ところで、本発明者が、この種の圧力検出装置について試作検討を行ったところ、次に述べるような諸問題が生じることがわかった。
図10は、従来の圧力検出装置に基づいて本発明者が試作した試作品としての圧力検出装置の要部構成を示す概略断面図である。
このような圧力検出装置は、しばしば、図10に示されるように、被取付部材としての車両のエンジンブロック200に設けられ燃焼室202内の圧力(筒内圧)を検出する燃焼圧センサとして適用される。
この圧力検出装置のハウジング10には、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部としての検出素子30が設けられている。
この検出素子30は、たとえば、半導体チップなどからなり、印加された圧力によって自身が歪み、その歪みに基づいて検出圧力に応じた信号を出力する歪みゲージ機能を有するものにできる。
図10に示される例においては、この検出素子30は、一端側が開口部21であり、他端側が閉塞された薄肉状のダイアフラム22である中空筒状の金属ステム20に支持されており、この支持部材としての金属ステム20のダイアフラム22の外表面にガラス溶着などによって取り付けられている。
金属ステム20は、そのダイアフラム22側をハウジング10内に向けてハウジング10に挿入されており、金属ステム20とハウジング10とは、溶接または接着などにより接合され固定されている。
さらに、図10に示されるように、ハウジング10の先端部において、金属ステム20の開口部21には、金属製筒形状をなす筒部材としてのメタルケース16の一端部が溶接により接合され、固定されている。つまり、メタルケース16の一端部には、金属ステム20を介してセンシング部としての検出素子30が固定されている。
さらに、メタルケース16の他端部には、圧力を受圧する金属製円形板状の受圧用ダイアフラム15が設けられている。ここで、メタルケース16と受圧用ダイアフラム15とはレーザ溶接などの溶接により接合され、固定されている。
それにより、受圧用ダイアフラム15と金属ステム20とはメタルケース16を介して、一体化されている。そして、この受圧用ダイアフラム15は、たとえば上記燃焼室202に面して燃焼圧(筒内圧)を受け、歪み変形するものである。
また、金属ステム20の中空部およびメタルケース16の中空部により形成される空間内部には、たとえば金属やセラミックなどからなる圧力伝達部材17が設けられている。そして、受圧用ダイアフラム15と金属ステム20の感圧部としてのダイアフラム22との間に、圧力伝達部材17が介在した形となっている。
ここにおいて、図10の矢印に示されるように、圧力伝達部材17の一端部は、検出素子30に対して金属ステム20のダイアフラム22を介して予荷重を与えた状態で接触しており、一方、圧力伝達部材17の他端部は、受圧用ダイアフラム15に対して予荷重を与えた状態で接触している。
そして、このように受圧用ダイアフラム15、圧力伝達部材17および検出素子30により構成された圧力伝達機構において、燃焼室202内の圧力すなわち検出圧力は、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して金属ステム20のダイアフラム22および検出素子30に印加されるようになっている。
なお、このような圧力検出装置においては、検出素子(センシング部)30および金属ステム(支持部材)20が、センシング部30を有する第1の部材1として構成され、一方、受圧用ダイアフラム15およびメタルケース(筒部材)16が、受圧用ダイアフラム15を有する第2の部材1として構成されている。
そして、この圧力検出装置は、センシング部である検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に圧力伝達部材17を介在させ、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して検出素子30へ荷重(予荷重)を与えた状態で、第1の部材1と第2の部材2とが接合されてなる。
そして、この圧力検出装置は、図10に示されるように、エンジンブロック200に形成されたネジ穴201に挿入され、ハウジング10の外周面に形成されたネジ部13と当該ネジ穴201の内周面に形成されたネジ部203とをネジ締めすることにより、エンジンブロック(被取付部材)200に対してネジ結合されて取り付けられる。
このとき、受圧用ダイアフラム15が、測定環境である燃焼室202にさらされるように、圧力検出装置は取り付けられる。
そして、燃焼室202からの圧力の漏れを防止するために、圧力検出装置において検出素子30が取り付けられている金属ステム20の外周面にテーパ面23を設け、このテーパ面23をネジ穴201側のテーパ面に押しつけて接触させることによりシールを行っている。
それにより、受圧用ダイアフラム15が受けた燃焼室202の圧力は、圧力伝達部材17を介して金属ステム20のダイアフラム22に印加され、この金属ステム20のダイアフラム22を介して検出素子30へ伝達される。そして、検出素子30では、伝達され印加された圧力に応じたレベルの電気信号が出力される。それにより、この圧力検出装置においては、圧力の検出が可能となっている。
ここで、図10に示されるように、従来の圧力検出装置においては、受圧用ダイアフラム15がバネ機能を有し、この受圧用ダイアフラム15が発揮するバネ特性によって、受圧用ダイアフラム15、圧力伝達部材17および検出素子30間の予荷重、すなわち圧力伝達機構を構成する部材間の予荷重が保持され、また、これら各部材間の熱膨張差により生じる予荷重の変動が吸収されていた。
しかしながら、このように、受圧用ダイアフラム15が、受圧機能、予荷重保持機能、熱膨張差による予荷重変動吸収機能、圧力伝達機能を有し、さらには測定環境に直接さらされる場合、次のような問題が生じる。
まず、圧力検出装置が燃焼圧センサなどに用られる場合、燃焼時に燃焼室202内に火炎が発生すると、測定環境にさらされている受圧用ダイアフラム15には、その火炎が直接照射される。
すると、この火炎照射の瞬間に、受圧用ダイアフラム15が熱せられることで、受圧用ダイアフラム15が軟化し、受圧用ダイアフラム15のバネ特性の線形性が損なわれたり、ひいてはバネ特性が失われたりする。
また、受圧用ダイアフラム15においては、圧力伝達部材17によって受圧用ダイアフラム15の中央部に予荷重が印加されているため、過大な荷重が印加されると、受圧用ダイアフラム15のバネ特性の線形性が損なわれる。
また、熱衝撃などによる温度変化によって、低温時や高温時に受圧用ダイアフラム15のバネ特性の線形性が損なわれる可能性がある。
また、上述したように、受圧用ダイアフラム15は、測定環境である燃焼室202にさらされているため、燃焼室202にて発生するすすなどの堆積物(デポジット)が、受圧用ダイアフラム15の表面に付着する。
すると、この堆積物の受圧用ダイアフラム15への付着により、受圧用ダイアフラム15のバネ特性が初期状態から変化したり、損なわれたりする。
このように、従来では、熱の印加や堆積物の付着、さらには、過大な荷重印加により、受圧用ダイアフラム15のバネ特性の線形性が損なわれるなどの種々の問題が生じる。つまり、従来では、受圧用ダイアフラム15、圧力伝達部材17およびセンシング部30により構成される圧力伝達機構に作用するバネ特性が変動し、センサ特性に悪影響を与えてしまう。
また、さらなる問題として、次のような問題が生じる。上記図10に示したように圧力検出装置のエンジンブロック(被取付部材)200への取付時においては、センシング部である検出素子30が直接取り付けられている支持部材としての金属ステム20に、シール面としてのテーパ面23を設けており、このテーパ面23をエンジンブロック200のネジ穴201の内面に押しつけることでシールを行っている。
しかしながら、この場合、圧力検出装置をエンジンブロック200へ取り付けるときにおいて、シール面23を有する部材としての金属ステム20は、そのネジ穴201への押しつけにより変形する可能性がある。
このように金属ステム20が変形した場合、その変形が機械的ノイズとして、金属ステム20に直接取り付けられている検出素子30に伝達されることから、検出素子30のセンシング特性に悪影響を与えやすい。
本発明は、上記したような諸問題に鑑みてなされたものであり、圧力伝達部材を受圧用ダイアフラムとセンシング部とで挟み付けるように予荷重を印加した状態で接触させることにより、圧力伝達機構を構成してなる圧力検出装置において、これら圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減することを第1の目的とする。
また、本発明の第2の目的は、上記第1の目的を達成しつつ、さらに、圧力検出装置の被取付部材への取付時における機械的ノイズによるセンサ特性への悪影響を低減することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部(30)と、圧力を受圧する受圧用ダイアフラム(15)と、一端部にセンシング部(30)が固定され他端部に受圧用ダイアフラム(15)が固定された筒形状をなす筒部材(16)と、筒部材(16)の内部に収納され受圧用ダイアフラム(15)の受けた圧力をセンシング部(30)へ伝達する圧力伝達部材(17)とを備え、センシング部(30)と受圧用ダイアフラム(15)との間に圧力伝達部材(17)を介在させ、受圧用ダイアフラム(15)から圧力伝達部材(17)を介してセンシング部(30)へ荷重を与えた状態となっている圧力検出装置において、
筒部材(16)は、その側面にバネ部(16b)を備えており、このバネ部(16b)の弾性力が筒部材(16)の両端部を結ぶ方向に作用するようになっていることを特徴としている。
それによれば、筒部材(16)のバネ部(16b)の弾性力が筒部材(16)の両端部を結ぶ方向に作用するため、この筒部材(16)のバネ部(16b)のバネ特性により、受圧用ダイアフラム(15)、圧力伝達部材(17)およびセンシング部(30)の間の予荷重が保持されるとともに、これら各部材間の熱膨張差により生じる予荷重の変動が吸収される。
そして、筒部材(16)は、受圧用ダイアフラム(15)よりも測定環境に対して後方に位置するので、筒部材(16)のバネ部(16b)においては、熱や堆積物の付着などによるバネ特性の変化は極力抑制することができる。
つまり、本発明では、従来、受圧用ダイアフラムに持たせていた予荷重保持および熱膨張差による予荷重変動吸収の機能を、筒部材(16)のバネ部(16b)に持たせることができるため、受圧用ダイアフラム(15)は、バネ特性を持たない剛性の高いプレートとすることができる。
よって、本発明では、従来の受圧用ダイアフラムにおける熱や堆積物の付着によるバネ特性の線形性の変化などのバネ特性の変動という問題を回避することができ、筒部材(16)に設けたバネ部(16b)によって、熱や堆積物の付着などによる変化が極力抑制されたバネ特性を実現することができる。
したがって、本発明によれば、圧力伝達部材(17)を受圧用ダイアフラム(15)とセンシング部(39)とで挟み付けるように予荷重を印加した状態で接触させることにより圧力伝達機構を構成してなる圧力検出装置において、これら圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減することができる。
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の圧力検出装置において、筒部材(16)の外周面には、装置を被取付部材(200)に取り付けたとき被取付部材(200)に押しつけられて被取付部材(200)との間でシールが行われるシール面(16c)が設けられており、センシング部(30)は、筒部材(16)とは別体の支持部材(20)に取り付けられており、支持部材(20)は、筒部材(16)の一端部側に接合されていることを特徴としている。
上述したように、センシング部を、被取付部材との間でシールが行われるシール面を有する部材に直接取り付けた場合、装置を被取付部材に取り付けたとき、当該シール面が被取付部材に押しつけられることにより、シール面を有する部材が変形し、その変形が機械的ノイズとしてセンシング部に悪影響を与える可能性がある。
そこで、本発明者は、被取付部材との間でシールが行われるシール面を有する部材と、センシング部が取り付けられる部材とを別体のものとすることで、シール面を有する部材からの機械的ノイズを、センシング部へ伝達されにくくすることに着目した。
上記請求項2に記載の発明によれば、装置の被取付部材(200)への取付時において、シール面を有する筒部材(16)は、その押しつけにより変形する可能性があるが、その変形は、別体の支持部材(20)に取り付けられているセンシング部(30)には、伝達されにくい。
したがって、本発明によれば、圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減するとともに、さらに、圧力検出装置の被取付部材(200)への取付時における機械的ノイズによるセンサ特性への悪影響を低減することができる。つまり、上記第2の目的を達成することができる。
さらに、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の圧力検出装置において、支持部材(20)と筒部材(16)との接合は、ネジ結合によりなされていることを特徴としている。
それによれば、ネジ締めの量を調整することにより、受圧用ダイアフラム(15)、圧力伝達部材(17)およびセンシング部(30)の間の予荷重、すなわち圧力伝達機構に加わる予荷重を調節することができるため、好ましい。
請求項4に記載の発明では、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部(30)を有する第1の部材(1)と、圧力を受圧する受圧用ダイアフラム(15)を有する第2の部材(2)と、受圧用ダイアフラム(15)の受けた圧力をセンシング部(30)へ伝達する圧力伝達部材(17)とを備え、センシング部(30)と受圧用ダイアフラム(15)との間に圧力伝達部材(17)を介在させ、受圧用ダイアフラム(15)から圧力伝達部材(17)を介してセンシング部(30)へ荷重を与えた状態で、第1の部材(1)と第2の部材(2)とが連結されている圧力検出装置において、
センシング部(30)と受圧用ダイアフラム(15)とが隔てられている方向にこれら両者(15、30)に対して弾性力を作用させるバネ部材(70)が、第1の部材(1)と第2の部材(2)との間に介在していることを特徴としている。
それによれば、第1の部材(1)と第2の部材(2)との間に介在しているバネ部材(70)の弾性力が、センシング部(30)と受圧用ダイアフラム(15)とが隔てられている方向においてこれら両者(15、30)に対して作用するため、このバネ部材(70)のバネ特性により、受圧用ダイアフラム(15)、圧力伝達部材(17)およびセンシング部(30)の間の予荷重が保持されるとともに、これら各部材間の熱膨張差により生じる予荷重の変動が吸収される。
そして、バネ部材(70)は、第1の部材(1)と第2の部材(2)との間に介在することで受圧用ダイアフラム(15)よりも測定環境に対して後方に位置するので、バネ部材(70)においては、熱や堆積物の付着などによるバネ特性の変化は極力抑制することができる。
つまり、本発明においても、従来、受圧用ダイアフラムに持たせていた予荷重保持および熱膨張差による予荷重変動吸収の機能を、バネ部材(70)に持たせることができるため、受圧用ダイアフラム(15)は、バネ特性を持たない剛性の高いプレートとすることができる。
よって、本発明においても、従来の受圧用ダイアフラムにおける熱や堆積物の付着によるバネ特性の線形性の変化などのバネ特性の変動という問題を回避することができ、バネ部材(70)によって、熱や堆積物の付着などによる変化が極力抑制されたバネ特性を実現することができる。
したがって、本発明によれば、圧力伝達部材(17)を受圧用ダイアフラム(15)とセンシング部(30)とで挟み付けるように予荷重を印加した状態で接触させることにより圧力伝達機構を構成してなる圧力検出装置において、これら圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減することができる。
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の圧力検出装置において、第1の部材(1)は、センシング部(30)が取り付けられた支持部材(20)と、装置を被取付部材(200)に取り付けたとき被取付部材(200)に押しつけられて被取付部材(200)との間でシールが行われるシール面(26)を、外周面に有する取付部材(24)とを備え、支持部材(20)と取付部材(24)とが接合されてなるものであることを特徴としている。
本発明も、シール面を有する部材からの機械的ノイズのセンシング部への伝達防止を鑑みてなされたものであり、それによれば、装置の被取付部材(200)への取付時において、シール面(26)を有する取付部材(24)は、その押しつけにより変形する可能性があるが、その変形は、別体の支持部材(20)に取り付けられているセンシング部(30)には、伝達されにくい。
したがって、本発明によれば、圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減するとともに、さらに、圧力検出装置の被取付部材(200)への取付時における機械的ノイズによるセンサ特性への悪影響を低減することができる。つまり、上記第2の目的を達成することができる。
さらに、請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の圧力検出装置において、支持部材(20)と取付部材(24)との接合は、ネジ結合によりなされていることを特徴としている。
それによれば、上記請求項3に記載の発明と同様に、圧力伝達機構に加わる予荷重を調節することができるため、好ましい。
また、請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6に記載の圧力検出装置において、受圧用ダイアフラム(15)と圧力伝達部材(17)とは一体に成形されていることを特徴としている。
上述したように、請求項1〜請求項6に記載の圧力検出装置においては、受圧用ダイアフラム(15)は、バネ特性を持たない剛性の高いプレートとすることができるため、本発明のように、圧力伝達部材(17)と一体に成形されたものにできる。
請求項8に記載の発明では、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部(30)を有する第1の部材(1)と、圧力を受圧する受圧用ダイアフラム(15)を有する第2の部材(2)と、受圧用ダイアフラム(15)の受けた圧力をセンシング部(30)へ伝達する圧力伝達部材(17)とを備え、センシング部(30)と受圧用ダイアフラム(15)との間に圧力伝達部材(17)を介在させ、受圧用ダイアフラム(15)から圧力伝達部材(17)を介してセンシング部(30)へ荷重を与えた状態で、第1の部材(1)と第2の部材(2)とが連結されている圧力検出装置において、
センシング部(30)と受圧用ダイアフラム(15)とが隔てられている方向にこれら両者(15、30)に対して弾性力を作用させるバネ部材(70)が、受圧用ダイアフラム(15)と圧力伝達部材(17)との間、もしくは、圧力伝達部材(17)とセンシング部(30)との間に介在していることを特徴としている。
それによれば、バネ部材(70)の弾性力が、センシング部(30)と受圧用ダイアフラム(15)とが隔てられている方向においてこれら両者(15、30)に対して作用するため、このバネ部材(70)のバネ特性により、受圧用ダイアフラム(15)、圧力伝達部材(17)およびセンシング部(30)の間の予荷重が保持されるとともに、これら各部材間の熱膨張差により生じる予荷重の変動が吸収される。
そして、バネ部材(70)は、受圧用ダイアフラム(15)と圧力伝達部材(17)との間、もしくは、圧力伝達部材(17)とセンシング部(30)との間に介在することで受圧用ダイアフラム(15)よりも測定環境に対して後方に位置するので、バネ部材(70)においては、熱や堆積物の付着などによるバネ特性の変化は極力抑制することができる。
つまり、本発明においても、従来、受圧用ダイアフラムに持たせていた予荷重保持および熱膨張差による予荷重変動吸収の機能を、バネ部材(70)に持たせることができるため、受圧用ダイアフラム(15)は、バネ特性を持たない剛性の高いプレートとすることができる。
よって、本発明においても、従来の受圧用ダイアフラムにおける熱や堆積物の付着によるバネ特性の線形性の変化などのバネ特性の変動という問題を回避することができ、バネ部材(70)によって、熱や堆積物の付着などによる変化が極力抑制されたバネ特性を実現することができる。
したがって、本発明によれば、圧力伝達部材(17)を受圧用ダイアフラム(15)とセンシング部(30)とで挟み付けるように予荷重を印加した状態で接触させることにより圧力伝達機構を構成してなる圧力検出装置において、これら圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減することができる。
また、請求項9に記載の発明のように、請求項1〜請求項8に記載の圧力検出装置は、エンジンの燃焼室内の燃焼圧を測定するもの、すなわち燃焼圧センサとして適用することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧力検出装置100の全体構成を示す概略断面図であり、本圧力検出装置100を被取付部材であるエンジンブロック200に取り付けた状態を示す。
また、図2は、図1中におけるハウジング10のパイプ部12の先端部の近傍部を拡大して示す概略断面図であり、本実施形態の圧力検出装置100の要部を示す図である。用途を限定するものではないが、この圧力検出装置100は、燃焼圧センサとして適用することができる。
[構成等]
図1に示されるように、燃焼圧センサとしての圧力検出装置100は、ハウジング10のパイプ部12が自動車のエンジンブロック200におけるネジ穴201に挿入されネジ結合によって取り付けられており、燃焼室202内の圧力(いわゆる筒内圧)を検出圧力として検出するセンサとして構成されている。
本実施形態の圧力検出装置100のハウジング10は、円筒状の本体部11とこの本体部11よりも細い細長筒形状のパイプ部12とからなる。
これら本体部11およびパイプ部12は、切削や冷間鍛造等により加工された、たとえばステンレスなどの金属製のものである。本例では、パイプ部12は円筒パイプ形状をなすものとしているが、角パイプ形状でもよい。
なお、ハウジング10において、本体部11とパイプ部12とは一体形成されたものであってもよいし、これら両者11、12をそれぞれ別体に形成し、その後でこれら両者11、12を溶接や接着あるいは圧入、ネジ結合、かしめなどにより接合して一体化したものであってもよい。
このように、本実施形態の圧力検出装置100においては、ハウジング10は、その一端側から突出するように設けられた細長形状のパイプ部12を備えたものとして構成されている。また、ハウジング10におけるパイプ部12の外周面には、被取付部材としてのエンジンブロック200にネジ結合可能なネジ部13が形成されている。
そして、ハウジング10のパイプ部12は、エンジンブロック(被取付部材)200に形成されたネジ穴201に挿入され、ハウジング10の側のネジ部13とネジ穴201の内周面に形成されたネジ部203とがネジ締め可能になっている。
このようなネジ締めの構成により、エンジンブロック200に対して圧力検出装置100がネジ結合されて取り付けられるようになっている。このとき、後述する受圧用ダイアフラム15が、測定環境である燃焼室202にさらされるように、圧力検出装置100は取り付けられる。
そして、この圧力検出装置100のエンジンブロック200への取付状態においては、検出圧力としての燃焼室内の圧力(筒内圧)Pは、図1、図2中の白抜き矢印に示されるように、パイプ部12の先端部側から上記受圧用ダイアフラム15に印加されるようになっている。
また、ハウジング10におけるパイプ部12の先端部には、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部としての検出素子30が設けられている。
この検出素子(センシング部)30は、たとえば、半導体チップなどからなり、印加された圧力によって自身が歪み、その歪みに基づいて検出圧力に応じた信号を出力する歪みゲージ機能を有するものにできる。
ここで、本実施形態の圧力検出装置100においては、検出素子30は、図1および図2に示されるように、支持部材としての金属ステム20に直接取り付けられている。この金属ステム20は、中空円筒形状に加工されたコバールなどからなる金属製の部材として構成されている。
本実施形態では、金属ステム(支持部材)20は、一端側が開口部21、他端側が閉塞された薄肉状の歪み部としてのダイアフラム22である中空筒状をなすものである。そして、検出素子30は、金属ステム20のダイアフラム22の外表面にガラス溶着などによって取り付けられている。
また、図2に示されるように、金属ステム20の外周面には、雄ネジとしてのネジ部23が形成されている。なお、本例では、金属ステム20の中空部は円筒状であるものとしているが、この金属ステム20の中空部は角筒状でもよい。
そして、金属ステム20は、そのダイアフラム22側をパイプ部12内に向け開口部21を燃焼室202側に向けてパイプ部12に挿入されている。さらに、図1、図2に示されるように、ハウジング10におけるパイプ部12の先端部には、筒形状をなす筒部材としてのメタルケース16が溶接などにより接合固定されている。
このメタルケース(筒部材)16は、たとえばステンレスなどの金属製の板材を筒状に加工することにより形成されたものである。そして、メタルケース16におけるパイプ部12側の一端部(図1、図2中の下端部)が、金属ステム20の開口部21の外周を取り囲むように配置されている。
また、メタルケース16の一端部側の内周面には、雌ネジとしてのネジ部16aが形成されており、このメタルケース16のネジ部16aと金属ステム20のネジ部23とがネジ結合されている。
ここで、図2に示されるように、メタルケース16の一端部と金属ステム20との間には、金属製環状をなすワッシャ18が介在している。そして、このワッシャ18により、メタルケース16と金属ステム20とのネジ結合におけるネジの緩みが防止されるようになっている。
このようにして、メタルケース16の一端部には金属ステム20を介して検出素子30が固定されている。そして、メタルケース16の中空部と金属ステム20の開口部21と連通しつつ、メタルケース16の一端部は、金属ステム20のダイアフラム22によって閉塞されている。
また、本実施形態では、図1、図2に示されるように、メタルケース16の側面には、バネ部16bが設けられている。このバネ部16bの弾性力はメタルケース16の両端部を結ぶ方向(図1、図2中の上下方向つまり筒状メタルケースの軸方向)に作用するようになっている。
つまり、本実施形態では、メタルケース16自身が、メタルケース16自身の両端部を結ぶ方向にバネ部16bによって弾性的に伸縮可能なベローズ構造を有したものとなっている。ここでは、メタルケース16のバネ部16bは蛇腹状のものであり、このようなバネ部16bは型成形により作ることができる。
また、メタルケース16の外周面のうちバネ部16bと一端部との間には、シール面16cが形成されている。ここでは、シール面16cは、メタルケース16の一端部からバネ部16bに向かって径が拡がるテーパ状をなすテーパ面となっている。
このシール面16cは、本圧力検出装置100をエンジンブロック200にネジ結合により取り付けたとき、その軸力によってネジ穴201の内面に押しつけられて密着するものである。それによって、このシール面16cとエンジンブロック200との間でシールが行われる。
さらに、メタルケース16の他端部(図1、図2中の上端部)には、圧力を受圧する上記受圧用ダイアフラム15が設けられている。そして、この受圧用ダイアフラム15により、メタルケース16の他端部も閉塞されている。
この受圧用ダイアフラム15は、たとえばステンレスなどの金属製円形板状のものであり、その周辺部がメタルケース16の他端部に対して、ロウ付けや溶接などによって接合固定されている。
それにより、受圧用ダイアフラム15と金属ステム20とはメタルケース16を介して、一体化されている。そして、この受圧用ダイアフラム15は、図1、図2中の白抜き矢印に示されるように、上記燃焼室に面して燃焼圧(筒内圧)Pを受け、歪み変形するものである。
また、メタルケース(筒部材)16の外周面のうちバネ部16bと他端部との間には、熱風遮断リング19が設けられている。この熱風遮断リング19は、たとえば、PTFE(ポリテトラフレオンエチレン)などの耐熱性樹脂からなる環状のもので、メタルケース16の外周面に設けられた溝に圧入されるなどにより、メタルケース16に取り付けられている。
この熱風遮断リング19は、圧力検出装置100のエンジンブロック200への取付状態において、ネジ穴201の内面に密着しており、それによって、燃焼室202からの熱風や堆積物などの侵入が防止されるようになっている。
また、金属ステム20の中空部およびメタルケース16の中空部により形成される空間内部には、圧力伝達部材17が設けられている。本例では圧力伝達部材17は棒状のものとなっている。
こうして、受圧用ダイアフラム15と金属ステム20の感圧部としてのダイアフラム22との間に圧力伝達部材17が介在した形となっている。この圧力伝達部材17は、たとえばステンレスなどの金属やセラミックなどからなるものである。
ここで、圧力伝達部材17の一端部(図1、図2中の下端部)は、金属ステム20のダイアフラム22に対して予荷重を与えた状態で接触しており、圧力伝達部材17の他端部(図1、図2中の上端部)は、受圧用ダイアフラム15に対して予荷重を与えた状態で接触している。
ここでは、圧力伝達部材17は棒状の部材であるが、圧力伝達部材17の形状はこれに限定されるものではなく、たとえば球状、偏球状、鼓状などであってもよい。そして、検出圧力Pは、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して金属ステム20のダイアフラム22および検出素子30に印加されるようになっている。
また、歪みゲージ機能を有する検出素子30としては、限定するものではないが、たとえば、半導体プロセスによってシリコン半導体チップに対して、拡散抵抗素子などにより構成されるブリッジ回路などを形成してなるものなどを採用することができる。
このような歪みゲージ機能を有する半導体チップは、圧力によって金属ステム20の感圧部としてのダイアフラム22が変形したとき、この変形に応じて半導体チップ自身も歪むことにより、その歪みによって生じる抵抗値変化を電気信号に変換して出力する機能を有するものである。
なお、本実施形態では、この検出素子30が、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部30として構成されており、これら検出素子30および金属ステム20のダイアフラム22が、検出圧力Pによる荷重を受けて歪む部位として構成されている。そして、これらダイアフラム22および検出素子30は、圧力検出装置100の基本性能を左右するものである。
ここで、金属ステム20を構成する金属材料について、さらに述べるならば、当該金属材料に対しては、高圧を受けることから高強度であること、及び、Si半導体などからなる検出素子30を低融点ガラスなどにより接合することなどのため、低熱膨張係数であることが求められる。
具体的には、金属ステム20の金属材料としては、Fe、Ni、CoまたはFe、Niを主体とし、析出強化材料としてTi、Nb、Alまたは、Ti、Nbが加えられた材料、たとえば析出硬化型のステンレスなどを選定することができ、この金属ステム20は、プレス、切削や冷間鍛造などにより形成することができる。
このような圧力検出装置100においては、上記した検出素子(センシング部)30および金属ステム(支持部材)20が、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部30を有する第1の部材1として構成されたものとなっている。
一方、本圧力検出装置100においては、上記した受圧用ダイアフラム15およびこれと一体化されたメタルケース(筒部材)16が、圧力を受圧するダイアフラム15を有する第2の部材2として構成されたものとなっている。
そして、本実施形態においては、圧力検出装置100は、センシング部である検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に圧力伝達部材17を介在させ、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して検出素子30へ予荷重を与えた状態で、第1の部材1と第2の部材2とが接合されてなるものとして構成されている。
さらに言うならば、本実施形態では、第1の部材1は、一端側が開口部21、他端側にセンシング部30としての検出素子30が取り付けられた中空筒状の金属ステム20を有しており、第2の部材2は、一端部が開口し、他端部にダイアフラム15が取り付けられた中空筒状のメタルケース16を有し、金属ステム20の一端側とメタルケース16の一端部側とをネジ結合させることで、メタルケース16の内部に圧力伝達部材17を配置したものとなっている。
また、図1に示されるように、本圧力検出装置100においては、ハウジング10の本体部11の内部には、セラミック基板などからなる回路基板40が設けられている。
この回路基板40は、本体部11との境界におけるパイプ部12の開口部を覆うように設けられており、回路基板40の周辺部は、たとえば接着などによりハウジング10に固定されている。
この回路基板40におけるパイプ部12の開口部に面した側の面には、ICチップ42が接着などにより搭載されている。このICチップ42は、検出素子30からの出力を増幅したり調整したりするための回路が形成されたものである。
そして、このICチップ42と回路基板40とは、アルミニウム(Al)または金などからなるボンディングワイヤ44により結線されており、それによって、これら両者40、42は電気的に接続されている。さらに、図1、図2に示されるように、この回路基板40と上記検出素子30とは、配線部材50により電気的に接続されている。
ここでは、配線部材50としては、フレキシブルプリント基板(FPC)50を採用している。もちろん、配線部材50としては、それ以外にも、たとえばリード線などを採用してもよい。
フレキシブルプリント基板50としては、ポリイミド樹脂などのベースに銅などの導体をパターニング形成した一般的なものを採用できる。このフレキシブルプリント基板50は、図1に示されるように、ハウジング10のパイプ部12内にてパイプ部12の長手方向に延びるように配置されている。
ここで、フレキシブルプリント基板50の一端部51は、検出素子30に対して、はんだなどを用いて電気的および機械的に接合されている。具体的には、図示しないが、検出素子30の表面に形成されたパッドに対して、フレキシブルプリント基板50の導体部が接続される。
そして、フレキシブルプリント基板50の検出素子30への接合部である一端部51から、フレキシブルプリント基板50は折り曲げられており、この折り曲げられた部分である折り曲げ部よりも他端部52側の部位が、パイプ部12内において回路基板40の方向へ延びている。
一方、フレキシブルプリント基板50の他端部52側の部位は、ハウジング10の本体部11に位置している。そして、フレキシブルプリント基板50の他端部52は、回路基板40に設けられた貫通穴46を介して、回路基板40におけるICチップ42の搭載面から当該搭載面とは反対側の面に位置している。
そして、フレキシブルプリント基板50の他端部52は、回路基板40におけるICチップ42の搭載面とは反対側の面にて、はんだなどを介して回路基板40と電気的に接続されている。
また、図1に示されるように、ハウジング10において回路基板40におけるフレキシブルプリント基板50との接続面と対向する位置には、ターミナル61を有するコネクタケース60が設けられている。
このコネクタケース60はPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂などからなるもので、ターミナル61はコネクタケース60にインサート成形などにより一体化されている。このコネクタケース60は、検出素子30からの信号を取り出すためのコネクタ部として構成されている。
そして、コネクタケース60のターミナル61と回路基板40とはバネ部材62を介したバネ接触により電気的に接続されている。これにより、検出素子30とコネクタケース60とは、フレキシブルプリント基板50および回路基板40を介して電気的に接続されている。
また、図1に示されるように、ハウジング10の本体部11の端部14がコネクタケース60にかしめられることにより、コネクタケース60とハウジング10とは一体に固定されている。
そして、ターミナル61は自動車のECUなどへ図示しない配線部材などを介して電気的に接続可能となっている。それにより、本圧力検出装置100は外部との信号のやりとりなどが可能になっている。
かかる圧力検出装置100は、上述したように、エンジンブロック200に形成されたネジ穴201に挿入され、ハウジング10の外周面に形成されたネジ部13とネジ穴201の内周面に形成されたネジ部203とをネジ締めすることにより、エンジンブロック200に対してネジ結合されて取り付けられる。
このとき、燃焼室202からの圧力の漏れを防止するために、圧力検出装置100のメタルケース16の外周面に設けられているテーパ面であるシール面16cを、ネジ穴201側のテーパ面に押しつけて密着させることでシールを行う。
そして、燃焼室内の圧力(筒内圧)Pが、図1、図2中の矢印に示されるように、受圧用ダイアフラム15に印加されると、メタルケース16のバネ部16bのバネ変形によって、圧力伝達部材17は検出素子30の方向へ押し込まれる。
そのため、受圧用ダイアフラム15からの圧力は、圧力伝達部材17を介して、金属ステム20のダイアフラム22に印加される。すると、その圧力によって金属ステム20のダイアフラム22が変形し、この変形を検出素子30により圧力に応じたレベルの電気信号に変換する。
そして、検出素子30から出力される電気信号は、フレキシブルプリント基板50を介して回路基板40へ伝達され、ICチップ42にて処理され、処理された信号がターミナル61から外部へ出力される。こうして、本圧力検出装置100における圧力検出が行われる。
[製造方法等]
かかる構成を有する圧力検出装置100の製造方法の一具体例について、上記図1、図2を参照して述べる。
まず、金属ステム20のダイアフラム22の表面にガラス接合などにより検出素子30を接合し、この金属ステムに一体化された検出素子30に対して、フレキシブルプリント基板50の一端部51をはんだなどを介して接続する。これによりセンシング部30を有する第1の部材1ができあがる。
一方、メタルケース16の他端部と受圧用ダイアフラム15とを、ロウ付けや溶接などによって接合固定する。こうして、メタルケース16と受圧用ダイアフラム15とが一体化され、受圧用ダイアフラム15を有する第2の部材2ができあがる。
次に、センシング部である検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に、図2に示されるように圧力伝達部材17を介在させ、金属ステム20とメタルケース16とを互いのネジ部23、16aおよびワッシャ18を介してネジ結合する。
この金属ステム20のネジ部23とメタルケース16のネジ部16aとのネジ締めにより、受圧用ダイアフラム15、圧力伝達部材17、金属ステム20のダイアフラム22および検出素子30の間に予荷重が加わる。そして、このネジ締めの量を調整することで、当該予荷重の調節が可能になる。
こうして、第1の部材1と第2の部材2との接合が完了し、受圧用ダイアフラム15、メタルケース16、圧力伝達部材17、金属ステム20、検出素子30、さらには、フレキシブルプリント基板50が一体化したユニットが形成される。
次に、上記ユニットにおけるフレキシブルプリント基板50の他端部52側の部位を、ハウジング10のパイプ部12の先端部から挿入し、フレキシブルプリント基板50の他端部52をハウジング10の本体部11の内部まで引き出す。
また、このようにフレキシブルプリント基板50をハウジング10に挿入した状態で、メタルケース16の一端部とハウジング10のパイプ部12の先端部とを、溶接などにより接合する。
続いて、フレキシブルプリント基板50の他端部52を、ICチップ42がワイヤボンド実装された回路基板40の貫通穴46に通し、フレキシブルプリント基板50の他端部52と回路基板40とをはんだなどを介して接続する。
次に、回路基板40をハウジング10の本体部11に接合固定する。その後、コネクタケース60をハウジング10の本体部11に組み付け、ハウジング10の端部14をかしめることにより、コネクタケース60とハウジング10とを固定する。
ここで、このコネクタケース60をハウジング10へ組み付けるとき、ターミナル61と回路基板40とをバネ部材62を介してバネ接触させ、電気的に接続する。こうして、こうして、上記図1に示される圧力検出装置100が完成する。
[効果等]
ところで、本実施形態によれば、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部としての検出素子30と、圧力を受圧する受圧用ダイアフラム15と、一端部に検出素子30が固定され他端部に受圧用ダイアフラム15が固定された筒形状をなす筒部材としてのメタルケース16と、メタルケース16の内部に収納され受圧用ダイアフラム15の受けた圧力を検出素子30へ伝達する圧力伝達部材17とを備え、検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に圧力伝達部材17を介在させ、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して検出素子30へ荷重を与えた状態となっている圧力検出装置において、メタルケース16は、その側面にバネ部16bを備えており、このバネ部16bの弾性力がメタルケース16の両端部を結ぶ方向に作用するようになっていることを特徴とする圧力検出装置100が提供される。
それによれば、メタルケース16のバネ部16bの弾性力がメタルケース16の両端部を結ぶ方向に作用するため、このメタルケース16のバネ部16bのバネ特性により、受圧用ダイアフラム15、圧力伝達部材17および検出素子30の間の予荷重が保持されるとともに、これら各部材間の熱膨張差により生じる予荷重の変動が吸収される。
たとえば、上記図1、図2において、高温となって圧力伝達部材17が伸びるように変形した場合、この変形は、メタルケース16のバネ部16bのバネ変形により吸収することができる。
そして、メタルケース16は、受圧用ダイアフラム15よりも測定環境である燃焼室202に対して後方に位置するので、メタルケース16のバネ部16bにおいては、熱や堆積物の付着などによるバネ特性の変化は極力抑制できる。
このように、本実施形態の圧力検出装置100では、従来、受圧用ダイアフラムに持たせていた予荷重保持および熱膨張差による予荷重変動吸収の機能を、メタルケース16のバネ部16bに持たせることができるため、受圧用ダイアフラム15は、バネ特性を持たない剛性の高いプレートとすることができる。
そのため、受圧用ダイアフラム15に熱が印加されたり、堆積物が付着しても、受圧用ダイアフラム15の変形や剛性の変化を防止することができる。また、過大な荷重が受圧用ダイアフラム15に印加されても、剛性の高い受圧用ダイアフラム15においては、塑性変形することは防止できる。
つまり、従来とは異なり、本実施形態の燃焼圧センサとしての圧力検出装置100においては、受圧用ダイアフラム15は、測定環境にさらされて火炎受射の役割は果たすものの、受圧機能と圧力伝達機能とを果たすものとなり、バネ特性を持たなくてもよくなるため、受圧用ダイアフラムにおけるバネ特性に係る問題が発生しなくなる。
よって、本実施形態では、従来の受圧用ダイアフラムにおける熱や堆積物の付着によるバネ特性の線形性の変化などのバネ特性の変動という問題を回避することができ、メタルケース16に設けたバネ部16bによって、熱や堆積物の付着などによる変化が極力抑制されたバネ特性を実現することができる。
したがって、本実施形態によれば、圧力伝達部材17を受圧用ダイアフラム15と検出素子30とで挟み付けるように予荷重を印加した状態で接触させることにより圧力伝達機構を構成してなる圧力検出装置100において、これら圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減することができる。
また、本実施形態の圧力検出装置100においては、筒部材としてのメタルケース16の外周面には、装置100を被取付部材としてのエンジンブロック200に取り付けたときエンジンブロック200のネジ穴201に押しつけられてエンジンブロック200との間でシールが行われるシール面16cが設けられており、センシング部としての検出素子30は、メタルケース16とは別体の支持部材としての金属ステム20に取り付けられており、金属ステム20は、メタルケース16の一端部側に接合されていることも特徴のひとつである。
上記図10において述べたように、従来においては、検出素子30を、シール面23を有する金属ステム20に直接取り付けていたため、圧力検出装置をエンジンブロック200に取り付けたとき、当該シール面23がネジ穴201に押しつけられることにより、金属ステム20が変形し、その変形が機械的ノイズとして検出素子30に悪影響を与える可能性がある。
その点、本実施形態の圧力検出装置100によれば、装置100のエンジンブロック200への取付時において、シール面16cを有するメタルケース16は、シール面16cのネジ穴201内面への押しつけにより変形する可能性があるが、その変形は、別体の金属ステム20に取り付けられている検出素子30には、伝達されにくい。
したがって、本実施形態によれば、さらに、圧力検出装置100のエンジンブロック200への取付時における機械的ノイズによるセンサ特性への悪影響を低減することができる。
また、本実施形態の圧力検出装置100においては、この金属ステム20とメタルケース16との接合は、溶接、ロウ付け、接着などであってもよいが、上記図示例のように、この金属ステム20とメタルケース16との接合が、ネジ結合によりなされていることも特徴のひとつである。
それによれば、上述したように、ネジ締めの量を調整することにより、受圧用ダイアフラム15、圧力伝達部材17および検出素子30の間の予荷重、すなわち圧力伝達機構に加わる予荷重を調節することができるため、好ましい。
[変形例]
図3は、本実施形態の変形例としての圧力検出装置の要部を示す概略断面図であり、ハウジング10のパイプ部12の先端部の近傍部を拡大して示す図である。
上記図1、図2に示される例では、メタルケース(筒部材)16の外周面に、熱風遮断リング19を設けることにより、燃焼室202からの熱風や堆積物などの侵入を防止しているが、そのような熱風や堆積物などの侵入の懸念が少ない場合には、図3に示されるように、熱風遮断リングを省略した構成であってもよい。
もちろん、上記図1、図2に示されるように、熱風遮断リング19を設けた方が、燃焼室202からの熱風や堆積物などの侵入を確実に防止でき、メタルケース16のバネ部16bにおける熱や堆積物の付着などによるバネ特性の変化を抑制するという点では、好ましい。
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る圧力検出装置110の要部を示す概略断面図であり、同圧力検出装置110におけるハウジング10のパイプ部12の先端部の近傍部を拡大して示す図である。本実施形態の圧力検出装置110は、この図4に示される部分以外は、上記図1に示される圧力検出装置と同様の構成である。
図4に示されるように、本実施形態の圧力検出装置110では、センシング部としての検出素子30を有する第1の部材1と、受圧用ダイアフラム15を有する第2の部材2と、圧力伝達部材17とを備え、検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に圧力伝達部材17を介在させ、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して検出素子30へ荷重を与えた状態で、第1の部材1と第2の部材2とが連結されていることは、上記第1実施形態の圧力検出装置100と同様である。
ここにおいて、上記第1実施形態では、検出素子30と金属ステム20との2つの部材により第1の部材1が構成されていたが、本実施形態では、図4に示されるように、第1の部材1は、検出素子30と金属ステム20と取付部材24との3つの部材により構成されている。
金属ステム20は、上記実施形態と同様に、一端側が開口部21、他端側が閉塞された薄肉状の歪み部としてのダイアフラム22である中空筒状をなすものである。そして、検出素子30は、金属ステム20のダイアフラム22の外表面にガラス溶着などによって取り付けられている。
つまり、本実施形態の金属ステム20は、センシング部としての検出素子30が取り付けられた支持部材として構成されている。また、この金属ステム20においても、その外周面には、雄ネジとしてのネジ部23が形成されている。そして、金属ステム20は、そのダイアフラム22側をパイプ部12内に向け開口部21を燃焼室202側に向けてパイプ部12に挿入されている。
ここで、取付部材24は、図4に示されるように、段付き筒形状をなすものであり、ハウジング10におけるパイプ部12の先端部に一端部(図4中の下端部)が挿入された形で、溶接などにより接合され固定されている。この取付部材24は、たとえば、金属ステム20と同様の金属からなるものにできる。
そして、取付部材24の一端部側の内周面には、雌ネジとしてのネジ部25が形成されており、この取付部材24のネジ部25と金属ステム20のネジ部23とがネジ結合されている。また、取付部材24と金属ステム20との間には、上記同様に、ネジの緩み防止のためのワッシャ18が介在している。
また、この取付部材24の外周面のうちハウジング10のパイプ部12から突出する部位には、シール面26が設けられている。このシール面26は、上記実施形態におけるメタルケース16のシール面16c(図2参照)と同様のテーパ形状を有するテーパ面となっている。
そして、この取付部材24のシール面26は、本圧力検出装置110を被取付部材としての上記エンジンブロック200に取り付けたとき上記ネジ穴201に押しつけられてエンジンブロック200との間でシールが行われる面である。
また、本圧力検出装置110においては、第2の部材2は、上記同様に、受圧用ダイアフラム15およびこれと一体化されたメタルケース16とにより構成されており、第1の部材1における取付部材24の他端部(図4中の上端部)は、メタルケース16の一端部(図4中の下端部)に連結されている。
こうして、連結された第1の部材1と第2の部材2との内部において、検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に圧力伝達部材17が介在し、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して検出素子30へ荷重を与えた状態となっている。
ここで、メタルケース16の一端部の外周面には凹部16dが設けられており、取付部材24の他端部の外周面には、この凹部16dに嵌合する凸部27が設けられている。そして、この凹部16dと凸部27との嵌合により、取付部材24を含む第1の部材1と、メタルケース16を含む第2の部材2との連結がなされている。
また、本実施形態では、図4に示されるように、メタルケース16の両端部を結ぶ方向すなわち図4中の上下方向において、メタルケース16の凹部16dの幅の方が、取付部材24の凸部27の幅よりも大きくなっている。
それによって、第1の部材1と第2の部材2との連結部においては、凹部16dの幅が大きくなっている分、これら両部材1、2が図4中の上下方向に沿って相対的に摺動し、変位可能となっている。
なお、この第1の部材1と第2の部材2との連結部すなわち取付部材24とメタルケース16との連結部では、この凹部16bと凸部27との摺動可能な嵌合形態を採用しているため、この連結部をシールするための環状のシール部材28が設けられている。このシール部材28は、たとえば、上記熱風遮断リング19と同様のPTFEなどの耐熱性樹脂などからなるものにできる。
さらに、図4に示されるように、本実施形態では、検出素子30と受圧用ダイアフラム15とが隔てられている方向(つまり、図4の上下方向)にこれら両者15、30に対して弾性力を作用させるバネ部材70が、第1の部材1と第2の部材2との間に介在されている。
具体的に、本例のバネ部材70は、圧力伝達部材17の周囲を取り巻く1個の環状の巻きバネであり、バネ鋼などからなるものである。このバネ部材70は、取付部材24の他端部の内周面に形成された段差面とメタルケース16の一端部とにより挟み付けられた状態で設けられている。
そして、このようにバネ部材70を介在させることにより、取付部材24とメタルケース16とは、互いに引っ張り合う方向すなわち互いに離れる方向に、バネ部材70の弾性力が作用する。
そして、本実施形態では、燃焼室内の圧力(筒内圧)Pが、図4中の矢印に示されるように、受圧用ダイアフラム15に印加されると、受圧用ダイアフラム15が固定されたメタルケース16が、取付部材24へ向かう方向へ変位してバネ部材70を押し込むため、バネ部材70が縮むようにバネ変形する。
それにより、受圧用ダイアフラム15からの圧力は、圧力伝達部材17を介して、金属ステム20のダイアフラム22に印加され、金属ステム20のダイアフラム22を変形させ、検出素子30からは圧力に応じたレベルの電気信号が出力される。そのため、本実施形態の圧力検出装置110においても圧力検出が適切に行われる。
このように、本実施形態によれば、センシング部としての検出素子30を有する第1の部材1と、受圧用ダイアフラム15を有する第2の部材2と、圧力伝達部材17とを備え、検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に圧力伝達部材17を介在させ、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して検出素子30へ荷重を与えた状態で、第1の部材1と第2の部材2とが連結されている圧力検出装置において、検出素子30と受圧用ダイアフラム15とが隔てられている方向にこれら両者15、30に対して弾性力を作用させるバネ部材70が、第1の部材1と第2の部材2との間に介在していることを特徴とする圧力検出装置110が提供される。
上記第1実施形態の圧力検出装置では、第2の部材1であるメタルケース16にバネ部16bを設けていたが(上記図1、図2参照)、本実施形態では、このバネ部に相当するバネ部材70を第1の部材1と第2の部材2との間に介在させたところが、主たる相違点である。
それによれば、バネ部材70の弾性力が、検出素子30と受圧用ダイアフラム15とが隔てられている方向においてこれら両者15、30に対して作用するため、このバネ部材70のバネ特性により、受圧用ダイアフラム15、圧力伝達部材17および検出素子30の間の予荷重が保持されるとともに、これら各部材間の熱膨張差により生じる予荷重の変動が吸収される。
そして、バネ部材70は、第1の部材1と第2の部材2との間に介在することで受圧用ダイアフラム15よりも測定環境である上記燃焼室に対して後方に位置することから、バネ部材70においては、熱や堆積物の付着などによるバネ特性の変化は極力抑制することができる。
つまり、本実施形態においても、従来、受圧用ダイアフラムに持たせていた予荷重保持および熱膨張差による予荷重変動吸収の機能を、バネ部材70に持たせることができるため、受圧用ダイアフラム15は、バネ特性を持たない剛性の高いプレートとすることができる。
よって、本実施形態においても、従来の受圧用ダイアフラムにおける熱や堆積物の付着によるバネ特性の線形性の変化などのバネ特性の変動という問題を回避することができ、バネ部材70によって、熱や堆積物の付着などによる変化が極力抑制されたバネ特性を実現することができる。
したがって、本実施形態によっても、圧力伝達部材17を受圧用ダイアフラム15と検出素子30とで挟み付けるように予荷重を印加した状態で接触させることにより圧力伝達機構を構成してなる圧力検出装置110において、これら圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減することができる。
また、本実施形態の圧力検出装置110においては、第1の部材1は、センシング部としての検出素子30が取り付けられた支持部材としての金属ステム20と、装置110を被取付部材であるエンジンブロック200に取り付けたときネジ穴201に押しつけられてエンジンブロック200との間でシールが行われるシール面26を、外周面に有する取付部材24とを備え、金属ステム20と取付部材24とが接合されてなるものであることも特徴のひとつである。
つまり、上記第1実施形態では、第2の部材であるメタルケース16にシール面16cを設けていた(上記図2参照)のに対し、本実施形態では、第1の部材1の構成部材として取付部材24を1つ増やし、この取付部材24にシール面26を設けていることが相違点である。
それによれば、装置110のエンジンブロック200への取付時において、シール面26を有する取付部材25は、シール面26のネジ穴201内面への押しつけにより変形する可能性があるが、その変形は、別体の金属ステム20に取り付けられている検出素子30には、伝達されにくい。
したがって、本実施形態によっても、さらに、圧力検出装置110のエンジンブロック200への取付時における機械的ノイズによるセンサ特性への悪影響を低減することができる。
また、本実施形態の圧力検出装置110においては、この金属ステム20と取付部材24との接合は、溶接、ロウ付け、接着などであってもよいが、上記図示例のように、金属ステム20と取付部材24との接合は、ネジ結合によりなされていることも特徴のひとつである。
それによれば、上記第1実施形態と同様に、圧力伝達機構に加わる予荷重を調節することができるため、好ましい。
また、図4に示される例では、金属ステム20の開口部21の開口縁部には、ワッシャ18の位置決めを行うための凸部18aが設けられている。図5は、このワッシャ位置決め用の凸部18を設けた金属ステム20の単体の構成を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
図5に示されるように、このようなワッシャ位置決め用の凸部18aを設ければ、ワッシャ18の位置決めを容易に行うことができ、好ましい。なお、このようなワッシャ位置決め用の凸部は、金属ステム20のネジ結合の相手側であるメタルケース16に設けてもよい。
[変形例]
図6は、本実施形態の変形例としての圧力検出装置の要部を示す概略断面図であり、ハウジング10のパイプ部12の先端部の近傍部を拡大して示す図である。
上記図4に示される例では、第1の部材1と第2の部材2との間に介在するバネ部材70は、圧力伝達部材17の周囲を取り巻く1個の環状の巻きバネであったが、この図6に示される例のように、複数個のバネ部材70としてもよい。
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る圧力検出装置120の要部を示す概略断面図であり、同圧力検出装置120におけるハウジング10のパイプ部12の先端部の近傍部を拡大して示す図である。本実施形態の圧力検出装置120も、この図7に示される部分以外は、上記図1に示される圧力検出装置と同様の構成である。
本実施形態の圧力検出装置120は、上記第2実施形態の圧力検出装置を変形したものであり、具体的には、上記第2実施形態と比べて、バネ部材70の設置部位を変更したことが、主たる相違点である。
図7に示されるように、本実施形態の圧力検出装置120においても、センシング部としての検出素子30を有する第1の部材1と、受圧用ダイアフラム15を有する第2の部材2と、圧力伝達部材17とを備え、検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に圧力伝達部材17を介在させ、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して検出素子30へ荷重を与えた状態で、第1の部材1と第2の部材2とが連結されていることは、上記第1および第2実施形態の圧力検出装置と同様である。
ここにおいて、上記第2実施形態の圧力検出装置においては、検出素子30と受圧用ダイアフラム15とが隔てられている方向にこれら両者15、30に対して弾性力を作用させるバネ部材70が、第1の部材1と第2の部材2との間に介在していた(上記図4、図6参照)。
それに対して、本実施形態では、このバネ部材70が、受圧用ダイアフラム15と圧力伝達部材17との間、もしくは、圧力伝達部材17と検出素子30との間に介在していることを独自の特徴点としている。
図7に示される例では、バネ部材70は、圧力伝達部材17と検出素子30との間に介在している。具体的には、バネ部材70は、金属ステム20の中空部に設けられ、金属ステム20のダイアフラム22の内面と圧力伝達部材17との間に挟み付けられた形で介在している。
なお、バネ部材70が受圧用ダイアフラム15と圧力伝達部材17との間に介在している構成も、図示しないけれども、受圧用ダイアフラム15の裏面と圧力伝達部材17との間に介在させることで容易に実現できることは明らかである。
そして、本実施形態においても、第1の部材1と第2の部材2との連結部においては、凹部16dの幅が大きくなっている分、これら両部材1、2が図7中の上下方向に沿って相対的に摺動し、変位可能となっている。
そして、このようにバネ部材70を介在させることにより、取付部材24とメタルケース16とは、互いに引っ張り合う方向すなわち互いに離れる方向に、バネ部材70の弾性力が作用する。
本実施形態では、燃焼室内の圧力(筒内圧)Pが、図7中の矢印に示されるように、受圧用ダイアフラム15に印加されると、圧力伝達部材17が、金属ステム20のダイアフラム22すなわち検出素子30へ向かう方向へ変位してバネ部材70を押し込むため、バネ部材70が縮むようにバネ変形する。
それにより、受圧用ダイアフラム15からの圧力は、圧力伝達部材17を介して、金属ステム20のダイアフラム22に印加され、金属ステム20のダイアフラム22を変形させ、検出素子30からは圧力に応じたレベルの電気信号が出力される。そのため、本実施形態の圧力検出装置120においても圧力検出が適切に行われる。
このように、本実施形態によれば、センシング部としての検出素子30を有する第1の部材1と、受圧用ダイアフラム15を有する第2の部材2と、圧力伝達部材17とを備え、検出素子30と受圧用ダイアフラム15との間に圧力伝達部材17を介在させ、受圧用ダイアフラム15から圧力伝達部材17を介して検出素子30へ荷重を与えた状態で、第1の部材1と第2の部材2とが連結されている圧力検出装置において、検出素子30と受圧用ダイアフラム15とが隔てられている方向にこれら両者15、30に対して弾性力を作用させるバネ部材70が、受圧用ダイアフラム15と圧力伝達部材17との間、もしくは、圧力伝達部材17と検出素子30との間に介在していることを特徴とする圧力検出装置120が提供される。
このような本実施形態の圧力検出装置120によっても、バネ部材70のバネ特性により、圧力伝達機構における予荷重が保持されるとともに、各部材間の熱膨張差により生じる予荷重の変動が吸収される。
そして、本実施形態では、バネ部材70は、受圧用ダイアフラム15と圧力伝達部材17との間、もしくは、圧力伝達部材17と検出素子30との間に介在することで受圧用ダイアフラム15よりも測定環境である上記燃焼室に対して後方に位置することから、バネ部材70においては、熱や堆積物の付着などによるバネ特性の変化は極力抑制することができる。
つまり、本実施形態においても、従来、受圧用ダイアフラムに持たせていた予荷重保持および熱膨張差による予荷重変動吸収の機能を、バネ部材70に持たせることができるため、受圧用ダイアフラム15は、バネ特性を持たない剛性の高いプレートとすることができる。
そして、本実施形態においても、従来の受圧用ダイアフラムにおけるバネ特性の変動という問題を回避することができ、バネ部材70によって、熱や堆積物の付着などによる変化が極力抑制されたバネ特性を実現することができる。
したがって、本実施形態によっても、圧力伝達部材17を受圧用ダイアフラム15と検出素子30とで挟み付けるように予荷重を印加した状態で接触させることにより圧力伝達機構を構成してなる圧力検出装置110において、これら圧力伝達機構に作用するバネ特性の変動を抑制し、センサ特性への悪影響を低減することができる。
(他の実施形態)
ところで、上記各実施形態における図示例では、好ましい形態として、金属ステム20とメタルケース16との接合や、金属ステム20と取付部材24との接合は、ネジ結合により行っている。
このようなネジ部23を有する金属ステム20とする場合、図8に示されるように、金属ステム20のネジ締め用の六角部20aを設けることが好ましい。
図8は、六角部20aを有する金属ステム20の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。この図8に示される例では、検出素子30が搭載されるダイアフラム22の表面側の部分に、六角部20aを形成し、その六角部20a上に検出素子30を接合している。
それによれば、金属ステム20のネジ部23を、メタルケース16や取付部材24などの相手部材にネジ締めするときに、この六角部20aを介してネジ締めを容易に行うことができる。
なお、この六角部20aは、ネジを回すためのスパナやレンチなどの工具が嵌合可能な工具嵌合部として機能すればよく、そのような工具嵌合部の形状としては、六角形状に限定されることなく、六角形以外にも、三角形、四角形など側面に2辺以上の平らな面を有する多角形であればよい。
また、金属ステム20を相手部材にネジ結合するとき、予荷重を印加するため、金属ステム20と圧力伝達部材17との接触部で摩擦が起こるが、この摩擦を少なくするため、金属ステム20における圧力伝達部材17との接触面に潤滑材を設けた状態で、ネジ結合を行ってもよい。
また、上記第1、第2実施形態においては、受圧用ダイアフラム15と圧力伝達部材17とは別体の部材であったが、図9に示されるように、受圧用ダイアフラム15と圧力伝達部材17とは一体に成形されたものとしてもよい。
上述したように、上記第1、第2実施形態の圧力検出装置においては、受圧用ダイアフラム15は、バネ特性を持たない剛性の高いプレートとすることができるため、このように、圧力伝達部材17と一体に成形されたものにできる。
なお、上記第3実施形態においても、バネ部材70が、受圧用ダイアフラム15と圧力伝達部材17との間に介在する場合は、図9に示される一体化構成を採用できないが、バネ部材70が、圧力伝達部材17と検出素子30との間に介在する場合は、採用することができる。
また、上記実施形態では、受圧用ダイアフラム15は、バネ特性を有しない剛性の高いものであったが、受圧用ダイアフラムはバネ特性を有するものであってもよい。この場合、受圧用ダイアフラムのバネ特性の変動が発生するが、この変動は、上記実施形態におけるメタルケース16のバネ部16bや、バネ部材70における良好なバネ特性の発揮により、緩和される。
また、上記実施形態では、検出素子30と回路基板40とが離れていたため、これら両部材30、40の接続はフレキシブルプリント基板50により行っていたが、これら両部材30、40の接続はこれに限定されるものではない。
たとえば、上記図1において、圧力伝達部材17をパイプ部12のほぼ全体に渡る長いものとすることによって金属ステム20を、ハウジング10の本体部11の内部またはその近くに配置する。それによって、検出素子30と回路基板40とをワイヤボンディングなどにより接続してもよい。
または、ハウジング10の形状を変形して、パイプ部12を極力短くするか、あるいはパイプ部12を廃止するなどにより、検出素子30とコネクタ部側である回路基板40との距離を短くすることによっても、これら検出素子30および回路基板40の間をボンディングワイヤなどによって接続することができる。
つまり、ハウジング10は、上記した円筒状の本体部11とパイプ部12とからなる形状に限定されるものではない。このハウジング形状は、燃焼圧センサに適したものとしたものであり、それ以外のハウジング形状であってもかまわない。
また、検出素子30としては、上記した歪みゲージ機能を有するもの以外でもよい。検出素子30としては、圧力伝達部材17から受けた検出圧力に応じた電気信号を出力するものであればよい。
さらに、上記図1に示される例では、ハウジング10内において検出素子30とコネクタ部60との間の部位には、ICチップ42や回路基板40や各種の電気接続部材が配置されていたが、当該部位の構成はこれに限定されるものではなく、適宜変更可能であることは、もちろんである。
また、本発明の圧力検出装置は、上記したような燃焼圧センサに用途限定されるものではないことはもちろんである。
要するに、本発明は、印加された圧力に応じた電気信号を出力するセンシング部と、圧力を受圧する受圧用ダイアフラムと、受圧用ダイアフラムの受けた圧力をセンシング部へ伝達する圧力伝達部材とを備え、圧力伝達部材を受圧用ダイアフラムとセンシング部とで挟み付けるように予荷重を印加した状態で接触させることにより、圧力伝達機構を構成してなる圧力検出装置において、従来受圧用ダイアフラムが持っていたバネ特性を、上述したように、筒部材や、第1の部材と第2の部材との間や、圧力伝達部材と相手側部材との間といった受圧用ダイアフラム以外の別部位に備えさせたことを要部とするものであり、その他の部分については、適宜設計変更が可能である。