JP2006255538A - 食品廃棄物の処理方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食品廃棄物からなる被処理物を水素発酵槽5で水素ガス、二酸化炭素、有機酸に分解し、生成した水素含有ガスを水素発酵ガス貯留タンク17に貯留するとともに、水素発酵後の発酵液をメタン発酵槽10内で好ましくは固定化担体11を使用してメタンガスと二酸化炭素に分解し、生成したメタン含有ガスをメタン発酵ガス貯留タンク20に貯留する。
【選択図】図1
Description
一方、下水汚泥や生ごみ等有機性廃棄物の処理方法として、嫌気性消化が注目されるようになっている。従来の嫌気性消化法では、有機物分解速度、消化ガス生成速度は満足できるほど高くないという問題点があり、その処理にはある程度大きな消化槽を用意する必要があった。しかし、分解速度が速くなれば、消化槽をよりコンパクトにすることができ、経済性・エネルギー収支等の改善が実現できる。
さらに、これよりもっと安定的な水素発酵法が提案されているが(例えば、特許文献3参照)、この方法は水素発酵槽の滞留時間を制御して、水素発酵を安定に行う方法に関する発明であり、やはり処理後の水素発酵液の処理の問題は解決されていない。
すなわち本発明は、
(1)食品廃棄物からなる被処理物を嫌気性消化処理する方法であって、水素発酵槽とメタン発酵槽を具備し、水素発酵処理とメタン発酵処理の組み合わせで消化を行うことを特徴とする食品廃棄物の処理方法、
(2)前記水素発酵処理が、中温または高温発酵処理であることを特徴とする(1)に記載の食品廃棄物の処理方法、
(3)前記メタン発酵処理が、中温または高温発酵処理であることを特徴とする(1)に記載の食品廃棄物の処理方法、
(4)前記メタン発酵が、固定化担体を備える固定化メタン発酵であることを特徴とする(1)または(3)に記載の食品廃棄物の処理方法、
(5)食品廃棄物からなる被処理物を嫌気性消化処理する方法であって、(I)加水分解微生物群および水素発酵微生物群を含有する水素発酵槽にて可溶化と水素発酵によって水素ガス生成を行う工程、(II)該工程で得られた発酵液をメタン発酵微生物の存在下、メタン発酵槽にてメタンガス生成を行う工程、を含むことを特徴とする食品廃棄物の処理方法、
(6)前記(I)の工程で発生した水素ガスを含有する気相部と、前記(II)の工程で発生したメタンガスを含有する気相部を燃料とすることを特徴とする(5)に記載の食品廃棄物の処理方法、および、
(7)食品廃棄物の嫌気性消化装置であって、水素発酵槽とメタン発酵槽を別々に備えることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の食品廃棄物の処理方法に用いる嫌気性消化装置、
を提供するものである。
本発明は、水素発酵槽とメタン発酵槽の2つの発酵槽を具備して、それぞれ水素発酵処理とメタン発酵処理を進めるものである。それは、水素発酵に係わる微生物は増殖速度が速く反応速度も速いにもかかわらず、従来の1槽式嫌気性発酵ではメタンガス生成微生物の増殖が遅くメタンガス生成反応が遅いため滞留時間を長く取る必要があり、さらに、水素ガスが発生しないといった問題点があった。これを克服するために、本発明では滞留時間の短い水素発酵槽を別に設け、水素発酵を効率よく行わせ、有機物の可溶化を進めると同時に水素を含むガスを取り出せるものである。
中温発酵と高温発酵では発酵に関与する微生物群集が異なり、それぞれ発酵できる温度範囲が限られている。そのため、本発明で上記のような温度範囲の中温発酵または高温発酵が好ましいのは、発酵温度が低すぎても高すぎても水素発酵やメタン発酵が上手く進まなくなるからである。
本発明においては、水素発酵槽内ではこの他に特定されない多様な水素発酵微生物が生育し、またメタン醗酵槽内でも上記の他に特定されない多様なメタン発酵微生物が生育する。このように、多様な微生物が存在することにより、原料である食品廃棄物を殺菌しなくても原料に対応した最適な微生物群が増殖し、安定した発酵、分解処理が行える。
まず、被処理対象である原料の食品廃棄物を粉砕し、含水率75〜99.9%、好ましくは85〜98%に調整し、これを水素発酵槽内で水素発酵微生物群と混合し、20℃以上、好ましくは30〜65℃、さらに好ましくは35〜60℃で湿式水素発酵処理させる。中温発酵の場合は、30〜40℃、高温発酵の場合は50〜65℃で処理させる。
水素発酵槽内のpHは、中温水素発酵ではpH5.0〜7.0、高温水素発酵ではpH5.0〜6.5に保持する。
続いて、水素発酵後の発酵液を原料として、メタン発酵槽内でメタン発酵微生物群と混合し、20℃以上、好ましくは30〜65℃、更に好ましくは35〜55℃で湿式メタン発酵処理させる。中温発酵の場合は30〜40℃で、高温発酵の場合は50〜65℃で処理させる。
メタン発酵処理でのpHは、中温および高温メタン発酵処理共pH6.5〜8.5に保持する。
また、本発明においては、メタン発酵槽に増殖の遅いメタン発酵微生物の住処となる固定化担体を具備し、槽内の微生物濃度を高くしてメタン生成の効率を向上させることができる。
最近実施されている好気的なコンポスト法によって生ごみ等から生産された有機性肥料では、その中に含まれる塩分が問題となる場合がある。しかし、本発明方法による場合は、固液分離した後の塩分は液相部中に多く含まれるため、固相である発酵残滓は塩分が少ないものとなり、本法により得られる有機性肥料はコンポスト法による有機性肥料に比べ塩分濃度が低いという利点を有する。
図1は本発明を実施する場合の工程を示す説明図である。
食品廃棄物(水を含む)1を貯留する撹拌装置3を有する原料貯留槽2より貯留原料配管4を通って、水素発酵および加水分解を生じさせる微生物群を含有する水素発酵槽5に供給する。水素発酵槽5は嫌気的な条件に保つ。
水素発酵および加水分解を生じさせる微生物群としては、下水処理場の下水汚泥の嫌気性消化汚泥やコンポスト(堆肥)、田畑の土壌等を使用すればよい。
本発明に係る水素発酵槽5は、槽内の原料と微生物群を撹拌して混合し、発酵反応を促進させるために、撹拌装置6を具備させることが望ましい。また、槽内の発酵液を抜き再度投入する発酵液の循環により撹拌を実現してもよい。
さらに、水素発酵槽5内で発生した水素を含むガスは水素発酵ガス配管16を通って水素発酵ガス貯留タンク17に貯留される。この場合の水素含有ガスは、通常H2:20〜80(容量)%、CO2:20〜80%(容量)を含有する。
このメタン発酵槽10において、有機酸を主体とする発酵液はメタン発酵微生物の作用を受け、メタンガスと二酸化炭素に分解される。このメタンガス生成処理により、原料液中の有機酸は迅速に安定的に分解される。
さらに、メタン発酵微生物の濃度を高く維持するために、メタン発酵微生物の住処となる固定化担体11をメタン発酵槽内に具備させることが好ましい。
一方、メタン発酵槽10で得られた発酵液はメタン発酵液配管13を通ってメタン発酵液貯留槽14に貯留される。
処理の済んだ発酵液は、従来のメタン発酵より有機物の分解率が高く、溶存有機物の濃度の低いものであり、必要に応じメタン発酵貯留液15とし、接触ばっ気法や活性汚泥法等の簡単な廃水処理をされた後放流される。固相は、有機性肥料やコンポスト、土地改良剤として再利用できる。
[実施例1]
35±1℃に保持できる有効容積0.16m3の水素発酵槽と、55±1℃に保持できる有効容積3.6m3のメタン発酵槽とを図1に示すように直列に接続した2段発酵装置を用意した。水素発酵槽、メタン発酵槽とも発酵液を撹拌できるように撹拌翼を取り付けてあり、さらにメタン発酵槽には固定化担体が充填してある。
前処理して夾雑物を取り除いた下記表1に記載した製糖(ビート)工場廃棄物を0.24m3/日の供給速度で水素発酵槽へ投入し、水素発酵槽より流出する水素発酵液をメタン発酵槽に投入した。
なお、水素発酵槽およびメタン発酵槽は、水素発酵微生物、メタン発酵微生物をあらかじめ各発酵原料と下水の嫌気性消化汚泥とで1か月以上馴養運転した。
発酵実験の結果は、実験条件が定常状態に達してから90日間継続し、その間に水素発酵液貯留槽、メタン発酵液貯留槽で得られた処理液を93日、100日、107日目にそれぞれ採取し、分析し、その平均値を次の表2に示した。比較例として、表1に示した原料液を1槽式のメタン発酵槽で、前記のメタン発酵と同条件で直接処理を実施したラボスケールのメタン発酵液の結果も表2に示した。
2.原料貯留槽
3.撹拌装置
4.貯留原料配管
5.水素発酵槽
6.撹拌装置
7.水素発酵液配管
8.水素発酵液貯留槽
9.水素発酵貯留液配管
10.メタン発酵槽
11.固定化担体
12.撹拌装置
13.メタン発酵液配管
14.メタン発酵液貯留槽
15.メタン発酵貯留液
16.水素発酵ガス配管
17.水素発酵ガス貯留タンク
18.撹拌装置
19.メタン発酵ガス配管
20.メタン発酵ガス貯留タンク
Claims (7)
- 食品廃棄物からなる被処理物を嫌気性消化処理する方法であって、水素発酵槽とメタン発酵槽を具備し、水素発酵処理とメタン発酵処理の組み合わせで消化を行うことを特徴とする食品廃棄物の処理方法。
- 前記水素発酵処理が、中温または高温発酵処理であることを特徴とする請求項1に記載の食品廃棄物の処理方法。
- 前記メタン発酵処理が、中温または高温発酵処理であることを特徴とする請求項1に記載の食品廃棄物の処理方法。
- 前記メタン発酵が、固定化担体を備える固定化メタン発酵であることを特徴とする請求項1または3に記載の食品廃棄物の処理方法。
- 食品廃棄物からなる被処理物を嫌気性消化処理する方法であって、(I)加水分解微生物群および水素発酵微生物群を含有する水素発酵槽にて可溶化と水素発酵によって水素ガス生成を行う工程、(II)該工程で得られた発酵液をメタン発酵微生物の存在下、メタン発酵槽にてメタンガス生成を行う工程、を含むことを特徴とする食品廃棄物の処理方法。
- 前記(I)の工程で発生した水素ガスを含有する気相部と、前記(II)の工程で発生したメタンガスを含有する気相部を燃料とすることを特徴とする請求項5に記載の食品廃棄物の処理方法。
- 食品廃棄物の嫌気性消化装置であって、水素発酵槽とメタン発酵槽を別々に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の食品廃棄物の処理方法に用いる嫌気性消化装置。
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