JP2006124206A - 窒化アルミニウム脱脂中間体及び焼結体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 窒化アルミニウム焼結体製造工程の中間体で、これを焼結して得られる窒化アルミニウム焼結体が所定の熱伝導率あるいは所定の黒色度を満足するような、窒化アルミニウム焼結体の中間体を提供する。
【解決手段】 窒化アルミニウム焼結体の製造工程において、有機化合物を含有する窒化アルミニウム成形体を非酸化性雰囲気中にて脱脂して得られた脱脂中間体であって、JIS Z 8721に規定する明度がN6以下、好ましくはN4以下である。この窒化アルミニウム脱脂中間体を非酸化性雰囲気中で焼成することにより、不良品を発生させることなく、高熱伝導率あるいは黒色度の高い窒化アルミニウム焼結体を確実に製造することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】 窒化アルミニウム焼結体の製造工程において、有機化合物を含有する窒化アルミニウム成形体を非酸化性雰囲気中にて脱脂して得られた脱脂中間体であって、JIS Z 8721に規定する明度がN6以下、好ましくはN4以下である。この窒化アルミニウム脱脂中間体を非酸化性雰囲気中で焼成することにより、不良品を発生させることなく、高熱伝導率あるいは黒色度の高い窒化アルミニウム焼結体を確実に製造することができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、サブマウントなどのヒートシンクや、サセプタ、プローバなどの半導体製造装置あるいは検査装置に広く利用されている窒化アルミニウム焼結体、並びにその製造過程で得られる脱脂中間体に関する。
従来から、熱伝導率の高い窒化アルミニウム焼結体については、窒化アルミニウム粉末に所定量の希土類元素やアルカリ土類金属元素の化合物を焼結助剤として加え、混合して焼結することにより製造されてきた。また、遮光性が要求される分野においては、更に炭素を所定量含有させることで、黒色に近い窒化アルミニウム焼結体が製造されている。
例えば、特開平1−179765号公報には、所定量の炭素を含有し、更にアルカリ土類金属元素や希土類元素を含有した、高熱伝導率の窒化アルミニウム焼結体が記載されている。また、特開2001−146476公報には、所定量の結晶質と非晶質のカーボンを含有させることによって、黒色の窒化アルミニウム焼結体が得られることが記載されている。
特開平1−179765号公報
特開2001−146476公報
上記した従来方法によって得られる窒化アルミニウム焼結体においては、高熱伝導率の窒化アルミニウム焼結体又は黒色の窒化アルミニウム焼結体がそれぞれ同一工程により作製されたものであっても、例えば熱伝導率が低い焼結体が得られたり、あるいは黒色の度合いが低い焼結体が得られるなど、品質のばらつきが生じるという問題点があった。
例えば、従来の手法では、窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率は、同一焼結ロットのサンプルの熱伝導率で代表していた。即ち、製品に加工する前の全ての焼結体について熱伝導率を測定することは実際には不可能であるため、サンプルの熱伝導率を測定して、所定の熱伝導率以上であれば全ての焼結体を次の工程に送り、例えばヒートシンクなどの製品としていた。しかし、出来上がった製品には所定の性能が得られないものが含まれ、その焼結体を詳細に調べると、例えば熱伝導率がサンプルよりもかなり低いなどの原因が判明することが多かった。
また、黒色の窒化アルミニウム焼結体においても、全ての脱脂体の炭素量を測定することは不可能であるから、同一脱脂ロットからサンプルを抜き取って炭素量を測定し、そのサンプルが所定の炭素量であれば、その脱脂ロットの全ての脱脂体を次の工程に送っていた。しかしながら、サンプルが所定量の炭素量を含有していたとしても、実際には黒色化の度合いの低い焼結体が得られることがあり、遮光性基板として不適切である場合が発生していた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み、製造工程の途中における中間体の段階で簡単に検査でき、最終的に得られる窒化アルミニウム焼結体の全てが所定の熱伝導率あるいは所定の黒色度を満足するような、窒化アルミニウム焼結体の中間体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、窒化アルミニウム焼結体の製造工程において、有機化合物を含有する窒化アルミニウム成形体を非酸化性雰囲気中にて脱脂して得られた脱脂中間体であって、JIS Z 8721に規定する明度がN6以下であることを特徴とする窒化アルミニウム脱脂中間体を提供するものである。上記本発明の窒化アルミニウム脱脂中間体においては、前記明度がN4以下であることが好ましい。
本発明は、また、上記した窒化アルミニウム脱脂中間体を非酸化性雰囲気中で焼成することにより得られることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体を提供するものである。
本発明によれば、焼結体製造工程の途中の成形体を脱脂した段階において、その窒化アルミニウム脱脂中間体の明度を測定確認することで、熱伝導率の低い焼結体あるいは黒色度が低い焼結体の発生をなくし、最終的に得られる全の窒化アルミニウム焼結体について所定の熱伝導率あるいは所定の黒色度を満足させることができ、焼結時の不良品発生を撲滅することができる。
窒化アルミニウム成形体を非酸化雰囲気中での熱処理により脱脂した後の脱脂中間体の色調に関しては、その成形体に含有される有機化合物が熱分解し、生成した炭化物などの炭素化合物が脱脂中間体中に存在することによって着色する。しかし、本発明者らの研究により、窒化アルミニウム脱脂中間体中の炭素含有量が同一であったとしても、脱脂中間体を焼結して得られる窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率や黒色度(即ち、明度)は必ずしも同一になるとは限らないことが分かった。
そこで、窒化アルミニウム脱脂中間体に含有される炭素化合物のどのような性質が、焼結体の熱伝導率や黒色度に影響を与えるのかについて研究した結果、含有される炭素化合物の揮散温度が影響を与えていることが判明した。即ち、同一の炭素含有量で炭素化合物を含有する窒化アルミニウム脱脂中間体であっても、その炭素化合物の揮散温度によって挙動が異なる。そして、炭素化合物の揮散温度については、推測ではあるが、炭素化合物の分子量が影響しているものと考えられる。
具体的には、所定量の炭素化合物が窒化アルミニウム脱脂中間体に含有されている場合、その炭素含有量が一定であれば、分子量の高い炭素化合物を多く含むほど脱脂中間体の明度が低く(黒色に近く)なり、最終的に得られる焼結体の熱伝導率は高くなるか、あるいは焼結体の明度は低くなって黒色度が向上する。即ち、窒化アルミニウム脱脂中間体に含まれる炭素化合物の形態によって、窒化アルミニウム焼結体に与える影響が異なるために、このような現象が起こると考えられる。
更に詳しくは、窒化アルミニウム脱脂中間体の炭素含有量が同一であっても、分子量の大きな炭素化合物が含有される場合は、その脱脂中間体の明度は低く(黒色に近く)なり、含有される炭素化合物は高温まで揮散されにくい。そして、炭素化合物が焼結時に揮散する際には、窒化アルミニウム粒子の表面に存在する酸素化合物を激しく還元するため、結果的に窒化アルミニウム焼結体の酸素含有量を低下させ、熱伝導率を向上させることができる。しかしながら、逆に脱脂中間体に含有される炭素化合物の分子量が小さい場合には、その脱脂中間体の明度は高く(白色に近く)なり、含有される炭素化合物は低温で揮散し始めるため、窒化アルミニウム表面の酸素化合物と十分に反応することができず、得られる窒化アルミニウム焼結体の酸素含有量は相対的に多くなり、熱伝導率が低下する結果となる。
また、窒化アルミニウム焼結体の黒色化に関しても、所定量の炭素を焼結体中に含有させて黒色化させるには、分子量の大きな炭素化合物を窒化アルミニウム脱脂中間体中に残存させる必要がある。そうしないと、最終的に所定量の炭素を窒化アルミニウム焼結体中に存在させることはできず、焼結体の十分な黒色化が起こらない。この場合、同一の炭素含有量を有する窒化アルミニウム脱脂中間体であっても、明度の低い(黒色に近い)脱脂中間体ほど、焼結して得られる窒化アルミニウム焼結体の炭素含有量が多くなり、焼結体の黒色度も高くなる。
このように、本発明者らの研究により、窒化アルミニウム脱脂中間体の色調、即ち明度が、最終的な窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率や黒色度に影響を与えることが分かった。よって、この知見に基づいてなされた本発明においては、有機化合物を含有する窒化アルミニウム成形体を非酸化雰囲気中で熱処理した後の脱脂中間体の明度(JIS Z 8721)をN6以下とすることにより、この脱脂中間体を焼結すれば、熱伝導率の低い焼結体あるいは黒色度の低い焼結体の発生をなくすことができる。
従って、窒化アルミニウム脱脂中間体の明度を非破壊で全数検査して、明度がN6以下の脱脂中間体を焼結することにより、不良品となる無駄な焼結を行うことが無くなり、結果として所定の特性を有する窒化アルミニウム焼結体のみを得ることができるため、コスト低減に役立てることができる。また、後述するように、窒化アルミニウム成形体に含有される有機化合物の種類や含有量、あるいは脱脂のための熱処理に用いる非酸化雰囲気や温度を予め適宜選定すれば、更に進んで脱脂中間体に含有される炭素化合物の分子量ないし揮散温度を調整できるので、窒化アルミニウム脱脂中間体の明度をN6以下に制御することも可能である。
本発明において使用する窒化アルミニウム粉末は、特に制約は無いが、比表面積が2.0〜5.0m2/gであるものが好ましい。比表面積が2.0m2/g未満では、窒化アルミニウムの焼結性が低下するため好ましくない。また、比表面積が5.0m2/gを超えると、粉末の凝集が非常に強くなるため好ましくない。窒化アルミニウム粉末に含まれる酸素量は2重量%以下が好ましく、2重量%を超えると焼結体の熱伝導率が低下する。また、原料に含有されるアルミニウムを除く金属不純物量については、合計で2000ppm以下が好ましく、これを超えると焼結体の熱伝導率が低下するからである。更に、金属不純物としてSi等の4族元素やFe等の鉄族元素は、熱伝導率を低下させる作用が高いため特に好ましくなく、含有率はそれぞれ500ppm以下であることが好ましい。
窒化アルミニウムは一般に難焼結材であるため、焼結体の熱伝導率を100W/mK以上の高熱伝導率とするためには、焼結助剤を添加することが好ましい。焼結助剤は窒化アルミニウム粒子の表面に存在するアルミニウム酸化物やアルミニウム酸窒化物と反応して、窒化アルミニウムの緻密化を促進すると共に、窒化アルミニウムの熱伝導率低下の一因である酸素をトラップして、熱伝導率を向上させる働きがある。添加する焼結助剤としては、希土類元素化合物が好ましく、特に窒化アルミニウムの酸素を除去するトラップ能力の高いイットリウム化合物が好ましい。
また、焼結助剤の添加量としては、酸化物換算で0.01〜5.0重量%の範囲が好ましい。焼結助剤が0.01重量%未満の場合、十分緻密な焼結体が得られにくいだけでなく、熱伝導率も低くなってしまうため好ましくない。また、焼結助剤が5.0重量%を超えると、粒界に焼結助剤が存在するようになるため、腐食性雰囲気中で窒化アルミニウム焼結体を使用する場合には、この粒界に存在する焼結助剤部分がエッチングされ、脱粒やパーティクルの原因となる。
また、焼結助剤として添加する希土類元素化合物の形態としては、酸化物や窒化物、フッ化物、ステアリン酸化合物などが使用できる。これらのうちで酸化物に関しては、特に安価で入手が容易であるというメリットがある。また、ステアリン酸化合物に関しては、有機溶剤との親和性が高いため、特に原料粉末と焼結助剤などを有機溶剤にて混合する際に混合性が高くなり特に好適である。更に、ステアリン酸化合物は、脱脂処理の際に熱分解して脱脂中間体中に炭素化合物として残存するため、脱脂中間体の明度を高める点で特に好ましい。
次に、本発明の窒化アルミニウム脱脂中間体、及び焼結体の製造方法について具体的に説明する。まず、上記した窒化アルミニウム粉末及び必要に応じて焼結助剤からなる原料粉に対して、所定量の有機溶剤、有機バインダー、更には必要に応じて分散剤や邂逅剤を添加し、混合してスラリーを作製する。特に、黒色の窒化アルミニウム焼結体を製造する場合には、上記各成分に加えて、更にカーボン粉末を添加する必要がある。尚、混合のための手法としては、ボールミル混合や、超音波による混合などが可能である。
得られたスラリーを用いて窒化アルミニウム成形体を作製する。例えば、スラリーをスプレードライによって顆粒とし、その顆粒をプレス成形して成形体を作製することができる。また、上記スラリーをドクターブレード法によりシート成形することもできる。ここに挙げた成形方法はその一例であり、特に成形体形成の手法は問わない。また、得られた成形体に対して、必要に応じてスクリーン印刷等の手法により、WやMoなどの高融点金属を主成分としたペーストを塗布して、メタライズ層を形成することも可能である。
尚、原料粉に添加され且つ成形体に含有される有機化合物、中でも特に有機バインダーは、成形体の脱脂時における熱処理により分解されて、その一部は除去されるが、一部は炭素化合物として窒化アルミニウム脱脂中間体中に残存する。従って、残存する炭素化合物により脱脂中間体の明度がN6以下となるように、有機バインダーの種類や含有量を予め実験的に選定しておくことが望ましい。例えば、有機バインダーとしてポリビニルブチラールやアクリル樹脂を用い、その添加量を0.1〜30重量%とすることが好ましい。
上記の窒化アルミニウム成形体は、次に、非酸化性雰囲気中で脱脂処理を行って、脱脂中間体とする。脱脂処理の条件に関しては、使用する非酸化性ガスの露点が−30℃以下であることが好ましい。これ以上の露点を有するガス雰囲気中で脱脂処理を行うと、得られる脱脂中間体の明度がN6を越えてしまうため好ましくない。また、脱脂処理に使用するガスとしては、非酸化性ガスであれば特に制限は無いが、コスト面からは窒素ガスが好ましい。
また、脱脂温度は300〜1000℃の範囲が好ましい。脱脂温度が300℃未満では、成形体に含まれる有機物化合物が十分に分解されず、脱脂中間体の明度がN6を超えてしまうため好ましくない。また、1000℃を超える温度で脱脂を行った場合には、脱脂中間体中に残存する炭素化合物の濃度が低くなり、且つ脱脂中間体の粉末表面が熱処理によって大気中の酸素や水分と素早く反応し、その明度を高める(白くなる)ため好ましくない。
このようにして得られる窒化アルミニウム脱脂中間体については、その明度をN6以下とする。例えば、得られた全ての脱脂中間体の明度を測定し、N6以下のものを選択して焼結する。また、上記のごとく有機バインダーなどの有機化合物の種類や添加量を予め適宜選定することによって、得られる全ての脱脂中間体の明度をN6以下とすることも可能である。また、焼結助剤を添加したものに関しては、その脱脂中間体の明度をN4以下とすれば、焼結体の熱伝導率を150W/mK以上とできるため特に好ましい。また、焼結助剤を添加せず、高純度で且つ黒色の窒化アルミニウム焼結体を製造する場合においても、その脱脂中間体の明度がN4以下であれば、得られる焼結体の明度もN4以下となるため特に好ましい。
本発明の窒化アルミニウム脱脂中間体は、その後焼結することにより、窒化アルミニウム焼結体とすることができる。焼結温度に関しては、焼結助剤を加えたものは、その焼結助剤の最適温度であれば良く、特に1600〜200℃の範囲が好ましい。1600℃未満の温度では焼結体が緻密化せず、逆に2000℃を超えると焼結助剤成分の揮散が激しくなり、焼結体にポアや欠陥が多くなるからである。また、焼結助剤を加えないものについては、1750〜2000℃の焼結温度が好ましい。この場合も、1750℃未満の温度では焼結体が緻密化せず、2000℃を超えると焼結体に欠陥が多くなるため好ましくない。
また、焼結雰囲気に関しては、非酸化性雰囲気であれば特に問題はないが、使用するガスの露点には注意を払い、−30℃以下とすることが好ましい。何故ならば、脱脂処理時に炭素化合物を残留させ、明度の低い(黒色に近い)脱脂中間体を作製しても、これを焼結するときの非酸化性雰囲気の露点が−30℃を超えると、雰囲気中の水分が脱脂中間体中の炭素化合物と素早く反応し、焼結中に過大な炭素が除去されるため、熱伝導率の低い焼結体や、明度の高い(白色に近い)焼結体となるからである。
上記したように、明度がN6以下の窒化アルミニウム脱脂中間体を焼結することによって、所定の高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム焼結体、あるいは所定の黒色度を満足する窒化アルミニウム焼結体を確実に製造することができる。従って、熱伝導率が低い焼結体が得られたり、あるいは黒色の度合いが低い焼結体が得られたりすることがなくなり、品質のばらつきがない窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。
[実施例1]
窒化アルミニウム(AlN)粉末99.5重量%に、焼結助剤としてY2O3を0.5重量%添加し、次いで有機バインダーとしてポリビニルブチラール(PVB)をAlN粉末100重量部に対して15重量部加え、更に有機溶剤を加えて、ボールミルにて24時間混合した。得られたスラリーをスプレードライにて顆粒とし、プレス成形により直径40mm、厚さ10mmの成形体を作製した。
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得られたAlN成形体を、露点−60℃の窒素ガス雰囲気中において、250〜1100℃の間で脱脂温度を変えて脱脂処理を行った。得られた各脱脂中間体の明度(JIS Z 8721に規定)を明度計にて測定し、その結果を下記表1に示した。次に、これらのAlN脱脂中間体を、露点−60℃の窒素ガス雰囲気中にて1850℃で6時間結した。得られた各AlN焼結体から熱伝導率測定用に直径10mm、厚さ3mmのサンプルを作製し、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率を測定し、得られた結果を下記表1に併せて示した。
上記の結果から分かるように、AlN脱脂中間体の明度をN6以下に調整制御することによって、熱伝導率が非常に高い、具体的には150W/mK以上のAlN焼結体が得られる。
[実施例2]
AlN粉末1000重量部にカーボン粉末2重量部を加え、有機バインダーとしてPVBをAlN粉末100重量部に対して15重量部加え、更に有機溶剤を加えて、上記実施例1と同様に成形した。得られたAlN成形体を、露点−60℃の窒素ガス雰囲気中にて、250〜1100℃の間で脱脂温度を変えて脱脂処理を行った。また、これらのAlN脱脂中間体を、露点−60℃の窒素ガス雰囲気中にて1900℃で10時間結した。
AlN粉末1000重量部にカーボン粉末2重量部を加え、有機バインダーとしてPVBをAlN粉末100重量部に対して15重量部加え、更に有機溶剤を加えて、上記実施例1と同様に成形した。得られたAlN成形体を、露点−60℃の窒素ガス雰囲気中にて、250〜1100℃の間で脱脂温度を変えて脱脂処理を行った。また、これらのAlN脱脂中間体を、露点−60℃の窒素ガス雰囲気中にて1900℃で10時間結した。
上記の各AlN脱脂中間体について、明度を上記実施例1と同様に測定した。また、各AlN脱脂中間体を焼結して得た黒色の各AlN焼結体について、上記実施例1と同様にして、明度を測体すると共に、レーザーフラッシュ法にて熱伝導率を測定した。得られた結果を下記表2示した。
上記の結果から、カーボン粉末を添加したAlN脱脂中間体の明度をN6以下とすることによって、熱伝導率が比較的高く、且つ明度がN4以下の黒色度の高いAlN焼結体が得られることが分かる。
Claims (3)
- 窒化アルミニウム焼結体の製造工程において、有機化合物を含有する窒化アルミニウム成形体を非酸化性雰囲気中にて脱脂して得られた脱脂中間体であって、JIS Z 8721に規定する明度がN6以下であることを特徴とする窒化アルミニウム脱脂中間体。
- 前記明度がN4以下であることを特徴とする、請求項1に記載の窒化アルミニウム脱脂中間体。
- 請求項1〜2に記載の窒化アルミニウム脱脂中間体を非酸化性雰囲気中で焼成することにより得られることを特徴とする窒化アルミニウム焼結体。
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