JP2006152393A - 鋼管の冷却方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 薄肉鋼管を焼入れする際に生じる曲がりを、鋼管の製造効率を低下させることなく効果的に抑制することのできる冷却方法を提供する。
【解決手段】 水平に配置された鋼管Pを周方向に回転させながら、鋼管P内に冷却水W1を噴射することにより鋼管内面の冷却を行うと共に、鋼管Pの軸方向に沿って鋼管外面に平面状の冷却水W2を上方から流下させることにより鋼管外面の冷却を行う鋼管の冷却方法であって、冷却する鋼管Pの肉厚と外径との比は3.8%以下であり、前記鋼管内面の冷却を前記鋼管外面の冷却よりも10秒以上先行して開始することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 水平に配置された鋼管Pを周方向に回転させながら、鋼管P内に冷却水W1を噴射することにより鋼管内面の冷却を行うと共に、鋼管Pの軸方向に沿って鋼管外面に平面状の冷却水W2を上方から流下させることにより鋼管外面の冷却を行う鋼管の冷却方法であって、冷却する鋼管Pの肉厚と外径との比は3.8%以下であり、前記鋼管内面の冷却を前記鋼管外面の冷却よりも10秒以上先行して開始することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、薄肉鋼管を焼入れする際に生じる曲がり(焼曲がり)を効果的に抑制することのできる鋼管の冷却方法に関する。
鋼管を焼入れする際には、その冷却むら等に起因して、曲がり(鋼管の軸方向についての湾曲)の生じることが知られている。特に、肉厚(t)と外径(D)との比(t/D)が小さい(3.8%以下程度)薄肉鋼管を焼入れする際には、問題となるような大きな曲がりが生じ易い。斯かる鋼管の曲がり(焼曲がり)等の変形を抑制するべく、従来より、種々の冷却方法が提案されている。
例えば、冷却の初期段階においては緩冷却を行って管表面各部の温度差を小さくした後に、通常の強冷却を行うことにより、管の曲がりを抑制する冷却方法(熱処理方法)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。なお、特許文献1には、管の外面冷却のみを行う構成が開示されている。
また、管全体を均一に且つ短時間で冷却することを目的として、管内へ噴流水をその一端から吹込むと共に、該管の外面側をそのほぼ全長にわたりノズルから噴射させる噴流水の衝突により冷却する方法において、内面噴流水の吐出端側ほど、外面冷却の噴射水量を大とする、又は外面冷却の冷却開始時期を早める、或いは外面冷却の冷却終了時期を遅らせる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特公平2−7372号公報
特公昭61−4896号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、初期段階において緩冷却を行う必要がある上、管の外面冷却のみを行う構成であるため、必然的に冷却時間が長くなってしまい、管の製造効率が低下するという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法では、管の軸方向について外面冷却の噴射水の水量や噴射するタイミングを異ならせる必要があり、装置構成や制御方法が複雑化するという問題がある。また、管全体を均一に冷却できることは開示されているものの、焼曲がりの抑制効果については具体的な開示がない。特に、冷却対象として例示されている鋼管のt/Dは、約7.5%(=8.6/114)(特許文献2の第2頁右欄第13行)であり、t/Dが3.8%以下の薄肉鋼管について焼曲がりを抑制できるか否かについては、何ら開示も示唆もされていない。
本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、薄肉鋼管を焼入れする際に生じる曲がりを、鋼管の製造効率を低下させることなく効果的に抑制することのできる冷却方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するべく、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、鋼管の内外面を共に冷却する冷却方法において、鋼管内面の冷却を鋼管外面の冷却よりも10秒以上先行して開始する構成を採用することにより、t/Dが3.8%以下の薄肉鋼管であっても、鋼管の製造効率を低下させることなく効果的に焼曲がりを抑制することが可能であることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載の如く、水平に配置された鋼管を周方向に回転させながら、鋼管内に冷却水を噴射することにより鋼管内面の冷却を行うと共に、鋼管の軸方向に沿って鋼管外面に平面状の冷却水を上方から流下させることにより鋼管外面の冷却を行う鋼管の冷却方法であって、冷却する鋼管の肉厚と外径との比は3.8%以下であり、前記鋼管内面の冷却を前記鋼管外面の冷却よりも10秒以上先行して開始することを特徴とする鋼管の冷却方法を提供するものである。
前記冷却方法において、鋼管外面の冷却効率をより一層高めるには、特許請求の範囲の請求項2に記載の如く、前記鋼管外面の冷却は、鋼管の最上部を中心として略対称の2つの位置にそれぞれ平面状の冷却水を流下させることにより行われ、鋼管の回転方向上流側の位置に流下させる冷却水の流量を、回転方向下流側の位置に流下させる冷却水の流量よりも大きくすることが好ましい。
或いは、特許請求の範囲の請求項3に記載の如く、前記鋼管外面の冷却は、鋼管の最上部を跨って略等間隔の3つ以上の位置にそれぞれ平面状の冷却水を流下させることにより行われる構成を採用することによっても、鋼管外面の冷却効率をより一層高めることが可能である。
本発明に係る鋼管の冷却方法によれば、薄肉鋼管を焼入れする際に生じる曲がりを、鋼管の製造効率を低下させることなく効果的に抑制することが可能である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明に係る鋼管の冷却方法の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る鋼管の冷却方法を実施するための冷却装置の構成を模式的に示す図であり、(a)は縦断面図を、(b)は側面図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る冷却装置1は、水平に配置された鋼管Pを周方向に回転させるための回転ローラ11と、鋼管Pの一端側に配置され、鋼管P内に冷却水を噴射するための内面冷却用ノズル12と、鋼管Pの上方に配置され、鋼管Pの軸方向に沿って鋼管P外面に平面状の冷却水を流下させるための外面冷却用ノズル13とを備えている。
図1は、本発明の第1実施形態に係る鋼管の冷却方法を実施するための冷却装置の構成を模式的に示す図であり、(a)は縦断面図を、(b)は側面図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る冷却装置1は、水平に配置された鋼管Pを周方向に回転させるための回転ローラ11と、鋼管Pの一端側に配置され、鋼管P内に冷却水を噴射するための内面冷却用ノズル12と、鋼管Pの上方に配置され、鋼管Pの軸方向に沿って鋼管P外面に平面状の冷却水を流下させるための外面冷却用ノズル13とを備えている。
本実施形態に係る冷却装置1によって鋼管Pを冷却するに際しては、回転ローラ11を回転させることにより鋼管Pを周方向に回転させながら、内面冷却ノズル12から冷却水W1を噴射することにより鋼管P内面の冷却を行うと共に、外面冷却用ノズル13から冷却水W2を流下させることにより鋼管P外面の冷却を行う。ここで、本実施形態に係る冷却方法は、鋼管P内面の冷却を鋼管P外面の冷却よりも10秒以上先行して開始することを特徴としている。換言すれば、内面冷却ノズル12から冷却水W1を噴射し始めるタイミングを、外面冷却用ノズル13から冷却水W2を流下させ始めるタイミングよりも10秒以上早めている。
なお、本実施形態に係る冷却方法によって内外面を冷却する対象となる鋼管Pは、問題となるような大きな曲がりが生じ易い肉厚(t)と外径(D)との比が3.8%以下の薄肉鋼管である。さらには、本実施形態に係る冷却方法は、低強度で曲がりが生じ易い低炭素鋼からなるラインパイプの内外面を冷却するのに好適に用いられる(特に、API規格におけるX60以下のグレードのラインパイプの内外面を冷却するのに好適に用いられる)。
以下、本実施形態に係る冷却方法において、鋼管P内面の冷却を鋼管P外面の冷却よりも10秒以上先行して開始することとした理由について説明する。
図2は、鋼管Pの内外面を冷却した場合における鋼管Pの表面温度、降伏応力YS及び軸方向応力σzを数値計算によって算出した結果を示すグラフであり、(a)は鋼管Pの内外面の冷却を同時に開始した場合の結果を、(b)は鋼管Pの内面冷却のみを行った場合の結果を示す。なお、図2に示す計算結果を得るために、鋼管Pを外径412.3mm、肉厚8.30mm、長さ30mの低炭素鋼とし、内面流量5400m3/hr、外面流量2700m3/hr、鋼管Pの回転数65rpm等の諸条件を用いた。
図2は、鋼管Pの内外面を冷却した場合における鋼管Pの表面温度、降伏応力YS及び軸方向応力σzを数値計算によって算出した結果を示すグラフであり、(a)は鋼管Pの内外面の冷却を同時に開始した場合の結果を、(b)は鋼管Pの内面冷却のみを行った場合の結果を示す。なお、図2に示す計算結果を得るために、鋼管Pを外径412.3mm、肉厚8.30mm、長さ30mの低炭素鋼とし、内面流量5400m3/hr、外面流量2700m3/hr、鋼管Pの回転数65rpm等の諸条件を用いた。
図2(a)に示すように、鋼管Pの内外面の冷却を同時に開始した場合には、冷却開始後の初期段階(表面温度≧550℃)における鋼管Pの熱膨張・収縮によって生じる軸方向応力(図2(a)においてAで示す領域の軸方向応力)や、鋼管Pの表面温度が低下(表面温度<550℃)してからのベイナイト変態やマルテンサイト変態等の影響も加わって生じる軸方向応力(図2(a)においてBで示す領域の軸方向応力)について、その絶対値|σz|が降伏応力の絶対値|YS|よりも大きくなる点が存在することが分かった。
一方、図2(b)に示すように、鋼管Pの内面冷却のみを行った場合には、冷却開始から終了(表面温度が常温になるまで)までの間において、常に軸方向応力の絶対値|σz|<降伏応力の絶対値|YS|となることが分かった。これは、瞬時においては平面状の冷却水W2が流下した部分しか冷却されない外面冷却に比べて、内面冷却では鋼管Pの全周に亘って略均一に冷却できるため温度むらが生じ難く、軸方向応力σzのバラツキが小さくなるためだと考えられる。
さらに、図2に示す結果を得るために設定した諸条件と同様の条件で、実際に鋼管Pの冷却試験を行ったところ、内外面の同時冷却を行った場合には大きな曲がりが発生したのに対し、内面冷却のみを行った場合には問題となるような大きな曲がりは発生しなかった。
以上に説明した図2に示す結果及び冷却試験の結果からすれば、曲がり(焼曲がり)は、軸方向応力の絶対値|σz|>降伏応力の絶対値|YS|となるときに発生すると考えられる。従って、逆に曲がりを抑制するには、常に|σz|<|YS|が成り立つような冷却方法とすれば良いことを見出した。なお、図2(b)に示す内面冷却のみを行う場合にも、常に|σz|<|YS|が成り立つものの、冷却時間が長くなってしまうため、鋼管Pの製造効率が低下したり、鋼管Pからの復熱の影響等により、十分な冷却が行えないという問題が生じる。
そこで、製造効率等の観点より鋼管Pの内外面を共に冷却するものの、少なくとも初期段階において|σz|<|YS|を成立させるには、内面冷却を外面冷却に先行させることが有効であるとの考えに基づき、当該先行時間の設定を種々変更して降伏応力YS及び軸方向応力σzを数値計算した結果、先行時間を10秒以上とすれば、冷却過程の略全てにおいて|σz|<|YS|が成り立つことが分かった。
以上に説明した理由により、本実施形態に係る冷却方法では、鋼管P内面の冷却を鋼管P外面の冷却よりも10秒以上先行して開始する(内面冷却用ノズル12から冷却水W1を噴射し始めるタイミングを、外面冷却用ノズル13から冷却水W2を流下させ始めるタイミングよりも10秒以上早める)構成としており、これにより|σz|<|YS|を達成し、ひいては鋼管Pの曲がりを効果的に抑制することが可能である。
<第2実施形態>
前述した第1実施形態では、図1(a)に示すように、軸方向から見て冷却水の吐出口が一つである外面冷却用ノズル13を備えた冷却装置1について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、図3に示すように、鋼管P外面の冷却効率をより一層高めるべく、2つの吐出口13Aa、13Abを具備する外面冷却用ノズル13Aを備えた冷却装置1Aを採用することも可能である。
前述した第1実施形態では、図1(a)に示すように、軸方向から見て冷却水の吐出口が一つである外面冷却用ノズル13を備えた冷却装置1について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、図3に示すように、鋼管P外面の冷却効率をより一層高めるべく、2つの吐出口13Aa、13Abを具備する外面冷却用ノズル13Aを備えた冷却装置1Aを採用することも可能である。
より具体的に説明すれば、図3に示すように、本発明の第2実施形態に係る冷却装置1Aは、水平に配置された鋼管Pを周方向に回転させるための回転ローラ11と、鋼管Pの一端側に配置され、鋼管P内に冷却水を噴射するための内面冷却用ノズル(図示せず)と、鋼管Pの上方に配置され、鋼管Pの軸方向に沿って鋼管Pの最上部を中心として略対称の2つの位置にそれぞれ平面状の冷却水を流下させるための吐出口13Aa、13Abを具備する外面冷却用ノズル13Aとを備えている。
本実施形態に係る冷却装置1Aによって鋼管Pを冷却するに際しては、回転ローラ11を回転させることにより鋼管Pを周方向に回転させながら、内面冷却ノズルから冷却水を噴射することにより鋼管P内面の冷却を行うと共に、外面冷却用ノズル13Aの吐出口13Aa、13Abからそれぞれ冷却水W2a、W2bを流下させることにより鋼管P外面の冷却を行う。ここで、本実施形態に係る冷却方法についても、第1実施形態と同様に鋼管P内面の冷却を鋼管P外面の冷却よりも10秒以上先行して開始する。換言すれば、内面冷却ノズルから冷却水を噴射し始めるタイミングを、外面冷却用ノズル13Aから冷却水W2a、W2bを流下させ始めるタイミングよりも10秒以上早めている。また、本実施形態に係る冷却方法によって内外面を冷却する対象となる鋼管Pはt/D≦3.8%である点と、低炭素鋼からなるラインパイプの内外面を冷却するのに好適に用いられる点も、第1実施形態と同様である。
ここで、鋼管P外面の冷却効率を高めるには、吐出口13Aa、13Abからそれぞれ流下させる冷却水W2a、W2bの流量を双方とも大きくすることが考えられる。しかしながら、冷却水W2a、W2bの流量を双方とも大きくし過ぎれば、鋼管Pの外面であって冷却水W2a、W2bがそれぞれ流下する位置の間に溜まる水膜の厚みが必要以上に増す結果、冷却水の有効利用率(鋼管Pの冷却に真に寄与する冷却水の割合)が低下すると共に、鋼管Pの回転方向への冷却水の流れが悪くなってしまう。
また、鋼管Pの回転方向上流側の位置に流下させる冷却水(すなわち、吐出口13Aaから流下させる冷却水W2a)の大部分は、鋼管Pの外面に沿って回転方向に流れるのに対し、回転方向下流側の位置に流下させる冷却水(すなわち、吐出口13Abから流下させる冷却水W2b)は、回転方向に逆らって流れる部分もあるものの、その多くが流下直後に下方に流れ落ちてしまう。つまり、鋼管P外面の冷却能力に対する寄与度としては、冷却水W2aの方が冷却水W2bよりも大きいといえる。
以上の考えに基づき、本実施形態においては、流下させる冷却水全体としては第1実施形態と同様の流量とするものの、鋼管Pの回転方向上流側の位置に流下させる冷却水(すなわち、吐出口13Aaから流下させる冷却水W2a)の流量を、回転方向下流側の位置に流下させる冷却水(すなわち、吐出口13Abから流下させる冷却水W2b)の流量よりも大きく設定している。
斯かる構成により、鋼管Pの外面に沿って回転方向に流れる冷却水の量を多くすることができると共に、鋼管Pの外面であって冷却水W2a、W2bがそれぞれ流下する位置の間に溜まる水膜を適切な厚みとすることが可能になる結果、鋼管P外面の冷却効率をより一層高めることが可能である。
<第3実施形態>
前述した第2実施形態では、鋼管P外面の冷却効率をより一層高めるべく、図3に示すように、2つの吐出口13Aa、13Abを具備する外面冷却用ノズル13Aを備えた冷却装置1Aについて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、図4に示すように、3つの吐出口を具備する外面冷却用ノズル13Bを備えた冷却装置1Bを採用することも可能である。
前述した第2実施形態では、鋼管P外面の冷却効率をより一層高めるべく、図3に示すように、2つの吐出口13Aa、13Abを具備する外面冷却用ノズル13Aを備えた冷却装置1Aについて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、図4に示すように、3つの吐出口を具備する外面冷却用ノズル13Bを備えた冷却装置1Bを採用することも可能である。
より具体的に説明すれば、図4に示すように、本発明の第3実施形態に係る冷却装置1Bは、水平に配置された鋼管Pを周方向に回転させるための回転ローラ11と、鋼管Pの一端側に配置され、鋼管P内に冷却水を噴射するための内面冷却用ノズル(図示せず)と、鋼管Pの上方に配置され、鋼管Pの軸方向に沿って鋼管Pの最上部を跨って略等間隔の3つの位置にそれぞれ平面状の冷却水を流下させるための吐出口13Ba、13Bb及び13Bcを具備する外面冷却用ノズル13Bとを備えている。
本実施形態に係る冷却装置1Bによって鋼管Pを冷却するに際しては、回転ローラ11を回転させることにより鋼管Pを周方向に回転させながら、内面冷却ノズルから冷却水を噴射することにより鋼管P内面の冷却を行うと共に、外面冷却用ノズル13Bの吐出口13Ba、13Bb及び13Bcからそれぞれ冷却水W2a、W2b及びW2cを流下させることにより鋼管P外面の冷却を行う。ここで、本実施形態に係る冷却方法についても、第1及び第2実施形態と同様に鋼管P内面の冷却を鋼管P外面の冷却よりも10秒以上先行して開始する。換言すれば、内面冷却ノズルから冷却水を噴射し始めるタイミングを、外面冷却用ノズル13Bから冷却水W2a、W2b及びW2cを流下させ始めるタイミングよりも10秒以上早めている。また、本実施形態に係る冷却方法によって内外面を冷却する対象となる鋼管Pはt/D≦3.8%である点と、低炭素鋼からなるラインパイプの内外面を冷却するのに好適に用いられる点も、第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
本実施形態に係る冷却装置1Bによれば、外面冷却用ノズル13Bが3つの吐出口13Ba、13Bb及び13Bcを具備し、それぞれ冷却水W2a、W2b及びW2cを流下させるため、鋼管Pの外面であって冷却水W2a、W2cがそれぞれ流下する位置の間に溜まる水膜が冷却水W2bによって攪拌されると共に、比較的均一な水膜となり易いため、鋼管P外面の冷却効率をより一層高めることが可能である。
なお、本実施形態では、鋼管Pの最上部を跨って略等間隔の3つの位置にそれぞれ平面状の冷却水を流下させる構成について説明したが、3つ以上の位置に流下させる構成を採用することも可能である。また、冷却水W2a、W2b及びW2cの流量はそれぞれ同等としても良いし、第2実施形態と同様に、鋼管の回転方向上流側の位置に流下させる冷却水ほど流量を大きくする構成を採用することも可能である。
以下、実施例を示すことにより、本発明の特徴とするところをより一層明らかにする。
<実施例1>
外径340mm、肉厚13mm、長さ25mの鋼管(低炭素鋼)を、図1に概略構成を示す冷却装置を用いて、表1に示す条件で冷却し、冷却後の曲がり量を評価した。曲がり量は、冷却後の鋼管について周方向4箇所の位置で全長に亘って糸を張設した場合における当該糸と鋼管Pとの隙間の最大値を長さ10mで正規化した値(前記隙間の最大値に10/25を乗算した値)とした。なお、外面冷却用ノズルの吐出口は幅6mmのスリット状開口とした。また、内面冷却の先行時間は20秒とした。
<実施例1>
外径340mm、肉厚13mm、長さ25mの鋼管(低炭素鋼)を、図1に概略構成を示す冷却装置を用いて、表1に示す条件で冷却し、冷却後の曲がり量を評価した。曲がり量は、冷却後の鋼管について周方向4箇所の位置で全長に亘って糸を張設した場合における当該糸と鋼管Pとの隙間の最大値を長さ10mで正規化した値(前記隙間の最大値に10/25を乗算した値)とした。なお、外面冷却用ノズルの吐出口は幅6mmのスリット状開口とした。また、内面冷却の先行時間は20秒とした。
<実施例2>
図3に概略構成を示す冷却装置(ただし、冷却水W2aとW2bの流量は同一とした)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で冷却し、冷却後の曲がり量を評価した。なお、外面冷却用ノズルが具備する2つの吐出口の間隔は100mmとした。
図3に概略構成を示す冷却装置(ただし、冷却水W2aとW2bの流量は同一とした)を用いた以外は、実施例1と同様の条件で冷却し、冷却後の曲がり量を評価した。なお、外面冷却用ノズルが具備する2つの吐出口の間隔は100mmとした。
<実施例3>
図3に概略構成を示す冷却装置を用い、冷却水W2aとW2bの流量比を5:4とした以外は、実施例2と同様の条件で冷却し、冷却後の曲がり量を評価した。
図3に概略構成を示す冷却装置を用い、冷却水W2aとW2bの流量比を5:4とした以外は、実施例2と同様の条件で冷却し、冷却後の曲がり量を評価した。
<実施例4>
図4に概略構成を示す冷却装置(ただし、冷却水W2a、W2b及びW2cの流量は同一とした)を用いた以外は、実施例2と同様の条件で冷却し、冷却後の曲がり量を評価した。なお、外面冷却用ノズルが具備する3つの吐出口の間隔はそれぞれ100mmとした。
図4に概略構成を示す冷却装置(ただし、冷却水W2a、W2b及びW2cの流量は同一とした)を用いた以外は、実施例2と同様の条件で冷却し、冷却後の曲がり量を評価した。なお、外面冷却用ノズルが具備する3つの吐出口の間隔はそれぞれ100mmとした。
<比較例>
図1に概略構成を示す冷却装置を用いて、内外面を同時に冷却(先行時間0秒)し、冷却後の曲がり量を評価した。
図1に概略構成を示す冷却装置を用いて、内外面を同時に冷却(先行時間0秒)し、冷却後の曲がり量を評価した。
1,1A,1B・・・冷却装置
11・・・回転ローラ
12・・・内面冷却用ノズル
13,13A,13B・・・外面冷却用ノズル
P・・・鋼管
11・・・回転ローラ
12・・・内面冷却用ノズル
13,13A,13B・・・外面冷却用ノズル
P・・・鋼管
Claims (3)
- 水平に配置された鋼管を周方向に回転させながら、鋼管内に冷却水を噴射することにより鋼管内面の冷却を行うと共に、鋼管の軸方向に沿って鋼管外面に平面状の冷却水を上方から流下させることにより鋼管外面の冷却を行う鋼管の冷却方法であって、
冷却する鋼管の肉厚と外径との比は3.8%以下であり、
前記鋼管内面の冷却を前記鋼管外面の冷却よりも10秒以上先行して開始することを特徴とする鋼管の冷却方法。 - 前記鋼管外面の冷却は、鋼管の最上部を中心として略対称の2つの位置にそれぞれ平面状の冷却水を流下させることにより行われ、
鋼管の回転方向上流側の位置に流下させる冷却水の流量を、回転方向下流側の位置に流下させる冷却水の流量よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の鋼管の冷却方法。 - 前記鋼管外面の冷却は、鋼管の最上部を跨って略等間隔の3つ以上の位置にそれぞれ平面状の冷却水を流下させることにより行われることを特徴とする請求項1に記載の鋼管の冷却方法。
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