JP2006242091A - 燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

【課題】実レール圧を減圧する減圧弁の動作を制御するのに際し、減圧弁に与える指令値を算出するのに用いる減圧特性の信頼性を向上する。
【解決手段】マイコンおよび減圧弁駆動回路を、レール圧制御手段として機能させ、マイコンを、減圧特性修正手段として機能させる。レール圧制御手段は、逃し量と実レール圧との相関を示す減圧特性に基づき、減圧弁に与える指令値を算出し減圧弁に出力することで、実レール圧が目標レール圧に略一致するように減圧弁の動作を制御する。また、減圧特性修正手段は、レール圧制御手段の実行に伴う実レール圧の降下量を示す実減圧量と、減圧特性により推定した推定減圧量との差に相当する推定誤差に応じて、減圧特性を修正する。これにより、減圧特性は、減圧弁の製品ごとに修正され、個々の製品の制御に適したものに変化していく。このため、減圧特性の信頼性が向上する。
【選択図】図４

Description

本発明は、エンジンに燃料を噴射供給する燃料噴射装置に関する。

〔従来の技術〕
従来から、エンジンの状態に応じた目標圧力で燃料が蓄圧されるように燃料の供給を受けるコモンレールを備え、このコモンレールを介してエンジンに燃料を噴射供給する蓄圧式の燃料噴射装置が公知となっている。

近年、噴射応答性の向上や噴霧微粒化の促進等を目的として、蓄圧式の燃料噴射装置では、装置内における燃料の高圧化が進んでいる。そして、高圧化の進展に応じて、コモンレールに蓄圧された燃料の実圧力（実レール圧）を正確に減圧するための減圧制御に対する信頼性向上の要求が高まっている。

従来の燃料噴射装置は、実レール圧の減圧制御に関し、開弁してコモンレールから燃料を逃すことで、実レール圧を減圧する減圧弁と、所定の減圧特性を用いて減圧弁に与える指令値を算出し減圧弁に出力することで、減圧弁の動作を制御するレール圧制御手段とを備える。この減圧特性とは、例えば、単位時間当たりの減圧弁からの燃料の逃し量と実レール圧との相関を示すものである。そして、レール圧制御手段は、計測された実レール圧を減圧特性に当てはめることで逃し量等を推定し、この推定に基づいて指令値を算出する。

〔従来技術の不具合〕
しかし、減圧弁の逃し量は、個々の製品で異なり、性能規格の許容範囲内でばらつく。このため、減圧特性を用いて逃し量等を推定するとともに、推定された逃し量等に基づき、指令値を算出し減圧弁に与えても、経時劣化等の変動要因により、所定の時間内に所望の減圧量を得ることができない事態が発生し得る。この結果、例えば、逃し量が規格中央値よりも小さい場合、コモンレールから充分に燃料が逃されず目標圧力よりも高い実レール圧のまま、噴射が行われてしまう虞がある。そして、このように実レール圧が目標圧力よりも高い状態で噴射が行われると、エミッション悪化や騒音発生等の虞が高まる。殊に、近年の高圧化の進展は、このエミッション悪化や騒音発生等の虞を、ますます高いものにしている。

なお、減圧弁の性能向上を目的として、弁体を開弁方向に駆動するためのソレノイドと、閉弁方向に駆動するためのソレノイドとを備えた減圧弁が考えられている（例えば、特許文献１参照）。しかし、この減圧弁による性能向上の目的は、制御可能な圧力領域を拡大することであり、上記のような逃し量等の減圧特性に対する信頼性を改善することではない。
特開２００４−１１４４８号公報

本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、実レール圧を減圧する減圧弁の動作を制御するのに際し、減圧弁に与える指令値を算出するのに用いる減圧特性の信頼性を向上することにある。

〔請求項１の手段〕
請求項１に記載の燃料噴射装置は、エンジンの状態に応じた目標圧力で燃料が蓄圧されるように燃料の供給を受けるコモンレールを備え、コモンレールを介してエンジンに燃料を噴射供給するものである。そして、この燃料噴射装置は、開弁してコモンレールから燃料を逃すことで、コモンレールに蓄圧された燃料の実圧力を減圧する減圧弁と、減圧弁からの燃料の逃し量と実圧力との相関を示す減圧特性に基づき、減圧弁に与える指令値を算出し減圧弁に出力することで、実圧力が目標圧力に略一致するように減圧弁の動作を制御するレール圧制御手段と、レール圧制御手段の実行に伴う実圧力の降下量を示す実減圧量と、減圧特性により推定した推定減圧量との差に応じて、減圧特性を修正する減圧特性修正手段とを備える。
これにより、減圧特性は、個々の減圧弁の製品における逃し量の偏り方に応じて、製品ごとに修正され、個々の製品の制御に適したものに変化していく。このため、減圧特性の信頼性が向上するとともに、制御適応性が高レベルに維持される。
なお、実減圧量や判定減圧量のように減圧量と称する物理量は、圧力の次元を有する物理量として算出できるが、燃料の弾性率や粘性の次元を有する物理量として算出することもできる。

〔請求項２の手段〕
請求項２に記載の燃料噴射装置における減圧特性は、減圧弁が開弁している期間を示す開指令期間と実圧力との相関である。
この手段は、減圧特性の一形態を示すものである。

〔請求項３の手段〕
請求項３に記載の燃料噴射装置における減圧特性修正手段は、実減圧量と推定減圧量との差の絶対値が所定の閾値以上であると判定された時に実行される。
これにより、実減圧量と推定減圧量との差が確実に拡大している時にのみ、減圧特性の修正が実行される。このため、誤修正の虞を低減することができるとともに、修正の頻度を下げて、マイコン等の処理負荷を低減することができる。

〔請求項４の手段〕
請求項４に記載の燃料噴射装置における減圧特性修正手段は、エンジンが停止する時に実行される。
エンジンが停止する時（いわゆる、イグニッションオフ時）は、確実に、無噴射かつ減圧実行状態であり、減圧弁以外からの燃料の逃し量（例えば、インジェクタからの燃料のリーク量）は、予測可能である。よって、イグニッションオフ時に、減圧特性修正手段を実行すれば、減圧特性を正確に修正することができる。

〔請求項５の手段〕
請求項５に記載の燃料噴射装置における減圧特性は、給電状態が解除されてもデータを保持することができる不揮発性の記憶手段に記憶されている。
減圧特性を修正しなければならない状態、例えば、実減圧量と推定減圧量との差が確実に拡大しており、修正の必要性が高まった状態は、頻繁に発生するものではない。よって、長期間において確実に減圧特性のデータを記憶しておくには、不揮発性の記憶手段を用いるのが好ましい。

〔請求項６の手段〕
請求項６に記載の燃料噴射装置における減圧特性修正手段は、減圧特性の修正量を縮小するとともに、縮小した修正量で減圧特性を修正する。
１度の修正で減圧特性を大幅に変更すると、誤修正の虞が高くなる。そこで、上記のように修正量を縮小すれば、誤修正の虞を低減することができる。

〔請求項７の手段〕
請求項７に記載の燃料噴射装置における減圧特性修正手段は、実圧力の計測値に応じて、減圧特性の中で修正すべき範囲を限定する。
１度の修正で、実圧力が取り得る全範囲において減圧特性を変更すると、誤修正の虞が高くなる。そこで、上記のように修正すべき範囲を限定すれば、誤修正の虞を低減することができる。

最良の形態１の燃料噴射装置は、エンジンの状態に応じた目標圧力で燃料が蓄圧されるように燃料の供給を受けるコモンレールを備え、コモンレールを介してエンジンに燃料を噴射供給するものである。そして、この燃料噴射装置は、開弁してコモンレールから燃料を逃すことで、コモンレールに蓄圧された燃料の実圧力を減圧する減圧弁と、減圧弁からの燃料の逃し量と実圧力との相関を示す減圧特性に基づき、減圧弁に与える指令値を算出し減圧弁に出力することで、実圧力が目標圧力に略一致するように減圧弁の動作を制御するレール圧制御手段と、レール圧制御手段の実行に伴う実圧力の降下量を示す実減圧量と、減圧特性により推定した推定減圧量との差に応じて、減圧特性を修正する減圧特性修正手段とを備える。

減圧特性は、減圧弁が開弁している期間を示す開指令期間と実圧力との相関である。
減圧特性修正手段は、実減圧量と推定減圧量との差の絶対値が所定の閾値以上であると判定された時に実行される。

さらに、減圧特性修正手段は、エンジンが停止する時に実行される。
また、減圧特性は、給電状態が解除されてもデータを保持することができる不揮発性の記憶手段に記憶されている。
また、減圧特性修正手段は、減圧特性の修正量を縮小するとともに、縮小した修正量で減圧特性を修正する。

最良の形態２の燃料噴射装置における減圧特性修正手段は、実圧力の計測値に応じて、減圧特性の中で修正すべき範囲を限定する。

〔実施例１の構成〕
実施例１の燃料噴射装置１の構成を、図１および図２を用いて説明する。
燃料噴射装置１は、図１に示すように、エンジン（図示せず）の状態に応じた目標圧力で燃料が蓄圧されるように燃料の供給を受けるコモンレール３を備え、コモンレール３を介してエンジンに燃料を噴射供給するものである。

この燃料噴射装置１は、コモンレール３のほかに、燃料タンク４から燃料を汲み上げ高圧化してコモンレール３に供給する燃料供給ポンプ５、エンジンに搭載され、コモンレール３に蓄圧された燃料を気筒内に噴射するインジェクタ６、コモンレール３に蓄圧された燃料の実圧力（実レール圧）を減圧する減圧弁７、各種センサから入力される検出値に基づいて、減圧弁７等に与える指令値を算出し、指令信号として出力するマイコン８、マイコン８から出力される指令信号に応じて駆動電流や印加電圧を減圧弁７等に与える各種の駆動回路等により構成されている。

ここで、各種の駆動回路は、減圧弁７に駆動電流を与える減圧弁駆動回路１２、インジェクタ６に駆動電流や印加電圧を与えるインジェクタ駆動回路１３、燃料供給ポンプ５に駆動電流を与えるポンプ駆動回路１４等である。なお、インジェクタ６は、気筒数と同数だけ備えられている（図１には１つだけ図示する）。

以上の構成により、燃料噴射装置１では、実レール圧がエンジンの状態に応じた目標圧力（目標レール圧）に略一致するように、燃料供給ポンプ５からの供給量が制御されるとともに、エンジンの状態に応じた時期に、エンジンの状態に応じた量の燃料が噴射されるように、インジェクタ６による噴射時期および噴射期間が制御される。この結果、実レール圧が目標レール圧に略一致するとともに、実レール圧に相当する噴射圧力で各気筒内に燃料が噴射され、エンジンの状態に応じた運転が行われる。

続いて、燃料噴射装置１の中で実レール圧の減圧制御に関する部分（コモンレール３、減圧弁７、マイコン８、減圧弁駆動回路１２等）について詳細に説明する。

コモンレール３は、燃料供給ポンプ５の吐出口と高圧流路１５を介して接続され、高圧の燃料の供給を受けて燃料を高圧状態で蓄圧するとともに、各インジェクタ６のインレットと高圧流路１６を介して接続され、実レール圧の燃料を各インジェクタ６に供給する。すなわち、コモンレール３は、高圧の燃料を蓄圧する蓄圧容器として機能するとともに、高圧の燃料を各インジェクタ６に分配する分配容器として機能する。また、実レール圧は、コモンレール３の一端に装着されたレール圧センサ１７により検出され、その検出値は、レール圧検出信号としてマイコン８に出力されている。

減圧弁７は、コモンレール３の他端に装着され、開弁してコモンレール３から低圧流路１８に燃料を逃すことで実レール圧を減圧するものである。この減圧弁７は、図２に示すように、コモンレール３と低圧流路１８との間を連通または遮断することで開弁動作または閉弁動作をするボール状の弁体２２、弁体２２に当接するとともに磁気吸引力を受けて開弁側に変位する可動子２３、駆動電流の通電を受け、可動子２３を開弁側に変位させる磁気吸引力を発生するソレノイド２４、ソレノイド２４の通電により励磁され可動子２３を磁気吸引する固定子２５、可動子２３と固定子２５との間に配設され、可動子２３を閉弁側に付勢するスプリング２６等により構成されている。

なお、低圧流路１８は、インジェクタ６から燃料が逃される低圧流路２９に接続され、コモンレール３から逃された燃料は、インジェクタ６から逃された燃料とともに、燃料タンク４に戻る。

マイコン８は、制御処理および演算処理を行うＣＰＵ、各種プログラムおよびデータを記憶するＲＯＭ、ＲＡＭ、ＥＥＰＲＯＭおよびバックアップＲＡＭ等の記憶手段、入力回路、出力回路等により構成される周知構造のコンピュータである。

そして、マイコン８および減圧弁駆動回路１２は、減圧弁７からの燃料の逃し量（逃し量、と呼ぶ）と実レール圧との相関を示す減圧特性に基づき、減圧弁７に与える指令値を算出し減圧弁７に出力することで、実レール圧が目標レール圧に略一致するように減圧弁７の動作を制御するレール圧制御手段として機能する。また、マイコン８は、レール圧制御手段の実行に伴う実レール圧の降下量を示す実減圧量と、減圧特性により推定した推定減圧量との差に応じて、減圧特性を修正する減圧特性修正手段として機能する。なお、実減圧量や推定減圧量は、圧力の次元を有する物理量として算出できるが、燃料の弾性率や粘性の次元を有する物理量として算出することもできる。

すなわち、マイコン８は、逃し量と実レール圧との相関を示す減圧特性を記憶するとともに、この減圧特性に基づき減圧弁７に与える指令値を算出する。この減圧特性は、例えば図３（ａ）に示すように、減圧弁７が開弁している期間を示す開指令期間と実レール圧との相関であり、さらに、開指令期間とは、例えば、実レール圧が単位圧力だけ減圧するのに必要な減圧弁７の開弁時間に相当するものであり、単位時間当たりの逃し量に相当するものである。なお、本実施例における指令値は、開指令期間であり、マイコン８は、算出された開指令期間に基づいて指令信号を合成し減圧弁駆動回路１２に出力する。そして、減圧弁駆動回路１２は、この指令信号に応じて駆動電流をソレノイド２４に通電させ減圧弁７を開弁させる。以上のように、マイコン８および減圧弁駆動回路１２は、指令値としての開指令期間を減圧弁７に出力することで、レール圧制御手段として機能する。

また、マイコン８は、逃し量の修正量と、実減圧量と推定減圧量との差の絶対値（以下、推定誤差と呼ぶ）との相関を示す修正特性を記憶するとともに、この修正特性に基づき減圧特性を修正することで減圧特性修正手段として機能する。この修正特性は、例えば開指令期間に対する修正量と推定誤差との相関であり、この修正量とは、例えば、図３（ｂ）に示すように、開指令期間の延長時間または短縮時間を示す加減時間である。そして、例えば実減圧量が推定減圧量よりも低く、マイコン８により減圧特性の修正が必要と判定された場合、減圧特性は、推定誤差に応じた加減時間だけ嵩上げされるように修正される。

なお、減圧特性修正手段は、推定誤差が所定の閾値以上であると判定された時、およびイグニッションオフ時のように無噴射かつ減圧実行状態にあることが確実であると判定された時に実行される。また、減圧特性は、給電状態が解除されてもデータを保持することができる不揮発性の記憶手段（例えば、ＥＥＰＲＯＭ）に記憶されている。また、減圧特性修正手段は、加減時間に所定のゲインを掛けて縮小するとともに、縮小した加減時間で減圧特性を修正する。

〔実施例１の制御方法〕
実施例１の制御方法を、図４に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップＳ１で、減圧特性を修正すべき条件（修正条件）が成立したか否かが判定される。この修正条件とは、推定誤差が所定の閾値以上であること、およびエンジンの状態がイグニッションオフ時のように確実に無噴射かつ減圧実行状態にあることなどである。そして、修正条件が成立したら（ＹＥＳ）、ステップＳ２に進み、修正条件が成立しなかったら（ＮＯ）、処理を終了する。

次に、ステップＳ２で、実レール圧の初期値を計測する。この計測は、レール圧センサ１７からマイコン８に入力されるレール圧検出信号を用いて、マイコン８により行われる。そして、ステップＳ３で、所定時間が経過したら（ＹＥＳ）、ステップＳ４に進み、実レール圧の最終値を同様にして計測する。ステップＳ３では、所定時間が経過しない間（ＮＯ）、処理は進まない。なお、この所定時間は、少なくとも、レール圧制御手段による処理が実行されて新たな開指令期間が算出されるとともに、新たな開指令期間に基づく開弁が実行されるまでに要する時間よりも長く設定されている。

次に、ステップＳ５で、実レール圧の初期値と実レール圧の最終値との差、すなわち、レール圧制御手段の実行に伴う実レール圧の降下量を求め、この降下量に基づき実減圧量を算出する。さらに、ステップＳ６で、減圧特性に実レール圧の初期値を当てはめて開指令期間を算出し、算出された開指令期間、および実レール圧の初期値と目標レール圧との差を用いて推定減圧量を算出する。そして、ステップＳ７で、実減圧量と推定減圧量との差を求め、この差の絶対値を推定誤差とする。

次に、ステップＳ８で、修正特性に推定誤差を当てはめて加減時間を算出する。そして、ステップＳ９で、加減時間に所定のゲインを掛けて縮小するとともに、縮小した加減時間を用いて減圧特性を修正する。

〔実施例１の作用〕
実施例１の作用を、図５を用いて説明する。
例えば、図５（ａ）に示すように、逃し量が規格中央値よりも小さい減圧弁７により実レール圧を初期圧Ｐ１から最終圧Ｐ２に下げる場合（実線ａ）は、逃し量が規格中央値である減圧弁７により実レール圧を初期圧Ｐ１から最終圧Ｐ２に下げる場合（実線ｂ）よりも、最終圧Ｐ２に到達する時間が長くなる。よって、逃し量が規格中央値であることを前提として作成された減圧特性に基づき、目標レール圧を初期圧Ｐ１から最終圧Ｐ２に下げる制御を実行すると、実レール圧は、最終圧Ｐ２よりも高い中間圧Ｐ２′で減圧が終了してしまう。このため、実レール圧が目標レール圧よりも高い状態で噴射が行われる。

そこで、実レール圧が初期圧Ｐ１から最終圧Ｐ２に到達するまでの実線ａと実線ｂとの時間差を、修正特性を用いて加減時間として算出して減圧特性を修正するとともに、図５（ｂ）に示すように、実線ａの場合の開指令期間を実線ｂの場合の開指令期間よりも、算出された加減時間だけ延長する。これにより、実線ａの減圧弁７、および実線ｂの減圧弁７には、目標レール圧を初期圧Ｐ１から最終圧Ｐ２に下げる際に異なる開指令期間が与えられる。このため、逃し量が規格中央値である減圧弁７（実線ｂの減圧弁７）も、逃し量が規格中央値よりも小さい減圧弁７（実線ａの減圧弁７）も、次回噴射までに、確実に実レール圧を初期圧Ｐ１から最終圧Ｐ２に下げることができる。

〔実施例１の効果〕
実施例１の燃料噴射装置１では、マイコン８および減圧弁駆動回路１２が、開指令期間と実レール圧との相関である減圧特性に基づき、減圧弁７に与える指令値としての開指令期間を算出し減圧弁７に出力することで、実レール圧が目標レール圧に略一致するように減圧弁７の動作を制御するレール圧制御手段として機能する。また、マイコン８が、レール圧制御手段の実行に伴う実レール圧の降下量を示す実減圧量と、減圧特性により推定した推定減圧量との差に相当する推定誤差に応じて、減圧特性を修正する減圧特性修正手段として機能する。
これにより、減圧特性は、個々の減圧弁７の製品における逃し量の偏り方に応じて、製品ごとに修正され、個々の製品の制御に適したものに変化していく。このため、減圧特性の信頼性が向上するとともに、制御適応性が高レベルに維持される。

また、減圧特性修正手段は、実減圧量と推定減圧量との差の絶対値である推定誤差が所定の閾値以上であると判定された時に実行される。
これにより、推定誤差が確実に拡大している時にのみ、減圧特性の修正が実行される。このため、誤修正の虞を低減することができるとともに、修正の頻度を下げて、マイコン８等の処理負荷を低減することができる。

また、減圧特性修正手段は、イグニッションオフ時に実行される。
イグニッションオフ時は、確実に、無噴射かつ減圧実行状態であり、減圧弁７以外からの燃料の逃し量（例えば、インジェクタ６からの燃料のリーク量）は、予測可能である。よって、イグニッションオフ時に、減圧特性修正手段を実行すれば、減圧特性を正確に修正することができる。

また、減圧特性は、給電状態が解除されてもデータを保持することができる不揮発性の記憶手段に記憶されている。
減圧特性を修正しなければならない状態、例えば推定誤差が確実に拡大しており、修正の必要性が高まった状態は、頻繁に発生するものではない。よって、長期間において確実に減圧特性のデータを記憶しておくには、不揮発性の記憶手段を用いるのが好ましい。

また、減圧特性修正手段は、加減時間に所定のゲインを掛けて縮小するとともに、縮小した加減時間を用いて減圧特性を修正する。
１度の修正で減圧特性を大幅に変更すると、誤修正の虞が高くなる。そこで、上記のように修正量を縮小すれば、誤修正の虞を低減することができる。

〔実施例２の構成〕
実施例２の燃料噴射装置１の減圧特性修正手段は、実レール圧の初期値に応じて、減圧特性の中で修正すべき範囲を限定する。例えば、減圧特性修正手段は、減圧特性の中で修正すべき実レール圧の範囲を、初期値を含む実レール圧の範囲に限定する。そして、減圧特性修正手段は、実施例１と同様にして算出された加減時間を用いて、限定された実レール圧の範囲で減圧特性を修正する。

〔実施例２の制御方法〕
実施例２の制御方法を、図６に示すフローチャートを用いて説明する。
なお、本フローチャートにおいて、ステップＳ１１からステップＳ１８までの各ステップ、およびステップＳ２０は、図４に示すステップＳ１からステップＳ９までの各ステップと同様のステップであり、説明を省略する。

図６に示すフローチャートでは、ステップＳ１９で、実レール圧の初期値に基づいて修正すべき実レール圧範囲（修正範囲）を確定する。修正範囲の確定には種々の方法が考えられる。例えば、実レール圧が取り得る全範囲を、予め複数の実レール圧範囲に分けておき、初期値を包含する実レール圧範囲を修正範囲としてもよい。また、初期値を中心値として所定の幅を有するように修正範囲を決定してもよい。

さらに、修正後の減圧特性の適用に慎重を期するため、複数の修正範囲で修正を行った後に、修正後の減圧特性を適用するようにしてもよい。

〔実施例２の効果〕
実施例２の燃料噴射装置１における減圧特性修正手段は、実レール圧の初期値に応じて、減圧特性の修正範囲を限定する。
１度の修正で、実レール圧が取り得る全範囲において減圧特性を変更すると、誤修正の虞が高くなる。そこで、上記のように修正範囲を限定すれば、誤修正の虞を低減することができる。

〔変形例〕
本実施例の減圧弁７は、ソレノイド２４への通電、非通電に応じたオンオフ方式で開弁または閉弁するものであったが、このような形態に限定されない。例えば、減圧弁７を、デューティ制御により弁開度を調節できる可変開度方式とし、この可変開度方式の減圧弁に本発明を適用することもできる。この場合、減圧特性には、弁開度を変動因子として加えることができる。

また、本実施例の減圧弁７は、マイコン８から出力される指令信号に応じて、減圧弁駆動回路１２が駆動電流をソレノイド２４に通電させることで、開弁するものであったが、このような形態に限定されない。例えば、減圧弁駆動回路１２を設けずに、所定の電源からソレノイド２４に、直接、駆動電流を通電させるようにしてもよい。

また、本実施例のフローチャートでは、所定時間の経過前後で実レール圧を計測し、それらの差（降下量）に基づいて実減圧量として算出したが、実レール圧を所定量だけ低減するのに要する時間を計測し、この時間計測値を用いて実減圧量を算出してもよい。

燃料噴射装置の全体構成図である（実施例１）。 燃料噴射装置の要部構成図である（実施例１）。 （ａ）は減圧特性を示す特性図であり、（ｂ）は修正特性を示す特性図である（実施例１）。 減圧特性修正手段による処理を示すフローチャートである（実施例１）。 （ａ）は減圧実行時の実レール圧の推移を示すタイムチャートであり、（ｂ）は開指令期間の延長を説明する説明図である（実施例１）。 減圧特性修正手段による処理を示すフローチャートである（実施例２）。

符号の説明

１ 燃料噴射装置
３ コモンレール
７ 減圧弁
８ マイコン（レール圧制御手段、減圧特性修正手段）
１２ 減圧弁駆動回路（レール圧制御手段）

Claims (7)

1. エンジンの状態に応じた目標圧力で燃料が蓄圧されるように燃料の供給を受けるコモンレールを備え、このコモンレールを介して前記エンジンに燃料を噴射供給する燃料噴射装置において、
   開弁して前記コモンレールから燃料を逃すことで、前記コモンレールに蓄圧された燃料の実圧力を減圧する減圧弁と、
   前記減圧弁からの燃料の逃し量と前記実圧力との相関を示す減圧特性に基づき、前記減圧弁に与える指令値を算出し前記減圧弁に出力することで、前記実圧力が前記目標圧力に略一致するように前記減圧弁の動作を制御するレール圧制御手段と、
   前記レール圧制御手段の実行に伴う前記実圧力の降下量を示す実減圧量と、前記減圧特性により推定した推定減圧量との差に応じて、前記減圧特性を修正する減圧特性修正手段とを備えることを特徴とする燃料噴射装置。
2. 請求項１に記載の燃料噴射装置において、
   前記減圧特性は、前記減圧弁が開弁している期間を示す開指令期間と、前記実圧力との相関であることを特徴とする燃料噴射装置。
3. 請求項１に記載の燃料噴射装置において、
   前記減圧特性修正手段は、前記実減圧量と前記推定減圧量との差の絶対値が所定の閾値以上であると判定された時に実行されることを特徴とする燃料噴射装置。
4. 請求項１に記載の燃料噴射装置において、
   前記減圧特性修正手段は、前記エンジンが停止する時に実行されることを特徴とする燃料噴射装置。
5. 請求項１に記載の燃料噴射装置において、
   前記減圧特性は、給電状態が解除されてもデータを保持することができる不揮発性の記憶手段に記憶されていることを特徴とする燃料噴射装置。
6. 請求項１に記載の燃料噴射装置において、
   前記減圧特性修正手段は、前記減圧特性の修正量を縮小するとともに、縮小した修正量で前記減圧特性を修正することを特徴とする燃料噴射装置。
7. 請求項１に記載の燃料噴射装置において、
   前記減圧特性修正手段は、前記実圧力の計測値に応じて、前記減圧特性の中で修正すべき範囲を限定することを特徴とする燃料噴射装置。

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