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JP2006149171A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路 Download PDF

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JP2006149171A
JP2006149171A JP2004339432A JP2004339432A JP2006149171A JP 2006149171 A JP2006149171 A JP 2006149171A JP 2004339432 A JP2004339432 A JP 2004339432A JP 2004339432 A JP2004339432 A JP 2004339432A JP 2006149171 A JP2006149171 A JP 2006149171A
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switching
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Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Sony Corp
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Abstract

【課題】 スイッチング周波数制御により定電圧制御を行い、力率改善機能を有する電源回路において、スイッチング周波数制御の必要制御範囲の縮小化を図り、ワイドレンジ対応の構成を実現する。
【解決手段】 電流共振形コンバータの構成を採った上で、絶縁コンバータトランスPITの総合結合係数ktについてkt=0.70程度以下を設定する。これによって定電圧制御に必要なスイッチング周波数の必要制御範囲の縮小化が図られ、ワイドレンジ対応の構成が実現される。また、力率改善は、電力回生方式又は電圧帰還方式による力率改善回路を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。
特開平6−327246号公報(第11図)
近年、高周波の比較的大きい電流及び電圧に耐えることができるスイッチング素子の開発によって、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としては、大部分がスイッチング方式の電源回路になっている。
スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用される。
ところで、一般に商用電源を整流すると平滑回路に流れる電流は歪み波形になるため、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。
また、このような歪み電流波形となることによって発生する、高調波を抑圧するための対策が必要とされている。
また、スイッチング電源回路としては、例えば日本や米国等の交流入力電圧AC100V系の地域と、欧州等のAC200V系の地域に対応するように、例えば約AC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応した動作が可能に構成された、いわゆるワイドレンジ対応の電源回路が知られている。
ここで、上記した共振形コンバータとしては、コンバータを形成するスイッチング素子のスイッチング周波数を制御すること(スイッチング周波数制御方式)により安定化を図るように構成したものが知られている。
このようなスイッチング周波数制御方式による共振形コンバータとして、例えば汎用の発振・ドライブ回路ICなどによりスイッチング素子をスイッチング駆動するような構成では、例えばスイッチング周波数fsの可変範囲は最大で、fs=50kHz〜250kHz程度となっている。このような可変範囲である場合、例えば負荷電力Poの変動範囲がPo=0Wから90W程度まで、さらには150W程度までの比較的大きな変動幅となる負荷条件では、ワイドレンジとしてのAC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応して安定化を図ることはほぼ不可能となる。
例えばAC85V〜144V程度の変動に対応するAC100V系の単レンジの構成において、負荷電力Po=150W〜0Wの負荷変動に対応する安定化を行うとした場合は、スイッチング周波数の可変範囲はおよそ80kHz〜200kHz程度となる。その上で上記のようなAC85V〜288Vの変動に対応するワイドレンジの構成を実現するためには、スイッチング周波数の制御範囲として例えば80kHz〜500kHz程度のさらに広範囲が必要となり、上記した発振・ドライブICの最大可変範囲ではこれを制御することが実質的に不可能となる。
また、仮に発振・ドライブICとしてこのような広範囲な周波数の制御範囲が実現可能とされたとしても、スイッチング周波数が400kHzや500kHzといった高周波となることに伴っては、例えばスイッチング素子やトランスにおける損失が増大し、電力変換効率として実用的な数値を得ることが非常に困難となる。
これらのことから、共振形コンバータでは、スイッチング周波数制御によるワイドレンジ対応の構成が実質的に不可能であるとされている。
そこで従来においては、共振形コンバータにおいてワイドレンジ対応の構成を実現し、さらに力率の改善を図ることのできる技術として、いわゆるアクティブフィルタを用いる手法が知られている(例えば上記特許文献1参照)。
このようなアクティブフィルタの基本構成としては、例えば図15に示すものとなる。
この図15においては、商用交流電源ACにブリッジ整流回路Diを接続している。このブリッジ整流回路Diの正極/負極ラインに対しては並列に出力コンデンサCoutが接続される。ブリッジ整流回路Diの整流出力が出力コンデンサCoutに供給されることで、出力コンデンサCoutの両端電圧として直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、例えば後段のDC−DCコンバータなどの負荷10に入力電圧として供給される。
また、力率改善のための構成としては、図示するようにして、インダクタL、高速リカバリ型のダイオードD、抵抗Ri、スイッチング素子Q、及び乗算器11を備える。
インダクタL、ダイオードDは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。
抵抗Riは、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子(一次側アース)と出力コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。
また、スイッチング素子Q1は、この場合にはMOS−FETが選定されており、図示するようにしてインダクタLとダイオードDの接続点と、一次側アース間に挿入される。
乗算器11に対しては、フィードフォワード回路として、電流検出ラインLI及び波形入力ラインLwが接続され、フィードバック回路として電圧検出ラインLVが接続される。
乗算器11は、電流検出ラインLIから入力される、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流レベルを検出する。
また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。
そして、乗算器11からは、スイッチング素子Qを駆動するためのドライブ信号が出力される。
電流検出ラインLIから乗算器11に対しては、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流が入力される。乗算器11では、この電流検出ラインLIから入力された整流電流レベルを検出する。また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
乗算器11では、先ず、上記のようにして電流検出ラインLIから検出した整流電流レベルと、上記電圧検出ラインLVから検出した直流入力電圧の変動差分と乗算する。そして、この乗算結果と、波形入力ラインLwから検出した交流入力電圧の波形とによって、交流入力電圧VACと同一波形の電流指令値を生成する。
さらに、この場合の乗算器11では、上記電流指令値と実際の交流入力電流レベル(電流検出ラインL1からの入力に基づいて検出される)を比較し、この差に応じてPWM信号についてPWM制御を行い、PWM信号に基づいたドライブ信号を生成する。そして、スイッチング素子Qは、このドライブ信号によってスイッチング駆動される。この結果、交流入力電流は交流入力電圧と同一波形となるように制御されて、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。また、この場合には、乗算器によって生成される電流指令値は、整流平滑電圧の変動差分に応じて振幅が変化するように制御されるため、整流平滑電圧の変動も抑制されることになる。
図16(a)は、図15に示したアクティブフィルタ回路に入力される入力電圧Vin及び入力電流Iinを示している。電圧Vinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電圧波形に対応し、電流Iinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電流波形に対応する。ここで、電流Iinの波形は、ブリッジ整流回路Diの整流出力電圧(電圧Vin)と同じ導通角となっているが、これは、商用交流電源ACからブリッジ整流回路Diに流れる交流入力電流の波形も、この電流Iinと同じ導通角となっていることを示す。つまり、ほぼ1に近い力率が得られている。
また、図16(b)は、出力コンデンサCoutに入出力するエネルギー(電力)Pchgの変化を示す。出力コンデンサCoutは、入力電圧Vinが高いときにエネルギーを蓄え、入力電圧Vinが低いときにエネルギーを放出して、出力電力の流れを維持する。
図16(c)は、上記出力コンデンサCoutに対する充放電電流Ichgの波形を示している。この充放電電流Ichgは、上記図16(b)の入出力エネルギーPchgの波形と同位相となっていることからも分かるように、出力コンデンサCoutにおけるエネルギーPchgの蓄積/放出動作に対応して流れる電流である。
上記充放電電流Ichgは、入力電流Vinとは異なり、交流ライン電圧(商用交流電源AC)の第2高調波とほぼ同一の波形となる。交流ライン電圧には、出力コンデンサCoutとの間のエネルギーの流れによって、図16(d)に示すようにして、第2高調波成分にリップル電圧Vdが生じる。このリップル電圧Vdは、無効なエネルギー保存のために、図16(c)に示す充放電電流Ichgに対して、90°の位相差を有する。出力コンデンサCoutの定格は、第2高調波のリップル電流と、その電流を変調するブースト・コンバータ・スイッチからの高周波リップル電流を処理することを考慮して決定するようにされる。
また、図17には、先の図15の回路構成を基として、基本的なコントロール回路系を備えたアクティブフィルタの構成例を示している。なお、図15と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子間には、スイッチングプリレギュレータ15が備えられる。このスイッチングプリレギュレータ15は、図15においては、スイッチング素子Q、インダクタL、及びダイオードDなどにより形成される部位となる。
そして、乗算器11を含むコントロール回路系は、他に、電圧誤差増幅器12、除算器13、二乗器14を備えて成る。
電圧誤差増幅器12では、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutを、分圧抵抗Rvo−Rvdにより分圧してオペアンプ12aの非反転入力に入力する。オペアンプ12aの反転入力には基準電圧Vrefが入力される。オペアンプ12aでは、基準電圧Vrefに対する分圧された直流電圧Voutの誤差に応じたレベルの電圧を、帰還抵抗Rvl、コンデンサCvlによって決定される増幅率により増幅して、誤差出力電圧Vveaとして除算器13に出力する。
また、二乗器14には、いわゆるフィードフォワード電圧Vffが入力される。このフィードフォワード電圧Vffは、入力電圧Vinを平均化回路16(Rf11,Rf12,Rf13,Cf11,Cf12)により平均化した出力(平均入力電圧)とされる。二乗器14では、このフィードフォワード電圧Vffを二乗して除算器13に出力する。
除算器13では、電圧誤差増幅器12からの誤差出力電圧Vveaについて、二乗器14から出力された平均入力電圧の二乗値により除算を行い。この除算結果としての信号を乗算器11に出力する。
つまり、電圧ループは、二乗器14、除算器13、乗算器11の系から成るものとされる。そして、電圧誤差増幅器12から出力される誤差出力電圧Vveaは、乗算器11で整流入力信号Ivacにより乗算される前の段階で、平均入力電圧(Vff)の二乗により除算されることになる。この回路によって、電圧ループの利得は、平均入力電圧(Vff)の二乗として変化することなく、一定に維持される。平均入力電圧(Vff)は、電圧ループ内において順方向に送られる開ループ補正の機能を有する。
乗算器11には、上記除算器13により誤差出力電圧Vveaを除算した出力と、抵抗Rvacを介したブリッジ整流回路Diの正極出力端子(整流出力ライン)の整流出力(Iac)が入力される。ここでは、整流出力を電圧によるのではなく、電流(Iac)として示している。乗算器11では、これらの入力を乗算することによって、電流プログラミング信号(乗算器出力信号)Imoを生成して出力する。これは、図15にて説明した電流指令値に相当する。出力電圧Voutは、この電流プログラミング信号の平均振幅を可変することで制御される。つまり、電流プログラミング信号の平均振幅の変化に応じたPWM信号が生成され、このPWM信号に基づいたドライブ信号によってスイッチング駆動が行われることによって、出力電圧Voutのレベルをコントロールするものである。
したがって、電流プログラミング信号は、入力電圧と出力電圧を制御する平均振幅の波形を有する。なお、アクティブフィルタは、出力電圧Voutのみではなく、入力電流Vinも制御するようになっている。そして、フィードフォワード回路における電流ループは、整流ライン電圧によってプログラムされるということがいえるので、後段のコンバータ(負荷10)への入力は抵抗性になる。
図18は、図15に示した構成に基づくアクティブフィルタの後段に対して電流共振形コンバータを接続して成る電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路は、AC100V系とAC200V系の双方の交流入力電圧に対応する、いわゆるワイドレンジ対応とされている。また、負荷電力0〜150Wの条件に対応可能な構成を採っている。また、電流共振形コンバータとしては、他励式のハーフブリッジ結合方式による構成を採る。
この図18に示す電源回路においては、商用交流電源ACに対して、図示する接続態様により、2組のコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタと、3組のアクロスコンデンサCLが接続され、この後段にブリッジ整流回路Diが接続される。
また、ブリッジ整流回路Diの整流出力ラインには、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサ(フィルムコンデンサ)CN,CNを図示するようにして接続して成るノーマルモードノイズフィルタ125が接続される。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、上記チョークコイルLNと、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcと、高速リカバリ型の整流ダイオードD20の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。この平滑コンデンサCiは、図15、図17における出力コンデンサCoutに相当する。また、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcとダイオードD20は、それぞれ、図15に示したインダクタLとダイオードDに相当する。
また、この図における整流ダイオードD20には、コンデンサCsn−抵抗Rsnから成るRCスナバ回路が並列に接続される。
スイッチング素子Q6は、図15におけるスイッチング素子Qに相当する。つまり、実際にアクティブフィルタのスイッチング素子を実装するのにあたって、この場合にはスイッチング素子Q6をパワーチョークコイルLpcと高速リカバリ型の整流ダイオードD20の接続点と、一次側アース(抵抗R3を介する)との間に挿入するようにしている。
この場合のスイッチング素子Q6にはMOS−FETが選定され、また、図示するようにボディダイオードによるダンパーダイオードDD6が接続されている。
力率・出力電圧制御用IC120は、この場合には力率を1に近づけるように力率改善を行うアクティブフィルタの動作を制御する集積回路(IC)とされている。
この場合、力率・出力電圧制御回路20は、乗算器、除算器、誤差電圧増幅器、PWM制御回路、及びスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号を出力するドライブ回路等を備えて構成される。図17に示した乗算器11、電圧誤差増幅器12、除算器13、及び二乗器14などに相当する回路部は、この力率・出力電圧制御用IC120内に搭載される。
この場合、フィードバック回路は平滑コンデンサCiの両端電圧(整流平滑電圧Ei)を分圧抵抗R5,R6により分圧した電圧値を、力率・出力電圧制御用IC120の端子T1に入力するようにして形成される。
また、フィードフォワード回路としては、スイッチング素子Q6のソースと一次側アース間に挿入される抵抗R3の接続点から、抵抗R4を介して端子T2に対し整流電流レベルを入力するようにしている。つまり、図15における電流検出ラインLIに相当するラインとしてのフィードフォワード回路が形成されている。
また、端子T4には、力率・出力電圧制御用IC120の動作電源が供給される。この端子T4には、パワーチョークコイルPCCにおける、インダクタLpcとトランス結合された巻線N5に励起された交番電圧が、図示するダイオードD11及びコンデンサC11とから成る半波整流回路により低圧直流電圧に変換されて供給される。
また、端子T3からは、スイッチング素子を駆動するためのドライブ信号がスイッチング素子Q6のゲートに対して出力される。
スイッチング素子Q6は、印加されるドライブ信号に応じてスイッチング動作を行う。
そして、スイッチング素子Q6のスイッチング駆動は、図15及び図17により説明したようにして、整流出力電流の波形が、整流出力電圧波形とほぼ同等の波形となるように、PWM制御に基づくドライブ信号によって行われる。整流出力電流の波形が整流出力電圧波形とほぼ同等となるということは、即ち、商用交流電源ACから流入する交流入力電流の波形としても、交流入力電圧VACの波形とほぼ同じとなることであり、結果的に、力率がほぼ1となるように制御されることになる。つまり、力率改善が図られる。
ここで、実際における力率改善動作を示すものとして、次の図19、図20に、図18に示す回路にて得られる交流入力電流IACの波形を、交流入力電圧VACとの対比により示す。なお、これらの図において、図19では交流入力電圧VAC=100V時の、また図20では交流入力電圧VAC=230V時の結果を示している。
図19に示されるように、交流入力電圧VAC=100V時では、交流入力電流IACのピークレベルは6.5Apとなる。そして、交流入力電流IACの導通期間としては、交流入力電圧VACの半周期の期間長とほぼ一致するようにされて、力率の改善が図られていることがわかる。
また、図20に示す交流入力電圧VAC=230V時では、交流入力電流IACのピークレベルは3.0Apとなり、この場合もその導通期間は交流入力電圧VACの半周期間長とほぼ一致するようにされ、力率の改善が図られていることが理解できる。
また、このような力率の改善と共に、図18に示す力率・出力電圧制御用IC120によっては、整流平滑電圧Ei(図17では、Voutに相当する)=380Vの平均値について、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲で定電圧化するようにも動作する。つまり、後段の電流共振形コンバータには、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動範囲に関わらず、380Vで安定化された直流入力電圧が供給されることとなる。このことは、上記した図19、図20において、交流入力電流IACのピークレベルが交流入力電圧VAC=230時に1/2以下に低下していることによっても示されている。
そして、このような交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲は、商用交流電源AC100V系と200V系を連続的にカバーするものであり、従って、後段のスイッチングコンバータには、商用交流電源AC100V系と200V系とで、同じレベルで安定化された直流入力電圧(Ei)が供給されることとなる。つまり、図18に示す電源回路は、アクティブフィルタを備えることで、ワイドレンジ対応の電源回路としても動作するものである。
アクティブフィルタの後段の電流共振形コンバータは、図示するようにして、2石のスイッチング素子Q1,Q2を備えて成る。この場合には、スイッチング素子Q1がハイサイドで、スイッチング素子Q2がローサイドとなるようにしてハーフブリッジ接続し、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)に対して並列に接続している。つまり、ハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータを形成している。
この場合の電流共振形コンバータは他励式とされ、これに対応して上記スイッチング素子Q1,Q2には、MOS−FETが用いられている。これらスイッチング素子Q1,Q2に対しては、それぞれ並列にクランプダイオードDD1,DD2が接続され、これによりスイッチング回路が形成される。これらクランプダイオードDD1,DD2は、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時における逆方向電流を流す経路を形成する。
スイッチング素子Q1,Q2は、発振・ドライブ回路2によって、交互にオン/オフとなるタイミングによって所要のスイッチング周波数によりスイッチング駆動される。また、発振・ドライブ回路2は、図示する制御回路1による後述する二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じた制御に基づき、スイッチング周波数を可変制御するように動作し、これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化を図るようにされる。
絶縁コンバータトランスPITは、上記スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するために設けられる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、スイッチング素子Q1,Q2の接続点(スイッチング出力点)に対して接続され、他方の端部は、直列共振コンデンサC1を介して一次側アースに接続される。ここで、直列共振コンデンサC1は、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス(L1)とによって直列共振回路を形成する。この直列共振回路は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力が供給されることで共振動作を生じるが、これによって、スイッチング素子Q1,Q2から成るスイッチング回路の動作を電流共振形とする。
ここでの図示による説明は省略するが、上記した絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えばフェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と二次巻線N2とを、EE型コアの内磁脚に対して巻装している。
また、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚に対しては1.0mm程度以下のギャップを形成するようにして、一次巻線N1と二次巻線N2とで0.80〜0.90程度の結合係数を得るようにしている。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対しては、センタータップを施し二次側アースに接続した上で、図示するようにして整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoから成る両波整流回路を接続している。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷側に供給されるとともに、制御回路1の検出入力としても分岐して供給される。
制御回路1は、入力される二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じた制御信号を発振・ドライブ回路2に対して供給する。発振・ドライブ回路2は、この制御信号に応じて二次側直流出力電圧Eoが安定化されるようにスイッチング周波数を可変するようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動するようにされる。つまり、スイッチング周波数制御方式による安定化が行われるものである。
図21は、負荷変動に対するAC→DC電力変換効率(総合効率)、力率、及び整流平滑電圧Eiの各特性を示している。この図では、負荷電力Po=150W〜0Wの変動に対する特性が示されている。また、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)の特性を実線で示し、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系)の特性を破線で示している。
また、図22は、交流入力電圧VACの変動に対するAC→DC電力変換効率(総合効率)、力率、及び整流平滑電圧Eiの各特性を示している。この図では、負荷電力Po=150Wで一定の負荷条件の下での、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動に対する特性が示される。
先ず、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)は、図21に示すようにして、負荷電力Poが重負荷の条件となるのに従って高くなっていく傾向となっている。また、交流入力電圧VACの変動に対しては、同じ負荷条件の下では、図21及び図22に示されるように、交流入力電圧VACのレベルが高くなっていくのに応じて高くなっていく傾向となっている。
実際においては、負荷電力Po=150Wの負荷条件で、交流入力電圧VAC=100V時には、ηAC→DC=86.5%程度が得られ、交流入力電圧VAC=230V時にはηAC→DC=89.3%程度が得られている。
また、力率PFについては、図21に示すように、負荷電力Poが重負荷の傾向となるのに従って高くなっていく傾向を有している。また、交流入力電圧VACの変動に対しては、図21及び図22に示されるように、交流入力電圧VACのレベルが上昇するのに応じて、低下する傾向となっていることが分かる。
実際としては、負荷電力Po=150Wの負荷条件で、交流入力電圧VAC=100V時には力率PF=0.99程度、交流入力電圧VAC=230V時には力率PF=0.98程度が得られる。
また、整流平滑電圧Eiについては、図21、図22に示されるように、負荷電力Po=150W〜0W、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動に対して一定となる結果が得られている。
これまでの説明から分かるように、図18に示した電源回路は、従来から知られている図15及び図17に示したアクティブフィルタを実装して構成されている。このような構成を採ることによって、力率改善を図っている。また、負荷電力が150W以下の条件の下で、商用交流電源AC100V系とAC200V系とで動作する、いわゆるワイドレンジ対応の構成を実現している。
しかしながら、図18に示した構成による電源回路としても、次のような問題を有している。
先ず、図18に示す電源回路における電力変換効率としては、図示もしているように、前段のアクティブフィルタに対応するAC→DC電力変換効率と、後段の電流共振形コンバータのDC→DC電力変換効率とを総合したものとなる。
つまり、図18に示される回路の総合的な電力変換効率としては、これらの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、その分低下傾向となってしまう。
実験によれば、図18の回路におけるアクティブフィルタに対応する部分でのAC→DC電力変換効率は、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=92%程度、交流入力電圧VAC=230Vの条件ではηAC→DC=95%程度となる。また、電流共振形コンバータ側でのDC→DC電力変換効率は、負荷電力Po=150W、整流平滑電圧Ei=380V時にηDC→DC=94%程度である。
従って、図18の回路における総合的なAC→DC電力変換効率としては、先の図21、図22にて説明したように、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=86.5%程度に低下し、交流入力電圧VAC=230V時としてもηAC→DC=89.3%程度に低下してしまう。
また、アクティブフィルタ回路はハードスイッチング動作であることから、ノイズの発生レベルが非常に大きいため、比較的重度のノイズ抑制対策が必要となる。
このため、図18に示した回路では、商用交流電源ACのラインに対して、2組のコモンモードノイズチョークコイルと、3組のアクロスコンデンサによるノイズフィルタを形成している。つまり、2段以上のフィルタが必要となっている。
また、整流出力ラインに対しては、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型のダイオードD20に対しては、RCスナバ回路を設けている。
このようにして、実際の回路としては非常に多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、コストアップ及び電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
さらに、汎用ICとしての力率・出力電圧制御用IC120によって動作するスイッチング素子Q6のスイッチング周波数は60kHzで固定であるのに対して、後段の電流共振形コンバータのスイッチング周波数は80kHz〜200kHzの範囲で可変する。このようにして両者のスイッチングタイミングが個々に独立して行われることで、両者のスイッチング動作により、一次側アース電位は干渉しあって不安定になり、例えば異常発振が生じやすくなる。これにより、例えば回路設計が難しいものとなったり、信頼性を劣化させるなどの問題も招くことになる。
また、図14の電源回路ではハードスイッチング動作とされることで、電源起動時における突入電流の抑制のための構成を備えなければならない。例えば、実際においては、突入電流の抑制のために、図示は省略したが商用交流電源ACのラインに対して突入電流制限抵抗を挿入したり、或いはパワーサーミスタ等を挿入するようにされている。
このような突入電流抑制のための追加構成が必要となる点もコストアップや回路の大型化の一因となっている。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成する。
つまり、先ず、商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、上記整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが少なくとも巻装されて形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路を備える。
さらに、両波整流回路以外の整流回路を備えるようにされて上記二次巻線に得られる交番電圧について整流動作を行って、その整流出力を二次側平滑コンデンサにより平滑化して二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段と、上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段とを備える。
そして、上記スイッチング手段のスイッチング動作により上記一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力を、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して帰還し、この帰還されたスイッチング出力により整流電流を断続するようにして動作するもので、少なくとも力率改善用インダクタンス素子と力率改善用スイッチング素子とを有して形成される力率改善手段を備える。
その上で、上記絶縁コンバータトランスは、少なくともコアの所定位置に形成されるギャップ長の設定により、一次側と二次側との結合係数が所定以下となるようにされているものである。
上記構成によるスイッチング電源回路では、一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力を整流電流経路に帰還する方式による力率改善手段によって力率の改善が図られる。
その上で、二次側の整流回路としては、両波整流回路以外の整流回路を備えるものとしたことで、両波整流回路とされた場合に二次巻線に存在することになる線間静電容量をなくすことができ、二次側において並列共振動作が行われないようにすることができる。そして、このような構成において、絶縁コンバータトランスの一次側と二次側との結合係数を所定以下にまで低下させていることで、二次側直流出力電圧の安定化のために必要なスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)の有効な縮小化を図ることができる。
このようにして本発明によれば、定電圧制御に必要なスイッチング周波数の可変制御範囲(必要制御範囲)を有効に縮小することができることから、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによるワイドレンジ対応の電源回路が実現可能となる。
また、力率の改善は、上記のようにしてスイッチング出力を整流電流経路に帰還する方式による力率改善手段によって行うことができる。
すなわち、このような構成による本発明によれば、力率の改善を図るワイドレンジ対応の電源回路の実現にあたり、従来必要とされていたアクティブフィルタは省略可能とすることができる。
このようにしてアクティブフィルタを省略可能となることで、同じ力率改善とワイドレンジ対応化を図る構成として、電力変換効率の低下を抑制できる。
また、本発明の電源回路としては、アクティブフィルタを構成するための多数の部品素子が不要となる。また、電源回路を構成する電流共振形コンバータ、及び力率改善回路はソフトスイッチング動作であり、スイッチングノイズが大幅に低減されるから、ノイズフィルタを強化する必要もなくなる。
このために、先行技術と比較しては、部品点数が大幅に削減されることになって、電源回路サイズの小型/軽量化を図ることが可能となる。また、それだけコストダウンが図られることにもなる。
また、さらには、アクティブフィルタが省略されたことで、一次側アース電位の干渉が無くなるので、一次側アース電位も安定することとなって、信頼性が向上する。
ここで、上記したような本発明の効果を得るための基本構成としては、既に力率改善機能が付加された従来の電流共振形コンバータの構成に対しては、少なくとも絶縁コンバータトランスのコアに形成するギャップ長を拡大して結合係数を所定以下に設定するものとすればよいものである。
つまり、本発明によれば、少なくともワイドレンジ対応の構成実現のためには追加部品は不要とすることができるもので、これによってワイドレンジ対応の電源回路の実現にあたり、既に力率改善機能を備える構成に対しては特別な追加部品なしでアクティブフィルタを省略した構成が可能となるものである。
図1は、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態ともいう)における、第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。この図に示す電源回路は、一次側の基本構成として、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされた構成を採る。
また、この図1に示される電源回路としては、AC100V系及びAC200V系の商用交流電源入力に対応して動作可能な、いわゆるワイドレンジ対応の構成を採る。
また、対応負荷電力としては、例えば、負荷電力Po=150W程度からPo=0W(無負荷)までの変動範囲に対応し、二次側直流出力電圧Eo=135Vで安定化するものとされる。
先ず、この図1に示す電源回路において、商用交流電源ACに対しては、フィルタコンデンサCL、CL、及びコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタが形成されている。
そして、上記ノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACに対しては、ブリッジ整流回路Di及び1本の平滑コンデンサCiから成る全波整流平滑回路が接続される。ただし、本実施の形態においては、ブリッジ整流回路Diの正極出力ラインと、平滑コンデンサCiの正極端子間には、力率改善回路3が介在するようにして設けられる。この力率改善回路3の構成及びその動作については後述する。
この全波整流平滑回路が商用交流電源ACを入力して全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCiの両端には整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。
上記直流入力電圧を入力してスイッチング(断続)する電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路を備える。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、ダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。ダンパーダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q1のソース、ドレインと接続される。同様にして、ダンパーダイオードDD2のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q2のソース、ドレインと接続される。ダンパーダイオードDD1,DD2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2が備えるボディダイオードとされる。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、一次側部分共振コンデンサCpが並列に接続される。少なくとも、この一次側部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
また、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えば汎用のICを用いることができる。そして、この発振・ドライブ回路2内の発振回路及び駆動回路によって、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1 、Q2のスイッチング出力を二次側に伝送するために設けられる。
この絶縁トランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。また、この場合の一次巻線N1の他方の端部は、力率改善回路11内の高周波インダクタL11の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続されている。
ここで、絶縁コンバータトランスPITは、図2の断面図に示すような構造とされる。
この図に示されるように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成されるボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して、二次巻線N2を巻装する。このようにして一次側巻線(N1)及び二次側巻線(N2)が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの内磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE型コアの内磁脚に対しては、図のようにしてギャップGを形成する。この場合のギャップGとして、図1に示す回路の場合は、例えばギャップ長1.6mm程度を設定するようにしている。なお、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の内磁脚を2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。
ちなみに、上記した絶縁コンバータトランスPITの構造そのものとしては、例えば先に図18に示した電源回路をはじめとして、先行技術としての電流共振形コンバータを備える電源回路に採用されるものと殆ど同様となる。つまり、本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITで設定されるギャップGとしては、先行技術の場合とほぼ同様のものとなる。
なお、先にも述べたが、このような従来のギャップ長の設定により得られる、電源回路の一次側と二次側との結合係数kとしては、例えばk=0.80〜0.90程度である。
説明を図1に戻す。
絶縁コンバータトランスPITは、図2により説明した構造によって一次巻線N1に所定のリーケージインダクタンスL1を生じさせる。また、先に説明したように、一次巻線N1と一次側直列共振コンデンサC1とは直列に接続されている。従って、上記一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1と一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスとによっては直列共振回路(一次側直列共振回路)が形成されることになる。
そのうえで、上記一次側直列共振回路は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力点に対して接続されており、従って、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力は、一次側直列共振回路に伝達されることになる。一次側直列共振回路では、伝達されたスイッチング出力により共振動作を行うことで、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とする。
ところで、これまでの説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した一次側部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路の一次側においては、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた構成を採っている。ここでは、このように2つの共振回路が組み合わされて成るスイッチングコンバータを、「複合共振形コンバータ」ということにする。
なお、図1に示す電源回路の構成によれば、後述するようにして、一次側直列共振回路を形成するインダクタンスとしては、高周波インダクタL11のインダクタンスも含めたものとして考えることができる。また、一次側の部分電圧共振回路についても、高周波インダクタL11のインダクタンスを含めて形成されるものとして考えることができる。
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2には、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起(誘起)される。
この場合、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対しては、整流ダイオードDo1〜Do4を図示するようにして接続して成るブリッジ整流回路と、1組の平滑コンデンサCoとによる全波整流平滑回路が設けられる。
この全波整流平滑回路において、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期では、ブリッジ整流回路の整流ダイオード[Do1,Do4]の組が導通して、平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。また、二次巻線N2に励起される交番電圧の他方の半周期では、整流ダイオード[Do2,Do3]の組が導通して平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。
これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧(二次側直流出力電圧Eo)としては、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルが得られることになる。
このようにして平滑コンデンサCoに得られた二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷に供給されるとともに、次に説明する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1は、二次側直流出力電圧Eoをスイッチング周波数制御方式により安定化するために設けられる。
この場合の制御回路1は、検出入力である二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動する。このためには、内部の発振回路により生成する発振信号の周波数を可変することになる。
スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変されることで、一次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量が変化するが、これにより二次側直流出力電圧Eoのレベルを安定化させるように動作する。
ここで、一般的な電流共振形コンバータにおいては、スイッチング周波数制御方式として、一次側直列共振回路の共振周波数foよりも高い周波数範囲をスイッチング周波数の可変範囲として設定するようにされた、いわゆるアッパーサイド制御の方式を採る。
このとき、直列共振回路は、共振周波数において最も共振インピーダンスが低くなる。このことから、本実施の形態のようにして直列共振回路の共振周波数に基づくアッパーサイド制御方式を採る場合には、スイッチング周波数fsが高くなっていくのに応じて、共振インピーダンスを高くすることになる。
従って、例えば重負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが低下するのに応じては、上記スイッチング周波数を低くするように制御することになる。これは共振インピーダンスを低くすることとなり、一次側から二次側への電力伝送量が増加することになるために、二次側直流出力電圧Eoが上昇する。
これに対して、軽負荷の傾向となって二次側直流出力電圧Eoが上昇するのに応じては、上記スイッチング周波数を高くするように制御する。これにより、共振インピーダンスは高くなって上記電力伝送量が低減するために、二次側直流出力電圧Eoは低下する。このようにして、スイッチング周波数が可変されることによって、二次側直流出力電圧Eoが安定化されることになる。
続いて、力率改善回路3について説明する。
力率改善回路3は、高周波インダクタ(チョークコイル)L11、スイッチングダイオードD1(力率改善用スイッチング素子)、フィルタコンデンサCNを備える。
この場合の高周波インダクタL11には、所定の巻線位置に対してタップが設けられており、これにより、高周波インダクタL11は、高周波巻線部L11A(第1巻線部)と、高周波巻線部L11B(第2巻線部)とに分割される。この場合、高周波インダクタL11としての巻線全体の巻始め端部は高周波巻線部L11B側の巻始め端部となり、従って、高周波巻線部L11Bの巻終わり端部と、高周波巻線部L11Aの巻始め端部が、タップ位置となる。高周波巻線部L11A側の巻終わり端部が、高周波インダクタL11としての巻線全体の巻終わり端部となる。
そして、高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Aと高周波巻線部L11Bとの接続点となるタップに対しては、スイッチングダイオードD1のカソードが接続される。スイッチングダイオードD1のアノードはブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続される。
また、高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Aの巻終わりとなる側の端部は、一次巻線N1の端部と接続される。また、高周波インダクタL11において高周波巻線部L11Bの巻始めとなる側の端部は、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
上記した接続形態では、商用交流電源ACから直流入力電圧Eiを生成する整流回路系において、商用交流電源ACが正極性/負極性となる半周期ごとに形成される整流電流経路において、高周波巻線部L11BがスイッチングダイオードD1と直列に接続される回路形態が得られることになる。
また、一次側直列共振回路を形成するとされる一次側直列共振コンデンサC1と一次巻線N1の直列接続回路は、さらに高周波インダクタL11の直列接続を介して平滑コンデンサCiの正極端子に対して接続されることになる。ここで、高周波巻線部L11Bは、スイッチングダイオードD1と直列接続された状態で、平滑コンデンサCiに整流電流を流す整流電流経路内に挿入された形態となっている。このことは、一次側直列共振回路経由でスイッチング出力の帰還を受ける力率改善回路3からみれば、一次側直列共振回路は一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス(L1)に加え、高周波巻線部L11Aのインダクタンスも含んで形成されるものとしてみることができる。
また、この場合のフィルタコンデンサCNは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、平滑コンデンサCiの正極端子との間に挿入される。この挿入形態では、フィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1−高周波巻線部L11Bの直列接続回路に対して並列に接続されていることになる。このフィルタコンデンサCNは、スイッチングコンバータのスイッチング動作に伴って整流電流経路に生じるノーマルモードノイズを抑制する。
このような力率改善回路3の回路構成によると、整流電流経路において、高周波巻線部L11Bとしてのインダクタンス成分と、スイッチングダイオードD1としての、電流をスイッチング(断続)する素子とが直列接続されて挿入されていることになる。そして、この直列接続回路の接続点に対して、一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力(一次側直列共振電流)が印加されることになる。
さらに、上記接続点に対してスイッチング出力が印加されることによって整流電流経路内に生じる交番電圧に応じ、スイッチングダイオードD1が整流電流を断続するようにしてスイッチング動作を行うことで、整流電流を平滑コンデンサCiに流すようにされる。つまり、力率改善回路3においては、一次側直列共振回路に得られる一次側直列共振電流を電力として回生して、整流電流経路を経由して平滑コンデンサに対して帰還している動作が得られていることになる。
この場合、一次側直列共振電流を電力として回生して平滑コンデンサCiに帰還するのにあたっては、上述のようにして整流電流経路に挿入される高周波巻線部L11Bが介在しているものと見ることができる。つまり、電力回生は、高周波巻線部L11Bにおける磁気結合により行われるものとみることができる。
そして、上記のようにして断続される状態で流れる整流電流のエンベロープ波形の導通期間は、ブリッジ整流回路Diから出力される整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも流れるものとなるが、交流入力電流IACの導通期間としては、この整流電流の導通期間にほぼ一致したものとなる。つまり、交流入力電流IACの導通角は、力率改善回路を備えない場合よりも拡大されているものであり、交流入力電流IACの波形としては、交流入力電圧VACの波形に近付くようにして導通角が拡大されたものとなっている。つまり、力率改善が図られていることになる。
図3は、上記構成による力率改善回路3の実際の力率改善動作を示すための波形図として、図1の回路において得られる交流入力電流IACの波形を交流入力電圧VACとの対比により示す。
なお、この図3では、交流入力電圧VACの定格レベルがそれぞれ100V時と230V時とでの波形をそれぞれ示している。また、負荷電力Poは150Wで一定とした場合の実験結果を示している。さらに、この図に示される結果は、図1の回路における各部の定数を後述する値に設定した場合に得られるものである。
先ず、図3に示される交流入力電圧VAC=100V時では、交流入力電圧VACのピークレベルは140Vpとなり、交流入力電流IACのピークレベルは7.0Ap程度となる。そして、交流入力電流IACの導通期間としては、交流入力電圧VACの半周期間に近いものとなっており、力率の改善が図られていることがわかる。
また、交流入力電圧VAC=230V時では、交流入力電圧VACのピークレベルは325Vp、交流入力電流IACのピークレベルは5.0Ap程度であり、この場合も交流入力電流IACの導通期間は、交流入力電圧VACの半周期間に近づくようにして拡大されており、力率改善が図られていることが理解できる。
ところで、図1に示した力率改善回路3において、高周波インダクタL11は一次巻線N1に対して直列関係にあることで、等価的には、高周波インダクタL11のインダクタンスは、一次巻線N1のリーケージインダクタンス成分としてみなすことができる。
ただし、高周波インダクタL11における高周波巻線部L11Bは、整流電流経路においてスイッチングダイオードD1と直列接続されることで、主としては、力率改善のためにスイッチング出力が印加される高周波インダクタとして機能するもので、一次巻線N1のリーケージインダクタンス成分として含まれるべき高周波インダクタL11のインダクタンスは、主としては高周波巻線部L11Aとなる。一次巻線N1は、この高周波巻線部N11Aとの直列接続を介するようにして、整流電流経路としてのラインであるスイッチングダイオードD1のカソードと高周波巻線部L11Bとの接続点に対して接続されているものとみることができる。従って、絶縁コンバータトランスPITにおける一次側のリーケージインダクタンスとしては、L1(N1)+L11Aにより表されるものとみることができる。
ここで、実施の形態の電源回路において、絶縁コンバータトランスPITのギャップ長の設定による結合係数kとしては、前述もしたように従来とおよそ同等のk=0.80程度となるものであった。
しかしながら、上記のようにして一次側のリーケージインダクタンスが、高周波インダクタL11(高周波巻線部L11A)のインダクタンスの合成分によって見かけ上増加することで、一次側と二次側との総合的な結合係数(総合結合係数kt)としては、従来と同等とされていた上記結合係数kよりもさらに低い値が得られることになる。すなわち、電源回路における一次側と二次側の結合度としては、絶縁コンバータトランスPITの構造そのものによる結合係数kに対して、より低く設定されることになる。
なお、後述もするが、図1の回路においては、高周波インダクタL11について所定のインダクタンス値を設定することで、上記した総合結合係数ktについて、0.70程度を設定することとしている。
図1に示す電源回路では、このようにして一次側と二次側の総合的な結合係数ktについて、従来よりも低い値を設定するものとしたことで、交流入力電圧VAC=85〜288Vの変動範囲に対応して動作する、所謂ワイドレンジ対応を実現可能としている。
以下、このことについて説明していく。
先ずは、結合係数kとして0.8〜0.9程度を設定するようにされていた、従来の電流共振形コンバータを備えた電源回路についての考察から始める。
先にも触れたように、従来において、電流共振形コンバータを備え、スイッチング周波数制御方式により二次側直流出力電圧Eoの安定化を図る電源回路としては、負荷電力Poの変動や交流入力電圧変動に対する二次側直流出力電圧Eoの安定化に必要なスイッチング周波数の制御範囲(必要制御範囲Δfs)が比較的広範となることで、スイッチング周波数制御のみでのワイドレンジ対応を図ることが実質的に不可能であるとされていた。
図23は、従来の電流共振形コンバータにおける定電圧制御特性を、スイッチング周波数fsと二次側直流出力電圧Eoのレベルとの関係により示している。
なお、従来の電流共振形コンバータとしては、先の図15に示した電源回路について、前段のアクティブフィルタを省略した構成と考えればよい。すなわち、絶縁コンバータトランスPITについて、ギャップ長を1.0mm程度として結合係数k=0.8〜0.9程度を設定するようにされた電流共振形コンバータである。
先ず、一般的なこととして、直列共振回路は、共振周波数foのときに最も共振インピーダンスが小さくなる。これにより、アッパーサイド制御における二次側直流出力電圧Eoとスイッチング周波数fsの関係として、二次側直流出力電圧Eoのレベルは、スイッチング周波数fsが共振周波数foに近づいていくほど上昇し、共振周波数foから離れていくのに従って低下していくものとなる。
従って、負荷電力Poを一定とした条件でのスイッチング周波数fsに対する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、この図15において示されるように、スイッチング周波数fsが一次側直列共振回路の共振周波数foと同じときにピークとなり、共振周波数foから離れるのに応じて低下する二次曲線的な変化を示すことになる。
また、同じスイッチング周波数fsに対応する二次側直流出力電圧Eoのレベルは、最小負荷電力Pomin時よりも最大負荷電力Pomax時のほうが、所定分低下するようにしてシフトする特性が得られる。つまり、スイッチング周波数fsを固定として考えると、重負荷の条件となるのに従って二次側直流出力電圧Eoのレベルは低下する。
そして、このような特性のもとで、アッパーサイド制御により二次側直流出力電圧Eoについて、Eo=tgとなるようにして安定化しようとした場合、従来の電源回路において必要となるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲)は、Δfsとして示される範囲となる。
ここで、例えばAC100V系の単レンジに対応するとして入力電圧について交流入力電圧VAC=85V〜120Vの変動範囲と、さらに、メイン直流電源である二次側直流出力電圧Eoの最大負荷電力Pomaxから最小負荷電力Pominまでの負荷変動範囲が例えばPo=150W〜0Wとされた場合を想定してみる。
この場合、従来の電流共振形コンバータにおいて二次側直流出力電圧Eoの定電圧制御のために可変するスイッチング周波数fsの可変範囲は、fs=80kHz〜200kHz程度であり、Δfsとしても120kHz程度と相応に広範囲なものとなる。
このことを踏まえて、スイッチング周波数制御のみでワイドレンジ対応を実現することについて考えてみると、先ずワイドレンジとしては例えばAC85V〜288Vの交流入力電圧範囲に対応することになる。従って、例えば上記のようなAC100V系のみ、あるいはAC200V系のみの単レンジに対応する場合と比較して、同じ負荷変動範囲に対応するとした場合の二次側直流出力電圧Eoのレベル変動範囲は、当然拡大する傾向となる。
そして、このような交流入力電圧範囲に対応してレベル変動範囲が拡大傾向とされた二次側直流出力電圧Eoについて定電圧制御を行うためには、より広範囲なスイッチング周波数制御範囲が必要となる。例えば、上記したAC100V系単レンジでの必要制御範囲Δfs(fs=80kHz〜200kHz程度)とされた場合では、ワイドレンジ対応とするにあたってのスイッチング周波数fsの制御範囲は約80kHz〜500kHzにまで拡大する必要がでてくる。
しかしながら、現状のスイッチング素子を駆動するためのIC(発振・ドライブ回路2)としては、対応可能な駆動周波数の上限は200kHz程度が限界である。また、仮に上記したような高い周波数での駆動が可能なスイッチング駆動用ICを構成して実装したとしても、このような高い周波数でスイッチング素子を駆動した場合には、電力変換効率が著しく低下するために、現実の電源回路として実用的ではなくなる。
以上のような事情から、従来の電源回路の構成によっては、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみでワイドレンジ対応を図ることが非常に困難とされていたものである。
これに対し、図1に示した電源回路のように、一次側と二次側との結合係数について従来よりも低い値に設定した場合の定電圧制御特性としては、次の図4に示すようになる。
図4は、図1の電源回路の定電圧制御特性を、スイッチング周波数fsと二次側直流出力電圧Eoとの関係により示している。
なお、この図では同時に、絶縁コンバータトランスPITにおける結合係数kを従来の設定とした場合の電源回路における、二次側直流出力電圧Eoについての定電圧制御特性を一点鎖線により示している。
また、確認のために述べておくと、図1の電源回路における前段の電流共振形コンバータとしても、スイッチング周波数制御方式としていわゆるアッパーサイド制御を採用していることを前提とする。
図4において、この場合としても、直列共振回路においては共振周波数foのときに最も共振インピーダンスが小さくなる特性から、アッパーサイド制御における二次側直流出力電圧Eoとスイッチング周波数fsの関係としては、スイッチング周波数fsが共振周波数foに近づいていくほど二次側直流出力電圧Eoのレベルが上昇し、共振周波数foから離れていくのに従って二次側直流出力電圧Eoのレベルが低下していくものとなる。
従って、この場合も負荷電力Poを一定とした条件でのスイッチング周波数fsに対する二次側直流出力電圧Eoレベルは、図示するようにして、スイッチング周波数fsが一次側直列共振回路の共振周波数foと同じときにピークとなり、共振周波数foから離れるのに応じて低下する二次曲線的な変化を示す。
また、同じスイッチング周波数fsに対応する二次側直流出力電圧Eoのレベルとしては、この場合も最小負荷電力Pomin時よりも最大負荷電力Pomax時のほうが所定分低下するようにしてシフトする特性となる。従ってこの場合としても、スイッチング周波数fsを固定として考えると重負荷の条件となるのに従って二次側直流出力電圧Eoのレベルは低下する傾向となる。
ここで、この図に示される図1の回路の場合での最大負荷電力Pomax(Po=150W)時の特性曲線(特性曲線1)と、従来の回路でのPomax時の特性曲線(特性曲線2)とを比較してわかるように、最大負荷電力時での双方の特性曲線としては、およそ同様の比較的急峻な二次曲線が得られていることがわかる。これに対し、最小負荷電力Pomin(Po=0W)時では、特性曲線3と示される図1の回路の曲線と、特性曲線4と示される従来の曲線とを比較すると、従来での非常になだらかな曲線に対し、図1の回路では急峻となる特性が得られていることが理解できる。
そして、このような特性が得られている下で、アッパーサイド制御により二次側直流出力電圧EoについてEo=tgとなるようにして安定化しようとした場合、従来の電源回路においてEoの安定化に必要となるスイッチング周波数の可変範囲(必要制御範囲Δfs)は、特に上記のようにして最小負荷電力Pomin時の特性曲線がなだらかであることから、図のように比較的広範なΔfsBと示される範囲となる。
これに対し、図1に示した電源回路におけるEoの安定化のための必要制御範囲Δfsは、従来よりも最小負荷電力Pomin時の特性曲線が急峻とされたことで、上記ΔfsBよりも縮小されたΔfsAとして示される範囲となる。
このようにして、電源回路の一次側と二次側との結合係数について従来よりも低い所定以下の値を設定した実施の形態では、特に最小負荷電力Pomin時でのスイッチング周波数の上昇が抑制されることで、安定化のための必要制御範囲Δfsが大幅に縮小されたものとなる。
ここで、図4の特性図においては、AC100V系又は200V系の一方の単レンジの場合での必要制御範囲Δfsについて示しているが、他方のレンジにおいても、同様に必要制御範囲Δfsの大幅な縮小化が図られるものとなる。すなわち、同様に最小負荷電力Pomin時でのスイッチング周波数の上昇が特に抑制されることで、AC100V系とAC200V系の双方の単レンジにおいて、従来よりも必要制御範囲Δfsの大幅な縮小化が図れるものである。
そして、このように各単レンジでの必要制御範囲Δfsの縮小化が図られるということは、AC100V系からAC200V系までの入力に対応するとした場合にも、その必要制御範囲Δfsとしては従来よりも大幅に縮小することができるものとなる。
このように、AC100V系からAC200V系の入力に対応する場合の必要制御範囲Δfsについても大幅な縮小化が図られることで、図1の電源回路によれば、スイッチング周波数制御方式による安定化動作のみによるワイドレンジ対応の構成を実現することができる。
ところで、このようなスイッチング周波数制御方式により二次側の直流出力電圧の安定化を図る電流共振形コンバータとして、先の先行技術として示した図18の回路における電流共振形コンバータでは、二次側の整流回路として両波整流回路を備えるものとしていたが、このように二次側の整流回路が両波整流とされた場合、スイッチング周波数制御範囲は、特に広範囲とされてしまうことになる。
先ず、両波整流回路とした場合、二次巻線N2はセンタータップされ、2つの二次巻線部が形成される。そして、これら2つの二次巻線部において、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期においては、整流電流は[一方の二次巻線部→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo]の経路で流れる。また、上記交番電圧の他方の半周期には、整流電流は[他方の二次巻線部→整流ダイオードDo2→平滑コンデンサCo]を介して流れる。
つまり両波整流において、2つの二次巻線部としては、一方の半周期には一方にのみ電流が流れ、他方には流れないという状態となる。
このような両波整流動作によると、絶縁コンバータトランスPITのボビンに対してそれぞれ巻装された2つの二次巻線部の間には、所要の静電容量が存在することとなる。
そして、このように線間静電容量が存在していることにより、この場合の絶縁コンバータトランスPITの二次側においては、等価的には二次巻線N2に対して並列にコンデンサC2が接続された状態となる。
二次巻線N2に対して並列にコンデンサC2が接続されることで、この場合は二次側においても二次巻線N2のリーケージインダクタンス(L2)とコンデンサC2のキャパシタンス(C2)とによる、並列共振回路(部分共振回路)が形成されたものとなり、これによって二次側においても、一次側の部分共振回路(L1//Cp)と同様の共振動作が得られることになる。
ちなみに、上記コンデンサC2のキャパシタンスとしては、二次巻線N2として用いるリッツ線の束数と、二次巻線N2が巻装されるボビンの窓面積によって決定されるものであるが、例えば図18の回路について実験を行った結果では、およそ100pF〜500pF程度と微少なもとなっている。
このように二次側の整流回路が両波整流回路とされ、二次側においても並列共振回路が形成される電流共振形コンバータにおいては、先の図23に示したような二次側直流出力電圧Eoの定電圧特性として、実際には次の図24に示すような特性となってしまう。
図24において、先ず、上記のように二次側に対しても並列共振回路が形成されることで、一次側の直列共振回路の共振周波数をfo1とした場合、二次側の並列共振回路の共振周波数fo2が存在することになる。
そして、このように異なる共振点が2つ存在するようにされることで、特にPomin時における特性曲線としては、一次側の共振周波数fo1に応じてピークと二次側の共振周波数fo2に応じたピークとの2つのピークを持つ、図のような双峰曲線が得られることになる。
この場合、コンデンサC2のキャパシタンスとしては、上記もしたように比較的微少とされることで、重負荷の条件で二次側直流出力電圧Eoのレベルが比較的低くなる傾向とされているときは、二次側の共振点は顕在化しないものとなる(Pomax時の特性曲線)。しかし、軽負荷の傾向となって、無負荷の状態に近づくことによっては、二次側直流出力電圧Eoが急激な上昇傾向となることに伴って、二次側の共振点が顕在化するかの如く、図中Po=0時の特性曲線のような双峰の特性曲線が得られるものである。
この双峰の特性曲線と、先の図23における同じPo=0W時の特性曲線を比較すると、図24に示される双峰曲線の方が、単峰の曲線とされた場合よりも、無負荷時のスイッチング周波数がより高くなる傾向となることが理解できる。
そして、これによれば、各図のΔfsを比較してわかるように、図24の双峰となる方がスイッチング周波数の必要制御範囲Δfsがより広範となるものである。
このようにして、従来の電流共振形コンバータの構成として、二次側に両波整流回路を構成した場合は、一次側と二次側の共振回路による2つの共振点が存在することによる必要制御範囲Δfsの拡大も加わり、さらに必要制御範囲Δfsは拡大傾向となってしまう。
そこで、実施の形態としては、先の図1においても示したように、二次側の整流回路としてはブリッジ整流回路を備えるものとし、両波整流回路以外の整流回路としている。
ここで、例えば仮に、上述した実施の形態としての結合係数の設定の下で、先の図18の回路の場合と同様に二次側の整流回路として両波整流回路を備えた場合について考察してみる。
先ず、両波整流回路とされることで、この場合としてもセンタータップによって分割された各二次巻線部の間には、線間静電容量が存在することに変わりはなく、従って二次側には等価的に並列共振回路が形成され、これによって、この場合としても定電圧制御についての特性曲線は、特に負荷電力Po=0W時のものは先の図24に示した双峰の曲線が得られることになる。
このようにして、特性曲線自体が単峰でなく双峰の特性となることから、両波整流回路とした場合には、実施の形態の結合係数の設定によっても、スイッチング周波数の必要制御範囲Δfsの縮小化が図られないものとなる。これは、特性曲線が双峰であることで、無負荷近辺でのスイッチング周波数が急激に上昇する特性が維持されてしまうことによる。そして、これに伴って必要制御範囲Δfsとしても有効な縮小化を図ることがほぼ不可能となり、結果的に結合係数について所定以下に設定したとしても必要制御範囲Δfsは変化しないことになる。
これに対し、二次側に並列共振回路が形成されず、定電圧制御の特性曲線が単峰であれば、先の図4の特性図から理解されるように、実施の形態としての結合係数の設定によって、無負荷時(Pomin時)のスイッチング周波数は、従来の結合係数の設定とされた場合よりも低い値とすることができ、従って無負荷付近でのスイッチング周波数の急激な上昇特性は有効に改善が図られる。
このような理由から、二次側の整流回路を両波整流回路以外とし、一次側と二次側との結合係数について所定以下に低下させた実施の形態によれば、必要制御範囲Δfsの有効な縮小化を図ることができ、これによってスイッチング周波数制御方式による安定化動作のみでのワイドレンジ対応の構成を実現することができるものである。
図5は、図1に示した電源回路の負荷変動に対するAC→DC電力変換効率、力率、整流平滑電圧(直流入力電圧)についての特性図である。
なお、この図では、負荷電力Po=150W〜0Wまでの変動に対する各特性について示し、交流入力電圧VAC=100V時の特性は実線により、また交流入力電圧VAC=230V時での特性は破線により示している。
また、この図に示される実験結果を得るにあたっては、図1の回路における要部を以下のように選定した。
・絶縁コンバータトランスPIT
EER−39型フェライト磁芯、ギャップ長=1.6mm、
・一次巻線N1=30T(ターン)、
・二次巻線N2=25T
・高周波インダクタL11=高周波巻線部L11B+高周波巻線部L11A=33μH+15μH
・一次側直列共振コンデンサC1=0.047μF
・フィルタコンデンサCN=1μF
・平滑コンデンサCo=1000μF
上記一次巻線N1のターン数と高周波巻線部L11Aのインダクタンスの設定により、電源回路の一次側と二次側の結合係数についてはkt=0.70程度を設定した。
先ず、図5において、AC→DC電力変換効率については、交流入力電圧VAC=100V、230V時で共に、負荷電力Poの上昇に伴って上昇する特性が得られる。そして、交流入力電圧VAC=100V時では、負荷電力Po=150W時において最大となり、ηAC→DC=90.0%程度が得られた。
また、交流入力電圧VAC=230V時としても負荷電力Po=150W時に最大値が得られ、ηAC→DC=91.3%程度となる結果が得られた。
これは、従来のアクティブフィルタを備えた図18の回路の場合(VAC=100V時86.5%、VAC=230V時89.3%)と比較して向上しているものである。
また、力率PFとしても、図示されるように負荷電力Poの上昇に伴っては、交流入力電圧VAC=100V時、230V時で共に上昇する傾向となる。実験によると、負荷電力Po=150W時、交流入力電圧VAC=100Vでは力率PF=0.95程度が得られ、交流入力電圧VAC=230Vでは力率PF=0.85程度が得られる。
また、交流入力電圧VAC=100V時、力率PFは、負荷電力Po=150W〜0Wの変動に対して0.75以上が維持され、また、交流入力電圧VAC=230V時では負荷電力Po=150W〜60Wの範囲に対して力率PF=0.75以上が得られる結果となった。このことからも図1の電源回路においては実用上充分な力率が得られていることが理解できる。
また、直流入力電圧Eiは、商用交流電源AC(VAC)を入力してブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiから成る全波整流回路が整流動作を行うことで、平滑コンデンサCiの両端電圧として得られるものであるために、交流入力電圧VAC=230V時の方がVAC=100V時よりも高いレベルが得られる。
なお、ここでの図示は省略したが、実験によると、図1の回路のように高周波インダクタL11についてタップを施し、高周波巻線部L11Aを追加した構成とした場合には、二次側直流出力電圧Eoに重畳するリップル電圧ΔEoの若干の低下が確認された。すなわち、図1の構成から高周波巻線部L11Aを省略した構成とした場合、負荷電力Po=150Wの条件の下で、交流入力電圧VAC=100V時にはΔEo=100mV程度、VAC230V時にはΔEo=70mV程度であったものが、図1の回路では同じ負荷条件下、VAC=100V時にΔEo=80mV程度、VAC=230時ではΔEo=50mV程度となる結果が得られた。すなわち、図1の回路では高周波巻線部L11Aの追加によってΔEoが約20mV程度低下する結果が得られたものである。
これまでで説明してきたように、実施の形態によれば、力率の改善とワイドレンジ対応との双方を実現することができる。
そして、このような力率の改善とワイドレンジ対応の実現にあたり、図1の源源回路では、先の図18の電源回路が備えていたようなアクティブフィルタは実装されないものとなっている。すなわち、図1に示した構成によっては、力率の改善とワイドレンジ対応とをアクティブフィルタを実装することなく実現できるものである。
このようにして、アクティブフィルタが省略可能となったことで、同じ力率の改善とワイドレンジ対応とを図る構成として、先の図18に示した電源回路よりも電力変換効率の向上が図られる。
これは、図1の電源回路の構成によれば、アクティブフィルタを備える場合のように前段と後段の2つの電力変換効率値により総合効率が低下することがないことによる。
また、図1の回路の場合、電力変換効率の向上は次のような理由によっても図られていることになる。
先ず、実施の形態の電源回路としては、一次側と二次側の結合係数として0.70程度以下を設定することによってワイドレンジ対応を実現しているが、仮にこの結合係数が0.70程度以下となる疎結合の状態を、高周波インダクタL11を省略して、絶縁コンバータトランスPITの構造のみにより得ようとした場合には、例えば絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚のギャップGについて所定値以上にまで拡大して、絶縁コンバータトランスPITそのものを、k=0.70程度以下の疎結合トランスとして構成することが考えられる。
このような構成を採ることによっても、図4にて説明した特性曲線を得ることができるので、スイッチング周波数の必要制御範囲が縮小され、AC100V系とAC200V系の商用交流電源入力に対応して二次側直流電圧の安定化を図ることができる。
しかしながら、このような絶縁コンバータトランスPITの構造とした場合、絶縁コンバータトランスPITのコアのギャップG近傍における渦電流損失が増加し、その分のAC→DC電力変換効率の低下が生じることになる。
これに対し、図1に示した電源回路では、一次巻線N1に対して高周波インダクタL11を接続することで、高周波インダクタL11のインダクタンスにより一次巻線N1のリーケージインダクタンスは等価的に増加し、絶縁コンバータトランスPITのギャップの拡大は抑制されている。
すなわち、これによって上記の渦電流損失の増加の問題が解消され、良好なAC→DC電力変換効率特性が得られるものである。
また、実施の形態では、上記のようにアクティブフィルタを不要とできることで、回路構成部品点数の削減が図られる。
つまりアクティブフィルタは、1組のコンバータを構成するものであり、図18による説明からも分かるように、実際には、1本のスイッチング素子と、これらを駆動するためのIC等を始め、多くの部品点数により構成される。
これに対し図1に示す電源回路においては、力率改善及びワイドレンジ対応のために必要な追加部品として、少なくともフィルタコンデンサCN、スイッチングダイオードD1、高周波インダクタL11を備えればよく、アクティブフィルタと比較すれば非常に少ない部品点数とすることができる。
これにより、図1に示す電源回路としては、力率改善機能を有するワイドレンジ対応の電源回路として、図18に示す回路よりもはるかに低コストとすることができる。また、部品点数が大幅に削減されることで、回路基板についても有効に小型軽量化を図ることができる。
また、図1に示す電源回路では、共振形コンバータ及び力率改善回路3の動作はいわゆるソフトスイッチング動作であるから、図18に示したアクティブフィルタと比較すればスイッチングノイズのレベルは大幅に低減される。
このため、図1にも示したように、各1組のコモンモードチョークコイルCMCとアクロスコンデンサCLから成る1段のノイズフィルタを備えれば、電源妨害規格をクリアすることが充分に可能とされる。また、整流出力ラインのノーマルモードノイズについては、図1にも示しているように、1つのフィルタコンデンサCNのみにより対策を行っている。
このようにしてノイズフィルタとしての部品点数が削減されることによっても、電源回路のコストダウンと、回路基板の小型軽量化は促進される。
また、図1に示す電源回路の場合、一次側のスイッチングコンバータを形成する各スイッチング素子Q1,Q2、及びスイッチングダイオードD1は、同期してスイッチング動作するものである。従って、一次側アース電位としては、図18の電源回路のように、アクティブフィルタ側と、その後段のスイッチングコンバータとの間で干渉することが無く、スイッチング周波数の変化に関わらず安定させることができる。
これにより、例えば図18の電源回路で問題となっていた異常発振の問題も解消されることになる。
また、図1の構成によれば、電源回路の起動時、商用交流電源ACからの突入電流は発振・ドライブ回路2によるソフトスタート機能によってこれを流れないようにすることができる。これによって図18の回路では備える必要のあった突入電流抑制のための構成(突入電流制限抵抗やパワーサーミスタ等)は特に備える必要がなくなり、この点でも回路構成部品の削減や製造コストの削減が図られる。
以上のようにして図1に示す実施の形態の電源回路は、アクティブフィルタを備える電源回路が有する各種の問題を解決したうえで、力率改善機能を有するワイドレンジ対応の電源回路が実現されているものである。
なお、図1に示した電源回路の構成において、上述もしたように高周波インダクタL11における高周波巻線部L11Aは、一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1に対する合成インダクタンス成分であり、総合結合係数ktを設定するためのインダクタ(結合係数設定用インダクタ)としての機能を有し、高周波巻線部L11Bは、力率改善回路において帰還されたスイッチング出力を受けるためのインダクタ(力率改善用インダクタ)としての機能を有している。
ここで図1の構成としては、これらの結合係数設定用インダクタと力率改善用インダクタとは、それぞれ異なる独立のインダクタンス素子(部品)とされたうえで回路に備えられるようにしてもよい。
但し、図1に示したようにして、高周波インダクタL11についてタップを施して高周波巻線部L11A,L11Bを形成するようにすれば、結合係数設定用インダクタと力率改善用インダクタとを備えることに対応して追加されるインダクタンス素子は、1部品とすることができる。
続いて、図6の回路図に、第1の実施の形態の電源回路の変形例の構成を示す。なお、この図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図6に示す電源回路としては、図1に示した電源回路が備えていた力率改善回路3に代えて、力率改善回路4を備えるようにしたものである。
この力率改善回路4としては、高周波インダクタL10、スイッチングダイオードD1、力率改善用コンデンサC20、及びフィルタコンデンサCNを備えて成り、電力回生方式としては静電結合方式が採用される。
この場合、回路構成としては、先ず図1に示した力率改善回路3の構成から、高周波巻線部L11Aを省略した構成を採る。つまり、高周波インダクタL11に対して設けられていたタップを省略したことで、この場合における高周波インダクタL10としては2つの巻線部に分割されていないものとなっている。
その上で、スイッチングダイオードD1に対して並列に、力率改善用コンデンサC20を接続するようにしたものである。
このような構成による力率改善回路4によっては、一次側直列共振回路(C1−L1)に得られるスイッチング出力(一次側直列共振電流)を、力率改善用コンデンサC20を介して平滑コンデンサCiに帰還するような電力回生動作となる。つまり、この場合の電力回生は静電結合形により行われるものとなる。
そして、このような静電結合形による力率改善回路4を備えた場合にも、回生された電力によりスイッチングダイオードD1が整流電流をスイッチングして断続するようにされる。この結果、図1に示した磁気結合形の力率改善回路3と同様にして、交流入力電流IACの導通角は拡大されて力率改善が図られることになる。
ここで、この場合の電源回路においては、図1に示した高周波巻線部L11Aが省略されたことで、電源回路の一次側と二次側との総合的な結合係数としては、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kの設定のみによるものとなる。
従って、ワイドレンジ対応を実現するにあたり、この図6に示す変形例の構成では、絶縁コンバータトランスPITのコアのギャップを従来よりも拡大して例えば2.0mm以上に設定することで、図1の場合と同様の総合的な結合係数kt=0.70程度を得るようにされる。
これによって、図1の回路の場合と同様にワイドレンジ対応が実現される。
なお、先に述べた絶縁コンバータトランスPITを疎結合としたことによる渦電流損失は、例えば最大負荷電力Pomax=150W程度までの負荷条件では許容範囲であるために、この変形例のようにして高周波巻線部L11Aを省略して、絶縁コンバータトランスPITのコアのギャップ長のみによって結合係数k=0.70程度以下の疎結合の状態を設定したとしても、実用可能なワイドレンジ対応の電源回路を得ることができる。
つまりは、最大負荷電力が150W以下の条件とされる場合であれば、この変形例の構成によっても図1の回路の場合とほぼ同様の効果を得ることができるものである。
また、次の図7の回路図は、第2の実施の形態としての電源回路の構成を示している。
なお、この図において、既に図1にて説明した部分と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
第2の実施の形態の電源回路としては、第1の実施の形態において備えられてた電力回生方式による力率改善回路に代え、電圧帰還方式による力率改善回路が備えられるものである。
この図7の回路に備えられる力率改善回路5は、力率改善用トランスVFT、スイッチングダイオードD1、及びフィルタコンデンサCNを備えて成る。
スイッチングダイオードD1のアノードは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子に対して接続される。スイッチングダイオードD1のカソードは、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12の直列接続を介して平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
上記した力率改善回路5の接続形態では、整流平滑電圧Eiを生成する整流電流経路において、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子との間のラインに対して、スイッチングダイオードD1−二次巻線N12の直列接続回路を挿入していることになる。つまり、二次巻線N12は、電圧帰還方式による力率改善回路において、スイッチング出力を電圧帰還することにより得られる、スイッチング周期の交番電圧を受けるインダクタとしての機能を有するもので、ここでの二次巻線N12は、先の第1の実施の形態における高周波インダクタL11における高周波巻線部L11Bと同等の機能を有している。
また、この場合のフィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1−二次巻線N12の直列接続回路に対して並列に接続される。
力率改善用トランスVFTは、一次巻線N11と二次巻線N12とについて、磁気的に結合されるようにしてコアに巻装した構造を有する。なお、この場合の力率改善用トランスVFTは、分割された巻装位置が形成されているいわゆる分割ボビンを有し、一次巻線N11と二次巻線N12とを、上記分割ボビンにおいてそれぞれ異なる巻装位置に巻回するようにしている。これにより、一次側と二次側の結合度としては、疎結合とされる所定の結合係数が得られるようにされている。
このようにして構成される力率改善回路5においては、一次側直列共振回路にスイッチング出力(一次側直列共振電流)が得られるのに応じて、この一次側直列共振回路に含まれるとされる力率改善用トランスVFTの一次巻線N11にスイッチング出力としての電流が流れることになる。そして、力率改善用トランスVFTにおいては、この一次巻線N11に流れる交番電流に応じて、二次巻線N12に交番電圧を誘起させる。
先に述べたように、力率改善用トランスVFTの二次巻線N12は、スイッチングダイオードD1と直列接続された形態で、商用交流電源ACの整流電流経路に挿入されている。このために、二次巻線N12に誘起される交番電圧は、整流出力電圧に対して重畳されるものとなる。つまり、力率改善用トランスVFTによっては、一次側直列共振電流を、力率改善用トランスVFTの磁気結合を介して整流電流経路に電圧として帰還するようにしている。このようにして、スイッチング出力を電圧として帰還して力率改善を図るようにされた力率改善回路の方式を、ここでは電圧帰還方式といっている。
従って、この場合のスイッチングダイオードD1としても、上記した交番電圧の重畳分により整流電流をスイッチング(断続)するようにして動作する。このような動作が得られる結果、交流入力電圧VACのレベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも整流電流を流すことになる。この結果、先の第1の実施の形態と同様にして、交流入力電流IACの導通角が拡大され、交流入力電流IACの波形が交流入力電圧VACに近づくこととなって力率が改善される。
また、この図7に示す電源回路においては、前述もしたように、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に対して、一次側直列共振コンデンサC1を介して力率改善用トランスVFTの一次巻線N11が直列に接続されている。この場合、一次巻線N1と一次巻線N11との間には、一次側直列共振コンデンサC1が介在するものの、一次側直列共振回路を成すリーケージインダクタンス成分としては、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1そのもののリーケージインダクタンスL1と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスとを合成したものとなる。このことから、一次側直列共振回路内において、一次巻線N1と一次巻線N11とは相互に直列接続される関係にあるインダクタンスであるとみてよく、従って、絶縁コンバータトランスPITの総合結合係数ktとしても、一次巻線N1自体のリーケージインダクタンスL1と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスとを合成して得られる総合のリーケージインダクタンスに対応した値を有することになる。つまり、この図7に示す電源回路では、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11が、先の図1に示した高周波巻線部L11Aとしての機能を有している。
そして、このような構成が採られることで、図7の回路としても、絶縁コンバータトランスPITのコアのギャップ長の設定による結合係数kとしては従来とおよそ同等とすることができ、これによる効果は先の図1の回路の場合と同様である。
図8は、図7に示した電源回路において得られる交流入力電流IACの波形を交流入力電圧VACとの対比により示す。
この図8としても、交流入力電圧VACの定格レベルがそれぞれ100V時と230V時とでの波形を示している。また、負荷電力Poは150Wで一定とした場合での実験結果である。さらに、この図に示される結果は、図7の回路における各部の定数を後述する値に設定した場合に得られるものである。
先ず、図8に示される交流入力電圧VAC=100V時としても、交流入力電圧VACのピークレベルとしては140Vpとなっている。また、この場合の交流入力電流IACのピークレベルは7.5Ap程度となる。そして、交流入力電流IACの導通期間としては、交流入力電圧VACの半周期間に近いものとなっており、力率の改善が図られていることがわかる。
また、交流入力電圧VAC=230V時ではVACのピークレベルは325Vpとなる、そして、交流入力電流IACのピークレベルは6.0Ap程度であり、この場合もその導通期間は、交流入力電圧VACの半周期間に近づくようにして拡大されており、力率改善が図られていることが理解できる。
図9は、図7に示した電源回路の負荷変動に対するAC→DC電力変換効率、力率、直流入力電圧についての特性図である。
なお、この図としても、先の図5と同様に負荷電力Po=150W〜0Wまでの変動に対する各特性について示し、交流入力電圧VAC=100V時の特性は実線により、また交流入力電圧VAC=230V時での特性は破線により示している。
また、この図に示される実験結果を得るにあたっては、図7の回路における要部を以下のように選定した。
・絶縁コンバータトランスPIT、
EER−39型フェライト磁芯、ギャップ長=1.6mm、
・一次巻線N1=28T(ターン)、
・二次巻線N2=25T
・力率改善用トランスVFT、
EER−25型フェライト磁心、ギャップ長=1.0mm、
・一次巻線N11=二次巻線N12=33μH、結合係数k-VFT=0.98
・一次側直列共振コンデンサC1=0.047μF
・フィルタコンデンサCN=1μF
・平滑コンデンサCo=1000μF
図7の回路においては、上記一次巻線N1のターン数と一次巻線N11のインダクタンスとの設定により、電源回路の一次側と二次側の結合係数についてはこの場合もkt=0.70程度を設定した。
先ず、図9において、AC→DC電力変換効率については、この場合も交流入力電圧VAC=100V、230V時で共に、負荷電力Poの上昇に伴って上昇する特性が得られ、交流入力電圧VAC=100Vの条件では、負荷電力Po=150W時にηAC→DC=90.2%程度の最大値が得られた。
また、交流入力電圧VAC=230V時としても負荷電力Po=150W時に最大値が得られ、ηAC→DC=91.5%程度となる結果が得られた。
つまり、この場合としても、従来のアクティブフィルタを備えた図18の回路の場合(VAC=100V時86.5%、VAC=230V時89.3%)と比較して向上する結果が得られているものである。
また、力率PFとしても、図示されるように負荷電力Poの上昇に伴っては交流入力電圧VAC=100V時、230V時で共に上昇する傾向となる。
負荷電力Po=150W時、交流入力電圧VAC=100Vでは力率PF=0.95程度が得られ、交流入力電圧VAC=230Vでは力率PF=0.85程度が得られる。
また、交流入力電圧VAC=100V時の力率PFとしては、この場合は負荷電力Po=150W〜0Wの変動に対して0.80以上が維持される結果となった。また、交流入力電圧VAC=230V時は、図1の回路の場合と同様に負荷電力Po=150W〜60Wの範囲に対して力率PF=0.75以上が得られる結果となった。
このような結果から、図7の電源回路の構成によっても実用上充分な力率が得られることが理解できる。
なお、この場合も直流入力電圧Eiは、交流入力電圧VAC=230V時の方がVAC=100V時よりも高いレベルが得られる。
また、ここでも図示は省略したが、実験によると、図7の回路としても一次巻線N1と直列の関係に接続されたインダクタンス素子(一次巻線N11)が設けられたことで、二次側直流出力電圧Eoに重畳するリップル電圧ΔEoが低下する結果が得られた。
具体的には、図7の回路におけるΔEoは、負荷電力Po=150Wの条件下、交流入力電圧VAC=100V時にはΔEo=80mV程度、VAC230V時にはΔEo=50mV程度となり、図1の回路の場合と同様のΔEoの低減効果が得られた。
次の図10は、第2の実施の形態の変形例の構成について示す回路図である。
この図10では、既に図1及び図7にて説明した部分と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
図10に示される変形例では、力率改善のための構成としては図7の回路の場合と同様の力率改善回路5を備えるようにした上で、一次側の電流共振形コンバータの構成について、4石のスイッチング素子Q1〜Q4を備える、フルブリッジ結合方式を採用したものである。
このフルブリッジ結合方式としては、図示するようにして、スイッチング素子Q1,Q2のハーフブリッジ接続に対して、スイッチング素子Q3,Q4のハーフブリッジ接続を並列に接続するようにされる。
上記スイッチング素子Q3,Q4についても、スイッチング素子Q1,Q2と同様にして、それぞれ、ボディダイオードであるダンパーダイオードDD3、ダンパーダイオードDD4が、ドレイン−ソース間に対して並列に接続されている。
また、この場合には、スイッチング素子Q3,Q4が備えられることに対応して、スイッチング素子Q4のソース−ドレイン間に対して並列に一次側部分共振コンデンサCp2が接続される。この一次側部分共振コンデンサCp2としても、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1(及び一次巻線N11のインダクタンス)とにより並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成し、スイッチング素子Q3,Q4のターンオフ時にのみ電圧共振する部分電圧共振動作を得る。
そのうえで、この場合には、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1について、図7の回路では一次側アースに接続されていたその一方の端部(巻き始め端部)を、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接続点と接続する。スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のドレインの接続点は、フルブリッジ結合のスイッチング回路系における一方のスイッチング出力点となる。
また、一次巻線N1の他方の端部は、図7の場合と同様にして一次側直列共振コンデンサC1と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11の直列接続を介して、他方のスイッチング出力点であるスイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点に対して接続する。
上記接続態様によると、一次巻線N1−一次側直列共振コンデンサC1−一次巻線N11の直列接続が形成されていることになる。これにより、一次巻線N1そのもののリーケージインダクタンスL1と、力率改善用トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスとから成る合成インダクタンスと、一次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスとにより、一次側直列共振回路が形成されることになる。
そして、一次側直列共振回路としては、スイッチング素子Q1,Q2側のスイッチング出力点と、スイッチング素子Q3,Q4側のスイッチング出力点との間に挿入されていることになる。
また、この場合の発振・ドライブ回路2は、スイッチング素子Q1〜Q4の4石のスイッチング素子を駆動するようにされている。この発振・ドライブ回路2によっては、スイッチング素子[Q1,Q4]の組と、スイッチング素子[Q2,Q3]の組とが交互にオン/オフするようにしてスイッチング駆動が行われる。そして、これらスイッチング素子のスイッチング出力が、上記のようにしてスイッチング出力点間に挿入される一次側直列共振回路に伝達され、そのスイッチング動作を電流共振形とする。
ここで、この図10に示す電源回路のようにして、一次側の電流共振形コンバータの構成についてフルブリッジ結合方式とするのは、重負荷の条件に対応するためである。重負荷の傾向となるのに従っては、スイッチングコンバータに流れる電流が増加して、回路部品への負担も重くなり、また、電力損失も増加していくことになる。
そこで、フルブリッジ結合とすれば、必要な負荷電流を4つのスイッチング素子によりまかなうこととなるために、例えば2本のスイッチング素子から成るハーフブリッジ結合方式の場合よりも、各部品への負担は軽くなり、また、電力損失も低減され、重負荷の条件に有利となる。例えば、この図10に示す構成を採ることによっては、300W以上程度の最大負荷電力(Pomax)に対応可能なワイドレンジ対応の電源回路を実現することができる。
なお、この図10に示す電源回路としても、先の図7の回路と同様の力率改善回路5が備えられることから、絶縁コンバータトランスPITのコアのギャップ長の設定による結合係数kとしては従来とおよそ同等とすることができ、これによる効果は先の図1及び図7の回路の場合と同様のものとなる。
また、確認のために述べておくと、一次側の電流共振形コンバータについてフルブリッジ結合方式とする構成に対して組み合わせるべき力率改善回路の形式などは任意であり、例えば他の電圧帰還方式あるいは電力回生方式による力率改善回路を任意に組み合わせることができる。
図11の回路図は、第2の実施の形態としての電源回路のさらに他の変形例の構成を示している。なお、図1及び図7と同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
この図11に示される電源回路では、同じ電圧帰還方式による力率改善回路として、先の図7及び図10の回路が備えていた力率改善用トランスVFTを省略し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と共に一次側に三次巻線N3を巻装するものとしている。そして、一次巻線N1からこの三次巻線N3に励起されるスイッチング出力を整流電流経路に対して帰還するように構成された、力率改善回路6を備えるようにされている。
この力率改善回路6において、先ず三次巻線N3は、一方の端部(巻き始め端部)がスイッチング素子Q1のドレインを介して平滑コンデンサCiの正極端子に対して接続される。また、他方の端部(巻き終わり端部)は、高周波インダクタL10−スイッチングダイオードD1(カソード→アノード)の直列接続を介して、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子に対して接続されている。
さらに、この場合のフィルタコンデンサCNは、上記三次巻線N3−高周波インダクタL10−スイッチングダイオードD1の直列接続回路に対して並列に接続される。
また、この場合、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1は、一方の端部(巻き終わり端部)が一次側アースと接続され、他方の端部(巻き始め端部)が一次側直列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1・Q2のスイッチング出力点に対して接続される。
この場合、上記高周波インダクタL10としては、絶縁コンバータトランスPITにおいて一次巻線N1から三次巻線N3に励起されたスイッチング出力に応じた交番電圧の帰還を受ける役割を果たす。
つまり、これによって上記した力率改善回路6の構成としても、整流電流経路に対してスイッチング出力を電圧として帰還する動作が得られているものである(電圧帰還方式)。 そして、高周波インダクタL10により得られるスイッチング出力に応じた交番電圧は、スイッチングダイオードD1のカソードに対して印加される。従って、この場合のスイッチングダイオードD1としても、上記した交番電圧の印加に応じて整流電流をスイッチング(断続)するようにして動作するものとなり、この結果、交流入力電圧VACのレベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも整流電流を流すこととなる。これによって、先の図7の回路と同様にして交流入力電流IACの導通角が拡大され、交流入力電流IACの波形が交流入力電圧VACに近づくこととなって力率が改善される。
なお、この図11に示される変形例の構成としても、先の図6に示した第1の実施の形態の変形例の構成と同様、電源回路の一次側と二次側との総合的な結合係数の設定は絶縁コンバータトランスPITのギャップ長の設定のみに依るものとなる。従って、この図11の回路構成とした場合も、先の図6に示した変形例の構成と同様に最大負荷電力が150W以下の条件とされる場合において、図1及び図7の回路の場合とほぼ同様の効果を得ることができるものである。
また、さらに以下の図12〜14では、これまでの各回路図に示した電源回路についての二次側の変形例の構成について説明する。
先ず、図12は、二次側の変形例の第一例としての構成を示している。
なお、以下の図12〜図14において、一次側の構成は先の図1、図6、図7、図10、及び図11に示したものの何れかが採用されればよいことから、ここでの図示による説明は省略する。
この図12に示される変形例では、二次側の整流回路として、倍電圧半波整流回路を構成するようにしたものである。
先ず、上記倍電圧半波整流回路としては、図示するようにして整流ダイオードDo1と整流ダイオードDo2、及び平滑コンデンサCo1と平滑コンデンサCo2との2組の平滑コンデンサCoを備えている。
この倍電圧半波整流回路において、先ず二次巻線N2の一方の端部(巻き終わり端部)に対しては、整流ダイオードDo1のアノードが接続される。そして、整流ダイオードDo1のカソードは平滑コンデンサCo1の正極端子に接続される。
この平滑コンデンサCo1の負極端子は、図示するようにしてもう一方の平滑コンデンサCo2の正極端子に対して接続され、平滑コンデンサCo2の負極端子は二次側アースに接続されている。その上で、二次巻線N2の他方の端部(巻き始め端部)が、これら平滑コンデンサCo1の負極端子と平滑コンデンサCo2の正極端子との接続点に対して接続されている。
さらに、図示するようにして上記二次巻線N2の一方の端部と整流ダイオードDo1のアノードとの接続点と、二次側アースとの間に、整流ダイオードDo2が挿入される。この整流ダイオードDo2は、アノード側が二次側アースに接続されるようにして挿入される。
上記構成による倍電圧半波整流回路では、先ず二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期に整流ダイオードDo1が導通して、整流電流を平滑コンデンサCo1に対して充電する。これによって平滑コンデンサCo1の両端には、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルによる電圧が生成される。そして、他方の半周期では、整流ダイオードDo2が導通して平滑コンデンサCo2に整流電流を充電し、この平滑コンデンサCo2の両端に、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルによる電圧を生成する。
これによって二次巻線N2に励起される交番電圧の1周期には、平滑コンデンサCo1−Co2の直列接続の両端に、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。
このようにして図12に示す構成によっては、平滑コンデンサCoの各々にはそれぞれ二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ充電が行われ、且つ平滑コンデンサCo(Co1−Co2)に得られる電圧レベルとしては上記交番電圧レベルの2倍に対応したレベルを得るようにされた、倍電圧半波整流動作が得られる。
なお、この場合も上記二次側直流出力電圧Eoは、各図に示したものと同様の制御回路1の検出入力として分岐して供給される。
ここで、確認のために述べておくと、この場合も二次側の整流回路としては両波整流回路以外の構成が採られるので、各図の回路の場合と同様の結合係数の設定により、ワイドレンジ対応の構成が実現される。
また、この図12に示した構成の如く二次側の整流回路を倍電圧半波整流回路とすることによっては、同じ二次側直流出力電圧Eoのレベルを得るにあたり、二次巻線N2の巻数は、各図のブリッジ整流回路とした場合からさらに半減することができる。
つまり、これによれば、従来の図18の回路との比較では二次巻線N2の巻数は1/4にまで削減され、このことから図12の二次側の構成を採用した場合はさらなる絶縁コンバータトランスPITの小型化が図られる。
図13は、二次側の構成についての第二例としての変形例の構成を示している。
この図13に示す変形例は、二次側の整流回路として、倍電圧全波整流回路を備えるようにしたものである。
先ず、この場合、二次巻線N2についてはセンタータップを施すことで、二次巻線部N2A/N2Bに分割する。ここで、二次巻線N2の全体に対しては、各図の回路に備えられていたものと同様の接続形態によるブリッジ整流回路が接続される。
具体的には、二次巻線N2の巻終わり端部となる、二次巻線部N2A側の端部が、整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードとの接続点に対して接続される。また、二次巻線N2の巻始め端部となる二次巻線部N2B側の端部が、整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードとの接続点に対して接続される。
そして、上記整流ダイオードDo1のカソードと整流ダイオードDo3のカソードの接続点が、平滑コンデンサCoの正極端子に対して接続される。この場合も、平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アースに接続される。
その上でこの場合は、上記した二次巻線N2のセンタータップに対し、コンデンサCcの正極端子が接続される。さらに、このコンデンサCcの負極端子が、上記した整流ダイオードDo2とDo4の各アノードの接続点に対して接続されている。
図示するように、この整流ダイオードDo2とDo4の各アノードの接続点は二次側アースに接続される。
上記構成による倍電圧全波整流回路では、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期において、整流電流は[二次巻線部N2A→平滑コンデンサCc→整流ダイオードDo2→二次巻線部N2A]の循環経路により流れる。また、二次巻線N2に励起される交番電圧の他方の半周期では、整流電流は[二次巻線部N2B→平滑コンデンサCc→整流ダイオードDo4→二次巻線部N2B]の循環経路により流れる。つまりこの場合、平滑コンデンサCcに対しては、各半周期において二次巻線部N2A、二次巻線部N2Bにそれぞれ励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルによる直流電圧が得られるようになっている。
その上で、二次巻線N2に励起される交番電圧の上記した一方の半周期では、整流電流は上記循環経路から分岐して[二次巻線部N2B→整流ダイオードDo3→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo2]の経路によっても流れる。
これにより当該半周期には、平滑コンデンサCoに対し、二次巻線部N2Bの交番電圧と、上記のように平滑コンデンサCcに得られた両端電圧が重畳したレベルにより充電が行われる。すなわち、平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線部に得られる交番電圧レベルの2倍に対応するレベルが得られる。
また、二次巻線N2に励起される交番電圧の他方の半周期としても、整流電流は上記の循環経路から分岐して[二次巻線部N2A→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo→整流ダイオードDo4]の経路によっても流れ、従ってこの場合も平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線部N2Aの交番電圧とコンデンサCcの充電電荷とにより、二次巻線部に得られる交番電圧レベルの2倍に対応するレベルが得られることになる。
このような整流動作から、この場合の整流回路においては、平滑コンデンサCoに対し、二次巻線N2に得られる交番電圧の各半周期に充電を行う動作が得られることになる。そして、その充電電位としては、上記のようにして二次巻線部に誘起される交番電圧の2倍に対応するレベルが得られる。
このことより、図13に示す二次側の整流回路によっては倍電圧全波整流動作が得られていることが理解できる。
なお、このように二次側の整流回路として倍電圧全波整流回路を設ける場合としても、同じ二次側直流出力電圧Eoのレベルを得るにあたっては、二次巻線N2全体の巻数を各図に示した回路の場合と同等とすることができる。従って、図13の構成を採る場合にも各図の回路の場合と同様の絶縁コンバータトランスPITの小型化を図ることができる。
また、ここで確認のために述べておくと、図13に示す二次側の構成としても、先の図18の回路の場合と同様に二次巻線N2にセンタータップを施すようにされているが、この図13の構成においては、従来の両波整流回路の場合のように二次側にて並列共振動作(部分電圧共振動作)が起こらないものとなる。これは、図13の構成では、上記説明から理解されるように、各二次巻線部には交番電圧の各半周期で整流電流が流れ、従来の両波整流の場合とは異なり一方の巻線部に整流電流が流れない期間が存在しないことから、各二次巻線部間で線間静電容量が存在しないためである。
このように二次側において並列共振動作が生じないことから、図13の構成によっても、電源回路の一次側と二次側の結合係数について所定以下に低下させることで、各図の電源回路の場合と同様の必要制御範囲Δfsの縮小化を図ることができるものである。
図14は、実施の形態の電源回路の第三例としての変形例の構成を示している。
この図14の変形例は、二次側の整流回路として4倍圧整流回路を備えるようにしたものである。
4倍圧整流回路としては、図示するようにして整流ダイオードDo1〜Do4による4つの整流ダイオードDoと、コンデンサCc1、Cc2、平滑コンデンサCo1、Co2とを備えて形成される。
この場合、二次巻線N2の一方の端部(巻き終わり端部)に対しては、図示するようにコンデンサCc1(負極端子→正極端子)→整流ダイオードDo1(アノード→カソード)の直列接続を介し、平滑コンデンサCo1の正極端子が接続される。そして、この平滑コンデンサCo1の負極端子は、二次巻線N2の他方の端部(巻き終わり端部)に対して接続される。
また、これら平滑コンデンサCo1の負極端子と二次巻線N2の他方端部の接続点に対しては、平滑コンデンサCo2の正極端子が接続され、この平滑コンデンサCo2の負極端子が二次側アースに接続されている。
さらに、二次巻線N2の上記した一方の端部と二次側アースとの間には、コンデンサCc2(正極端子→負極端子)→整流ダイオードDo4(カソード→アノード)の直列接続回路を挿入している。
これらコンデンサCc2と整流ダイオードDo4との接続点に対しては、図示するようにして整流ダイオードDo3のアノードが接続される。そして、この整流ダイオードDo3のカソードは、上記した平滑コンデンサCo1・Co2の接続点と、二次巻線N2の上記した他方の端部との接続点に対して接続される。
さらに、この整流ダイオードDo3のカソードと二次巻線N2の他方の端部の接続点に対しては、整流ダイオードDo2のアノードが接続される。そして、整流ダイオードDo2のカソードは、上記したコンデンサCc1と整流ダイオードDo1の接続点に対して接続されている。
上記構成による4倍圧整流回路において、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期では、整流電流は[二次巻線N2→整流ダイオードDo2→コンデンサCc1→二次巻線N2]の循環経路によって流れる。また、同様に上記交番電圧の他方の半周期においても、整流電流は循環経路によって[二次巻線N2→コンデンサCc2→整流ダイオードDo3→二次巻線N2]を流れる。
つまり、この場合としても、コンデンサCc1、Cc2の両端には、それぞれ対応する半周期に、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルの直流電圧が得られることになる。
そして、この場合としても、各半周期において、整流電流は上記循環経路から分岐して、以下のような経路によっても流れる。
先ず、交番電圧の上記した一方の半周期では、整流電流は分岐して[平滑コンデンサCo2→整流ダイオードDo4→コンデンサCc2→二次巻線N2]の経路によっても流れる。このとき、先の循環経路により、この期間には上記コンデンサCc2の両端に充電電荷が得られている。このため、上記のような整流電流経路によっては、上記平滑コンデンサCo2に対し、二次巻線N2に得られる交番電圧とこのコンデンサCc2の充電電荷の重畳分とによる電位により充電が行われることになる。
つまり、これによって平滑コンデンサCo2には、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる直流電圧が生成されることになる。
また、上記交番電圧の他方の半周期では、整流電流は分岐して[コンデンサCc1→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo1→二次巻線N2]の経路によっても流れ、この場合は先の循環経路によってコンデンサCc1に得られた充電電荷の重畳分を受けた二次巻線N2の交番電圧について、平滑コンデンサCo1に対する充電を行うようにされることになる。
すなわち、これによって平滑コンデンサCo1としても、その両端電圧としては二次巻線N2に得られる交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる直流電圧が得られる。
このようにして、平滑コンデンサCo1と平滑コンデンサCo2の各両端には、それぞれ二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる直流電圧が生成される。そして、これによって平滑コンデンサCo1と平滑コンデンサCo2との直列接続の両端には、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの4倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。
なお、このような4倍圧整流回路を採用する場合は、二次巻線N2の巻数についてはブリッジ整流回路とした各図の場合との比較で1/4程度に削減でき、これによってさらなる絶縁コンバータトランスPITの小型化を図ることが可能となる。
なお、本発明はこれまで説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば、絶縁コンバータトランスPITについては、コア形式などをはじめとして、その構造については適宜変更されて構わない。
また、実施の形態で例示したスイッチングコンバータは、他励式による電流共振形コンバータをその基礎としているが、例えば自励式による電流共振形コンバータを備えて構成することも可能である。この場合には、スイッチング素子として例えばバイポーラトランジスタを選定することができる。また、例えばスイッチングコンバータの一次側のスイッチング素子としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他励式に使用可能な素子であれば、MOS−FET以外の素子が採用されて構わない。
また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて適宜変更されて構わないものである。また、電力回生方式、あるいは電圧帰還方式による力率改善回路としても、これまでの各実施の形態(及びその変形例)として示した構成に限定されるものではなく、適宜変更されてかまわない。
また、さらに二次側の整流回路の構成としても、実施の形態で例示したものに限らず、両波整流回路以外の構成であって二次巻線に線間静電容量を生じさせない構成とされていれば、他の整流回路の構成を採ることも可能である。
本発明の第1の実施の形態の電源回路の構成を示す回路図である。 実施の形態のスイッチング電源回路が備える絶縁コンバータトランスの構造例を示す断面図である。 第1の実施の形態の電源回路における要部の動作波形を示す波形図である。 実施の形態の電源回路の定電圧制御特性として、負荷変動に応じたスイッチング周波数制御範囲(必要制御範囲)を示す図である。 第1の実施の形態の電源回路の負荷変動に対する電力変換効率、力率、整流平滑電圧(直流入力電圧)の各特性について示した特性図である。 第1の実施の形態の変形例の構成について示した回路図である。 第2の実施の形態の電源回路の構成を示す回路図である。 第2の実施の形態の電源回路における要部の動作波形を示す波形図である。 第2の実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する整流平滑電圧(直流入力電圧)、力率、及びAC→DC電力変換効率の特性を示す図である。 第2の実施の形態の変形例の構成について示す回路図である。 第2の実施の形態の他の変形例の構成について示す回路図である。 実施の形態の電源回路の二次側の構成についての第一例としての変形例について示す回路図である。 実施の形態の電源回路の二次側の構成についての第二例としての変形例について示す回路図である。 実施の形態の電源回路の二次側の構成についての第三例としての変形例について示す回路図である。 アクティブフィルタの基本的回路構成を示す回路図である。 図15に示すアクティブフィルタにおける動作を示す波形図である。 アクティブフィルタのコントロール回路系の構成を示す回路図である。 アクティブフィルタを実装した従来の電源回路の構成例を示す回路図である。 図18に示す電源回路においてAC100V系時に対応して得られる交流入力電圧と交流入力電流の波形を示した波形図である。 図18に示す電源回路においてAC200V系時に対応して得られる交流入力電圧と交流入力電流の波形を示した波形図である。 図18に示す電源回路の負荷変動に対する電力変換効率、力率、整流平滑電圧(直流入力電圧)の各特性について示した特性図である。 図18に示す電源回路の交流入力電圧変動に対する電力変換効率、力率、整流平滑電圧の各特性について示した特性図である。 一次側と二次側との結合係数を従来の設定とした場合での定電圧制御特性について示した図である。 二次側の整流回路を両波整流回路とした電源回路についての定電圧制御特性について示した図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、3〜6 力率改善回路、Di ブリッジ整流回路、Ci,Ci1,Ci2 平滑コンデンサ、Q1,Q2,Q3,Q4 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、C1 一次側直列共振コンデンサ、Cp,Cp1、Cp2 一次側部分共振コンデンサ、N1 一次巻線、N2 二次巻線、N2A,N2B 二次巻線部、Do1〜Do4 (二次側)整流ダイオード、Co、Co1、Co2 (二次側)平滑コンデンサ、D1 スイッチングダイオード、CN フィルタコンデンサ、C20 力率改善用コンデンサC20、L10、L11 高周波インダクタ、L11A,L11B 高周波巻線部、VFT 力率改善用トランス、N11 一次巻線、N12 二次巻線

Claims (10)

  1. 商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、
    上記整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
    上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線により交番電圧が誘起される二次巻線とが少なくとも巻装されて形成される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    両波整流回路以外の整流回路を備えるようにされて上記二次巻線に得られる交番電圧について整流動作を行って、その整流出力を二次側平滑コンデンサにより平滑化して二次側直流出力電圧を生成する二次側直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧について定電圧制御を行う定電圧制御手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により上記一次側直列共振回路に得られるスイッチング出力を、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して帰還し、この帰還されたスイッチング出力により整流電流を断続するようにして動作するもので、少なくとも力率改善用インダクタンス素子と力率改善用スイッチング素子とを有して形成される力率改善手段と、を備えると共に、
    上記絶縁コンバータトランスは、少なくともコアの所定位置に形成されるギャップ長の設定により、一次側と二次側との結合係数が所定以下となるようにされている、
    ことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. さらに、上記絶縁コンバータトランスの一次側と二次側との結合係数を所定以下とするために、上記一次巻線に対して直列となる接続関係となるようにして設けられる結合係数設定用インダクタンス素子が備えられる、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 上記力率改善手段は、
    所定の巻線位置に施したタップにより第1巻線部と第2巻線部とに分割された1つのインダクタンス素子を備え、
    上記第1の巻線部を、上記結合係数設定用インダクタンス素子として上記一次巻線に対して直列となる関係が得られるように接続して設け、
    上記第2の巻線部を、上記力率改善用インダクタンス素子として、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して挿入するようにして設ける、
    ことを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源回路。
  4. 上記力率改善手段は、
    力率改善用一次巻線と力率改善用二次巻線とが少なくとも巻装された力率改善用トランスを備え、
    上記力率改善用一次巻線を、上記結合係数設定用インダクタンス素子として上記一次巻線に対して直列となる関係が得られるように接続して設け、
    上記力率改善用二次巻線を、上記力率改善用インダクタンス素子として、上記整流平滑手段を形成する整流平滑回路の所定の整流電流経路に対して挿入するようにして設ける、
    ことを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源回路。
  5. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    上記整流動作として、ブリッジ整流回路による全波整流動作を行うように構成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  6. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    上記整流動作として、
    上記二次巻線に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ上記二次側平滑コンデンサに対する充電を行うと共に、上記交番電圧レベルの2倍に対応するレベルによる上記二次側直流出力電圧を生成するようにされた倍電圧半波整流動作を行うように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  7. 上記絶縁コンバータトランスは、上記二次巻線にセンタータップが施されて第1の二次巻線部と第2の二次巻線部が形成されると共に、
    上記二次側直流出力電圧生成手段は、上記整流動作として、
    上記二次巻線に励起される交番電圧の各半周期に上記二次側平滑コンデンサに対する充電を行うと共に、上記二次側平滑コンデンサの両端に、上記第1の二次巻線部と上記第2の二次巻線部とのそれぞれに得られる交番電圧レベルの2倍に対応するレベルによる上記二次側直流出力電圧を生成するようにされた倍圧全波整流動作を行うように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  8. 上記二次側直流出力電圧生成手段は、
    上記整流動作として、
    上記二次巻線に励起される交番電圧レベルの4倍に対応するレベルによる上記二次側直流出力電圧を生成するようにされた4倍圧整流動作を行うように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  9. 上記スイッチング手段は、2つのスイッチング素子がハーフブリッジ結合方式により接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  10. 上記スイッチング手段は、4つのスイッチング素子がフルブリッジ結合方式により接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113938018A (zh) * 2020-07-13 2022-01-14 台达电子企业管理(上海)有限公司 一种变换电路拓扑

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