースに対して板厚方向で所定量の隙間をもって微小変位可能に収容配置されていると共に、該可動ゴム板が変位せしめられて該収容スペースの内面に当接する際、該可動ゴム板の少なくとも一方の面において、前記波状部が該収容スペースの内面に対して最初に当接するようにされていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可動ゴム板の全体が、収容スペースで対向位置する内面間で隙間寸法だけ、拘束されない自由状態で板厚方向への変位が許容される。それ故、振動入力時には、可動ゴム板の全体が収容スペースで浮いた状態で変位許容されることとなり、受圧室の圧力吸収作用をより一層効果的に発揮することが可能となる。
また、本態様においては、可動ゴム板が変位せしめられて仕切部材本体における収容スペースの内面に当接する際、該可動ゴム板の少なくとも一方の面において、波状部が収容スペースの内面に対して最初に当接するようにされていることから、例えば、可動ゴム板の一部に波状部が形成されている場合でも、波状部が収容スペース内面に対して最初に当接せしめられることにより、打ち当たりに際しての衝撃を、当接初期の段階から波状部の弾性変形作用によって有効に吸収することが可能となる。それ故、波状部による異音等の発生低減効果を一層効果的に発揮することが可能となる。
本発明の第九の態様は、前記第五乃至第八の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記可動ゴム板の前記波状部における一方の面側の凸部と他方の面側の凸部との間の板厚方向でのうねり高さ寸法が前記収容スペースの対向内面間の距離よりも小さくされていることにより、該収容スペースの内面に対して該可動ゴム板の該波状部が板厚方向で所定の隙間をもって変位可能に収容配置されており、該波状部が板厚方向への変位によって該収容スペースの内面に当接するようになっていることを、特徴とする。このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、波状部の全体が、収容スペースで対向位置する内面間で隙間寸法だけ、拘束されない自由状態で板厚方向への変位が許容される。それ故、振動入力時には、波状部の全体が収容スペースに浮いた状態で変位許容されることとなり、受圧室の圧力吸収作用を一層有利に発揮することが可能となる。
本発明の第十の態様は、前記第一乃至第九の何れかの態様に係る流体封入式防振装置において、前記第二の取付部材を略円筒形状として、該第二の取付部材の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を連結する前記本体ゴム弾性体で該第二の取付部材の一方の開口部を流体密に覆蓋すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部を前記可撓性膜で流体密に覆蓋せしめる一方、前記仕切部材における前記オリフィス部材を該第二の取付部材で固定的に支持せしめて、該仕切部材を該本体ゴム弾性体と該可撓性膜の対向面間で該第二の取付部材の軸直角方向に広がるように配設することにより、該仕切部材を挟んだ両側に前記受圧室と前記平衡室を形成すると共に、該仕切部材における前記仕切部材本体の内部において該第二の取付部材の軸直角方向に広がるように前記収容スペースを形成して、該収容スペースに対して該第二の取付部材の軸直角方向に広がるように前記可動板を収容配置せしめたことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、仕切部材の両側に受圧室と平衡室を効率的に形成することが可能となり、全体としてコンパクトな流体封入式防振装置を実現することが可能となる。その結果、例えば、自動車用のエンジンマウント等として特に有利に採用することが可能となる。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、可動板が収容配置される収容スペースが設けられた仕切部材本体が、オリフィス部材、延いては、該オリフィス部材を固定的に支持する第二の取付部材に対して、連結ゴム弾性体によって弾性支持されていることから、可動板が収容スペース内面に打ち当たった際の衝撃に起因する仕切部材本体の振動の伝達を、連結ゴム弾性体の弾性変形に基づいて、抑えることが可能となり、それによって、可動板の収容スペース内面への打ち当たりに起因する異音等の発生を低減することが可能となる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と第二の取付部材としての第二の取付金具14が本体ゴム弾性体16で連結された構造とされている。また、エンジンマウント10は、第一の取付金具12がパワーユニット側に取り付けられる一方、第二の取付金具14がボデー側に取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して、他の図示しないエンジンマウント等と協働して防振支持せしめるようになっている。即ち、本実施形態では、パワーユニットによって防振連結される一方の部材が構成されており、ボデーによって防振連結される他方の部材が構成されているのである。また、このような装着状態下、エンジンマウント10には、パワーユニットの分担支持荷重が及ぼされるようになっており、それに伴って、本体ゴム弾性体16が弾性変形せしめられて、第一の取付金具12と第二の取付金具14が図1中の上下方向に所定量だけ接近して相対変位せしめられるようになっている。そして、防振すべき主たる振動が、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に対して、図1中の略上下方向に入力されるようになっている。
より詳細には、第一の取付金具12は、略円板形状を呈していると共に、その中央部分には、上方(図1中の上側)に突出する取付ボルト18が固設されている。また、第一の取付金具12の下面には、その中心軸上に保持金具20が固着されている。この保持金具20は、上方開口部に向かって次第に拡開するテーパ状周壁部を備えており、開口周縁部において第一の取付金具12の下面に固着されている。
一方、第二の取付金具14は、大径の略円筒形状とされており、第一の取付金具12と略同一中心軸上で第一の取付金具12の下方(図1中の下側)に離隔配置されている。また、第二の取付金具14は、略円環板形状のゴム固着部22に対して、その外周縁部から軸方向下方に向かって突出する嵌着筒部24が一体形成された構造となっている。なお、ゴム固着部22の内周部分は、中央に向かって次第に軸方向下方に傾斜したテーパ状の傾斜形状とされている。
また、第一の取付金具12と第二の取付金具14の対向面間には、本体ゴム弾性体16が配設されている。この本体ゴム弾性体16は、大径の略円錐台形状を有していると共に、その中央には、大きな肉抜き状の円形凹所26が形成されている。この円形凹所26は、下方に向かって次第に拡径して大径側端面に開口する有底の逆向き円形穴であって、この円形凹所26が形成されることにより、本体ゴム弾性体16が、全体として厚肉の逆カップ形状とされている。
そして、本体ゴム弾性体16の軸方向上側の小径側端面に第一の取付金具12が重ね合わせられて、第一の取付金具12の下面に溶接固定された保持金具20および第一の取付金具12に対して本体ゴム弾性体16が加硫接着されている。なお、本実施形態では、保持金具20の内部にも、本体ゴム弾性体16が充填されている。また、本体ゴム弾性体16の大径側端部には、第二の取付金具14のゴム固着部22が、外周面から差し入れられて略埋設状態で加硫接着されている。即ち、本実施形態では、本体ゴム弾性体16が、第一の取付金具12と第二の取付金具14を備えた一体加硫成形品として形成されているのである。
なお、本体ゴム弾性体16の厚肉円筒形状とされた軸方向中間部分には、略円環板形状の補強金具28が固着されて、本体ゴム弾性体16のばね特性が調節されている。また、第二の取付金具14には、ゴム固着部22の下面と嵌着筒部24の内周面の略全体を覆うようにして、シールゴム層30が被着されており、本実施形態では、かかるシールゴム層30は、本体ゴム弾性体16と一体形成されている。
上述の如く、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品には、第二の取付金具14の軸方向下側の開口部から可撓性膜としてのダイヤフラム32が組み付けられている。
ダイヤフラム32は、中央部分に十分な弛みをもたせて変形容易とした略円板形状とされている。更に、ダイヤフラム32は、その外周縁部において、嵌着金具34に加硫接着されている。この嵌着金具34は、円環板形状の支持部36に対して、その外周縁部から上方に突出する円筒形状の固定筒部38が一体形成された構造とされており、支持部36の内周縁部に対して、ダイヤフラム32の外周縁部が加硫接着されている。また、嵌着金具34における固定筒部38が、第二の取付金具14の嵌着筒部24に外挿されて、八方絞り等の縮径加工が施されるようになっている。これにより、嵌着金具34の固定筒部38が嵌着筒部24に外嵌固定されている。なお、固定筒部38と嵌着筒部24の嵌着面間は、固定筒部38に被着形成されたシールゴム層40で流体密に封止されている。
このように嵌着金具34の固定筒部38が嵌着筒部24に外嵌固定されることによって、本体ゴム弾性体16に形成された円形凹所26における、第二の取付金具14の中央孔を通じて下方に開口せしめられた開口部分が、ダイヤフラム32によって流体密に覆蓋されている。そして、この円形凹所26を利用して形成されて、外部空間に密閉された、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム32の対向面間の領域には、非圧縮性流体が封入されており、流体封入領域が画成されている。かかる流体封入領域に封入されている非圧縮性流体としては、例えば水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等が採用されるが、特に流体の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、非圧縮性流体の封入は、例えば第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対するダイヤフラム32の組み付けを非圧縮性流体中で行うこと等によって実現される。
また、かかる流体封入領域には、軸直角方向に広がるようにして、仕切部材42が配設されている。仕切部材42は、図2乃至4にも示されているように、オリフィス部材44と仕切部材本体46が連結ゴム弾性体48によって連結された構造とされている。オリフィス部材44は、中央部分を厚さ方向に貫通する円形の内孔50を備えた略円環ブロック形状とされており、本実施形態では、アルミニウム合金等の軽量の硬質材によって形成されている。そこにおいて、本実施形態では、内孔50の中心軸が、径方向に偏倚しており、それによって、オリフィス部材44の径方向の幅寸法が周方向で変化している。即ち、本実施形態では、内孔50が、オリフィス部材44の中心軸上ではなく、オリフィス部材44の中心軸に対して軸直角方向外方にずれた位置に形成されているのである。
また、仕切部材本体46は、本体金具52と蓋板金具54によって構成されている。本体金具52は、上方に開口する円形の収容凹所56を備えており、全体として浅底の有底円筒形状とされている。なお、本実施形態では、収容凹所56は、全体に亘って略一定の深さ寸法とされている。また、本体金具52は、アルミニウム合金等の金属や硬質の合成樹脂等によって形成されており、本実施形態では、鉄鋼等の高比重な金属材によって形成されている。一方、蓋板金具54は、全体として円板形状とされており、本体金具52と同様な材料で形成されている。
そして、蓋板金具54が、本体金具52における上面(収容凹所56の開口端面)に重ね合わせられるようにして、本体金具52に対して固定的に組みつけられている。そこにおいて、本実施形態では、本体金具52に設けられた複数の位置決め突起58が、蓋板金具52に形成された複数の位置決め孔59に挿通されて、蓋板金具54と本体金具52が位置合わせされた状態で、位置決め突起58がかしめられることにより、蓋板金具54が本体金具52に対して固定されている。このように蓋板金具54が本体金具52に固定されることによって、本体金具52に形成された収容凹所56の開口が蓋板金具54で覆蓋されることとなる。これにより、仕切部材本体46の内部において、全体として略一定の内径寸法と高さ寸法をもって円板状に広がる中空の収容スペース60が形成されている。即ち、収容スペース60は、何れも軸直角方向に広がる一対の平坦な内面62,64の軸方向対向面間に形成されており、図7に仮想線で示されているように、かかる一対の内面62,64の対向面間距離:Lが、後述する可動ゴム板82の最大肉厚寸法(緩衝リップ突起94,96,98,104,106を含む板厚寸法):Tよりも、所定距離だけ大きく設定されている。
このような構造とされた仕切部材本体46の径方向外方には、所定距離を隔てて同心軸上に円筒形状の金属スリーブ66が配されている。そして、これら仕切部材本体46と金属スリーブ66の間に、連結ゴム弾性体48が介装されている。
連結ゴム弾性体48は、全体として厚肉の円環板形状とされており、その内周面が本体金具52の外周面に加硫接着されていると共に、その外周面が金属スリーブ66の内周面に加硫接着されている。即ち、連結ゴム弾性体48は、金属スリーブ66と本体金具52を備えた一体加硫成形品として形成されているのである。
そこにおいて、本実施形態では、図5にも示されているように、本体金具52において位置決め突起58が形成された箇所は、他の部分に比して、径方向外方に突出せしめられている。これにより、連結ゴム弾性体48において、本体金具52に設けられた位置決め突起58に対応する周方向位置では、他の部分に比して、径方向寸法が小さくされている。また、本体金具52に形成された位置決め突起58は、周方向に等間隔に位置せしめられており、それによって、連結ゴム弾性体48において径方向寸法が小さくされている部分が周方向で等間隔に位置せしめられている。その結果、連結ゴム弾性体48において径方向寸法の小さい部分が存在することに起因する周方向でのばね特性の偏りが抑えられることとなり、後述するように、連結ゴム弾性体48の一体加硫成形品がオリフィス部材44に組み付けられた状態下における仕切部材本体46の軸方向への変位が安定して生ぜしめられるようになっている。
このような構造とされた連結ゴム弾性体48の一体加硫成形品は、金属スリーブ66がオリフィス部材44に形成された内孔50に圧入されて、金属スリーブ66がオリフィス部材44に圧入固定されることにより、オリフィス部材44に組み付けられている。これにより、仕切部材本体46とオリフィス部材44が連結ゴム弾性体48によって連結されているのである。なお、このことから明らかなように、本実施形態では、内孔50によって圧入孔が構成されている。
また、上述の如く、仕切部材本体46とオリフィス部材44が連結ゴム弾性体48によって連結されることにより、仕切部材本体46が、上下方向に変位可能な状態で、オリフィス部材44に対して連結ゴム弾性体48により弾性支持されている。これにより、仕切部材本体46をマスとし、連結ゴム弾性体48をバネとする、一つの振動系が構成されている。そこにおいて、かかる振動系の共振周波数は、第二の取付金具14が取り付けられるボデーの固有振動数(本実施形態では、略600Hz)とは異なる周波数にチューニングされており、特に、本実施形態では、ボデーの固有振動数より低い周波数(略400Hz)に設定されている。なお、仕切部材本体46と連結ゴム弾性体48によって構成される振動系の共振周波数のチューニングは、仕切部材本体46の形成材料や大きさ等を変更したり、連結ゴム弾性体48の形成材料や大きさ,形状等を変更することによって有利に実現される。
更にまた、本実施形態では、オリフィス部材44の中心軸から軸直角方向外方にずれた位置に内孔50が形成されていることから、かかる内孔50に金属スリーブ66が圧入されることによってオリフィス部材44に組み付けられる、連結ゴム弾性体48の一体加硫成形品も、オリフィス部材44の中心軸から軸直角方向外方にずれた位置にあることとなる。これにより、本実施形態では、仕切部材本体46が、オリフィス部材44の中心軸から軸直角方向外方にずれた位置において、上下方向に変位可能な状態で、連結ゴム弾性体48によってオリフィス部材44に対して弾性支持されているのである。
また、内孔50に圧入された金属スリーブ66は、内孔50の下側開口付近に形成された段差面68に対して重ね合わせられることによって、軸方向の位置決めが為されており、このように金属スリーブ66のオリフィス部材44に対する軸方向の位置決めが為された状態下において、仕切部材本体46と連結ゴム弾性体48とオリフィス部材44は、オリフィス部材44の中心軸に直交する方向に広がるように位置せしめられている。特に、本実施形態では、オリフィス部材44の上面と本体金具52の上面が略同じ軸直角平面上に位置せしめられている。
このような構造とされた仕切部材42は、軸直角方向に広がるようにして第二の取付金具14の嵌着筒部24に嵌め入れられている。そして、仕切部材42の外周部分に位置せしめられるオリフィス部材44の上面と外周面が、シールゴム層30を介して、第二の取付金具14のゴム固着部22と嵌着筒部24に対して流体密に重ね合わせられている。これにより、仕切部材42におけるオリフィス部材44が第二の取付金具14によって固定的に支持されているのである。そこにおいて、仕切部材42が第二の取付金具14の嵌着筒部24に嵌め入れられた状態下にあっては、仕切部材42の外周部分、即ち、オリフィス部材44は、嵌着金具34の支持部36に当接されている。
更にまた、このように仕切部材42が第二の取付金具14で固定的に支持されることによって、仕切部材42が流体封入領域の内部で軸直角方向に広がるように配設されている。これにより、流体封入領域が上下に二分されて、仕切部材42を挟んだ軸方向一方の側(図1中の上側)には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間への振動入力時に、本体ゴム弾性体16の弾性変形に伴って圧力変動が生ぜしめられる受圧室70が形成されている一方、仕切部材42を挟んだ軸方向他方の側(図1中の下側)には、壁部の一部がダイヤフラム32で構成されて、該ダイヤフラム32の弾性変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室72が形成されている。
さらに、仕切部材42を構成するオリフィス部材44には、上面に開口して周方向に連続して延びる凹溝74が形成されており、かかる凹溝74は、第二の取付金具14のゴム固着部22で流体密に覆蓋されている。これにより、仕切部材42の外周部分にトンネル状の通路が存在することとなる。なお、本実施形態では、仕切部材42の外周部分を略一周する程度の長さで、凹溝74が形成されている。
また、凹溝74の一方の端部は、第二の取付金具14のゴム固着部22の内周縁部よりも径方向内方にまで延び出しており、それによって、ゴム固着部22よりも内周側でオリフィス部材44の上面に凹溝74の端部が開口せしめられて連通孔76が形成されている。そして、この連通孔76を通じて、凹溝74の一方の端部が受圧室70に開口して接続されている。更に、凹溝74の他方の端部は、オリフィス部材44における凹溝74の底壁部に形成された連通孔78を通じて平衡室72に開口して接続されている。これにより、オリフィス部材44の凹溝74を利用してオリフィス通路80が形成されており、このオリフィス通路80を通じて受圧室70と平衡室72が相互に連通されている。なお、このオリフィス通路80は、常時、受圧室70と平衡室72を連通する連通状態に維持されている。
そして、振動入力時には、圧力変動が惹起される受圧室70と、ダイヤフラム32の変形に基づいて容積変化が許容される平衡室72の間に、相対的な圧力変動が惹起されることとなり、それら両室70,72間でオリフィス通路80を通じての流体流動が生ぜしめられる。その結果、受圧室70と平衡室72の間でオリフィス通路80を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づく防振効果が、防振すべき軸方向(図1中の上下方向)の振動に対して発揮されるようになっている。
特に本実施形態では、オリフィス通路80を流動せしめられる流体の共振周波数が、該流体の共振作用に基づいてシェイク等の10Hz前後の低周波大振幅振動に対して有効な防振効果が発揮されるようにチューニングされている。なお、かかる共振周波数のチューニングは、例えばオリフィス通路80の通路断面積や通路長さ等を設定変更することにより実現される。
また、仕切部材本体46に設けられた収容スペース60には、可動板としての可動ゴム板82が収容配置されている。可動ゴム板82は、全体として略円板形状を有しており、ゴム材料によって一体形成されている。この可動ゴム板82は、上述の如く、最大厚肉寸法:Tが、収容スペース60の高さ寸法:Lよりも小さくされており、可動ゴム板82を収容スペース60内の中央に位置せしめた状態下で、可動ゴム板82の全周囲には、収容スペース60内面との間に、全体に亘って広がる隙間が形成されるようになっている(図7参照)。そして、この隙間の大きさに対応したストローク分だけ、可動ゴム板82は、収容スペース60内で自由変位が許容されるようになっている。
また、可動ゴム板82の板厚方向で対向位置せしめられて、収容スペース60の上下壁部を構成する蓋板金具54と、本体金具52における収容凹所56の底壁84には、軸方向(上下方向)に貫通する透孔86,88が形成されている。これにより、収容スペース60が、蓋板金具54に貫設された透孔86を通じて受圧室70に接続されている一方、底壁84に貫設された透孔88を通じて平衡室72に接続されている。その結果、収容スペース60に収容配置された可動ゴム板82の上面が、蓋板金具54に貫設された透孔86を通じて受圧室70に露呈されている一方、可動ゴム板82の下面が、収容凹所56の底壁84に貫設された透孔88を通じて平衡室72に露呈されているのである。なお、透孔86,88は、収容スペース60の上下内面62,64の略全体に亘って開口位置せしめられており、特に、可動ゴム板82の中央部分に位置する後述の中央平板状部90と外周部分に位置する後述の外周円環状部92との、何れに対向位置する領域にも開口するようにして形成されている。
これにより、可動ゴム板82には、受圧室70と平衡室72の内圧が上面と下面に及ぼされるようになっており、振動入力時に受圧室70と平衡室72の圧力差に基づいて可動ゴム板82に対して板厚方向の変位が生ぜしめられることとなる。即ち、本実施形態では、蓋板金具54と底壁84によって、可動板の可動方向で対向位置する一対の壁部が構成されており、それら蓋板金具54と底壁84にそれぞれ形成された透孔86,88によって、通孔が構成されているのである。そして、可動ゴム板82の軸方向の変位に基づいて、蓋板金具54や本体金具52の透孔86,88を通じての流体流動が生ぜしめられることにより、かかる流体の共振作用乃至は受圧室70の圧力変動を平衡室72に逃がすことに基づく液圧吸収作用が発揮されて、入力振動に対する低動ばね効果が奏されるようになっている。
なお、可動ゴム板82の収容スペース60内での上下方向(板厚方向)での許容ストロークは、防振すべき振動の振幅や、エンジンマウント10の受圧室70における有効ピストン径,可動ゴム板82の大きさ等によって適当に調節される。本実施形態では、エンジンシェイクに相当する±0.5〜2.0mmの振幅振動が第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に作用せしめられた際には可動ゴム板82が収容スペース60の内面62,64に当接するが、アイドリング振動や走行こもり音に相当する±0.25mm以下の中乃至小振幅振動の入力時には、可動ゴム板82が収容スペース60の内面62,64に当接しない領域で変位許容されるように、可動ゴム板82の上下面と収容スペース60の上下内面62,64との対向面間の隙間の大きさが設定されている。
そこにおいて、本実施形態の可動ゴム板82は、図6乃至図8に示されているように、平板状部としての円形平板形状の中央平板状部90と、外周縁部において周方向に連続して延びる円環板形状の外周円環状部92を、有している。
中央平板状部90は、中心軸上で略一定の厚さ寸法で円形に広がっており、その上下両面には、それぞれ、複数の緩衝リップ突起が一体的に突出形成されている。かかる緩衝リップ突起は、(a)径方向中間部分を周方向に連続して延びる円環状の第一の緩衝リップ突起94と、(b)中心軸の近くから径方向外方に向かって放射状に延びる八本の独立した第二の緩衝リップ突起96と、(c)外周縁部を周方向に連続して延びる円環状の第三の緩衝リップ突起98によって構成されている。
外周円環状部92は、中央平板状部90の外径寸法よりも大きな内径寸法を有しており、中央平板状部90と同一中心軸上に位置せしめられている。そして、板厚方向の略中央部分において、それら中央平板状部90の外周面と外周円環状部92の内周面が、対向する径方向に延びる薄肉の連結部100によって、相互に一体的に連結されている。換言すれば、本実施形態の可動ゴム板82は、その上下両面において、外周縁部から径方向内方に所定距離だけ離れた部分を周方向に連続して延びる円環凹溝状を有する一対のえぐれ部102,102を有しており、このえぐれ部102,102によって薄肉化された連結部100を挟んで、内周側が中央平板状部90とされていると共に、外周側が外周円環状部92とされている。
また、外周円環状部92の上下両面には、それぞれ、内周縁部と外周縁部において、周方向に連続して延びる円環状の第四の緩衝リップ突起104と第五の緩衝リップ突起106が一体形成されている。
さらに、外周円環状部92は、その肉厚寸法(上下の緩衝リップ突起を含む)が、中央平板状部90の肉厚寸法(上下の緩衝リップ突起を含む)よりも小さくされている。そして、この外周円環状部92は、周方向において板厚方向(図7,8中の上下方向)で波打ったように全体として湾曲形成された波状部とされている。即ち、外周円環状部92は、その径方向断面(縦断面)の形状や大きさは実質的に変化しないで、厚さ方向の中心位置が周方向で上下に振れるように変化せしめられている。特に本実施形態では、図8に示されているように、外周円環状部92の中心線や上下面が略サイン波状に一定周期で周方向に波打った形状とされており、その一周期が周方向で90度とされて、上下面が全体的に滑らかな湾曲面とされている。
また、本実施形態では、外周円環状部92が、外周側に行くに従って次第に薄肉とされており、上下両面が略同じ角度をもった径方向の傾斜面とされている。そして、連結部100が薄肉とされていることで、連結部100を支点とした首振り状に外周円環状部92が変形変位せしめられた際、外周縁部だけが当接することなく、内周縁部から当接して或いは全体が略同時に当接するようになっている。これにより、外周円環状部92が収容スペース60の内面62,64に当接するまでの領域で、出来るだけ大きな揺動角度範囲で変位可能とされるようになっている。
更にまた、本実施形態では、外周円環状部92において最も下端(下死点)となる位置(図8中の左右両端位置)で、外周円環状部92の下面の内周縁部が、中央平板状部90の下面と略同じ平面上に位置せしめられるようになっている。また、外周円環状部92において最も上端(上死点)となる位置(図8中の中央位置)で、外周円環状部92の上面の内周縁部が、中央平板状部90の上面と略同じ平面上に位置せしめられるようになっている。
また、中央平板状部90に突設された第一乃至第三の緩衝リップ突起94,96,98と、外周円環状部92に突設された第四及び第五の緩衝リップ突起104,106の突出高さが略同一とされている。
それ故、可動ゴム板82において外力による弾性変形が生ぜしめられていない状態を考えると、その下面においては、中央平板状部90の下面に突設された第一乃至第三の緩衝リップ突起94,96,98の各突出先端部と、外周円環状部92の下面に突設された第四の緩衝リップ突起104における最も下端(下死点)となる位置(図8中の左右両端位置)での突出先端部が、同一の軸直角平面上に位置せしめられる。また、その上面においては、中央平板状部90の上面に突設された第一乃至第三の緩衝リップ突起94,96,98の各突出先端部と、外周円環状部92の上面に突設された第四の緩衝リップ突起104における最も上端(上死点)となる位置(図8中の中央位置)での突出先端部が、同一の軸直角平面上に位置せしめられる。
従って、可動ゴム板82が収容スペース60内で軸方向(上下方向)に大きく変位せしめられると、それら(第一乃至第三の緩衝リップ突起94,96,98の各突出先端部と、第四の緩衝リップ突起104における周上の特定位置の突出先端部)が、略同時に、収容スペース60の下面64や上面62に対して当接せしめられるようになっている。
なお、本実施形態では、外周円環状部92の肉厚寸法が外周側に行くに従って薄肉とされていることと、外周円環状部92が周方向で波板形状で上下に湾曲形成されていることから、外周円環状部92の外周縁部に突設された第五の緩衝リップ突起106は、外周円環状部92の上死点における下面に位置する部分と下死点における上面に位置する部分において、何れも、収容スペース60の内面62,64に当接することが殆どない。そこで、本実施形態では、第五の緩衝リップ突起106,106は、それら外周円環状部92の上死点における下面に位置する部分と下死点における上面に位置する部分において、何れも、突出高さが小さくされて、軽量化やゴム材料の減少が図られている。
上述の如き構造とされた本実施形態のエンジンマウント10においては、自動車への装着状態下、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に略軸方向の振動が入力されると、それが±0.1〜0.25mm程度のアイドリング振動や±0.01〜0.05mm程度の走行こもり音に相当する中乃至高周波数域の小振幅振動である場合には、可動ゴム板82の変位に基づく液圧吸収作用が発揮される。即ち、そのような中乃至高周波数域の小振幅振動の入力時には、可動ゴム板82が収容スペース60の内面62,64との間に設けられた隙間で許容される可動範囲内において実質的にフローティング状態に維持されて上下に自由変位せしめられることに基づき、透孔86.88を通じての受圧室70と平衡室72の間での実質的な流体流動が、収容スペース60を介して、許容されることにより、受圧室70の圧力変動が平衡室72に逃がされる。これにより、オリフィス通路80の反共振現象としての目詰まりに起因する著しい高動ばね化が回避されて、良好な防振性能が発揮されることとなる。
一方、第一の取付金具12と第二の取付金具14の間に入力される振動が、低周波数域の比較的に大きな振幅の場合、例えば±0.5〜1.0mmの通常走行時シェイクの場合や、±1.0〜2.0mm程度の段差乗り越え時等のシェイクの場合には、可動ゴム板82の中央円板状部90の変位端が収容スペース60の内面62,64への当接によって規制されて、受圧室70の圧力変動が可動ゴム板82の変位によって吸収しきれなくなる。即ち、可動ゴム板82(中央円板状部90)の上下面は、収容スペース60の上下内面62,64に対して当接(打ち当たり)を繰り返すこととなる。そして、このように可動ゴム板82が収容スペース60の上下内面62,64に打ち当たると、そこに開口形成された透孔86,88が可動ゴム板82で狭窄乃至は実質的に閉塞されることとなる。その結果、受圧室70と平衡室72の間には、相対的な圧力変動が有効に惹起されて、かかる相対的な圧力変動に基づいてオリフィス通路80を通じての流体流動が生ぜしめられることとなる。これにより、オリフィス通路80を流動せしめられる流体の共振作用に基づく所期の防振効果が発揮されるのである。
そこにおいて、本実施形態では、可動ゴム板82が収容配置される収容スペース60が設けられた仕切部材本体46が連結ゴム弾性体48によって弾性支持されていることから、可動ゴム板82が収容スペース60の内面62,64に打ち当たる際の衝撃によって仕切部材本体46に振動が惹起された際、仕切部材本体46を弾性支持している連結ゴム弾性体48が弾性変形せしめられることによって、仕切部材本体46の振動が低減乃至は吸収されるようになっている。
従って、本実施形態のエンジンマウント10は、連結ゴム弾性体48による振動の低減乃至は吸収作用を利用して、仕切部材本体46に惹起された振動の第二の取付金具14への伝達を抑えることが可能となる。これにより、空気中を伝わる場合には聞こえないような周波数域の振動が第二の取付金具14に伝達され、更に、ボデーで増幅されることによって、異音として認識されることを回避することが可能となり、その結果、エンジンマウント10の防振性能を一層優れたものにすることが可能となる。
特に、本実施形態では、可動ゴム板82が収容スペース60の下内面64に当接する際、外周円環状部92では、波状に上下にうねるように湾曲せしめられた周上の下死点の下面だけが、周上の合計4箇所において、初めに当接する。その後、可動ゴム板82に対して上面から作用する液圧が次第に大きくなると、かかる外周円環状部92は、当接時の運動エネルギーに加えて増大する外力(圧力)によって次第に弾性変形せしめられて、周上の下死点の下面の所期当接位置から周方向両側に向かって次第に当接面積が大きくなる。
また、可動ゴム板82の外周円環状部92が収容スペース60の上内面62に当接する際にも、同様に、外周円環状部92の周上の上死点の上面が初めに当接し、その後、外周円環状部92の弾性変形量の増大に伴い、当接面が次第に周方向両側に広がって当接面積が大きくなる。即ち、外周円環状部92が、上下各面における凸部の中央以外の部分においても、収容スペース60の内面62,64に対して打ち当たることとなる。
このような当接状態を生ずることにより、可動ゴム板82の当接時には、外周円環状部92の弾性変形に伴う減衰作用乃至は当接エネルギーの吸収作用に基づいて、可動ゴム板82の当接時の衝撃が効果的に緩和される。これにより、仕切部材本体46に振動を惹起せしめる衝撃そのものを軽減乃至は吸収することが可能となり、その結果、可動ゴム板82の収容スペース60の内面62,64に対しての当接に起因する異音等の発生を一層抑えることが可能となる。
特に本実施形態では、可動ゴム板82の収容スペース60の内面62,64に対する当接時の小さな衝撃は、第一乃至第五の緩衝リップ突起94,96,98,104,106の弾性変形によっても吸収されることから、一層効果的な衝撃の緩和効果を発揮することが可能となる。
更にまた、本実施形態では、小さな緩衝リップ突起だけでなく、所定厚さの可動ゴム板82本体の弾性変形を利用して、可動ゴム板82の収容スペース60の内面62,64に対する当接時のエネルギー吸収作用が発揮されることから、大きな当接時の衝撃も有効に吸収,軽減することが可能となるのである。
しかも、本実施形態では、特に自由変位端となるために打ち当たり時の変位速度が最も大きくなり易い、可動ゴム板82の外周縁部(外周円環状部92)において、当接時の衝撃吸収作用を発揮する波状部が形成されていることから、波状部による当接時の衝撃吸収効果をより一層効果的に発揮することが可能となる。
加えて、本実施形態では、可動ゴム板82の外周縁部近くに薄肉の連結部100を形成して、外周円環状部92を中央平板状部90からある程度独立して変形変位可能に構成したことにより、外周円環状部92における変位と弾性変形が、中央平板状部90によって不必要に拘束されてしまうことが回避されて、外周円環状部92の当接時の弾性変形が有利に生ぜしめられるようになっている。それ故、外周円環状部92の弾性変形に伴う上述の如き当接時の衝撃吸収効果を、一層有効に発揮することが可能となる。
また、可動ゴム板82の外周部分に波状部(外周円環状部92)を形成したことにより、可動ゴム板82の全体の弾性や剛性のバランスを有利に確保することが可能となる。
さらに、本実施形態では、仕切部材本体46と連結ゴム弾性体48によって構成された振動系の共振周波数が、第二の取付金具14が取り付けられる車両ボデーの固有振動数を外すようにチューニングされていることから、かかる振動系の共振現象が問題となることもない。
更にまた、本実施形態では、仕切部材本体46が、オリフィス部材44の中心軸から軸直角方向外方にずれた位置において、連結ゴム弾性体48によってオリフィス部材44に対して弾性支持されていることから、凹溝74の一方の端部を、第二の取付金具14のゴム固着部22の内周縁部よりも径方向内方にまで延び出させて、ゴム固着部22よりも内周側でオリフィス部材44の上面に凹溝74の端部を開口せしめることが可能となる。これにより、オリフィス部材44の軸方向寸法を大きくして、オリフィス通路80の受圧室70側への連通孔を、径方向内方に開口するようにして形成する必要がなくなり、その結果、オリフィス部材44の軸方向寸法(厚さ寸法)を小さくすることが可能となる。従って、エンジンマウント10の軸方向サイズを小さくすることが可能となる。また、仕切部材本体46の大きさを確保することも可能となり、それによって、仕切部材本体46と連結ゴム弾性体48によって構成された振動系の共振周波数のチューニング自由度を確保することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態では、中央平板状部90の板厚寸法と、外周円環状部92における上面側の凸部と下面側の凸部との間の板厚方向での離隔寸法(うねり高さ寸法)が、略同じに設定されており、それによって、可動ゴム板82が軸方向に変位せしめられて収容スペース60の内面62,64に当接する際、中央平板状部90と外周円環状部92が略同時に当接するようになっていたが、図9に示されているように、波状部である外周円環状部92の上下面の上下死点を、中央円板状部90の上下面よりも更に板厚方向外方に突出させても良い。このようにすれば、中央平板状部90よりも先に外周円環状部92が収容スペース60の内面62,64に当接することとなり、外周円環状部92の弾性変形による衝撃の吸収効果を一層効果的に発揮することが可能となる。或いは、図10に示されているように、可動ゴム板82の上下面の一方の面においてだけ、波状部である外周円環状部92が収容スペース60の内面(下面64または上面62)に対して当接されるようになっていても良い。これにより、少なくとも一方の面への当接に伴う衝撃の吸収効果は有効に発揮することが可能となる。なお、図9および図10は、可動ゴム板82の外周面を軸直角方向外方から見た状態をモデル的に示す側面図である。また、理解を容易にするために、前記実施形態と同様な構造とされた部材および部位には、前記実施形態と同一の符号を付してある。
また、波状部は、前記実施形態のように、周方向に波状凹凸が連続して形成されているものに限定されず、例えば、一方向に波状凹凸が連続して形成されるもの、或いは可動ゴム板の複数の領域に分割位置せしめられて波状凹凸が形成されるもの等、各種の態様を採用することが可能である。更に、前記実施形態では、可動ゴム板における波状部は、外周縁部に形成されていたが、例えば、可動ゴム板の実質的に全体を波状部として構成することも可能である。更にまた、可動ゴム板82の外周縁部に波状部を形成する場合、薄肉の連結部100は、必ずしも必要ではない。また、波状部としては、その形状やピッチ,凹凸の大きさ等は、波状部の肉厚寸法(可動ゴム板の板厚寸法)や材料,及ぼされる液圧の大きさ等に応じて、有効な当接衝撃吸収効果が発揮されるように適宜に設定される。そこにおいて、有効な当接衝撃吸収効果を得るためには、波状凹凸の具体的形状として、例えば鋸歯状の角部を直線で繋いだ形状の凹凸よりも、サイン波状の角部を持たない湾曲形状の凹凸の方が好適に採用される。また、波状部の厚さ寸法(波状部が緩衝リップ突起を有する場合には、かかる緩衝リップ突起を含んだ厚さ寸法)は、2mm〜15mmとすることが望ましい。なお、波状部を含めて可動ゴム板は、その全体が一定の厚さ寸法とされている必要はない。更にまた、波状部の凹凸のピッチ数:Pは、収容スペース内面に対する安定した当接状態と有効な衝撃吸収機能を得るために、凹凸が2周期以上となるようにすることが望ましく、より好適には、隣り合う凸部と凸部又は凹部と凹部の間の距離:PLが10mm≦PL≦50mmとされる。更に、波状部の凹凸の深さ:D(凸部の先端と凹部の底の厚さ方向での離隔距離)を0.1mm以上とすることが望ましく、より好適には0.2mm≦D≦1mmとされる。
また、前記実施形態では、平板状部(中央平板状部90)の厚さ方向両面に対して、緩衝リップ突起(第一乃至第三の緩衝リップ突起94,96,98)が一体形成されていると共に、収容スペース60における一対の対向内面62,64と、可動ゴム板82の厚さ方向両面の緩衝リップ突起(第一乃至第三の緩衝リップ突起94,96,98)との間に隙間が形成されて、収容スペース60内で平板状部(中央平板状部90)が所定量だけ板厚方向に自由変位可能とされていたが、例えば、平板状部を、収容スペースにおける一対の対向内面によって、その緩衝リップ突起を所定量だけ弾性変形させた状態で挟み込んで配設し、緩衝リップ突起の弾性変形に基づいて収容スペース内で平板状部が板厚方向で実質的に変位せしめられるようにすることで、平板状部の収容スペース内面への打ち当たりに起因する衝撃を効果的に吸収,軽減するようにしても良い。
また、前記実施形態では、可動ゴム板82の両面に緩衝リップ突起94,96,98,104,106が一体形成されていたが、これらの緩衝リップ突起は必ずしも必要なものではないし、例示の如く周方向又は軸直角方向に連続して延びる突条形態の緩衝リップ突起の他、シボ状の独立した多数の緩衝リップ突起等も採用可能である。
また、前記実施形態では、可動ゴム板82が、中央平板状部90の外側に外周円環状部92が設けられた構造とされていたが、円形平板状の可動ゴム板を採用することも可能である。
さらに、本体ゴム弾性体16の具体的形状や、オリフィス通路80の具体的構造および形状等は、マウントに要求される防振特性や配設予定スペース等を考慮して適宜に変更されるものであり、前記実施形態のものに限定されないことは勿論である。
更にまた、仕切部材本体46と連結ゴム弾性体48によって構成された振動系の共振周波数は、前記実施形態のものに限定されることはない。
また、仕切部材本体46と連結ゴム弾性体48によって構成された振動系の共振を利用して、高周波数域の振動入力時における受圧室の液圧吸収機構を構成することも可能であり、それによって、例えば、加速騒音に対するエンジンマウントの受動的な防振性能の向上を図ることも可能となる。
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用のエンジンマウントに適用したものの具体例について説明したが、本発明は、自動車用ボデーマウントやデフマウントの他、自動車以外の各種振動体の防振マウントに対して、何れも、適用可能であることは、言うまでもない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
10 エンジンマウント
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
32 ダイヤフラム
42 仕切部材
44 オリフィス部材
46 仕切部材本体
48 連結ゴム弾性体
54 蓋板金具
60 収容スペース
70 受圧室
72 平衡室
80 オリフィス通路
82 可動ゴム板
84 底壁
86 透孔
88 透孔
12 第一の取付金具
14 第二の取付金具
16 本体ゴム弾性体
32 ダイヤフラム
42 仕切部材
44 オリフィス部材
46 仕切部材本体
48 連結ゴム弾性体
54 蓋板金具
60 収容スペース
70 受圧室
72 平衡室
80 オリフィス通路
82 可動ゴム板
84 底壁
86 透孔
88 透孔
Claims (10)
- 防振連結される一方の部材に取り付けられる第一の取付部材と防振連結される他方の部材に取り付けられる第二の取付部材を本体ゴム弾性体で連結せしめ、該本体ゴム弾性体で壁部の一部が構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容される平衡室を、該第二の取付部材で支持された仕切部材を挟んだ両側に形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に連通するオリフィス通路を設ける一方、該仕切部材に設けられた収容スペースに可動板を収容配置すると共に、該収容スペースを該受圧室と該平衡室にそれぞれ接続する通孔を形成し、該通孔を通じて該可動板の一方の面に該受圧室の圧力が及ぼされ且つ他方の面に該平衡室の圧力が及ぼされるようにして、振動入力時における該受圧室の微小圧力変動を該可動板を介して該平衡室に逃がして吸収するようにした流体封入式防振装置において、
前記仕切部材が、前記第二の取付部材によって固定的に支持される、環状のオリフィス部材と、該オリフィス部材の内周側に配された仕切部材本体とを、それらオリフィス部材と仕切部材本体の間に配された連結ゴム弾性体によって連結せしめた構造とされており、該オリフィス部材によって前記オリフィス通路が構成されている一方、該仕切部材本体に対して前記可動板が収容配置される前記収容スペースが設けられており、該仕切部材本体において該収容スペースを画成する壁部のうち該可動板の可動方向で対向位置する一対の壁部のそれぞれに前記通孔が形成されることによって、該収容スペースが前記受圧室と前記平衡室にそれぞれ接続されていることを特徴とする流体封入式防振装置。 - 前記仕切部材本体と前記連結ゴム弾性体によって構成された振動系の共振周波数が、前記第二の取付部材が取り付けられる、前記防振すべき他方の部材の固有振動数とは異なる周波数にチューニングされている請求項1に記載の流体封入式防振装置。
- 前記仕切部材本体と、該仕切部材本体の外周側に配された金属スリーブとの間に前記連結ゴム弾性体を配設し、該連結ゴム弾性体を、それら仕切部材本体と金属スリーブに接着する一方、前記オリフィス部材を、該金属スリーブが圧入される圧入孔を備えた構造とし、該金属スリーブが該オリフィス部材に圧入固定されることによって、該仕切部材本体と該オリフィス部材が該連結ゴム弾性体で連結されるようにした請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
- 前記オリフィス部材の備える内孔が該オリフィス部材の中心軸に対して軸直角方向にずれた位置に形成されていることによって、前記仕切部材本体が該オリフィス部材の中心軸に対して軸直角方向にずれた位置で該オリフィス部材の内周側に配されている請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置。
- ゴム弾性体で形成された可動ゴム板によって前記可動板を構成すると共に、該可動板の少なくとも一部を、連続した凹凸をもって略波板形状で広がる波状部とした請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装置。
- 前記波状部が、前記収容スペースの内面に当接する面において、一体形成された緩衝リップ突起を有している請求項5に記載の流体封入式防振装置。
- 前記可動ゴム板の中央部分が円形の平板状部とされていると共に、該可動ゴム板の外周部分が全周に亘って周方向に波打った円環板形状とされて前記波状部が構成されている請求項5又は6に記載の流体封入式防振装置。
- 前記可動ゴム板が、その全体に亘って、前記収容スペースに対して板厚方向で所定量の隙間をもって微小変位可能に収容配置されていると共に、該可動ゴム板が変位せしめられて該収容スペースの内面に当接する際、該可動ゴム板の少なくとも一方の面において、前記波状部が該収容スペースの内面に対して最初に当接するようにされている請求項5乃至7の何れかに記載の流体封入式防振装置。
- 前記可動ゴム板の前記波状部における一方の面側の凸部と他方の面側の凸部との間の板厚方向でのうねり高さ寸法が前記収容スペースの対向内面間の距離よりも小さくされていることにより、該収容スペースの内面に対して該可動ゴム板の該波状部が板厚方向で所定の隙間をもって変位可能に収容配置されており、該波状部が板厚方向への変位によって該収容スペースの内面に当接するようになっている請求項5乃至8の何れかに記載の流体封入式防振装置。
- 前記第二の取付部材を略円筒形状として、該第二の取付部材の一方の開口部側に前記第一の取付部材を離隔配置せしめて、それら第一の取付部材と第二の取付部材を連結する前記本体ゴム弾性体で該第二の取付部材の一方の開口部を流体密に覆蓋すると共に、該第二の取付部材の他方の開口部を前記可撓性膜で流体密に覆蓋せしめる一方、前記仕切部材における前記オリフィス部材を該第二の取付部材で固定的に支持せしめて、該仕切部材を該本体ゴム弾性体と該可撓性膜の対向面間で該第二の取付部材の軸直角方向に広がるように配設することにより、該仕切部材を挟んだ両側に前記受圧室と前記平衡室を形成すると共に、該仕切部材における前記仕切部材本体の内部において該第二の取付部材の軸直角方向に広がるように前記収容スペースを形成して、該収容スペースに対して該第二の取付部材の軸直角方向に広がるように前記可動板を収容配置せしめた請求項1乃至9の何れかに記載の流体封入式防振装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004304866A JP2006118547A (ja) | 2004-10-19 | 2004-10-19 | 流体封入式防振装置 |
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- 2004-10-19 JP JP2004304866A patent/JP2006118547A/ja active Pending
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