(情報記録媒体)
図1から図13を参照して、本発明の情報記録媒体の実施例について説明する。本実施例は、本発明の情報記録媒体を、記録(書き込み)及び再生(読み出し)が可能な型の光ディスクに適用したものである。
先ず図1を参照して、本実施例の光ディスクの基本構造について説明する。ここに図1は、上側に複数のエリアを有する光ディスクの構造を概略平面図で示すと共に、下側にその径方向におけるエリア構造を概念図で対応付けて示すものである。
図1に示すように、光ディスク100は、例えば、記録(書き込み)が複数回又は1回のみ可能な、光磁気方式、相変化方式等の各種記録方式で記録可能とされており、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール102を中心として内周から外周に向けて、リードインエリア104、データエリア106及びリードアウトエリア108が設けられている。そして、各エリアには、例えば、センターホール102を中心にスパイラル状或いは同心円状に、グルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられており、このグルーブトラックはウオブリングされてもよいし、これらのうち一方又は両方のトラックにプレピットが形成されていてもよい。尚、本発明は、このような三つのエリアを有する光ディスクには特に限定されない。
次に図2を参照して、本実施例の光ディスクに記録されるトランスポートストリーム(TS)及びプログラムストリーム(PS)の構成について説明する。ここに、図2(a)は、比較のため、従来のDVDにおけるMPEG2のプログラムストリームの構成を図式的に示すものであり、図2(b)は、MPEG2のトランスポートストリーム(TS)の構成を図式的に示すものである。更に、図2(c)は、本発明におけるMPEG2のプログラムストリームの構成を図式的に示すものである。
図2(a)において、従来のDVDに記録される一つのプログラムストリームは、時間軸tに沿って、主映像情報たるビデオデータ用のビデオストリームを1本だけ含み、更に、音声情報たるオーディオデータ用のオーディオストリームを最大で8本含み且つ副映像情報たるサブピクチャデータ用のサブピクチャストリームを最大で32本含んでなる。即ち、任意の時刻txにおいて多重化されるビデオデータは、1本のビデオストリームのみに係るものであり、例えば複数のテレビ番組或いは複数の映画などに対応する複数本のビデオストリームを同時にプログラムストリームに含ませることはできない。映像を伴うテレビ番組等を多重化して伝送或いは記録するためには、各々のテレビ番組等のために、少なくとも1本のビデオストリームが必要となるので、1本しかビデオストリームが存在しないDVDのプログラムストリーム形式では、複数のテレビ番組等を多重化して伝送或いは記録することはできないのである。
図2(b)において、本発明の光ディスク100に記録される一つのトランスポートストリーム(TS)は、主映像情報たるビデオデータ用のエレメンタリーストリーム(ES)としてビデオストリームを複数本含んでなり、更に音声情報たるオーディオデータ用のエレメンタリーストリーム(ES)としてオーディオストリームを複数本含み且つ副映像情報たるサブピクチャデータ用のエレメンタリーストリーム(ES)としてサブピクチャストリームを複数本含んでなる。即ち、任意の時刻txにおいて多重化されるビデオデータは、複数本のビデオストリームに係るものであり、例えば複数のテレビ番組或いは複数の映画などに対応する複数のビデオストリームを同時にトランスポートストリームに含ませることが可能である。このように複数本のビデオストリームが存在するトランスポートストリーム形式では、複数のテレビ番組等を多重化して伝送或いは記録することが可能である。但し、現況のトランスポートストリームを採用するデジタル放送では、サブピクチャストリームについては伝送していない。
図2(c)において、本発明の光ディスク100に記録される一つのプログラムストリーム(PS)は、主映像情報たるビデオデータ用のビデオストリームを複数本含んでなり、更に音声情報たるオーディオデータ用のオーディオストリームを複数本含み且つ副映像情報たるサブピクチャデータ用のサブピクチャストリームを複数本含んでなる。即ち、任意の時刻txにおいて多重化されるビデオデータは、複数本のビデオストリームに係るものであり、例えば複数のテレビ番組或いは複数の映画などに対応する複数のビデオストリームを同時にプログラムストリームに含ませることが可能である。
尚、図2(a)から図2(c)では説明の便宜上、ビデオストリーム、オーディオストリーム及びサブピクチャストリームを、この順に上から配列しているが、この順番は、後述の如くパケット単位で多重化される際の順番等に対応するものではない。トランスポートストリームでは、概念的には、例えば一つの番組に対して、1本のビデオストリーム、2本の音声ストリーム及び2本のサブピクチャストリームからなる一まとまりが対応している。
上述した本実施例の光ディスク100は、記録レートの制限内で、図2(b)に示した如きトランスポートストリーム(TS)を多重記録可能に、即ち複数の番組或いはプログラムを同時に記録可能に構成されている。更に、このようなトランスポートストリームに加えて又は代えて、同一光ディスク100上に、図2(c)に示した如きプログラムストリーム(PS)を多重記録可能に構成されている。
次に図3から図10を参照して、光ディスク100上に記録されるデータの構造について説明する。ここに、図3は、光ディスク100上に記録されるデータ構造を模式的に示すものである。図4は、図3に示した各タイトル内におけるデータ構造の詳細を模式的に示すものである。図5及び図6は夫々、図3に示した各プレイ(P)リストセット内におけるデータ構造の詳細を模式的に示すものである。図7は、図6に示した各アイテムにおけるデータ構造の詳細を模式的に示すものである。図8は、図4に示した各タイトルエレメント内におけるデータの論理構成を模式的に示すものであり、図9は、各プレイリストセットをプレイリスト一つから構成する場合における、図4に示した各タイトルエレメント内におけるデータの論理構成を模式的に示すものである。図10は、図3に示した各オブジェクト内におけるデータ構造の詳細を模式的に示すものである。
以下の説明において、「タイトル」とは、複数の「プレイリスト」を連続して実行する再生単位であり、例えば、映画1本、テレビ番組1本などの論理的に大きなまとまりを持った単位である。「プレイリストセット」とは、「プレイリスト」の束をいう。例えば、アングル再生やパレンタル再生における相互に切替可能な特定関係を有する複数のコンテンツ情報を再生するためのプレイリストの束や、同時間帯に放送され且つまとめて記録された複数番組に係るコンテンツ情報を再生するためのプレイリストの束である。或いは、同一タイトルについて、ハイビジョン対応、ディスプレイの解像度、サラウンドスピーカ対応、スピーカ配列など、情報再生システムにおいて要求される映像再生機能(ビデオパーフォーマンス)別や音声再生機能(オーディオパーフォーマンス)別など、要求機能別に用意された各種コンテンツ情報を再生するためのプレイリストの束である。「プレイリスト」とは、「オブジェクト」の再生に必要な情報を格納した情報であり、オブジェクトへアクセスするためのオブジェクトの再生範囲に関する情報が各々格納された複数の「アイテム」で構成されている。そして、「オブジェクト」とは、上述したMPEG2のトランスポートストリームを構成するコンテンツの実体情報である。
図3において、光ディスク100は、論理的構造として、ディスク情報ファイル110、プレイ(P)リスト情報ファイル120、オブジェクト情報ファイル130及びオブジェクトデータファイル140の4種類のファイルを備えており、これらのファイルを管理するためのファイルシステム105を更に備えている。尚、図3は、光ディスク100上における物理的なデータ配置を直接示しているものではないが、図3に示す配列順序を、図1に示す配列順序に対応するように記録すること、即ち、ファイルシステム105等をリードインエリア104に続いてデータ記録エリア106に記録し、更にオブジェクトデータファイル140等をデータ記録エリア106に記録することも可能である。図1に示したリードインエリア104やリードアウトエリア108が存在せずとも、図3に示したファイル構造は構築可能である。
ディスク情報ファイル110は、光ディスク100全体に関する総合的な情報を格納するファイルであり、ディスク総合情報112と、タイトル情報テーブル114と、その他の情報118とを格納する。ディスク総合情報112は、例えば光ディスク100内の総タイトル数等を格納する。タイトル情報テーブル114は、タイトルポインタ114−1と、これにより識別番号又は記録アドレスが示される複数のタイトル200(タイトル#1〜#m)を含んで構成されている。各タイトル200には、論理情報として、各タイトルのタイプ(例えば、シーケンシャル再生型、分岐型など)や、各タイトルを構成するプレイ(P)リスト番号をタイトル毎に格納する。
図4に示すように各タイトル200は、より具体的には例えば、タイトル総合情報200−1と、複数のタイトルエレメント200−2と、その他の情報200−5とを含んで構成されている。更に、各タイトルエレメント200−2は、プリコマンド200PRと、プレイリストセットへのポインタ200PTと、ポストコマンド200PSと、その他の情報200−6とから構成されている。
ここに、本発明に係る第1ポインタ情報の一例たるポインタ200PTは、当該ポインタ200PTを含むタイトルエレメント200−2に基づいて再生されるべきコンテンツ情報に対応する、プレイリスト情報ファイル120内に格納されたプレイリストセット126Sの識別番号を示す。なお、ポインタ200PTは、タイトルエレメント200−2に基づいて再生されるべきコンテンツ情報に対応するプレイリストセット126Sの記録位置を示す情報であっても良い。本発明に係る第1プリコマンドの一例たるプリコマンド200PRは、ポインタ200PTにより指定される一のプレイリストセット126Sにより再生シーケンスが規定されるコンテンツ情報の再生前に実行されるべきコマンドを示す。本発明に係る第1ポストコマンドの一例たるポストコマンド200PSは、該一のプレイリストセットにより再生シーケンスが規定されるコンテンツ情報の再生後に実行されるべきコマンドを示す。タイトルエレメント200−2に含まれるその他の情報200−5は、例えば、タイトルエレメントに係る再生の次の再生に係るタイトルエレメントを指定するネクスト情報を含む。
従って、後述する情報再生装置による当該情報記録媒体の再生時には、ポインタ200PTに従ってプレイリストセット126Sにアクセスして、それに含まれる複数のプレイリスト126のうち、所望の番組等に対応するものを選択するように制御を実行すれば、タイトルエレメント200−2として当該所望のコンテンツ情報を再生できる。更に、このようなタイトルエレメント200−2を一つ又は順次再生することで、一つのタイトル200を再生可能となる。更に、プリコマンド200PRに従って、ポインタ200PTで指定される一のプレイリストセット126Sにより再生シーケンスが規定されるコンテンツ情報の、再生前に実行されるべきコマンドを実行できる。更に、ポストコマンド200PSに従って、ポインタ200PTで指定される一のプレイリストセット126Sにより再生シーケンスが規定されるコンテンツ情報の、再生後に実行されるべきコマンドを実行できる。ポストコマンド200PSは、例えばコンテンツ情報の分岐を命令するコマン
ド、次のタイトルを選ぶコマンド等である。加えて、その他の情報200−5に含まれるネクスト情報に従って、当該再生中のタイトルエレメント200−2の次のタイトルエレメント200−2を再生できる。
再び図3において、プレイリスト情報ファイル120は、各プレイリストの論理的構成を示すプレイ(P)リスト情報テーブル121を格納し、これは、プレイ(P)リスト管理情報122と、プレイ(P)リストセットポインタ124と、複数のプレイ(P)リストセット126S(Pリストセット#1〜#n)と、その他の情報128とに分かれている。このプレイリスト情報テーブル121には、プレイリストセット番号順に各プレイリストセット126Sの論理情報を格納する。言い換えれば、各プレイリストセット126Sの格納順番がプレイリストセット番号である。また、上述したタイトル情報テーブル114で、同一のプレイリストセット126Sを、複数のタイトル200から参照することも可能である。即ち、タイトル#qとタイトル#rとが同じプレイリストセット#pを使用する場合にも、プレイリスト情報テーブル121中のプレイリストセット#pを、タイトル情報テーブル114でポイントするように構成してもよい。
図5に示すように、プレイリストセット126Sは、プレイリストセット総合情報126−1と、複数のプレイリスト126(プレイリスト#1〜#x)と、アイテム定義テーブル126−3と、その他の情報126−4とを含んで構成されている。そして、各プレイリスト126は、複数のプレイリストエレメント126−2(プレイリストエレメント#1〜#y)と、その他の情報126−5とを含んで構成されている。更に、各プレイリストエレメント126−2は、プリコマンド126PRと、アイテムへのポインタ126PTと、ポストコマンド126PSと、その他の情報126−6とから構成されている。
ここに、本発明に係る第2ポインタ情報の一例たるポインタ126PTは、当該ポインタ126PTを含むプレイリストエレメント126−2に基づいて再生されるべきコンテンツ情報に対応する、アイテム定義テーブル126−3により定義されるアイテムの識別番号を示す。なお、ポインタ126PTは、アイテム定義テーブル126−3により定義されるアイテムの記録位置であっても良い。
図6に例示したように、プレイリストセット126Sにおいて、アイテム定義テーブル126−3内には、複数のアイテム204が定義されている。これらは、複数のプレイリスト126によって共有されている。また、プレイリストセット総合情報126−1として、当該プレイリストセット126S内に含まれる各プレイリスト126の名称、再生時間などのUI(ユーザインタフェース情報)、各アイテム定義テーブル126−3へのアドレス情報等が記述されている。
再び図5において、本発明に係る第2プリコマンドの一例たるプリコマンド126PRは、ポインタ126PTにより指定される一のアイテム204の再生前に実行されるべきコマンドを示す。本発明に係る第2ポストコマンドの一例たるポストコマンド126PSは、該一のアイテム204の再生後に実行されるべきコマンドを示す。プレイリストエレメント126−2に含まれるその他の情報126−6は、例えば、プレイリストエレメント126−2に係る再生の次の再生に係るプレイリストエレメント126−2を指定する第ネクスト情報を含む。
図7に例示したように、アイテム204は、表示の最小単位である。アイテム204には、オブジェクトの開始アドレスを示す「INポイント情報」及び終了アドレスを示す「OUTポイント情報」が記述されている。尚、これらの「INポイント情報」及び「OUTポイント情報」は夫々、直接アドレスを示してもよいし、再生時間軸上における時間或いは時刻など間接的にアドレスを示してもよい。図中、「ストリームオブジェクト#m」で示されたオブジェクトに対して複数のES(エレメンタリーストリーム)が多重化されている場合には、アイテム204の指定は、特定のESの組合せ或いは特定のESを指定することになる。
図8に例示したように、タイトルエレメント200−2は、論理的に、プリコマンド200PR或いは126PRと、ポインタ200PTにより選択されるプレイリストセット126Sと、ポストコマンド200PS或いはポストコマンド126PSと、ネクスト情報200−6Nとから構成されている。従って、例えばビデオ解像度など、システムで再生可能な何らかの条件等に従って、プレイリストセット126S中からプレイリスト126を選択する処理が実行される。
但し図9に例示したように、ポインタ200PTにより指定されるプレイリストセットが単一のプレイリストからなる場合には、即ち図3に示したプレイリストセット126Sを単一のプレイリスト126に置き換えた場合には、タイトルエレメント200−2は、論理的に、プリコマンド200PR或いは126PRと、再生時に再生されるプレイリスト126と、ポストコマンド200PS或いはポストコマンド126PSと、ネクスト情報200−6Nとから構成されてもよい。この場合には、システムで再生可能な条件等に拘わらず、プレイリストセットが再生用に指定されれば、単一のプレイリスト126の再生処理が実行されることになる。
再び図3において、オブジェクト情報ファイル130は、各プレイリスト126内に構成される各アイテムに対するオブジェクトデータファイル140中の格納位置(即ち、再生対象の論理アドレス)や、そのアイテムの再生に関する各種属性情報が格納される。本実施例では特に、オブジェクト情報ファイル130は、後に詳述する複数のAU(アソシエートユニット)情報132I(AU#1〜AU#q)を含んでなるAUテーブル131と、ES(エレメンタリーストリーム)マップテーブル134と、その他の情報138とを格納する。
オブジェクトデータファイル140は、トランスポートストリーム(TS)別のTSオブジェクト142(TS#1オブジェクト〜TS#sオブジェクト)、即ち実際に再生するコンテンツの実体データを、複数格納する。
尚、図3を参照して説明した4種類のファイルは、更に夫々複数のファイルに分けて格納することも可能であり、これらを全てファイルシステム105により管理してもよい。例えば、オブジェクトデータファイル140を、オブジェクトデータファイル#1、オブジェクトデータファイル#2、・・・というように複数に分けることも可能である。
図10に示すように、論理的に再生可能な単位である図3に示したTSオブジェクト142は、例えば6kBのデータ量を夫々有する複数のアラインドユニット143に分割されてなる。アラインドユニット143の先頭は、TSオブジェクト142の先頭に一致(アラインド)されている。各アラインドユニット143は更に、192Bのデータ量を夫々有する複数のソースパケット144に細分化されている。ソースパケット144は、物理的に再生可能な単位であり、この単位即ちパケット単位で、光ディスク100上のデータのうち少なくともビデオデータ、オーディオデータ及びサブピクチャデータは多重化されており、その他の情報についても同様に多重化されてよい。各ソースパケット144は、4Bのデータ量を有する、再生時間軸上におけるTS(トランスポートストリーム)パケットの再生処理開始時刻を示すパケットアライバルタイムスタンプ等の再生を制御するための制御情報145と、188Bのデータ量を有するTSパケット146とを含んでなる。TSパケット146(「TSパケットペイロード」ともいう)は、パケットヘッダ146aをその先頭部に有し、ビデオデータがパケット化されて「ビデオパケット」とされるか、オーディオデータがパケット化されて「オーディオパケット」とされるか、又はサブピクチャデータがパケット化されて「サブピクチャパケット」とされるか、若しくは、その他のデータがパケット化される。
次に図11及び図12を参照して、図2(b)に示した如きトランスポートストリーム形式のビデオデータ、オーディオデータ、サブピクチャデータ等が、図4に示したTSパケット146により、光ディスク100上に多重記録される点について説明する。ここに、図11は、上段のプログラム#1(PG1)用のエレメンタリーストリーム(ES)と中段のプログラム#2(PG2)用のエレメンタリーストリーム(ES)とが多重化されて、これら2つのプログラム(PG1&2)用のトランスポートストリーム(TS)が構成される様子を、横軸を時間軸として概念的に示すものであり、図12は、一つのトランスポートストリーム(TS)内に多重化されたTSパケットのイメージを、時間の沿ったパケット配列として概念的に示すものである。
図11に示すように、プログラム#1用のエレメンタリーストリーム(上段)は、例えば、プログラム#1用のビデオデータがパケット化されたTSパケット146が時間軸(横軸)に対して離散的に配列されてなる。プログラム#2用のエレメンタリーストリーム(中段)は、例えば、プログラム#2用のビデオデータがパケット化されたTSパケット146が時間軸(横軸)に対して離散的に配列されてなる。そして、これらのTSパケット146が多重化されて、これら二つのプログラム用のトランスポートストリーム(下段)が構築されている。尚、図11では説明の便宜上省略しているが、図2(b)に示したように、実際には、プログラム#1用のエレメンタリーストリームとして、オーディオデータがパケット化されたTSパケットからなるエレメンタリーストリームやサブピクチャデータがパケット化されたTSパケットからなるサブピクチャストリームが同様に多重化されてもよく、更にこれらに加えて、プログラム#2用のエレメンタリーストリームとして、オーディオデータがパケット化されたTSパケットからなるエレメンタリーストリームやサブピクチャデータがパケット化されたTSパケットからなるサブピクチャストリームが同様に多重化されてもよい。
図12に示すように、本実施例では、このように多重化された多数のTSパケット146から、一つのTSストリームが構築される。そして、多数のTSパケット146は、このように多重化された形で、パケットアライバルタイムスタンプ等145の情報を付加し、光ディスク100上に多重記録される。尚、図12では、プログラム#i(i=1,2,3)を構成するデータからなるTSパケット146に対して、j(j=1,2,・・・)をプログラムを構成するストリーム別の順序を示す番号として、「Element(i0j)」で示しており、この(i0j)は、エレメンタリーストリーム別のTSパケット146の識別番号たるパケットIDとされている。このパケットIDは、複数のTSパケット146が同一時刻に多重化されても相互に区別可能なように、同一時刻に多重化される複数のTSパケット146間では固有の値が付与されている。
また図12では、PAT(プログラムアソシエーションテーブル)及びPMT(プログラムマップテーブル)も、TSパケット146単位でパケット化され且つ多重化されている。これらのうちPATは、複数のPMTのパケットIDを示すテーブルを格納している。特にPATは、所定のパケットIDとして、図12のように(000)が付与されることがMPEG2規格で規定されている。即ち、同一時刻に多重化された多数のパケットのうち、パケットIDが(000)であるTSパケット146として、PATがパケット化されたTSパケット146が検出されるように構成されている。そして、PMTは、一又は複数のプログラムについて各プログラムを構成するエレメンタリーストリーム別のパケットIDを示すテーブルを格納している。PMTには、任意のパケットIDを付与可能であるが、それらのパケットIDは、上述の如くパケットIDが(000)として検出可能なPATにより示されている。従って、同一時刻に多重化された多数のパケットのうち、PMTがパケット化されたTSパケット146(即ち、図12でパケットID(100)、(200)、(300)が付与されたTSパケット146)が、PATにより検出されるように構成されている。
図12に示した如きトランスポートストリームがデジタル伝送されて来た場合、チューナは、このように構成されたPAT及びPMTを参照することにより、多重化されたパケットの中から所望のエレメンタリーストリームに対応するものを抜き出して、その復調が可能となるのである。
そして、本実施例では、図10に示したTSオブジェクト142内に格納されるTSパケット146として、このようなPATやPMTのパケットを含む。即ち、図12に示した如きトランスポートストリームが伝送されてきた際に、そのまま光ディスク100上に記録できるという大きな利点が得られる。
更に、本実施例では、このように記録されたPATやPMTについては光ディスク100の再生時には参照することなく、代わりに図3に示した後に詳述するAUテーブル131及びESマップテーブル134を参照することによって、より効率的な再生を可能とし、複雑なマルチビジョン再生等にも対処可能とする。このために本実施例では、例えば復調時や記録時にPAT及びPMTを参照することで得られるエレメンタリーストリームとパケットとの対応関係を、AUテーブル131及びESマップテーブル134の形で且つパケット化或いは多重化しないで、オブジェクト情報ファイル130内に格納するのである。
次に図13を参照して、光ディスク100上のデータの論理構成について説明する。ここに、図13は、光ディスク100上のデータの論理構成を、論理階層からオブジェト階層或いは実体階層への展開を中心に模式的に示したものである。
図13において、光ディスク100には、例えば映画1本、テレビ番組1本などの論理的に大きなまとまりであるタイトル200が、一又は複数記録されている。各タイトル200は、一又は複数のタイトルエレメント200−2を含む。各タイトルエレメント200−2は、複数のプレイリストセット126Sから論理的に構成されている。各タイトルエレメント200−2内で、複数のプレイリストセット126Sはシーケンシャル構造を有してもよいし、分岐構造を有してもよい。
尚、単純な論理構成の場合、一つのタイトルエレメント200は、一つのプレイリストセット126Sから構成され、更に一つのプレイリストセット126Sは、一つのプレイリスト126から構成される。また、一つのプレイリストセット126Sを複数のタイトルエレメント200−2或いは、複数のタイトル200から参照することも可能である。
各プレイリスト126は、複数のアイテム(プレイアイテム)204から論理的に構成されている。各プレイリスト126内で、複数のアイテム204は、シーケンシャル構造を有してもよいし、分岐構造を有してもよい。また、一つのアイテム204を複数のプレイリスト126から参照することも可能である。アイテム204に記述された前述のINポイント情報及びOUTポイント情報により、TSオブジェクト142の再生範囲が論理的に指定される。そして、論理的に指定された再生範囲についてオブジェクト情報130dを参照することにより、最終的にはファイルシステムを介して、TSオブジェクト142の再生範囲が物理的に指定される。ここに、オブジェクト情報130dは、TSオブジェクト142の属性情報、TSオブジェクト142内におけるデータサーチに必要なESアドレス情報134d等のTSオブジェクト142を再生するための各種情報を含む(尚、図3に示したESマップテーブル134は、このようなESアドレス情報134dを複数含んでなる)。
そして、後述の情報記録再生装置によるTSオブジェクト142の再生時には、アイテム204及びオブジェクト情報130dから、当該TSオブジェクト142における再生すべき物理的なアドレスが取得され、所望のエレメンタリーストリームの再生が実行される。
尚、図13のオブジェクト情報130d内に示した、ESアドレス情報134dを複数含むEP(エントリーポイント)マップは、ここでは、AUテーブル131とESマップテーブル134との両者をまとめたオブジェクト情報テーブルのことを指している。
このように本実施例では、アイテム204に記述されたINポイント情報及びOUTポイント情報並びにオブジェクト情報130dのESマップテーブル134(図3参照)内に記述されたESアドレス情報134dにより、再生シーケンスにおける論理階層からオブジェクト階層への関連付けが実行され、エレメンタリーストリームの再生が可能とされる。
以上詳述したように本実施例では、光ディスク100上においてTSパケット146の単位で多重記録されており、これにより、図2(b)に示したような多数のエレメンタリーストリームを含んでなる、トランスポートストリームを光ディスク100上に多重記録可能とされている。本実施例によれば、デジタル放送を光ディスク100に記録する場合、記録レートの制限内で複数の番組或いは複数のプログラムを同時に記録可能であるが、ここでは一つのTSオブジェクト142へ複数の番組或いは複数のプログラムを多重化して記録する方法を採用している。以下、このような記録処理を実行可能な情報記録再生装置の実施例について説明する。
(情報記録再生装置)
次に図14から図19を参照して、本発明の情報記録再生装置の実施例について説明する。ここに、図14は、情報記録再生装置のブロック図であり、図15から図19は、その動作を示すフローチャートである。
図14において、情報記録再生装置500は、再生系と記録系とに大別されており、上述した光ディスク100に情報を記録可能であり且つこれに記録された情報を再生可能に構成されている。本実施例では、このように情報記録再生装置500は、記録再生用であるが、基本的にその記録系部分から本発明の記録装置の実施例を構成可能であり、他方、基本的にその再生系部分から本発明の情報再生装置の実施例を構成可能である。
情報記録再生装置500は、光ピックアップ502、サーボユニット503、スピンドルモータ504、復調器506、デマルチプレクサ508、ビデオデコーダ511、オーディオデコーダ512、サブピクチャデコーダ513、加算器514、静止画デコーダ515、システムコントローラ520、メモリ530、メモリ540、メモリ550、変調器606、フォーマッタ608、TSオブジェクト生成器610、ビデオエンコーダ611、オーディオエンコーダ612及びサブピクチャエンコーダ613を含んで構成されている。システムコントローラ520は、ファイル(File)システム/論理構造データ生成器521及びファイル(File)システム/論理構造データ判読器522を備えている。更にシステムコントローラ520には、メモリ530及び、タイトル情報等のユーザ入力を行うためのユーザインタフェース720が接続されている。
これらの構成要素のうち、復調器506、デマルチプレクサ508、ビデオデコーダ511、オーディオデコーダ512、サブピクチャデコーダ513、加算器514、静止画デコーダ515、メモリ540及びメモリ550から概ね再生系が構成されている。他方、これらの構成要素のうち、変調器606、フォーマッタ608、TSオブジェクト生成器610、ビデオエンコーダ611、オーディオエンコーダ612及びサブピクチャエンコーダ613から概ね記録系が構成されている。そして、光ピックアップ502、サーボユニット503、スピンドルモータ504、システムコントローラ520及びメモリ530、並びにタイトル情報等のユーザ入力を行うためのユーザインタフェース720は、概ね再生系及び記録系の両方に共用される。更に記録系については、TSオブジェクトデータ源700(若しくは、PSオブジェクトデータ源700、又はビットマップデータ、JPEGデータ等の静止画データ源700)と、ビデオデータ源711、オーディオデータ源712及びサブピクチャデータ源713とが用意される。また、システムコントローラ520内に設けられるファイルシステム/論理構造データ生成器521は、主に記録系で用いられ、ファイルシステム/論理構造判読器522は、主に再生系で用いられる。
光ピックアップ502は、光ディスク100に対してレーザービーム等の光ビームLBを、再生時には読み取り光として第1のパワーで照射し、記録時には書き込み光として第2のパワーで且つ変調させながら照射する。サーボユニット503は、再生時及び記録時に、システムコントローラ520から出力される制御信号Sc1による制御を受けて、光ピックアップ502におけるフォーカスサーボ、トラッキングサーボ等を行うと共にスピンドルモータ504におけるスピンドルサーボを行う。スピンドルモータ504は、サーボユニット503によりスピンドルサーボを受けつつ所定速度で光ディスク100を回転させるように構成されている。
(i) 記録系の構成及び動作:
次に図14から図18を参照して、情報記録再生装置500のうち記録系を構成する各構成要素における具体的な構成及びそれらの動作を、場合分けして説明する。
(i−1) 作成済みのTSオブジェクトを使用する場合:
この場合について図14及び図15を参照して説明する。
図14において、TSオブジェクトデータ源700は、例えばビデオテープ、メモリ等の記録ストレージからなり、TSオブジェクトデータD1を格納する。
図15では先ず、TSオブジェクトデータD1を使用して光ディスク100上に論理的に構成する各タイトルの情報(例えば、プレイリストの構成内容等)は、ユーザインタフェース720から、タイトル情報等のユーザ入力I2として、システムコントローラ520に入力される。そして、システムコントローラ520は、ユーザインタフェース720からのタイトル情報等のユーザ入力I2を取り込む(ステップS21:Yes及びステップS22)。この際、ユーザインタフェース720では、システムコントローラ520からの制御信号Sc4による制御を受けて、例えばタイトルメニュー画面を介しての選択など、記録しようとする内容に応じた入力処理が可能とされている。尚、ユーザ入力が既に実行済み等の場合には(ステップS21:No)、これらの処理は省略される。
次に、TSオブジェクトデータ源700は、システムコントローラ520からのデータ読み出しを指示する制御信号Sc8による制御を受けて、TSオブジェクトデータD1を出力する。そして、システムコントローラ520は、TSオブジェクト源700からTSオブジェクトデータD1を取り込み(ステップS23)、そのファイルシステム/論理構造データ生成器521内のTS解析機能によって、例えば前述の如くビデオデータ等と共にパケット化されたPAT、PMT等に基づいて、TSオブジェクトデータD1におけるデータ配列(例えば、記録データ長等)、各エレメンタリーストリームの構成の解析(例えば、後述のES_PID(エレメンタリーストリーム・パケット識別番号)の理解)などを行う(ステップS24)。
続いて、システムコントローラ520は、取り込んだタイトル情報等のユーザ入力I2並びに、TSオブジェクトデータD1のデータ配列及び各エレメンタリーストリームの解析結果から、そのファイルシステム/論理構造データ生成器521によって、論理情報ファイルデータD4として、ディスク情報ファイル110、プレイリスト情報ファイル120、オブジェクト情報ファイル130及びファイルシステム105(図3参照)を作成する(ステップS25)。メモリ530は、このような論理情報ファイルデータD4を作成する際に用いられる。
尚、TSオブジェクトデータD1のデータ配列及び各エレメンタリーストリームの構成情報等についてのデータを予め用意しておく等のバリエーションは当然に種々考えられるが、それらも本実施例の範囲内である。
図14において、フォーマッタ608は、TSオブジェクトデータD1と論理情報ファイルデータD4とを共に、光ディスク100上に格納するためのデータ配列フォーマットを行う装置である。より具体的には、フォーマッタ608は、スイッチSw1及びスイッチSw2を備えてなり、システムコントローラ520からのスイッチ制御信号Sc5によりスイッチング制御されて、TSオブジェクトデータD1のフォーマット時には、スイッチSw1を(1)(図中では丸付き数字で示す)側に接続して且つスイッチSw2を(1)側に接続して、TSオブジェクトデータ源700からのTSオブジェクトデータD1を出力する。尚、TSオブジェクトデータD1の送出制御については、システムコントローラ520からの制御信号Sc8により行われる。他方、フォーマッタ608は、論理情報ファイルデータD4のフォーマット時には、システムコントローラ520からのスイッチ制御信号Sc5によりスイッチング制御されて、スイッチSw2を(2)(図中では丸付き数字で示す)側に接続して、論理情報ファイルデータD4を出力するように構成されている。
図15のステップS26では、このように構成されたフォーマッタ608によるスイッチング制御によって、(i)ステップS25でファイルシステム/論理構造データ生成器521からの論理情報ファイルデータD4又は(ii)TSオブジェクトデータ源700からのTSオブジェクトデータD1が、フォーマッタ608を介して出力される(ステップS26)。
フォーマッタ608からの選択出力は、ディスクイメージデータD5として変調器606に送出され、変調器606により変調されて、光ピックアップ502を介して光ディスク100上に記録される(ステップS27)。この際のディスク記録制御についても、システムコントローラ520により実行される。
そして、ステップS25で生成された論理情報ファイルデータD4と、これに対応するTSオブジェクトデータD1とが共に記録済みでなければ、ステップS26に戻って、その記録を引き続いて行う(ステップS28:No)。尚、論理情報ファイルデータD4とこれに対応するTSオブジェクトデータD1との記録順についてはどちらが先でも後でもよい。
他方、これら両方共に記録済みであれば、光ディスク100に対する記録を終了すべきか否かを終了コマンドの有無等に基づき判定し(ステップS29)、終了すべきでない場合には(ステップS29:No)ステップS21に戻って記録処理を続ける。他方、終了すべき場合には(ステップS29:Yes)、一連の記録処理を終了する。
以上のように、情報記録再生装置500により、作成済みのTSオブジェクトを使用する場合における記録処理が行われる。
尚、図15に示した例では、ステップS25で論理情報ファイルデータD4を作成した後に、ステップS26で論理情報ファイルデータD4とこれに対応するTSオブジェクトデータD1とのデータ出力を実行しているが、ステップS25以前に、TSオブジェクトデータD1の出力や光ディスク100上への記録を実行しておき、この記録後に或いはこの記録と並行して、論理情報ファイルデータD4を生成や記録することも可能である。
加えて、TSオブジェクトデータ源700に代えて、PSオブジェクトデータ源又は静止画データ源が用いられてもよい。この場合には、TSオブジェクトデータD1に代えて、PSオブジェクトデータ又は、ビットマップデータ、JPEGデータ等の静止画データに対して、以上に説明したTSオブジェクトデータD1に対する記録処理が同様に行われ、オブジェクトデータファイル140内に、TSオブジェクト142に加えて又は代えて(図3参照)、PSオブジェクトデータ又は静止画オブジェクトデータが格納される。そして、PSオブジェクトデータ又は静止画オブジェクトデータに関する各種論理情報が、システムコントローラ520の制御下で生成されて、ディスク情報ファイル110、プレイリスト情報ファイル120、オブジェクト情報ファイル130等内に格納される。
(i−2) 放送中のトランスポートストリームを受信して記録する場合:
この場合について図14及び図16を参照して説明する。尚、図16において、図15と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
この場合も、上述の「作成済みのTSオブジェクトを使用する場合」とほぼ同様な処理が行われる。従って、これと異なる点を中心に以下説明する。
放送中のトランスポートストリームを受信して記録する場合には、TSオブジェクトデータ源700は、例えば放送中のデジタル放送を受信する受信器(セットトップボックス)からなり、TSオブジェクトデータD1を受信して、リアルタイムでフォーマッタ608に送出する(ステップS41)。これと同時に、受信時に解読された番組構成情報及び後述のES_PID情報を含む受信情報D3(即ち、受信器とシステムコントローラ520のインタフェースとを介して送り込まれるデータに相当する情報)がシステムコントローラ520に取り込まれ、メモリ530に格納される(ステップS44)。
一方で、フォーマッタ608に出力されたTSオブジェクトデータD1は、フォーマッタ608のスイッチング制御により変調器606に出力され(ステップS42)、光ディスク100に記録される(ステップS43)。
これらと並行して、受信時に取り込まれてメモリ530に格納されている受信情報D3に含まれる番組構成情報及びES_PID情報を用いて、ファイルシステム/論理構造生成器521により論理情報ファイルデータD4を作成する(ステップS24及びステップS25)。そして一連のTSオブジェクトデータD1の記録終了後に、この論理情報ファイルデータD4を光ディスク100に追加記録する(ステップS46及びS47)。尚、これらステップS24及びS25の処理についても、ステップS43の終了後に行ってもよい。
更に、必要に応じて(例えばタイトルの一部を編集する場合など)、ユーザインタフェース720からのタイトル情報等のユーザ入力I2を、メモリ530に格納されていた番組構成情報及びES_PID情報に加えることで、システムコントローラ520により論理情報ファイルデータD4を作成し、これを光ディスク100に追加記録してもよい。
以上のように、情報記録再生装置500により、放送中のトランスポートストリームを受信してリアルタイムに記録する場合における記録処理が行われる。
尚、放送時の全受信データをアーカイブ装置に一旦格納した後に、これをTSオブジェクト源700として用いれば、上述した「作成済みのTSオブジェクトを使用する場合」と同様な処理で足りる。
(i−3) ビデオ、オーディオ及びサブピクチャデータを記録する場合:
この場合について図14及び図17を参照して説明する。尚、図17において、図15と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
予め別々に用意したビデオデータ、オーディオデータ及びサブピクチャデータを記録する場合には、ビデオデータ源711、オーディオデータ源712及びサブピクチャデータ源713は夫々、例えばビデオテープ、メモリ等の記録ストレージからなり、ビデオデータDV、オーディオデータDA及びサブピクチャデータDSを夫々格納する。
これらのデータ源は、システムコントローラ520からの、データ読み出しを指示する制御信号Sc8による制御を受けて、ビデオデータDV、オーディオデータDA及びサブピクチャデータDSを夫々、ビデオエンコーダ611、オーディオエンコーダ612及びサブピクチャエンコーダ613に送出する(ステップS61)。そして、これらのビデオエンコーダ611、オーディオエンコーダ612及びサブピクチャエンコーダ613により、所定種類のエンコード処理を実行する(ステップS62)。
TSオブジェクト生成器610は、システムコントローラ520からの制御信号Sc6による制御を受けて、このようにエンコードされたデータを、トランスポートストリームをなすTSオブジェクトデータに変換する(ステップS63)。この際、各TSオブジェクトデータのデータ配列情報(例えば記録データ長等)や各エレメンタリーストリームの構成情報(例えば、後述のES_PID等)は、TSオブジェクト生成器610から情報I6としてシステムコントローラ520に送出され、メモリ530に格納される(ステップS66)。
他方、TSオブジェクト生成器610により生成されたTSオブジェクトデータは、フォーマッタ608のスイッチSw1の(2)側に送出される。即ち、フォーマッタ608は、TSオブジェクト生成器610からのTSオブジェクトデータのフォーマット時には、システムコントローラ520からのスイッチ制御信号Sc5によりスイッチング制御されて、スイッチSw1を(2)側にし且つスイッチSw2を(1)側に接続することで、当該TSオブジェクトデータを出力する(ステップS64)。続いて、このTSオブジェクトデータは、変調器606を介して、光ディスク100に記録される(ステップS65)。
これらと並行して、情報I6としてメモリ530に取り込まれた各TSオブジェクトデータのデータ配列情報や各エレメンタリーストリームの構成情報を用いて、ファイルシステム/論理構造生成器521により論理情報ファイルデータD4を作成する(ステップS24及びステップS25)。そして一連のTSオブジェクトデータD2の記録終了後に、これを光ディスク100に追加記録する(ステップS67及びS68)。尚、ステップS24及びS25の処理についても、ステップS65の終了後に行うようにしてもよい。
更に、必要に応じて(例えばタイトルの一部を編集する場合など)、ユーザインタフェース720からのタイトル情報等のユーザ入力I2を、これらのメモリ530に格納されていた情報に加えることで、ファイルシステム/論理構造生成器521により論理情報ファイルデータD4を作成し、これを光ディスク100に追加記録してもよい。
以上のように、情報記録再生装置500により、予め別々に用意したビデオデータ、オーディオデータ及びサブピクチャデータを記録する場合における記録処理が行われる。
尚、この記録処理は、ユーザの所有する任意のコンテンツを記録する際にも応用可能である。
(i−4) オーサリングによりデータを記録する場合:
この場合について図14及び図18を参照して説明する。尚、図18において、図15と同様のステップには同様のステップ番号を付し、それらの説明は適宜省略する。
この場合は、上述した三つの場合における記録処理を組み合わせることにより、予めオーサリングシステムが、TSオブジェクトの生成、論理情報ファイルデータの生成等を行った後(ステップS81)、フォーマッタ608で行うスイッチング制御の処理までを終了させる(ステップS82)。その後、この作業により得られた情報を、ディスク原盤カッティングマシン前後に装備された変調器606に、ディスクイメージデータD5として送出し(ステップS83)、このカッティングマシンにより原盤作成を行う(ステップS84)。
(ii) 再生系の構成及び動作:
次に図14及び図19を参照して、情報記録再生装置500のうち再生系を構成する各構成要素における具体的な構成及びそれらの動作を説明する。
図14において、ユーザインタフェース720によって、光ディスク100から再生すべきタイトルやその再生条件等が、タイトル情報等のユーザ入力I2としてシステムコントローラに入力される。この際、ユーザインタフェース720では、システムコントローラ520からの制御信号Sc4による制御を受けて、例えばタイトルメニュー画面を介しての選択など、再生しようとする内容に応じた入力処理が可能とされている。
これを受けて、システムコントローラ520は、光ディスク100に対するディスク再生制御を行い、光ピックアップ502は、読み取り信号S7を復調器506に送出する。
復調器506は、この読み取り信号S7から光ディスク100に記録された記録信号を復調し、復調データD8として出力する。この復調データD8に含まれる、多重化されていない情報部分としての論理情報ファイルデータ(即ち、図3に示したファイルシステム105、ディスク情報ファイル110、Pリスト情報ファイル120及びオブジェクト情報ファイル130)は、システムコントローラ520に供給される。この論理情報ファイルデータに基づいて、システムコントローラ520は、再生アドレスの決定処理、光ピックアップ502の制御等の各種再生制御を実行する。
他方、復調データD8に、多重化された情報部分としてのTSオブジェクトデータが含まれているか又は静止画データが含まれているか、若しくは両者が含まれているかに応じて、切替スイッチSW3は、システムコントローラ520からの制御信号Sc10による制御を受けて、(1)側たるデマルチプレクサ508側に切り替えられるか、又は(2)側たる静止画デコーダ515側に切り替えられる。これにより選択的に、TSオブジェクトデータをデマルチプレクサ508に供給し、静止画データを静止画デコーダ515に供給する。
そして、復調データD8に含まれる、多重化された情報部分としてのTSオブジェクトデータについては、デマルチプレクサ508が、システムコントローラ520からの制御信号Sc2による制御を受けてデマルチプレクスする。ここでは、システムコントローラ520の再生制御によって再生位置アドレスへのアクセスが終了した際に、デマルチプレクスを開始させるように制御信号Sc2を送信する。
デマルチプレクサ508からは、ビデオパケット、オーディオパケット及びサブピクチャパケットが夫々送出されて、ビデオデコーダ511、オーディオデコーダ512及びサブピクチャデコーダ513に供給される。そして、ビデオデータDV、オーディオデータDA及びサブピクチャデータDSが夫々復号化される。この際、サブピクチャデータDSについては、メモリ540を介して加算器514に供給される。メモリ540からは、システムコントローラ520からの制御信号Sc5による制御を受けて、所定のタイミングで或いは選択的に、サブピクチャデータDSが出力され、ビデオデータDVとのスーパーインポーズが適宜行われる。即ち、サブピクチャデコーダ513から出力されたサブピクチャデータをそのままスーパーインポーズする場合に比べて、スーパーインポーズのタイミングやスーパーインポーズの要否を制御できる。例えば、制御信号Sc5を用いた出力制御によって、主映像上に、サブピクチャを用いた字幕を適宜表示させたりさせなかったり、或いはサブピクチャを用いたメニュー画面を適宜表示させたりさせなかったりすることも可能となる。
尚、図6に示したトランスポートストリームに含まれる、PAT或いはPMTがパケット化されたパケットについては夫々、復調データD8の一部として含まれているが、デマルチプレクサ508で破棄される。
加算器514は、システムコントローラ520からのミキシングを指示する制御信号Sc3による制御を受けて、ビデオデコーダ511及びサブピクチャデコーダ513で夫々復号化されたビデオデータDV及びサブピクチャデータDSを、所定タイミングでミキシング或いはスーパーインポーズする。その結果は、ビデオ出力として、当該情報記録再生装置500から例えばテレビモニタへ出力される。
他方、オーディオデコーダ512で復号化されたオーディオデータDAは、オーディオ出力として、当該情報記録再生装置500から、例えば外部スピーカへ出力される。
このようなビデオデータDVやサブピクチャデータDSの再生処理に代えて又は加えて、復調データD8に静止画データが含まれる場合には、当該静止画データは、システムコントローラ520からの制御信号Sc10による制御を受ける切替スイッチSW3を介して、静止画デコーダ515に供給される。そして、デコードされたビットマップデータ、JPEGデータ等の静止画データは、システムコントローラ520からの制御信号Sc11による制御を受けて、切替スイッチSW4を介して加算器514にそのまま加算される。或いは、切替スイッチSW4を介してメモリ550に一旦蓄積される。メモリ550からは、システムコントローラ520からの制御信号Sc12による制御を受けて所定のタイミングで或いは選択的に静止画データが出力されて、切替スイッチSW5を介して加算器514に供給される。これにより、静止画データと、ビデオデータDVやサブピクチャデータDSとのスーパーインポーズが適宜行われる。即ち、静止画デコーダ515から出力された静止画データをそのままスーパーインポーズする場合に比べて、スーパーインポーズのタイミングやスーパーインポーズの要否を制御できる。例えば、制御信号Sc12を用いた出力制御によって、主映像上や副映像上に、静止画データを用いた、例えばメニュー画面又はウインドウ画面などの静止画若しくは背景画としての静止画を適宜表示させたり、させなかったりすることも可能となる。
加えて、システムコントローラ520からの制御信号Sc13による制御を受けて、(2)側に切り替えられた切替スイッチSW5を介して、不図示の経路で別途、静止画データが出力されてもよい。或いは、(2)側に切り替えられることで、切替スイッチSW5から何らの静止画データが出力されなくてもよい。
ここで、図19のフローチャートを更に参照して、システムコントローラ520による再生処理ルーチンの具体例について説明する。
図19において、初期状態として、再生系による光ディスク100の認識及びファイルシステム105(図3参照)によるボリューム構造やファイル構造の認識は、既にシステムコントローラ520及びその内のファイルシステム/論理構造判読器522にて終了しているものとする。ここでは、ディスク情報ファイル110の中のディスク総合情報112から、総タイトル数を取得し、その中の一つのタイトル200を選択する以降の処理フローについて説明する。
先ず、ユーザインタフェース720によって、タイトル200の選択が行われる(ステップS211)。これに応じて、ファイルシステム/論理構造判読器522の判読結果から、システムコントローラ520による再生シーケンスに関する情報の取得が行われる。尚、当該タイトル200の選択においては、ユーザによるリモコン等を用いた外部入力操作によって、タイトル200を構成する複数のタイトルエレメント200−2(図4参照)のうち所望のものが選択されてもよいし、情報記録再生装置500に設定されるシステムパラメータ等に応じて、一つのタイトルエレメント200−2が自動的に選択されてもよい。
次に、この選択されたタイトル200(タイトルエレメント200−2)に対応するプレイリストセット126Sを構成する複数のプレイリスト126の内容が、取得される。ここでは、論理階層の処理として、各プレイリスト126の構造とそれを構成する各アイテム204の情報(図5、図6及び図13参照)の取得等が行われる(ステップS212)。
次に、ステップS212で取得された複数のプレイリスト126の中から、再生すべきプレイリスト126の内容が取得される。ここでは例えば、先ずプレイリスト#1から再生が開始されるものとし、これに対応するプレイリスト126の内容が取得される(ステップS213)。プレイリスト126の内容とは、一又は複数のプレイリストエレメント126−2(図5参照)等であり、当該ステップS213の取得処理では、係るプレイリストエレメント126−2等の取得が行われる。
続いて、このプレイリスト126に含まれるプリコマンド126PR(図5参照)が実行される(ステップS214)。尚、プリコマンド126PRによって、プレイリストセット126Sを構成する一定関係を有する複数のプレイリスト126のうちの一つを選択することも可能である。また、プレイリスト126を構成するプレイリストエレメント126−2がプリコマンド126PRを有していなければ、この処理は省略される。
次に、ステップS213で取得されたプレイリスト126により特定されるアイテム204(図5〜図7参照)に基づいて、再生すべきTSオブジェクト142(図3及び図10参照)を決定する(ステップS215)。より具体的には、アイテム204に基づいて、再生対象であるTSオブジェクト142に係るオブジェクト情報ファイル130(図3参照)の取得を実行し、再生すべきTSオブジェクト142のストリーム番号、アドレス等を特定する。
尚、本実施例では、後述するAU(アソシエートユニット)情報132I及びPU(プレゼンテーションユニット)情報302Iも、オブジェクト情報ファイル130に格納された情報として取得される。これらの取得された情報により、前述した論理階層からオブジェクト階層への関連付け(図13参照)が行われるのである。
次に、ステップS215で決定されたTSオブジェクト142の再生が実際に開始される。即ち、論理階層での処理に基づいて、オブジェクト階層の処理が開始される(ステップS216)。
TSオブジェクト142の再生処理中、再生すべきプレイリスト126を構成する次のアイテム204が存在するか否かが判定される(ステップS217)。そして、次のアイテム204が存在する限り(ステップS217:Yes)、ステップS215に戻って、上述したTSオブジェクト142の決定及び再生処理が繰り返される。
他方、ステップS217の判定において、次のアイテム204が存在しなければ(ステップS217:No)、実行中のプレイリスト126に対応するポストコマンド126PS(図5参照)が実行される(ステップS218)。尚、プレイリスト126を構成するプレイリストエレメント126−2がポストコマンド126PSを有していなければ、この処理は省略される。
その後、選択中のタイトル200を構成する次のプレイリスト126が存在するか否かが判定される(ステップS219)。ここで存在すれば(ステップS219:Yes)、ステップS213に戻って、再生すべきプレイリスト126の取得以降の処理が繰り返して実行される。
他方、ステップS219の判定において、次のプレイリスト126が存在しなければ(ステップS219:No)、即ちステップS211におけるタイトル200の選択に応じて再生すべき全プレイリスト126の再生が完了していれば、一連の再生処理を終了する。
以上説明したように、本実施例の情報記録再生装置500による光ディスク100の再生処理が行われる。
本実施例では特に、以上説明した(i)記録系の構成及び動作においては、プレイリスト126が、コンテンツ情報を指定するアイテム204と該各アイテム204に
対応するメニュー情報を指定するスレーブアイテムとを含むように、プレイリスト情報ファイル120は記録される。
本実施例では特に、以上説明した(ii)再生系の構成及び動作においては、ステップS215におけるオブジェクトの決定の際に、再生に係るアイテム及びスレーブアイテムの決定が行われる。そして、これに続くステップS216におけるオブジェクトの再生の際には、アイテムによるタイトル再生及び表示出力中に、対応するスレーブアイテムによるメニューの再生が行われてメニューが即座に表示可能な状態とされつつ、該メニューの表示出力がユーザによる指定等に応じて行われる。これらにより、タイトル再生を継続したままで小ウインドウ表示や半透明のスーパーインポーズ表示などのメニュー表示が、ユーザが希望するとき等に即座に実行される。他方、ユーザが希望しないとき等には、このようなメニュー表示は実行されない。このようなスレーブアイテム、サブピクチャ等を用いて行われる、タイトル画面上での選択的なメニュー表示については、後に詳述する。
(プレイリストセット中のプレイリストの選択方式)
本実施例では、再生されたプレイリスト情報ファイル120に含まれるプレイリストセット126Sから所望のコンテンツ情報に対応するプレイリスト126が適宜選択される。
このようなプレイリストの選択は、例えば、タイトルエレメント200−2に含まれるプリコマンド200PR(図4参照)が、プレイリスト126別に、選択条件が記述されたプレイリスト選択命令群リストを備えており、この選択条件に従って行われてもよい。プレイリストセット126Sに格納された各プレイリスト126に付加された属性情報(例えば、映像機能についてのビデオ解像度、プログレッシブ/インターリーブの別、ビデオコーデック、オーディオチャネル数、オーディオコーデック等の、プレイリストに係るコンテンツ情報の属性を示す情報)に従って行われてもよい。或いは、タイトルエレメント200−2に含まれる、選択条件をプレイリスト毎に格納するプレイリストセット制御情報に従って行われてもよい。このような選択によって、例えば、所望の番組、所望のパレンタルブロック、所望のアングルブロックなど、所望のコンテンツ情報に対応するものの選択が可能となる。或いは、例えば、情報再生システムで再生可能であり好ましくは情報再生システムの有する映像再生機能や音声再生機能を十分に或いは最大限に生かすようなプレイリストの選択が可能となる。
(主映像画面上におけるメニュー表示の制御)
次に図20から図28を参照して、タイトル再生による主映像画面上における任意の領域に、ユーザのリモコン操作等によるメニューを表示させる旨の命令(以下適宜、「メニュー表示命令」という)等に応じて選択的に且つ即座に表示されるメニューについて説明する。
本実施例では適宜、このようなメニューを「どこでもメニュー」と称する。即ち、「どこでもメニュー」は、通常ビデオストリームに基づくタイトル再生による、表示出力中の主映像画面上において、予めコンテンツの製作者(オーサ)等が指定した任意の個所或いは領域に表示出力されるメニューである。「どこでもメニュー」は、再生中のタイトルの内容に直接関連するタイトルメニュー(例えば、再生中の映画などのタイトルについての、字幕言語の選択や切替、アングル選択や切替、音声言語の選択や切替などを行うためのメニュー)であるか、又は、再生中のタイトルに間接的に関連しており、例えば再生中の光ディスク100の全体或いは全タイトルに係るディスクメニュー(例えば、全タイトルの表示、全タイトルについてのデフォールトとなる音声選択や設定などを行うためのメニュー)などである。「どこでもメニュー」は、主映像画面上における、その表示又は非表示が、ユーザによるメニュー表示命令等に応じて切替可能である。更に、「どこでもメニュー」の表示は、後述する「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータに基づいて行われ、ユーザによるメニュー表示命令等に応じて、即座に表示が行われるメニューである。なお、「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータは、サブピクチャーストリームとして主映像のビデオストリームなどと多重化されて記録されても良い。そして、「どこでもメニュー」の再生時には、通常は、ビデオストリームに基づくタイトル再生は、そのまま継続される。但し、これは、一時的に停止されることも可能である。
先ず図20から図22を参照して、このような「どこでもメニュー」を表示させるために用いられる、サブピクチャデータの構造及び制御について説明する。ここに、図20は、サブピクチャデータを制御するためのSPコントロール情報のデータ構成(図20(a))及びサブピクチャデータの本体をなす静止画データたるSPデータを含んでなるSPデータ構造(図20(b))の一具体例を示す概念図である。また、図21は、これらのSPコントロール情報及びSPデータ構造から構成される三種類のサブピクチャ構造を図式的に示したものである。図22は、SPD用ストリームと複数のSCP用ストリームとの関係を、再生時間軸に対して図式的に示したものである。
本実施例では、図14において、サブピクチャデコーダ513によりデコードされたサブピクチャデータは、バッファとして機能するメモリ540に一時的に記憶される。その後、この一時的に記憶されたサブピクチャデータに含まれるSPデータ(静止画データ)及びSPコントロール情報(静止画コントロールデータ)の少なくとも一方は、システムコントローラ520からの制御信号Sc5による制御を受けて読み出される。そして、係るSPデータに対して、SPコントロール情報を作用させることで、ビデオ出力の一部或いは全部として静止画表示が行われる。
図20(a)に示すように、SPコントロール情報721は、SCPヘッダと、SFコントロールパラメータとを有する。「SCPヘッダ」は、当該SPコントロール情報721が制御対象とするSPデータを特定するSPデータ識別子、係るSPデータの記録位置を示す情報等からなる。「SFコントロールパラメータ」は、SPデータにより規定される画像のうち少なくとも一部として切り取られる画像部分であるサブフレーム(SF)の単位で、SPデータを制御するための各種パラメータからなる。より具体的には、SFデータの表示開始時刻や表示終了時刻をPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)等で示すパラメータを有し、更に例えば、表示時間、サブピクチャの切り出し範囲や表示する際の配置、拡大縮小、回転等の条件等を示す各種パラメータを有する。
図20(b)に示すように、SPデータ構造722は、構造情報とSPデータ(静止画データの実体)とを有する。「構造情報」は、当該SPデータを識別するための識別子、当該SPデータの長さ等の情報からなる。「SPデータ」は、例えばランレングスエンコーディングされたビットマップデータ形式或いはJPEG形式の画像データ等を有する。
よって、サブピクチャデータの再生時には、図20(b)に示したSPデータの少なくとも一部が切り出されたサブフレームの単位で、図20(a)に示したSFコントロールパラメータに基づいて、サブフレームを用いた各種再生制御が実行される。
図21に示すように、SPコントロール情報721及びSPデータ構造722は、複数のTSパケット146(図10参照)にパケット化されて多重化されている。そして、サブピクチャ構造におけるSPコントロール情報721の先頭部分が格納されるTSパケット146を、「SCP」と呼び、サブピクチャ構造におけるSPデータ構造722の先頭部分が格納されるTSパケット146を、「SPD」と呼ぶ。
図21(a)に示すように、SCPを含むSPコントロール情報721及びSPデータ構造722は、一つのサブピクチャ構造とされて、複数のTSパケット146に分断されてもよい。図21(b)に示すように、SCPを含むSPコントロール情報721は、一つのサブピクチャ構造とされて、複数のTSパケット146に分断されてもよい。図21(c)に示すように、SPDを含むSPデータ情報構造722は、一つのサブピクチャ構造とされて、複数のTSパケット146に分断されてもよい。
本実施例では、例えば、SPD用ストリーム上に記録されたSPデータ構造722内のSPデータに対して、このストリームとは別のSCP用ストリーム上に記録されたSPコントロール情報721を作用させることで、静止画の再生制御を行う。この場合、一つのSPD用ストリームに対して作用するSCP用ストリームは、ひとつだけ存在してもよいし、複数存在してもよい。これらの二種類のストリームを、相互に異なるエレメンタリーストリーム上に記録することで、効率的な再生制御が可能となる。更に、一つのSPD用ストリーム上のSPデータに対して、複数のSCP用ストリーム上の複数のSPコントロール情報を作用させることで、一層効率的な再生制御が可能となる。
より具体的には図22に示すように、「ES_PID=200」のビデオストリーム(Video1)が再生されている途中における時刻t11で、「ES_PID=201」のSPD用ストリーム上のSPデータ(SPD1)の読み込みが開始されて、情報記録再生装置500(図14参照)のメモリ540に格納される。そして、格納されたSPデータは、例えば、設定された終了時間まで格納され続けるか、或いは次のサブピクチャの読み込みが開始されるまで格納され続ける。
図22では、「ES_PID=202」のSCP用ストリーム(SCP1)には、時刻t21、時刻t22、時刻t23及び時刻t24のタイミングで夫々、SCP♯1a、SCP♯1b、SCP♯1c及びSCP♯1dが配置されている。「ES_PID=203」のSCP用ストリーム(SCP2)には、時刻t31、時刻t32及び時刻t33のタイミングで夫々SCP♯2a、SCP♯2b及びSCP♯2cが配置されている。「ES−PID=204」のSCP用ストリーム(SCP3)には、時刻t41、時刻t42、時刻t43及び時刻t44のタイミングで夫々SCP♯3a、SCP♯3b、SCP♯3c及びSCP♯3dが配置されている。
但し、このような静止画の再生制御に加えて、サブピクチャストリーム上に記録されたサブピクチャデータ構造内のSPデータに対して、同じストリーム上に記録されたサブピクチャ構造内のSPコントロール情報を作用させて、静止画の再生制御を行っても構わない。即ち、一つのサブピクチャストリームのみに、SPコントロール情報721及びSPデータ構造722の両者を記録して、SPコントロール情報721をSPデータ構造722に作用させてもよい。
いずれの場合にも、データ量の多いビットマップテータやJPEGデータからなるSPデータの使い回しによって、ディスク上における限られた記録容量の節約を図ることが可能となり、更に効率的な再生及び表示処理も可能となる。加えて、いずれの場合にも、他のビデオストリームに記録されたビデオデータに基づく動画或いは主映像上に、このようなサブピクチャをスーパーインポーズさせることも可能である。
次に図23から図25を参照して、このような「どこでもメニュー」を表示させるために用いられる、サブフレーム(SF)について説明する。ここに、図23は、サブフレームに係るオブジェクトデータの構造を示す概念図である。図24は、「どこでもメニュー」の画面上における表示例を示す平面図である。図25は、図24に示した「どこでもメニュー」を再生し表示するために、制御情報に基づいて、静止画データからサブフレームを切り出す様子を示す概念図である。
図23に示すように、(i)「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータは、当該オブジェクトデータの全体に係る総合情報と、(ii)1枚の静止画データと、(iii)この静止画データの一部をサブフレームとして切り出すと共に切り出されるサブフレームに対する各種制御処理を行うための情報であるサブフレーム情報の複数からなるサブフレーム情報テーブルとを含んで構成されている。なお、「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータがサブピクチャーストリームとして記録される場合、例えば、前記情報(i)および(iii)をSPコントロール情報、前記情報(ii)をSPデータ構造として記録する。
これらのうち、「総合情報」は、サブフレームの総数(n)などを有する。
「サブフレーム情報テーブル」は、サブフレーム#1、・・・、サブフレーム#n別の各種サブフレーム情報及びその他の情報を含む情報テーブルとして構築されている。そして、各サブフレーム#i(i=1、・・・、n)別に、サブフレーム#iの静止画データにおける切り出し範囲を指定する座標情報(例えば、矩形のサブフレームに対する相対向する二隅や四隅の座標情報)、メニュー選択・設定用のボタンの総数l、ボタン情報1〜#l等を示す情報等を有する。ここに、「ボタン情報」とは、当該サブフレーム中おけるメニュー選択・設定用のボタンとして機能する領域を指定する座標情報と、当該ボタンが操作された場合に実行されるべきコマンドを示すボタンコマンドを有する。
また、「SPデータ」は、ビットマップデータ、JPEGデータ等の静止画像データの本体である。
以上のように構成された一つのサブフレームが一度に表示される「どこでもメニュー」の画面に相当する。
例えば図24に示すように、一つのサブフレームに基づいて、「どこでもメニュー」の画面は、情報記録再生装置500の表示画面上に、小ウインドウとして表示される。ここでは、映画等のコンテンツからなる主映像画面内における、右上隅付近に、サブフレームからなる「どこでもメニュー」が重ねて表示されている。しかも、この「どこでもメニュー」には、図中上から順に、タイトルメニューとして、「音声」、「字幕」及び「アングル」の変更を行うための三つのボタンが表示されている。このような「どこでもメニュー」の表示時には、ユーザによるメニュー表示命令等が発せられた際に再生中であった映画等のコンテンツ(例えば、アングル切替可能なコンテンツ)が、動作停止せずにそのまま表示され続けている。これは、主映像画面をなす映画等のコンテンツは、(マスター)アイテム204によって指定されてビデオストリームによりメインパスとして表示されており、他方で、「どこでもメニュー」は、スレーブアイテムによって指定された別ストリームであるサブピクチャストリームによりサブパスとして表示されている等のためである。このような(マスター)アイテム204及びスレーブアイテムに係る具体的なデータ構造については後に詳述する(図25、図35及び図36参照)。
このようなサブフレームを用いた「どこでもメニュー」は、1枚のSPデータから、複数作成することが可能である。
即ち図25に示すような1枚の静止画データに係る、「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータがあったとする。この場合、1枚の静止画データに対して、相異なる領域に4つのサブフレームが定義されている。即ち、図中上から順にサブフレーム#1、#2、#3及び#4が定義されている。そして、これらのサブフレームには夫々、ボタンが4つ定義されている。即ち、各サブフレーム内において、図中上から順にボタン#1、#2及び#3が定義されている。
ここで例えば、ユーザによるメニュー表示命令等に応じて「どこでもメニュー」が最初に表示されるときには、サブフレーム#1が用いられるとする。この場合、サブフレーム#1のボタン#1のボタンコマンドには、「サブフレーム#2を表示する」というコマンドが設定される。サブフレーム#1のボタン#2のボタンコマンドには、「サブフレーム#3を表示する」というコマンドが設定される。サブフレーム#1のボタン#3のボタンコマンドには、「サブフレーム#4を表示する」というコマンドが設定される。
このように各情報が設定されていれば、図24のように、実際の画面上に、サブフレーム#1による「どこでもメニュー」が表示されている際に、ボタン#1(即ち「音声」ボタン)がユーザにより選択されると、表示は、サブフレーム#2による「どこでもメニュー」に切り替えられる。更に、この状態で、ボタン#2(即ち「English」ボタン)がユーザにより選択されると、ボタン#2のボタンコマンドに、例えば「オーディオストリーム番号を英語音声に相当するオーディオストリーム番号に切り替える」旨のコマンドを予め記述しておくことによって、当該英語音声への切替を、「どこでもメニュー」上のボタン操作に応じて実行可能となる。そして、このような「どこでもメニュー」におけるボタン操作の最中も、主映像をなす映画等のコンテンツは中断されることは無く再生され続けている。更にこの際、「どこでもメニュー」における音声変更、字幕変更、アングル変更等のボタン操作に応じて、再生中のコンテンツに変更が加えられてもよい。或いは、このようなボタン操作に応じた各種変更は、当該「どこでもメニュー」が終了した際に一括で加えられるようにしてもよい。
次に図26を参照して、このような「どこでもメニュー」を表示させるために用いられる、プレイリスト情報テーブルの具体的な構成について説明する。ここに、図26は、特に「どこでもメニュー」を表示可能とする、プレイリスト情報ファイルの一具体例を示す概念図である。
図26において、プレイリスト情報テーブルは、プレイリスト総合情報と、プレイリストポインタテーブルと、プレイリスト#i(1、2、・・・)情報テーブルとを含んで構成されている。
これらのうち、「プレイリスト総合情報」は、プレイリストのサイズ、プレイリストの総数等の当該プレイリスト情報テーブルの全体に関する総合的な情報を有する。
「プレイリストポインタテーブル」は、プレイリスト#i(i=1、2、・・・)情報の格納アドレスを夫々示すプレイリスト#i(i=1、2、・・・)ポインタを有する。
「プレイリスト#i情報テーブル」は、(i)プレイリスト#i(i=1、2、・・・)総合情報と、(ii)プレイリスト#i(i=1、2、・・・)アイテム情報テーブルと、(iii)プレイリスト#i(i=1、2、・・・)スレーブアイテム情報テーブルとを有する。
即ち、本実施例では特に、プレイリスト#i情報テーブルは、主映像を表示するためのビデオストリームについての再生シーケンスを規定するプレイリスト情報を構成するアイテム情報からなるプレイリスト#i(i=1、2、・・・)アイテム情報テーブルと、「どこでもメニュー」等を表示するための再生シーケンスを規定するプレイリスト情報を構成するアイテム情報(本実施例では適宜、「スレーブアイテム情報」)からなるプレイリスト#i(i=1、2、・・・)スレーブアイテム情報テーブルとに区分けされている。言い換えれば、本実施例では、メインパスとして主映像を表示するためのプレイリストは、複数のアイテム(或いはマスターアイテム)から構成されている。これに対して、サブパスとして「どこでもメニュー」を表示するためのプレイリストは、複数のスレーブアイテムから構成されている。
「プレイリスト#i総合情報」は、当該プレイリスト#iを構成するアイテムの総数(本例では、「3」)、デフォルトとなる「どこでもメニュー」を指定する情報を有する。本例では、デフォルトとなる「どこでもメニュー」は、スレーブアイテム情報の番号(本例では、#1)として保持される。尚、「デフォルトとなる「どこでもメニュー」」とは、「どこでもメニュー」に係るスレーブアイテムが登録されていない(マスター)アイテム、または、複数の(マスター)アイテムにおいて共通で使用されるデフォルトのことである。
「プレイリスト#iアイテム情報テーブル」は、アイテム情報#i(本例では、三つのアイテム情報)から構成されている。そして、各アイテム情報は、オブジェクト情報ファイル130内におけるAUテーブル内の該当AU番号、スレーブアイテム情報の有無又は番号、スレーブアイテム情報が存在する場合におけるスレーブアイテム情報のタイプ(例えば、「どこでもメニュー」をしているタイプ、その他のタイプなど)、当該アイテムに対応するオブジェクトデータのスタート時間、表示期間、主映像画面に対する相対的な表示座標を示す情報などを有する。
「プレイリスト#iスレーブアイテム情報テーブル」は、スレーブアイテム情報#i(本例では、三つのスレーブアイテム情報)から構成されている。そして、各スレーブアイテム情報は、当該スレーブアイテム情報のタイプ(例えば、「どこでもメニュー」をしているタイプ、その他のタイプなど)、オブジェクト情報ファイル130内におけるAUテーブル内の該当AU番号を示す情報などを有する。
以上のようにアイテム情報(即ち、マスターアイテム情報)とスレーブアイテム情報とを区分けして有するプレイリスト情報テーブルに基づいてオブジェクトデータを再生すれば、主映像画面をなす映画等のコンテンツをメインパスとして表示しつつ、ユーザによるメニュー表示命令等に応じて適宜「どこでもメニュー」をサブパスとして主映像画面上に表示することが可能となる。
しかも、サブフレーム情報(図23参照)を記述する際に、静止画データ上でサブフレームを切り取る範囲(座標)を、コンテンツ製作者の意図に応じて任意に設定できる。更に、プレイリスト情報(図26参照)を記述する際に、主映像に対するサブフレームを表示すべき範囲(座標)を、コンテンツ製作者の意図に応じて任意に設定できる。これらによって、1枚の静止画分データを用いて、色々な場所に、色々な種類のメニュー(即ち、「どこでもメニュー」)を表示することが可能となる。
次に図27及び図28を参照して、このような「どこでもメニュー」を表示させる際に実行される情報記録再生装置500における処理について説明する。ここに、図27は、図19に示したステップS215の処理の一環として実行される、再生すべきアイテム(アイテム及びスレーブアイテムを含む)のオブジェクトを決定するための処理の詳細を示すフローチャートである。図28は、図19及び図27に夫々示したステップS216の処理の一環として実行される、オブジェクト(アイテム及びスレーブアイテムにより夫々指定されるものを含む)を再生するための処理を示すフローチャートである。尚、図27において、図19に示したのと同様のステップに同様のステップ番号を付し、それらの説明は省略する。
図27において、図19に示したと同様のステップS211からS214の処理が実行された後、デフォルトの「どこでもメニュー」が存在するか否かが、図26に例示したプレイリスト情報テーブルが参照されることで、判定される(ステップS221)。ここで、デフォルトの「どこでもメニュー」が存在すれば(ステップS221:Yes)、図23から図25に例示した「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータが、当該デフォルトの「どこでもメニュー」として読み込まれる(ステップS222)。その後、ステップS223へ進む。他方、ステップS221において、デフォルトの「どこでもメニュー」が存在しなければ(ステップS221:No)、そのままステップS223へ進む。
そして、図26に例示したプレイリストのアイテム情報に基づき、再生すべきアイテムの該当オブジェクトが決定される(ステップS223)。続いて、当該アイテムに「どこでもメニュー」が存在するか否かが判定される(ステップS224)。ここで、「どこでもメニュー」が存在すれば(ステップS224:Yes)、当該存在する「どこでもメニュー」に対応するスレーブアイテムが読み込まれる(ステップS225)。その後、ステップS216へ進む。他方、ステップS224の判定において、「どこでもメニュー」が存在しなければ(ステップS224:No)、そのままステップS216へ進む。
そして、該当オブジェクトの再生が実行される(ステップS216)。より具体的には、アイテム情報(マスターアイテム情報)に従って主映像をなす映画等のコンテンツがメインパスとして再生され、「どこでもメニュー」が存在すれば、これがサブパスとして再生される。なお、「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータがサブピクチャーストリームとして主映像をなすビデオストリームなどと共に多重化され記録されている場合、(ステップS222、S225)に代わって、該当オブジェクトの再生(ステップS216)においてに同時に「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータを読み込んでもよい。
その後、図19に示したと同様のステップS217の判定が実行され、次のアイテムが存在する場合には(ステップS217:Yes)、本実施例では、ステップS223に戻って以降の処理が繰り返される。
次に図28を参照して、本実施例におけるオブジェクトの再生に係る処理(即ち、図19及び図27におけるステップS217の処理)の詳細について説明する。
図28において先ず、再生すべきPU(プレゼンテーションユニット)及びES(エレメンタリーストリーム)が、AUテーブル131及びESマップテーブル134(図3参照)が参照されることで、決定される(ステップS241)。そして、これらの決定されたPU及びESに従ってTSオブジェクトの再生が開始される(ステップS242)。
その後、「どこでもメニュー」表示可能時間内であるか否かが、図26に例示したプレイリストが参照されることで、判定される(ステップS243)。ここで、「どこでもメニュー」表示可能時間内でなければ(ステップS243:No)、続いて、ユーザによるメニュー表示命令等に応じて現在「どこでもメニュー」が表示中であるか否かが、判定される(ステップS244)。ここで、「どこでもメニュー」が表示中であれば(ステップS244:Yes)、当該表示中の「どこでもメニュー」を非表示とする(ステップS245)。その後、ステップS246へ進む。他方、ステップS244の判定において、「どこでもメニュー」が表示中でなければ(ステップS244:No)、そのままステップS246へ進む。
他方、ステップS243の判定において、「どこでもメニュー」表示可能時間内であれば(ステップS243:Yes)、続いて、ユーザによるメニュー表示命令等に応じて現在「どこでもメニュー」を表示すべきか否かが、判定される(ステップS247)。ここで、「どこでもメニュー」を表示すべきであれば(ステップS247:Yes)、プレイリストが参照されてアイテムに「どこでもメニュー」が存在するか否かが判定される(ステップS248)。ここで、「どこでもメニュー」が存在すれば(ステップS248:Yes)、この「どこでもメニュー」が表示される(ステップS249)。即ち、サブパスとして再生され続けていたサブピクチャからなる「どこでもメニュー」の表示出力が行われる。その後、ステップS246へ進む。他方、ステップS247の判定において、「どこでもメニュー」を表示すべきでなければ(ステップS247:No)、そのままステップS246へ進む。
他方、ステップS248の判定において、「どこでもメニュー」が存在しなければ(ステップS248:No)、続いて、デフォルトの「どこでもメニュー」が存在するか否かが判定される(ステップS250)。ここで、デフォルトの「どこでもメニュー」が存在すれば(ステップS250:Yes)、このデフォルトの「どこでもメニュー」が表示される(ステップS251)。その後、ステップS246へ進む。他方、ステップS250の判定において、デフォルトの「どこでもメニュー」が存在しなければ(ステップS250:No)、そのままステップS246へ進む。
その後、ステップS246では、再生すべきオブジェクトの再生が終了したか否かが判定され、終了していなければ(ステップS246:No)、ステップS242に戻って、以降の処理が繰り返される。他方、終了していれば(ステップS246:Yes)、一連の処理を終了する。
図28を参照して説明したように、本実施例では、オブジェクトの再生において、デフォルトの或いはアイテム別の「どこでもメニュー」が存在すれば、これはサブパスとして再生され続けているので、ユーザのメニュー表示命令等に応じて、その表示出力が即座に実行可能となる。また、「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータを表示出力する必要がなければ、サブパスとして再生または保持され続けているのみで、主映像の表示に対して特に邪魔になることはない。
以上図20から図28を参照して詳細に説明したように、本実施例によれば、例えばタイトルの表示出力中に、これを継続したままで小ウインドウ表示や半透明のスーパーインポーズ表示などの「どこでもメニュー」を表示できる。勿論、この表示された「どこでもメニュー」上でのメニュー選択も可能である。このような「どこでもメニュー」は、コンテンツの製作者等の意向に応じてタイトル画面上の任意の位置に表示可能である。更に、ユーザのメニュー表示命令等に応じて必要なときにのみ表示させることができ、しかも、係るメニュー表示命令等に対して即座に表示させることが可能である。
(再生時のアクセスの流れ)
次に図29を参照して、本実施例における特徴の一つであるAU(アソシエートユニット)情報132及びPU(プレゼンテーションユニット)情報302を用いた情報記録再生装置500における再生時のアクセスの流れについて、光ディスク100の論理構造と共に説明する。ここに図29は、光ディスク100の論理構造との関係で、再生時におけるアクセスの流れ全体を概念的に示すものである。
図29において、光ディスク100の論理構造は、論理階層401、オブジェクト階層403及びこれら両階層を相互に関連付ける論理−オブジェクト関連付け階層402という三つの階層に大別される。
これらのうち論理階層401は、再生時に所望のタイトルを再生するための各種論理情報と再生すべきプレイリスト(Pリスト)及びその構成内容とを論理的に特定する階層である。論理階層401には、光ディスク100上の全タイトル200等を示すディスク情報110dが、ディスク情報ファイル110(図3参照)内に記述されており、更に、光ディスク100上の全コンテンツの再生シーケンス情報120dが、プレイリスト情報ファイル120(図3参照)内に記述されている。より具体的には、再生シーケンス情報120dとして、各タイトル200に含まれる一又は複数のタイトルエレメント200−2に対して夫々、一又は複数のプレイリストセット126Sの構成が記述されている。更に、各プレイリストセット126Sは、一又は複数のプレイリスト126を含んでおり、各プレイリスト126には、一又は複数のアイテム204(図13参照)の構成が記述されている。そして、再生時におけるアクセスの際に、このような論理階層401によって、再生すべきタイトル200を特定し、これに対応するプレイリスト126を特定し、更にこれに対応するアイテム204を特定する。
続いて、論理−オブジェクト関連付け階層402は、このように論理階層401で特定された情報に基づいて、実体データであるTSオブジェクトデータ140dの組み合わせや構成の特定を行うと共に論理階層401からオブジェクト階層403へのアドレス変換を行うように、再生すべきTSオブジェクトデータ140dの属性とその物理的な格納アドレスとを特定する階層である。より具体的には、論理−オブジェクト関連付け階層402には、各アイテム204を構成するコンテンツの固まりをAU132という単位に分類し且つ各AU132をPU302という単位に細分類するオブジェクト情報データ130dが、オブジェクト情報ファイル130(図3参照)に記述されている。
ここで、「PU(プレゼンテーションユニット)302」とは、複数のエレメンタリーストリームを、再生切り替え単位ごとに関連付けてまとめた単位である。仮に、このPU302中にオーディオストリームが3本存在すれば、このビジョンを再生中には、ユーザが自由に3本のオーディオ(例えば、言語別オーディオなど)を切り替えることが可能となる。
他方、「AU(アソシエートユニット)132」とは、一つのタイトルで使用するTSオブジェクト中の、ビデオストリームなどのエレメンタリーストリームを複数まとめた単位であり、一又は複数のPU302の集合からなる。より具体的には、PU302を介して間接的に、エレメンタリーストリームパケットID(ES_PID)を各TSオブジェクト毎にまとめた単位である。このAU132は、例えば多元放送における相互に切り替え可能な複数の番組或いは複数のプログラムなど、コンテンツから考えて相互に特定関係を有する複数の番組或いは複数のプログラムなどの集合に対応している。そして、同一のAU132に属したPU302は、再生時にユーザ操作により相互に切り替え可能な複数の番組或いは複数のプログラムを夫々構成する一又は複数のエレメンタリーストリームの集合に対応している。
従って、再生すべきAU132が特定され、更にそれに属するPU302が特定されれば、再生すべきエレメンタリーストリームが特定される。即ち、図12に示したPATやPMTを用いないでも、光ディスク100から多重記録された中から所望のエレメンタリーストリームを再生可能となる。
尚、このようなAU132及びPU302を夫々定義する、AU情報132I及びPU情報302Iのより具体的なデータ構成については、後に詳述する。
ここで実際に再生されるエレメンタリーストリームは、PU情報302から、エレメンタリーストリームのパケットID(図12参照)であるES_PIDによって特定或いは指定される。同時に、再生の開始時間及び終了時間を示す情報が、エレメンタリーストリームのアドレス情報に変換されることにより、特定エレメンタリーストリームの特定領域(或いは特定時間範囲)におけるコンテンツが再生されることになる。
このようにして論理−オブジェクト関連付け階層402では、各アイテム204に係る論理アドレスから各PU302に係る物理アドレスへのアドレス変換が実行される。
続いて、オブジェクト階層403は、実際のTSオブジェクトデータ140dを再生するための物理的な階層である。オブジェクト階層403には、TSオブジェクトデータ140dが、オブジェクトデータファイル140(図3参照)内に記述されている。より具体的には、複数のエレメンタリーストリーム(ES)を構成するTSパケット146が時刻毎に多重化されており、これらが時間軸に沿って配列されることにより、複数のエレメンタリーストリームが構成されている(図11参照)。そして、各時刻で多重化された複数のTSパケットは、エレメンタリーストリーム毎に、論理−オブジェクト関連付け階層402で特定されるPU302に対応付けられている。尚、複数のPU302と、一つのエレメンタリーストリームとを関連付けること(例えば、切り替え可能な複数の番組間或いは複数のプログラム間で、同一のオーディオデータに係るエレメンタリーストリームを共通で利用したり、同一のサブピクチャデータに係るエレメンタリーストリームを共通で利用すること)も可能である。
このようにオブジェクト階層403では、論理−オブジェクト関連付け階層402における変換により得られた物理アドレスを用いての、実際のオブジェクトデータの再生が実行される。
以上のように図29に示した三つの階層により、光ディスク100に対する再生時におけるアクセスが実行される。
尚、図29及びその説明については便宜上、スレーブアイテム以外のアイテム及びスレーブアイテムの両者が、「アイテム204」に含まれる形で図示されており、その説明がなされている。即ち、論理階層401から論理−オブジェクト関連付け階層402への対応付けについては、スレーブアイテム以外のアイテムであっても、スレーブアイテムであっても、アイテム204に示された通りである。
(各情報ファイルの構造)
次に図30から図37を参照して、本実施例の光ディスク100上に構築される各種情報ファイル、即ち図3を参照して説明した(1)ディスク情報ファイル110及びプレイリスト情報ファイル120、並びに(2)オブジェクト情報ファイル130におけるデータ構造の具体例について説明する。
(1)ディスク情報ファイル及びプレイリスト情報ファイル:
図30から図36を参照して、これらのファイルの具体例における各構成要素及び構成要素間の階層構造について説明する。ここに、図30から図36は、これらのファイルの階層構造を模式的に示す概念図である。尚、図30から図36において、既に図3から図9等を参照して説明したファイル、データ或いは情報等と同様のものには同様の参照符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
先ず、図30に示すように、本具体例に係る「タイトル情報セット」は、図3等に示したディスク情報ファイル110及びプレイリスト情報ファイル120を含んでなる情報セットである。
タイトル情報セットは、一つのディスクヘッダ112x、複数のタイトル情報200(タイトル情報#1、・・・、#n)、複数のプレイ(P)リストセット126S(Pリストセット#1、・・・、#n)及びその他の情報から構成されている。
(1−1)ディスクヘッダ:
先ず図30に示したタイトル情報セットのうち、ディスクヘッダ112xについて、図30及び図31を参照して説明する。
図30において、ディスクヘッダ112xは、同図中で右上段に分岐する形で示されており、同図中で上から順に、図3に示したディスク総合情報112に対応する情報として、バージョン番号、タイトル総数、タイトル情報総数、プレイ(P)リストセット総数等の各種情報用の複数フィールドを有する。ディスクヘッダ112xは、図3に示したタイトルポインタ114−1に対応する情報用のテーブルとして、タイトル開始アドレステーブルを有しており、図3に示したプレイリストセットポインタ124に対応する情報用のテーブルとして、プレイ(P)リストセット開始アドレステーブルを有する。ディスクヘッダ112xは、各タイトルセットの属性を示すタイトルセット属性を示す情報用のフィールドを有する。更にディスクヘッダ112xは、タイトルテーブル112xtt及びプレイリストセットテーブル112xptを有する。
このように複数のフィールド及び複数のテーブルを有するディスクヘッダ112xは、ディスク上記録領域全域の複数のタイトルを統括的に管理するためのものである。
ここに、「バージョン番号」は、当該規格におけるバージョン番号であり、例えばISO646によれば、コード「0070」とされる。「タイトル総数」は、ディスク上記録領域全域のタイトルの総数であり、「タイトル情報総数」は、ディスク上記録領域全域のタイトル情報の総数である。「プレイリストセット総数」は、ディスク上記録領域全域のプレイリストセットの総数であり、「タイトル開始アドレステーブル」は、タイトルセットの先頭からの相対的なバイト番号として、各タイトルの開始アドレスを示す。このバイト番号は、例えば0からカウントされる。「プレイリストセット開始アドレステーブル」は、タイトルセットの先頭からの相対的なバイト番号として、各プレイリストセットの開始アドレスを示す。このバイト番号は、例えば0からカウントされる。「タイトルセット属性」は、例えばタイトルセットのデータ長さ、タイトルセットで用いる文字の種類(日本語、英語など)、タイトルセットの名称等のタイトルセットの属性を示す。
図31において、タイトルテーブル112xttは、同図中で右上段に分岐する形で示されており、同図中で上から順に、複数のタイトルメニュー開始アドレス情報#1、・・・、#n及び複数のタイトルコンテンツ開始アドレス情報#1、・・・、#nを、番号別に対をなす形式で記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「タイトルメニュー開始アドレス」は、タイトルセットの先頭からの相対的なバイト番号として、各タイトルメニューを含むタイトル情報の開始アドレスを示す。このバイト番号は、例えば0からカウントされる。タイトルメニュー開始アドレス「0」は、ディスク全体に関するメニューであるディスクメニューに割り当てられる。「タイトルコンテンツ開始アドレス」は、タイトルセットの先頭からの相対的なバイト番号として、各コンテンツタイトルを含むタイトル情報の開始アドレスを示す。ここに「コンテンツタイトル」とは、各タイトルのコンテンツを示すタイトルである。このバイト番号は、例えば0からカウントされる。タイトルコンテンツ開始アドレス「0」は、例えばタイトル再生初期に無条件に再生されるファーストプレイタイトルに割り当てられる。
図31において、プレイリストセットテーブル112xptは、同図中で右下段に分岐する形で示されており、複数のプレイ(P)リストセット開始アドレス#1、・・・、#mを記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「プレイリストセット開始アドレス」は、タイトルセットの先頭からの相対的なバイト番号として、各プレイリストセットの開始アドレスを示す。このバイト番号は、例えば0からカウントされる。
(1−2)タイトル情報:
次に図30に示したタイトル情報セットのうち、タイトル情報200について、図30及び図32を参照して説明する。
図30において、タイトル情報200は、同図中で右中段に分岐する形で示されており、同図中で上から順に、図4に示したタイトル総合情報200−1に対応するタイトルエレメントの総数を示す情報200−1xを記録するためのフィールドを有し、更に、複数のタイトルエレメント200−2(タイトルエレメント#1、・・・、#k)及びその他の情報200−5を記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「タイトルエレメント総数」は、当該タイトル情報に含まれるタイトルエレメントの総数を示す。
図32において、各タイトルエレメント200−2は、同図中で右に分岐する形で示されており、同図中で上から順に、「プレイリストセット番号」が記述されるポインタ200PT、候補総数、適用可能な一又は複数のプレイ(P)リスト番号(即ち、Pリスト#1、・・・、#k)が記述されるPリスト識別情報200PNを記録するための複数フィールドを有する。更に、Pリストプリコマンド200PR、Pリストポストコマンド200PS及び、次に再生されるべきタイトルエレメントを示すネクスト情報200−6N等を記録するための複数フィールドを有する。尚、タイトルエレメント200−2中のその他の情報とは、例えば、シーケンシャル型や分岐型等のタイトルの種類等の各タイトルエレメントに関する情報である。
ここに、「プレイリストセット番号が記述されるポインタ200PT」は、プレイリストセットのID(識別)番号を示すポインタである。「候補総数」は、当該ポインタ200PTにより指定されるプレイリストセット中においてタイトルエレメントの選択候補となりえるプレイリストの総数を示す。「Pリスト識別情報200PN」は、かかる選択候補となりえる一又は複数のプレイリストのID(識別)番号を示す。かかるPリスト識別情報200PNを設けたことにより、一つのプレイリストセット中に異なるタイトル再生のために選択候補となるプレイリストを含ませることができ、一つのプレイリストセットを異なるタイトルエレメントで兼用することが可能となる。一方、「Pリストプリコマンド200PR」、「Pリストポストコマンド200PS」及び「ネクスト情報200−6N」等については、前述の通りである。
(1−3)プレイリストセット:
次に図30に示したタイトル情報セットのうち、プレイリストセット126Sについて、図30及び図33から図36を参照して説明する。
図30において、プレイリストセット126Sは、同図中で右下段に分岐する形で示されており、同図中で上から順に、図5に示したプレイリストセット総合情報126−1に対応する情報として、プレイ(P)リスト総数及び複数のプレイリスト(PL)プレゼンテーション(PLプレゼンテーション#1、・・・、#i)を含んでなる情報126−1xを記録するためのフィールドを有する。更に、プレイリストセット126Sは、複数のプレイ(P)リスト126(即ち、Pリスト#1、・・・、#i)、アイテム定義テーブル126−3及びその他の情報126−4を記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「プレイリスト総数」は、当該プレイリストセット中のプレイリストの総数を示す。PLプレゼンテーション#1、・・・、#iは夫々Pリスト#1、・・・、#iに対応する属性情報であり、図23に示される属性情報に相当する。
図33に示されるように、各PLプレゼンテーション126−1xiは、同図中で右上段へ分岐する形で示されており、同図中で上から順に、ビデオコーデック、ビデオ解像度、ビデオアスペクト比、ビデオフレームレート、オーディオチャネル割当等を示す情報を記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「ビデオコーデック」は、当該プレイリストセットに係る映像情報記録時に使用され、よってその再生時に使用すべきビデオコーデックの種類を示す。「ビデオ解像度」は、当該プレイリストセットのうちメインパス(即ち、主映像を提供するビデオストリーム)に対応するプレイリストに係る映像情報記録時に使用されたビデオ解像度を示す。「ビデオアスペクト比」は、当該プレイリストセットのうちメインパスに対応するプレイリストに係る映像情報記録時に使用されたビデオアスペクト比を示す。「ビデオフレームレート」は、当該プレイリストセットのうちメインパスに対応するプレイリストに係る映像情報記録時に使用されたビデオフレームレートを示す。「オーディオチャネル割当」は、当該プレイリストセットのうちメインパスに対応するプレイリストに係る音声情報記録時に使用されたオーディオチャネルの割当を示す。
図33において、各プレイリスト126は、同図中で右中段へ分岐する形で示されており、同図中で上から順に、当該プレイリスト126のデータ長さを示す情報、プレイリストヘッダ、複数のプレイリストエレメント126−2(即ち、Pリストエレメント#1、・・・、#i)等を記録するための複数フィールドを有する。
ここに、プレイリストの「長さ」は、次に続くプレイリストの長さをバイト数で示す。これは、「長さ」フィールド自体を含まないデータ長さを示す。「プレイリストヘッダ」は、当該プレイリストに含まれるプレイリストエレメントの総数、当該プレイリストの再生時間、当該プレイリストの名称等の情報を示す。
更に図34において、各プレイリストエレメント126−2は、同図中で右へ分岐する形で示されており、同図中で上から順に、マスタープレイ(P)アイテムについてのアイテム番号を示すポインタ126PT、サブパス総数、複数のサブパス情報126−2sub(即ち、サブパス情報#1、・・・、#k)、ネクスト情報126−6N、プレイ(P)アイテムについてのプリコマンド126PR、プレイ(P)アイテムについてのポストコマンド126PS及びその他の情報126−6等を記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「ポインタ126PT」、「プリコマンド126PR」及び「ポストコマンド126PS」については、前述の通りである。また、「サブパス総数」は、当該プレイリストエレメント内に存在するサブパスの総数を示す。「ネクスト情報126−6N」は、次に再生されるべきプレイリストエレメントを示す。
更に図35において、各サブパス情報126−2subは、同図中で中央へ向かって右へ分岐する形で示されており、同図中で上から順に、サブパスタイプ及びスレーブプレイ(P)アイテム総数、並びに複数のスレーブプレイ(P)アイテム情報126−subPT(即ち、スレーブPアイテム情報1、・・・、#k)を記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「サブパスタイプ」は、各種メニュー表示などサブパスによって如何なる表示が行われるかを示す。「スレーブPアイテム総数」は、当該サブパスにおけるスレーブプレイアイテムの総数を示す。
そして、各スレーブプレイ(P)アイテム情報126−subPTは、同図中で中央から右端へ向かって分岐する形で示されており、同図中で上から順に、スレーブプレイ(P)アイテム番号及びマスタープレイ(P)アイテムのスタートPTSを記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「スレーブPアイテム番号」は、当該サブパスにおけるプレイアイテムのID(識別)番号を示す。「マスタープレイアイテムのスタートPTS(プレゼンテーションタイムスタンプ)」は、マスタープレイアイテムの再生時間軸上における当該スレーブアイテムの再生時刻を示す。
他方で、図33において、アイテム定義テーブル126−3は、同図中で右下段へ分岐する形で示されており、同図中で上から順に、プレイ(P)アイテムの総数、複数のプレイ(P)アイテム204(即ち、Pアイテム#1、・・・、#n)等を記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「プレイアイテムの総数」は、当該アイテム定義テーブルにおけるアイテム204の総数を示す。
図36において、各アイテム204は、同図中で中央へ向かって右上側へ分岐する形で示されており、同図中で上から順に、プレイ(P)アイテム種類、ストリームオブジェクトプレイ(P)アイテム204-stream等を記録するための複数フィールドを有する。
ここに、「プレイ(P)アイテム種類」は、当該プレイアイテムの種類を示す。例えば、動画用のストリームオブジェクトのためのアイテムであれば、コード「00h」とされ、静止画用のオブジェクトのためのアイテムであれば、コード「10h」とされ、各種メニュー用のオブジェクトのためのアイテムであれば、コード「20h」とされる。
更に、ストリームオブジェクトプレイ(P)アイテム204-streamは、同図中で中央から右端へ向かって分岐する形で示されており、同図中で上から順に、各プレイアイテムに係る、ES(エレメンタリーストリーム)インデックス番号、INタイム(INポイント)、OUTタイム(OUTポイント)等を示す情報を有する。
ここに、「ESインデックス番号」は、INタイム及びOUTタイムが適用されるエレメンタリーストリームのID(識別)番号及び種類を示す。また、「INタイム(INポイント)」及び「OUTタイム(OUTポイント)」については、前述の通りであり、例えば90kHzの時間ベースで、当該アイテムの再生時刻及び終了時刻が記述される。
尚、図36において、アイテム定義テーブル126−3は、このようなストリームオブジェクト用、即ち動画用のアイテム204に代えて、静止画オブジェクト用のアイテム204-stillを含んでもよい。この場合には、アイテム204-stillは、プレイアイテムの種類を示す情報、静止画オブジェクトプレイ(P)アイテム等を有する。
尚、以上説明したタイトル情報セットにおける各々のデータ量は、固定バイトであってもよいし、可変バイトであってもよい。更に各フィールドは、必要な個数分の各テーブルを追加可能な構造を有してもよい。
本実施例では特に、図35に示したスレーブプレイ(P)アイテム情報126-subPTが、図20〜図28を参照して説明した「どこでもメニュー」を表示させるためのスレーブアイテムを指定する。そして、このスレーブアイテムは、図36に示したように、プレイリストエレメント126−2中の「マスターPアイテム番号」により示されるアイテム204に対応している。この結果、ビデオストリームに基づくタイトルの再生が、アイテム204を指定するストリームオブジェクトプレイアイテム204-stream(図36の右端参照)に従ってメインパスとして実行される。この実行と並行して、「どこでもメニュー」の再生が、スレーブアイテムを指定するスレーブアイテム情報126−subPTm(図35の右端参照)に従ってサブパスとして行われる。
(2)オブジェクト情報ファイル:
次に図37を参照して、「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータがサブピクチャーストリームとして主映像をなすビデオストリームなどと共に多重化されて記録されている場合のオブジェクト情報ファイル130について一具体例を挙げて詳細に説明する。ここに図37は、オブジェクト情報ファイル130内に構築されるAU(アソシエートユニット)テーブル131(図3参照)及びこれに関連付けられるES(エレメンタリーストリーム)マップテーブル134(図3参照)におけるデータ構成の一具体例を図式的に示すものである。
図37に示すように本具体例では、オブジェクト情報ファイル130内には、オブジェクト情報テーブル(オブジェクト情報table)が格納されている。そして、このオブジェクト情報テーブルは、図中上段に示すAUテーブル131及び下段に示すESマップテーブル134から構成されている。
図37の上段において、AUテーブル131は、各フィールド(Field)が必要な個数分のテーブルを追加可能な構造を有してもよい。例えば、AUが4つ存在すれば、該当フィールドが4つに増える構造を有してもよい。
AUテーブル131には、別フィールド(Field)に、AUの数、各AUへのポインタなどが記述される「AUテーブル総合情報」と、「その他の情報」とが格納されている。
そして、AUテーブル131内には、各AU#nに対応する各PU#mにおけるESテーブルインデックス#m(ES_table Index #m)を示すAU情報132Iとして、対応するESマップテーブル134のインデックス番号(Index番号=・・・)が記述されている。ここで「AU」とは、前述の如く例えばテレビ放送でいうところの「番組」に相当する単位(特に、「マルチビジョン型」の放送の場合には、切り替え可能な複数の「ビジョン」を一まとめとした単位)であり、この中に再生単位であるPUが一つ以上含まれている。また、「PU」とは、前述の如く各AU内に含まれる相互に切り替え可能なエレメンタリーストリームの集合であり、PU情報302Iにより各PUに対応するESテーブルインデックス#が特定されている。例えば、AUでマルチビューコンテンツを構成する場合、AU内には、複数のPUが格納されていて、夫々のPU内には、各ビューのコンテンツを構成するパケットを示す複数のエレメンタリーストリームパケットIDへのポインタが格納されている。これは後述するESマップテーブル134内のインデックス番号を示している。
図37の下段において、ESマップテーブル134には、フィールド(Field)別に、ESマップテーブル総合情報(ES_map table総合情報)と、複数のインデックス#m(m=1,2,・・・)と、「その他の情報」とが格納されている。
「ESマップテーブル総合情報」には、当該ESマップテーブルのサイズや、総インデックス数等が記述される。
そして「インデックス#m」は夫々、再生に使用される全エレメンタリーストリームのエレメンタリーストリームパケットID(ES_PID)と、それに対応するインデックス番号及びエレメンタリーストリームのアドレス情報を含んで構成されている。
本実施例では例えば、このアドレス情報、即ちESアドレス情報134dとして、前述のようにエレメンタリーストリームがMPEG2のビデオストリームである場合には、Iピクチャの先頭のTSパケット番号とこれに対応する表示時間のみが、ESマップテーブル134中に記述されており、データ量の削減が図られている。一方、サブピクチャストリームのESアドレス情報134dについては、SPコントロール情報が作用するSPデータのエレメンタリストリームのインデックス番号情報134eが記述されることにより、データ量の削減が更に図られている。
このように構成されているため、AUテーブル131から指定されたESマップ134のインデックス番号から、実際のエレメンタリーストリームのエレメンタリーストリームパケットID(ES_PID)が取得可能となる。また、そのエレメンタリーストリームパケットIDに対応するエレメンタリーストリームのアドレス情報も同時に取得可能であるため、これらの情報を元にしてオブジェクトデータの再生が可能となる。
以上説明した光ディスク100のデータ構造によれば、もし新しいタイトルを光ディスク100に追加する場合でも、簡単に必要な情報を追加できるので有益である。逆に、例えば編集等を行った結果、ある情報が不要になったとしても、単にその情報を参照しなければよいだけであり、実際にその情報をテーブルから削除しなくてもよい構造となっているため有益である。
尚、図37では、上段のAUテーブル131から参照しないES_PIDについても、下段のESマップテーブル134のインデックス別に記述してあるが、当該参照しないES_PIDについては、このように記述する必要はない。但し、このように参照しないES_PIDをも記述することで、より汎用性の高いESマップテーブル134を作成しておけば、例えば、オーサリングをやり直す場合など、コンテンツを再編集する場合にESマップテーブルを再構築する必要がなくなるという利点がある。
ここで図30から図37を参照して説明した一具体例の如きデータ構造を有する光ディスク100を再生する際の各種ファイル等の再生順序について説明を加える。
先ず、図30に示したタイトル情報セットのうち、ディスクヘッダ112xが再生される。その一貫として図31に示したタイトルテーブル112xttが再生され、そのうちタイトルメニュー開始アドレス又はタイトルコンテンツ開始アドレスが取得される。
次に、この取得されたアドレス情報に従って、図30に示したタイトル情報200の再生が開始される。より具体的には、図32に示したタイトルエレメント200−2の再生が行われ、プレイリストセット番号が取得される。更に、プレイリスト#1〜#kへのポインタ200PTが取得される。尚、ポインタ200PTによってプレイリスト126を指定する構成を採ることで、前にタイトルエレメント200−2の再生により特定されたプレイリストセット内にある複数のプレイリストを、複数のタイトル間で共用可能となる。
次に、図31に示したプレイリストセットテーブル112xptが再生され、プレイリストセット開始アドレスが取得される。これに基づいて、図33に示したプレイリストセット126Sの再生が開始され、先ずPLプレゼンテーション126−1xiが再生される。
次に、要求機能情報の一例たるPLプレゼンテーション126−1xiと、当該光ディスク100を再生中の情報再生システムの再生機能(即ち、ビデオパーフォーマンス、オーディオパーフォーマンス等)とが比較されることで、図33に示したプレイリストセット126S中から、最適なプレイリスト126が一つ選択される。
次に、この選択されたプレイリスト126の再生が行われる。より具体的には、図34に示したプレイリストエレメント126−2の再生が行われる。この際、先ずプリコマンド126PRが実行され、続いて、図35に示したマスターPアイテム番号が取得され、図36に示したアイテム定義テーブルが参照されることで、該当するアイテム204が再生される。このアイテム204の再生は、実際には、ストリームオブジェクトPアイテム204-streamを再生することで得られるESインデックス番号、INタイム及びOUTタイムに従って、該当するTSオブジェクトを再生することで行われる(図37参照)。その後、図34に示したポストコマンド126PSが実行され、更に、ネクスト情報126−6Nに従って、次に再生すべきプレイリストエレメントの指定が行われて、その再生が同様に繰り返して行われる。
次に図38を参照して、「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータが主映像をなすビデオストリームなどとは別オブジェクトとして記録されている場合のオブジェクト情報ファイル130について一具体例を説明する。ここに図38は、オブジェクト情報ファイル130内に構築されるAU(アソシエートユニット)テーブル131(図3参照)及びこれに関連付けられるES(エレメンタリーストリーム)マップテーブル134におけるデータ構成の一具体例を図式的に示すものである。本具体例では、主映像をなすビデオストリームなどはオブジェクト#1(TSオブジェクト)、「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータはオブジェクト#2として記録されている。
アイテム情報およびスレーブアイテム情報は、オブジェクト情報ファイル130内における該当オブジェクト番号を示す情報を更に有する。これらの該当オブジェクト番号、該当AU番号などにより該当オブジェクトが特定され、前述の再生シーケンス(図27及び図28参照)により再生される。多重化されて記録されていない「どこでもメニュー」用のオブジェクトデータは、読み込み時にメモリ550に保持(キャッシュ)される。
本実施例では特に、図36に示したストリームオブジェクトPアイテム204-streamをメインパス用に再生するのと並行して、これに対応する図35に示したスレーブプレイ(P)アイテム情報126-subPTもサブパス用に再生される。そして、係るマスタープレイ(P)アイテム情報126-2を再生することで得られる時間軸上のINタイム及びOUTタイムに従って、または、表示可能時間として、該当する「どこでもメニュー」用のTSオブジェクトデータを、サブパスとして再生する。これらにより、図20〜図28を参照して説明した「どこでもメニュー」がサブパスとして再生される。
以上図1から図38を参照して詳細に説明したように、本実施例によれば、例えばアイテムによるタイトルの再生及び表示出力中に、対応するスレーブアイテムによるメニューの再生を行うと共に該再生されたメニューの表示出力を選択的に行うことで、タイトル再生を継続したままで小ウインドウ表示や半透明のスーパーインポーズ表示などのメニュー画面の表示を効率的に行うことが可能となる。
尚、上述の実施例では、情報記録媒体の一例として光ディスク100並びに情報再生記録装置の一例として光ディスク100に係るレコーダ又はプレーヤについて説明したが、本発明は、光ディスク並びにそのレコーダ又はプレーヤに限られるものではなく、他の高密度記録或いは高転送レート対応の各種情報記録媒体並びにそのレコーダ又はプレーヤにも適用可能である。
例えば、図39に示されるように、プレイ(P)リスト中にスレーブPアイテム番号とマスターPアイテムのスタートPTSからなるデフォルトスレーブPアイテム情報126MIを持たせ、各Pリストエレメント内にサブパス情報がないとき、かかるデフォルトスレーブPアイテム情報126MIを共通に使用するようにしても良い。
また、どこでもメニュー用のTSパケットは、コンテンツのTSパケットと共に一つのTSオブジェクトに多重化されて記録されても良いし、コンテンツに対するオブジェクトとは別のTSオブジェクトに記録されていても良い。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう情報記録媒体、情報記録装置及び方法、情報再生装置及び方法、情報記録再生装置及び方法、記録又は再生制御用のコンピュータプログラム、並びに制御信号を含むデータ構造もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。