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JP2006105698A - 加速度角速度複合センサ - Google Patents

加速度角速度複合センサ Download PDF

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JP2006105698A JP2004290716A JP2004290716A JP2006105698A JP 2006105698 A JP2006105698 A JP 2006105698A JP 2004290716 A JP2004290716 A JP 2004290716A JP 2004290716 A JP2004290716 A JP 2004290716A JP 2006105698 A JP2006105698 A JP 2006105698A
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Koichi Sasakura
幸一 笹倉
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Abstract

【課題】 加速度角速度複合センサにおいて、簡単なセンサ構成で加速度や角速度の検出を可能にすると共に、駆動振動に起因するノイズの低減を可能にする。
【解決手段】 基板1と、基板1に変位可能に支持されている一対の振動子2と、基板1に固定され振動子2との間に電圧を印加する駆動固定電極3と、基板1に固定され検出軸方向における振動子2との間の静電容量の変化を検出する検出固定電極4と、を備え、振動子2が、駆動軸方向に変位可能に、かつ、検出軸方向の変位が抑制されて支持されたジンバル部5と、ジンバル部5に対して、検出軸方向に変位可能に、かつ、駆動軸方向の変位が抑制されてジンバル部5内に支持されたマス部6と、検出軸方向に変位可能に、かつ、駆動軸方向の変位が抑制されて検出固定電極4との間で静電容量の変化を検出する検出可動電極7と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、加速度および角速度を同時に1つのセンサデバイスで検出可能とする加速度角速度複合センサに関する。
例えば、自動車の姿勢制御やナビゲーションシステム等には、加速度センサと角速度センサ(ジャイロ、レートジャイロと呼ばれることもある)とが利用されているが、従来、加速度センサ1個とジャイロ1個というように別々に実装されることが多かった。中には、特許文献1で開示されている加速度センサとジャイロを同一平面内に配置したセンサや特許文献2で開示されている1つのセンサデバイスで加速度と角速度とを検出するセンサ(加速度角速度検出装置)も開示されている。
前述の特許文献1で開示されているセンサは、実質的には加速度センサとジャイロとは別々であり、それをシリコンウエハ面内に同時に配置したものである。
また、特許文献2に開示の加速度角速度検出装置においては、左右1対の振動子を有する複合センサであるが、駆動電極の配置および振動子がコの字形状をしていることから、駆動力印加時において駆動軸方向(X軸方向)に変位および/または振動(以下、単に変位と記載した場合、振動を含む)するだけでなく、特許文献2の図1において、はさみ振動のようにアーム部21a、突出部36aなどはY軸のプラス方向に、アーム部21b、突出部36bなどはY軸のマイナス方向に変位や振動が発生しやすい。このため、検出電極も駆動時にY軸方向に変位や振動が発生し易くなり、加速度又は角速度が印加していないにもかかわらずノイズ出力が発生し易い傾向にある。また、駆動時に検出電極もX軸方向に変位や振動することから、常に静電容量の変化が発生していることとなる。このため、検出回路の演算処理でノイズ成分をキャンセルするように設計されている。
特開平10−239347号公報(特許請求の範囲、図1) 特開2004−28869号公報(特許請求の範囲、図1)
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
上記従来技術の加速度および/または角速度センサにあっては、上述の特許文献1で開示されているセンサは、加速度センサ部および角速度センサ部において検出回路がそれぞれ必要となること、および振動子の数量が増加することからセンサが大きくなりやすい傾向にあるという問題がある。また、特許文献2に記載のセンサにおいては、ノイズ成分を除去する処理を行うために検出回路が複雑なものとなったりSN比の悪い出力となりやすいという不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、1つの簡単なセンサ構成で加速度や角速度の検出が可能になると共に、駆動振動に起因するノイズの低減が可能になる加速度角速度複合センサを提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の加速度角速度複合センサは、上面が絶縁性の基板と、基板に対して変位可能に基板上に支持されていると共に対称面を中心に左右対称に配置された一対の振動子と、基板上に固定され振動子との間に電圧を印加して振動子を対称面に直交する駆動軸方向に振動させる駆動固定電極と、基板上に固定され駆動軸方向に直交する検出軸方向における振動子との間の静電容量の変化を検出する検出固定電極と、を備え、振動子が、駆動軸方向に変位可能に、かつ、検出軸方向の変位が抑制されて支持された閉じた外枠部と、外枠部に対して、検出軸方向に変位可能に、かつ、駆動軸方向の変位が抑制されて外枠部内に支持された重量部と、検出軸方向に変位可能に、かつ、駆動軸方向の変位が抑制されて外枠部内で重量部及び基板に支持され検出固定電極との間で静電容量の変化を検出する検出可動電極と、を有することを特徴とする。
この加速度角速度複合センサでは、重量部及び検出可動電極が高い剛性を有する閉じられた外枠部内に支持されるため、駆動振動に起因する外枠部の撓みや変形に基づくノイズ成分の発生を抑制することができる。なお、本発明において「変位」には、「振動」も含むものとする。
また、本発明に係る加速度角速度複合センサは、検出可動電極が、重量部における駆動軸方向の変位を吸収すると共に検出軸方向の変位を伝達するダンパーを介して重量部に連結されていることを特徴とする。すなわち、この加速度角速度複合センサでは、駆動軸方向の変位を吸収する弾性部材又は緩衝部材である上記ダンパーで重量部と検出可動電極とが連結されているので、重量部が駆動軸方向に変位しても該変位の検出可動電極への伝達が抑制され、重量部の駆動軸方向の変位が検出可動電極と検出固定電極との間の静電容量に影響を与えることを防ぐ。
さらに、本発明に係る加速度角速度複合センサは、外枠部、重量部、検出可動電極及びダンパーが、重量部における検出軸方向の中心線を中心にした左右対称に配置されていることを特徴とする。すなわち、この加速度角速度複合センサでは、外枠部、重量部、検出可動電極及びダンパーが左右対称に配置されているので、重量部の中心線の左右で均等な変位が得られ、より高い精度で検出することができる。
また、本発明に係る加速度角速度複合センサは、検出可動電極が、検出軸方向に櫛歯が配列された櫛歯電極とされ、検出軸方向の両端部で基板及び重量部に支持されていることを特徴とする。すなわち、この加速度角速度複合センサでは、検出可動電極の両端部が基板及び重量部に支持されているので、検出可動電極が一端部のみ支持された片持ち状態の場合に比べて安定して偏りの少ない変位が可能になり、ノイズ成分をさらに低減させることができる。
また、本発明に係る加速度角速度複合センサは、一対の振動子が、駆動軸方向の変位を吸収すると共に検出軸方向の変位を伝達する同期梁を介して連結されていることを特徴とする。すなわち、連結されていない一対の振動子は、互いに僅かな寸法の違いによって駆動速度及び周波数に差異が生じるが、この加速度角速度複合センサでは、一対の振動子が上記同期梁で連結されているので、両振動子の駆動速度及び周波数を、同期梁で伝達して同期を図り、周波数及び振幅を一致させて検出精度を高めることができる。
また、本発明に係る加速度角速度複合センサは、一対の振動子が、半導体薄板又は半導体薄膜にフォトリソグラフィによるパターニングを施して形成されたものであることを特徴とする。すなわち、この加速度角速度複合センサでは、一対の振動子が露光技術によるパターニングで微細加工されたMEMS(微小電子機械システム:Micro Electro-Mechanical Systems)デバイスであるので、非常に微細で高い寸法精度が得られ両振動子の高い対称性を得ることができる。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る加速度角速度複合センサによれば、重量部及び検出可動電極が高い剛性を有する閉じられた外枠部内に支持されるため、駆動振動に起因する外枠部の撓みや変形に基づくノイズ成分の発生を抑制することができ、簡易な構成で高精度に加速度や角速度を検出することができる。したがって、ノイズ成分を除去する複雑な検出回路を用いずに高精度な検出ができるため、低コストで高性能なジャイロセンサとして、姿勢制御用やナビゲーションシステム用等に好適である。
以下、本発明に係る加速度角速度複合センサの一実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。
本実施形態の加速度角速度複合センサは、シリコン半導体プロセスで作製されたMEMS慣性複合センサであって、図1に示すように、上面が絶縁性の基板1と、基板1に対して変位可能に基板1上に支持されていると共に鏡面対称面SYを中心に左右対称に配置された一対の振動子2と、基板1上に固定され振動子2との間に電圧を印加して振動子2を鏡面対称面SYに直交するX軸方向(駆動軸方向)に振動させる駆動固定電極3と、基板1上に固定されX軸方向に直交するY軸方向(検出軸方向)における振動子2との間の静電容量の変化を検出する検出固定電極4と、を備えている。
上記基板1には、ガラス等の絶縁膜を上面に形成した基板又は全体が絶縁体の基板が用いられる。
上記振動子2、駆動固定電極3及び検出固定電極4は、後述するシリコン半導体プロセスにより同時に作製される。
図2は、図1における一対の振動子2のうち、一方の振動子2のみを示した図である。他方の振動子2も鏡面対称面SYを中心に対称配置され、同様の構造を有している。この振動子2は、X軸方向に変位可能に、かつ、Y軸方向の変位が抑制されて支持された閉じた枠状のジンバル部(外枠部)5と、ジンバル部5に対して、Y軸方向に変位可能に、かつ、X軸方向の変位が抑制されてジンバル部5内に支持されたマス部(重量部)6と、Y軸方向に変位可能に、かつ、X軸方向の変位が抑制されてジンバル部5内でマス部6及び基板1に支持され検出固定電極4との間で静電容量の変化を検出する検出可動電極7と、ジンバル部5のY軸方向両端に支持された一対のフレーム部8と、一対のフレーム部8の内側に支持された一対の駆動可動電極9と、を有している。
上記ジンバル部5は、X軸方向両端にそれぞれ設けられた第1駆動ビーム10を介して基板1上にX軸方向に変位可能に固定されている。これらの第1駆動ビーム10は、一端がジンバル部5のY軸方向中央に固定され、Y軸方向両端部へ細長く延在して他端が基板1上に固定されている。
上記マス部6は、Y軸方向両端にそれぞれ設けられたジンバルビーム11を介してジンバル部5内側にY軸方向に変位可能に固定されている。これらのジンバルビーム11は、一端がジンバル部5の内側かつY軸方向端部に固定され、X軸方向中央へ細長く延在して他端がマス部6のY軸方向端部に固定されている。
また、一対の検出可動電極7は、マス部6におけるX軸方向の変位を吸収すると共にY軸方向の変位を伝達するダンパー12を介してマス部6にそれぞれ連結されている。このダンパー12は、一つの検出可動電極7に対し、Y軸方向に2つ配列されている。これらのダンパー12は、一端がマス部6及び検出可動電極7のY軸方向端部にそれぞれ固定され、該一端からマス部6のY軸方向中心へと細長く延在する一対のY軸部12aと、Y軸部12aの他端を連結するX軸部12bと、で構成されている。このように、ダンパー12は、一対のY軸部12aとX軸部12bとでY軸方向に長くY軸方向に開口したコ字状に形成されているので、X軸方向には容易に弾性をもって変形し、Y軸方向には変形し難くなっている。
なお、ジンバル部5、マス部6、検出可動電極7及びダンパー12は、マス部6におけるY軸方向の中心線を中心にした左右対称に配置されている。
上記検出可動電極7及び上記駆動可動電極9は、X軸方向に延びる櫛歯がY軸方向に複数配列された櫛歯電極となっている。なお、一対の駆動可動電極9のうちジンバル部5側の駆動可動電極9は、X軸方向の両側に櫛歯が配列されており、ジンバル部5の反対側の駆動可動電極9は、ジンバル部5側の側部にのみ櫛歯が配列されている。
また、基板1上には、駆動可動電極9のうちジンバル部5側に向いた櫛歯に対向して駆動固定電極3が固定されて設けられている。これらの駆動固定電極3は、X軸方向に延びて駆動可動電極9の櫛歯間に配された櫛歯が、Y軸方向に複数配列された櫛歯電極となっている。
さらに、基板1上には、駆動可動電極9のうちジンバル部5側と反対側に向いた櫛歯に対向して駆動振幅検出用固定電極13が固定されて設けられている。この駆動振幅検出用固定電極13は、X軸方向に延びて駆動可動電極9の櫛歯間に配された櫛歯が、Y軸方向に複数配列された櫛歯電極となっている。
また、上記基板1上には、検出可動電極7に対向して検出固定電極4が固定されて設けられている。該検出固定電極4は、X軸方向に延びて検出可動電極7の櫛歯間に配された櫛歯が、Y軸方向に複数配列された櫛歯電極となっている。
上記検出可動電極7は、Y軸方向の両端部でそれぞれ検出ビーム14を介して基板1にY軸方向に変位可能に固定されている。これらの検出ビーム14は、一端が検出可動電極7のY軸方向端部に固定され、X軸方向に細長く延在して他端が基板1上に固定されている。
また、上記フレーム部8は、それぞれ第2駆動ビーム15を介して基板1にX軸方向に変位可能に固定されている。これらの第2駆動ビーム15は、一端がフレーム部8の内側に固定され、Y軸方向に細長く延在して他端が基板1上に固定されている。
図1において、一対の振動子2は、X軸方向の変位を吸収すると共にY軸方向の変位を伝達する同期梁16を介して連結されている。同期梁16は、一端が一方の振動子2におけるフレーム部8に固定され、該一端から駆動可動電極9のY軸方向中心へと細長く延在して該Y軸方向中心近傍で折り返し、さらに他方の振動子2におけるフレーム部8まで細長く延在して他端が該フレーム部8に固定されている。このように、同期梁16は、Y軸方向に長くY軸方向に開口したコ字状に形成されているので、X軸方向へ容易に弾性をもって変形する。
上記駆動振幅検出用固定電極13及び第2駆動ビーム15は、基板1上に形成された配線により、容量検出回路20に電気的に接続されている。検出固定電極4及び第2駆動ビーム15は、基板1上に形成された配線により容量検出回路23に電気的に接続されている。また、容量検出回路20は、振幅制御回路21に電気的に接続されている。また、駆動固定電極3は、基板1上に形成された配線により、交流電圧を印加して所定のX軸方向への振動を発生させる交流電圧源22に電気的に接続されている。また、交流電圧源22は、振幅制御回路21に電気的に接続されている。
上記容量検出回路20、23は、検出可動電極7と検出固定電極4との間の静電容量の変化及び駆動可動電極9と駆動振幅検出用固定電極13との間の静電容量の変化を検出する回路である。そして、上記振幅制御回路21は、容量検出回路20にて検出された静電容量の変化に基づいて、交流電圧源22を制御することで、上記振動の振幅を調整する回路である。
次に、本発明の加速度角速度複合センサにおける加速度及び角速度の検出方法を説明する前に、まず角速度センサ(ジャイロ)の動作原理について、図3を参照して説明する。
例えば、質量mのおもりを振幅DでX軸方向に角周波数ωxで振動させている時のおもりの位置は次(1)式で表される。
Figure 2006105698
ここで、Z軸周りの角速度Ωが作用したとするとコリオリ力F(coriolis)は(2)式となる。
Figure 2006105698
検出(Y)軸方向のダンピング係数をc、検出軸方向のバネ定数をkyとすると、Y軸方向の運動方程式は(3)式となる。
Figure 2006105698
この運動方程式を解くとY軸方向の変位Y(t)が(4)式のように求まる。
Figure 2006105698
Aはコリオリ力により生じたY軸方向の検出振幅、ψは駆動振動と検出振動の位相差である。検出振幅Aは(5−1)式である。
Figure 2006105698
ここで、ωyはY軸方向の共振周波数、Qyは検出軸方向のQファクタであり、振動の共振ピークの鋭さを表している。
上述したように、ωxで駆動している振動体に角速度Ωが作用した場合、振動体は駆動振動と同じ角周波数ωxで振動するが振幅、位相が異なる。ここで、ωx≒ωyの時、(5−1)式は(5−2)式の様に簡略化できる。一般的には、駆動軸方向の共振周波数と検出軸方向の共振周波数とは完全に一致させると、メカニカルカップリングにより駆動振動のエネルギーが検出軸方向にも漏れてしまい、角速度が印加していないにもかかわらず検出振動が発生してしまう。逆に、ωx/ωyを大きくしすぎたり、小さくしすぎたりすると、検出振幅が小さくなりすぎる傾向にある。従って、ωx/ωyは0.618から1.618が好適である。
ωx/ωyがこの範囲内にある時には検出振幅AはQyによる増倍効果が得られる。その検出振幅Aは駆動振幅D、Qyに比例し、ωyに逆比例するが、ωxにはほとんど関係ないことがわかる。このことから、より大きな感度を得るためには、
(1)駆動振幅を大きくする、
(2)検出軸方向の共振周波数を小さくする、
(3)検出軸方向のQファクタを大きくする、
が考えられる。
次に、本発明の加速度角速度複合センサにおける加速度及び角速度の検出方法を、図1及び図4、5を参照して説明する。
上述したように、フレーム部8、駆動可動電極9及びジンバル部5は一体に形成されており、フレーム部8及びジンバル部5は第1駆動ビーム10で支持されている。第1駆動ビーム10で支持されていることにより、フレーム部8、駆動可動電極9およびジンバル部5はX軸方向には変位しやすいが、Y軸方向には変位し難くなっている。
また、駆動固定電極3と駆動可動電極9とが櫛歯を向かい合わせた形の構造となっているが、駆動固定電極3及び駆動可動電極9にそれぞれ逆極の電圧を印加した場合、以下の(6)式に示す電極間に作用する静電引力により駆動固定電極3に対して駆動可動電極9がX軸方向に変位(振動)する。
Figure 2006105698
ここで、nは駆動固定電極3の櫛歯と駆動可動電極9の櫛歯との間で形成される間隔の数量、εは動作させる雰囲気の誘電率、tは駆動可動電極9の厚さ(Z軸方向の幅)、Vは印加電圧、dは駆動可動電極9の櫛歯及び駆動固定電極3の櫛歯の間隔である。
そのため、駆動可動電極9と一体に形成されているフレーム部8及びジンバル部5も駆動可動電極9と同期してX軸方向に変位(振動)する。このとき、図1において鏡面対称面SYを中心に配置された左右のフレーム部8、ジンバル部5及び駆動可動電極9は、鏡面対称面SYに対して対照的に変位(振動)する。
駆動可動電極9が変位(振動)した場合、駆動可動電極9と駆動振幅検出用固定電極13との櫛歯電極の重なり面積が変化する。この重なり面積が変化すると駆動可動電極9と駆動振幅検出用固定電極13との静電容量が変化する。この静電容量の変化から駆動可動電極9の変位や振幅を算出することができる。所望の駆動変位や駆動振幅が得られるように駆動可動電極9及び駆動固定電極3の少なくとも一方に印加する電圧を適宜調整する。
ここで、駆動固定電極3及び駆動可動電極9の少なくとも一方に電圧を印加した場合、ジンバルビーム11によりジンバル部5と連結支持されているマス部6は、図4に示すように、ダンパー12の変形を伴ってジンバル部5に同期してX軸方向に変位(振動)する。すなわち、図4において、マス部6を右側に変位させる電圧が印加されると、マス部6に対して右側のダンパー12における一対のY軸部12aが互い近接すると共に、左側のダンパー12における一対のY軸部12aが互いに離間するように変形することで、ダンパー12に連結された検出可動電極7をX軸方向(右側)に変位させることなくマス部6が右側に変位する。
ジンバルビーム11はマス部6をジンバル部5に対してX軸方向には変位し難く、かつY軸方向には変位し易いように設計されている。そのため、マス部6は、ジンバル部5がX軸方向に変位した場合、ジンバルビーム11に突っ張られる又は引っ張られることにより変位することになる。
この状態でZ軸周りの角速度が当該加速度角速度複合センサに作用したとすると、X軸方向に振動している構成要素すべてに(7)式に示すコリオリ力が作用する。
Figure 2006105698
ここで、Mは振動子のX軸方向に振動している構成要素すべての質量、vはその速度、ΩはZ軸周りの角速度である。
コリオリ力は振動している構成要素の速度と印加した角速度との外積であるため、構成要素の振動の向きと角速度の向きとによってY軸方向のプラス/マイナスが変化する。従って、鏡面対称面SYに対して対称な方向に振動している左右1対の振動子2の場合、上記構成要素に対して作用するコリオリ力は必ずY軸方向の符号が逆となる。
コリオリ力が作用すると、X軸方向に振動している構成要素はY軸方向の振動が励起されることとなるが、フレーム部8、駆動可動電極9及びジンバル部5はY軸方向には変位や振動がし難いように第1駆動ビーム10及び第2駆動ビーム15で基板1上に支持されていることから、フレーム部8、駆動可動電極9及びジンバル部5はY軸方向には振動できない。しかし、マス部6は、ジンバルビーム11によりY軸方向には変位や振動がし易いように連結支持されていることから、図5に示すように、コリオリ力によりY軸方向に振動することとなる。すなわち、図5において上方へマス部6を変位させるコリオリ力が発生すると、上下のジンバルビーム11がマス部6に固定された中央部分で僅かにくの字状に屈曲変形して、マス部6がジンバル部5に対して上方に変位することになる。このマス部6の変位に追従してダンパー12によって連結された検出可動電極7もY軸方向(上方)に変位する。
ダンパー12は、マス部6がX軸方向に変位(振動)した場合には、その変位(振幅)を吸収するように設計されている。また、検出可動電極7は、検出ビーム14によりX軸方向には変位(振動)し難く、かつY軸方向には変位や振動がし易く支持されている。そのため、マス部6がX軸方向に振動していたとしても、検出可動電極7はX軸方向には振動しない。しかし、コリオリ力によりマス部6がY軸方向に振動した場合、マス部6の振動に追従して、検出可動電極7はY軸方向に振動する。この振動により、検出可動電極7と検出固定電極4との櫛歯の間隔が変化し、静電容量が変化する。静電容量は、定常状態では以下の(8)式に示す通りであるが、角速度が印加して検出可動電極7が変位した時は以下の(9)式に示す通りである。
Figure 2006105698
Figure 2006105698
ここで、nは検出固定電極4の櫛歯の数量、Sは検出可動電極7と検出固定電極4との重なり面積、εは動作雰囲気の誘電率、gは定常状態での検出可動電極7の櫛歯と検出固定電極4との間隔、Δgは加速度および/または角速度印加によって検出可動電極7の櫛歯と検出固定電極4との間隔の変化量である。
本実施形態の加速度角速度複合センサを用い、駆動回路(図1に示す容量検出回路20、振幅制御回路21及び交流電圧源22)にて振動子2を駆動し、容量検出回路23にて検出可動電極7と検出固定電極4との静電容量の変化を読み取ることにより、角速度だけでなく加速度も測定できるようになる。
具体的には、本複合センサを利用したセンサデバイスにおいて、Z軸周りの角速度が作用した場合には、図1において鏡面対称面SYより左のマス部6と共に検出可動電極7が+Y軸方向に振動すると、図1において鏡面対称面SYより右のジンバル部5内の検出可動電極7は−Y軸方向に振動することとなる(以下、「右」及び「左」の記載は、図1における鏡面対称面SYを中心にした「右側」及び「左側」を意味する。)。従って、左の検出固定電極4と右の検出固定電極4とでは静電容量の変化の符号が逆符号、例えば、左が+C1(F)、右が−C1(F)となって現れる。そのため、左右の検出固定電極4の静電容量の変化を引き算することにより、角速度に比例した静電容量の変化を知ることができる。
また、Y軸方向の加速度が作用した場合には、左右のマス部6及び検出可動電極7は、共に同じ方向に変位する。例えば、左のマス部6及び検出可動電極7が+Y軸方向に変位したとすると、同様に右のマス部6及び検出可動電極7が+Y軸方向に変位することになる。従って、左右のジンバル部5内にある検出固定電極4では静電容量の変化の符号が同じとなる。そのため、左右の検出固定電極4の静電容量の変化を足し算することにより、加速度に比例した静電容量の変化を知ることができる。これらは、実際にはC/V変換回路により静電容量の変化を電圧の変化として読み取ることが好ましい。
このように本実施形態では、マス部6及び検出可動電極7が高い剛性を有する閉じられたジンバル部5内に支持されるため、ジンバル部5の撓みや変形に基づくノイズ成分の発生を抑制することができる。
また、X軸方向の変位を吸収するダンパー12でマス部6と検出可動電極7とが連結されているので、マス部6がX軸方向に変位しても該変位の検出可動電極7への伝達が抑制され、マス部6のX軸方向の変位が検出可動電極7と検出固定電極4との間の静電容量に影響を与えることを防ぐ。
また、ジンバル部5、マス部6、検出可動電極7及びダンパー12が、マス部6のY軸方向の中心線を中心にして左右対称に配置されているので、左右で均等な変位が得られ、より高い精度で検出することができる。
さらに、検出可動電極7の両端部が基板1及びマス部6に支持されているので、検出可動電極7が一端部のみ支持された片持ち状態に比べて安定して偏りの少ない変位が可能になり、ノイズ成分をさらに低減させることができる。
そして、一対の振動子2が同期梁16で連結されているので、両振動子2の駆動速度及び周波数を、同期梁16で伝達して同期を図り、周波数及び振幅を一致させて検出精度を高めることができる。
次に、本実施形態の加速度角速度複合センサにおける各構成要素の好適な寸法条件等について説明する。
フレーム部8及びジンバル部5は振動子として作用するため、幅が細すぎるとそれ自体が変形してしまい慣性センサとしての特性が悪化する。また、(6)式で示した静電引力にてフレーム部8及びジンバル部5を振動させる場合、フレーム部8及びジンバル部5が大きすぎると静電引力を発生させるための電圧を大きくする必要がある。そのため、本複合センサの利点である低消費電力を実現することが難しくなる傾向にあり、かつ、小型化が困難になる傾向にある。逆に小さくしすぎると、フレーム部8内部に形成している駆動可動電極9の前述した間隔の数量nが小さくなるため駆動力が小さくなり、フレーム部8及びジンバル部5の変位や振幅が小さくなりやすい傾向にある。
また、ジンバル部5内部に形成している検出可動電極7及び検出固定電極4も少なくなり、上記(8)式及び(9)式より加速度や角速度印加後の静電容量の変化が小さくなりやすい傾向にある。従って、フレーム部8及びジンバル部5の幅は5μmから100μmが好適である。また、フレーム部8及びジンバル部5を合わせた大きさは、X軸方向及びY軸方向の大きさがそれぞれ100μmから3mmが好適である。
駆動固定電極3及び駆動可動電極9の櫛歯は細くすると櫛歯自体が変形してしまい、櫛歯同士が接触してしまう可能性がある。櫛歯が接触してしまうと電位差がゼロとなるので静電引力が発生しない。逆に、櫛歯を太くするとフレーム部8内に形成できる櫛歯の数量が減少するため静電引力が小さくなる傾向にある。そのため、櫛歯の幅は1μmから30μmが好適である。
櫛歯の長さを長くすると櫛歯自体が変形して櫛歯同士が接触しやすい傾向にある。逆に、櫛歯の長さを短くすると振動子の変位および/または振幅が小さくなる傾向にある。従って、櫛歯の長さは1μmから30μmが好適である。
上記(6)式に示したように、駆動固定電極3と駆動可動電極9との櫛歯の間隔dを小さくすると静電引力を大きくすることができる。しかし、製造工程の観点からあまり小さくすることは難しく、また、小さくしすぎると駆動可動電極9の櫛歯が駆動固定電極3の櫛歯に接触しやすい傾向にある。逆に、櫛歯の間隔dを大きくすると静電引力が小さくなりやすく、所望の変位や振幅を得ることが難しい傾向にある。そのため、櫛歯の間隔dは0.5μmから10μmが好適である。
フレーム部8及びジンバル部5は、X軸方向(駆動軸方向)へのみ変位(振動)されることが好ましい。そのため、第1駆動ビーム10及び第2駆動ビーム15はX軸方向に短く、Y軸方向に長いように設計している。X軸方向の長さは短くすると製造し難くなる傾向にあり、太くするとフレーム部8及びジンバル部5の変位や振幅が小さくなる傾向にあり、所望の変位や振幅を得るためにはY軸方向の長さを長くする必要がある。Y軸方向の長さを長くすると本複合センサの大きさが大きくなる傾向にある。また、Y軸方向の長さを短くするとフレーム部8及びジンバル部5の変位や振幅が小さくなる傾向にあり、所望の変位や振幅を得るためにはX軸方向の長さを短くする必要がある。このように、第1駆動ビーム10及び第2駆動ビーム15のX軸方向の長さとY軸方向の長さとには相関関係があり、単独では設計することは難しい。したがって、X軸方向の長さ(駆動ビームの幅)は1μmから30μmが好適であり、Y軸方向の長さ(駆動ビームの長さ)は50μmから1mmが好適である。
フレーム部8及びジンバル部5がX軸方向に変位(振動)した時には、第1駆動ビーム10及び第2駆動ビーム15も同程度変位(振動)する。そのため、第1駆動ビーム10及び第2駆動ビーム15が駆動固定電極3及び駆動振幅検出用固定電極13並びにジンバル部5に接触しないためには、変位量または振幅よりも離れている必要がある。好適には、0.5μmから10μm離れていることが好ましい。0.5μmよりも小さいと振幅が小さくなり感度が小さくなる傾向にあり、10μmよりも大きいと本複合センサが大きくなる傾向にある。
左右のフレーム部8を連結している同期梁16は、右のフレーム部8と左のフレーム部8とが同じ速さで振動するためのものである。同期梁16のX軸方向の長さを短くすると製造し難くなる傾向にあり、長くすると変位や振幅が小さくなる傾向にあり、この時に所望の変位や振幅を得るためには、Y軸方向の長さを長くする必要がある。Y軸方向の長さを長くすると本複合センサの利点である小型化が困難になる。また、Y軸方向の長さを短くすると、所望の変位や振幅を得ることが難しくなる傾向にある。従って、X軸方向の長さ(同期梁16のビームの幅)は1μmから30μmが好適であり、Y軸方向の長さ(同期梁16のビームの長さ)は50μmから1mmが好適である。
駆動固定電極3、駆動振幅検出用固定電極13及び駆動可動電極9は細くすると、電圧を印加した時にそれ自体が変形しやすい傾向にある。逆に、太くすると本複合センサが大きくなる傾向にある。従って、駆動固定電極3、駆動振幅検出用固定電極13および駆動可動電極9は5μmから100μmが好適である。
フレーム部8及びジンバル部5はX軸方向には振動しているが、Y軸方向には振動できない。そのため、検出可動電極7をY軸方向(検出軸方向)に変位や振動をさせるのはマス部6である。上記(7)式に示すように、コリオリ力はX軸方向(駆動軸方向)に振動している振動子2の質量に比例する。
従って、高感度な複合センサを得るためにはマス部6を大きくする必要があるが、大きくすると本複合センサの利点であるセンサの小型化が難しくなる傾向にある。逆に、小さくすると感度が小さくなる傾向にある。そのため、マス部6のX軸方向の長さは50μmから1mmが好適であり、Y軸方向の長さはジンバル部5の大きさに依存し、マス部6がY軸方向に変位や振動した時にジンバル部5に接触しない程度離しておくことが好ましい。好適には、0.5μmから10μm離れていることが好ましい。0.5μmよりも小さいと製造誤差の観点から製造し難くなりすぎる傾向にあり、10μmよりも大きいと本複合センサが大きくなる傾向にある。
ジンバルビーム11は、マス部6をジンバル部5に対してX軸方向には変位や振動がし難く、Y軸方向には変位や振動がし易く連結支持している。ジンバルビーム11のX軸方向の長さはジンバル部5の大きさに依存し、Y軸方向長さはマス部6のY軸方向への変位や振幅の大きさの観点から、好適には0.5μmから10μmが好適である。0.5μmよりも小さいと製造誤差の観点から製造し難くなる傾向にあり、10μmよりも大きいとマス部6の変位および振幅が小さくなる傾向ある。
ダンパー12は、マス部6のY軸方向への変位や振動に同期させて検出可動電極7を変位や振動をさせるためのものである。しかし、マス部6のX軸方向への変位や振動は吸収され、検出可動電極7はX軸方向には変位や振動がし難く連結支持している。ダンパー12のY軸部12aはX軸方向に短く、Y軸方向に長く設計されている。Y軸方向の長さはマス部6のY軸方向の長さに依存する。Y軸方向の長さを短くするとマス部6のX軸方向への変位や振動を吸収し難く傾向にあり、ほぼ吸収するようにするためにはX軸方向の長さを短くする必要がある。逆に、Y軸方向の長さを長くすると、本複合センサの大きさが大きくなる傾向にある。また、X軸方向の長さを短くすると製造し難くなる傾向にある。逆に、X軸方向の長さを長くするとマス部6のX軸方向への変位や振動を吸収するためにはY軸方向の長さを長くする必要がある。したがって、ダンパー12のX軸方向の長さは0.5μmから10μmが好適であり、Y軸方向の長さは50μmから1.5mmが好適である。
ダンパー12のX軸部12bは、X軸方向の長さを短くすると一対のY軸部12aが接触してしまう傾向にあり、長くすると本複合センサが大きくなると共に、マス部6がY軸方向に変位や振動をしても検出可動電極7をマス部6に同期してY軸方向に変位や振動をさせることが難しくなる傾向にある。従って、X軸部12bのX軸方向の長さは1μmから30μmが好適であり、Y軸方向の長さは5μmから100μmが好適である。
検出ビーム14はその一端を基板1に固定され、他端にて検出可動電極7を支持しており、検出可動電極7がX軸方向には変位や振動をし難く、かつY軸方向には変位や振動がし易く設計されている。この検出ビーム14のX軸方向の長さは短くすると検出可動電極7の変位や振動が小さくなりすぎる傾向にあり、長くするとフレーム部8が大きくなり本複合センサが大きくなる傾向にある。Y軸方向の長さを長くすると検出可動電極7がY軸方向に変位や振動がし難くなる傾向にあり、短くすると製造することが困難になり易い。そのため、検出ビーム14のX軸方向の長さは10μmから1mmが好適であり、Y軸方向の長さは0.5μmから20μmが好適である。
次に、本実施形態の加速度角速度複合センサの製造方法について、図6及び図7を参照して説明する。
まず、図6の(a)に示すように、Si(シリコン)構造体層(半導体薄膜)31/酸化膜層32/Siハンドル層33の3層構造のSOIウエハ(半導体薄板)34を用意する。薄いSiの構造体を製作する場合、作りたい厚さのSiウエハでは機械的強度が小さいために製作できないが、Siハンドル層33と酸化膜層32との3層とすることにより製作工程中は充分な厚さをもち、最終的にはSiハンドル層33と酸化膜層32とを除去することにより所望の厚さのSi構造体を製作することができる。
なお、消費電力低減のために、使用するSi構造体層31は、できるだけ低抵抗なものが好ましい。しかしながら、低抵抗なSi構造体層31を有するSOIウエハ34は、比較的高価であるため、抵抗率としては、0.001Ωcm〜1Ωcmが好適である。
上記Si構造体層31(SOI層と呼ばれることもある)には、5μmから100μmが好適である。Si構造体層31が薄いとマス部6の質量が小さくなり加速度や角速度の感度が小さくなりすぎる傾向にある。逆に、Si構造体層31が厚いと製造工程の観点から駆動や検出の電極の櫛歯の間隔を小さくできない。そのため、駆動の静電引力が小さくなったり、検出可動電極7と検出固定電極4との間隔が大きくなったことによる定常時の静電容量が大きくなったりして、加速度や角速度の感度が小さくなりすぎる傾向にある。
酸化膜層32(BOX層と呼ばれることもある)の厚さは100nmから2μmが好適である。酸化膜層32が薄いとSiハンドル層33からSi構造体をリリースすることが難しくなる傾向にある。逆に、酸化膜層32が厚すぎるとウエハコストが高くなりすぎる傾向にある。次に、Siハンドル層33(ベースウエハと呼ばれることもある)の厚さは300μmから1mmが好適である。薄くなると大きな直径のウエハが使用できないため、1ウエハあたりの収量が小さくなり、本複合センサの製造コストが高くなる傾向にある。逆に、Siハンドル層33の厚さを厚くするとウエハ価格が高くなり、本複合センサの製造コストが高くなる。
最初に、SOIウエハ34を洗浄し、表面を清浄にする。次に、SOIウエハ34を、図6の(b)に示すように、熱酸化し、Si構造体層31及びSiハンドル層33表面に酸化膜(SiO2)35を形成する。さらに、Si構造体層31表面にフォトレジストをスピンコートして加熱した後、所望のマスクを通して露光する。その後、フォトレジストの現像、リンスを行った後、図6の(c)に示すように、加熱してパターニングされた第1のフォトレジスト36を固定する。
この第1のフォトレジスト36をマスクとして、図6の(d)に示すように、酸化膜35をフッ酸により選択的にエッチングした後、第1のフォトレジスト36を溶剤により除去する。再度、フォトレジストをスピンコートして加熱した後、別のマスクを通して露光する。その後、フォトレジストの現像、リンスを行った後、図6の(e)に示すように、加熱してパターニングされた第2のフォトレジスト37を固定する。
続いて、第2のフォトレジスト37をマスクとして、1回目のICP−RIE(誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング)装置によりSiの異方性深堀エッチングを行う。この時のエッチング深さは5μmから50μmが好適である。ここでのエッチング深さは最終的な複合センサでの基板1とSi構造体層31で構成される振動子2との間隔を意味している。そのため、このエッチング深さが浅いと基板1とSi構造体層31との間隔が小さいことを意味しており、この間隔が小さいと駆動振幅が小さくなる傾向にある。
その理由は、本複合センサを使用する雰囲気の気体の粘性抵抗の影響が大きくなる傾向にあるからである。逆に、前記エッチング深さを深くしようとすると原材料であるSOIウエハ34のSi構造体層31を厚くする必要があり、前述の通り、Si構造体層31が厚いと製造工程の観点から駆動や検出の電極の櫛歯の間隔を小さくできない。そのため、駆動の静電引力が小さくなったり、検出可動電極7と検出固定電極4との間隔が大きくなったことによる定常時の静電容量が大きくなったりして、加速度や角速度の感度が小さくなりすぎる傾向にある。
その後、図6の(f)に示すように、第2のフォトレジスト37を溶剤にて除去し、洗浄する。今度は、図6の(g)に示すように、酸化膜35をマスクとして2回目のICP−RIE装置によりSi異方性深堀エッチングを行う。この時のエッチング深さはSi構造体層31と酸化膜35との界面までエッチングする。そして、図6の(h)に示すように、2回目のSi異方性深堀エッチング用マスクである酸化膜35を除去し、洗浄する。このようにしてパターニングされたSi構造体層31は、一対の振動子2とされる。
次に、駆動固定電極3、駆動振幅検出用固定電極13及び検出固定電極4に電圧を供給したり、静電容量の変化を読み取ったりするための配線を作製する。
図7の(a)に示すように、洗浄したガラスの基板1表面に、図7の(b)に示すように、金属膜41を製膜する。具体的には、スパッタリング装置によりCr膜を製膜した後Au膜を製膜して金属膜41を形成する。Cr膜厚は10nmから100nmが好適である。Cr膜はガラスである基板1へのAu膜の接着力を高めるための接着層である。そのため、Cr膜が薄ければ薄いほど接着力は強くなるが、薄くしすぎると基板1全面にCr膜を製膜することが困難になる傾向にある。逆に、Cr膜を厚くしすぎると接着力が弱くなる傾向にある。Au膜は導電性を有していればよく、厚さ100nmから1μmが好適である。Au膜厚を小さくしすぎると、抵抗が高くなる傾向にある。逆に、大きくすると製造コストが高くなる傾向にある。
金属膜41表面にフォトレジストをスピンコートして加熱した後、所望のマスクを通して露光する。その後、フォトレジストの現像、リンスを行った後、図7の(c)に示すように、加熱してパターニングされた第3のフォトレジスト42を固定する。
続いて、第3のフォトレジスト42をマスクとして、Auエッチャント(ヨウ素1.2g+ヨウ化アンモニウム8g+水40ml+メタノール60ml)により金属膜41のAu膜を選択エッチングした後、蒸留水で洗浄する。Crエッチャント(硝酸ニアンモニウムセリウム(4)20g+過塩素酸5.2g+水88ml)により金属膜41のCr膜を選択エッチングし、洗浄する。その後、図7の(d)に示すように、フォトレジストを溶剤により除去する。このようにして基板1上にパターニングされた金属膜41は、駆動振幅検出用固定電極13及び検出固定電極4に電圧を供給したり、静電容量の変化を読み取ったりするための配線となる。
パターニングされたSi構造体層31を有するSOIウエハ34とパターニングされた金属膜41を有する基板1とを、図7の(e)に示すように、Si構造体層31が基板1側に向くように陽極接合する。最後に、SOIウエハ34の酸化膜層32を除去してSOIウエハ34からSi構造体層31を一対の振動子2としてリリースするために、図7の(f)に示すように、フッ酸にて酸化膜層32を除去し、洗浄し乾燥する。すなわち、振動子2が基板1上に部分的に固定されて、固定されていない部分は基板1から浮いた状態で支持される。このようにして、MEMSデバイスとして本複合センサが作製される。
このように本実施形態の複合センサは、一対の振動子2が露光技術によるパターニングで微細加工されたMEMSデバイスであるので、非常に微細で高い寸法精度が得られ両振動子2の高い対称性を得ることができる。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態の製造方法では、SOIウエハ34を原材料に使用したが、Siウエハを利用しても製作可能である。また、Siの異方性深堀エッチングにはICP−RIEを利用したが、通常のRIEにて製作することも可能である。他には、異方性Siウェットエッチングと等方性Siウェットエッチングとを交互に行うことにより、Siの異方性深堀エッチングを行うことも可能である。金属配線にはAu/Cr膜の金属膜41を利用したが、Pt/Ti膜のような他の金属膜41でも可能であるし、ITO(酸化インジウムスズ)やZnO(酸化亜鉛)のような透明導電膜を金属膜41としても利用可能である。
また、上記実施形態では、加速度と角速度とを同時検出する複合センサとしているが、加速度及び角速度の一方のみを検出するセンサとしても使用することができる。
本発明に係る一実施形態の加速度角速度複合センサにおいて、構造を配線状態と併せて示す平面図である。 本実施形態の加速度角速度複合センサにおいて、振動子を示す要部平面図である。 本実施形態において、ジャイロの動作原理を示す説明図である。 本実施形態において、駆動振動によるマス部及びダンパーの変位状態を示す要部の拡大模式図である。 本実施形態において、検出振動によるマス部及びダンパーの変位状態を示す要部の拡大模式図である。 本実施形態の加速度角速度複合センサの製造方法について、振動子作製までを図1のA線断面において工程順に示す断面図である。 本実施形態の加速度角速度複合センサの製造方法について、振動子作製以降を図1のA線断面において工程順に示す断面図である。
符号の説明
1…基板、2…振動子、3…駆動固定電極、4…検出固定電極、5…ジンバル部(外枠部)、6…マス部(重量部)、7…検出可動電極、8…フレーム部、12…ダンパー、13…駆動振幅検出用固定電極、16…同期梁、31…Si構造体層(半導体薄膜)、34…SOIウエハ(半導体薄板)、SY…鏡面対称面

Claims (6)

  1. 上面が絶縁性の基板と、
    前記基板に対して変位可能に前記基板上に支持されていると共に対称面を中心に左右対称に配置された一対の振動子と、
    前記基板上に固定され前記振動子との間に電圧を印加して前記振動子を前記対称面に直交する駆動軸方向に振動させる駆動固定電極と、
    前記基板上に固定され前記駆動軸方向に直交する検出軸方向における前記振動子との間の静電容量の変化を検出する検出固定電極と、を備え、
    前記振動子が、前記駆動軸方向に変位可能に、かつ、前記検出軸方向の変位が抑制されて支持された閉じた外枠部と、
    前記外枠部に対して、前記検出軸方向に変位可能に、かつ、前記駆動軸方向の変位が抑制されて前記外枠部内に支持された重量部と、
    前記検出軸方向に変位可能に、かつ、前記駆動軸方向の変位が抑制されて前記外枠部内で前記重量部及び前記基板に支持され前記検出固定電極との間で前記静電容量の変化を検出する検出可動電極と、を有することを特徴とする加速度角速度複合センサ。
  2. 前記検出可動電極が、前記重量部における前記駆動軸方向の変位を吸収すると共に前記検出軸方向の変位を伝達するダンパーを介して前記重量部に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の加速度角速度複合センサ。
  3. 前記外枠部、前記重量部、前記検出可動電極及び前記ダンパーが、前記重量部における前記検出軸方向の中心線を中心にした左右対称に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の加速度角速度複合センサ。
  4. 前記検出可動電極が、前記検出軸方向に櫛歯が配列された櫛歯電極とされ、前記検出軸方向の両端部で前記基板及び前記重量部に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度角速度複合センサ。
  5. 前記一対の振動子が、前記駆動軸方向の変位を吸収すると共に前記検出軸方向の変位を伝達する同期梁を介して連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度角速度複合センサ。
  6. 前記一対の振動子が、半導体薄板又は半導体薄膜にフォトリソグラフィによるパターニングを施して形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度角速度複合センサ。
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