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JP2006094684A - 電力変換装置の制御装置 - Google Patents

電力変換装置の制御装置 Download PDF

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JP2006094684A
JP2006094684A JP2004280668A JP2004280668A JP2006094684A JP 2006094684 A JP2006094684 A JP 2006094684A JP 2004280668 A JP2004280668 A JP 2004280668A JP 2004280668 A JP2004280668 A JP 2004280668A JP 2006094684 A JP2006094684 A JP 2006094684A
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Satoru Ota
悟 大田
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Abstract

【課題】系統電圧の変動に起因して電力変換装置の入出力電圧が変動したとしても、出力される交流電力の有効電力、無効電力における不要な変動を抑制する。
【解決手段】出力交流電力の有効電力及び無効電力がそれぞれ有効電力設定値及び無効電力設定値に近くなるように有効電力指令値及び無効電力指令値を演算する電力制御手段15,16と、各電力指令値を入力し皮相電力が電力変換装置の電力容量を超えないように各電力指令値を制限するための各リミッタ値を演算するリミッタ値演算手段19と、各リミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段24,25と、変動成分が除去された各リミッタ値を用いて各電力指令値を制限するリミッタ手段17,18と、リミッタ手段で値が制限された各電力指令値に基づいて電力変換装置へ印加するゲート信号を生成するゲート信号生成手段22とを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、交流から直流又は直流から交流へ電力変換する自励式の電力変換装置の制御装置に関する。
例えば、一つの交流電力系から異なる周波数を有する交流電力系へ電力を供給する場合、交流電力系相互間に周波数変換装置が設置される。このような、交流電力系及び周波数変換装置が組込まれた電力システムは図4に示すように構成されている。
一方の交流電力系1から供給される交流電力は、変圧器2を介して電力変換装置としてのPWM制御が採用された整流器3へ入力され、この整流器3で直流電力に変換され、コンデンサ4、6で平滑され、直流リアクトル5を介して、電力変換装置としてのPWM制御が採用されたインバータ(逆変換器)7へ入力される。インバータ(逆変換器)7は、入力された直流電力を交流電力系1とは異なる周波数の交流電力に変換し、変圧器8を介して、他方の交流電力系9へ出力する。
ここで、電力変換装置としての整流器3とインバータ(逆変換器)7とは基本的に同一構成であり、例えば、IEGT、IGBT、トランジスタ、GTO等の自己消弧型の電力用半導体スイッチング素子をブリッジ接続した構成を有する。そして、各電力用半導体スイッチング素子を各ゲートパルス信号でスイッチング制御(PWM制御)することによって、交流から直流又は直流から交流へ電力変換する。
このような構成の電力変換装置としてのインバータ(逆変換器)7の動作を制御する制御装置10は、インバータ(逆変換器)7の出力電圧を各変成器11で検出し、インバータ(逆変換器)7の出力電流を各変流器12で検出し、この出力電圧、出力電流に基づいてゲートパルス信号を作成して、インバータ(逆変換器)7に印加する。
なお、他方の電力変換装置として整流器3に対しても、図示しない、ほぼ同様の制御装置が設けられている。
図5は制御装置10の概略構成を示すブロック図である。各変成器11で検出された出力電圧V、及び各変流器12で検出された出力電流Iは、制御装置10内の変換器出力演算部13へ入力される。変換器出力演算部13は、検出された出力電圧V、出力電流Iを用いて、このインバータ(逆変換器)7から出力される交流電力の有効電力P(=VIcosθ)、無効電力Q(=VIsinθ)を算出(検出)する。ただし、θは出力電圧Vと出力電流Iとの位相差である。変換器出力演算部13は、検出した有効電力P、無効電力Qをそれぞれ有効電力制御部(APR)15、無効電力制御部(AQR)16へ送出する。
電力設定部14は、この電力システムの管理者にて予め設定されたこのインバータ(逆変換器)7から出力される交流電力の目標としての有効電力設定値PSと無効電力設定値QSをそれぞれ有効電力制御部(APR)15、無効電力制御部(AQR)16へ送出する。有効電力制御部(APR)15は、検出した有効電力Pが有効電力設定値PSに近くなるように、PI(比例積分)制御演算を行って有効電力指令値CPを得て、この有効電力指令値CPを次のリミッタ部17及びリミッタ値演算部19へ送出する。無効電力制御部(AQR)16は、検出した無効電力Qが無効電力設定値QSに近くなるように、PI(比例積分)制御演算を行って無効電力指令値CQを得て、この無効電力指令値CQを次のリミッタ部18及びリミッタ値演算部19へ送出する。
リミッタ値演算部19は、電力変換装置としてインバータ(逆変換器)7の電力容量MVA(皮相電力)と、有効電力指令値CP、無効電力指令値CQとを用いて、この有効電力指令値CP、無効電力指令値CQの上限値及び下限値をそれぞれ制御するためのリミッタ値LP、LQを演算する。リミッタ値演算部19は、算出したリミッタ値LP、LQをそれぞれ対応するリミッタ部17、18へ設定する。
リミッタ部17は、入力した有効電力指令値CPの上限値及び下限値をリミッタ値LPで制限して、新たな有効電力指令値DPとして演算部20へ送出する。同様に、リミッタ部18は、入力した無効電力指令値CQの上限値及び下限値をリミッタ値LQで制限して、新たな有効電力指令値DQとして演算部20へ送出する。
PLL回路21にてその動作が変換器出力演算部13の動作と同期制御されている演算部20は、入力された有効電力指令値DPと有効電力指令値DQとを、例えば三相の瞬時値ベースの制御量Ecに変換して、次のパルス発生回路22へ送出する。
パルス発生回路22は、三相の瞬時値ベースの制御量Ecに変換された各電力指令値DP、DQに基づいて電力変換装置としてのインバータ7へ印加するゲートパルス信号を生成する。この場合、パルス発生回路22では、出力基準信号を反映したPWM制御を行うためのゲートパルス信号の生成を行っており、そのための搬送波として搬送波発生回路23より信号を受け取る。
パルス発生回路22から出力されたゲートパルス信号は、インバータ(逆変換器)7に印加され、このインバータ7の半導体スイッチング素子のスイッチングに用いられる。これによりインバータ(逆変換器)7から交流電力系9側へ出力される交流電力の有効電力及び無効電力が電力設定部14で設定した各設定値PS、QSとなる。
次に、有効電力指令値CP、無効電力指令値CQの上限値及び下限値をそれぞれ制御する必要性を説明する。
一般に、整流器3やインバータ7の自励式の電力変換装置においては、入出力される交流電力の有効電力P、無効電力Qを電力変換装置の電力容量MVA(皮相電力)の範囲以内で自由に設定できる。しかし、主に人間系によって電力設定部14にて設定される設定値PS、QSの皮相電力は、常に電力変換装置(インバータ7)の電力容量MVA(皮相電力)以内であるとは限らない。そのために、電力指令値CP、CQが電力変換装置(インバータ7)の電力容量MVAを超えた場合は、制御装置10内にて電力指令値CP、CQの上限値及び下限値をそれぞれ制限する必要がある。
なお、電力設定部14で設定した各電力設定値PS、QSそのものに制限を設ける方法もあるが、その方法では有効電力制御部15や無効電力制御部16の演算結果によっては電力変換装置(インバータ7)の電力容量MVAを超えてしまうことも考えられるため、図5に示すように、最終段にリミッタ部17、18を設け、リミッタ値演算部19で各リミッタ部17、18に設定する各リミッタ値LP、LQを算出している。
例としては、円リミッタが用いられ、有効電力指令値CP、無効電力指令値CQを調整する。
また実際の電力変換装置(インバータ7)の運用では、(a)有効電力の融通を優先させる、(b)系統の電圧維持を優先するために無効電力を優先させるなど、電力変換装置(インバータ7)の設置場所によっては設定値のどちらかに優先度を持たせることが必要になることから、優先度を持ったリミッタ値を設定することも多い。
(a)有効電力を優先させる場合
P=MVA LQ=[MVA2―CP 21/2 …(1)
(b)無効電力を優先させる場合
P=[MVA2―CQ 21/2Q=MVA …(2)
なお、自励式の電力変換装置の制御において、リミッタを用いて有効電力指令値、無効電力指令値を制限する技術は特許文献1に記載されている。
特開平5―168148号公報
しかしながら、図5に示した電力変換装置の制御装置においても、まだ改良すべき次のような課題があった。
すなわち、(1)式、(2)式から理解できるように、優先度の低い電力のリミッタ値は、優先度の高い電力の変動の影響を受ける。電力設定部14で設定した各設定値PS、QSが電力変換装置の電力容量MVAの近傍に設定されていた場合には、各電力指令値CP、CQは各リミッタ値LP、LQ近傍で、電力変換装置が運転される。
その結果、例えば、電力系統の負荷変動に起因して、電力変換装置の出力電圧が変動して、この変動により、検出された各電力P、Qが変動し、電力指令値CP、CQが変動し、各リミッタ値LP、LQが変動した場合において、優先度の低い電力は、リミッタ値LP、LQが変動することにより、同様に変動することになる。これは円リミッタの場合でも同じである。
また、電力設定部14の各電力設定値PS、QSが変動した場合においても同様の現象が生じる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、たとえ、電力系統の負荷変動に起因して、電力変換装置の出力電圧が変動したり、電力変換装置に対する各電力設定値が変動したとしても、この電力変換装置に入出力される交流電力の有効電力、無効電力は、この電力変換装置の電力容量以内という制約を守りつつ、不要な変動が抑制できる電力変換装置の制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解消するために、本発明は、交流から直流又は直流から交流へ電力変換する自励式の電力変換装置の制御装置において、電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力と無効電力とを検出する電力検出手段と、電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力設定値と無効電力設定値を設定する電力設定手段と、検出された有効電力及び無効電力がそれぞれ有効電力設定値及び無効電力設定値に近くなるように有効電力指令値及び無効電力指令値を演算する電力制御手段と、各電力指令値を入力し皮相電力が電力変換装置の電力容量を超えないように各電力指令値を制限するための各リミッタ値を演算するリミッタ値演算手段と、リミッタ値演算手段から出力された各リミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段と、除去手段で変動成分が除去された各リミッタ値を用いて各電力指令値を制限するリミッタ手段と、このリミッタ手段で値が制限された各電力指令値に基づいて電力変換装置へ印加するゲート信号を生成するゲート信号生成手段とを備えている。
このように構成された電力変換装置の制御装置においては、リミッタ値演算手段から出力された各リミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段を設けている。この除去手段は、例えばオフディレー型のタイマーで構成されており、リミッタ値演算手段から出力された各リミッタ値の絶対値が大きくなる方向に対しては、一定の遅れ時間を有して追従し、リミッタ値演算手段から出力された各リミッタ値の絶対値が小さくなる方向に対しては瞬時に追従する機能を有する。よって、リミッタ手段に実際に設定されるリミッタ値は少なくとも大きくなる方向に変動しない。
したがって、たとえ、電力系統の負荷変動に起因して電力変換装置の出力電圧が変動したり、電力変換装置に対する各電力設定値が変動して、リミッタ値演算手段から出力された各リミッタ値が短時間に変動したとしても、この各リミッタ値の変動は遅延手段で吸収され、リミッタ手段に実際に設定されるリミッタ値は変動しない。その結果、有効電力及び無効電力の各出力電力値が不要に変動して電力変換装置の運転に悪影響を及ぼすことを防止できる。
また、別の発明は、交流から直流又は直流から交流へ電力変換する自励式の電力変換装置の制御装置において、電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力と無効電力とを検出する電力検出手段と、電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力設定値と無効電力設定値を設定する電力設定手段と、有効電力が有効電力設定値に近くなるように有効電力指令値を演算する有効電力制御手段と、無効電力が無効電力設定値に近くなるように無効電力指令値を演算する無効電力制御手段と、設定されたリミッタ値を用いて有効電力指令値を制限する有効電力指令値リミッタ手段と、設定されたリミッタ値を用いて無効電力指令値を制限する無効電力指令値リミッタ手段と、有効電力指令値リミッタ手段で値が制限された有効電力指令値を入力し、有効電力指令値を優先して、皮相電力が電力変換装置の電力容量を超えないように各電力指令値を制限するための各リミッタ手段へ設定する各リミッタ値を演算するリミッタ値演算手段と、このリミッタ値演算手段から無効電力指令値リミッタ手段へ設定するリミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段と、各リミッタ手段で値が制限された各電力指令値に基づいて電力変換装置へ印加するゲート信号を生成するゲート信号生成手段とを備えている。
さらに、リミッタ値演算手段は、有効電力指令値リミッタ手段に対するリミッタ値を前記電力変換装置の電力容量に設定し、無効電力指令値リミッタ手段に対するリミッタ値を、前記電力変換装置の電力容量の2乗値から前記値が制限された有効電力指令値の2乗値を減算した値の平方根に設定している。
このように構成された電力変換装置の制御装置においては、有効電力指令値を優先させながら、有効電力の変動が無効電力指令値、つまり無効電力出力に不要な変動を及ぼし、電力変換装置の運転に悪影響を及ぼすことを防止できる。
また、別の発明は、交流から直流又は直流から交流へ電力変換する自励式の電力変換装置の制御装置において、電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力と無効電力とを検出する電力検出手段と、電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力設定値と無効電力設定値を設定する電力設定手段と、有効電力が有効電力設定値に近くなるように有効電力指令値を演算する有効電力制御手段と、無効電力が無効電力設定値に近くなるように無効電力指令値を演算する無効電力制御手段と、設定されたリミッタ値を用いて有効電力指令値を制限する有効電力指令値リミッタ手段と、設定されたリミッタ値を用いて無効電力指令値を制限する無効電力指令値リミッタ手段と、無効電力指令値リミッタ手段で値が制限された無効電力指令値を入力し、無効電力指令値を優先して、皮相電力が電力変換装置の電力容量を超えないように各電力指令値を制限するための各リミッタ手段へ設定する各リミッタ値を演算するリミッタ値演算手段と、このリミッタ値演算手段から有効電力指令値リミッタ手段へ設定するリミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段と、各リミッタ手段で値が制限された各電力指令値に基づいて電力変換装置へ印加するゲート信号を生成するゲート信号生成手段とを備えている。
さらに、リミッタ値演算手段は、無効電力指令値リミッタ手段に対するリミッタ値を電力変換装置の電力容量に設定し、有効電力指令値リミッタ手段に対するリミッタ値を、電力変換装置の電力容量の2乗値から前記値が制限された無効電力指令値の2乗値を減算した値の平方根に設定している。
このように構成された電力変換装置の制御装置においては、無効電力指令値を優先させながら、無効電力の変動が有効電力指令値、つまり有効電力出力に不要な変動を及ぼし、電力変換装置の運転に悪影響を及ぼすことを防止できる。
本発明においては、リミッタ値演算手段からリミッタ手段へ向けて出力された各リミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段を設けている。
したがって、たとえ、電力系統の負荷変動に起因して電力変換装置の出力電圧が変動したり、電力変換装置に対する各電力設定値が変動して、リミッタ値演算手段から出力された各リミッタ値が短時間に変動したとしても、この電力変換装置に入出力される交流電力の有効電力、無効電力は、この電力変換装置の電力容量以内という制約を守りつつ、不要な変動が抑制でき、電力変換装置の運転に悪影響を及ぼすことを防止できる。
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係わる電力変換装置の制御装置の概略構成を示すブロック図である。図5に示す従来の電力変換装置の制御装置10と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の詳細説明を省略する。また、この第1実施形態の制御装置10aの制御対象の電力変換装置としてのインバータ(逆変換器)7、及びこのインバータ(逆変換器)7を含む電力システムの構成は、図4に示す従来の電力システムの構成と同一であるので、説明を省略する。
この第1実施形態の制御装置10aにおいて、変換器出力演算部13は、検出された出力電圧V、出力電流Iを用いて、インバータ(逆変換器)7から出力される交流電力の有効電力P、無効電力Qを算出して、有効電力制御部(APR)15、無効電力制御部(AQR)16へ送出する。電力設定部14は、有効電力設定値PSと無効電力設定値QSとをそれぞれ有効電力制御部(APR)15、無効電力制御部(AQR)16へ送出する。
有効電力制御部(APR)15は、検出した有効電力Pが有効電力設定値PSに近くなるように有効電力指令値CPを算出して、次のリミッタ部17及びリミッタ値演算部19へ送出する。無効電力制御部(AQR)16は、検出した無効電力Qが無効電力設定値QSに近くなるように無効電力指令値CQを算出して、次のリミッタ部18及びリミッタ値演算部19へ送出する。
リミッタ値演算部19は、電力変換装置としてインバータ(逆変換器)7の電力容量MVA(皮相電力)と、有効電力指令値CP、無効電力指令値CQとを用いて、この有効電力指令値CP、無効電力指令値CQの上限値及び下限値をそれぞれ制御するための下式で示す前述した(a)、(b)2種類の各リミッタ値LP、LQを演算する。
(a)有効電力を優先させる場合
P=MVA LQ=[MVA2―CP 21/2 …(1)
(b)無効電力を優先させる場合
P=[MVA2―CQ 21/2Q=MVA …(2)
リミッタ値演算部19は、算出したリミッタ値LP、LQをそれぞれ遅延手段としての遅れ素子24、25へ送出する。各遅れ素子24、25は、例えばオフディレー型のタイマーで構成されており、リミッタ値演算部19から出力された各リミッタ値LP、LQの絶対値が大きくなる方向に対しては、一定の遅れ時間を有して追従し、リミッタ値演算部19から出力された各リミッタ値LP、LQの絶対値が小さくなる方向に対しては瞬時に追従する機能を有する。したがって、リミッタ値演算部19から出力された各リミッタ値LP、LQにおける短時間の変動成分は、この各遅れ素子24、25で除去される。各遅れ素子24、25を経由した各リミッタ値LP、LQは少なくとも大きくなる方向には変動しない。
各遅れ素子24、25を経由した各リミッタ値LP、LQは、それぞれ対応するリミッタ部17、18へ設定する。
リミッタ部17は、入力した有効電力指令値CPの上限値及び下限値を遅れ素子24を経由したリミッタ値LPで制限して、新たな有効電力指令値DPとして演算部20へ送出する。同様に、リミッタ部18は、入力した無効電力指令値CQの上限値及び下限値を遅れ素子25を経由したリミッタ値LQで制限して、新たな無効電力指令値DQとして演算部20へ送出する。
演算部20は、入力された有効電力指令値DPと無効電力指令値DQとを、例えば三相の瞬時値ベースの制御量Ecに変換して、次のパルス発生回路22へ送出する。パルス発生回路22は、三相の瞬時値ベースの制御量Ecに変換された各電力指令値DP、DQに基づいて電力変換装置としてのインバータ7へ印加するゲートパルス信号を生成する。
パルス発生回路22から出力されたゲートパルス信号は、インバータ(逆変換器)7に印加され、このインバータ7の半導体スイッチング素子のスイッチングに用いられる。これによりインバータ(逆変換器)7から交流電力系9側へ出力される交流電力の有効電力及び無効電力が電力設定部14で設定した各設定値PS、QSとなる。
このように構成された第1実施形態の電力変換装置の制御装置10aにおいては、電力系統の負荷変動に起因して電力変換装置(インバータ7)の出力電圧が変動したり、電力変換装置(インバータ7)に対する各電力設定値PS、QSが変動して、有効電力指令値CP、無効電力指令値CQが変動し、最終的に、リミッタ値演算部19から出力された各リミッタ値LP、LQが短時間に変動したとしても、この短時間の変動は各遅れ素子24、25で吸収され、リミッタ部17、18に実際に設定されるリミッタ値LP、LQは変動しない。
その結果、演算部20へ入力される有効電力指令値DPと無効電力指令値DQには変動成分含まれない。したがって、有効電力と無効電力の各出力電力値が不要に変動して電力変換装置(インバータ7)の運転に悪影響を及ぼすことを防止できる。
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係わる電力変換装置の制御装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示す第1実施形態の電力変換装置の制御装置10aと同一部分には同一符号を付して、重複する部分の詳細説明を省略する。また、この第2実施形態の制御装置10bの制御対象の電力変換装置としてのインバータ(逆変換器)7、及びこのインバータ(逆変換器)7を含む電力システムの構成は、図4に示す従来の電力システムの構成と同一であるので、説明を省略する。
この第2実施形態の電力変換装置の制御装置10bにおいては、有効電力制御部(APR)15は算出した有効電力指令値CPをリミッタ部17へ送出する。無効電力制御部(AQR)16は算出した無効電力指令値CQをリミッタ部18へ送出する。
また、リミッタ値演算部19aには、リミッタ部17から演算部20へ送出される有効電力指令値DPが入力される。このリミッタ値演算部19aは、電力変換装置としてインバータ(逆変換器)7の電力容量MVA(皮相電力)と、リミッタ部17から出力された有効電力指令値DPとを用いて、この有効電力指令値CP、無効電力指令値CQの上限値及び下限値をそれぞれ制限するための(3)式で示す、有効電力指令値を優先して、皮相電力が前記電力変換装置の電力容量を超えないような、各リミッタ値LP、LQを演算する。
P=MVA LQ=[MVA2―DP 21/2 …(3)
リミッタ値演算部19aは、算出した一方のリミッタ値LPを直接リミッタ部17へ設定するとともに、算出した他方のリミッタ値LQを遅延手段としての遅れ素子25を経由してリミッタ部18へ設定する。
このように、有効電力側のリミッタ部17へ設定されるリミッタ値LPは、インバータ(逆変換器)7の電力容量MVAそのものであり変化しない。一方、無効電力側のリミッタ部18へ設定されるリミッタ値LQは、インバータ(逆変換器)7の電力容量MVAから有効電力指令値DP分を減算した残りの容量になる。すなわち、有効電力優先のリミッタ値LP、LQとなる。なお、リミッタ値LQは変動する可能性があるので、遅れ素子25で変動成分を除去している。
リミッタ部17は、入力した有効電力指令値CPの上限値及び下限値をリミッタ値LPで制限して、新たな有効電力指令値DPとして演算部20へ送出する。リミッタ部18は、入力した無効電力指令値CQの上限値及び下限値を遅れ素子25を経由したリミッタ値LQで制限して、新たな無効電力指令値DQとして演算部20へ送出する。
このように構成された第2実施形態の電力変換装置の制御装置10bにおいては、電力系統の負荷変動に起因して電力変換装置(インバータ7)の出力電圧が変動したり、電力変換装置(インバータ7)に対する各電力設定値PS、QSが変動して、有効電力指令値CP、無効電力指令値CQが変動し、リミッタ値演算部19aから出力されたリミッタ値LQも変動する。遅れ要素25がない場合は、そのまま無効電力の出力を変動させることになってしまう。しかしながら、遅れ要素25の作用により、有効電力指令値DPが大きくなる、つまりリミッタ値LQが小さくなる方向に対しては、瞬時に応動して、インバータ(逆変換器)7の電力容量MVAをオーバーしないように、無効電力のリミッタを絞る。
また、逆に有効電力指令値DPが小さくなる、つまりリミッタ値LQが大きくなる方向に対しては、遅れ要素25の作用により、遅れを持って応動ずるため、無効電力出力が急に増加することはない。
特に有効電力制御部15の有効電力指令値CP(DP)が振動しているときには、遅れ要素25がない場合には、振動がそのまま無効電力の出力に影響を与える。しかし、遅れ要素25によりリミッタ値LQが絞られた状態を継続するため、無効電力の出力に不要な振動を与えない。
このように、この第2実施形態の電力変換装置の制御装置10bにおいては、系統電圧変動および設定値などの変動により電力変換装置(インバータ7)の出力する有効電力値が変動したとしても、その影響によって不要に無効電力出力を変動させることを抑制し、連系する電力系統に対して悪影響を及ぼすことを防止できる。
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係わる電力変換装置の制御装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示す第1実施形態の電力変換装置の制御装置10aと同一部分には同一符号を付して、重複する部分の詳細説明を省略する。また、この第3実施形態の制御装置10cの制御対象の電力変換装置としてのインバータ(逆変換器)7、及びこのインバータ(逆変換器)7を含む電力システムの構成は、図4に示す従来の電力システムの構成と同一であるので、説明を省略する。
この第3実施形態の電力変換装置の制御装置10cにおいては、有効電力制御部(APR)15は算出した有効電力指令値CPをリミッタ部17へ送出する。無効電力制御部(AQR)16は算出した無効電力指令値CQをリミッタ部18へ送出する。
また、リミッタ値演算部19bには、リミッタ部18から演算部20へ送出される無効電力指令値DQが入力される。このリミッタ値演算部19bは、電力変換装置としてインバータ(逆変換器)7の電力容量MVA(皮相電力)と、リミッタ部18から出力された無効電力指令値DQとを用いて、この有効電力指令値CP、無効電力指令値CQの上限値及び下限値をそれぞれ制限するための(4)式で示す、無効電力指令値を優先して、皮相電力が電力変換装置の電力容量MVAを超えないような、各リミッタ値LP、LQを演算する。
P=[MVA2―DQ 21/2Q=MVA …(4)
リミッタ値演算部19bは、算出した一方のリミッタ値LPを遅延手段としての遅れ素子24を経由してリミッタ部17へ設定するとともに、算出した他方のリミッタ値LQを直接リミッタ部18へ設定する。
このように、無効電力側のリミッタ部18へ設定されるリミッタ値LQは、インバータ(逆変換器)7の電力容量MVAそのものであり変化しない。一方、有効電力側のリミッタ部17へ設定されるリミッタ値LPは、インバータ(逆変換器)7の電力容量MVAから無効電力指令値DQ分を減算した残りの容量になる。すなわち、無効電力優先のリミッタ値LP、LQとなる。なお、リミッタ値LPは変動する可能性があるので、遅れ素子24で変動成分を除去している。
リミッタ部17は、入力した有効電力指令値CPの上限値及び下限値を遅れ素子24を経由したリミッタ値LPで制限して、新たな有効電力指令値DPとして演算部20へ送出する。リミッタ部18は、入力した無効電力指令値CQの上限値及び下限値をリミッタ値LQで制限して、新たな無効電力指令値DQとして演算部20へ送出する。
このように構成された第3実施形態の電力変換装置の制御装置10cにおいては、電力系統の負荷変動に起因して電力変換装置(インバータ7)の出力電圧が変動したり、電力変換装置(インバータ7)に対する各電力設定値PS、QSが変動して、有効電力指令値CP、無効電力指令値CQが変動し、リミッタ値演算部19bから出力されたリミッタ値LPも変動する。遅れ要素24がない場合は、そのまま有効電力の出力を変動させることになってしまう。しかしながら、遅れ要素24の作用により、無効電力指令値DQが大きくなる、つまりリミッタ値LPが小さくなる方向に対しては、瞬時に応動して、インバータ(逆変換器)7の電力容量MVAをオーバーしないように、有効電力のリミッタを絞る。
また、逆に無効電力指令値DQが小さくなる、つまりリミッタ値LPが大きくなる方向に対しては、遅れ要素24の作用により、遅れを持って応動ずるため、有効電力出力が急に増加することはない。
特に無効電力制御部16の無効電力指令値CQ(DQ)が振動しているときには、遅れ要素24がない場合には、振動がそのまま有効電力の出力に影響を与える。しかし、遅れ要素24によりリミッタ値LPが絞られた状態を継続するため有効電力の出力に不要な振動を与えない。
このように、この第3実施形態の電力変換装置の制御装置10cにおいては、系統電圧変動および設定値などの変動により電力変換装置(インバータ7)の出力する有効電力値が変動したとしても、その影響によって不要に無効電力出力を変動させることを抑制し、連系する電力系統に対して悪影響を及ぼすことを防止できる。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態においては、制御対象の電力変換装置としてインバータ7を採用したが、制御対象の電力変換装置として整流器3を採用することも可能である。
本発明の第1実施形態に係わる電力変換装置の制御装置の概略構成を示すブロック図 本発明の第2実施形態に係わる電力変換装置の制御装置の概略構成を示すブロック図 本発明の第3実施形態に係わる電力変換装置の制御装置の概略構成を示すブロック図 交流電力系及び周波数変換装置が組込まれた電力システムを示す模式図 従来の電力変換装置の制御装置の概略構成を示すブロック図
符号の説明
1,9…交流電力系、2,8…変圧器、3…整流器、7…インバータ、10,10a,10b,10c…制御装置、11…変成器、12…変流器、13…変換器出力演算部、14…電力設定部、15…有効電力制御部(APR)、16…無効電力制御部(AQR)、17,18…リミッタ部、19,19a,19b…リミッタ値演算部、20…演算部、21…PLL回路、22…パルス発生回路、23…搬送波発生回路、24,25…遅れ要素

Claims (5)

  1. 交流から直流又は直流から交流へ電力変換する自励式の電力変換装置の制御装置において、
    前記電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力と無効電力とを検出する電力検出手段と、
    前記電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力設定値と無効電力設定値を設定する電力設定手段と、
    前記検出された有効電力及び無効電力がそれぞれ前記有効電力設定値及び無効電力設定値に近くなるように有効電力指令値及び無効電力指令値を演算する電力制御手段と、
    前記各電力指令値を入力し皮相電力が前記電力変換装置の電力容量を超えないように前記各電力指令値を制限するための各リミッタ値を演算するリミッタ値演算手段と、
    前記リミッタ値演算手段から出力された各リミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段と、
    前記除去手段で変動成分が除去された各リミッタ値を用いて前記各電力指令値を制限するリミッタ手段と、
    このリミッタ手段で値が制限された各電力指令値に基づいて前記電力変換装置へ印加するゲート信号を生成するゲート信号生成手段と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置の制御装置。
  2. 交流から直流又は直流から交流へ電力変換する自励式の電力変換装置の制御装置において、
    前記電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力と無効電力とを検出する電力検出手段と、
    前記電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力設定値と無効電力設定値を設定する電力設定手段と、
    前記有効電力が有効電力設定値に近くなるように有効電力指令値を演算する有効電力制御手段と、
    前記無効電力が無効電力設定値に近くなるように無効電力指令値を演算する無効電力制御手段と、
    設定されたリミッタ値を用いて前記有効電力指令値を制限する有効電力指令値リミッタ手段と、
    設定されたリミッタ値を用いて前記無効電力指令値を制限する無効電力指令値リミッタ手段と、
    前記有効電力指令値リミッタ手段で値が制限された有効電力指令値を入力し、有効電力指令値を優先して、皮相電力が前記電力変換装置の電力容量を超えないように前記各電力指令値を制限するための前記各リミッタ手段へ設定する各リミッタ値を演算するリミッタ値演算手段と、
    このリミッタ値演算手段から前記無効電力指令値リミッタ手段へ設定するリミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段と、
    前記各リミッタ手段で値が制限された各電力指令値に基づいて前記電力変換装置へ印加するゲート信号を生成するゲート信号生成手段と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置の制御装置。
  3. 前記リミッタ値演算手段は、前記有効電力指令値リミッタ手段に対するリミッタ値を前記電力変換装置の電力容量に設定し、前記無効電力指令値リミッタ手段に対するリミッタ値を、前記電力変換装置の電力容量の2乗値から前記値が制限された有効電力指令値の2乗値を減算した値の平方根に設定したことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の制御装置。
  4. 交流から直流又は直流から交流へ電力変換する自励式の電力変換装置の制御装置において、
    前記電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力と無効電力とを検出する電力検出手段と、
    前記電力変換装置に入力又は出力される交流電力の有効電力設定値と無効電力設定値を設定する電力設定手段と、
    前記有効電力が有効電力設定値に近くなるように有効電力指令値を演算する有効電力制御手段と、
    前記無効電力が無効電力設定値に近くなるように無効電力指令値を演算する無効電力制御手段と、
    設定されたリミッタ値を用いて前記有効電力指令値を制限する有効電力指令値リミッタ手段と、
    設定されたリミッタ値を用いて前記無効電力指令値を制限する無効電力指令値リミッタ手段と、
    前記無効電力指令値リミッタ手段で値が制限された無効電力指令値を入力し、無効電力指令値を優先して、皮相電力が前記電力変換装置の電力容量を超えないように前記各電力指令値を制限するための前記各リミッタ手段へ設定する各リミッタ値を演算するリミッタ値演算手段と、
    このリミッタ値演算手段から前記有効電力指令値リミッタ手段へ設定するリミッタ値に重畳した変動成分を除去する除去手段と、
    前記各リミッタ手段で値が制限された各電力指令値に基づいて前記電力変換装置へ印加するゲート信号を生成するゲート信号生成手段と
    を備えたことを特徴とする電力変換装置の制御装置。
  5. 前記リミッタ値演算手段は、前記無効電力指令値リミッタ手段に対するリミッタ値を前記電力変換装置の電力容量に設定し、前記有効電力指令値リミッタ手段に対するリミッタ値を、前記電力変換装置の電力容量の2乗値から前記値が制限された無効電力指令値の2乗値を減算した値の平方根に設定したことを特徴とする請求項4記載の電力変換装置の制御装置。
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