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JP2006101832A - ビタミンc強化ペプチド含有食品 - Google Patents

ビタミンc強化ペプチド含有食品 Download PDF

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JP2006101832A JP2004296534A JP2004296534A JP2006101832A JP 2006101832 A JP2006101832 A JP 2006101832A JP 2004296534 A JP2004296534 A JP 2004296534A JP 2004296534 A JP2004296534 A JP 2004296534A JP 2006101832 A JP2006101832 A JP 2006101832A
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Kazuyuki Fujii
和之 藤井
Akira Yasuda
朗 安田
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Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo KK
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Hayashibara Biochemical Laboratories Co Ltd
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Abstract

【課題】
機能性を有するペプチドを含有する食品に対し、ビタミンC強化及び酸化防止の目的でビタミンCを添加することにより、ペプチド臭が強く発現し食品としての価値を損ねていた。このようなビタミンCを添加したペプチド含有食品において増強されるペプチドの苦味や臭いを効果的に抑制する方法が求められていた。
【解決手段】
上記ペプチドを含有する食品において、ビタミンC源としてL−アスコルビン酸グルコシドを添加し、食品を調製する。

Description

本発明は、ビタミンCが強化されたペプチド含有食品に関し、詳しくは、ペプチドを添加して調製された食品より生じるペプチド臭が抑制されたビタミンC強化ペプチド含有食品を提供する。
ペプチドとは、アミノ酸がペプチド結合(アミノ酸のα−カルボキシル基とα−アミノ基の間の脱水縮合)によって重合したものをいい、アミノ酸残基が2〜10個のものをオリゴペプチド、10〜50基からなるものをポリペプチド、それ以上のものとタンパク質を称している。
このペプチドは生理活性を有しており、具体的には代謝調節(記憶、睡眠、血糖値、血圧、免疫)、抗菌・抗ウイルス、抗腫瘍、呈味、酵素活性阻害、微生物の接合促進、抗酸化性、乳化性などを示すものが知られている。ペプチドは通常タンパク質を分解して得られ、近年では様々なペプチドの生理活性が認められている。例えば、魚類の細胞核にはアルギニンを主成分とする蛋白であるプロタミンが多く含まれており、このプロタミンを分解して得られるオリゴペプチドには抗アレルギー作用、美肌作用等の優れた効果があることが知られている。また、大豆ペプチドには、脳の機能を向上し、疲労を軽減するという新たな健康効用が見つかってきている。さらに、コラーゲンとコラーゲンペプチドを比較すると、コラーゲンペプチドが保水力の点で優れていることが知られている。その他にも血圧降下作用やコレステロール低下作用、学習促進作用や抗脱毛作用のような効果を示すものも知られている。
ペプチドはもとのタンパク質に比べその分子が小さく、また複数のアミノ酸残基が重合した構成であり、アミノ酸単体を吸収するよりも効率的で、人体への栄養分の吸収が効率的に行われるという効果が期待できることから、近年、様々な食品に添加され、健康食品、特定保健用食品として販売されている。
上述のようにペプチドには様々な機能性があり、多種多様な食品への添加が検討されているが、食品へ添加する際のペプチド自体の苦味や独特の臭いが問題とされていた。このペプチド独特の臭いを解決するために様々な方法が開示されている。具体的には、原料となるペプチドやタンパク質加水分解物の段階で苦味や臭いを低減する方法、即ちカゼインを酸性下でプロテアーゼ処理し、中性下でペプチダーゼ処理して分解し、限外濾過膜処理、陰イオン交換樹脂処理を行う方法(特許文献1)、15%トリクロル酢酸可溶率が特定範囲である大豆蛋白質加水分解物溶液を特定温度範囲で吸着剤処理することによる、不快臭がなく風味のよい大豆ペプチド混合物(特許文献2)、牛乳由来の蛋白質を蛋白加水分解酵素で処理し、分子量を特定値以上にした、酵素分解に伴う風味の劣化が少ないペプチド組成物(特許文献3)、動植物蛋白質を水系下にエンドプロテアーゼ及びエキソプロテアーゼを用い、中性域で酵素分解し吸着剤で処理等して、苦味、臭い、味が改善され、風味、嗜好性に優れた栄養補給剤として好適なオリゴペプチド混合物(特許文献4)、特定のアンギオテンシン変換酵素阻害ペプチド含有溶液を、平均細孔直径が特定の活性炭で処理することにより、阻害活性を低下させることなく、苦味や臭いを除去してペプチドを精製する方法(特許文献5)などが開示されている。或いは、食品に添加したペプチドの風味劣化を抑制する方法、具体的には、乳ペプチドとハーブエキスを含有する乳飲料(特許文献6)、トレハロースを用いてペプチド類特有の着色性を軽減し、臭い・味の嗜好性を改良する方法(特許文献7)、酸味料で予めpHを所定酸性領域に調整後、トレハロース等の非還元糖等で風味を整えることにより、加熱や長時間保存しても風味劣化を起こさないアミノ酸含有飲料(特許文献8)などが開示されている。
特許3233779号公報 特許3158849号公報 特許3071877号公報 特許2945995号公報 特開2002−119210号公報 特開2003−102380号公報 特開2002−187900号公報 特許2971855号公報
ところが、これらの技術を利用してペプチド独特の苦味・臭いを低減しても、食品に酸化防止剤や栄養素として添加されるビタミンCが存在することにより、ペプチドの苦味・臭いが強く発現することが明らかになった。
ペプチドを含有する食品にビタミンCを添加することで、効率よく栄養素を摂取することが可能になり栄養強化食品として望ましいものとなるが、強いペプチド臭は摂取の妨げになることから、早急にペプチド臭の抑制方法が求められていた。
即ち、機能性を有するペプチドを含有する食品にビタミンCを添加しても、強いペプチド臭を発現しない食品が求められていた。
本発明者らは、上記ペプチドを含有する食品に栄養価強化或いは食品の酸化防止の目的で、ビタミンCを添加しても、含有するペプチドの苦味・臭いが強く発現しない食品を提供するために鋭意検討を重ねた結果、ビタミンC源としてL−アスコルビン酸グルコシドを添加しペプチド含有食品を調製することにより、ペプチド臭の発現抑制が可能になるという知見を得て本発明を完成するに至った。即ち、本発明はビタミンC源としてL−アスコルビン酸グルコシドを添加することにより、ペプチド臭の発現が抑制されたペプチド含有食品に関し、また、ペプチド臭の抑制されたペプチド含有食品のビタミンC強化方法を提供するものである。
本発明によれば、ペプチド独特の苦味・臭いを生じていたペプチド含有食品において、従来の技術であるペプチド本来の苦味・臭いを抑制するだけでなく、栄養価強化或いは食品の酸化防止の目的で添加されているビタミンC存在下においてもペプチド臭の発現が抑制され、摂取しやすいビタミンC強化ペプチド含有食品を提供することが可能となる。
本発明は、各種ペプチドを含有する食品に栄養素強化の目的でビタミンCを添加しても、従来のようにペプチド臭を低減しただけでは不十分であった、ビタミンCを強化したペプチド含有食品を提供する。詳細には、従来問題となっていたペプチドとビタミンCが併存する食品において、ビタミンC源としてL−アスコルビン酸グルコシドを使用することにより、ペプチド臭の発現が抑制された食品を提供することができる。また、食品の調製時に発現するペプチドの苦味・臭いだけでなく、ペプチドが食品製造工程の熱履歴による熱劣化、食品の流通・保管時における様々な要因により発生する苦味・臭いまでも効果的に抑制することを特徴とする。
本発明で使用できるペプチドは、様々な蛋白原料から得られるペプチドを制限無く利用できる。例えば、大豆蛋白や乳蛋白、牛・豚・鳥・魚蛋白、卵蛋白などを加水分解して得られるものが好適に用いることができるが、これらは市販されている蛋白加水分解物を使用することもできる。具体的には牛蛋白由来コラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製 ペプタイドPRA)、魚蛋白由来コラーゲンペプチド(株式会社ニッピ製 ペプタイドFCP)、大豆蛋白由来ペプチド(不二製油株式会社製 ハイニュートR)、卵蛋白由来ペプチド(キユーピー株式会社製 EP−1)が例示できる。本発明で使用するペプチドには、アミノ酸や未分解の蛋白が含まれていてもよい。
本発明でビタミンC源として使用するL−アスコルビン酸グルコシドは、一般に流通している製品を利用することができる。L−アスコルビン酸グルコシドは、ビタミンCの、通常、2位へグルコースが結合した配糖体であり、5位、6位への配糖体も存在する。L−アスコルビン酸グルコシドは小腸粘膜酵素によって容易にビタミンCをグルコース分解され吸収される。
これらL−アスコルビン酸グルコシドとしては、いずれも市販されているものをそのまま利用することができる。具体的には、株式会社林原製の「L−アスコルビン酸グルコシド」が例示できる。
本発明を利用してペプチド臭を有意に抑制することができる食品に特に制限はないが、好適にはペプチドを含有する飲料である。具体的にはコーヒー、紅茶、酢含有飲料、炭酸飲料、果汁や果汁入り飲料、カクテルやチューハイなどの果汁入りアルコール飲料、ニアウォーターやスポーツドリンクなどの飲料類が挙げられる。その他、ゼリー、プリンやヨーグルト等のデザート類、ドリンクヨーグルト、シェーク飲料などの乳製品、ゼリー等のデザート、グミキャンディー、錠菓、タブレットなどの菓子類など、従来ビタミンCを酸化防止若しくは栄養価強化の目的で添加していた食品が例示できる。また、食品に限らず経口で摂取するドリンク剤などの医薬品、医薬部外品に添加することもできる。
特に、ペプチドを含有する食品は、その製造後から流通工程を経て店頭に陳列されるに至るまで、製造工程における加熱殺菌や長期保存時に受ける熱の影響を受ける場合があり、その結果食品の熱劣化が起こり、含有するペプチドが苦味や臭いの原因となり、食品の商品価値を低下させることとなる。
本発明に係るビタミンCを強化したペプチド含有食品の調製は、調製する食品の一成分としてL−アスコルビン酸グルコシドを添加するだけで良く、特別な製造装置や製造条件を整える必要がないため、工業的にも簡便に本発明を実施することができる。また、L−アスコルビン酸グルコシドの添加量、添加する時期については、添加する食品の種類、風味、製造方法などに応じて適宜増減、調節してもよい。L−アスコルビン酸グルコシドの添加量の例としては、飲料100部に対しL−アスコルビン酸グルコシド0.01〜5部、好ましくは0.05〜2部が例示できる。係る添加量は、ペプチドの添加量には影響を受けないため、製造者の所望するビタミンC量を添加することが可能となる。
本発明に係る食品には、本発明の構成に必要なペプチドとL−アスコルビン酸グルコシドに加え、食品に通常添加される各種成分を、本発明の効果を妨げない範囲で添加することもできる。例えばクエン酸、乳酸等の有機酸及び/又はその塩類、アラビアガム、タラガム、グルコマンナン、サイリウムシードガム、マクロホモプシスガム、微結晶セルロース、発酵セルロース、微小繊維状セルロース、化工澱粉、加工澱粉、ショ糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、澱粉糖化物、還元澱粉水飴、デキストリン、トレハロース、黒糖、はちみつ等の糖類、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール等の糖アルコール類、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリン等の高甘味度甘味料、アミノ酸、ミネラル、ビタミン類、ビタミンCを除く酸化防止剤を添加してもよく、さらに乳化剤や分散安定剤、例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、レシチン等が例示でき、これらの1種以上を製造する食品に応じ適宜組み合わせ添加することができる。
以下、本発明の内容を以下の試験例を用いて具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記に記載する処方の単位は特に言及しない限り、「部」は「重量部」を意味し、処方中「*」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標を、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の製品であることを示す。
実施例
以下の処方に基づきペプチドを含有する飲料、ゼリー、キャンデーを調製し、ビタミンC源無添加を標準とし、ビタミンC添加、L−アスコルビン酸グルコシド添加によるペプチド臭の発現の程度を官能評価により比較した。表1にはペプチド含有飲料の調製直後の香味評価結果、表2にはペプチド含有飲料の40℃2週間保存後の香味評価結果、表3にはペプチド含有ゼリーの調製直後の香味評価結果、表4にはペプチド含有キャンデーの調製直後の香味評価結果を示す。尚、ビタミンCとしての換算量が同程度になるように、L−アスコルビン酸グルコシドをビタミンCの2倍量添加し、各食品を調製した。
<ペプチド含有飲料の調製>
砂糖 10
クエン酸(無水) 0.1
ペプチド(詳細表1参照) 0.5
ビタミンC源 所定量(表1参照)
水にて全量 100 部

上記処方に基づき各原料を水に溶解し、93℃達温加熱し、200ml容ジュース瓶にホットパック充填した。
<ペプチド含有ゼリーの調製>
砂糖 5
果糖ブドウ糖液糖 18
難消化性デキストリン 3
(松谷化学工業(株)社製 ファイバーソル2H)
クエン酸三ナトリウム 0.1
ゲル化剤(ゲルアップ*WM−100※) 1.0
着色料(サンエロー*NO.2AU※) 0.01
ペプチド(詳細表3参照) 1.0
ビタミンC源 所定量(表3参照)
水にて全量 100 部

上記処方に基づき、ビタミンC源を除く各原料を水に溶解し、80℃10分間加熱溶解した。これにビタミンC源を添加溶解し、容器に充填後85℃30分間殺菌を行い、ゼリーを得た。
<ペプチド含有キャンデーの調製>
砂糖 65
水飴 45
水 30
クエン酸(無水) 1
甘味料(ネオサンマルク*AG※) 0.5
着色料(サンエロー*NO.2AU※) 0.01
ペプチド(詳細表3参照) 1.0
ビタミンC源 所定量(表3参照)
加熱後全量 100 部

砂糖、水飴、水を155℃まで煮詰め、その他の原料を添加し、キャンデーを成形した。
<評価>
+3 ペプチド臭が明らかに強く感じられる
+2 ペプチド臭が強く感じられる
+1 ペプチド臭がやや強く感じられる
0 標準品(ビタミンC源無添加品)と同等のペプチド臭
Figure 2006101832
Figure 2006101832
Figure 2006101832
Figure 2006101832
<結果>
表1、3、4の結果から、ビタミンCを添加したペプチド含有食品では、強いペプチド臭が発現した。これに対し、ビタミンC源としてL−アスコルビン酸グルコシドを添加したペプチド含有食品では、ペプチド臭はビタミンC源無添加のペプチド含有食品と同程度のペプチド臭を発現するに止まった。
表2の結果から、ビタミンCを添加したペプチド含有食品では、調製後の熱劣化によっても、強いペプチド臭が発現した。これに対して、ビタミンC源としてL−アスコルビン酸グルコシドを添加したペプチド含有食品では、ペプチド臭はビタミンC源無添加のペプチド含有食品と同程度のペプチド臭を発現するに止まった。
この結果より、ペプチド含有食品においてビタミンC源としてL−アスコルビン酸グルコシドを添加することにより、ペプチド臭を発現することなくビタミンCを強化したペプチド含有食品を提供できることがわかった。

Claims (6)

  1. ペプチド臭が抑制されていることを特徴とするビタミンC強化ペプチド含有食品。
  2. ビタミンC源としてL−アスコルビン酸グルコシドを添加する請求項1記載のビタミンC強化ペプチド含有食品。
  3. 添加されるペプチドが、大豆蛋白由来ペプチド、豚蛋白由来ペプチド、牛蛋白由来ペプチド、鳥蛋白由来ペプチド、魚蛋白由来ペプチド、小麦蛋白由来ペプチド、とうもろこし蛋白由来ペプチド、乳蛋白由来ペプチド及び卵蛋白由来ペプチドから選択される1種以上である請求項1又は2記載のビタミンC強化ペプチド含有食品。
  4. ペプチド臭が抑制されたことを特徴とするペプチド含有食品のビタミンC強化方法。
  5. ビタミンCがL−アスコルビン酸グルコシドである請求項4に記載のペプチド含有食品のビタミンC強化方法。
  6. 添加されるペプチドが大豆蛋白由来ペプチド、豚蛋白由来ペプチド、牛蛋白由来ペプチド、鳥蛋白由来ペプチド、魚蛋白由来ペプチド、小麦蛋白由来ペプチド、とうもろこし蛋白由来ペプチド、乳蛋白由来ペプチド及び卵蛋白由来ペプチドから選択される1種以上である請求項4又は5記載のペプチド臭が抑制されたペプチド含有食品のビタミンC強化方法。
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