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JP2006115937A - 超音波診断装置 - Google Patents

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JP2006115937A
JP2006115937A JP2004304673A JP2004304673A JP2006115937A JP 2006115937 A JP2006115937 A JP 2006115937A JP 2004304673 A JP2004304673 A JP 2004304673A JP 2004304673 A JP2004304673 A JP 2004304673A JP 2006115937 A JP2006115937 A JP 2006115937A
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Takao Suzuki
隆夫 鈴木
Takashi Hagiwara
尚 萩原
Yoshinao Sorinaka
由直 反中
Yoshinobu Watanabe
良信 渡辺
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】従来に比べて簡単な操作で組織性状の測定を行うことができ、且つ、組織性状の測定精度を向上し得る超音波診断装置を提供する。
【解決手段】探触子1、制御部9、送信部2及び受信部3を備えた超音波診断装置に、傾斜角算出部8、組織追跡部5、組織性状算出部6を備えさせる。傾斜角算出部は内部組織の傾斜角を検出する。制御部は、動作モードとして、断層画像が得られるように送信部及び受信部を動作させる第1のモードと、傾斜角に基づいて超音波ビームを内部組織に垂直に入射させる偏向角を算出し、送信部に、該偏向角で超音波ビームを照射させる送信パルスを生成させ、受信部に、該偏向角をなす偏向方向からの超音波エコーの受信信号を検出させる第2のモードとを有する。組織追跡部は、第2のモードでの動作時に受信部で検出された受信信号を解析し、内部組織の動きを追跡する。組織性状算出部は追跡結果に基づいて内部組織の組織性状を算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超音波診断装置、特には、被検体の内部組織の組織性状の計測が可能な超音波診断装置に関する。
超音波診断装置は、超音波を被検体に照射し、被検体からの反射エコー信号の強度を対応する画素の輝度に変換することで、被検体の構造を断層画像として表示する。また、近年、超音波診断装置においては、反射エコー信号の主に位相を解析することによって、被検体の内部組織の動きを精密に測定する試みがなされている。更に、測定した動きから歪みや弾性率、粘性率などの組織性状を計測する試みもなされている。この点について以下に説明する。
例えば、特許文献1は、反射エコー信号を検波して得られた検波出力信号を解析し、拍動によって変動する被検体の内部組織の位置及び運動を計測する超音波診断装置を開示している。特許文献1に開示の超音波診断装置は、先ず、反射エコー信号を検波して得られた検波出力信号の振幅と位相との両者を用いて、被検体の内部組織の瞬間的な位置を決定する。次いで、拍動による被検体の内部組織の大振幅変位運動を精密にトラッキングする。その後、トラッキングによって得られた被検体の内部組織の大振幅変位運動の順次の位置に基づき、大振幅変位運動に重畳されている微小振動を求める。
ここで、図12を用いて、被検体の内部組織の大振幅変位運動のトラッキング方法について説明する。ΔTの間隔をおいて、被検体の内部組織の部位X1に対して送信された超
音波パルスの反射エコー信号を、それぞれy(t)とy(t+ΔT)とする。また、部位X1の追跡初期点の深度(位置)をx1とする。追跡初期点からの受信エコー信号の到達
時間t1は、パルス送信時刻をt=0とすると、下記式(1)から求められる。ただし、Cは音速である。
t1=x1/(C/2) ・・・(1)
このとき、図12に示すように、y(t1)とy(t1+ΔT)の間の位相変位をΔθ、t1付近での超音波の中心周波数をfとすると、この期間ΔTにおけるx1の移動量Δx(図12参照)は下記式(2)から求められる。
Δx=−C・Δθ/4πf ・・・(2)
また、下記式(3)に示すように、上記式(1)で得られたΔxをx1に加算することで、ΔT秒後のX1の深度(位置)x1’が求められる。このような手順を繰り返すこと
で、被検体の内部組織の部位X1の位置x1を追跡していくことができる。
x1’=x1+Δx ・・・(3)
また、特許文献2は、上記特許文献1に開示の超音波診断装置を更に発展させた超音波診断装置を開示している。特許文献2に開示の超音波振動装置も、上記特許文献1に開示された超音波診断装置と同様に、検波出力信号の振幅と位相とから、被検体の内部組織の瞬間的な位置を決定し、被検体の内部組織の大振幅変位運動を精密にトラッキングする。更に、この超音波診断装置は、大振幅変位運動に重畳されている微小振動を求める。
但し、特許文献2に開示の超音波診断装置は、血管壁を診断対象としており、血管壁の内面及び外面それぞれの微小振動を求める。また、特許文献2に開示の超音波診断装置は、これらの微小振動の運動速度の差から血管壁の時間変化を求める。その後、求めた時間変化に基づいて、血管壁の歪み量を計測し、更に、歪み量と血圧差から局所弾性率を求める。また、弾性率の空間分布を画像表示する。
ここで、図13を用いて、従来における血管壁の局所弾性率の算出方法について説明する。図13(a)に示すように、先ず、被検体42に探触子41を配置する。次に、探触子41から被検体42に対して超音波ビームを照射し、探触子41によって血管(図13の例では動脈)で反射された超音波エコーを受信する。
次いで、診断対象となる被検体42の血管44における血管壁に測定点A、Bを設定する。測定点の設定は、自動的に、又は操作者によって行われる。更に、上記特許文献1に示された方法によって、測定点A及びBの大振幅変位運動をトラッキングする(特許文献1参照。)。なお、図13において、43は皮膚組織、45は血管44に生じた粥腫(アテローム)を示している。
ここで、動脈は心拍によって収縮拡張を繰り返しているため、図13(b)中の追跡波形TA、TBに示すように、測定点A、Bは周期的な動きをする。そこで、測定点Aの追跡波形TAと、測定点Bの追跡波形TBとから測定点A−B間の厚み変化波形W(図13(b)参照)を求める。
厚み変化波形Wの変化量をΔW、測定点初期化時の基準厚みをWsとすると、測定点A−B間の歪み量εは、下記式(4)によって求めることができる。
ε=ΔW/Ws ・・・(4)
このときの血圧差をΔPとすると、測定点A−B間の弾性率Erは、下記式(5)によって求めることができる。このような手順を、断層画像上の複数点に対して行なうことで、図14に示す弾性率画像が表示画面に表示される。
Er=ΔP/ε=ΔP・Ws/ΔW ・・・(5)
図14に示すように、弾性率画像51は、血管44の長軸方向に沿って得られた断層画像50の上に重畳表示されている。また、図14に示すように、表示画面には、断層画像用反射強度スケール49、弾性率画像用弾性率スケール48、心電波形(心音波形)52も表示されている。
断層画像用反射強度スケール49は、反射エコー信号の反射強度と画面上の輝度との対応を示している。弾性率画像用弾性率スケール48は、弾性率と画面上の色調または輝度との対応を示している。なお、46は血管壁(前壁)、47は血管壁(後壁)を示している。
このように、特許文献2に示した超音波診断装置によれば、被検体の内部組織の弾性率を表示できるため、医師は的確な診断を行うことができる。
ところで、上記の特許文献1及び特許文献2に記載の超音波診断装置においては、被検体の内部組織の大振幅変位運動のトラッキングが行われているが、このとき、超音波ビームの進行方向と被検体の内部組織の動きとが平行でないと、トラッキング精度が低下する。特に、上記特許文献2に記載の超音波診断装置においては、超音波ビームと血管壁との直交性が保たれないと、血管壁の弾性率の計測精度が低下してしまう。よって、特許文献2の図2に示すように、血管軸と平行に探触子を設置して、リニア走査による長軸断面での計測が行われている。
しかし、リニア走査を行っても、超音波ビームと血管壁との直交性を高めるのは難しい場合がある。このため、図15に示すように、長軸断面での計測に加え、血管軸と垂直な短軸断面での計測も行われている(非特許文献1及び非特許文献2に参照。)。
図15に示すように、血管の短軸断面での弾性率の計測は、探触子41の振動子の配列方向が血管44の長軸に垂直となるように、探触子41を被検体42に配置して行われる。但し、超音波ビームが血管44の短軸断面の中心Oを通らない場合は、超音波ビームと血管壁とが直交せず、ビーム方向と血管壁の運動方向とが一致しないため、正確なトラッキングが不可能となる。このため、図15に示すように、非特許文献1及び2に示す超音波診断装置においては、血管44の短軸断面が同心円であると仮定して、超音波ビームが血管44の中心Oを通るように制御を行っている。
特開平10−5226号公報 特開2000−229078号公報 中川、長谷川、金井、「短軸断面における頚動脈壁弾性率断層像の描出法の精度評価」、電子情報通信学会技術研究報告、社団法人電子情報通信学会、2003年9月30日、Vol.103、No.340、第7頁−第11頁 中川、長谷川、金井、「短軸断面における頚動脈壁弾性率断層像のイメージング」、電子情報通信学会技術研究報告、社団法人電子情報通信学会、2003年6月28日、Vol.103、No.158、第1頁−第4頁
しかしながら、上記非特許文献1及び2に記載の超音波診断装置では、探触子41と血管41の中心Oとの位置関係を予め設定しておく必要があり、操作が煩雑である。また、長軸断面と短軸断面の二つを測定することは、医療現場において診断にあたる者にとって大きな負担となる。
本発明の目的は、上記問題を解消し、従来に比べて簡単な操作で組織性状の測定を行うことができ、且つ、組織性状の測定精度を向上し得る超音波診断装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明における超音波診断装置は、診断対象となる被検体の内部組織に超音波ビームを照射し、且つ、前記内部組織からの超音波エコーを受信して受信信号を出力する探触子と、制御部と、前記制御部の指示に応じて送信パルスを生成し、前記探触子に超音波ビームの照射を行わせる送信部と、前記探触子によって出力された受信信号から、前記制御部に指示された超音波エコーの受信信号を検出する受信部とを備えた超音波診断装置であって、傾斜角算出部と、組織追跡部と、組織性状算出部とを更に備え、前記傾斜角算出部は、前記探触子の送受波面を基準とした前記内部組織又は前記内部組織内の血流の傾斜角を検出し、前記制御部は、動作モードとして、前記内部組織の断層画像が得られるように前記送信部及び前記受信部を動作させる第1のモードと、前記傾斜角に基づいて、前記超音波ビームを前記内部組織又は前記内部組織内の血流に垂直に入射させる偏向角を算出し、前記送信部に、前記探触子が前記偏向角で前記超音波ビームを照射するための送信パルスを生成させ、前記受信部に、前記偏向角をなす偏向方向からの超音波エコーの受信信号を検出させる第2のモードとを少なくとも有し、前記組織追跡部は、前記制御部が前記第2のモードで動作しているときに前記受信部で検出された受信信号を解析し、解析結果に基づいて前記内部組織の動きを追跡し、前記組織性状算出部は、前記組織追跡部によって得られた追跡結果に基づいて、前記内部組織の組織性状を算出することを特徴とする。
上記本発明の超音波診断装置においては、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記内部組織の断層画像を生成する画像処理部と、前記探触子の送受波面に平行な方向が水平方向となるようにして、生成された前記断層画像を表示画面に表示する表示部と、前記断層画像上の複数点の外部からの指定を受け付け、指定された前記複数点を特定する情報を前記傾斜角算出部へと出力する入力部を更に備え、前記傾斜角算出部が、前記情報から前記複数点の座標を検出し、検出した前記座標に基づいて前記傾斜角を検出する態様とするのが好ましい。この場合、超音波診断装置における制御を単純にでき、しかも、被検体の内部組織の追跡や組織性状の算出を簡単に行うことができる。
また、上記本発明の超音波診断装置においては、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記内部組織の断層画像を生成する画像処理部と、前記探触子の送受波面に平行な方向が水平方向となるようにして、生成された前記断層画像を表示画面に表示する表示部と、前記断層画像に示された内部組織のなかから予め選択された内部組織を検出する内部組織検出部を更に備え、前記傾斜角算出部が、前記内部組織検出部によって検出された前記内部組織の前記傾斜角を検出する態様とするのも好ましい。この態様においては、前記予め選択された内部組織の例としては、血管又は心臓が挙げられる。また、このとき、前記傾斜角算出部は、前記断層画像に示された前記血管の血管壁又は前記心臓の心臓壁の前記傾斜角を算出する。このような内部組織検出部を用いた態様とした場合は、傾斜角の測定精度を高めることができ、ひいてはトラッキング精度及び組織性状の算出精度の向上を図ることができる。
また、内部組織検出部は、前記断層画像の輝度に基づいて、前記予め選択された内部組織を検出することができる。更に、前記内部組織検出部は、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記受信部によって検出された受信信号の振幅を解析し、その解析結果に基づいて、前記予め選択されている内部組織を検出することもできる。
また、前記組織追跡部が、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記受信部によって検出された受信信号を解析して前記内部組織の動きを追跡し、該追跡の結果を特定する情報を前記内部組織検出部に出力するのであれば、前記内部組織検出部は、前記組織追跡部によって出力された前記情報を解析し、その解析結果に基づいて、前記予め選択されている内部組織を検出することができる。
更に、前記組織追跡部が、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記受信部によって検出された受信信号を解析して前記内部組織の動きを追跡し、前記組織性状算出部が、前記制御部が第1のモードで動作しているときにおける前記組織追跡部の追跡の結果に基づいて、前記内部組織の組織性状を算出するのであれば、前記内部組織検出部は、前記組織性状算出部による前記組織性状の算出結果から、前記予め選択されている内部組織を検出することができる。
また、上記本発明における超音波診断装置においては、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記受信部によって検出された超音波エコーの受信信号からドプラ偏移信号を抽出し、前記ドプラ偏移信号から血流ドプラ画像を生成する血流ドプラ画像処理部を備え、前記傾斜角算出部が、前記血流ドプラ画像から前記内部組織内の血流の傾斜角を検出する態様とするのも好ましい。このような態様とした場合も、傾斜角の測定精度を高めることができ、ひいてはトラッキング精度及び組織性状の算出精度の向上を図ることができる。
以上のように本発明における超音波診断装置は、超音波ビームを被検体の内部組織又は内部組織内の血流に垂直に入射させる偏向角を算出でき、この偏向角で超音波ビームの送受信を行う。更に、本発明の超音波診断装置は、このときの受信信号に基づいてトラッキングや、内部組織の歪み量や弾性率、運動速度、更には粘性率等といった被検体の組織性状の算出を行う。このため、本発明の超音波診断装置によれば、短軸断面での測定を行うことなく、被検体の内部組織における大振幅運動のトラッキング精度や、被検体の内部組織の組織性状の測定精度を向上することができる。また、従来に比べて、簡単な操作で組織性状の測定を行うことができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における超音波診断装置について、図1〜図3を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態1における超音波診断装置の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態1における超音波診断装置は、探触子1と、本体10と、表示部11と、入力部12とを備えている。また、図1に示すように、本体10は、送信部2、受信部3、画像処理部4、組織追跡部5、組織性状算出部6、画像合成部7、傾斜角算出部8及び制御部9を備えている。本実施の形態1において、診断対象となる内部組織は、図2に示すように被検体30の血管31である。
探触子1は、送信部2で生成された送信パルスを超音波に変換し、被検体30の内部組織である血管31に超音波ビームを照射する。また、探触子1は、血管31で反射された超音波エコーを受信し、更にこれを電気信号(受信信号)に変換して受信部3へと出力する。
本実施の形態1において、探触子1は、複数の振動子(図示せず)を配列して構成されたアレイ型探触子である。なお、複数の振動子は、1Dアレイ振動子、1.5Dアレイ振動子、2Dアレイ振動子のいずれを形成しても良い。
表示部11は、CRTディスプレイや液晶ディスプレイといった表示装置である。表示画面20には、被検体30の内部組織の断層画像21が表示される(図2参照)。また、本実施の形態1においては、断層画像21は、探触子1の送受波面に平行な方向が断層画像21の水平方向となるように表示画面20に表示される。
なお、図2において、22は被検体30の皮膚組織、23は血管31の血管壁(前壁)、24は血管31の血管壁(後壁)を示している。また、破線で囲まれた領域25は、弾性率の大きさを2次元分布で示す弾性率画像(図14参照)を示している。
入力部12は、キーボード13及びトラックボール14を備えたコントロールパネルである(図2参照)。医師等の操作者は、入力部12を介して、超音波診断装置の制御を行うことができる。なお、図示していないが、入力部12は、更に、マウス、ボリュームつまみ、スイッチ等を備えることもできる。
また、本実施の形態1において、超音波診断装置の操作者は、トラックボール14(又はマウス)を利用して、表示画面20に表示された断層画像21上の任意の複数点(例えば図2中の点A、B)を指定することができる。このとき、入力部12は、指定を受け付けた複数点を特定する情報を傾斜角算出部8へと出力する。
送信部2は、制御部9の指示に応じて送信パルスを生成し、これを、探触子1を構成する各振動子へと出力する。これにより、上述したように探触子1から超音波ビームが照射される。本実施の形態1において、送信部2は、振動子毎に(任意の数の振動子でグループが形成されている場合はグループ毎に)制御部9によって指示されたタイミングで送信パルスを出力している。
受信部3は、探触子1から出力された受信信号を増幅し、その後、この受信信号のなかから、制御部9に指示された超音波エコーの受信信号を検出する。制御部9は、超音波エコーの方向又は反射位置を指示している。
傾斜角算出部8は、探触子1の送受波面を基準とした被検体30の内部組織又は内部組織内の血流の傾斜角θ(図2参照)を検出する。本実施の形態1においては、傾斜角算出部8は、入力部12から入力された断層画像21上の複数点を特定する情報から、その座標を検出する。また、傾斜角算出部8は、検出した座標に基づいて傾斜角θを算出する。
具体的には、傾斜角算出部8は、図2に示すように指定点A及びBを通る直線の傾きを算出する。図2の例では、点Aと点Bは血管壁(後壁)24上の点であることから、傾斜角算出部8は、探触子1の送受波面に対する血管31の傾斜角θを算出する。
制御部9は、図1及び図2に示す超音波診断装置の各部の制御を行っている。また、制御部9は、動作モードとして、断層画像を取得する第1のモードと、組織性状を算出する第2のモードとを少なくとも有している。
第1のモードにおいては、制御部9は、被検体30の内部組織の断層画像が得られるように送信部2及び受信部3を動作させる。本実施の形態1では、制御部9は、送信部2及び受信部3にBモード走査を行わせる。具体的には、制御部9は、例えば、探触子1の送受波面に垂直な方向の超音波ビームによってリニア走査が行われるように、送信部2及び受信部3に指示を行う。
また、制御部9は、傾斜角算出部8による傾斜角θの算出が行われると、第2のモードで動作する。具体的には、第2のモードにおいては、制御部9は、血管31の運動方向と超音波ビームの伝播方向とを平行にするため(血管壁23又は24と超音波ビームとを直交させるため)、通常の場合と異なり、送信部2及び受信部3に以下の動作を行わせる。
先ず、制御部9は、傾斜角θに基づいて、超音波ビームを血管31に垂直に入射させる偏向角ψ(図2参照)を算出する。本実施の形態1においては、偏向角ψは探触子1の送受波面の法線を基準とした角であり、偏向角ψの大きさは傾斜角θの大きさと一致する。よって、制御部9は、偏向角ψ=傾斜角θと設定する。
次に、制御部9は、送信部2に対して、探触子1が偏向角ψで超音波ビームを照射するための送信パルスを生成させる。具体的には、制御部9は、探触子1の送受波面の法線を基準とした超音波ビームの偏向角がψとなるように、探触子1を構成している振動子毎(又はグループ毎)に遅延量を設定する。
この結果、探触子1からは伝播方向が血管31の長軸に垂直な超音波ビームが照射される。その後、制御部9は、受信部3に対して、偏向角ψをなす偏向方向からの超音波エコーの受信信号のみを検出させ、このとき検出した受信信号を組織追跡部5へと出力させる。
組織追跡部5は、制御部9が第2のモードで動作するとき(超音波ビームが偏向角ψで照射されたとき)に、受信部3で検出された受信信号(偏向角ψをなす偏向方向からの超音波エコーの受信信号)を解析する。また、組織追跡部5は、解析結果に基づいて血管31の動きを追跡(トラッキング)する。
具体的には、組織追跡部5による追跡は、背景技術において図12に示した例と同様に、受信信号の振幅と位相とを解析して行われる。但し、本実施の形態1においては、背景技術の例と異なり、組織追跡部5は、血管31の長軸に垂直に入射した超音波ビームの超音波エコーから得られた受信信号に基づいて、追跡を行っている。このため、本実施の形態1における超音波診断装置においては、従来の超音波診断装置に比べてトラッキング精度の向上が図られる。
また、組織性状算出部6は、組織追跡部5によって得られた追跡結果に基づいて、血管31の組織性状を算出する。具体的には、組織性状算出部6は、背景技術において図13に示した例と同様に、血管壁の任意の箇所の歪み量を算出し、更に歪み量から弾性率を算出する。
なお、組織性状算出部6は、内部組織の歪み量や弾性率の他に、組織性状として、内部組織の運動速度や粘性率を算出することもできる。例えば、運動速度は、追跡(トラッキング)結果を微分することによって算出できる。
更に、本実施の形態1において、組織性状算出部6は、図2に示す表示画面20に弾性率画像25を表示するため、算出した弾性率に基づいて弾性率画像25の画像データを生成し、これを後述する画像合成部7に出力する。弾性率画像25は、背景技術において図14に示したものと同様のものである。
画像処理部4は、制御部9が第1のモードで動作しているときに、即ち、送信部2及び受信部3にBモード走査を行わせたときに、受信部3によって検出された受信信号を解析して、血管31及びその周辺の断層画像を生成する。また、画像処理部4は、生成した断層画像のデータを画像合成部7に出力する。本実施の形態1において、画像処理部4による受信信号の解析は、主に受信信号の振幅について行われる。断層画像を構成する各画素の輝度は受信信号の振幅の大きさに対応している。
画像合成部7は、画像処理部4から出力された断層画像のデータと、組織性状算出部6から出力された弾性率画像25の画像データとを合成し、合成したデータを表示部11に出力する。これにより、図2に示すように、断層画像21に弾性率画像25が重畳表示される。また、画像合成部7は、その他、平均弾性率や心拍数といった数値、ECG、血管直径といった波形情報、弾性率のヒストグラムといったグラフ等を合成することもできる。
以上のように構成された超音波診断装置の動作及び使用方法について説明する。また、以下の説明においては、図1及び図2を適宜参照する。先ず、操作者は超音波診断装置を起動する。これにより、制御部9は、第1のモードで動作し、第1の送信部2及び受信部3にBモード走査を行わせる。このとき、表示画面20には断層画像21が表示される。この時点では、表示画面20には断層画像21のみが表示される。
次に、操作者は、断層画像21を見ながら探触子1を操作し、被検体30中の血管31を探索する。図2に示すように、被検体30中の血管31の長軸方向が振動子1の送受波面と平行ではない場合は、背景技術において述べたようにトラッキング精度及び弾性率の計測精度が低下する。よって、操作者は、入力部12に備えられたトラックボール14を操作して、断層画像21中の血管壁(後壁)24上の2点(A、B)を指定する。
操作者によって2点が指定されると、傾斜角算出部8は、この2点を通る直線の傾きを傾斜角θとして算出し、傾斜角θを特定する情報を制御部9に出力する。傾斜角θが算出されると、制御部9は、第2のモードで動作するため、超音波診断装置を以下のように動作させる。
具体的には、制御部9は、傾斜角θから偏向角ψを算出し、送信部2に対して、偏向角ψだけ偏向させた超音波ビームが照射されるように送信パルスを生成させる。更に、制御部9は、受信部3に対して、同じく偏向角ψだけ偏向した方向からの超音波エコーの受信信号のみ検出させ、組織追跡部5に出力させる。
次に、偏向角ψだけ偏向した方向からの超音波エコーの受信信号に基づいて、組織追跡部5による追跡、組織性状算出部6による組織性状の算出が行われる。その後、画像合成部7によって弾性率画像25が断層画像21に重畳表示される。
このように、本実施の形態1における超音波診断装置によれば、血管壁23及び24の運動方向と超音波ビームの伝播方向とを互いに平行にすることができる。更に、この場合に得られた受信信号に基づいて追跡が行われ、この追跡による追跡結果に基づいて血管31の組織性状の算出が行われる。
このため、従来に比べて、トラッキング精度及び組織性状の測定精度を向上できる。また、短軸断面での組織性状の算出は必要なく、従来に比べて簡単な操作で組織性状の測定を行うことができる。
なお、本実施の形態1において、傾斜角算出部8による傾斜角θの算出は、2点間を通る直線の傾きを求めることによって行われているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、操作者に断層画像21上に3点以上の点を指定させ、これらの指定点の座標から最小二乗法を用いて直線を求め、この直線の傾きを算出する態様とすることもできる。
また、図3に示すように、断層画像21中の血管壁(後壁)24全体を操作者にトラックボール14によって指定させ、指定された領域26上の任意の複数点の座標から、最小二乗法を用いて直線を求め、この直線の傾きを算出する態様とすることもできる。
本実施の形態1においては、血管が診断対象となる例を挙げて説明しているが、本実施の形態1は、この例に限定されるものではない。本実施の形態1における超音波診断装置は、診断対象が血管以外である場合、例えば、心臓である場合にも適用できる。なお、この場合は、操作者は、断層画像中の心臓壁上の点を指定すれば良い。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における超音波診断装置について、図4から図8を参照しながら説明する。図4〜図7それぞれは、本実施の形態2における超音波診断装置の第1例〜第4例のブロック図である。図4〜図7において、図1で示された符号が付されているものは、図1中で同一の符号が付されたものと同一のものである。また、図8において、図2で示された符号が付されているものは、図2中で同一の符号が付されたものと同一のものである。
図4〜図7に示すように、本実施の形態2における超音波診断装置は、実施の形態1における超音波診断装置と異なり、内部組織検出部15を備えている。内部組織検出部15は、断層画像(図2参照)に表示された内部組織のなかから操作者によって予め選択された内部組織(例えば、血管、心臓等)を検出する。また、本実施の形態2では、傾斜角算出部8は、内部組織検出部15によって検出された内部組織の傾斜角θを検出する。
内部組織の選択は、操作者が入力部12を介して行う。本実施の形態2においては、操作者は血管を選択している。この場合、入力部12から内部組織検出部15へと、血管が選択された旨が指示される。このため、図8に示すように、内部組織検出部15は、断層画像21に表示された内部組織のなかから、血管31、具体的には血管壁(前壁)23及び血管壁(後壁)24を検出する。図8において27a及び27bは、断層画像21上の血管壁23及び24として検出された領域を示している。
なお、上記した点以外については、本実施の形態2における超音波診断装置は、実施の形態1における超音波診断装置と同様に構成されている。以下、本実施の形態2における第1例〜第4例の超音波診断装置について、具体的に説明する。第1例〜第4例では、内部組織検出部15による内部組織の検出方法がそれぞれ異なっている。
図4に示す第1例における超音波診断装置では、内部組織検出部15は、断層画像21(図8参照)を解析し、断層画像21の輝度に基づいて血管壁23及び24を検出する。具体的には、内部組織検出部15は、Bモード走査によって得られた断層画像21中の血管壁23及び24の輝度が血流の輝度よりも高くなっていることを利用して、血管壁23および24を検出している。
つまり、内部組織検出部15は、断層画像21中の輝度が予め設定した閾値よりも高い画素を特定し、特定された画素が分布している領域を血管壁23及び24として検出している。また、上記閾値は、操作者からの入力部12を介した入力によって設定しても良いし、最も高い輝度値の例えば80%等のように最も高い輝度値等を基準に設定しても良い。更に、上記閾値は、超音波診断装置の製品出荷時や使用時等に固定値として設定しておいても良い。
なお、第1例において、内部組織検出部15は、断層画像21中の輝度勾配に基づいて血管壁23及び24を検出することもできる。具体的には、内部組織検出部15に、予め基準となる輝度勾配値を記憶させておき、記憶された輝度勾配値を超えて輝度が変化している領域を血管壁23及び24の外縁と判断させる。
図5に示す第2例における超音波診断装置では、内部組織検出部15は、受信部3によって検出された受信信号の振幅を解析して、血管壁23及び24を検出する。また、このとき解析対象となる受信信号は、制御部9が第1のモードで動作しているときに受信部3が検出する受信信号である。
具体的には、内部組織検出部15は、血管壁23又は24からの超音波エコーの受信信号の振幅が、血流からの超音波エコーの受信信号の振幅よりも大きくなっていることを利用して、血管壁23及び24を検出している。つまり、内部組織検出部15は、振幅が予め設定された閾値よりも高い受信信号を特定し、この受信信号に対応する画素が分布している領域を血管壁23及び24として検出している。
図6に示す第3例では、実施の形態1、上記の第1例及び第2例と異なり、組織追跡部5は、制御部9が第2のモードで動作しているときだけでなく、第1のモードで動作しているときにおいても血管31(図8参照)の動きを追跡する。即ち、第3例の組織追跡部5は、送信部2及び受信部3にBモード走査を行わせたときに受信部3が検出する受信信号に基づいても、血管31(図8参照)の動きを追跡することができる。なお、以降において、制御部9が第1のモードで動作しているときに組織追跡部5が行う追跡を「仮追跡」という。また、組織追跡部5は、仮追跡の結果を特定する情報(以下「仮追跡情報」)を内部組織検出部15に出力する。
このため、図6に示す第3例の超音波診断装置では、内部組織検出部15は、この仮追跡情報を解析し、解析結果に基づいて、血管壁23及び24を検出する。具体的に説明すると、血管壁23又は24からの超音波エコーの受信信号のSN比(信号雑音比)は、血流からの超音波エコーの受信信号のSN比(信号雑音比)より高いという特性がある。この場合、血管壁23又は24の追跡波形は、血流の追跡波形よりも、ノイズの少ない波形となる。また、血管壁23又は24の追跡波形は、血流の追跡波形に比べて、高周波成分が少ない波形となる。つまり、内部組織検出部15は、これらのことを利用して血管壁23及び24を検出している。
なお、第3例において、内部組織検出部15は、血管壁(後壁)24の運動方向と血流の方向とが互いに正反対であることを利用して、仮追跡情報から血管壁23及び24を検出することもできる。
図7に示す第4例でも、組織追跡部5は、第3例と同様に、仮追跡を行う。但し、第4例では、第3例と異なり、組織追跡部5は仮追跡情報を組織性状算出部6に出力する。また、組織性状算出部6は、仮追跡情報に基づいて、血管の組織性状を算出し、算出結果を内部組織検出部15に出力する。なお、以下においては、仮追跡情報から算出された組織性状を「仮組織性状」という。また、図7の例では、組織性状として弾性率が算出されている。
このため、図7に示す第4例の超音波診断装置では、内部組織検出部15は、血管壁23及び24の弾性率が血流の弾性率に比べて高くなることを利用して、仮組織性状の算出結果から、血管壁23及び24を検出する。
なお、第4例において、組織性状算出部6は運動速度や粘性率を仮組織性状として算出することもできる。この場合、内部組織検出部15は、血管壁23及び24と血流との運動速度や粘性率の違いを利用して、血管壁23及び24を検出する。
また、本実施の形態2においては、図4〜図7のいずれかに示した内部組織検出部15が、血管壁23及び24を検出すると、傾斜角算出部はこれらの傾斜角θを検出する。傾斜角θの算出は、例えば、血管壁として検出された領域27a又は27b(図8参照)上の任意の複数点の座標から、最小二乗法を用いて直線を求め、この直線の傾きを算出することによって行われる。また、傾斜角θの算出は、仮組織性状から得られた弾性率画像25中の左端と右端とにおいて、血管壁とそれ以外の部分との境界を求め、更に左端の境界と右端の境界とを直線で結び、その直線の傾きを算出することによっても可能である。
このように、本実施の形態2によれば、実施の形態1のように操作者が傾斜角θの測定箇所を指定する必要がないため、操作者における手間を簡便なものとできる。また、実施の形態1に比べて正確に傾斜角θ(図2参照)を測定できるため、信頼性の高い偏向角ψ(図2参照)を算出できる。このため、本実施の形態2における診断装置は、実施の形態1における診断装置よりも、トラッキング精度及び組織性状の測定精度を向上できる。
なお、本実施の形態2においては、内部組織検出部15は、第1例〜第4例のうちの幾つか又は全部を組み合わせたものであっても良い。このような内部組織検出部15を用いれば、更に、正確に内部組織(血管等)を検出できるため、傾斜角θ及び偏向角ψの測定精度を向上できる。
本実施の形態2においては、血管が診断対象となる例を挙げて説明しているが、本実施の形態2は、この例に限定されるものではない。本実施の形態2における超音波診断装置は、診断対象が血管以外である場合、例えば、心臓である場合にも適用できる。この場合は、内部組織検出部15は、心臓壁を検出する。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における超音波診断装置について、図9及び図10を参照しながら説明する。本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、診断対象となる内部組織図は被検体の血管である。なお、図9において、図1で示された符号が付されているものは、図1中で同一の符号が付されたものと同一のものである。また、図10において、図2で示された符号が付されているものは、図2中で同一の符号が付されたものと同一のものである。
図9に示すように、本実施の形態3における超音波診断装置は、実施の形態1における超音波診断装置と異なり、血流ドプラ画像処理部16を備えている。血流ドプラ画像処理部16は、受信部3によって検出された超音波エコーの受信信号からドプラ偏移信号を抽出する。
ドプラ偏移信号の抽出対象となる受信信号は、制御部9が第1のモードで動作したとき(送信部2及び受信部3にBモード走査を行わせたとき)に受信部3が検出する受信信号である。更に、血流ドプラ画像処理部16は、このドプラ偏移信号から、診断対象となる血管内の血流の血流ドプラ画像を生成する。
また、血流ドプラ画像処理部16は、生成した血流ドプラ画像のデータを画像合成部7に出力する。この場合、画像合成部7は、画像処理部4から出力された断層画像のデータと、組織性状算出部6から出力された弾性率画像25の画像データとに、血流ドプラ画像のデータも合成し、合成したデータを表示部11に出力する。これにより、図10に示すように、断層画像21に、血管31内の血流の血流ドプラ画像28が重畳表示される。図10において、矢印29は血流の方向を示している。
また、本実施の形態3において、傾斜角算出部8は、血流ドプラ画像28から血管31内の血流の傾斜角θを検出する。傾斜角θの算出は、例えば、血流ドプラ画像28上の任意の複数点の座標から、最小二乗法を用いて直線を求め、この直線の傾きを算出することによって行われる。また、傾斜角θの算出は、血流ドプラ画像28とそれ以外の部分との境界線を検出し、それを血流と血管との境界線とみなし、この境界線を直線近似することによっても可能である。
なお、本実施の形態2における超音波装置は、上述した点以外においては、実施の形態1における超音波診断装置と同様に構成されている。また、図9においては図示していないが、本実施の形態3における超音波診断装置においても、入力部が備えられており、操作者は入力部を介して超音波診断装置を操作できる。
このように、本実施の形態3においても、実施の形態2と同様に、操作者が傾斜角θの測定箇所を指定する必要がないため、操作者における手間を簡便なものとできる。また、実施の形態2と同様、実施の形態1に比べて正確な傾斜角θ(図2参照)の測定を図ることができるため、信頼性の高い偏向角ψ(図2参照)を算出できる。このため、本実施の形態3における診断装置も、実施の形態1における診断装置よりも、トラッキング精度及び組織性状の測定精度を向上できる。
なお、本実施の形態3における超音波診断装置は、更に、実施の形態2に示した内部組織検出部15(図4〜図7参照)を備えることもできる。また、この場合の内部組織検出部15は、第1例〜第4例のうちの幾つか又は全部を組み合わせたものであっても良い。このような態様とすれば、更に、正確に内部組織(血管等)を検出できるため、傾斜角θ及び偏向角ψの測定精度を向上できる。
本実施の形態3においては、血管が診断対象となる例を挙げて説明しているが、本実施の形態3は、この例に限定されるものではない。本実施の形態3における超音波診断装置は、診断対象が血管以外である場合、例えば、心臓である場合にも適用できる。この場合は、血流ドプラ画像処理部16は心臓内の血流の血流ドプラ画像を生成する。
また、上述した実施の形態1〜実施の形態3における超音波診断装置は、図11に示すように血管31に粥腫32が発生している場合であっても、トラッキング精度及び組織性状の測定精度を向上できる。この点について、図1、図4〜図7、図9を適宜参照しながら、以下に説明する。
図11に示すように、被検体30中の血管31に粥腫32が発生している場合は、その部分における血管壁24の傾斜角を求めることは困難である。また、同様に、血管31に大きく屈曲した部分がある場合も、その部分の傾斜角を求めることは困難である。
このような場合、制御部9は、音響走査線毎に偏向角ψ(図2参照)を算出し、送信部3に対して、超音波ビームが音響走査線毎に異なる偏向角で探触子1から照射されるように、送信パルスを生成させる。また、制御部9は、受信部3に対しては、各偏向角の方向から反射されてくる超音波エコーの受信信号のみを検出させる。
このため、実施の形態1〜3における超音波診断装置は、粥種がある部分に対しても超音波ビームを略垂直に入射させることができる。更に、この超音波ビームに設定された偏向角の方向からの超音波エコーから受信信号を検出し、この受信信号に基づいて、追跡や組織性状の算出が行われる。よって、上述したように、血管31に粥腫32が発生している場合であっても、トラッキング精度及び組織性状の測定精度を向上できる。
なお、このように音響走査線毎に偏向角を設定する場合は、設定された偏向角毎に傾斜角を測定する必要もある。例えば、実施の形態1における超音波診断装置であれば、操作者は断層画像21を見ながら、血管壁24を幾つかの部分に区切って部分毎に複数点を指定する必要がある。この場合、傾斜角検出部8は区切られた部分毎に傾斜角を測定する。
また、実施の形態1においては、操作者にトラックボール14によって血流と血管との境界線を入力させる態様とすることができる。この態様では、制御部9(図1参照)は、この境界線に対して常に超音波ビームの方向が垂直となるように、音響走査線毎に偏向角を制御する。
更に、実施の形態2における超音波診断装置であれば、内部組織検出部15(図4〜図7参照)によって、粥腫32と血液との境界線を検出できる。実施の形態2においては、制御部9(図4〜図7参照)は、この内部組織検出部15で検出された境界線に対して常に超音波ビームの方向が垂直となるように、音響走査線毎に偏向角を制御する。
また、実施の形態3における超音波診断装置であれば、血流ドプラ画像処理部16(図9参照)によって血流ドプラ画像を得ることができ、血流ドプラ画像から粥腫32と血液との境界線を検出できる。実施の形態3においては、制御部9(図9参照)は、血流ドプラ画像から検出された境界線に対して常に超音波ビームの方向が垂直となるように、音響走査線毎に偏向角を制御する。
なお、図11を用いた上述の説明では、血管31に粥腫32が発生している場合を例に挙げているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、心臓の心臓壁に粥腫等が発生している場合であっても、音響走査線毎に偏向角を算出することによって対応することができる。
以上のように、本発明における超音波診断装置は、操作者の負担を従来よりも小さくしつつ、被検体の内部組織における大振幅運動のトラッキング精度や、内部組織の組織性状(歪み量、弾性率、運動速度、粘性率等)の測定精度を向上することができる。このため、本発明によれば、有用な疾病診断機器を提供することができる。
本発明の実施の形態1における超音波診断装置のブロック図 図1に示す超音波診断装置の動作及び外観を示す図 図1に示す超音波診断装置の表示画面の他の例を示す図 本発明の実施の形態2における超音波診断装置(第1例)のブロック図 本発明の実施の形態2における超音波診断装置(第2例)のブロック図 本発明の実施の形態2における超音波診断装置(第3例)のブロック図 本発明の実施の形態2における超音波診断装置(第4例)のブロック図 図4〜図8に示す超音波診断装置の表示画面の一例を示す図 本発明の実施の形態3における超音波診断装置のブロック図 図9に示す超音波診断装置の表示画面の一例を示す図 血管に粥腫がある場合における実施の形態1〜3に示す超音波診断装置の超音波ビームの走査方法を示す図 従来の超音波診断装置における被検体の内部組織の大振幅変位運動のトラッキングを説明する図 図13(a)は探触子と被検体との位置関係を示す図、図13(b)は従来の超音波診断装置における血管壁の局所弾性率の算出を説明する図 従来の超音波診断装置によって得られた血管壁の弾性率画像の一例を示す図 従来の超音波診断装置を用いた血管の短軸断面での超音波ビームの送信を示す図
符号の説明
1 探触子
2 送信部
3 受信部
4 画像処理部
5 組織追跡部
6 組織性状算出部
7 画像合成部
8 傾斜角算出部
9 制御部
10 本体
11 表示部
12 入力部
13 キーボード
14 トラックボール
15 内部組織検出部
16 血流ドプラ画像処理部
20 表示画面
21 断層画像
22 被検体の皮膚組織
23 血管壁(前壁)
24 血管壁(後壁)
25 弾性率画像
27a、27b 血管壁として検出された領域
28 血流ドプラ画像
29 血流の方向を示す矢印
30 被検体
31 血管
32 粥腫

Claims (9)

  1. 診断対象となる被検体の内部組織に超音波ビームを照射し、且つ、前記内部組織からの超音波エコーを受信して受信信号を出力する探触子と、制御部と、前記制御部の指示に応じて送信パルスを生成し、前記探触子に超音波ビームの照射を行わせる送信部と、前記探触子によって出力された受信信号から、前記制御部に指示された超音波エコーの受信信号を検出する受信部とを備えた超音波診断装置であって、
    傾斜角算出部と、組織追跡部と、組織性状算出部とを更に備え、
    前記傾斜角算出部は、前記探触子の送受波面を基準とした前記内部組織又は前記内部組織内の血流の傾斜角を検出し、
    前記制御部は、動作モードとして、前記内部組織の断層画像が得られるように前記送信部及び前記受信部を動作させる第1のモードと、前記傾斜角に基づいて、前記超音波ビームを前記内部組織又は前記内部組織内の血流に垂直に入射させる偏向角を算出し、前記送信部に、前記探触子が前記偏向角で前記超音波ビームを照射するための送信パルスを生成させ、前記受信部に、前記偏向角をなす偏向方向からの超音波エコーの受信信号を検出させる第2のモードとを少なくとも有し、
    前記組織追跡部は、前記制御部が前記第2のモードで動作しているときに前記受信部で検出された受信信号を解析し、解析結果に基づいて前記内部組織の動きを追跡し、
    前記組織性状算出部は、前記組織追跡部によって得られた追跡結果に基づいて、前記内部組織の組織性状を算出することを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記内部組織の断層画像を生成する画像処理部と、
    前記探触子の送受波面に平行な方向が水平方向となるようにして、生成された前記断層画像を表示画面に表示する表示部と、
    前記断層画像上の複数点の外部からの指定を受け付け、指定された前記複数点を特定する情報を前記傾斜角算出部へと出力する入力部を更に備え、
    前記傾斜角算出部が、前記情報から前記複数点の座標を検出し、検出した前記座標に基づいて前記傾斜角を検出する請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記内部組織の断層画像を生成する画像処理部と、
    前記探触子の送受波面に平行な方向が水平方向となるようにして、生成された前記断層画像を表示画面に表示する表示部と、
    前記断層画像に示された内部組織のなかから予め選択された内部組織を検出する内部組織検出部を更に備え、
    前記傾斜角算出部が、前記内部組織検出部によって検出された前記内部組織の前記傾斜角を検出する請求項1に記載の超音波診断装置。
  4. 前記予め選択された内部組織が、血管又は心臓であり、
    前記傾斜角算出部が、前記断層画像に示された前記血管の血管壁又は前記心臓の心臓壁の前記傾斜角を算出する請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 前記内部組織検出部が、前記断層画像の輝度に基づいて、前記予め選択された内部組織を検出する請求項3または4に記載の超音波診断装置。
  6. 前記内部組織検出部が、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記受信部によって検出された受信信号の振幅を解析し、その解析結果に基づいて、前記予め選択されている内部組織を検出する請求項3または4に記載の超音波診断装置。
  7. 前記組織追跡部が、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記受信部によって検出された受信信号を解析して前記内部組織の動きを追跡し、該追跡の結果を特定する情報を前記内部組織検出部に出力し、
    前記内部組織検出部が、前記組織追跡部によって出力された前記情報を解析し、その解析結果に基づいて、前記予め選択されている内部組織を検出する請求項3または4に記載の超音波診断装置。
  8. 前記組織追跡部が、前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記受信部によって検出された受信信号を解析して前記内部組織の動きを追跡し、
    前記組織性状算出部が、前記制御部が第1のモードで動作しているときにおける前記組織追跡部の追跡の結果に基づいて、前記内部組織の組織性状を算出し、
    前記内部組織検出部が、前記組織性状算出部による前記組織性状の算出結果から、前記予め選択されている内部組織を検出する請求項3または4に記載の超音波診断装置。
  9. 前記制御部が第1のモードで動作しているときに前記受信部によって検出された超音波エコーの受信信号からドプラ偏移信号を抽出し、前記ドプラ偏移信号から血流ドプラ画像を生成する血流ドプラ画像処理部を備え、
    前記傾斜角算出部が、前記血流ドプラ画像から前記内部組織内の血流の傾斜角を検出する請求項1に記載の超音波診断装置。
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