JP2006129209A - 圧電振動部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】温度が変化しても厚み縦振動の3倍波を良好に利用できる、エネルギー閉じ込め型圧電振動部品を得る。
【解決手段】圧電基板3と、該基板3を介して厚み方向に対向する様に、圧電基板3の上面3a及び下面3bに形成された第1,第2の振動電極4,5とを有し、第1,第2の振動電極4,5が厚み方向に対向してエネルギー閉じ込め型振動部6を形成するエネルギー閉じ込め型の圧電振動子2と、圧電振動子2が上面2aに搭載される基板11と、圧電振動子2と基板11とを接合し、音響インピーダンスが圧電基板3と基板11の音響インピーダンスより小さい接着剤層21,22とを備え、接着剤層21,22が、下記式(1)で表わされる厚みを有し、かつ厚み縦振動の3倍波を利用している、圧電振動部品1。 厚み=(n/4)・λ…式(1)(式中、nは1以上の奇数、λは基本波の波長を表わす。)
【選択図】 図1
【解決手段】圧電基板3と、該基板3を介して厚み方向に対向する様に、圧電基板3の上面3a及び下面3bに形成された第1,第2の振動電極4,5とを有し、第1,第2の振動電極4,5が厚み方向に対向してエネルギー閉じ込め型振動部6を形成するエネルギー閉じ込め型の圧電振動子2と、圧電振動子2が上面2aに搭載される基板11と、圧電振動子2と基板11とを接合し、音響インピーダンスが圧電基板3と基板11の音響インピーダンスより小さい接着剤層21,22とを備え、接着剤層21,22が、下記式(1)で表わされる厚みを有し、かつ厚み縦振動の3倍波を利用している、圧電振動部品1。 厚み=(n/4)・λ…式(1)(式中、nは1以上の奇数、λは基本波の波長を表わす。)
【選択図】 図1
Description
本発明は、高周波数の振動を利用する圧電振動部品に関し、より詳細には、厚み縦振動の3倍波による振動を利用した、エネルギー閉じ込め型の圧電振動部品に関する。
近年、各種電子機器や通信機器において、情報量の増大と処理速度の高速化に伴い、従来よりも高い周波数で振動する圧電振動子が求められている。また、圧電振動子の振動周波数を高くするために、基本波ではなく3倍波を利用した種々の試みがなされている。
下記の特許文献1には、厚み縦振動の3倍波を利用したエネルギー閉じ込め型の圧電振動子が開示されている。図7(a)及び(b)に、特許文献1に記載の圧電振動子を平面図及び正面図で示す。
圧電振動子201は、短冊状の圧電体202を有する。圧電体202の上面202aには第1の振動電極203が形成されており、下面202bには第2の振動電極204が形成されている。第1の振動電極203は、圧電体202の上面202aにおいて、中央から第1の端面202cと上面202aとのなす端縁に至っている。第2の振動電極204は、圧電体202の下面202bにおいて、中央から第2の端面202dと下面202bとのなす端縁に至っている。第1,第2の振動電極203,204は、圧電体202の中央部分において、厚み方向に対向し合う領域Aを有する。領域Aがエネルギー閉じ込め型の圧電振動部である。
また、圧電体202の上面202a及び下面202bには、帯状のダンピング層205a〜205dが形成されている。ダンピング層205a,205bは、圧電体202の上面202aにおいて、上記対向領域Aから圧電体202の長さ方向に沿って間隔gを隔てて配置されている。ダンピング層205c,205dは、圧電体202の下面202bにおいて、上記対向領域Aから圧電体202の長さ方向に沿って間隔gを隔てて配置されている。
特許文献1に記載の圧電振動子201では、ダンピング層205a〜205dによって、厚み縦振動モードの基本波が抑制される。しかしながら、3倍波による振動は殆どダンピングされない。従って、3倍波の利用が可能とされている。特に、第1,第2の振動電極203,204とダンピング層205a〜205dとの間の間隔gを適切に設定することにより、基本波を効果的に抑圧することができるため、3倍波による振動を効果的に利用することができる。
特開平09−181556号公報
しかしながら、ダンピング層205a〜205dの物性は温度よって変化する。従って、周囲温度が変化すると、ダンピング層205a〜205dによるダンピング効果も変化する。そのため常温においては、圧電振動子201の基本波を抑制し得たとしても、圧電振動子201が常温以外の使用環境で用いられた場合には、基本波が十分に抑制されないことがあった。
すなわち、常温において圧電振動子201の基本波を抑制して、3倍波による振動を利用し得るように圧電振動子201を構成しても、温度が変化すると、基本波の抑圧状態が変化することがあった。
他方、温度を変化させつつ多数の圧電振動子201の特性を評価し、温度変化による基本波抑圧状態の変化が小さいものを選別する方法も試みられている。しかしながら、このような選別には、多大の手間と時間とを必要とした。
本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、温度が変化した場合でも厚み縦振動の3倍波を安定にかつ良好に利用することができる、エネルギー閉じ込め型の圧電振動部品を提供することにある。
本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、温度が変化した場合でも厚み縦振動の3倍波を安定にかつ良好に利用することができる、エネルギー閉じ込め型の圧電振動部品を提供することにある。
本願の第1の発明に係る圧電振動部品は、圧電基板と、圧電基板を介して厚み方向に対向するように、圧電基板の上面及び下面に形成された第1,第2の振動電極とを有し、第1,第2の振動電極が厚み方向において対向している部分がエネルギー閉じ込め型の振動部を形成しているエネルギー閉じ込め型の圧電振動子と、圧電振動子が上面に搭載されている基板と、圧電振動子と基板とを接合しており、音響インピーダンスが圧電基板及び基板の音響インピーダンスよりも小さい接着剤層とを備え、接着剤層が下記式(1)で表わされる厚みを有し、かつ厚み縦振動の3倍波を利用していることを特徴とする。
厚み=(n/4)・λ…式(1)
(式中、nは1以上の奇数、λは基本波の波長を表わす。)
(式中、nは1以上の奇数、λは基本波の波長を表わす。)
本願の第2の発明に係る圧電振動部品は、圧電基板と、圧電基板を介して厚み方向に対向するように、圧電基板の上面及び下面に形成された第1,第2の振動電極とを有し、第1,第2の振動電極が厚み方向において対向している部分がエネルギー閉じ込め型の振動部を形成しているエネルギー閉じ込め型の圧電振動子と、圧電振動子の下面に固定された支持部と、圧電振動子が支持部を介して上面に搭載されている基板とを備え、支持部の音響インピーダンスが圧電基板及び前記基板の音響インピーダンスよりも小さくされており、支持部が基板に接合されており、支持部が上述した式(1)で表わされる厚みを有し、かつ厚み縦振動の3倍波を利用していることを特徴とする。
本願の第1,第2の発明のある特定の局面では、圧電振動子と接着剤層とを覆うように、下方に開いた開口を有するキャップが、基板の上面に搭載されている。
本願の第1の発明に係る圧電振動部品の他の特定の局面では、圧電振動子が板状の形状を有し、圧電振動子の上面に搭載されている第2の基板と、圧電振動子と第2の基板とを接合しており、音響インピーダンスが圧電基板及び第2の基板の音響インピーダンスよりも小さい第2の接着剤層とがさらに備えられており、第2の接着剤層が上述した式(1)で表わされる厚みを有している。
本願の第2の発明に係る圧電振動部品の他の特定の局面では、圧電振動子が板状の形状を有し、圧電振動子の上面に固定された第2の支持部と、圧電振動子の上面に第2の支持部を介して搭載されている第2の基板とがさらに備えられており、第2の支持部の音響インピーダンスが圧電基板及び第2の基板の音響インピーダンスよりも小さくされており、第2の支持部が第2の基板に接合されており、第2の支持部が上述した式(1)で表わされる厚みを有している。
本願の第1の発明に係る圧電振動部品では、圧電基板の上面及び下面に振動電極が形成されているエネルギー閉じ込め型の圧電振動子と、圧電振動子が上面に搭載されている基板とが、接着剤層を介して接合されている。この接着剤層の音響インピーダンスは、圧電基板及び基板の音響インピーダンスよりも小さくされているので、基本波が圧電振動子から接着剤層に伝播し、接着剤層に伝播した基本波が接着剤層と基板との界面で反射する。また、接着剤層は上述した式(1)で表わされる厚みを有する。従って、上記界面に向かう基本波の入射波と、界面で反射された後の反射波とは同位相となる。よって、常温では接着剤層において基本波は減衰し難い。
すなわち、第1の発明の圧電振動部品では、常温においては、あえて基本波の振動が減衰し難く構成されている。しかしながら、第1の発明の圧電振動部品では、このような構成を有することにより、逆に、常温から温度が変化した場合には、基本波が効果的に減衰される。
すなわち、常温(25℃)から高温側または低温側に温度変化した場合、接着剤層の物性値も温度変化に伴って変化する。従って、上記式(1)で表される厚みを有するように接着剤層が構成されていたとしても、常温のときに比べて入射波と反射波との位相がずれることになり、基本波が常温の場合に比べて減衰されることになる。
すなわち、第1の発明は、常温においては、あえて基本波が接着剤層により最も減衰されないように構成することにより、常温から温度がずれた際に、基本波が常温の場合に比べて減衰されるように構成したことを特徴とする。
従って、常温において、圧電振動部品を駆動するための発振回路側において、基本波が圧電振動部品において十分に減衰されておらずとも、3倍波による安定発振が実現されるように回路定数を設定しておくことにより、常温において安定に発振させることができる。しかも、常温から温度が変化した場合には、圧電振動部品自体において、基本波が接着剤層により効果的に減衰されるため、同様に厚み縦振動の3倍波による振動を確実に利用することができる。
本願の第2の発明においては、上記第1の発明における接着剤層に代えて、上記支持部を介して圧電振動子が基板に固定されており、該支持部の音響インピーダンスが圧電振動子の圧電基板と、上記基板との音響インピーダンスよりも小さくされており、支持部の厚みが式(1)で示す値とされている。従って、第2の発明においても、常温において基本波が支持部において最も減衰され難い。よって、常温において、上記圧電振動部品を用いて厚み縦振動の3倍波による安定発振が得られるように発振回路の回路定数を設定しておくだけで、温度変化が生じた場合であっても、厚み縦振動の3倍波による振動を確実に利用することができる。
第1,第2の発明において、圧電振動子を覆うように下方に開いた開口を有するキャップが基板の上面に搭載されている場合には、本発明に従って、基板とキャップとで封止された空間に圧電振動子が配置されているキャップ付きの電子部品として、本発明の圧電振動部品を提供することができる。
また、第1の発明の圧電振動部品において、圧電振動子が板状の形状を有し、圧電振動子の上面に第2の接着剤層を介して第2の基板が積層されており、かつ第2の接着剤層が、式(1)で表される厚みを有するように構成されている場合には、第2の接着剤層においても、常温において基本波が最も減衰し難くされている。従って、圧電振動子の上面側にも、下面側と同様の構造が備えられているため、常温からの温度変化による特性の劣化が生じ難い、板状の圧電振動子の上下に接着剤層を介して基板が積層された積層型の圧電振動部品を提供することができる。
また、第2の発明においても、圧電振動子が板状の形状を有し、圧電振動子の上面に、第2の支持部を介して第2の基板が搭載されている構造において、第2の支持部が式(1)で表される厚みを有するように構成されている場合には、同様に、第2の発明においても、常温からの温度変化による特性の劣化が生じ難い、厚み縦振動の3倍波を利用した積層型の圧電振動部品を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
(第1の実施形態)
図1(a),(b)に、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動部品を分解斜視図及び分解正面図で示す。
図1(a),(b)に、本発明の第1の実施形態に係る圧電振動部品を分解斜視図及び分解正面図で示す。
圧電振動部品1は、圧電振動子2を有する。圧電振動子2は、厚み方向に分極処理された短冊状の圧電基板3を有する。
圧電基板3は、上面3aと、下面3bと、長さ方向一端に位置する第1の端面3cと、第1の端面3cと反対側の端部に位置する第2の端面3dとを有する。圧電基板3は、チタン酸鉛(PT)またはチタン酸ジルコン酸亜鉛(PZT)等の圧電セラミックスまたは水晶等の圧電単結晶を用いて形成されている。
圧電基板3の上面3aには、第1の振動電極4が形成されている。振動電極4は、上面3aの中央から第1の端面3c側に延ばされている。圧電基板3の下面3bには、第2の振動電極5が形成されている。振動電極5は、下面3bの中央から第2の端面3d側に延ばされている。
第1,第2の振動電極4,5は、圧電基板3の中央部分において、圧電基板3を介して厚み方向に対向されている。振動電極4,5が厚み方向に対向している領域が、エネルギー閉じ込め型の圧電振動部6を形成している。
第1の振動電極4は、電極延長部7に連ねられている。電極延長部7は、第1の端面3cを経て、下面3bに至っており、かつ下面3bにおいて第2の振動電極5と一定間隔を隔てられている。第2の振動電極5は、電極延長部8に連ねられている。電極延長部8は、第2の端面3dに形成されている。
上記各電極は、CuやAl、Agなどの適宜の金属もしくは合金により構成され得る。
図1,2に示すように、圧電振動子2は、基板11の上面に搭載されている。
基板11は、アルミナなどの絶縁性セラミックスにより構成されている。基板11は、矩形板状の形状を有し、上面11aと、下面11bと、第1の端面11cと、第1の端面11cと反対側に位置する第2の端面11dとを有する。第1の端面11cの近傍において、基板11を巻回するように第1の実装用電極12が形成されている。第2の端面11dの近傍において、基板11を巻回するように第2の実装用電極13が形成されている。さらに、基板11の下面11bの中央において、下面11bの全幅に至るように延ばされており、かつ2つの側面に至るように、第3の実装用電極14が形成されている。
圧電振動子2と基板11とは、接着剤層21,22を介して接合されている。すなわち、圧電振動子2の圧電基板3の下面3bに形成されている電極延長部7と、基板11の上面11aに形成されている第1の実装用電極12とが接着剤層21を介して接合されている。さらに、圧電振動子2の圧電基板3の下面3bに形成されている第2の振動電極5と、基板11の上面11aに形成されている第2の実装用電極13とが接着剤層22を介して接合されている。
上記接着剤層21,22の音響インピーダンスは、圧電基板2及び基板11の音響インピーダンスよりも小さくされている。なお、本実施形態では、接着剤層21,22は導電性接着剤を用いて形成されている。
接着剤層21,22は、導電性接着剤以外の導電性シートまたは半田などの導体により構成されてもよく、あるいは絶縁性接着剤により形成される。なお、接着剤層21,22を構成する接着剤は、液状接着剤、固形接着剤、及びシート状接着剤などのいずれでもよい。
接着剤層21,22を絶縁性接着剤を用いて形成する場合には、圧電振動子2と基板11の実装用電極12,13とを電気的に接続する他の接続用電極を形成すればよい。
圧電振動子2を覆うように、ケース材として、下方に開いた開口31aを有するキャップ31が基板11の上面11aに搭載される。キャップ31の開口縁31aが基板11に接着剤層32を介して接合されている。よって、圧電振動子2が、キャップ31により保護されている。キャップ31は、金属、セラミックスまたは樹脂等により形成され得る。
本実施形態の圧電振動部品の特徴は、上記接着剤層21,22の音響インピーダンスが、圧電基板3の音響インピーダンス及び基板11の音響インピーダンスよりも低く、かつ接着剤層21,22の厚みが下記の式(1)を満たすように構成されていることにあり、それによって常温(25℃)からの温度変化による特性の変化を効果的に抑制することができる。これを、具体的に説明する。
厚み=(n/4)・λ…式(1)
但し、nは奇数、λは厚み縦振動の基本波の波長のことである。
但し、nは奇数、λは厚み縦振動の基本波の波長のことである。
なお、接着剤層21,22の上述した式(1)で表わされる厚みは、例えば、接着剤層21,22の弾性率が7GPa,密度が4g/cm3、及び基本波の周波数が10MHzである場合には、λが132μmになり、n=1のときには33μm、n=3のときには99μmとなる。なお、弾性率E(Pa)と密度ρ(kg/m3)と周波数f(1/s)と波長λ(μm)との間には下記の式(2)が成り立つ。
本実施形態の圧電振動部品1において、圧電振動子2の振動電極4,5に交流電界を印加すると、振動電極4,5が対向している圧電振動部が圧電効果により振動する。この場合、厚み縦振動の基本波と、3倍波を含む高調波とが励振される。本実施形態では、高周波化に対応するために、3倍波が利用される。従って、利用しない基本波は、抑圧もしくは減衰されることが望ましい。
ところで、圧電振動子2を駆動した場合、接着剤層21,22の音響インピーダンスが圧電基板2及び基板11の音響インピーダンスよりも小さくされているので、基本波は、圧電振動子2から接着剤層21,22に伝播し、接着剤層21,22と基板11との界面で反射される。この場合、接着剤層21,22の厚みにより、入射波と反射波との位相のずれが異なり、基本波の減衰量が異なるので基本波の位相角の大きさが異なる。これを図5に示す。図5の横軸は、1つの接着剤層の厚みを示し、ここでλは基本波の波長を示す。また、縦軸は、基本波の位相角の最大値を示す。
図5から明らかなように、nλ/4のnが奇数の場合には基本波の位相角最大値が最も大きくなり、nが偶数の場合最も小さくなる。この理由を図6(a)及び(b)を参照して説明する。
図6(a)は、接着剤層21の厚みがλ/4であるときの接着剤層21への基本波の入射波xと反射波yとの関係を模式的に示す。他方、図6(b)は、接着剤層21の厚みが2λ/4であるときの接着剤層21への入射波xと反射波yとの関係を模式的に示す。なお、図6(a),(b)では、入射波xを実線、反射波yを鎖線で示している。
図6(a)に示すように、接着剤層21の厚みがλ/4の場合には、入射波xと反射波yとは同位相となるため、基本波は打ち消されず、位相角最大値が大きくなる。他方、図6(b)に示されているように、接着剤層21の厚みが2λ/4の場合には、入射波xと反射波yとは逆位相となるため、基本波は減衰されて、位相角最大値は小さくなる。
本実施形態では、入射波xと反射波yが同位相となるように、接着剤層21,22の厚みが上記式(1)で表わされる厚みとされている。従って、基本波が最も減衰されていないことになる。
もっとも、基本波が減衰されないのは、常温の状態の場合である。すなわち、本実施形態では、上記式(1)を満たす厚みに接着剤層21,22が構成されているため、常温において基本波は最も減衰しない。このことは、逆に常温から温度がずれた場合には、接着剤層21,22の物性の変化により、基本波が常温の場合に比べて減衰することを意味する。
従って、基本波が最も減衰されない常温において、圧電振動部品1を用いて厚み縦振動の3倍波による安定な発振が得られるように発振回路を構成すれば、常温において安定に発振することを確保することができるとともに、常温から温度がずれた場合においても、基本波を減衰させることができるので、特性の劣化が生じ難い。すなわち、厚み縦振動の3倍波による振動を、広い温度範囲に渡り確実に利用することができる。
(第2の実施形態)
図3に、第2の実施形態に係る圧電振動部品51を分解斜視図で示す。
図3に、第2の実施形態に係る圧電振動部品51を分解斜視図で示す。
圧電振動部品51は、圧電振動子52を有する。圧電振動子52は、板状の圧電基板53を有する。圧電基板53は、上面53aと、下面53bと、長さ方向一端に位置する第1の端面53cと、第1の端面53cとは反対側に位置する第2の端面53dとを有する。
圧電基板53の上面53aの中央には、円形の第1の振動電極54が形成されている。他方、圧電基板53の下面53bの中央には、円形の第2の振動電極が形成されている。第1の振動電極54と第2の振動電極とは、圧電基板53の中央部分において、圧電基板53を介して厚み方向に対向している。この厚み方向に対向している領域が、エネルギー閉じ込め型の振動部56を構成している。本実施形態においても、厚み縦振動の3倍波が利用される。
第1の振動電極54は、圧電基板53の上面53aと、端面53cとのなす端縁に沿うように設けられた引出電極57に電気的に接続されている。下面側の第2の振動電極は、下面53bと、端面53dとのなす端縁に沿うように下面53b上に形成された引出電極に電気的に接続されている。
矩形板状の圧電振動子52の下面側には、矩形枠状の接着剤層71を介して矩形板状のケース基板61が接合されている。矩形枠状の接着剤層71は、開口を有し、該開口は振動部の振動を妨げないための空隙を設けるために形成されている。圧電振動子52の上面側には、同じく矩形枠状の接着層72を介してケース基板62が接合されている。
本実施形態では、上記圧電振動子52の上下に接着剤層71,72を介してケース基板61,62が積層されることにより、積層型の圧電振動部品が構成される。そして、この積層体の一方の側面から下面を経て他方の側面に至るように、端子電子部品81〜83が形成される。図3では、端子電極81〜83の、積層体の側面上に形成される部分と、下面上に形成される部分と、反対側の側面上に形成される部分とが分断して示されている。
本実施形態の特徴は、上記接着剤層71,72の音響インピーダンスが、圧電基板52の音響インピーダンス及びケース基板61,62の音響インピーダンスよりも小さく低くされており、かつ接着剤層71,72の厚みが、上述した式(1)で表される厚みを有するように構成されていることにある。なお、第1,第2の接着剤層71,72の上述した式(1)の厚みは、例えば、第1,第2の接着剤層71,72の弾性率が3GPa,密度が1.2g/cm3、及び基本波の周波数が10MHzである場合はλ=160μmになり、n=1のときには40μm、n=3のときには120μmとなる。
上記ように、本発明においては、エネルギー閉じ込め型の厚み縦振動の3倍波を利用した圧電振動子の下方だけでなく、上方にも第2の接着剤層に相当する接着剤層72を介して接着剤層72よりも音響インピーダンスの高いケース基板62を積層した構造を有していてもよい。
第2の実施形態においても、第1,第2の接着剤層71,72が上記のように構成されているため、接着剤層71,72において、常温では厚み縦振動の基本波が減衰され難い。しかしながら、常温から温度が変化した場合には、接着剤層71,72の物性が変化し、基本波が常温の場合に比べて減衰されることとなる。
よって、第1の実施形態の場合と同様に、常温において安定に発振され得るように、発振回路の発振定数を設定しておけば、圧電振動部品51を用いて常温において安定に発振させることができる。しかも、常温から温度が変化した場合には、圧電振動部品51において基本波が効果的に減衰されることになるため、特性の劣化を防止することができ、広い温度範囲に渡り安定に発振させることができる。よって、温度変化の如何に関わらず安定に発振させ得る、厚み縦振動の3倍波を利用した積層型の圧電振動部品51を提供することが可能となる。
(第3の実施形態)
図4に、第3の実施形態に係る圧電振動部品101を分解斜視図で示す。
図4に、第3の実施形態に係る圧電振動部品101を分解斜視図で示す。
なお、第3の実施形態に係る圧電振動部品101は、基本的には第1の実施形態に係る圧電振動部品1と同様の構造を有する。異なるところは、圧電振動部品1の圧電振動子2と基板11との間に形成されている接着剤層21,22に代えて、支持部102,103が用いられ、かつ該支持部102,103が基板11の上面に接着により接合されていることにある。すなわち、支持部102,103は、導電性の接着剤111,112により基板11に接着されている。接着剤111,112は非常に薄く付与される。
また、接着剤111,112は、圧電振動子2の端面に至るように付与される。すなわち、導電性接着剤からなる接着剤111,112は、支持部102,103の下面を基板11に接合するだけでなく、電極延長部7の圧電基板3の一方端面上に位置している部分と実装用電極12とを電気的に接続するとともに、電極延長部8の圧電基板3の端面3dに位置している部分を実装用電極13に電気的に接続する機能も果たす。
すなわち、支持部102,103が絶縁性材料により構成されているため、接着剤材111,112は導電性接着剤により構成され、電気的接続機能を果たしている。
もっとも、支持部102,103が導電性材料により構成されていてもよく、その場合には、接着剤111,112は、支持部102,103と実装用電極12,13とを電気的に接続するように、支持部102,103の下面にのみ付与されてもよい。
なお、本実施形態において、他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、同一部分については同一の参照番号を付することにより、詳細な説明は省略することとする。
本実施形態においては、常温において、上記支持部102,103の音響インピーダンスが、圧電基板2及び基板11の音響インピーダンスよりも小さくされている。従って、支持部102,103は、第1の実施形態の接着剤層21,22と同様に機能する。
すなわち、常温においては、基本波は支持部102,103の存在により最も減衰しない状態とされている。従って、常温において安定に発振するように回路定数を設定しておけば、常温において厚み縦振動の3倍波による良好な発振特性を得ることができる。そして、常温から温度が変化した場合には、第1の実施形態の場合と同様に、基本波が支持部102,103により減衰されるため、やはり厚み縦振動の3倍波を利用した良好な特性を得ることができる。
なお、前述した第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、接着剤層71,72を相対的に低い音響インピーダンスの材料層として用いたが、第2の実施形態の接着剤層71,72を、第3の実施形態の支持部102,103と同様に、接着機能を有しない低音響インピーダンス層として構成してもよい。その場合には、第2の実施形態の接着剤層71に相当する部分が第1の支持部となり、第2の接着剤層72に相当する部分が第2の支持部となる。もっとも、その場合には、接着性を有しないため、接着剤層71,72に代えて用いる矩形枠状の支持部及び第2の支持部の上面及び下面に薄く接着剤を塗布し、接合すればよい。
1…圧電振動部品
2…圧電振動子
3…圧電基板
3a…上面
3b…下面
3c…第1の端面
3d…第2の端面
4…第1の振動電極
5…第2の振動電極
6…振動部
7…電極延長部
8…電極延長部
11…基板
11a…上面
11b…下面
11c…第1の端面
11d…第2の端面
12…第1の実装用電極
13…第2の実装用電極
14…第3の実装用電極
21…接着剤層
22…接着剤層
31…キャップ
31a…開口
32…接着剤層
51…圧電振動部品
52…圧電振動子
53…圧電基板
53a…上面
53b…下面
53c…第1の端面
53d…第2の端面
54…第1の振動電極
55…第2の振動電極
56…振動部
57…引出電極
61…第1の基板
61a…上面
61b…下面
62…第2の基板
71…第1の接着剤層
72…第2の接着剤層
81…第1の実装または搭載電極
82…第2の実装または搭載電極
83…第3の実装または搭載電極
101…圧電振動部品
102…支持部
103…支持部
111…接着剤層
111a…突出部
112…接着剤層
112a…突出部
x…入射波
y…反射波
2…圧電振動子
3…圧電基板
3a…上面
3b…下面
3c…第1の端面
3d…第2の端面
4…第1の振動電極
5…第2の振動電極
6…振動部
7…電極延長部
8…電極延長部
11…基板
11a…上面
11b…下面
11c…第1の端面
11d…第2の端面
12…第1の実装用電極
13…第2の実装用電極
14…第3の実装用電極
21…接着剤層
22…接着剤層
31…キャップ
31a…開口
32…接着剤層
51…圧電振動部品
52…圧電振動子
53…圧電基板
53a…上面
53b…下面
53c…第1の端面
53d…第2の端面
54…第1の振動電極
55…第2の振動電極
56…振動部
57…引出電極
61…第1の基板
61a…上面
61b…下面
62…第2の基板
71…第1の接着剤層
72…第2の接着剤層
81…第1の実装または搭載電極
82…第2の実装または搭載電極
83…第3の実装または搭載電極
101…圧電振動部品
102…支持部
103…支持部
111…接着剤層
111a…突出部
112…接着剤層
112a…突出部
x…入射波
y…反射波
Claims (5)
- 圧電基板と、前記圧電基板を介して厚み方向に対向するように、前記圧電基板の上面及び下面に形成された第1,第2の振動電極とを有し、前記第1,第2の振動電極が厚み方向において対向している部分がエネルギー閉じ込め型の振動部を形成しているエネルギー閉じ込め型の圧電振動子と、
前記圧電振動子が上面に搭載されている基板と、
前記圧電振動子と前記基板とを接合しており、音響インピーダンスが前記圧電基板及び前記基板の音響インピーダンスよりも小さい接着剤層とを備え、
前記接着剤層が下記式(1)で表わされる厚みを有し、かつ厚み縦振動の3倍波を利用していることを特徴とする、圧電振動部品。
厚み=(n/4)・λ…式(1)
(式中、nは1以上の奇数、λは基本波の波長を表わす。) - 圧電基板と、前記圧電基板を介して厚み方向に対向するように、前記圧電基板の上面及び下面に形成された第1,第2の振動電極とを有し、前記第1,第2の振動電極が厚み方向において対向している部分がエネルギー閉じ込め型の振動部を形成しているエネルギー閉じ込め型の圧電振動子と、
前記圧電振動子の下面に固定された支持部と、
前記圧電振動子が前記支持部を介して上面に搭載されている基板とを備え、
前記支持部の音響インピーダンスが前記圧電基板及び前記基板の音響インピーダンスよりも小さくされており、
前記支持部が前記基板に接合されており、
前記支持部が下記式(1)で表わされる厚みを有し、かつ厚み縦振動の3倍波を利用していることを特徴とする、圧電振動部品。
厚み=(n/4)・λ…式(1)
(式中、nは1以上の奇数、λは基本波の波長を表わす。) - 前記圧電振動子を覆うように、下方に開いた開口を有するキャップが、前記基板の上面に搭載されている、請求項1または2に記載の圧電振動部品。
- 前記圧電振動子が板状の形状を有し、
前記圧電振動子の上面に搭載されている第2の基板と、
前記圧電振動子と前記第2の基板とを接合しており、音響インピーダンスが前記圧電基板及び前記第2の基板の音響インピーダンスよりも小さい第2の接着剤層とをさらに備え、
前記第2の接着剤層が前記式(1)で表わされる厚みを有する、請求項1に記載の圧電振動部品。 - 前記圧電振動子が板状の形状を有し、
前記圧電振動子の上面に固定された第2の支持部と、
前記圧電振動子の上面に前記第2の支持部を介して搭載されている第2の基板とをさらに備え、
前記第2の支持部の音響インピーダンスが前記圧電基板及び前記第2の基板の音響インピーダンスよりも小さくされており、
前記第2の支持部が前記第2の基板に接合されており、
前記第2の支持部が前記式(1)で表わされる厚みを有する、請求項2に記載の圧電振動部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004316329A JP2006129209A (ja) | 2004-10-29 | 2004-10-29 | 圧電振動部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004316329A JP2006129209A (ja) | 2004-10-29 | 2004-10-29 | 圧電振動部品 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006129209A true JP2006129209A (ja) | 2006-05-18 |
Family
ID=36723389
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004316329A Pending JP2006129209A (ja) | 2004-10-29 | 2004-10-29 | 圧電振動部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006129209A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008278011A (ja) * | 2007-04-26 | 2008-11-13 | Murata Mfg Co Ltd | 圧電振動部品 |
JP2010536217A (ja) * | 2007-08-08 | 2010-11-25 | エプコス アクチエンゲゼルシャフト | 温度感受性の低い部品およびその製造方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH05167386A (ja) * | 1991-12-18 | 1993-07-02 | Tdk Corp | 圧電部品 |
-
2004
- 2004-10-29 JP JP2004316329A patent/JP2006129209A/ja active Pending
Patent Citations (1)
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JP2010536217A (ja) * | 2007-08-08 | 2010-11-25 | エプコス アクチエンゲゼルシャフト | 温度感受性の低い部品およびその製造方法 |
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