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JP2006123024A - 固定砥粒式ワイヤーソーとその製造方法 - Google Patents

固定砥粒式ワイヤーソーとその製造方法 Download PDF

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JP2006123024A JP2004311340A JP2004311340A JP2006123024A JP 2006123024 A JP2006123024 A JP 2006123024A JP 2004311340 A JP2004311340 A JP 2004311340A JP 2004311340 A JP2004311340 A JP 2004311340A JP 2006123024 A JP2006123024 A JP 2006123024A
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Yasunori Murata
安規 村田
Makoto Inoue
誠 井上
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Nakamura Choukou Co Ltd
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Nakamura Choukou Co Ltd
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Abstract

【課題】ダイヤモンド等の超砥粒の固定方法として、従来のレジンボンド法や電着法による場合は生産性が悪くコスト高であるという問題を解消し、長寿命で生産性の高い固定砥粒式ワイヤーソーとその製造方法を提供することである。
【解決手段】ワイヤー1をロー材等の金属材用ルツボ5、ダイヤモンド用ルツボ6に連続的に通過させ、ワイヤー1にロー材等でなる金属層3を介してダイヤモンド2を固着させるようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、シリコンの単結晶などに代表される各種電子材料のスライス工程で使用される固定砥粒式ワイヤーソーとその製造方法に関するものである。
各種電子材料のスライス工程で使用されるワイヤーソーは、遊離砥粒式と固定砥粒式に大別できる。遊離砥粒式ワイヤーソーは、ワイヤーにテンションをかけて走行させ、油にSiCやWAなどの微細な砥粒を混濁させたスラリーをかけて使用される。ワイヤーと被削物との隙間に介在する砥粒によって徐々に切断が進み、ラップ切断法とも称される。この切断法は、ワイヤー径を細くするとともに、微細な砥粒を使用することによって、切り代が少なく、加工変質層が小さくでき、また、多数枚を同時にスライスすることができるため、近年ワイヤーソーによる切断が大幅に増えており、ワイヤーソー切断は、遊離砥粒式ワイヤーソーによるものを指す場合が多い。
しかし、遊離砥粒式ワイヤーソーによる切断では以下に示すように欠点も多い。
1)長時間をかけ、スラリーを休止なく使用するため、油、砥粒、ワイヤーなどの消耗品のコストが大きい。
2)被削物が油、砥粒、切り屑まみれになり、洗浄コストが高い。
3)油を多量に使用するため、環境汚染対策が問題となる。
4)切断速度が遅いため、高価なマシンの稼働率が悪い。
前記の遊離砥粒式ワイヤーソーによる切断の諸問題を解決する方法として、ワイヤーにダイヤモンドを固定した固定砥粒式ワイヤーソーが開発されている。ダイヤモンドを固定する手段としてレジンボンド法、電着法がある。
レジンボンド法は、例えばフェノール樹脂とダイヤモンドの混合物をピアノ線にコーティングし焼付けする。これによりダイヤモンドは硬化したフェノール樹脂によって固着される。この方法は生産性がよく、安価で長尺のワイヤーソーを製作することができる(特許文献1)。
しかし、レジンによる保持力は弱いため、使用中にダイヤモンドが次々脱落する。このため、切れ味の低下や、ワイヤー径の細りなどを生じ寿命が短い欠点がある。
一方、電着法はダイヤモンドの固定をニッケルメッキ法により行うものである。即ち、ダイヤモンドを布袋に満たしニッケルメッキ液中に沈め、ピアノ線をこの布袋に貫通させ陰極とし、メッキ液中に設けたニッケル陽極間に通電する。ピアノ線はダイヤモンドとメッキ液中でニッケルを析出し次第に太る。このときダイヤモンドはニッケル膜中に取り込まれて、ワイヤーの表面に軽く固着される。このメッキはワイヤーをゆっくり巻き取りながら連続で行う。前記の布袋から出たワイヤーは、析出したニッケルの厚みが所定の厚みになるまで引き続きメッキ液中でメッキされる(特許文献2)。
前記の電着法で固着されたダイヤモンドの保持力は極めて強く、使用時における脱落は少ない。しかし、この方法においては、ダイヤモンドの固着がメッキの析出速度で決まるため非常に遅く、生産性が悪くコスト高である。また、ワイヤーの線径がメッキにより太るため柔軟性に欠けるので、使用に際し何度もプーリーに巻き付けられ繰り返し荷重が掛けられるため、疲労破断し易い等の重大な欠陥がある。また、ダイヤモンドがメッキ層に対しその粒径の50%以上埋める必要がある。これは電着法ではメッキ層がダイヤモンドの表面に接触しているだけであって、両者の界面では微弱な分子間力だけであり化学的な結合力はないため、メッキ層にダイヤモンドを深く埋め込んで機械的に固定しなければならないことによる。
特開2000−271872号公報 特開平9−254008号公報
そこで、本発明は、レジンボンド法では寿命が短いという問題、電着法では生産性が悪くコスト高であるという問題をそれぞれ解消し、長寿命で生産性の高い固定砥粒式ワイヤーソーとその製造方法を提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、本発明に係る固定砥粒式ワイヤーソーは、図1(a)(b)に示したように、円形断面のワイヤー1の外周に所要の固定手段によりダイヤモンド2を固着したものである。その固定手段としてワイヤー1の外周にダイヤモンド2の粒径の5〜35%の厚さに形成したロー材等の金属層3を加熱溶融させ、これにダイヤモンド2を付着させたのち冷却固化させる手段を採用している。ダイヤモンド2は金属層3を介して強固にワイヤー1に固定される。金属層3の厚さが前記のように調整されるので、各ダイヤモンド2はその一部が金属層3に埋まって固着されるが残りの大部分が金属層3から露出する。露出部分が多いために切削液の廻りや切り屑の排出が順調に行われ切削性能が向上する。ダイヤモンド2の密度は適宜調整される。
前記の金属層3がロー材である場合、いわゆるケミカル・ボンド法による固着が行われ、例えば、ロー材がCu−Ag−Ti合金の場合、活性元素のTiがダイヤモンド2と炭化物を形成し、化学的に強固に結合される。
また、ワイヤー1としては線径0.5〜0.05mmのタングステンワイヤーを用いることが望ましい。ワイヤー1はロー材の溶融温度(700℃以上)に曝されるため、高温強度に優れた高速度鋼でさえ、700℃を超えると急激に硬度や引っ張り強さが低下する。固定砥粒式ワイヤーソーでは、ワイヤーに付加するテンションは大きいほど切断性能が向上する。このためワイヤーの素材の引っ張り強さも大きいほど良好である。この点、タングステンワイヤーはダイスで細く線引きすることによって線径0.5〜0.05mmのものが得られ、これによって十分に引っ張り強さを高めることができる。また、高温処理を受けても強度の低下が少ないので、本発明に好適な素材である。
図2(a)(b)は半田によって金属層3’を形成した場合であり、この場合はダイヤモンド2に金属コーティング4を施したコーティングダイヤモンド2’を用いる。金属コーティング4は半田との濡れ性を改善する。コーティングダイヤモンド2’はダイヤモンドの重量の55%のニッケルや銅をコーティングしたものであり、市販品を用いることができる。
前記ダイヤモンド2とその金属コーティング4との間には化学的な結合はないが、全面がコーティングされているので、半田によって一部がワイヤー1と固着されれば、ダイヤモンド2は金属コーティング4を介して半田に機械的に固着される。
この場合はコーティングダイヤモンド2’はその一部が金属層3’に埋まって固着されるが残りの大部分が金属層3’から露出する。露出部分が多いために切削液の廻りや、切り屑の排出が順調に行われ切削性能が向上する。
また、前記の課題を解決するために、本発明に係る固定砥粒式ワイヤーソーの製造方法は、図3及び図4に示したように、ルツボ5、6を上下2段に所要の間隔をおいて同一直線上に設置した装置を用いる。各ルツボ5、6は底面にそれぞれ細孔7、8が設けられ、またその外周面に加熱手段9,10が設けられる。前記の細孔7、8を通してワイヤー1が上下方向に走行可能に張設される。下段のルツボ5には固着手段としての金属材11(この場合はロー材)が収納され、上段のルツボ6にダイヤモンド2が収納される。
前記加熱手段9、10により前記各ルツボ5,6を加熱し、下段のルツボ5においては金属材11を溶融させる。ワイヤー1を走行させると下段のルツボ5においてワイヤー1に溶融された金属材11が付着され、所要の厚さの金属層3(図4参照)が形成される。上段のルツボ6の内部を通過する途中において金属層3は加熱されることによって溶融状態を維持し、ダイヤモンド2がその金属層3に付着され仮固定される。ワイヤー1が上段のルツボ6の出側から外部に引き出されて移動する間に金属層3が自然に冷却固化され、ダイヤモンド2が金属層3を介してワイヤー1に固定され、所望のワイヤーソーが得られる。金属層3の厚さ、ダイヤモンド2の付着量は、ワイヤー1の走行速度、各ルツボ5、6の出側の細孔18、19の径等を調整することにより行う。
前記のように金属材11としてロー材を用いる場合は、雰囲気の酸素濃度を下げる必要があるため、前記の装置を真空槽13内に設け、10−3Pa程度の真空中で作業を行うか、いったん真空にした後アルゴンガスなどの不活性ガスと置換して不活性雰囲気中で行う。この場合のワイヤー1は、ロー材の溶融温度に曝されても十分な引っ張り強度が得られる前述した線径0.5〜0.05mmのタングステンワイヤーを用いることが望ましい。
以上のようにして製作されたワイヤーソーが前述の図1に示したものである。
次に、本発明に係る固定砥粒式ワイヤーソーの他の製造方法を図5及び図6に基づいて説明する。この場合の製造装置は、半田を金属材11’として用いる場合に適したものであり、前記の図3及び図4に示した装置と相違する点は、下段のルツボ5の下に加熱手段25を備えたフラックス用のルツボ21を設置し全体として3段に配置した点、上段のルツボ6にコーティングダイヤモンド2’をフラックスと混ぜて収納した点である。その他の構成は図3及び図4に示したものと同じである。
上記の製造装置を用いた製造方法においては、金属材11’が半田であることから、ワイヤー1の表面を活性化させるためワイヤー1をルツボ21に通すことによりフラックス26を付着させる。またコーティングダイヤモンド2’を使用するとともにこれをフラックスと混ぜてルツボ6に収納するようにしている。ルツボ21でワイヤー1にフラックス26が付着され、ワイヤー1の表面が活性化される。そのワイヤー1にルツボ5において溶融半田でなる金属材11’が付着され、金属層3’が形成される。その後、ルツボ6においてコーティングダイヤモンド2’が仮固定され、ルツボ6から引き上げられるに従い冷却固化される。
ルツボ6においてコーティングダイヤモンド2’と混在されたフラックスは、コーティングダイヤモンド2’の金属コーティング4の酸化膜を除去するためと、ワイヤー1にコーティングされた金属材11’(半田)の表面の酸化膜を除去する作用をなす。
以上のようにして製作されたワイヤーソーが前述の図2に示したものである。なお、この場合は大気中で作業することができる。
本発明に係る固定砥粒式ワイヤーソーのその他の製造方法を図7に基づいて説明する。この場合は、ワイヤー1に予め別工程で金属層3又は3’を設けたものを使用する。したがって、前記のルツボ5、21は不要となり、基本的には上段のルツボ6のみを使用する。金属層3、3’材としてはロー材、半田のいずれも用いられるが、ロー材の場合はダイヤモンド2を使用する。半田の場合はコーティングダイヤモンド2’を使用し、かつルツボ6にコーティングダイヤモンド2’とフラックスを混ぜて収納する。
加熱手段10によりルツボ6の内部を加熱しながらワイヤー1を走行させる。ワイヤー1の金属層3、3’はルツボ6の内部において溶融されるとともにその溶融された金属層3、3’にダイヤモンド2、2’が付着され仮固定される。ワイヤー1がルツボ6の出側から外部に引き出されて移動する間に金属層3、3’が自然に冷却固化され、ダイヤモンド2、2’が金属層3、3’を介してワイヤー1に固定され、所望のワイヤーソー(図1、図2参照)が得られる。なお、金属層3’(半田)の場合、ルツボ6において混在されたフラックスがコーティングダイヤモンド2’の金属コーティング4の酸化膜を除去し、ワイヤー1にコーティングされた金属層3’(半田)の表面の酸化膜を除去する作用をなすことは前述の場合と同様である。
以上のように、本発明に係る固定砥粒式ワイヤーソーは、ダイヤモンドがロー材、半田等の金属層を介してワイヤーに固定されるので、その保持力は従来のレジンボンド法によるものに比べ著しく強固であり、また電着法によるものに比べ、金属層の太りがなく均一に形成されるので柔軟性にすぐれ長寿命化される効果がある。また、前記の金属層はダイヤモンドの粒径の3〜35%の厚さであり、電着法によるもののように厚い金属層は不要であり、切削液の廻りや切り屑の排出が順調に行われ切削性能が向上する。
また、その製造方法においては、溶融金属層を形成したワイヤーを、ダイヤモンドを収納したツルボ内に走行させるだけでダイヤモンドをワイヤーに固着させることができるので、極めて生産性が高い効果がある。
以下、本発明に係る固定砥粒式ワイヤーソーの実施の形態とその製造方法の実施の形態を説明する。
実施の形態1
図1(a)(b)に示した固定砥粒式ワイヤーソーの基本的な構成は前述の通りであるが、さらにその具体例を実施の形態1として説明する。
この場合のワイヤー1は、所要の柔軟性を確保するために、線径を0.5〜0.05mmとし、その強度を確保するために1500N/mm以上の引っ張り強さを持つものとする。600〜1000℃の熱処理を受けた後でもこのような引っ張り強度をもつものとしてはタングステンワイヤーがある。
例えば、線引きされたタングステンワイヤーの引っ張り強さは線径がφ0.18で2648N/mm、φ0.08で2844N/mmと高い。また、1400℃で焼き鈍した後において、それぞれ2256N/mm、2452N/mmと強度低下が少ないので好適な材料である。
半田付けに適したワイヤー1のその他の材質としては、ピアノ線、焼きもどし温度400℃以上であるダイス鋼、ハイス、よく冷間加工されたステンレス鋼等、250〜350℃の短時間の熱処理を受けた後でも、その引っ張り強度が1500N/mm以上あるものを用いることができる。なお、析出硬化型ステンレス鋼は強度の点からも、作業温度の影響が析出硬化による強度向上などの余得も期待できるためと、切削液が水にさびないため好適な例の一つである。ダイヤモンド2は、粒径が100〜5μmであり、適宜な密度で分散配置される。
金属層3は、Cu−Ag−TiやNi−Cr−Bなどのダイヤモンド2をよく濡らす活性ロー材を用いる。金属層3の厚さはダイヤモンド2の粒径の5〜35%に設定される。5%未満ではダイヤモンド2の保持力が不足し、35%を超えると、ロー材の量が多くなり、ダイヤモンド2に周辺の溶融金属が集まりやすく、ダイヤモンド2が溶融金属に浮いた状態になりやすい。その結果出来上がったワイヤーソーのダイヤモンド2を含んだ外径寸法、太さが安定しない。
ロー材による保持強度は、ロー材の種類により一定しないが、後述の半田の数倍以上である。
実施の形態2
図2(a)(b)に示した実施の形態2の固定砥粒式ワイヤーソーは、前記実施の形態1において、金属層3としてSn−Ag等の半田を用いる場合である。この場合は、予めダイヤモンド2にニッケル又は銅等の半田に対する濡れ性をよくするための金属コーティング4を形成したコーティングダイヤモンド2’を用いる。その他の構成は、実施の形態1の場合と同様である。
鉛フリーのSn−Agの半田では、半田の強度が10Kg/mm以上あり、レジンボンドの保持力より格段に優れる。
実施の形態3
図3及び図4に示した実施の形態3は、ロー付け法による固定砥粒式ワイヤーソーの製造方法に係るものである。
この場合の製造装置は、真空槽13の内部に収納される。活性ロー材、例えばCu−Ag−Ti合金などでは、ダイヤモンド2と化学的に結合する元素Tiは活性が強く、酸素が存在すると酸化して効力を失う。このため、真空中か不活性ガス雰囲気中でのロー付けが必要となる。
製造装置は、下段にワイヤーボビン14を設置し、その上方に下から順にロー材用のルツボ5、ダイヤモンド用のルツボ6を直線状に2段に配置し、最上段に巻き取りボビン15を設置している。各ルツボ5、6は黒鉛製であり、底面中央部にワイヤー1(この材質は前記実施の形態1と同様である。以下の実施の形態においても同様)が丁度通過し得る細孔7、8(図4参照)が穿たれ、それらの蓋16、17にもそれぞれ底面の細孔7、8より若干大径の細孔18、19が穿たれる。また、各ルツボ5、6の底部は漏斗状に形成され、下段のルツボ5においてはその円筒部分の外周面に高周波誘導加熱コイル、ヒーター等の加熱手段9が装着され、また、上段のルツボ6においては円錐部分の外周面に同様の加熱手段10が装着される。前記のボビン14、15は図示省略の巻き取りシステムにより駆動される。
ワイヤーボビン14に巻かれたワイヤー1を前記各ルツボ5,6の細孔7、18および8、19を通過させ巻き取りボビン15に巻き取る。
下段のルツボ5には金属材11(この場合はCu−Ag−TiやNi−Cr−Bなどの活性ロー材)が満たされ、上段のルツボ6にはダイヤモンド2が満たされる。
前記の真空槽13の内部を真空(10−3Pa)に維持した状態で、各加熱手段9、10に通電して、ルツボ5、6を活性ロー材の溶融温度以上の温度に加熱し金属材11を溶融させる。ルツボ6の円錐部を前記加熱手段10で加熱するのは、該ルツボ6の底面の細孔8から入ったワイヤー1に形成された金属層3の温度低下を防いで溶融状態を維持し、同時にダイヤモンド2を加熱し金属層3との濡れを良くするためである。なお、不活性ガス雰囲気中で作業をする場合は、真空槽13の内部をいったん真空にしたのち、アルゴンガス等の不活性ガスに置換する。
巻き取りシステムによりボビン14、15を駆動してワイヤー1を所定の速度で巻き取ると、下段のルツボ5においてワイヤー1は溶融した金属材11が付着し所定厚さの溶融金属層3が形成される。そのまま蓋16の細孔18からいったん外部に出るが、直ぐに直上の上段のルツボ6にその細孔8から入る。該ルツボ6においては前述のように加熱手段10によって加熱が継続されるため、金属層3は溶融状態のままその内部を通過する。ダイヤモンド2が金属層3と接触した部分では金属層3はダイヤモンド2を良く濡らすため、ダイヤモンド2はワイヤー1に付着され仮固定状態となる。ワイヤー1が上方に移動するにしたがって温度が下がり、ルツボ6の外部において自然冷却により固化さるため、ダイヤモンド2はしっかりとワイヤー1に固着される。このようにして図1(a)(b)に示したロー付け法による固定砥粒式ワイヤーソーが連続的に得られる。
なお、金属材11の溶融温度、ワイヤー1の巻き取り速度、蓋16、17の細孔18、19の径の組み合わせで、金属層3の厚さを変化させてダイヤモンド2の保持力や付着量を調整することができる。
上記の方法によると、各工程は瞬時に完了するため、従来の電着法等に比べ圧倒的な高速生産が可能となる。
実施の形態4
次に、図5及び図6に示した実施の形態4は、半田付け法による固定砥粒式ワイヤーソーの製造方法に関するものである。
前述のロー付け法の場合(実施の形態3)と基本的に共通しているが、相違する点はワイヤーボビン14の上にフラックス用のルツボ21を設置し、その上に前述の場合と同様の金属材用のルツボ5、さらにその上にダイヤモンドル用のルツボ6を設置したものであり、フラックス用のルツボ21には底面部と蓋22に他のルツボ5、6と同様の細孔23、24が設けられ、その胴回りに同様の加熱手段25が装着される。真空槽は不要であり、装置は大気中に設置される。
前記のフラックス用ルツボ21にはフラックス26が収納され、金属材用のルツボ5にはSn−Ag等の半田でなる金属材11’が収納される。ダイヤモンド用のルツボ6にはコーティングダイヤモンド2’(図2参照)とフラックスを混ぜたものが満たされる。これによりコーティングダイヤモンド2’の表面にフラックスが付着するのでその表面が活性化される。その他の構成は前記の実施の形態3(図3、図4参照)と同様である。
上記の装置において、ワイヤーボビン14に巻かれたワイヤー1を前記各ルツボ21、5、6の細孔23、24、7、18、8、19を通して巻き取りボビン15に巻き取る。各加熱手段25、9、10に通電して、各ルツボ21、5、6を金属材11’(半田)が溶融する温度以上に加熱する。
巻き取りシステムによりボビン14、15を駆動してワイヤー1を所定の速度で巻き取ると、ルツボ21においてワイヤー1にフラックス26が付着され、ワイヤー1の表面が活性化される。次にその上のルツボ5において溶融した金属材11’が付着され、ワイヤー1に溶融した半田による金属層3’が形成される。またその上のルツボ6においてフラックスの付着により活性化されたコーティングダイヤモンド2’が金属層3’に仮固定される。さらに上方に移動され細孔19から引き出されると自然に冷却固化されワイヤー1に固着され、ボビン15に巻き取られる。このようにしてハンダ付け法による固定砥粒式ワイヤーソー(図2参照)が連続的に得られる。
前記のルツボ6内においては、ダイヤモンド2’とフラックスが、いわばどろどろの状態にあり、金属層3’に吸着されずにフラックスの粘性で付着している余分なダイヤモンド2’やフラックスが存在するため、余分なものを削ぎ落とす手段を付加することが望ましい。その手段として、該ルツボ6の細孔19の孔径をワイヤー径+コーティングダイヤモンド2’の粒径×2よりやや太めに設定し、そこを通過する際に前記の余分なものを削ぎ落とすようにすること、またルツボ6と巻き取りボビン15の間にフラックスの洗浄装置を設置するようにすること等の手段がある。
なお、金属材11’の溶融温度、ワイヤー1の巻き取り速度、蓋22、16、17の細孔24、18、19の径の組み合わせで金属層3’の厚さを変化させることによりダイヤモンド2’の保持力や付着量を調整することができる。
上記の方法によると、各工程は瞬時に完了するため、従来の電着法等に比べ圧倒的な高速生産が可能となる。
実施の形態5
次に、図7(a)(b)に示した実施の形態5は、ワイヤー1に予め金属層(ロー材)3又は金属層(半田)3’を設けたものをワイヤーボビン14に巻いておき、これをダイヤモンド2又はコーティングダイヤモンド2’が収納されたルツボ6を通過させ、巻き取りボビン15に巻き取るようにしたものである。金属層(半田)3’を用いる場合は、ルツボ6内に前記のコーティングダイヤモンド2’とフラックスを混ぜたものを収納する。金属層(ロー材)3を用いる場合は真空槽13内に装置を設置し、真空中又は不活性ガス雰囲気中で作業を行うが、金属層(半田)3’を用いる場合は大気中に設置する。
この実施の形態5の方法によると、金属層3、3’の膜厚が均一化され、その管理が容易となる等のメリットがある。
(a)実施の形態1のワイヤーソーの拡大断面図、(b)(a)図のb−b線の断面図 (a)実施の形態2のワイヤーソーの拡大断面図、(b)(a)図のb−b線の断面図 実施の形態3の製造装置の概略図 図3の一部拡大断面図 実施の形態4の製造装置の概略図 図5の一部拡大断面図 (a)実施の形態5の製造装置の概略図、(b)(a)図のワイヤーボビンに巻かれたワイヤーの拡大断面図
符号の説明
1 ワイヤー
2、2’ ダイヤモンド
3、3’ 金属層
4 金属コーティング
5、6 ルツボ
7、8 細孔
9、10 加熱手段
11、11’ 金属材
13 真空槽
14 ワイヤーボビン
15 巻き取りボビン
16、17 蓋
18、19 細孔
21 ルツボ
22 蓋
23、24 細孔
25 加熱手段
26 フラックス

Claims (8)

  1. ワイヤーの外周にダイヤモンドなどの超砥粒(以下、単に「ダイヤモンド」と称する。明細書において同じ。)を固着してなる固定砥粒式ワイヤーソーにおいて、前記ワイヤーにダイヤモンドの粒径の5〜35%の厚さのロー材、半田等による金属層を形成し、その金属層の溶融状態において前記のダイヤモンドを付着固化させたことを特徴とする固定砥粒式ワイヤーソー。
  2. 前記金属層がロー材により形成され、前記ワイヤーが線径0.5〜0.05mmのタングステンワイヤーであることを特徴とする請求項1に記載の固定砥粒式ワイヤーソー。
  3. 前記金属層が半田により形成され、前記ダイヤモンドがコーティングダイヤモンドであることを特徴とする請求項1に記載の固定砥粒式ワイヤーソー。
  4. 底面に細孔が形成され、所要の加熱手段を備えたルツボを上下2段に設置し、各ルツボの前記細孔を通してワイヤーを上下方向に走行可能に張り、下段のルツボに金属材、上段のルツボにダイヤモンドをそれぞれ収納し、前記加熱手段により各ルツボ内部を加熱しながらワイヤーを走行させ、下段のルツボにおいて溶融状態にある前記金属材をワイヤー外周に付着させて所要厚さの金属層を形成し、上段ルツボにおいてその金属層にダイヤモンドを付着させその後ワイヤーの上昇に伴う温度低下により固化させる固定砥粒式ワイヤーソーの製造方法。
  5. 底面に細孔が形成され所要の加熱手段を備えたルツボを設置し、予め外周に金属層がコーティングされたワイヤーを前記ルツボの細孔を通して上下方向に走行可能に張り、前記ルツボにダイヤモンドを収納し、前記加熱手段によりルツボを加熱しながら前記ワイヤーを走行させ、該ルツボ内部で溶融された前記金属層にダイヤモンドを付着させその後ワイヤーの上昇に伴う温度低下により固化させる固定砥粒式ワイヤーソーの製造方法。
  6. 前記金属層がロー材により形成され、前記ワイヤーが線径0.5〜0.05mmのタングステンワイヤーであり、真空中又は不活性ガス雰囲気中で作業が行われることを特徴とする請求項4又は5に記載の固定砥粒式ワイヤーソーの製造方法。
  7. 前記金属層が半田により形成され、前記ダイヤモンドがコーティングダイヤモンドであり、該コーティングダイヤモンドにフラックスを混ぜて前記ダイヤモンド用のルツボに収納し、かつ前記ダイヤモンド用ルツボに入る前のワイヤーの金属層にフラックスを付着させることを特徴とする請求項4又は5に記載の固定砥粒式ワイヤーソーの製造方法。
  8. 前記ダイヤモンド用のルツボの出側にダイヤモンドとフラックスの削ぎ落とし手段を設けた請求項7に記載の固定砥粒式ワイヤーソーの製造方法。
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