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JP2006137738A - テルペン系(メタ)アクリル酸エステルおよびその硬化性組成物 - Google Patents

テルペン系(メタ)アクリル酸エステルおよびその硬化性組成物 Download PDF

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JP2006137738A
JP2006137738A JP2004359104A JP2004359104A JP2006137738A JP 2006137738 A JP2006137738 A JP 2006137738A JP 2004359104 A JP2004359104 A JP 2004359104A JP 2004359104 A JP2004359104 A JP 2004359104A JP 2006137738 A JP2006137738 A JP 2006137738A
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terpene
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acrylic acid
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Fumiaki Kisa
史晃 吉舎
Toshiyuki Morikawa
敏行 森川
Seiji Fujii
清司 藤井
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Yasuhara Chemical Co Ltd
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Yasuhara Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】光硬化材料としての硬化収縮性、吸水性などの性能に優れた、テルペン系(メタ)アクリル酸エステルおよびその硬化性組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物をディールズ−アルダー反応させて得られる化合物の誘導体であるテルペンアルコール系化合物を、さらにアクリル酸系化合物でエステル化反応させて得られるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルおよびその硬化性組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、テルペン系(メタ)アクリル酸エステルおよびその硬化性組成物に関するものである。
従来、(メタ)アクリレート化合物を原料とした放射線硬化性組成物に関しては、既にコーティング剤や塗料などの用途として、硬化性の速い、生産性の良好な材料として特許出願されている(特許文献1)。
しかしながら、これらの放射線硬化性組成物は、硬化収縮性、吸水性などの性能面で、まだ十分な性能を有するものではない。
特開平4−11609号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたもので、放射線硬化性材料としての硬化収縮性、吸水性などの性能に優れた、テルペン系(メタ)アクリル酸エステルおよびその硬化性組成物を提供することを目的とする。
夲発明は、テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物をディールズ−アルダー反応させて得られる化合物の誘導体であるテルペンアルコール系化合物を、さらにアクリル酸系化合物でエステル化反応させて得られるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルおよびその硬化性組成物に関するものである。
具体的には、下記の式(I)および/または式(II)で表されるテルペンアルコール系化合物をアクリル酸系化合物でエステル化反応させて得られるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
Figure 2006137738
Figure 2006137738
さらに、本発明の硬化性組成物は、このテルペン系(メタ)アクリル酸エステルにラジカル重合開始剤を加えた組成物であり、電子線あるいは紫外線などの放射線により硬化させることが可能な組成物である。
本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルは、熱や光、紫外線、電子線などのエネルギー線を照射して硬化する硬化型材料の原料モノマーとして、耐熱性、可撓性、耐薬品性、低吸水性、密着性、電気絶縁性などの性能に優れ、熱やエネルギー線による硬化型材料として好適に用いられる。
また、本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル樹脂、熱硬化型樹脂、光、紫外線や電子線、X線などのエネルギー線で硬化する樹脂、エネルギー線硬化型コーティング材料、エネルギー線硬化型接着剤、印刷版用感光性樹脂、光・紫外線・電子線硬化型塗料・インキ材料、光重合型歯科衛生材料、酵素・微生物固定用光硬化性樹脂、光学機能材料、フォロレジスト材料、光ファイバー用コーティング材料、プラスチック光ファイバー材料、光学レンズ材料、光ディスク用コーティング材料、UV光学接着剤、光路接合用光学接着剤、液晶ディスプレイ基板材料、プラズマディスプレイ封止材料、有機ELディスプレイ封止材料など各種ディスプレイ材料などの原料モノマーとして使用することができるが、上記材料に限定されない。
本発明のテルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物をディールズ−アルダー反応させて得られる化合物の誘導体であるテルペンアルコール系化合物を、さらに(メタ)アクリル酸系化合物でエステル化反応させて得られるテルペン系(メタ)アクリル酸エステルおよびその硬化組成物、さらに本発明の式(I)および/または式(II)で表されるテルペンアルコール系化合物について説明する。
本発明のテルペンアルコール系化合物は、テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物をディールズ−アルダー反応させて得られる化合物の誘導体である。
ここで、テルペン化合物としては、共役二重結合を有するα−テルピネン、アロオシメン、ミルセン、オシメン、α−ファルネセン、β−ファルネセン、α−フェランドレンが考えられる。
ここで、α−テルピネンを使用した場合、式(I)および/または式(II)で表されるテルペンアルコール系化合物となる。
このような共役二重結合を有するテルペン化合物と(メタ)アクリル酸系化合物を、ディールス−アルダー反応した後、本発明の新規(メタ)アクリル酸系化合物を合成することが出来る。
ただし、上記のような共役二重結合を有するテルペン化合物を使用して反応を開始しても良いが、共役二重結合を有しないテルペン化合物(例:α−ピネン、β−ピネン、リモネン)を使用して、これら共役二重結合を有しないテルペン化合物を異性化させ、共役二重結合を有するテルペン化合物にした後、(メタ)アクリル酸系化合物とディールズ−アルダー反応させて本発明を実施することもできる。
異性化を起こす化学反応は多様である。加熱だけでも異性化は起こる。また、酸、アルカリその他の化学的作用によっても異性化は起こる。また、温度、圧力などを変化させて物理的作用を加えることによっても異性化は起こる。本発明では、どのような異性化をい使用してもよい。
また、異性化反応を使用して本発明を実施する場合、テルペン化合物としては、特に制限はなく、単環のテルペン化合物であってもよいし、双環のテルペン化合物であってもよい。例えば、α−ピネン、β−ピネン、カレン、γ−テルピネン、d−リモネン、ジペンテン、ターピノーレン、β−フェランドレン、ピロネン、カンフェンなどを用いることができる。
ここで、共役二重結合を有するテルペン化合物であるα−テルピネン(化5)、アロオシメン(化6)、ミルセン(化7)、オシメン(化8)、α−ファルネセン(化9)、β−ファルネセン(化10)、α−フェランドレン(化11)の化学構造式を化5〜化11に記載する。
Figure 2006137738
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上記0011記載の(メタ)アクリル酸系化合物について説明する。
上記(メタ)アクリル酸系化合物としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、アクロレイン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物の反応であるディールス−アルダー反応について説明する。
本発明のテルペン化合物と(メタ)アクリル酸系化合物とディールス−アルダー反応とは、環化付加反応である。
ディールス−アルダー反応は、一般的な化学書等に記載されている公知の反応であり、共役二重結合(1,3−ジエン)を有する化合物が、オレフィン類と環状付加して、シクロヘキセン骨格を生成する反応である。このようにして得られる化合物は、通常、二重結合を有する環化付加反応物である。
本発明のディールス−アルダー反応の反応方式は特に限定されないが、バッチ反応でも連続反応でも反応できる。
なお、テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物との反応は、テルペン化合物1モルに対し、通常、(メタ)アクリル酸系化合物が0.5〜1.5モル、好ましくは0.8〜1.2モルである。
このディールス−アルダー反応の反応温度は、通常、0〜250℃、好ましくは30〜200℃、さらに好ましくは50〜180℃に加熱することで反応が行なわれる。反応温度が0℃未満では反応速度が極端に遅く、一方、250℃を超えると、重合などの副反応が顕著になり好ましくない。
溶媒は使用しなくてもよいが、パラメンタン等の高沸点の二重結合や官能基を有しない溶媒を使用してもよい。
このディールス−アルダー反応は、通常、無触媒で行われるが、触媒を用いて行ってもよい。反応触媒としては特に限定されないが、好ましくは、通常、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、活性白土、有機酸などの酸触媒が用いられる。
先に記載したように、ディールス−アルダー反応後のアルコール化に導く反応としては、例えば、次のような反応がある。
第一の反応は、テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物を反応させ、水素添加させた後、エステル還元して、新規テルペンアルコール系化合物を得る方法である。
第二の反応は、テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物を反応させ、水素添加させた後、直接、新規テルペンアルコール系化合物を得る方法である。
第三の反応は、テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物を反応させ、還元した後、水素添加して得る方法である。
上記反応により、式(I)や式(II)のテルペンアルコール系化合物を製造することができる。
上記記載の第一の反応におけるエステル還元反応について説明する。
このエステルの還元反応は、還元剤を用いてエステル、カルボン酸、またはアルデヒドを還元し、アルコールを得る方法である。
また、このエステル還元反応で使用される還元剤は、特に限定されるものではないが、例えば、水素化リチウムアルミニウム、水素化硼素ナトリウム、ナトリウム水素化ビス(2−エトキシメトキシ)アルミニウムなどの還元剤が挙げられる。
このエステル還元反応の反応温度は、通常、0〜120℃、好ましくは30〜100℃で反応が行われる。
第一の反応にける水添反応について説明する。
水添する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウムなどの貴金属またはそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの坦体上に担持したものを触媒として使用して行う方法が挙げられる。
この時、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式にすることも、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式にすることも可能であり、反応形式に特に制限はない。
触媒の使用量は、反応がバッチ方式の場合、原料に対し0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜20重量%である。触媒量が0.1重量%未満では、水素化反応速度が遅くなり、一方、50重量%を超えても触媒効果が上がらないので好ましくない。
水添の際、反応溶媒は用いなくてもよいが、通常、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類が使用される。
水添の際の反応温度は、特に限定されないが、通常20〜250℃、好ましくは、50〜200℃である。反応温度が20℃未満であると、水素化速度が遅くなり、一方、250℃を超えると、水添物の分解が多くなる恐れがある。
水添の際の水素圧は、通常10〜200kgf/cm2(9.8×10000〜196.0×10000 Pa)である。好ましくは、20〜50kgf/cm2(19.6×10000〜49.0×10000Pa)である。
なお、水添することにより、水添する前の化合物に比べて、色相が改善される。
また、第二の方法における、直接水素化による還元反応の方法は、触媒を用い水素による接触水素化還元反応により、環化付加反応物の二重結合およびエステル、アルデヒド等を還元してアルコール化合物を得る方法である。
その際使用される触媒は、特に限定されるものではなく、通常使用される接触還元触媒が使用できる。例えば、銅−クロム系触媒、銅−鉄−アルミニウム系触媒、パラジウム系、白金系、ルテニウム系などの金属系触媒などが挙げられる。また、温度は、0〜500℃が好ましく、さらに好ましくは100〜300℃である。
また、前記水素化触媒で二重結合を水素添加したのちに、銅−クロム系触媒、銅−鉄−アルミニウム系触媒などの還元触媒で不飽和ジカルボン酸、その酸無水物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステルを還元することもできる。
また、第三の方法における、還元及び水素化反応は、第一の反応における還元及び水素化反応と同様である。
このようにして生成したテルペンアルコール系化合物は、精製することにより高純度の製品として得られる。その精製方法は特に限定されないが、例えば、蒸留、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどが挙げられる。
さらに、本発明の上記テルペンアルコール系化合物をアクリル酸系化合物でエステル化反応させるエステル化反応について説明する。
このエステル化の方法は、通常行われているエステル化方法により行うことができる。すなわち、エステル化触媒および溶媒の存在下、上記テルペンアルコールと(メタ)アクリル酸エステルとをエステル交換反応させ、生成するアルコールを除くことにより、目的とする本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。
その際使用する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピルなどが用いられるが、好ましくはアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸メチルが用いられる。
テルペンアルコールと(メタ)アクリル酸エステルとの反応(仕込)モル比は、特に限定されないが、通常、テルペンアルコール/(メタ)アクリル酸エステル=0.01〜30/1.好ましくは、0.1〜20/1である。反応モル比が0.01/1未満または30/1を超えると、反応の効率が悪くなり好ましくない。
エステル化触媒としては、塩酸、硫酸などの酸触媒、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの塩基触媒、金属アルコラート触媒、有機スズ化合物触媒などが用いられるがこれらに限定されない。エステル化触媒の使用量は、特に限定されないが、テルペンアルコールおよび(メタ)アクリル酸エステル合計量に対して、通常、0.001重量%〜20重量%で、好ましくは0.01重量%〜10重量%である。0.001重量%未満だと、エステル化反応の進行が遅く効率が悪くなり、一方、20重量%を超えると、副反応が顕著となるため好ましくない。
このエステル交換反応には特に溶媒を使用しなくてもよいが、溶媒を使用してもよい。用いる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒、n−ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶媒などが使用されるが、これらに限定されない。
そのエステル交換反応の反応温度は、特に限定されることはなく、広範囲な温度範囲で実施することが可能であるが、通常、0℃〜300℃、好ましくは20℃〜200℃である。0℃未満だと、反応の進行が遅くなり、一方300℃を超えると、重合などの副反応が顕著となるため好ましくない。また、反応時間は、反応温度に依存するが、通常、0.1〜100時間であり、好ましくは0.2〜50時間である。0.1時間未満だと反応率が低く、一方100時間を超えてもそれ以上反応は進まないため好ましくない。
また、他の方法として、テルペンアルコールを(メタ)アクリル酸クロリドや(メタ)アクリル酸無水物と反応させることにより行うことができる。
その際、テルペンアルコールと(メタ)アクリル酸クロリドまたは(メタ)アクリル酸無水物との反応(仕込)モル比は、特に限定されないが、通常、テルペンアルコール/(メタ)アクリル酸クロリドまたは(メタ)アクリル酸無水物=0.01〜30/1、好ましくは、0.1〜20/1である。反応モル比が0.01/1未満または30/1を超えると、反応の効率が悪くなり好ましくない。反応温度は、特に限定されることはなく、広範囲な温度範囲で実施することが可能であるが、通常、−40℃〜300℃、好ましくは0℃〜200℃である。
−40℃未満だと、反応の進行が遅くなり、一方300℃を超えると重合などの副反応が顕著となるため好ましくない。反応時間は、反応温度に依存するが、通常、0.1〜100時間であり、好ましくは0.2〜50時間である。0.1時間未満だと反応率が低く、一方100時間を超えてもそれ以上反応は進まないため好ましくない。
この反応を円滑に進めるために、通常、塩基性物質を使用する。塩基性物質として例えば、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどのアミン化合物が用いられるが、これらに限定されない。
また、反応溶媒は特に用いなくてもよいが、使用することもできる。用いる溶媒として、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、n−ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エーテル類などの極性溶媒などが使用されるが、これらに限定されない。
また、テルペンアルコールを含むアルコールからテルペンアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物を合成する他の方法として、テルペンアルコールをアミン化合物の存在下、(メタ)アクリル酸および有機カルボン酸無水物と反応させる方法でも製造できる(特開2000−319226号公報)。
本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、反応系に重合禁止剤を添加させてもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、フェノチアジンなどが挙げられるが、これらの重合禁止剤に限定されない。
本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルは、赤外線吸収スペクトルにより、C−C伸縮に起因する2800〜3000cm−1付近、C=C伸縮に起因する1636cm−1付近、=CH2面内変角に起因する1407cm−1付近、、=CH2面外変角に起因する984cm−1付近、C=O伸縮に起因する1724cm−1付近、エステル基の吸収帯に起因する1190〜1300cm−1付近のピークにより確認することができる。
また、本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルは、1H−NMRチャートにより、ビシクロ環および側鎖に起因する0.84〜2.10ppmのピーク、エステル基に位置するメチレン基に起因する5.8、6.39ppmのピーク、および6.12ppmのピークのピークにより確認することができる。
さらに、13C−NMRにより、ビシクロ環および側鎖に起因する17.0〜39.7ppmのピーク、水酸基に隣接するメチレン基に起因する67.2のピークにより確認することができる。
さらに、一般式(II)で表されるジメチロール化合物は、ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC−MS)によるチャートよりm/z=250[M]+、m/z=236[M−CH2]+等が観測された。
本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルにラジカル重合開始剤を配合した硬化性組成物は、電子線および紫外線などの放射線により硬化させることができるが、低圧または高圧水銀灯、キセノン灯を用いて、紫外線を照射することによって硬化させることが好ましい。
なお、本発明の硬化性組成物とは、本発明のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルにラジカル重合開始剤が配合された組成物であるが、当該化合物がこの重合開始剤によってオリゴマーや重合物となったものをも広く包含する概念である。
ここで、本発明の重合開始剤(ラジカル重合開始剤)について説明する。
ラジカル重合開始剤は、ラジカル重合する開始剤であれば何でもよい。
具体的には、ベンジル、ベンゾイン、ベンジルアルキルケタノールなどのベンゾインエーテル系、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノンなどのアセトフェノン系、ベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸、4−4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−アルキルチオキサントンなどのチオキサントン系、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルフォスフィンオキサイド、その他、2−アルキルアントラキノンなどが挙げられる。
本発明の硬化性組成物において、上記のテルペン系(メタ)アクリル酸エステルとラジカル重合開始剤を含有する、配合割合は以下のようである。
テルペン系(メタ)アクリル酸エステルを100重量部として、ラジカル重合開始剤は、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5.0重量部、さらに好ましくは0.3〜4.0重量部である。0.01重量部未満ではラジカル重合が十分進行せず、一方、10重量部を超えるとラジカル重合以外の余分なものが添加されることになる。
本発明の硬化性組成物には、上記の必須成分の他に、必要に応じ、その他の(メタ)アクリレート系化合物やその他の添加剤として熱重合禁止剤、酸化防止剤、可塑剤、染料、顔料、樹脂化合物、適当な希釈溶剤などを添加することができる。
なお、本発明の硬化性組成物を用いて、電子線および紫外線などの放射線で硬化させることができるが、紫外線照射が好ましい。紫外線照射は、0.3〜3J/cm2で行うことが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜2J/cm2である。紫外線の強さが0.3J/cm2未満では、未硬化部分が残存する可能性が高くなり、一方、3J/cm2を越えると過剰露光により樹脂部分が変色する可能性が高くなるため、好ましくない。
硬化させる装置に関しては、通常使用されている電子線、紫外線の照射装置であれば特に指定はない。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記実施例における分析は、下記の機器を使用した。
赤外吸収装置(IR):島津製作所製、FTIR−8100M
ガスクロマトグラフィー質量分析装置(GC−MS):HEWLETT PACKARD社製、HP6890 GC System、カラム:HP−5MS(Crosslinked 5% Ph Me Siloxane)、30m×0.25mm×0.25μm、イオン化モード:EI
NMR:日本電子(株)社製、JNM−LA400、周波数400MHz(溶媒:CDCL3、内部標準物質:テトラメチルシラン)
実施例1
冷却管、温度計、撹拌棒を備えた500ml三つ口フラスコに、α−テルピネン136g(1.0モル)およびブチルアクリレート128g(1モル)を仕込み、撹拌しながら昇温して、150〜170℃で12時間反応した。反応後、反応液を減圧蒸留(2〜4mmHg、150〜180℃)することによりブチルアクリレート化テルピネンを215g(収率81.4%、純度95%)を得た。
続いて、電磁撹拌装置を備えた内容500mlのオートクレーブに、上記で得られたブチルアクリレート化テルピネンを200g(0.76モル)、および粉末状の5%パラジウムカーボン触媒2.0gを仕込んだ。次いで、これを密閉し、雰囲気を窒素ガスで置換した後、水素ガス50kg/cm2の圧力をかけながら導入した。吸収された水素を補うことで圧力を40〜50kg/cm2に保ちながら3時間、40℃で反応させた。その後、得られた懸濁液をブフナーロートで吸引ろ過を行い、触媒をろ別し、水素化ブチルアクリレート化テルピネンを202g(収率94%、純度95%)を得た。
次に、冷却管、温度計、撹拌棒滴下ロートを備えた2L四つ口フラスコに、窒素気流下、脱水テトラヒドロフランを500ml入れ、水素化リチウムアルミニウム26.1g(0.687モル)を加えた。混合液を、65℃で30分間環流させた後、加熱をやめ、ここに上記のようにして得られた水素化ブチルアクリレート化テルピネン100g(0.38モル)をテトラヒドロフラン300mlに溶解した溶液を3時間かけて滴下した。混合液を65℃で12時間環流させた後、0℃付近に冷却し、水を26ml、4規定水酸化ナトリウム水溶液を26ml、水80mlを順次加えた。灰色の部分がなくなるまで撹拌し、酢酸エチルを加え、油層と水層に分離した。油層を減圧蒸留にて溶媒を除去し、粗生成物89gを得た。これを減圧蒸留(2〜4mmHg、140〜170℃)で精製することにより、式(I)および(II)で表されるテルペンアルコール系化合物56.3g(収率76.4%、純度98%)を得た。
Figure 2006137738
Figure 2006137738
実施例2(光硬化材料への応用)
(化合物IおよびIIのエステル化)
ディーンスターク管、冷却管、温度計、撹拌棒を備えた300ml四つ口フラスコに、実施例1で得られた化合物IおよびII20g(0.102モル)とトルエン100g、アクリル酸12.7g(0.176モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル2.5mg、およびイオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ロームアンドハース社製)2.0gを仕込んだ。混合液を減圧下100℃で12時間還流させた後、得られた混合液をろ過して触媒をろ別した。次いで、減圧下80℃でトルエンを留去して、アクリレート化合物a、20.6g(収率70%、純度72%)を得た。
このアクリレート化合物aの化学構造式(III)、(IV)を下記に掲載する。
また、この実施例2で得られた化学構造式(III)、(IV)の混合物のIRスペクトルチャート、GC−MSスペクトルチャート、1H−NMRチャート、13C−NMRチャートを図1〜4に掲載した。
また、下記に、図3、4の1H−NMRチャート、13C−NMRチャートの説明を掲載した。
Figure 2006137738
Figure 2006137738
Figure 2006137738
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Figure 2006137738
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(硬化性組成物の製造)
上記アクリレート化合物aを40g、(B)光ラジカル重合開始剤としてベンゾフェノン1gを混合し、混合物をフィルターを通して濾過し、本発明の光硬化材料を得た。
(硬化収縮率)
上記光硬化材料を25℃の恒温水槽に放置した後、ピクノメーターを用いて、比重D1を測定した。次に得られる塗膜の厚さが100μmになるようにガラス板に上記光硬化材料を挟み込み、メタルハライドランプで約1J/cm2照射した。JIS−Z8807−1976に準じ、この塗膜の固体比重D2を求め、下記計算式(数1)により硬化収縮率を求めた。
硬化収縮率の測定結果を表1に記載した。
数1
硬化収縮率(%)=((D2−D1)/D2)×100
応用例の比較実験1
エチレングリコールジアクリレート40g、ベンゾフェノン1gを混合し、フィルターを通して濾過し、この濾過した組成物を紫外線硬化させた。
実施例1と同様の方法で、硬化前のモノマーの比重、硬化膜の比重より、硬化収縮率(%)を算出した。硬化収縮率の測定結果を表3に記載した。
Figure 2006137738
応用例2
上記(A)アクリレート化合物aを40g、(B)光ラジカル重合開始剤としてベンゾフェノン1gを混合し、溶剤としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/ソルベントナフサ(50/50)50gを加え、反応温度70℃で機械攪拌を行い、6時間反応させ、樹脂bを得た。
樹脂bを50g、トリグリシジルイソシアヌレート15g、ベンゾフェノン1g、BYK357(ビッグケミー製消泡剤)1g、BYK054(ビッグケミー製表面平滑剤)1g、フタロシアニングリーン(山陽色素製)1g、タルク20g、硫酸バリウム10gを混合し、ニューロング精密工業社製スクリーン印刷機LS15GXを使用し、表面機械研磨を行った銅張積層板に膜厚40μmになるように塗布した。塗布した基板を70℃の乾燥機中に30分間放置し、平行光露光機で露光パターンフィルムを載せて250mJ/cm2の光量を露光した。露光後、1%炭酸ナトリウム水溶液で60秒間、1.5kg/cm2のスプレー圧で現像を行った。水洗後、160℃、1時間熱風乾燥機に入れ加熱硬化を行った。
得られた硬化膜を有する試験片について、ガラス転移温度(Tg)測定、吸水率評価を行った。結果を表4に記載した。
応用例2の比較実験2
エチレングリコールジアクリレート40g、ベンゾフェノン1gを混合し、実施例2と同様の方法で処理した後、ガラス転移温度(Tg)測定、吸水率の評価を行った。結果を表2に記載した。
試験方法および評価方法は次の通りである。
(ガラス転移温度(Tg)の測定)
塗膜を1度塗り、または2度塗りした基板から剥離し、JIS−C−6481の試験方法に従って、TMA引っ張り試験により測定を行った。
(吸水率測定)
サンプルを120℃乾燥機中で一晩置き、十分乾燥させた後、重量(W0)を測定した。
次にこのサンプルをプレッシャークッカー(121℃、2atm.)に1時間入れた。プレッシャークッカーから取り出した後、流水で3分間冷却し布で水分を拭き取り、2分間放置した後、重量(W1)を測定し、下式(数2)により吸水率を求めた。
数2
吸水率(%)=((W1−W0)/W0)×100
Figure 2006137738
本発明の光硬化材料は、接着性が良好であることからコーティング剤や塗料、インクをはじめ電気絶縁材料などとしても利用できる。
実施例2で得られたテルペン系(メタ)アクリレートエステル(III)、(IV)混合物のIRスペクトルチャートである。 実施例2で得られたテルペン系(メタ)アクリレートエステル(III)、(IV)混合物のGC−MSスペクトルチャートである。 実施例2で得られたテルペン系(メタ)アクリレートエステル(III)、(IV)混合物の1H−NMRチャートである。 実施例2で得られたテルペン系(メタ)アクリレートエステル(III)、(IV)混合物の13C−NMRチャートである。

Claims (3)

  1. テルペン化合物と、(メタ)アクリル酸系化合物をディールズ−アルダー反応させて得られる化合物の誘導体であるテルペンアルコール系化合物を、さらにアクリル酸系化合物でエステル化反応させて得られるテルペン系(メタ)アクリル酸エステル。
  2. テルペンアルコール系化合物が、下記の式(I)および/または式(II)で表されるテルペンアルコール系化合物である、請求項1記載のテルペン系(メタ)アクリル酸エステル。
    Figure 2006137738
    Figure 2006137738
  3. 請求項1、2いずれか記載のテルペン系(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対し、ラジカル重合開始剤を0.01〜10重量部含有することを特徴とする硬化性組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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TWI392905B (zh) * 2006-08-30 2013-04-11 Sony Corp 液晶顯示元件以及投射型液晶顯示裝置
US20170044282A1 (en) * 2014-04-22 2017-02-16 The University Of Nottingham Terpene and terpenoid derivatives containing vinyl groups for the preparation of polymers
CN107828770A (zh) * 2017-10-30 2018-03-23 北京化工大学 一种在无纺布上光固化有机磷水解酶方法

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