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JP2006104139A - 炭化水素化合物のフッ素化方法 - Google Patents

炭化水素化合物のフッ素化方法 Download PDF

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JP2006104139A
JP2006104139A JP2004294233A JP2004294233A JP2006104139A JP 2006104139 A JP2006104139 A JP 2006104139A JP 2004294233 A JP2004294233 A JP 2004294233A JP 2004294233 A JP2004294233 A JP 2004294233A JP 2006104139 A JP2006104139 A JP 2006104139A
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fluorine
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perfluorocarbon
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Takayuki Ito
孝之 伊藤
Yuji Kaneko
祐士 金子
Taizo Ono
泰蔵 小野
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】含フッ素モノマーの中間体となり得る塩素原子やエステル基等を有する炭化水素系化合物を、より環境への負荷を少なくして、かつ、より効率的にフッ素化する方法を提供する。
【解決手段】塩素原子、−CO2R、−COX、−CH2OCOR、及び−CH2OSO2Rからなる群から選択された少なくとも一つの置換基(Rは炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)を有する炭素数2以上の炭化水素化合物を不活性ガスで希釈されたフッ素ガスとともにペルフルオロカーボン中に導入することを特徴とする炭化水素化合物のフッ素化方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素モノマー前駆体として有用な含フッ素化合物の製造方法および該製造法によって得られた新規フッ素化合物に関する。
含フッ素機能性ポリマーの前駆体として有用な含フッ素オレフィン類は、例えば、塩素原子を有する含フッ素化合物(好ましくはペルフルオロ化合物)に亜鉛やマグネシウムを作用させることにより、また、カルボキシル基を有する含フッ素化合物(好ましくはペルフルオロ化合物)の熱分解により得ることができる。(例えば特許文献1、2、3、4、非特許文献1)。
これらの塩素原子やカルボキシル基を有する多様な含フッ素化合物をテーラーメイドで合成するためには、適当な位置に塩素原子やカルボン酸誘導体(前駆体)を有する炭化水素化合物を通常の有機合成で合成した後、液相直接フッ素化反応を用いてフッ素化し、化合物中の水素原子をすべてフッ素原子に置換するのが好適である。
液相直接フッ素化反応の手法としては、光照射下、基質と100%フッ素ガスとを反応槽中に同時に添加する方法(例えば特許文献5)、および、非光照射下、基質と窒素等の不活性ガスで希釈されたフッ素ガスとを反応槽中に同時に添加する方法(例えば特許文献6、7、4)が知られているが、操作性および安全性の観点で後者の方が優れている。後者の場合、溶媒としてクロロフルオロカーボン類、中でも1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンが最も一般的に用いられているが、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタンはオゾン層破壊物質であり、環境への負荷が懸念される。また、これらの溶媒中で液相直接フッ素化反応を行った場合、化学量論的過剰量のフッ素ガスを用いても、基質添加後、相当量の水素含有中間体が残存し、完全フッ素化するためにベンゼン等の化合物を加えてさらにフッ素ガスを導入しなければならないことが多く、より効率的な反応条件の開発が望まれていた。
特開平11−335309号公報 米国特許第5350497号明細書 国際公開第WO01/46107号パンフレット 国際公開第WO00/56694号パンフレット 米国特許第4686024号明細書 米国特許第5093432号明細書 米国特許第5488142号明細書 J.Chem.Soc.;1953;1592−1597
したがって、本発明の目的は、含フッ素モノマーの中間体となり得る塩素原子やエステル基等を有する炭化水素系化合物を、より環境への負荷を少なくして、かつ、より効率的にフッ素化する方法を提供することにある。
入手容易でかつオゾン層破壊の問題がない不活性溶媒としてFC−72(ペルフルオロヘキサン)等のペルフルオロカーボン類(ヘテロ原子を有さない炭化水素類中の水素原子が全てフッ素原子に置き換わったもの)が考えられ、特許文献6、7、4等にも溶媒の例として挙げられている。しかし、非光照射下、不活性ガスで希釈したフッ素ガスを用いて、含フッ素モノマー中間体となり得る塩素原子やエステル基等を有する炭化水素系化合物を、反応後生成物との分離が容易な低沸点ペルフルオロカーボン類中でフッ素化した例は知られていない。これは、ヘテロ原子を全く含まない単純なペルフルオロカーボン類は、一般的に基質との相溶性が極めて悪く、反応溶媒として好ましくないと容易に想像できるためと思われる。しかしながら、本発明者らは、上記課題を解決するため、より環境負荷が小さく、よい効率的な反応条件探索の一貫としてペルフルオロカーボン中での反応を検討した結果、予期に反して優れた結果が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
上記課題は下記手段により達成される。
(1)塩素原子、−CO2R、−COX、−CH2OCOR、及び−CH2OSO2Rからなる群から選択された少なくとも一つの置換基(Rは炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)を有する炭素数2以上の炭化水素化合物を不活性ガスで希釈されたフッ素ガスとともにペルフルオロカーボン中に導入することを特徴とする炭化水素化合物のフッ素化方法。
(2)前記ペルフルオロカーボンが沸点85℃未満のペルフルオロカーボンであることを特徴とする(1)項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
(3)前記ペルフルオロカーボンがペルフルオロヘキサンであることを特徴とする(1)又は(2)項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
(4)前記炭化水素化合物を前記ペルフルオロカーボン中に導入する際の温度が−5℃〜30℃であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
(5)前記炭化水素化合物が下記一般式(I)または(II)で表される化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
Figure 2006104139
(式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に炭化水素基を表し、R1およびR2は互いに結合して環を形成しても良い。)
(6)前記炭化水素化合物が下式(III)で表される化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
Figure 2006104139
(7)完全フッ素化するのに必要な化学量論的過剰量のフッ素ガスを用いて完全フッ素化することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
(8)下式(IV)で表される化合物。
Figure 2006104139
本発明の方法によれば、含フッ素モノマーの中間体となり得る塩素原子やエステル基等を有する炭化水素系化合物を、より環境への負荷を少なくして、かつ、より効率的にフッ素化することができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明に用いられる炭化水素化合物は、塩素原子、−CO2R、−COX、−CH2OCOR、及び−CH2OSO2R(Rは炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)からなる群から選択された少なくとも一つの置換基を有する炭素数2以上(置換基−CO2R、−COX、−CH2OCOR、−CH2OSO2Rの炭素数は計算に入れない。)で水素原子を少なくとも一つ有する炭化水素化合物であり、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、二重結合や三重結合を含んでいてもよい。また、これらの炭化水素化合物は−O−、−C(=O)−、−SO2−等のフッ素化反応によって影響を受けない2価のヘテロ原子またはヘテロ原子団を含んでいてもよく、上記塩素原子以外のハロゲン原子を含んでいてもよい。炭素数の上限としては、好ましくは30以下であり、より好ましくは20以下である。
式中、Rは炭化水素基を表し、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、二重結合、三重結合および−O−、−C(=O)−、−SO2−等のフッ素化反応によって影響を受けない2価のヘテロ原子またはヘテロ原子団を含んでいてもよく、また、ハロゲン原子を含んでいてもよい。尚、便宜上Rは炭化水素基と称しているが、水素原子を全く含まないペルハロ基(炭化水素基中の水素原子がすべてハロゲン原子により置換された基)も包含するものとする。好ましい炭素数の範囲は、1〜30であり、より好ましくは1〜20である。Xはハロゲン原子であり、好ましくは塩素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
本発明に用いられる炭化水素化合物はフッ素原子を全く含んでいなくても良いが、ペルフルオロカーボンへの溶解性の観点でフッ素原子を有していることが好ましく、フッ素含量(分子中のフッ素原子の割合)としては、20〜85質量%が好ましく、さらに好ましくは30〜75質量%である。フッ素原子を含有する位置としては置換基−CO2R、−CH2OCOR、−CH2OSO2RのR中であってもよいし、それ以外でもよいが、単にペルフルオロカーボンへの溶解性を良化するという目的であれば、フッ素化反応後、所望の分子から切り離されるR中にフッ素原子を配置するのが好ましい。
本発明に用いられる炭化水素化合物は、好ましくは下記一般式(I)または(II)で表される化合物であり、これらは完全フッ素化した後、熱分解により容易にペルフルオロビニルエーテルへと誘導することができる。
Figure 2006104139
式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に炭化水素基を表し、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、二重結合、三重結合および−O−、−C(=O)−、−SO2−等のフッ素化反応によって影響を受けない2価のヘテロ原子またはヘテロ原子団を含んでいてもよく、また、ハロゲン原子を含んでいてもよく、R1およびR2は互いに結合して環を形成しても良い。便宜上、R1、R2、R3およびR4は炭化水素基と称しているが、水素原子を全く含まないペルハロ基も含むものとする。好ましい炭素数の範囲は、1〜30であり、より好ましくは1〜20である。上述のように、R3およびR4はフッ素化反応後、所望の分子から切り離されるパーツであり、ペルフルオロカーボンへの溶解性を良化するという目的からするとこれらにフッ素を含有させることが好ましい。R3はより好ましくはペルフルオロアルキル基である。また、R4のより好ましい態様としては、−(CH2)n(CF2)mZであり、nは1または2の整数を表し、mは1〜20の整数を表し、Zは水素原子またはフッ素原子を表す。
さらに、本発明に用いられる炭化水素化合物は、下式(III)で表される化合物も好ましい。
Figure 2006104139
以下に示すように、化合物(III)中の水素原子を全てフッ素原子に置換した化合物(IV)はアルコールとの反応により容易に対応するエステル(V)とすることができ、さらに亜鉛還元により2,3,3−トリフルオロアクリル酸エステルへと誘導することができる。
Figure 2006104139
本発明の反応で用いる液相(反応槽に予め添加しておく溶媒)は、ペルフルオロカーボンであり、具体例としては、ペルフルオロペンタン(異性体混合物であってもよい)、ペルフルオロヘキサン(異性体混合物であってもよい)、ペルフルオロオクタン(異性体混合物であってもよい)、ペルフルオロシクロペンタン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロメチルシクロヘキサン、ペルフルオロジメチルシクロブタン、ペルフルオロ-2-メチルペンタン、ペルフルオロデカリン等が挙げられ、より好ましくはペルフルオロヘキサン[異性体混合物であってもよい。また、FC−72(商品名、スリーエム社製)でもよい。]である。代表的な溶媒の沸点を以下に示す。
ペルフルオロペンタン29〜30℃
ペルフルオロヘキサン58〜60℃
ペルフルオロヘプタン80〜84℃
ペルフルオロオクタン99〜100℃
ペルフルオロ(メチルシクロペンタン)48℃
ペルフルオロシクロヘキサン59〜60℃
ペルフルオロ(メチルシクロヘキサン)76℃
ペルフルオロデカリン141〜142℃
本発明の反応で用いる液相は、好ましくは沸点が85℃未満のペルフルオロカーボンである。用いる液相の量としては、好ましくは添加する基質重量の5倍〜500倍であり、より好ましくは10倍〜300倍であり、さらに好ましくは20倍〜200倍である。
本発明の反応では、上記で説明した基質(炭化水素化合物)はニートで反応槽のペルフルオロカーボンに導入しても、溶媒で希釈して導入してもよいが、溶媒で希釈して導入するのがより好ましい。希釈溶媒としては、基質を溶解することのできるものであれば何でもよいが、好ましくはフッ素化されうる水素原子および不飽和結合ができるだけ少ないものであり、より好ましくは全くないものである。これらの溶媒の例としては、クロロホルム、AK−225(商品名、旭硝子社製)、ペンタフルオロシクロペンテン、クロロフルオロカーボン類(トリクロロフルオロメタン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等)、ペルフルオロエーテル類、ペルフルオロポリエーテル類、ペルフルオロアミン類および上記で説明したフルオロカーボン類が挙げられるが、最も好ましくは、反応槽に予め添加しておくペルフルオロカーボンと同じペルフルオロカーボンである。希釈溶媒の量としては好ましくは基質重量の1〜100倍であり、より好ましくは2〜50倍である。
本発明の反応ではフッ素ガスを不活性ガスで希釈して、基質とともに反応槽に添加する。不活性ガスとしては、窒素ガスまたはヘリウムガスが好ましく、経済的観点から窒素ガスがより好ましい。不活性ガス中のフッ素ガスの濃度としては好ましくは10〜50%であり、より好ましくは20〜30%である。
本発明の反応では、基質を不活性ガスで希釈されたフッ素ガスとともにパーフルオロカーボン中に導入するが、このときのフッ素ガス量としては完全フッ素化するのに必要な化学量論的過剰量であり、具体的には基質中の水素原子および不飽和結合の数に対してフッ素原子の数が常に1〜2倍当量を保って導入することが好ましく、より好ましくは1.2〜1.5倍当量である。また、このときの反応温度は好ましくは−50〜100℃であり、より好ましくは−20〜50℃であり、さらに好ましくは−10〜30℃であり、特に好ましくは−5〜30℃である。
上記のような条件で反応を行った場合、基質によっては、基質添加直後に完全フッ素化がほぼ終了している場合もあるが、水素含有中間体が残存してしまう場合もある。後者の場合、単にフッ素ガスを吹き込み続けるだけでは反応進行が極めて遅く、完全フッ素化を速やかに終了させるためには、反応促進剤とともにフッ素ガスをしばらく添加するといった操作が必要となる。反応促進剤としては、理論量に対してできるだけ少ないフッ素ガス(1当量以上は必要)で速やかに完全フッ素化が進行するものであれば何でもよいが、好ましくはペルフルオロカーボンに溶けるものであり、そのようなものとして例えば、トリフルオロメチルベンゼンやヘキサフルオロベンゼン等が挙げられる。促進剤の量としては、基質中の水素原子に対して好ましくは0.1〜20モル%であり、より好ましくは0.2〜5モル%である。促進剤はフッ素ガスが存在する状態で添加するのが好ましい。添加方法としては、促進剤を加えた後、フッ素を加圧注入してもよいし、基質添加時と同様に、促進剤とフッ素ガスとを同時に添加してもよい。
本発明の反応において、基質の水素原子をフッ素原子で置換する反応が起きた場合には、フッ化水素が副生する。このフッ化水素は、反応系にフッ化水素の捕捉剤を共存させるか、または、排ガス経路にフッ化水素捕捉剤を充填することによりトラップすることができる。フッ化水素捕捉剤としてはフッ化ナトリウムやフッ化カリウム等のアルカリ金属フッ化物が好ましく、フッ化ナトリウムが特に好ましい。
以下に本発明の具体的な実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
炭化水素化合物H−1のフッ素化によるペルフルオロ化合物F−1の製造例(1)
Figure 2006104139
500mlのテフロン製反応容器に溶媒(FC−72、商品名、スリーエム社製)(300ml)を入れ、25℃に保った。反応容器の出口には、NaFペレット充填層、および−40℃に保持した冷却器を直列に設置した。30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガス(以下、単にフッ素ガスと呼ぶ)を、60ml/minの速度で45分間吹き込んだ。フッ素ガスを同じ速度で吹き込みながら、炭化水素化合物H−1(7.92g、15mmol)のFC−72(100ml)溶液を0.233ml/minの速度で添加した。H−1添加終了後、フッ素ガスを同じ速度で30分間吹き込み、さらに30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ。溶媒を常圧にて留去し、19F−NMRで定量したところ、ペルフルオロ体F−1の生成率は92%であった。また、ガスクロマトグラフィー測定の結果、ペルフルオロ化合物F−1の他に、水素原子が一つ残存した化合物(以下1H体と呼ぶ)が認められたが、それらのガスクロマトグラフィー強度比はF−1/1H体≒212であった。
19F−NMR(282.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)(ppm):−77.60(1F)、−80.8〜−82.0(10F)、−85.7〜−87.3(2F)、−118.9(2F)、−122.0〜−123.3(9F)、−126.7(2F)
炭化水素化合物H−1のフッ素化によるペルフルオロ化合物F−1の製造例(2)
250mlのテフロン製反応容器に溶媒(FC−72)(175ml)を入れ、25℃に保った。反応容器の出口には、NaFペレット充填層、および−40℃に保持した冷却器を直列に設置した。30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ後、窒素ガスで20%に希釈したフッ素ガス(以下、単にフッ素ガスと呼ぶ)を、60ml/minの速度で45分間吹き込んだ。フッ素ガスを同じ速度で吹き込みながら、炭化水素化合物H−1(2.64g、5mmol)のトリクロロフルオロメタン(32ml)溶液を0.233ml/minの速度で添加した。H−1添加終了後、フッ素ガスを同じ速度で30分間吹き込み、さらに30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ。溶媒を常圧にて留去し、19F−NMRで定量したところ、ペルフルオロ体F1の生成率は80%であった。また、ガスクロマトグラフィー測定の結果、ペルフルオロ化合物F−1の他に、1H体および水素が複数残存する化合物が認められ、F−1と1H体のガスクロマトグラフィー強度比はF−1/1H体≒13.0であった。
炭化水素化合物H−2のフッ素化によるペルフルオロ化合物F−2の製造例
Figure 2006104139
1000mlのテフロン製反応容器に溶媒(FC−72)(700ml)を入れ、25℃に保った。反応容器の出口には、NaFペレット充填層、および−40℃に保持した冷却器を直列に設置した。30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ後、フッ素ガスを、60ml/minの速度で45分間吹き込んだ。フッ素ガスを同じ速度で吹き込みながら、炭化水素化合物H−2(3.28g、10mmol)のFC−72(150ml)溶液を0.5ml/minの速度で添加した。H−2添加終了後、フッ素ガスを同じ速度で30分間吹き込み、さらに30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ。溶媒を常圧にて留去し、19F−NMRで定量したところ、ペルフルオロ体F−2の生成率は88%であった。また、ガスクロマトグラフィー測定の結果、ペルフルオロ化合物F−2の他に、1H体が認められたが、それらのガスクロマトグラフィー強度比はF−2/1H体≒20であった。
19F−NMR(282.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)(ppm):−77.54(1F)、−80.9〜−82.0(10F)、−85.6〜−87.2(2F)、−118.9(2F)、−122.5(1F)、−127.4(2F)
炭化水素化合物H−3のフッ素化によるペルフルオロ化合物F−3の製造例
Figure 2006104139
500mlのテフロン製反応容器に溶媒(FC−72)(300ml)を入れ、25℃に保った。反応容器の出口には、NaFペレット充填層、および−40℃に保持した冷却器を直列に設置した。30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ後、フッ素ガスを、60ml/minの速度で45分間吹き込んだ。フッ素ガスを同じ速度で吹き込みながら、炭化水素化合物H−3(6.66g、15mmol)のFC−72(100ml)溶液を0.233ml/minの速度で添加した。H−3添加終了後、フッ素ガスを同じ速度で30分間吹き込み、さらに30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ。溶媒を常圧にて留去し、19F−NMRで定量したところ、ペルフルオロ体F−3の生成率は89%であった。また、ガスクロマトグラフィー測定の結果、ペルフルオロ化合物F−3の他に、1H体が認められたが、それらのガスクロ強度比はF−3/1H体≒156であった。蒸留精製後の19F−NMRは前記特許文献4(国際公開第WO00/56694号パンフレット)の値とよく一致した。
特許文献4記載の[例29]では、1,1,2−トリフルオロトリクロロエタン中に上記H−3の1,1,2−トリフルオロトリクロロエタン溶液およびフッ素ガスを同時に添加し、H−3の添加後さらにベンゼンおよびフッ素ガスを添加している。特許文献4の本文中には、フッ素化反応を効率的に進行させるためにベンゼンやトルエン等のC−H結合含有化合物をフッ素ガス存在下反応系に添加するのが好ましいとの記載があることから、上記[例29]ではH−3添加直後にはペルフルオロ化が完結していなかったことが覗われる(1,1,2−トリフルオロトリクロロエタンは現在日本では一般化学メーカーでは入手することができないため、特許文献4記載の[例29]を追試することはできなかった。)。これに対し、実施例1〜4ではH−3および類似エステルH−1、H−2をフッ素ガスとともに添加しただけで、ベンゼン処理することなく、ペルフルオロ化がほぼ完結していた。
炭化水素化合物H−4のフッ素化によるペルフルオロ化合物F−4の製造例
Figure 2006104139
250mlのテフロン製反応容器に溶媒(FC−72)(175ml)を入れ、0℃に保った。反応容器の出口には、NaFペレット充填層、および−40℃に保持した冷却器を直列に設置した。30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ後、フッ素ガスを、100ml/minの速度で45分間吹き込んだ。フッ素ガスを同じ速度で吹き込みながら、H−4(7.7g、15mmol)を0.023g/minの速度で添加した。反応温度20℃に上げた後、さらにヘキサフルオロベンゼン(0.38g)のFC−72(10ml)溶液を0.083ml/minの速度で添加した。その後、フッ素ガスを同じ速度で10分間吹き込み、さらに30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ後、溶媒を常圧にて留去した。19F−NMRで定量したところ、ペルフルオロ体F−4の生成率は85%であった。減圧にて蒸留することにより、F−4(6.2g、55%)を得た。19F−NMRは「Journal of Fluorine Chemistry」,112,(2001)p.109−116の値とよく一致した。
化合物(III)のフッ素化によるペルフルオロ化合物(IV)の製造例
Figure 2006104139
250mlのテフロン製反応容器に溶媒(FC−72)(175ml)を入れ、0℃に保った。反応容器の出口には、NaFペレット充填層、および−40℃に保持した冷却器を直列に設置した。30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ後、フッ素ガスを、60ml/minの速度で45分間吹き込んだ。フッ素ガスを同じ速度で吹き込みながら、化合物(III)(5.0g、19.7mmol)のトリクロロフルオロメタン(32ml)溶液を0.082ml/minの速度で添加した。反応温度20℃に上げた後、さらにヘキサフルオロベンゼン(0.38g)のFC−72(10ml)溶液を0.083ml/minの速度で添加した。その後、フッ素ガスを同じ速度で30分間吹き込み、さらに30ml/minの速度で窒素ガスを1時間吹き込んだ。溶媒を常圧にて留去し、19F−NMRで定量したところ、化合物(IV)の生成率は75%であった。減圧にて蒸留することにより、化合物(IV)(4.5g、51%)を得た。
19F−NMR(282.2MHz、溶媒:CDCl3、基準:CFCl3)(ppm):−63.5〜−67.7(4F)、−82.1(2F)、−121.6(1F)、−133.6(1F)

Claims (8)

  1. 塩素原子、−CO2R、−COX、−CH2OCOR、及び−CH2OSO2Rからなる群から選択された少なくとも一つの置換基(Rは炭化水素基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)を有する炭素数2以上の炭化水素化合物を不活性ガスで希釈されたフッ素ガスとともにペルフルオロカーボン中に導入することを特徴とする炭化水素化合物のフッ素化方法。
  2. 前記ペルフルオロカーボンが沸点85℃未満のペルフルオロカーボンであることを特徴とする請求項1に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
  3. 前記ペルフルオロカーボンがペルフルオロヘキサンであることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
  4. 前記炭化水素化合物を前記ペルフルオロカーボン中に導入する際の温度が−5℃〜30℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
  5. 前記炭化水素化合物が下記一般式(I)または(II)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
    Figure 2006104139
    (式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に炭化水素基を表し、R1およびR2は互いに結合して環を形成しても良い。)
  6. 前記炭化水素化合物が下式(III)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
    Figure 2006104139
  7. 完全フッ素化するのに必要な化学量論的過剰量のフッ素ガスを用いて完全フッ素化することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の炭化水素化合物のフッ素化方法。
  8. 下式(IV)で表される化合物。
    Figure 2006104139
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