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JP2006123624A - パワートレーン構造 - Google Patents

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JP2006123624A JP2004311889A JP2004311889A JP2006123624A JP 2006123624 A JP2006123624 A JP 2006123624A JP 2004311889 A JP2004311889 A JP 2004311889A JP 2004311889 A JP2004311889 A JP 2004311889A JP 2006123624 A JP2006123624 A JP 2006123624A
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Abstract

【課題】 エンジンの車両前方側または後方側のうちの一方の側に設けられたエンジンの締結面、及び該締結面に交差する方向にトランスファに設けられた締結面に、鋳造製ブラケットの互いに交差する第1の面及び第2の面がそれぞれボルト締結されたパワープラントにおいて、ブラケットをエンジン及びトランスファに対して隙間なく強固に連結でき、かつ、ブラケットの組付作業性を向上させることができるパワートレーン構造を提供する。
【解決手段】 鋳造製ブラケット50に、該ブラケット50の第2の面部552を、上記トランスファ20の側面20c(締結面)にボルト94で締結するに際して、予めブラケット50の第1の面部51をエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1d(締結面)に対して摺動可能な所定の押付け荷重で押し付ける押付機構100を設ける。
【選択図】 図5

Description

本発明は、エンジンとトランスアクスルとトランスファとを有するパワートレーン構造に関し、トランスファの支持技術の分野に属する。
4輪駆動車のパワートレーンは、例えば、エンジンと、該エンジンの出力を変速して変速後の出力の一部を前輪または後輪のうちの一方のドライブシャフトに伝達するトランスアクスルと、変速後の出力の一部を前輪または後輪のうちの他方のドライブシャフト側に伝達するトランスファとを有し、例えば、エンジンが車両前部に横置きされている場合、トランスアクスルはエンジンの一端面側に側部が締結され、トランスファはエンジンの車両後方側でトランスアクスルの側部に締結される。
ところで、エンジン及びトランスファは、それぞれに異なる振動発生要因を有しているので、トランスアクスルに対してそれぞれがばらばらに振動し、この振動による応力により、エンジンとトランスアクスルとの連結部やトランスファとトランスアクスルとの連結部等に不具合が生じる虞がある。
そこで、例えば特許文献1や特許文献2に示すように、上記エンジンとトランスファとをブラケットで連結してパワープラント全体の剛性を高め、これにより、エンジンとトランスファとがばらばらに振動するのを抑制するようにしたものがある。具体的には、上記エンジンにおける車両後方側の締結面、及び該締結面に交差する方向にトランスファに設けられた締結面に、ブラケットの互いに交差する第1の面及び第2の面をそれぞれボルト等で締結するというものである。
特開平10−291423号公報 特開2002−219956号公報
ところで、特許文献1,2のように、エンジンにおける車両後方側の締結面、及び該面に交差するトランスファの締結面に、ブラケットの第1の面及び第2の面をそれぞれボルト等で締結する構成の場合に、ブラケットの何れか一方の面と、上記エンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの上記ブラケットの一方の面に対応する一方の締結面とを完全に締結した後で、他方の締結面側を締結するような手順を踏むと、上記一方の締結面側の締結を終了したときに他方の締結面とブラケットの他方の面との間に隙間が生じるような場合があり、この場合、この状態で他方の締結面側を締結すると、上記隙間が残留すると共に、ブラケットに応力が生じそのまま残留する虞がある。また、この結果、トランスファとエンジンとが十分に連結されず、所要の連結強度が得られなくなる。特に、この問題は、ブラケットが鋳造製で剛性が高いものの場合に生じやすい。
この問題に対処するため、上記一方の締結面側と他方の締結面側とを交互に繰り返し少しずつ増し締めすることが考えられるが、締結が終了するまでにはこの作業を何度も繰り返さねばならず、時間がかかり組付作業性が悪いという問題がある。
そこで、本発明は、エンジンの車両前方側または後方側のうちの一方の側に設けられたエンジンの締結面、及び該締結面に交差する方向にトランスファに設けられた締結面に、鋳造製ブラケットの互いに交差する第1の面及び第2の面がそれぞれボルト締結されたパワープラントにおいて、ブラケットをエンジン及びトランスファに対して隙間なく強固に連結でき、かつ、ブラケットの組付作業性を向上させることができるパワートレーン構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明(以下、第1発明という)は、車両に横置きされたエンジンと、該エンジンの一端部に締結されたトランスアクスルと、上記エンジンの車両前方側または後方側のうちの何れか一方の側で上記トランスアクスルに締結されたトランスファとを有し、上記エンジンの車両前方側または後方側のうちの上記一方の側のエンジン側部に設けられた締結面、及び該締結面に交差する方向にトランスファに設けられた締結面に、鋳造製ブラケットの互いに交差する第1、第2の面がそれぞれボルト締結されたパワートレーン構造であって、上記鋳造製ブラケットには、該ブラケットの第1、第2の面のうちの何れか一方の面を、上記エンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの、上記ブラケットの上記一方の面に対応する一方の締結面にボルト締結するに際して、予めブラケットの第1、第2の面のうちの他方の面をエンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの他方の締結面に対して摺動可能な所定の押付荷重で押し付ける押付手段が設けられていることを特徴とする。
また、本願の請求項2に記載の発明(以下、第2発明という)は、第1発明において、押付手段は、該押付手段によって押付けられる締結面に設けられたネジ穴にねじ込まれるネジ部、該ネジ部の頭部側に設けられて該ネジ部の径より大径とされた第1のストッパ部、及び該第1のストッパ部の頭部側に所定距離を隔てて設けられて該第1のストッパ部の径より大径とされた第2のストッパ部を有する押付ボルトと、鋳造製ブラケットに設けられて、上記押付ボルトの第1のストッパ部より大径で第2のストッパ部より小径とされて、該押付ボルトの第2のストッパ部より先端側が挿通されるボルト挿通孔と、該ボルト挿通孔の開口周縁面と上記押付ボルトの第2のストッパ部との間に介設されたリング状のスプリングとを有し、上記所定の距離は、上記押付ボルトのネジ部が上記押付手段によって押付けられる締結面のネジ穴にねじ込まれて上記第1のストッパ部が該締結面に当接したときに、上記スプリングが上記第2のストッパ部と開口周縁面とで挟みつけられる寸法に設定されていることを特徴とする。
そして、本願の請求項3に記載の発明(以下、第3発明という)は、第2発明において、押付手段を構成するスプリング及び押付ボルトが、鋳造製ブラケットをエンジン及びトランスファに締結する前において予め該鋳造製ブラケットにサブアッセンブリされ、かつ、スプリングを鋳造製ブラケットに係止する係止手段が設けられていると共に、該スプリングには、ボルト挿通孔に挿通された押付ボルトが脱落するのを阻止する脱落阻止手段が設けられていることを特徴とする。
さらに、本願の請求項4に記載の発明(以下、第4発明という)は、第3発明において、脱落阻止手段は、該スプリングの内周縁部から半径方向内側に延びる複数の爪部を有し、該爪部は、先端の径が押付用ボルトの第1のストッパ部の径よりも小径とされていると共に、押付ボルトのボルト挿通孔への挿通に際して、第1のストッパ部の通過時は先端側が外周側に湾曲し、該ストッパ部の通過後は湾曲前の状態に戻るように弾性を有することを特徴とする。
次に、本発明の効果について説明する。
まず、第1発明によれば、鋳造製ブラケットの第1、第2の面のうちの何れか一方の面が、エンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの上記ブラケットの一方の面に対応する一方の締結面にボルトで締結されるときに、上記鋳造製ブラケットの第1、第2の面のうちの他方の面がエンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの他方の締結面に対して摺動可能であるので、仮にブラケットの上記一方の面と、上記エンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの上記一方の締結面との間に隙間が生じていた場合でも、上記摺動によりこの隙間が解消される。また、このとき、ブラケットの他方の面と、上記エンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの上記他方の締結面とは摺動可能すなわち隙間がない状態であるので、結局、いずれの面間にも隙間が生じることがなく、この結果、鋳造製ブラケットに無用な応力が残留することがなく、エンジン及びトランスファとブラケットとが強固に連結されることとなる。
また、この締結に際して、前述のように、鋳造製ブラケットの第1、第2の面のうちの他方の面がエンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの他方の締結面に対して摺動可能に押付けられる、すなわち、隙間のない状態で押付けられているので、鋳造製ブラケットの上記一方の面と、上記エンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの上記ブラケットの一方の面に対応する一方の締結面とについては一気に締結し、その後鋳造製ブラケットの他方の面と、上記エンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの他方の締結面とを一気に締結することができるようになり、ブラケットの組付作業性が飛躍的に改善されることとなる。
また、第2発明によれば、所定の押付荷重を付与可能な押付手段を簡易な構成で実現することができる。
そして、第3発明によれば、鋳造製ブラケットをエンジン及びトランスファに組み付ける際等に押付ボルトが脱落することがなくなり、組付作業性が一層改善される。
さらに、第4発明によれば、押付ボルトの脱落阻止手段を簡易な構成で実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る4輪駆動車の動力伝達経路を示す骨子図である。図中の三角形は軸受を表わす。この4輪駆動車は、車体前部のエンジンルーム内に横置きに配置したエンジン1で前輪を常時駆動するFFの構成を基礎にしている。エンジン1のクランクシャフト2は車体幅方向に延び、該クランクシャフト2にトルクコンバータ3が直列に連結されている。トルクコンバータ3のタービンシャフト4にトランスアクスル5の自動変速機6が直列に連結されている。自動変速機6の出力軸7が車体幅方向に延び、該出力軸7に出力ギヤ8が設けられている。
トランスアクスルケース9がエンジン1の左端部に結合されている(図2、図3参照)。トランスアクスルケース9はトルクコンバータ3のケース9aと自動変速機6のケース9bとを含む。トランスアクスルケース9に前輪用の差動装置(フロントデフ)10が収容されている。フロントデフ10のデフケース11にリングギヤ12が組み付けられ、上記出力ギヤ8と噛合している。デフケース11内の左右のピニオンギヤ13L,13Rにそれぞれ車体幅方向に延びる左右の前輪駆動軸14L,14Rが連結されている。各駆動軸14L,14Rに自在継手15,15を介してそれぞれ左右の前輪車軸16L,16Rが連結されている。各車軸16L,16Rにそれぞれ左右の前輪が接続されている。トランスアクスルケース9はデフケース11を回転自在に支持している。
トランスアクスルケース9の右側面にトランスファケース21が結合されている(図2、図3参照)。トランスファケース21は前部ケース21aと後部ケース21bとを含む。トランスファケース21は右の前輪駆動軸14Rの右端部を回転自在に支持している。トランスファケース21はまたトランスファ20のトランスファ入力軸22を回転自在に支持している。トランスファ入力軸22は右の前輪駆動軸14Rの周囲に同軸に配置され、フロントデフケース11の右部に連結されている。トランスファ入力軸22の外周面に駆動ギヤ23が組み付けられている。
トランスファケース21はさらにアイドル軸24及びトランスファ出力軸25を回転自在に支持している。アイドル軸24は、前輪駆動軸14L,14Rやトランスファ入力軸22等と同様、車体幅方向に延びる。トランスファ出力軸25は、アイドル軸24と直交して車体前後方向に延びる。アイドル軸24に従動ギヤ26が組み付けられ、上記駆動ギヤ23と噛合している。アイドル軸24はハイポイド型リングギヤ27を有し、該リングギヤ27がトランスファ出力軸25の前端部のハイポイド型ピニオンギヤ28と噛合している。トランスファ出力軸25の後端部に自在継手31を介してプロペラシャフト32が連結されている。
プロペラシャフト32の後端部に後輪側のピニオン軸33が連結されている。このピニオン軸33はハイポイド型ピニオンギヤ34を有し、該ピニオンギヤ34が後輪用の差動装置(リヤデフ)35のデフケース36に組み付けられたハイポイド型リングギヤ37と噛合している。リヤデフケース36内の左右のピニオンギヤ38L,38Rにそれぞれ車体幅方向に延びる左右の後輪駆動軸39L,39Rが連結されている。各駆動軸39L,39Rに自在継手40,40を介してそれぞれ左右の後輪車軸41L,41Rが連結されている。各車軸41L,41Rにそれぞれ図示しない左右の後輪が接続されている。以上のような構成により、左右の前輪駆動軸14L,14Rで前輪が常時駆動されると共に、トランスファ20を経由して後輪にエンジン出力が伝達される。
ここで、図3の斜視図を用いて再度上記エンジン1、トランスアクスル5、トランスファ20等の配置について説明しておくと、図3の符号Aで示す側が車両前方側であり、エンジン1は、前述したように、車両前部のエンジンルーム内に横置きされている。エンジン1には、図示しないが、多数の補機類が備えられている。エンジン1の左側部にはトランスアクスル5が締結されている。トランスファ20は、エンジン1の車両後方側に配置され、トランスアクスル5の側部に締結されている。
また、本実施の形態においては、図2、図3に示すように、エンジン1のシリンダブロック1aにおける車両後方側の側部と、トランスファ20のケース21の右端部の上部との間に、これらを連結する鋳造製のブラケット50が配設されている。ここで、鋳造製としたのは、エンジン1とトランスファ20とを強固に連結するための十分な剛性を得ることを目的としている。
詳しくは、図4〜図6(図4は図2に示すブラケット配設部位の拡大平面図、図5は図2の矢印B方向から見たブラケット配設部位の拡大正面図、図6は図2の矢印C方向から見たブラケット配設部位の拡大側面図)に示すように、このブラケット50は、互いに略直角に交差する第1の面部51及び第2の面部52を有し、平面視L字状とされている。
第1の面部51には、第1〜第6のボス61〜66が設けられ、これらのボス61〜66の間には、第1の面部51の剛性を高めるための複数のリブ71…71が設けられている。これらのリブ71…71のうち、第1の面部51の上下方向中央で横方向に延び、第2の面部52と第4、第5のボス64,65とを連結するリブ71…71は、他のリブ71…71よりも高さが高くされており、第1の面部51と第2の面部52とを強固に結合している。
また、上記ボス61〜66のうち第1〜第3のボス61〜63、及び第2の面部52には、第1〜第5のボルト挿通孔81〜85が設けられている。
これらのボルト挿通孔81〜85のうちの第1の面部51に設けられた第1〜第3のボルト挿通孔81〜83にはそれぞれボルト91〜93が挿通され、エンジン1のシリンダブロック1aの車両後方側の側部に設けられたボス1b…1bのネジ孔1c…1cに螺合されている。他方、第2の面部52の第4、第5のボルト挿通孔84,85にはそれぞれボルト94,95が挿通され、トランスファ20のケース21の右側部の上部側の側面21cに設けられたネジ孔21d,21dに螺合されている。ここで、上記複数のボルト挿通孔81〜85に挿通されるボルト91〜95の径は同一とされているが、ボルト挿通孔81〜85の径は異なり、第2、第3、第5のボルト挿通孔82,83,85の径は、第1、第4のボルト挿通孔81,84よりも大きくされている。なお、第2のボルト挿通孔82の径と第3のボルト挿通孔83の径と第5のボルト挿通孔85の径とは同一とされ、第1のボルト挿通孔81の径と第4のボルト挿通孔84の径とは同一とされている。この理由については、作用の説明時に追って説明する。
また、第4、第5のボス64,65には、ネジ孔86,87が設けられており、図3に示すエンジン1の排気系1eがボルトで固定されている。
ここで、本実施の形態においては、後ほど作用の説明において詳しく説明するが、まずブラケット50の第2の面部52とトランスファ20のケース21の上記側面21c(特許請求の範囲におけるトランスファの締結面に対応。以下単に「トランスファ20の側面21c」という)とを上記第4のボルト挿通孔84に挿通されるボルト94で締結するように構成されていると共に、上記ブラケット50には、この締結に際して、予めブラケット50の第1の面部51をエンジン1のシリンダブロック1aのボス1b…1bの端面1d…1d(特許請求の範囲におけるエンジンの締結面に対応。以下単にエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1dという)に対して摺動可能な所定の押付け荷重で押し付ける押付機構100が設けられている。
図7はこの押付機構100の拡大断面図(図5のD−D断面)であり、この図7に示すように、押付機構100は、押付ボルト101と、ブラケット50の第1の面部51の第6のボス66に設けられた押付ボルト挿通孔102と、スプリング103とを有する。
押付ボルト101は、エンジン1のシリンダブロック1aのボス1bの端面1d(上記エンジン1の締結面1d)に設けられたネジ孔1cにねじ込まれるネジ部101aと、該ネジ部101aの頭部側に隣接して設けられて該ネジ部101aの径より大径とされた第1のストッパ部101bと、頭部と一体に設けられて該第1のストッパ部101bの径より大径とされた第2のストッパ部101cとを有する。また、ネジ部101aの先端側には、該ネジ部101aより小径の小径部101dが設けられている。
押付ボルト挿通孔102は、本孔102a(特許請求の範囲のボルト挿通孔に対応する)と、該挿通孔102の開口部に設けられて本孔102aより大径の拡径部102bとからなる。本孔102aは、上記押付用ボルト101の第1のストッパ部101bより大径で第2のストッパ部101cより小径とされており、上記押付用ボルト101の第2のストッパ部101cより先端側が挿通される。 また、押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの下部には、輪溝部102cが設けられている。
スプリング103は、図7、図8に示すように、リング状の皿ばねであり、外周側に下がる傾斜面を有するリング状の本体部103aと、該本体部103aの外周縁部から半径方向外側に向かって斜め上方に延びる折曲部103b…103bと、上記本体部103aの内周縁部から半径方向内側に向かって斜め下方に延びる複数の爪部103c…103cとを有し、上記押付ボルト101に挿通されて、該押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの底面102d(開口周縁面)と上記押付ボルト101の第2のストッパ部101cとの間に介設され、上記本体部103aの外周縁部が押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの底面102dに当接し、本体部103aの内周縁部が押付ボルト101の第2ストッパ部101cの下面に当接している。
また、スプリング103の上記各折曲部103b…103bは、先端の径が上記押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの径より大きくされ、押付ボルト挿通孔102の輪溝部102cに係合している。つまり、スプリング103がブラケット50に係止されている。なお、このスプリング103の上記押付ボルト挿通孔102の輪溝部102cへの係合に際しては、折曲部103b…103bが拡径部102bの内面に当接することとなるが、該折曲部103b…103bの弾性力に抗して圧入する。なお、この圧入の際、該折曲部103b…103bの先端側が拡径部102bの内面に沿って内周側に湾曲するが、圧入完了後は、折曲部103b…103b自体の弾性により、押付ボルト挿通孔102の輪溝部102cに沿って広がり、該輪溝部102cに係合することとなる。
また、爪部103c…103cの先端の径は、押付ボルト101の第1のストッパ部101bの径よりも小径とされている。そのため、上記押付ボルト101のボルト挿通孔102への挿通に際しては、第1のストッパ部101bがスプリング103の爪部103c…103cに当接することとなるが、スプリング103の爪部103c…103cの弾性力に抗して圧入する。なお、この圧入の際、該爪部103c…103cの先端側が外周側に湾曲するが、挿通完了後は、該爪部103c…103c自体の弾性により湾曲前の状態に戻ることとなる。
ここで、上記押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの底面102d(開口周縁面)と第1面部51の合せ面51aとの距離をYとした場合、上記押付ボルト101の第1のストッパ部101bの下面と第2のストッパ部101cの下面との距離は上記距離Yよりも大きい所定距離Xとされている。この場合、上記押付ボルト101のネジ部101aがエンジン1のボス1bのネジ穴1cにねじ込まれて第1のストッパ部101bの下面がエンジン1のボス1bの端面1dに当接したときに、押付ボルト101の第2のストッパ部101cの下面と押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの底面102dとの間にX−Yの量の隙間が生じることとなるが、この隙間の量X−Yは、圧縮されていない状態のスプリング103の初期厚さW(図9参照)よりも小さくされており、上記第1のストッパ部101bの下面とエンジン1のボス1bの端面1dとが当接した状態においてスプリング103がW−(X−Y)の量だけ縮んで所定の付勢力を発生し、押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの底面102dを介してブラケット50の第1の面部51をエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1dに対して所定の押付荷重で押付けることとなる量に設定されている。
つまり、上記所定の距離Xは、押付ボルト101のネジ部101aがエンジン1のボス1bのネジ穴1cにねじ込まれて第1のストッパ部101bの下面がエンジン1のボス1bの端面1dに当接したときに、スプリング103が押付ボルト101の第2のストッパ部101cの下面と押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの底面102dとで挟みつけられて、ブラケット50の第1の面部51をエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1dに対して所定の押付荷重で押付ける寸法に設定されているのである。
また、ボルト挿通孔102の本孔102aと押付ボルト102の第1のストッパ部101bとの外周面との隙間、拡径部102bと第2のストッパ部101cの外周面との隙間は、上記ブラケット50がトランスファ20の締結面21c側に摺動可能なように所定の量が確保されている。
また、第2のストッパ部101cの上面から小径部101dの先端までの長さZは、図9に示すように、ブラケット50の第1の面部51をエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1dに当接させた状態において、押付ボルト101が押付ボルト挿通孔102内で抜け方向に後退して押付ボルト101の第2ストッパ部101cの上面がスプリング103の爪部103c…103cに当接したときに、小径部101dがネジ孔1cに嵌り込む長さとされている。
次に、本実施の形態についての作用を説明する。なお、上記押付機構100を構成する押付ボルト101及びスプリング103は、エンジン1及びトランスファ20に取り付ける前に、予めブラケット50に組み付けられて(サブアッセンブルされて)おり、このサブアッセンブルについて先に説明する。
まず、スプリング103をブラケット50のボルト挿通孔102の拡径部102bに圧入し、その折曲部103aを挿通孔102の拡径部102bの輪溝部102cに係合させる。なお、スプリング103の折曲部103bの先端の径は、前述のように、上記押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの径より大きくされているので、上記係合に際しては、該拡径部102bによりスプリング103の折曲部103b…103bをその弾性力に抗して内周側に押し縮めながら圧入する。そして、この圧入により折曲部103b…103bが輪溝部102bに達すると、該折曲部103b…103bの先端側が外周側に開いて輪溝部102bに係合することとなる。すなわち、スプリング103がブラケット50に係止されることとなる。
次いで、押付ボルト102を、ブラケット50のボルト挿通孔102に挿入する。なお、この場合、前述のように、スプリング103の爪部103c…103cの先端の径は、押付ボルト101の第1のストッパ部101bの径よりも小径とされているので、押付ボルト101のボルト挿通孔102への挿通に際しては、第1のストッパ部101bがスプリング103の爪部103c…103cに当接することとなるが、スプリング103の爪部103c…103cの弾性力に抗して、該爪部103c…103cの先端側を外周側に湾曲させながら圧入する。挿通完了後は、爪部103c…103cは、該爪部103c…103c自体の弾性により湾曲前の状態に戻ることとなる。
これによれば、一旦スプリング103をブラケット50に係止させると、以下説明する組付作業中や運搬中等に、図9に示すように、押付ボルト101が、ボルト挿通孔102内で抜け方向に移動した場合でも、第1のストッパ部101bが爪部103c…103cに当接することにより、脱落が阻止されることとなる。
次に、このサブアッセンブルされたブラケット50のエンジン1及びトランスファ20への組付手順について説明する。
まず、上記ブラケット50を、図4〜図6に示すように、取り付け予定位置に配置して、上記ブラケット50の第1の面部51の第1のボルト挿通孔81、及び第2の面部52の第4のボルト挿通孔84にボルト91,94を挿入して、これらの挿通孔81,84に対応するエンジン1のネジ孔1c、及びトランスファ20のネジ孔21dに少しだけ螺合して、ブラケット50を仮止めする。なお、第1の面部51の第1のボルト挿通孔81、及び第2の面部52の第4のボルト挿通孔84は、第2、第3、第5のボルト挿通孔82,83,85よりも径が小さくされているので、取付予定位置に比較的精度よく仮止めできる。また、図9に示すように、該ボルト101の先端に小径部101dが設けられており、かつ、第2ストッパ部101cの上面から小径部101dの先端までの長さが、押付ボルト101の第2ストッパ部101cの上面がスプリング103の爪部103c…103cに当接した状態で、小径部101dがエンジン1のネジ孔1cに嵌り込む長さZとされているので、押付ボルト101のエンジン1のネジ孔1cへのねじ込みに際して、孔探しの手間が省けることとなる。
次に、図7に示すように、上記押付機構100の押付ボルト101を該ボルト101の第1ストッパ部101bがエンジン1のボス1bの端面1dに当接するまでネジ孔1cにねじ込む。このとき、上記スプリング103が上記第2のストッパ部101cと押付ボルト挿通孔102の拡径部102bの底面102d(開口周縁面)とで挟みつけられてその厚さがX−Yとなり、前述のように、ブラケット50の第1の面部51が上記ボス1b…1bの端面1d…1dに、隙間なく、摺動可能な所定の押し付け荷重で押付けられることとなる。
次いで、第2の面部52の第4のボルト挿通孔84に挿入されてトランスファケース21のネジ孔21dに少しだけ螺合された状態のボルト94を本締めする。その場合に、この本締めの前に、仮にトランスファケース21の側面21cとブラケット50の第2の面部52の合せ面52aとの間に隙間が生じていた場合でも、ブラケット50の第1の面部51はエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1dに対して摺動可能であるから、本締めの際に、上記隙間がなくなる方向にブラケット50がエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1dに対して摺動しながら移動することとなる。つまり、本締め前に隙間が生じていた場合でもその隙間が解消されることとなる。
次いで、第1の面部51の第1のボルト挿通孔81に挿通されてエンジン1のネジ孔1cに少しだけ螺合された状態のボルト91を本締めする。
次いで、残りのボルト挿通孔82,83,85に挿通されたボルト92,93,95を一本ずつ本締めする。なお、これら第2、第3、第5のボルト挿通孔82,83,85の径は、前述のように第1、第4のボルト挿通孔81,84の径よりも大きくされ、その量は、第1、第4のボルト挿通孔81,84に挿通されたボルト91,94が本締めされた状態において第2、第3、第5のボルト挿通孔82,83,85の中心の位置とこれに対応するエンジン1のネジ孔1c,1c、及びトランスファ20のネジ孔21dの中心の位置とにずれが生じていた場合に、このずれを吸収できるような量とされている。これらのボルト92,93,95の締結順番は任意である。
以上のように本実施の形態によれば、ブラケット50に押付機構100を設けたことにより、ブラケット50の第1、第2の面部51,52の合せ面51a…51a,52aとエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1d及びトランスファ20の側面20cとをそれぞれ隙間なく締結することができ、この結果、ブラケット50に無用な応力が残留することがなくなり、エンジン1及びトランスファ20とブラケット50とが強固に連結されることとなる。
また、この締結に際して、ブラケット50の第1の面部51がエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1dに対して摺動可能に押付けられる、すなわち、隙間のない状態で押付けられているので、ブラケット50の第2の面部52とこれに対応するトランスファ20の側面21cとについては一気に締結し、その後ブラケット50の第1の面部51とこれに対応するエンジン1のボス1b…1bの端面1d…1dとを一気に締結することができるようになり、ブラケット50の組付作業性が飛躍的に改善されることとなる。
また、押付機構100としては、前述のように、該押付機構100によって押付けられる締結面としてのトランスファ20の側面21cに設けられたネジ孔21dにねじ込まれるネジ部101a、該ネジ部101aの頭部側に設けられて該ネジ部101aの径より大径とされた第1のストッパ部101b、及び該第1のストッパ部101bの頭部側に所定距離Xを隔てて設けられて該第1のストッパ部101bの径より大径とされた第2のストッパ部101cが備えられた押付用ボルト101と、上記ブラケット50の第6のボス66に設けられて、上記押付用ボルト101の第1のストッパ部101bより大径で第2のストッパ部101cより小径とされて、該押付用ボルト101の第2のストッパ部101cより先端側が挿通される押付ボルト挿通孔102の本孔102aと、該本孔102aの拡径部102bの底面102d(開口周縁面)と上記押付ボルト101の第2のストッパ部101cとの間に介設されたリング状のスプリング103とを設け、上記所定の距離Xを、上記押付用ボルト101のネジ部101aが上記押付機構100によって押付けられる締結面としてのエンジン1のボス1bの端面1dのネジ穴1cにねじ込まれて上記第1のストッパ部101bの下面が該エンジン1のボス1bの端面1dに当接したときに、上記スプリング103が上記第2のストッパ部101cと開口周縁面102dとで挟みつけられる寸法に設定するだけでよく、押付機構100を簡易な構成で実現することができる。
そして、該スプリング103がブラケット50に係止されていると共に、該スプリング103には押付ボルト101のボルト挿通孔102からの脱落を阻止する脱落阻止手段(爪部103d…103d)が設けられているので、ブラケット50をエンジン1及びトランスファ20に組み付ける際等に該押付ボルト101が脱落することがなくなり、組付作業性が一層改善される。
さらに、スプリングの脱落阻止手段は、該スプリング103の内周縁部から半径方向内側に延びる複数の爪部103d…103dからなるので、押付ボルト101の脱落防止手段を簡易な構成で実現することができる。
ここで、上記実施の形態においては、押付手段としての押付機構100は、ブラケット50がエンジン1の締結面(ボス1b…1bの端面1d…1d)に対して摺動可能となるように構成されていたが、ブラケットがトランスファ20の締結面(側面21c)に対して摺動可能となるように構成してもよく、以下、この例について他の実施の形態として説明する。なお、エンジン1、トランスアクスル5、トランスファ20は、前述の実施の形態とほぼ同一であり、その説明は省略する。なお、説明に際しては、上記実施の形態で用いた符号に100を加算した符号を用いる。
すなわち、図10に示すように、この他の実施の形態に係るブラケット150は、エンジン101のシリンダブロック101aにおける車両後方側の側部と、トランスファ120のケース121の右端部の上部との間に、これらを連結する鋳造製のブラケット150が配設されている。
詳しくは、図11、図12、図13(図11は図10に示すブラケット配設部位の拡大平面図、図12は図10の矢印E方向から見たブラケット配設部位の拡大正面図、図13は図10の矢印F方向から見たブラケット配設部位の拡大側面図)に示すように、互いに略直角に交差する第1の面部151及び第2の面部152を有し、平面視L字状とされている。
第1の面部151には、第1〜第3のボス161〜163が設けられ、これらのボス161〜163の間には、第1の面部151の剛性を高めるためのリブ171…171が設けられている。これらのうち、第2の面部152と第1のボス161とを連結するリブ171は、他のリブ171…171よりも高さが高くされており、第1の面部151と第2の面部152とを強固に連結している。
また、上記ボス161〜163、及び第2の面部152には、第1〜第5のボルト挿通孔181〜185が設けられている。
これらのボルト挿通孔181〜185のうちの第1の面部151の第1〜第3のボルト挿通孔181〜183にはそれぞれボルト191〜193が挿通され、エンジン1のシリンダブロック1aの車両後方側の側部に設けられたボス101b…101bのネジ孔101c…101cに螺合されている。他方、第2の面部152の第4、第5のボルト挿通孔184,185にはそれぞれボルト194,195が挿通され、トランスファ120のケース121の右側部の上部側の側面121cに設けられたネジ孔121d,121dに螺合されている。ここで、上記複数のボルト挿通孔181〜185に挿通されるボルト191〜195の径は同一とされているが、ボルト挿通孔181〜185の径は異なり、第2、第3、第5のボルト挿通孔182,183,185の径は、第1、第4のボルト挿通孔181,184の径よりも大きくされている。なお、第2のボルト挿通孔182の径と第3のボルト挿通孔183の径と第5のボルト挿通孔185の径とは同一とされ、第1のボルト挿通孔181の径と第4のボルト挿通孔184の径とは同一とされている。
また、このブラケット151には、上方に延びる延長部153が設けられていると共に、該延長部153には、ネジ孔186,187が設けられており、排気系がボルトで固定されている。また、この延長部153と第1、第2の面部151,152との間には、リブ172,172が設けられ、ブラケット150全体としての剛性を高めると共に、排気系の取付剛性を高めている。
ここで、この実施の形態においては、前述のように、まずブラケット150の第1の面部151とエンジン101のシリンダブロック101aのボス101b…101bの端面101d…101d(特許請求の範囲におけるエンジンの締結面に対応。以下単にエンジン101のボス101bの端面101d…101dという)とを上記第1のボルト挿通孔181に挿通されるボルト191で締結するように構成されていると共に、上記ブラケット150には、この締結に際して、ブラケット150の第2の面部152をトランスファ120のケース121の上記側面121c(特許請求の範囲におけるトランスファの締結面に対応。以下単に「トランスファ120の側面121c」という)に対して摺動可能な所定の押付け荷重で押し付ける押付機構200が設けられている。
なお、この押付機構200は、図14に示すように、第1の実施の形態で説明した押付機構100と同等の構成とされているため、詳細な説明は省略するが、押付ボルト201がブラケット150の第2の面部152の第6のボス166に設けられた押付ボルト挿通孔202に挿通されて、先端側のネジ部201aがトランスファ120の側面121cに設けられたネジ孔121dにねじ込まれて第1のストッパ部201bの下面が上記側面121cに当接したときに、スプリング203によりブラケット150の第2の面部152が所定の押付荷重でトランスファ120の側面121cに押付けられるように、所定の距離X′が、第2のストッパ部201cの下面とボルト挿通孔202の拡径部202bの底面202dとの間の隙間の量が(X′−Y′)となる距離とされている。
次に、この実施の形態についての作用を説明する。なお、上記押付機構200を構成する押付ボルト201及びスプリング203は、上記実施の形態同様、エンジン101及びトランスファ120に取り付ける前に、予めブラケット150に組み付けられており、同様の効果が奏される。
次に、このサブアッセンブルされたブラケット150のエンジン101及びトランスファ120への組付手順について説明する。
まず、上記ブラケット150を、図11〜13に示すように、取り付け予定位置に配置して、上記ブラケット150の第1の面部151の第1のボルト挿通孔181、及び第2の面部152の第4のボルト挿通孔184にボルト191,194を挿入して、これらの挿通孔181,184に対応するエンジン101のネジ孔101c、及びトランスファ120のネジ孔121dに少しだけ螺合して、ブラケット150を仮止めする。なお、第1の面部151の第1のボルト挿通孔181、及び第2の面部152の第4のボルト挿通孔184は、第2、第3、第5のボルト挿通孔182,183,185よりも径が小さくされているので、取付予定位置に比較的精度よく仮止めできる。また、該ボルト201の先端に小径部201dが設けられており、かつ、第2ストッパ部201cの上面から小径部201dの先端までの長さが、押付ボルト201の第2ストッパ部201cの上面がスプリング203の爪部203c…203cに当接した状態で、小径部201dがトランスファ120のネジ孔121dに嵌り込む長さとされているので、押付ボルト201のトランスファ20のネジ孔121dへのねじ込みに際して、孔探しの手間が省けることとなる。
次に、上記押付機構200の押付ボルト201を該ボルト201の第1ストッパ部201bがトランスファ120の側面121cに当接するまでネジ孔121dにねじ込む。このとき、上記スプリング203が第2のストッパ部201cと押付ボルト挿通孔202の拡径部202bの底面202d(開口周縁面)とで挟みつけられてその厚さがX′−Y′となり、前述のように、ブラケット150の第2の面部152が上記トランスファ220の側面221cに、隙間なく、摺動可能な所定の押し付け荷重で押付けられることとなる。
次いで、第1の面部151の第1のボルト挿通孔181に挿入されてエンジン1のボス101b…101bの端面101d…101dに少しだけ螺合された状態のボルト191を本締めする。その場合に、この本締めの前に、仮にエンジン101のボス101b…101bの端面101d…101dとブラケット150の第1の面部151の合せ面151a…151aとの間に隙間が生じていた場合でも、ブラケット150の第1の面部151はトランスファケース121の締結面121cに対して摺動可能であるから、本締めの際に、上記隙間がなくなる方向にブラケット150がトランスファケース121の側面121cに対して摺動しながら移動することとなる。つまり、本締め前に隙間が生じていた場合でもその隙間が解消されることとなる。
次いで、第2の面部152の第4のボルト挿通孔184に挿入されてトランスファ120のネジ孔121dに少しだけ螺合された状態のボルト194を本締めする。
次いで、残り3本のボルト192,193,195を一本ずつ本締めする。なお、これら第2、第3、第5のボルト挿通孔182,183,185の径は、前述のように第1、第4のボルト挿通孔181,184の径よりも大きくされ、その量は、第1、第4のボルト挿通孔181,184に挿通されたボルト191,194が本締めされた状態において第2、第3、第5のボルト挿通孔182,183,815の中心の位置とこれに対応するエンジン1のネジ孔1c…1c及びトランスファ120のネジ孔121dの中心の位置とにずれが生じていた場合に、このずれを吸収できるような量とされている。これらのボルト192,193,195の締結順番は任意である。
そして、この実施の形態によれば、説明は省略するが、前述の実施の形態で説明したのと同様の効果が得られる。
なお、上記各実施の形態においては、車両前部にエンジンが配置されて、その車両後方側にトランスファが配設され、該トランスファから車両後方にプロペラシャフトが延びるものについて説明したが、車両後部にエンジンが配置されて、その車両前方側にトランスファが配設され、該トランスファから車両前方にプロペラシャフトが延びるものについても適用可能である。
また、エンジンとトランスファとが直接は結合されていないものについて説明したが、エンジンとトランスファとが直接結合されているものに対しても適用可能であり、適用することによりパワープラント全体として一層の剛性の向上が図れる。
そして、ブラケットの第1の面部と第2の面部、及びエンジンの締結面とトランスファの締結面とがほぼ直角に交差しているものについて説明したが、直角に限定されるものではなく、例えば60°や70°の場合にも適用可能である。
本発明は、車両のパワートレーン構造に広く適用することができる。
本発明の実施の形態に係るパワープラントの骨子図である。 同パワープラントのフロントデフ及びトランスファ周辺の断面図である。 同パワープラントを構成するエンジン、トランスアクスル、トランスファについての要部斜視図である。 図2のブラケット配設部位の拡大平面図である。 図2の矢印B方向から見たブラケット配設部位の拡大正面図である。 図2の矢印C方向から見たブラケット配設部位の拡大側面図である。 図4のD−D断面図である。 スプリング単品の平面図である。 押付ボルトがスプリングの爪部により脱落阻止されている状態を示す図である。 他の実施の形態に係るパワープラントにおけるブラケット配設位置を示す図2相当の図である。 図10に示すブラケット配設部位の拡大平面図である。 図9の矢印E方向から見たブラケット配設部位の拡大正面図である。 図9の矢印F方向から見たブラケット配設部位の拡大側面図である。 図10のG−G断面図である。
符号の説明
1 エンジン
1c…1d ネジ孔
1d…1d エンジンのシリンダブロックのボスの端面(エンジンの締結面)
5 トランスアクスル
20 トランスファ
21c トランスファの側面(トランスファの締結面)
50 ブラケット(鋳造製ブラケット)
51 第1の面部(第1の面)
52 第2の面部(第2の面)
91〜95 ボルト
100 押付機構(押付手段)
101 押付ボルト
101a ネジ部
101b 第1のストッパ部
101c 第2のストッパ部
102 押付ボルト挿通孔(ボルト挿通孔)
102c 輪溝部(係止手段)
102d 拡径部の底面(開口周縁面)
103 スプリング
103b…103b 折曲部(係止手段)
103c…103c 爪部(脱落阻止手段)
X 所定の距離

Claims (4)

  1. 車両に横置きされたエンジンと、該エンジンの一端部に締結されたトランスアクスルと、上記エンジンの車両前方側または後方側のうちの何れか一方の側で上記トランスアクスルに締結されたトランスファとを有し、上記エンジンの車両前方側または後方側のうちの上記一方の側のエンジン側部に設けられた締結面、及び該締結面に交差する方向にトランスファに設けられた締結面に、鋳造製ブラケットの互いに交差する第1、第2の面がそれぞれボルト締結されたパワートレーン構造であって、上記鋳造製ブラケットには、該ブラケットの第1、第2の面のうちの何れか一方の面を、上記エンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの、上記ブラケットの上記一方の面に対応する一方の締結面にボルト締結するに際して、予めブラケットの第1、第2の面のうちの他方の面をエンジンの締結面とトランスファの締結面とのうちの他方の締結面に対して摺動可能な所定の押付け荷重で押し付ける押付手段が設けられていることを特徴とするパワートレーン構造。
  2. 押付手段は、該押付手段によって押付けられる締結面に設けられたネジ穴にねじ込まれるネジ部、該ネジ部の頭部側に設けられて該ネジ部の径より大径とされた第1のストッパ部、及び該第1のストッパ部の頭部側に所定距離を隔てて設けられて該第1のストッパ部の径より大径とされた第2のストッパ部を有する押付ボルトと、鋳造製ブラケットに設けられて、上記押付ボルトの第1のストッパ部より大径で第2のストッパ部より小径とされて、該押付ボルトの第2のストッパ部より先端側が挿通されるボルト挿通孔と、該ボルト挿通孔の開口周縁面と上記押付ボルトの第2のストッパ部との間に介設されたリング状のスプリングとを有し、上記所定の距離は、上記押付ボルトのネジ部が上記押付手段によって押付けられる締結面のネジ穴にねじ込まれて上記第1のストッパ部が該締結面に当接したときに、上記スプリングが上記第2のストッパ部と開口周縁面とで挟みつけられる寸法に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のパワートレーン構造。
  3. 押付手段を構成するスプリング及び押付ボルトが、鋳造製ブラケットをエンジン及びトランスファに締結する前において予め該鋳造製ブラケットにサブアッセンブリされ、かつ、スプリングを鋳造製ブラケットに係止する係止手段が設けられていると共に、該スプリングには、ボルト挿通孔に挿通された押付ボルトが脱落するのを阻止する脱落阻止手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のパワートレーン構造。
  4. 脱落阻止手段は、スプリングの内周縁部から半径方向内側に延びる複数の爪部を有し、該爪部は、先端の径が押付用ボルトの第1のストッパ部の径よりも小径とされていると共に、押付ボルトのボルト挿通孔への挿通に際して、第1のストッパ部の通過時は先端側が外周側に湾曲し、該ストッパ部の通過後は湾曲前の状態に戻るように弾性を有することを特徴とする請求項3に記載のパワートレーン構造。
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