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JP2006144826A - タイミングベルト - Google Patents

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JP2006144826A JP2004331869A JP2004331869A JP2006144826A JP 2006144826 A JP2006144826 A JP 2006144826A JP 2004331869 A JP2004331869 A JP 2004331869A JP 2004331869 A JP2004331869 A JP 2004331869A JP 2006144826 A JP2006144826 A JP 2006144826A
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Kaoru Shimamura
馨 嶋村
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G1/00Driving-belts
    • F16G1/28Driving-belts with a contact surface of special shape, e.g. toothed

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)

Abstract

【課題】 ベルトの引張剛性を強化することができるとともに、ピッチライン外周側の屈曲性を調整することで、多角形噛み合いによる心線の局部的屈曲を防止し、ベルトの耐屈曲疲労性を向上することができる。
【解決手段】 リング状のベルト本体3と、前記ベルト本体3の内周面に沿って所定の間隔で複数形成された歯部2と、ベルト本体3の周方向に沿って埋設される心線6と、ベルト本体3における心線6の外周側に設けられる中間帆布7と、を備えたタイミングベルト1であって、中間帆布7は、周方向に伸縮性を有することを特徴とするタイミングベルト1である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、同期伝動を行うタイミングベルトに関する。
タイミングベルトは、リング状ベルト本体の内周側に、周方向に沿って所定の間隔で並ぶ歯が形成されたベルトであって、同期回転が必要な用途に適している。正確な回転運動を伝達する方式には、歯車やチェーンも挙げられるが、タイミングベルトには、騒音が小さい、給油がいらない、伝達誤差が小さい等の長所がある。
例えば、タイミングベルトは、自動車のエンジンのクランク軸とカムとを同期伝動するためのベルトとして使用されるほか、カメラ、コンピュータ、複写機等の精密機械、一般産業用機械等の同期伝動が必要な全てのベルト伝動系に使用されている。
特に、自動車用エンジンの各部品に動力を伝達するタイミングベルトは、エンジンの高出力化にともなう熱環境の悪化や、エンジンのコンパクト化による小プーリ化にともなって屈曲回数が増加したりすることで劣化しやすくなっている。つまり、近年、タイミングベルトの使用環境は厳しいものとなっているため、タイミングベルトは、その強度や耐久性を重視して設計されることが要求されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、従来のタイミングベルトの構成について説明する。図6は、従来のタイミングベルトの一部断面斜視図である。
図6に示すとおり、従来のタイミングベルト1’は、リング状のベルト本体3’と、このベルト本体3’の内周面に沿って所定の間隔で複数形成された歯部2’と、この歯部2’の表面を被覆する歯布4’と、ベルト本体3’の周方向に沿って埋設される心線6’とから構成される。このような構成により、心線6’でベルト本体3’の引張方向の強度アップと高剛性化を図り、歯布4’で歯部2’の変形や磨耗を防止している。
特開平6−213282号公報(段落0030、図2)
しかしながら、近年、使用条件が厳しくなりつつあるタイミングベルトにおいて、従来の補強方法では必ずしも十分とは言えない。必要駆動力の増大やベルト共振荷重の増大にともなって、タイミングベルトには、従来以上の強度や耐久性が要求されている。また、さらなる小プーリ化および屈曲回数の増加にともなって、耐屈曲疲労性を上げる必要がある。
従って、本発明は、ベルトの引張剛性を強化するとともに、ピッチライン外周側の屈曲性を調整することで、多角形噛み合いを低減し、耐屈曲疲労性を向上したタイミングベルトを提供することを目的とする。同時に、高負荷駆動による縦裂きの防止、側面磨耗といった問題に対処することができる。
前記目的を達成するために、本発明は、リング状のベルト本体と、前記ベルト本体の内周面に沿って所定の間隔で複数形成された歯部と、前記ベルト本体の周方向に沿って埋設される心線と、前記ベルト本体における前記心線の外周側に設けられる中間帆布と、を備えたタイミングベルトであって、前記中間帆布は、周方向に伸縮性を有することを特徴とするタイミングベルトである。
このような構成とすることで、中間帆布により、ベルト本体の剛性を強化することができる。それと同時に中間帆布に周方向への伸縮性を持たせたことで、ピッチライン外周側においては周方向に伸縮することができ、ベルトの屈曲にともない発生する曲げ応力を適切に分散することができる。また、中間帆布を設けることで、ベルトの縦裂きや側面の磨耗を抑え、引張強度を向上させることができる。
さらに、前記中間帆布を、前記心線より外周側に設けることで、心線の曲げ剛性を高め、多角形噛み合いによる局部的な応力集中を分散させることができる。
さらに、前記心線と中間帆布の間に加硫接着により成形されるゴム層を有することで心線と帆布の直接の干渉を防止し、繊維の切断等による強度低下を防止することができる。
さらに、前記中間帆布を、前記ベルト本体に埋設することで、外周面を研磨することができるタイミングベルトを提供することができる。
さらに、前記ベルト本体は、その厚みが均一になるようにベルト本体の外周面を研磨されていることで、背面テンショナ接触部の厚さ不均一により生じる張力変動を抑え、ベルト走行時の騒音や振動を抑制することができる。
さらに、前記中間帆布は、周方向に沿った横糸と幅方向に沿った縦糸とから製織され、前記横糸は有機繊維から形成し、前記縦糸は有機繊維あるいは無機繊維から形成することができる。
さらに、前記横糸は、伸縮性を有する加工糸からなることで、前記中間帆布の周方向に伸縮性を与えることができる。
さらに、前記加工糸は、捲縮加工されてなる構成とすることで、伸縮性を備えることができる。
さらに、前記伸縮性を有する加工糸は、伸縮性のある弾性糸を芯糸として、前記芯糸の外周側に少なくとも1重以上のカバリング糸を巻き付けてなる構成としたことで、前記横糸に伸縮性を付与する方法を提供することができる。
さらに、前記縦糸は、ポリエステル繊維やポリアミド繊維以外にも特に引張強度に優れた芳香族ナイロンあるいはカーボン繊維からなることで、タイミングベルトの縦裂きを積極的に防止することができる。さらに、ベルト側面がプーリフランジと摺動する際に、ベルト側面の磨耗を減少させることができる。
さらに、前記横糸および前記縦糸を、太さ100デニール以上2000デニール以下の撚糸とすることで、中間帆布の剛性を高める一方で適切に製織できる太さの糸を提供することができる。また、中間帆布の厚さを加硫成形条件にあわせて適切に調整することができる。
さらに、前記中間帆布の表面に接着処理を施したことで、ゴムとの結合だけでなく、繊維自体を保護してタイミングベルトの耐久性を高めることができる。
本発明によれば、ベルトの引張剛性を強化することができるとともに、ピッチライン外周側の屈曲性を調整することで、多角形噛み合いを低減し、耐屈曲疲労性を向上したタイミングベルトを提供することができる。同時に、高負荷駆動による縦裂きの防止、側面磨耗といった問題にも対処することができる。
以下、本発明の最良の形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るタイミングベルトの一部断面斜視図である。なお、通常、タイミングベルトは、雰囲気温度の上昇、エンジンオイル・冷却水の接触等、劣化しやすい厳しい環境で使用されているため、これらの環境に耐えうる耐久性を要求されている。
図1に示すとおり、タイミングベルト1は、リング状のベルト本体3と、このベルト本体3の内周面に沿って所定の間隔で複数形成された歯部2と、歯部2の表面を被覆する歯布4と、ベルト本体3の周方向に沿って埋設される心線6と、ベルト本体3における心線6の外周側に設けられる中間帆布7とから構成される。
中間帆布7は、後記するベルト本体3を補強するために設けられるものであるが、補強部材として要求される剛性および耐磨耗性のほか、タイミングベルト1の使用環境を考慮して、耐熱性、耐油性、耐水性、耐泥水性、耐候性等も要求される。
中間帆布7は、ベルト本体3の周方向に沿う横糸と、幅方向に沿う縦糸により製織された織布から形成され、ベルト本体3の外周面5に露出しないように、ベルト本体3を構成する部材内に埋設されている。
横糸には、伸縮性を備えるように加工した加工糸を用いる。これにより、中間帆布7に、周方向の伸縮性を付与する。なお、この加工糸の原糸には、例えば、脂肪族ナイロンや芳香族ナイロン等が好適である。
横糸に伸縮性を付与するための一つの方法として、捲縮加工を挙げることができる。例えば、2本以上の糸を撚糸し熱処理後に撚りを戻す、強撚熱処理法が好適である。
他には、狭い隙間にフィラメントの束を押し込む方法(押し込み法)、機械的に型に押し付けて糸に波形を付ける方法(加熱ギヤ法)、熱収縮性の異なる2成分からなる複合繊維を熱処理により螺旋状捲縮を与える方法(収縮熱処理法)等により、捲縮性を付与することができる。
また、横糸に伸縮性を付与するための他の方法として、複合糸として加工する方法がある。
例えば、図2(a)に示すように、伸縮性のある弾性糸を芯糸21としたダブルカバリング糸20aが好適である。本実施形態において、ダブルカバリング糸20aは、伸縮性を備えたポリウレタン系弾性糸等を芯糸21として、この芯糸21の周囲に耐熱性に優れた第1のカバリング糸22を下巻きし、さらにその外側に、第1のカバリング糸22の巻きと同一の方向に耐摩耗性に優れた第2のカバリング糸23aを上巻きして構成される。第1のカバリング糸22に耐熱性および剛性に優れた芳香族ナイロン、第2のカバリング糸23aに接着性に優れた脂肪族ナイロンであることが好適である。複合糸が伸縮性を満たすことができれば、第1のカバリング糸22および第2のカバリング糸23aはフィラメント糸であってもよいし、捲縮糸あるいは紡績糸であってもよい。
なお、カバリング糸の構成は、前記したものに限定されることはない。
例えば、図2(b)に示すように、下巻きした第1のカバリング糸22と逆の方向に第2のカバリング糸23bを上巻きすることによって、ダブルカバリング糸23bを構成してもよい。あるいは、伸縮性のある弾性糸等を芯糸21として、1本の芳香族ナイロン繊維または脂肪族ナイロン繊維をカバリング糸として巻き付けた、シングルカバリング糸であってもよい。芯糸21に対しカバリング糸を3重以上巻き付けた構成であってもよい。
カバリング糸だけでなく、芯糸21についても、前記したものに限定されることはない。例えば、芯糸21は、1本ではなく複数本の弾性糸から構成してもよい。
再び図1を参照しての説明を続ける。中間帆布7の縦糸は、一般的に用いられるポリエステル繊維やポリアミド繊維以外にも、例えば、芳香族ナイロン等、非伸縮性で剛性および耐熱性に優れた有機繊維のフィラメント糸から構成することができる。芳香族ナイロン繊維の中でも、とりわけ、PBO(登録商標:東レ株式会社製)やベクトラン(登録商標:株式会社クラレ製)は剛性が高く好適である。あるいは、縦糸は剛性に優れたカーボン繊維等の無機繊維によって構成することもできる。
縦糸をこのように構成することで、タイミングベルト1の縦裂きを防止し、ベルトのねじれを抑制することでベルトの走行を安定にすることができる。さらに、ベルト側面がプーリフランジと摺動する際に、側面に露出した中間帆布7の効果によって、ベルト側面の摩耗を減少させることができる。
なお、横糸と縦糸は、中間帆布7の剛性を高めるために、撚り合わせてそれぞれ所定の太さにした後に製織してもよい。本実施形態においては、横糸および縦糸の撚糸の太さは、それぞれ100d〜2000d(d:デニール)の範囲にあることが好適である。中間帆布7の剛性を高めるには100d以上の撚糸が効果的であり、一方で、2000d以上の撚糸では適切な製織が困難になるためである。
中間帆布7にRFL(レゾルシン‐ホルマリン‐ラテックス)処理やゴム糊処理といった接着処理を施すことによって、ゴムとの結合を高めている。さらに、この接着処理により、中間帆布7の繊維自体を保護することができる。
中間帆布7を処理するRFL溶液は、後記するガラス繊維からなる心線6を処理するためのRFL溶液に比べ、レゾルシン‐ホルマリン縮合物の比率が高い組成であることが好ましい。
また、RFL溶液のラテックスには中間帆布7あるいは後記するゴム糊との接着性が良好なものが適宜選択される。具体的には、クロロプレンゴム(CR)、エチレン・プロピレン・ジエン・ターポリマーゴム(EPDM)、アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ACSM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H‐NBR)等のラテックスが適用できる。なお、ラテックス成分は、適宜最良なものを選択することができ、前記した例に限定されることはない。
例えば、中間帆布7に脂肪族ナイロンを選択した場合には、ビニルピリジンラテックスを使用することで、優れた接着力が得られることがよく知られている。
RFL膜が形成された中間帆布7は、ゴム糊処理を施すことができる。
ゴム糊には、例えば、タイミングベルト1のゴム成分と相容するゴムを用いて、イソシアネート等の接着剤を同時に溶かしたものが用いられる。
本実施形態においてはRLF処理およびゴム糊処理の双方により中間帆布7を被覆して中間帆布7とベルト本体3のゴムとの接着強度を増加しているが、RFL処理またはゴム糊処理の一方だけで十分な接着力が得られる場合には、何れか一方のみの処理だけでもよい。
歯部2およびベルト本体3は、ゴム材料から形成される。
ベルト本体3の外周面5は、研磨され、均一の厚さになっている。
この研磨によって、ベルト外周面5に背面テンショナを設置した際においても、ベルト走行時にピッチラインが上下することがなく、ベルト走行方向に対し左右いずれかの方向に偏りが出てしまったりすることがない。また、ベルトの張力変動によるベルト走行時の騒音や振動を抑制することができる。
また、歯部2とベルト本体3のゴムは同一のゴムで成分であることが好適であるが、接着が良好なゴム成分であれば、異なるゴム成分によって構成してもよい。
心線6は、例えば、ポリエステル、脂肪族ナイロン、芳香族ナイロン等の有機繊維、または、ガラス等の無機繊維を撚り合わせて、ベルトの用途に応じて適当なコードに形成し、熱延伸処理および接着処理が施されているものである。前記繊維の中でも、伸び特性、汎用性、価格、タイミングベルト1の製造工程に適用させやすい点で、通常、ガラス繊維が選択されることが多い。
心線6に対して、RFL処理およびゴム糊処理の接着処理を施してもよい。
歯布4は、例えば、脂肪族ナイロン等の耐摩耗性に優れた有機繊維により製織された織布から形成される。本実施形態において、製造工程に適用させやすい点から、中間帆布7と歯布4を同一の原糸または加工糸から製織してもよいし、あるいは、同一の織り方としてもよい。
基本的には、歯布4を製織するための有機繊維は耐磨耗性を重視して選択されるのに対して、中間帆布7を製織するための有機繊維はベルト本体3のゴム等との接着性や耐熱性を重視して選択される。また、歯布4は耐摩耗性、低摩擦性を重視した織り方により製織されるのに対して、中間帆布7は周方向への伸縮性を重視した織り方により製織される。
歯布4に対して、RFL処理およびゴム糊処理の接着処理を施してもよい。本実施形態において、製造工程に適用させやすい点から、中間帆布7と歯布4に対して同一の接着処理を行ってもよい。
基本的には、歯布4を接着処理するためのRFL溶液やゴム糊は、耐熱性、耐摩耗性、低摩擦性を重視して選択されるのに対して、中間帆布7を接着処理するためのRFL溶液やゴム糊は、ベルト本体3のゴムとの接着性を重視して選択される。
本実施形態のタイミングベルト1の製造方法について、図3ないし図5を参照して説明する。図3は、加硫成型前の成形金型に筒状に各部材を巻き付けた部分拡大図であり、図4は、加硫成形前の成形金型に中間帆布を被う方法を説明するための斜視図である。図5は、加硫成形後に一体成型されたベルト材の構成を示す部分拡大図である。
タイミングベルト1は、通常、噛み合わせ面を成形するために、外周面の軸方向に沿って多数の歯車状条溝を等間隔に並べた円筒状の成形金型8を用いて製造される。
あらかじめ、中間帆布7は、RFL処理およびゴム糊処理を施された後、所定の大きさに裁断され、方形の中間帆布7の対向する2辺を接合することにより中間帆布7を円筒状としたものが準備される。
このとき、伸縮性加工が施された横糸が接合部において周方向に一致するようにし、例えば、縫合処理、レーザー溶着または超音波溶着によって2つの端面を互いに対向させた状態で接合し、無端帆布とする(図4の接合部参照)。
図3に示すように、円筒状の成形金型8に歯布4(あるいは、歯部2に用いられるゴムシートを圧着した歯布を含む)を巻き付け、その外周側に接着処理された心線6を一定の張力を作用させながら螺旋状に巻き付ける。
その外周側に、図4に示すように、前記円筒状中間帆布7をその周方向の伸縮性を利用して被せ、さらにその外周側にゴムシート10を巻き付ける(図3参照)。
そして図示しない加硫用スリーブを嵌合して全体を覆い、公知のスチーム加硫釜を用いて所定条件(温度、圧力および時間)下で加硫する。
このように高圧蒸気で加熱すると、図5に示すように、その際の蒸気圧で、流動化したゴムシート10のゴムが歯布4と心線6の間および心線6と中間帆布7の間に圧入されてゴム層11が形成されると同時に、成形金型8の凹部9に圧入されることで歯部2が形成される。このとき、歯布4は、流動化したゴムとともに成形金型8の凹部9に押し込まれ、歯部2の表面に被覆される。
前記工程を経ることで、歯布4、歯部2、心線6、中間帆布7およびベルト本体3を一体的に加硫成形することができる。加硫処理については従来公知であるため、詳細な説明は省略する。
なお、中間帆布7の外周側だけでなく、中間帆布7の内周側(成形金型8において心線6を巻き付けた層の外周側)にもゴムシートを巻き付ける構成とした後に、加硫成形するようにしてもよい。このような構成とすることで、より確実に、歯部2を含むゴム層11の形成を行うことができる。
加硫成形後、スチーム加硫釜から取り出した円筒状のベルト材からタイミングベルト1を得る。具体的には、離型した円筒状ベルト材の外周面5をロールグラインダ等により所定の厚みにまで研磨した後、所定幅に輪切り状に切断し、複数本のタイミングベルト1を得る。
以上によれば、本実施形態において、次のような効果を得ることができる。
タイミングベルト1に中間帆布7を設けたことで、タイミングベルト1を補強することができる。具体的には、ベルトの周方向および幅方向の引張強度の向上や、側面の磨耗およびベルトの縦裂きの抑制等であり、さらに、ベルト本体3のゴムと材質の異なる中間帆布7をベルト本体3に備えることで、タイミングベルト1の固有振動数を調整することが可能となる。
また、中間帆布7を外周面5に露出させることなく、心線6と外周面5の間に埋設したことで、外周面5を研磨することができる。その結果、横ブレの少ない安定した走行運動を提供することができ、ベルトの張力変動によるベルト走行時の騒音や振動を抑制することができる。
さらに、埋設する中間帆布7により多角形噛み合いによる心線6の局部屈曲を防止することができる。さらに、中間帆布7の伸縮性を調整することにより、タイミングベルト1の曲げ剛性を調整することができる。
本実施形態のタイミングベルト1の製造方法によると、中間帆布7を無端帆布としてから加硫成形前の成形金型8に装着することで、中間帆布7に一定の張力を作用させつつ成形できるため、中間帆布7の厚さを全体にわたって均一にすることができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その技術思想のおよぶ範囲で、種々の変更実施を行うことができる。
例えば、中間帆布7は、必ずしも外周面5と心線6の間に埋設する必要はない。中間帆布7は、ベルト本体3の外周面5より露出する構成としてもよい。
また、設置する中間帆布7は1枚に限らない。ベルト本体3に2枚以上の中間帆布7を設置する構成としてもよい。
さらに、埋設する中間帆布7は、必ずしも全ベルト幅方向に延在する必要はない。補強帆布としての役割を果たす範囲において、幅方向に短くてもよい。このような構成とすることで、埋設した中間帆布7と同一平面上において、ベルトの厚さ方向に部分的にゴム層11を連続させることが可能となり、厚さ方向の剛性も考慮したタイミングベルト1を提供することができる。
本実施形態において、中間帆布7の周方向の伸縮性は主に横糸の伸縮性に依存したものであるが、織り方によってさらに周方向への伸縮性を出してもよい。例えば、2/2綾織、4枚朱子織等によって、伸縮性を出すことができる。また、織り方向が周方向に対して傾斜するように配したバイアス布によっても伸縮性を出してもよい。
本発明の一実施形態であるタイミングベルトの一部を示す断面斜視図である。 伸縮性のある弾性糸を芯糸としたダブルカバリング糸を説明するための模式図である。 本実施形態において、加硫成形前の成形金型に筒状に各部材を巻き付けたときの部分拡大図である。 本実施形態において、加硫成形前の成形金型に中間帆布を被う方法を説明するための斜視図である。 本実施形態において、加硫成形後に一体成型されたベルト材の構成を示す部分拡大図である。 従来の実施形態であるタイミングベルトの一部を示す断面斜視図である。
符号の説明
1 タイミングベルト
2 歯部
3 ベルト本体
4 歯布
5 外周面
6 心線
7 中間帆布
8 成形金型
9 凹部
10 ゴムシート
11 ゴム層
20a,20b ダブルカバリング糸
21 芯糸21
22 第1のカバリング糸
23a,23b 第2のカバリング糸

Claims (10)

  1. リング状のベルト本体と、
    前記ベルト本体の内周面に沿って所定の間隔で複数形成された歯部と、
    前記ベルト本体の周方向に沿って埋設される心線と、
    前記ベルト本体における前記心線の外周側に設けられる中間帆布と、
    を備えたタイミングベルトであって、
    前記中間帆布は、周方向に伸縮性を有することを特徴とし、
    前記心線と前記中間帆布の間には、加硫成形により成形されるゴム層を有することを特徴とするタイミングベルト。
  2. 前記中間帆布は、前記ベルト本体に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載のタイミングベルト。
  3. 前記ベルト本体は、その厚みが均一になるように外周面を研磨されていることを特徴とする請求項2に記載のタイミングベルト。
  4. 前記中間帆布は、周方向に沿った横糸と幅方向に沿った縦糸とから製織され、前記横糸は有機繊維から形成され、前記縦糸は有機繊維あるいは無機繊維から形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のタイミングベルト。
  5. 前記横糸は、伸縮性を有する加工糸からなることを特徴とする請求項4に記載のタイミングベルト。
  6. 前記加工糸は、捲縮加工されてなることを特徴とする請求項5に記載のタイミングベルト。
  7. 前記加工糸は、伸縮性のある弾性糸を芯糸として、前記芯糸の外周側に少なくとも1重以上のカバリング糸を巻き付けてなることを特徴とする請求項5に記載のタイミングベルト。
  8. 前記縦糸は、芳香族ナイロンあるいはカーボン繊維からなることを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載のタイミングベルト。
  9. 前記横糸および前記縦糸は、太さ100デニール以上2000デニール以下の撚糸であることを特徴とする請求項4ないし請求項8のいずれか1項に記載のタイミングベルト。
  10. 前記中間帆布は、表面に接着処理がなされたことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載のタイミングベルト。
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