JP2006199644A - 粉末化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 表面をカチオン性界面活性剤によって処理されたカチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体とを配合し、前記カチオン性界面活性剤処理粉体の基板となる粉体が白雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、絹雲母から選ばれる一種または二種以上であるものとする。
【選択図】 図1
Description
なかでも、窒化ホウ素は非常に優れた性質を有していることが知られているが、価格が高いため大量に使用することが困難であるという問題がある。そのため、安価で窒化ホウ素と伍する性質を持つ体質顔料が望まれている。
また、体質顔料の性質を変化させる方法として、表面処理が挙げられる。表面処理剤としては、金属石鹸処理、シリコーン処理、フッ素変性化合物による処理などさまざまなものが挙げられる。そのなかで、使用性を向上させる処理として、テトラアルキルアンモニウム塩に代表されるようなカチオン性界面活性剤で表面処理する方法が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。この方法は、表面の電荷が負となる顔料の表面をカチオン性界面活性剤にて処理するというものであり、滑らかさが非常に向上した粉体を得ることができる。
さらに、本発明者らはカチオン性界面活性剤にて表面処理を施した体質顔料と球状弾性樹脂粉体、色材等の粉体成分と油分とを混合・分散する際に種々の揮発性溶媒中で行い、これにより得られた粉体スラリーを既知のフィルタープレス成型や粉体スラリーを乾燥した後にプレス成型する方法により得られた化粧料は、従来の乾式混合法により得られたものと比較して、滑らかさ、フィット感がさらに向上していることが分かり、カチオン性界面活性剤処理粉体の特徴をより生かせ、しかも耐衝撃性がさらに向上することが分かった。
(カチオン性界面活性剤処理粉体)
本発明のカチオン性界面活性剤処理粉体において用いられるカチオン性界面活性剤は、肌なじみが良好で、肌への密着性に優れる界面活性剤であり、通常化粧料に使用されるカチオン性界面活性剤が挙げられ、特に下記一般式(1)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩が好ましい。
このようにすることにより、カチオン性界面活性剤が粉体表面に容易に、しかも強固に吸着するので、煮沸及び水洗などによって脱着することはなくなる。
本発明で用いられる球状弾性高分子粉体としては、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体、シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー粉体が挙げられ、このうちオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体が好ましい。シリコーンレジン被覆シリコーンエラストマー粉体としては、KSP−100(信越化学社製商品名)が挙げられる。
次に、オルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体について詳述する。
オルガノポリシロキサンエラストマ−球状粉体は、本発明の化粧料の肌への塗擦感を滑らかにし、のびの軽さ、さっぱりさ、ソフト感といった使用性を向上させ、シリコーン樹脂の配合量を増すことなく、毛穴かくし効果を増大させるために好ましい成分である。本発明において配合するオルガノポリシロキサンエラストマー球状粉体の原料となる硬化性オルガノポリシロキサン組成物の種類は特に限定されるものでなく、けい素原子結合水素原子含有ジオルガノポリシロキサンとけい素原子結合ビニル基を有するオルガノポリシロキサンを白金系触媒存在下に付加反応により硬化する付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物;分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンとけい素原子結合水素原子を有するジオルガノポリシロキサンを有機錫化合物の存在下で脱水素反応させ硬化する縮合反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物;分子鎖両末端に水酸基を有するジオルガノポリシロキサンと加水分解性のオルガノシラン類とを有機錫化合物ないしチタン酸エステル類の存在下に縮合反応させ硬化する縮合反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物(ここで縮合反応として脱水、脱アルコール、脱オキシム、脱アミン、脱アミド、脱カルボン酸、脱ケトンが例示される。);有機過酸化物触媒により加熱硬化する過酸化物硬化型オルガノポリシロキサンエラストマー組成物;γ線、紫外線または電子照射により硬化する高エネルギー線硬化型オルガノポリシロキサン組成物が例示される。
本発明においては、粉末化粧料の製法として、カチオン性界面活性剤にて表面処理を施したカチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体等の粉体成分と油分とを混合・分散する際に種々の揮発性溶媒中で行い、得られた粉体スラリーを既知のフィルタープレス成型や粉体スラリーを乾燥した後にプレス成型する方法をとることが好ましい。この結果得られる化粧料は、従来の乾式混合法により得られたものと比較して、滑らかさ、フィット感がさらに向上し、球状弾性高分子粉体およびカチオン性界面活性剤処理粉体の特徴をより生かすことができる。
かくして、本発明の粉末化粧料は、上記したカチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体と、油分と、揮発性溶媒とを少なくとも含む材料を混合および/または分散および/または粉砕して得られたスラリーを中皿に充填して、吸引プレス成型することにより得られる。また、カチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体と、油分と、揮発性溶媒とを少なくとも含む材料を混合および/または分散および/または粉砕して得られたスラリーを中皿に充填して、蒸発乾燥により溶媒を除去した後、プレス成型することにより得られる。
また本発明によれば、上記したカチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体と、不揮発性油分とを少なくとも含む材料を揮発性溶媒に混合および/または分散および/または粉砕して得られたスラリーを蒸発乾燥させて得られた複合粉体を配合することによって得られる化粧料が提供される(請求項6)。
本発明の粉末化粧料は、上記必須成分以外に、必要に応じて、水、上記以外の粉末、油分、界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、保湿剤、防腐剤、高分子(被膜剤を含む)、酸化防止剤、紫外線防御剤、香料、その他の各種薬剤等を本発明の所期の効果を損なわない質的、量的範囲で含有させることが可能である。
本発明で用いられる油分の配合量は15%以下であり、好ましくは10%以下である。15%を超えるとカチオン性界面活性剤の処理したことにより得られる特徴(特に滑らかさ)が損なわれる。
1.5重量部のジステアリルジメチルアンモニウムクロライドを700重量部の80℃にあらかじめ加温した水に添加し、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドが溶解したことを確認した後、100重量部の粉体に添加し、80℃に加温した状態で攪拌混合する。その後、この分散物をろ過し、得られた粉体を再度700重量部の温水(80℃)にて洗浄を行い、再度ろ過して得られた粉末ケーキを70℃のオーブンに一昼夜放置し、乾燥、粉砕することにより所望の粉体を得た。
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドに代えてジラウリルジメチルアンモニウムクロリドを用いた以外は製造例1と同様にしてカチオン性界面活性剤処理粉体を製造した。
ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドに代えてトリメチルステアリルアンモニウムクロリドを用いた以外は製造例1と同様にしてカチオン性界面活性剤処理粉体を製造した。
10名の化粧品専門パネルに、上記の製造例1のカチオン性界面活性剤処理した粉体および未処理状態の粉体を肌に塗布してもらい、処理前後での違いを各々に対して、「肌なじみ感」、「肌への密着感」、「なめらかさ」の各評価項目について、下記の評価基準に基づき7段階評価してもらい、更に各パネルの評点の平均点より、下記判定基準に従って判定した。その結果を表1に示す。
[7段階評価方法]
まったく感じない:0点
感じない :1点
やや感じない :2点
どちらでもない :3点
やや感じる :4点
感じる :5点
とても感じる :6点
◎:評点の平均点が5点以上
○:評点の平均点が4点以上、5点未満
△:評点の平均点が2.5点以上、4点未満
×:評点の平均点が2.5点未満
2t/cm2の圧力にて対象となる粉末を打錠し、ペレットを得る。そのペレットの上に水滴を所定量滴下し、水滴の状態を画像化して接触角を算出した。
次の表2、表3に示す処方でファンデーションを調製し、粉体のカチオン処理の有無による検討を行った。得られたファンデーションについて、「肌へのなじみ」、「肌への密着性」、「なめらかさ」の各評価項目について、上記の評価方法で判定した。その結果を併せて表2、表3に示す。
次の表4に示す処方で下記の方法によりファンデーションを調製し、粉体のカチオン処理の有無による検討を行った。得られたファンデーションについて、「肌なじみ感」、「肌への密着感」、「なめらかさ」の各評価項目について、上記の評価方法で判定した。また、「耐衝撃性」について、下記の評価方法で判定した。その結果を併せて表4に示す。なお表中、球状シリコーンエラストマーは、トレフィルE−506C(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製;商品名)を用いた。
表中の粉末部と80℃に加温したオイル部をヘンシェルミキサーにて混合し、パルペライザーで2回粉砕した後、樹脂中皿に乾式プレス成型した。
樹脂中に試料をプレス成型し、化粧品用のコンパクト容器にセットしサンプルとした。厚さ20mmの鉄板上に高さ30cmからサンプルを水平状態にて落下し、破損するまでの落下回数を耐衝撃性の評価とし、6回以上を合格とした。
実施例5−1
表5に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、パルペライザーにて粉砕を行った。得られた粉末・油分混合物100重量部に対して、軽質流動イソパラフィンを50重量部加え、ディスパーミキサーにて混合した。得られたスラリーを樹脂中皿に射出充填し、その後フィルタープレス成型機にてプレス成型し、60℃にて24時間乾燥させて、ファンデーションを得た。
表5に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、パルペライザーにて粉砕を行った。得られた粉末・油分混合物100重量部に対して、軽質流動イソパラフィンを50重量部加え、ディスパーミキサーにて混合した。得られたスラリーを金属中皿に充填し、60℃にて24時間乾燥させて、その後プレス成型してファンデーションを得た。
表5に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部および軽質流動イソパラフィン(対(粉末部+油相部)で50重量部)を添加し、ディスパーミキサーにて粗混合し、得られたスラリーをサンドグラインダーミル(メディア:ジルコニアビーズ1mmφ)にて分散・粉砕を行った。得られたスラリーを樹脂中皿に射出充填し、その後フィルタープレス成型機にてプレス成型し、60℃にて24時間乾燥させて、ファンデーションを得た。
表5に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部および軽質流動イソパラフィン(対(粉末部+油相部)で50重量部)を添加し、ディスパーミキサーにて粗混合し、得られたスラリーをサンドグラインダーミル(メディア:ジルコニアビーズ2mmφ)にて分散・粉砕を行った。得られたスラリーを金属中皿に充填し、60℃にて24時間乾燥させて、その後プレス成型してファンデーションを得た。
表5に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部に添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、パルペライザーにて粉砕を行った。得られた粉末・油分混合物100重量部に対して、軽質流動イソパラフィンを50重量部加え、ディスパーミキサーにて混合した。得られたスラリーを減圧乾燥して得られた粉体をパルペライザーにて粉砕して、複合粉体を得た。この複合粉体を樹脂中皿に充填し、プレス成型することでファンデーションを得た。
表5に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部および軽質流動イソパラフィン(対(粉末部+油相部)で50重量部)を添加し、ディスパーミキサーにて粗混合し、得られたスラリーをサンドグラインダーミル(メディア:ジルコニアビーズ1mmφ)にて分散・粉砕を行った。得られたスラリーを減圧乾燥して得られた粉体をパルペライザーにて粉砕して、複合粉体を得た。この複合粉体を樹脂中皿に充填し、プレス成型することでファンデーションを得た。
表5に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、パルペライザーにて粉砕を行った。得られた粉末を樹脂中皿に充填し、プレス成型することでファンデーションを得た。
表6に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、パルペライザーにて粉砕を行った。得られた粉末を樹脂中皿に充填し、ルースパウダーを得た。
表7に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、パルペライザーにて粉砕を行った。得られた粉末を樹脂中皿に充填し、プレス成型することでおしろいを得た。
表8に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、パルペライザーにて粉砕を行った。得られた粉末を樹脂中皿に充填し、プレス成型することでアイシャドウを得た。
表9に示す処方中の粉末部に80℃に加温して溶解させた油相部を添加し、ヘンシェルミキサーにて混合後、パルペライザーにて粉砕を行った。得られた粉末を樹脂中皿に充填し、プレス成型することでパウダリーファンデーションを得た。
Claims (6)
- 表面をカチオン性界面活性剤によって処理されたカチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体とを配合し、前記カチオン性界面活性剤処理粉体の基板となる粉体が白雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、絹雲母から選ばれる一種または二種以上であることを特徴とする粉末化粧料。
- 前記球状弾性高分子粉体が、オルガノポリシロキサンエラストマ−球状粉体であることを特徴とする請求項1記載の粉末化粧料。
- 前記カチオン性界面活性剤処理粉体が下記一般式(1)で示されるテトラアルキルアンモニウム塩で表面処理された無機粉体であることを特徴とする請求項1記載の粉末化粧料。
- 前記粉末化粧料が、カチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体と、油分と、揮発性溶媒とを少なくとも含む材料を混合および/または分散および/または粉砕して得られたスラリーを中皿に充填して、吸引プレス成型することにより得られたものであることを特徴とする請求項1記載の粉末化粧料。
- 前記粉末化粧料が、カチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体と、油分と、揮発性溶媒とを少なくとも含む材料を混合および/または分散および/または粉砕して得られたスラリーを中皿に充填して、蒸発乾燥により溶媒を除去した後、プレス成型することにより得られたものであることを特徴とする請求項1記載の粉末化粧料。
- 白雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、絹雲母から選ばれる一種または二種以上よりなる基板粉体の表面をカチオン性界面活性剤によって処理したカチオン性界面活性剤処理粉体と、球状弾性高分子粉体と、不揮発性油分とを少なくとも含む材料を揮発性溶媒に混合および/または分散および/または粉砕して得られたスラリーを蒸発乾燥させて得られた複合粉体を配合したことを特徴とする化粧料。
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