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JP2006015290A - 混合、混練装置を用いない飛灰中の重金属固定化処理方法 - Google Patents

混合、混練装置を用いない飛灰中の重金属固定化処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 廃棄物を焼却する際に発生する飛灰中の重金属を混合、混練装置を用いないで、選定された処理薬剤を用いて、安全、効率的にまた、既存の設備を改造することなく、固定化する処理方法を提供する。
【解決の手段】 分解温度が150℃以上のアルミニウム化合物や硫酸塩からなる無機化合物およびジチオカルバミン酸の塩また金属塩からなる有機化合物を主要成分とする重金属含有廃棄物処理薬剤を用いて、煙道排ガスに注入し、排ガス中で重金属を含有する飛灰との反応を完結させる重金属固定化処理方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は廃棄物を焼却する際に発生する飛灰中の重金属の固定化処理方法に関する。
従来の飛灰中に含まれている重金属の固定化処理方法は廃棄物焼却施設に付属して設置されている集塵装置で捕集され、集塵装置から排出された後に、水および重金属処理薬剤を添加し、混合、混練装置により反応を完結する固定化処理方法が用いられている。
(特許文献1参照。)
また、排ガス中に処理薬剤を噴霧する方法としては、ピペリジンジチオカルバミン酸ナトリウムの水溶液で水銀などと反応させる方法が開示されている。
(特許文献2参照。)
その他、ケイソウ土、アルミナ、シリカ、および活性炭などのバグフィルター用助剤などに、ヨウ化亜鉛を担持させて、バグフィルター助剤と同様にバグフィルター表面上にプレコートした後に水銀他の重金属を吸着処理する方法が示されている。
(特許文献3参照。)
特開平9−99215号公報 特開平05−208117号公報 特開平10−109016号公報
捕集装置で捕集された飛灰は混合、混練装置で水および処理薬剤を添加して、飛灰中に含まれる重金属を固定化処理する方法が多く用いられているが、混合、混練装置の設置の費用が高く、設置のためのスペースが必要であり、メンテナンス作業などの労力も必要になるなど課題がある。
また、焼却施設に付属する飛灰の集塵装置の前で処理薬剤を噴霧する方法として、ピペリジンジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液他のジチオカルバミン酸塩の水溶液を噴霧する方法が開示されているが、処理薬剤が水溶液であるために噴霧薬剤の有害ガス発生など作業環境などの安全性に問題があり、水溶液を噴霧する装置を別途設置する必要がある。さらに水溶液を噴霧した煙道排ガス中に含まれる飛灰は電気集塵機には腐食や引火性などの点で適用できないなど、集塵装置も制限される。
その他、ケイソウ土、アルミナ、シリカおよび活性炭などのバグフィルター用ろ過補助剤に、ヨウ化亜鉛(ZnI)を担持させ、活性化させた吸着剤を煙道中に噴霧する方法でHg等重金属類を吸着し、灰の処理量が低減でき、処理法方が簡略化できる方法が開示されているが、排ガス中に含まれている揮散性の高い水銀ガスは比表面積の大きい活性化されたろ過補助剤には物理的あるいは化学的に吸着されるが、その他の重金属、例えば鉛(Pb)やカドミウム(Cd)あるいはクロム(Cr)などは捕集装置の下部から排出される飛灰中に含まれ、排出する際の基準値を満足する事ができないために、セメント固化装置あるいは溶融処理装置などの固定化処理が必要となり、処理費用が膨大になるなどの課題がある。
本発明は焼却施設に付属する集塵装置や排ガス処理のために噴霧される消石灰、高反応消石灰、活性炭、ドロマイトなどの薬剤や既設の装置など改良する事なく、また、混合、混練の装置を必要としない重金属処理薬剤および処理方法を提供する事を目的とする。
本発明は上記課題を解決するために煙道中へ重金属固定化処理薬剤を注入して、飛灰中の重金属と十二分に化学反応する薬剤の選定を行った。煙道排ガス中には塩化水素ガスや硫黄酸化物などの酸性ガスやダイオキシンなどが含まれ、温度は100〜250℃程度が一般的で水分も5〜30%含まれている。
薬剤の選定には、酸性ガス除去用あるいはダイオキシン吸着用に注入される消石灰、高反応消石灰、ドロマイトあるいは活性炭に悪影響を及ぼさない薬剤である事が必要である。例えば、特開平05−208117号のようにジチオカルバミン酸のアンモニウムやカリウムの塩ではダイオキシン吸着用に注入される活性炭に吸着され、ダイオキシン吸着効果を阻害する事が予想され、特開平10−109016号のようにケイソウ土、アルミナ、シリカおよび活性炭にヨウ化亜鉛を担持させて活性化されたバグフィルター用ろ過補助剤では飛灰が従来と同じように排出され、重金属固定化薬剤および処理装置を用いて、処理する必要がある。
本発明は上記課題を解決するために耐熱温度が高く、ガス処理用薬剤注入に影響のない、ニ水酸化アルミニウム重合物〔AlSO(OH)・XHO・2Al(OH)の無機化合物やジエチルジチオカルバミン酸の塩(カリウム、ナトリウム、アンモニウム、カルシウムなどのアルカリ塩)と亜鉛と鉄の硫化物、塩化物、炭酸化物、リン酸化物からなる化合物から選ばれた1種以上と化学反応により合成されたジエチルジチオカルバミン酸亜鉛・鉄の生成物やゴム工業で加硫促進剤、加硫剤として市販され、公知の製造法で合成可能なジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(CNCSZnおよびジエチルジチオカルバミン酸鉄(CNCSFeの混合物あるいはピペラジンジチオカルバミン酸カリウム(CHの有機キレート化合物の粉状薬剤の中から選ばれた少なくとも1種以上を含有する事を特徴とする重金属固定化処理薬剤である。
本発明の重金属固定化処理薬剤は耐熱温度(融点150℃以上)に優れているので煙道中に排ガス処理用薬剤などと同様に注入し、使用する。すなわち、排ガス処理薬剤の消石灰、高反応消石灰ドロマイト(酸性ガス吸着用)、ケイソウ土、パーライト(バグフィルター用ろ過助剤)、活性炭(ダイオキシン吸着用)などの中から選ばれた1種以上と事前混合して用いる事ができる事を特徴とする。
また、本発明の重金属固定化処理薬剤を単独で煙道中に注入して使用する事もできる。さらに既設の飛灰の重金属固定化処理用として、水と共に混合、混練装置へ注入して用いる事もできる。
上記重金属固定化処理薬剤は各種セメント、ポルトランドセメント、早強セメント、アルミナセメント早強セメント、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、セッコウ、硫酸第1鉄、チオ硫酸ナトリウムなどの中から選ばれた1種以上と混合して用いる事ができる事を特徴とする。
選定された処理薬剤は耐熱性に優れている上に一般的に市販されている水溶性のジチオカルバミン酸塩、例えばジエチルジチオカルバミン酸カリウムやテトラ(ジチオカルボキシ)テトラエチレンペンタミンナトリウムあるいはピペラジンニウム−1,4−ピペラジンジカルボジチエートカリウムなどと較べて、飛灰重量比で極端に少ない添加量で飛灰中の重金属を固定化処理する事ができる。
一般的に焼却施設に付属する集塵装置から排出される飛灰は混合,混練装置で上記の水溶性キレート薬剤と水を添加し、処理され、飛灰中の重金属を固定化処理されているが本発明で選定した処理薬剤および処理方法を用いる事により、混合、混練装置が不必要で水の添加も不必要となり、混合、混練装置の設置スペース、設置費用および関連する人材も全く不要となり、飛灰中の重金属固定化処理が飛躍的に合理化される。
さらに処理薬剤の添加量も少なく、排ガス処理薬剤(消石灰、高反応消石灰、ドロマイト、活性炭)と混合して用いる事により、排出される飛灰量が極端に少なくなり、埋立て処分場への搬入量が少なくなり、埋立処分費の節減や処理場の延命化に寄与する。
以上、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の処理薬剤および処理方法を説明するための試料は都市ごみ焼却炉(ストーカー式連続運転)に消石灰を吹き込み後、バグフィルター式集塵装置で集塵された灰を用いた。重金属固定化の処理効果は環境庁告示第13号の溶出試験方法により、検液を調整し、飛灰中の重金属含有項目の中から代表的な鉛(Pb)を分析し、陸上埋立処分基準値(0.3mg/l)を用いて評価を行った。
本発明の焼却施設に付属している集塵装置から排出される飛灰の処理方法として、混合、混練装置を用いない実施例として、12時間稼動で15tの廃棄物が焼却処理できる施設の集塵装置から排出される飛灰で事前の処理薬剤添加試験を行い、排ガス処理用薬剤(活性炭と混合した高反応消石灰)に本発明で選定した処理薬剤を混合して、既設のサイロに入れ、定量を煙道中に吹き込んで集塵装置の下部より排出された飛灰中の鉛(Pb)の溶出試験により求められた溶出量により評価を行った。
本発明の処理薬剤の添加効果
図1はストーカー式焼却設備の概要を示したもので、1からごみが投入されて、2で乾燥工程を経て、燃焼に至り、3は燃焼し切れない残渣物が落下し冷却される。4は排ガス中の未燃物を再燃焼させて、5で排ガスを急令し、ダイオキシン類を発生し難くしたり、バグフィルターのフィルター部分の耐熱温度以下まで温度を下げる。6は排ガス処理用薬剤用のサイロで(消石灰や活性炭)、7のバグフィルター式集塵装置の前に噴霧(注入)される。7のバグフィルター式集塵装置で捕集された飛灰や排ガス処理用薬剤が飛灰として、図2.詳細説明1の8飛灰貯留用サイロに排出され、9の重金属固定化用薬剤と11の水タンクから12の水注入ポンプから注入された水と共に10の混合、混練装置で固定化処理されて、13のトラックなどで埋立処分場へ搬出される。
本発明の処理薬剤の添加効果の確認は現在一般的に用いられている上記システムと同様の操作手順を実験室のビーカースケールで再現して、確認を行った。8の飛灰サイロから採取した飛灰を用いて、各種の処理薬剤を無害化処理が完結するまで添加し、水は飛灰重量に対して、40重量部添加して行った。
Figure 2006015290
〔実施例〕
*1 処理薬剤 P:形状(粉体)ピペラジンジチオカルバミン酸カリウム
*2 処理薬剤 H:形状(粉体)ジエチルジチオカルバミン酸鉄・亜鉛の合成生成物
*3 処理薬剤 M:形状(粉体)ニ水酸化アルミニウム化合物
〔比較例〕
*4 市販品処理薬剤 A:形状(液体)ジエチルジチオカルバミン酸カリウム
*5 市販品処理薬剤 B:形状(液体)テトラエチレンペンタミンナトリウム
*6 市販品処理薬剤 C:形状(液体)ピペラジンジチオカルバミン酸カリウム
飛灰試料(薬剤無添加):pH=12.5 Pb溶出量=204mg/l
検定方法:環境庁告示第13号法
陸上埋立処分基準値:Pb0.3mg/l以下
表1に見られるように本発明に使用する粉体状処理薬剤は市販されている液状の処理薬剤に較べて、Pb溶出量を埋立処分基準値(0.3mg/l)以下にするための薬剤の添加率が低い事が認められた。したがって、現状行われている混合、混練装置を用いての飛灰の重金属固定化用薬剤としての適用も排出する処理後の飛灰量も減量化して埋立処分場へ搬出できる事になり、経費節減も含めて合理的にできる事が明らかになった。
本発明の処理薬剤(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛・鉄の合成生成物)を排ガス処理薬剤(消石灰80%:活性炭20%)と混合して、排ガス処理薬剤と共に直接煙道中へ吹き込み、排ガス処理と飛灰中の重金属を同時に無害化処理して、バグフィルター集塵装置から排出される飛灰を混合、混練装置を用いないで処理する方法を行った。排ガス処理薬剤との混合比は消石灰76%:活性炭19%:飛灰処理薬剤5%を用いて、15kg/hで煙道中に吹き込んだ。排ガス量は11000Nm3/hでバグフィルター集塵装置前の排ガス温度は160〜175℃の条件下で行った。排出された飛灰は運転開始から1時間後に採取し、その後、1時間毎に採取して、Pb溶出量により評価を行った。
Figure 2006015290
表2に見られるように、焼却炉運転開始後から約4時間後にバグフィルター集塵装置内に残存する重金属固定化処理薬剤の含まれていない飛灰と重金属固定化処理薬剤の含まれた飛灰が置換された飛灰が排出され、4時間経過後の飛灰はPb溶出量が検出下限界以下(0.05mg/l)で混合、混練装置を用いないでも処理が行われた事が明らかになった。
本発明の重金属固定化用処理薬剤は固化強度向上、サイロ内での分散性向上、物理吸着性能向上などの使用目的に応じて、各種材料と混合して用いる。実施試験はストーカ式焼却炉のバグフィルター集塵装置から排出された飛灰を用いて、各種材料を飛灰重量に対して10%および20%添加し、水40%を添加して処理した後に規定の溶出試験方法にて、Pb溶出量を求めた。各種材料のPb溶出量の抑制効果および使用目的例を次の表3に示す。
Figure 2006015290
飛灰試料(薬剤無添加):pH=12.7 Pb溶出量=329mg/l
検定方法:環境庁告示第13号法
本発明の飛灰用の重金属固定化処理薬剤は混合、混練装置を用いない処理方法あるいは混合、混練装置を用いて処理する場合においても表3の各種材料を使用目的に応じて混合して用いる事により、さらに用途が広がる。分散性向上はストックサイロでのブリッジング防止目的で使用される事が多く、一般的には添加比率も0.5〜5%の範囲内である。物理吸着性能向上は、水銀(Hg)やダイオキシン(DXN)あるいはPCBなどを吸着固定化する事に用いる。添加比率も対象物質の含有量や溶出量に起因し、変動する。強度向上は重金属固定化処理後に埋立処分場へ搬出する際の飛散防止のために行われる事が多く、一般的には安価なポリトランドセメントが多く使用されている。
ストーカー式焼却炉概要図 ストーカー式既存の混合と混練装置を使用する飛灰中の重金属固定化処理方法)
符号の説明
1 ごみ投入ホッパー
2 ストーカー式焼却炉
3 焼却残渣物冷却水槽
4 二次燃焼室
5 ガス冷却室
6 排ガス処理用薬剤サイロ
6A 重金属固定化用薬剤混入排ガス処理用薬剤サイロ
7 バグフィルター式集塵装置
8 貯留サイロ
9 重金属固定化用薬剤サイロ
10 混合、混練装置
11 水タンク
12 水道水用ポンプ
13 飛灰搬出用トラック
14 誘因送風機
15 煙突
16 飛灰処理物バンカーピット

Claims (5)

  1. 廃棄物焼却設備において、煙道排ガス中に注入し有害重金属と反応する処理剤は150℃以上の分解温度を有する水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩炭酸塩の無機化合物から選択される1種以上を主要構成成分として、飛灰中に含まれる重金属と反応し、難溶性の水酸化物、硫酸化合物、ケイ酸化合物、リン酸化合物、炭酸化合物を生成する処理方法。
  2. 請求項1における処理剤は150℃以上の分解温度を有するジチオカルバミン酸の塩または金属塩の有機化合物から選択される1種以上を主要構成成分として飛灰中に含まれる重金属と反応し、難溶性化合物を生成する処理方法。
  3. 請求項1および請求項2の各処理剤は廃棄物焼却設備の排ガス処理用の塩化水素および硫黄酸化物除去用として用いられる特号消石灰、高反応消石灰、ドロマイト、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムあるいはダイオキシン吸着用に用いられる粉末活性炭あるいはろ布式集塵装置の保護用として用いられるケイソウ土やパーライトなどの中から1種以上と混合して用いる事もできる。
  4. 請求項3で混合した処理剤は廃棄物焼却設備における排ガス処理装置内のサイロ、切り出し設備、注入装置を利用し、排ガス中へ送り込まれ、排ガス中の塩化水素、硫黄酸化物、ダイオキシンなどと共に、排ガス中の飛灰に含まれる重金属を不溶性の化合物として処理される重金属固定化方法。
  5. 請求項1および請求項2の処理剤は各種セメントや固化材、セッコウ、ケイソウ土、パーライト、活性炭、金属粉末、金属塩化合物、還元剤、酸化剤などの中から選ばれた1種以上と混合して用い、固化強度、分散性、物理吸着性能などの向上を目的にして用いる事もできる。
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